FFDQバトルロワイアル PART3

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255保管庫
《午後0時半前後》

しゃこんっ…しゃこんっ…。
金属と金属が軋み合う音、そして、シリンダーが伸び縮みする嫌な音がセーラの耳に届いた。
(また来たのかしら…しつこいですわね…)
簡素な村娘の服を身に纏った女…セーラは、そう心の中で愚痴った。
愚痴りついでに、そこらの物陰に身を隠しておく。

……軋みの音が、セーラの隠れた物陰の前を通り過ぎて向こうの方へ歩いていく。
物陰からそっと覗いてみると、丸い金属の背中が見えた。
「…なんであんなモノが彷徨いているのかしら。」
心の中の愚痴を口の端から思わずこぼしながら、セーラは物陰から這い出した。
ついてに、腹立ち紛れに近くの石像を小さく蹴っ飛ばす。
見るも禍々しい破壊神の石像は、そんなセーラの無礼な行動を気にも止めず、悠然と佇んでいる。
…セーラの今いる場所は、かつて…今でもかも知れないが…ハーゴンの神殿と呼ばれていた。
256保管庫:02/12/25 23:09 ID:0t8k5aCO
「ここは何処なのかしら…。」
セーラは唯一信頼できる存在であるブレイズガンを握りしめ、再び神殿の散策を開始した。
この神殿に転移してきて数時間、あの不気味な鉄の塊のせいで、すっかり道に迷ってしまった。
唯一の幸運は、この神殿の中ではまだ誰にも会っていない事か…否、彼女にとってそれは“幸運”ではなかった。
何しろ、“か弱い”彼女は誰かに助けてもらわねば、すぐ死んでしまうだろう。こんなゲームの中では。
だから、会う。あの黒い騎士に。そして、二人で生き残るのだ。二人で。
…その甘美な空想に、セーラの表情がほどけていく。顔が上気し、どこか恍惚とした顔へと変わっていく。
思わず、頬を掌で押さえる。暖かい頬が冷たくなった彼女の手を僅かに暖めた。
その感触にもう一つの快感を思い出して、セーラはさらに恍惚とした表情を深めた。
頬に当てたはずの手に、クッションの…その下にあるフローラの手の感触が蘇る。
もがく身体。クッションの下の荒い呼吸。肌を通して伝わる恐怖と絶望。人として犯される最大の背約行為。
その光景を思い出すだけで、彼女の体は甘く溶けていってしまいそうだった。
黒い騎士と自分が、深く深く愛し合う空想と同じくらいに、ソレは大きな快感を彼女にもたらす。

「騎士様…貴方のために、このセーラ、誠心誠意を持って戦わせていただきます。」
ふぅ…ふぅと、僅かに荒い吐息を漏らしながら、セーラは小さく呟いた。

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿内(詳しい現在位置不明) 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】