FFDQバトルロワイアル PART3

このエントリーをはてなブックマークに追加
226スラリソ ◆5VrxCs/8kA
《午前11時40分前後の話》
どぅんっ!どどどどぅんっ!
遠慮のない、耳障りな音がロックの鼓膜を打ち付けた。
身体を隠す大木の幹に、小さな穴が大量に生まれる。
(くそ…もう何時間こうしてるんだ…。)
大木をかりそめの盾としていたロックが、小さく舌打ちして木の陰から飛んだ。
木の陰から木の陰へ飛ぶ一瞬の間に、大量の弾丸と黒の爆圧が彼を追いかける。
クイックシルバーに残った弾丸を全て…正真正銘、全て敵に向かって吐き出させながらソレを回避し、隠れる。
ぜぇぜぇと息を荒らげながら、ロックはクイックシルバーを投げ捨てた。
もう一発も入っていない。弾の入っていない銃など、ただの鉄の塊に過ぎない。
「ちくしょう……。」
もう一度、うめく。今度は声に出して。

コレまでずっと、隠れながらの弾丸の交換を繰り返していた。
ロックのクイックシルバーと敵…黒衣の騎士セシルのギガスマッシャーと暗黒波はお互いを殺そうと幾度も牙を剥き…
結局、ここまで一度もソレをなしえなかった。
ロックがここまで生きていられた…それも、無傷で生きていられたのは、彼の実力とソレに数倍する運のたまものだろう。
だが、彼が闘っている暗黒騎士…セシルの場合、その比率は逆転する。つまり、彼の運とそれに数倍する実力。
「何とか逃げ切らないと…。」
身体を庇う木が、無数の弾丸の洗礼にさらされているのを感じながら、ロックは逃げ切るための思考を始めた。
227スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 00:09 ID:NWwOoaqg
右手に掴んだ巨大な銃が、何の遠慮もなく怒声を発し、そして怒声は弾丸となって敵が隠れた木の幹をえぐり取る。
ただひたすらに敵を殺すべく、暗黒騎士セシルは弾丸を撃ち続けていた。
今戦っている…と言うにはやや一方的だが…バンダナの男、ロックはよく頑張っていると言えた。
もう三時間近く、危険な賭けに出る事もなくただひたすらに隙をうかがい続ける。並みの人間に出来る事ではない。
だが、それももう終わりだ。
ロックが、弾を撃ち尽くしたクイックシルバーを捨てるのをセシルは見た。
敵には銃がない。おまけに魔法を使える様子もない。だがこちらには銃と…暗黒の力がある。
「もらった…!」
セシルはもう一度、ギガスマッシャーに弾丸の怒声をあげさせるべく指に力を込めた。

…それから数分が過ぎて…ロックが、動いた。
再び別の木の陰へ飛び出し、隠れようとする。
だが、それを見逃すほどセシルはうかつではないし、寛容でもない。
「終わりだ!」
叫び、引き金を引く。
撃ち放たれた弾丸がロックの身体を浅く引き裂くのが見えた。
そして、ロックがこちらに何かを投げつけるのが見えた。
そして、セシルの視界はいきなり白に閉ざされた。ものすごい重量と共に。

うまくいった!
身体を鉄の飛礫に引き裂かれた痛みを強引に無視して、ロックは歓声を上げた。
ついさっきまでセシルが立っていた位置には、こんもりとした雪の山が出来ている。
その足下には、アモスのミスリルシールド。その後ろには、雪化粧を落としてスッキリした巨木が一本。

ロックの投げたシールドはセシルの後ろの巨木に命中し、その衝撃で落ちてきた雪が彼の身体を覆い隠したのだ。

ロックはそれを確認すると、振り返りもせず賭けだした。
エリアの走っていった方に向かって。
228スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 00:15 ID:NWwOoaqg
「くそ…。」
セシルは小さく毒づきながら雪の山から這い出した。
まんまとしてやられた。まさかこんな事をするなんて思っても見なかった…甘かった。
セシルは完全に雪山から這い出ると、その場にどっかりと座り込んだ。
暗黒波の撃ちすぎで、体力が消耗していた。

【セシル(やや体力を消耗) 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー 
 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)  行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
 行動方針:エリアを守る】
(弾切れのクイックシルバーとミスリルシールドは森に放置されています)