隠された祠を発見したオルテガとリバストだったが、
誰がいるかもわからない建物の正面にずっと立っているのはさすがに無用心だ、
という結論をだし、二人は近くの茂みに隠れた。
そこで祠から出てくる人物を見極めようとしたのだが、一向に出てくる気配はない。
「屋根に石を投げるなりしたら警戒して出てくるんじゃないか?」
寒気に耐えかねたのか、リバストは雪に埋もれかけた石を掘り出して
オルテガがGOサインを出すのを待った。しかしオルテガは首を縦に振らなかった。
「賛同しかねるな。こんな状況だ。
何が起こるかわからん。あまり刺激を与えない方がいいかもしれん」
しかし何かしら行動を起こさなければ、と思い、オルテガは祠の周りを見渡した。
「・・・とりあえず、建物の裏に廻ってみるとしよう」
オルテガは冷えた体をさすりながら立ち上がった。
「なにがあるかわからんが、周辺を探っておいて損はないだろう」
二人は祠を中心に森の中を大きくまわって祠の裏へ歩いた。
もちろん祠の石壁が見えるくらいの距離しか離れていなかったが、
ソレが見えないリバストは前を歩くオルテガについて行くしかなかった。
程無くして島の北側にある山のふもとに着いた。
祠はこの急な斜面と隣接して建っているようだが・・・。
「・・・ふむ。リバスト、正面に窪みがあるのが見えるか?」
リバストは茂みの間から首だけを出して、オルテガの指さした方を向く。
「ああ、・・・あそこになにがあるんだ?」
おそらく自分とは違うモノが見えているであろうオルテガを振り返った。
「たぶん納屋か何かだろうな。祠とは別の建物が見える」
「なるほど。人の気配はしないようだが・・・。行ってみるか?」
アゴに手をやって思案していたオルテガはゆっくりと頷き、後ろを振り返った。
「おまえは森の中で待っていろ。すぐ戻ってくる」
オルテガはチョコボの首筋を撫でながら言った。
チョコボは小さく鳴いて、その場に腰を降ろした。
「なるほど。確かにココになにか建っているみたいだな。あけるぞ?」
建物の正面へ行き、手探りでドアノブを見つけたリバストはゆっくりとソレをひねった。
「・・・・・・? だめだ。鍵がかかっている」
「そうか。見せてみろ」
オルテガはリバストをソコから退かして扉を調べた。
「どうだ?壊すしかなさそうだが・・・」
「いや、普通の鍵のようだ。この位ならなんとかなる」
そう言うとオルテガは懐から針金を取り出すとソレを鍵穴に差し込んだ。
しばらく金属同士が触れ合う音だけが響き、唐突に何かが外れる音がした。
「ふむ。大分腕が鈍ったな。簡単に外せると思ったが・・・」
唖然としているリバストを振り向きもせずに、オルテガは指先でくるくると
針金を回しながら建物の中に入っていった。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 行動方針:離れの探索】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:離れの探索】
チョコボが一匹ともにいます。