179 :
5/5:
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣
現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う】
【ルーキー 所持武器:スナイパーアイ ブーメラン
現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:気絶中】
【ライアン 所持武器:大地のハンマー
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:仲間を探す】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました
行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:ゲームにのる】
173の持ち物修正します。
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャ―
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
幕府を開きたいのですが
何処に申請すれば良いのでしょうか?
雪原の中、つまらなさそうにセーラは歩いていた。
彼女はロンダルキアの洞窟方面から歩いてきた。
セフィロスとアーサーとの一騎打ち。
最初は身を潜めて消耗した片方をこのブレイズガンで撃ち抜く。
そうしようと思っていた。
だけど、その予想は外れてしまった。
あまりにも一方的であったためだ。
さすがに無傷同然の敵を攻撃することは無理があった。
気づかれる前に逃げ出さないと…
そう思い、あの場から逃げ出してきたのである。
もっとも、セフィロスにも、アーサーにも気づかれていたのではあるが。
アーサーは彼女の姿を見てメガンテの発動をやめて、セフィロスはそのおかげで命を救われた。
セフィロスに追撃の意思がなかったのは彼女の幸運以外の何者でもあるまい。
「あの騎士様は今いずこにいらっしゃるのかしら…」
彼女は目に焼き付けていたあの翼を求めてふらふらと北東へ、北東へと湖沿いに歩き出した。
【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:南部の湖の南ぞい 行動方針:騎士様を探す&皆殺し 北東へ進んでいます】
183 :
1/2:02/12/01 04:36 ID:???
「まだ早いけど、食事にしよっ」
「待ってましたっ」
ロンダルキア洞窟にて、ティーダたち3人は輪になって座り、休憩している。
異変を確かめるべく、エアリスは1人6Fに上がったのだが、そこは落とし穴よりもまだ性の悪い無限回廊だった。
ある程度のパターンは掴めたのだが、先行し過ぎるわけにも行かない。
そのためエアリスは一旦5Fに降りて、2人の合流を待っていたのだ、幸いすぐに合流こそ出来たのだが、
ティーダもギルガメッシュもかなり疲労しているようだ、事実、エアリスにしても不毛な行ったり来たりで、
かなり汗だくになっている、ここはひとまず気分を変えるべきだろう。
てなわけで、エアリスがバックの口を逆さにするとそこからごろごろと缶詰が幾つも転がり出て来る。
「おおっ、豪勢だな」
コンビーフに、カレー、魚のクリーム煮、etc、さらに桃缶にパイン缶もある。
すべて缶詰とはいえ、支給品のパンと栄養ドリンクにいささか食傷気味のギルガメッシュにとっては
充分なご馳走だった。
「そういえば、食料問題もあったな」
支給された食料と水は節約すれば5日は持つ、しかし思慮の足りない者ならそろそろ底を尽いていても、
おかしくない。
もしかして、これも奴らの狙い・・・・いや、だったら現地補給の道も絶っているはずだ。
ならば、そもそも俺たちが3日も持つとは思って無かったのか?
まぁ、いずれにせよ武器が無くてもまだ戦いようがあるが、食べ物が無くては話にならない。
少しだけマジメな表情で考え込むギルガメッシュ、その隣では待ちきれないといった表情で
桃缶をしっかり確保したティーダが、缶を指先でつんつんと叩いている。
「で、缶キリは何処ッスか?」
缶キリ・・・・その言葉を聞いて、エアリスの顔が一瞬真っ青になる。
「おい・・・もしかして缶キリを持ってくるの忘れたとか?」
不気味な沈黙が3人を包む。
184 :
2/2:02/12/01 04:36 ID:???
「エアリスさん!まさかそんなマンガみたいことしちゃいないでしょうね?」
びくっ!、ティーダのその言葉にエアリスの肩が刎ねあがるのを2人は確かに見た。
さらにギルガメッシュが追い討ちを掛ける。
「幾らなんでも、お約束過ぎるぜ!俺でも恥ずかしくてやんないぞ、そんなこと」
びくっ!びくっ!
今度は効果音までも聞こえた。
缶詰はあれど缶キリは無い、マンガではおなじみの光景だが、自分たちの身に降りかかると、
これほど惨めで腹立たしいことはない。
エアリスは穴があったら入りたい、といった表情をしていたのだが、
やがて、立ちあがるとふらふらと、本当に自分から落とし穴の中へ飛びこんでいった。
文句を言われる前に自分から・・・・というわけなのだろうか?
「穴があったら入りたいってやつッスか、今のは」
「しかしある意味美味しいな、俺も機会があればやってみよう」
なんてことを言いながらも、ティーダとギルガメッシュはエアリスを回収しに、
自分たちも落とし穴に飛びこんでいった。
(無事脱出したら缶キリを探さないと)
ちなみにそんなバカ騒ぎの最中、スコールとリノアが6Fへと階段を上がっていったのだが、
そんなことは、彼らには知る由も無かった。
【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟 行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
185 :
1/4:02/12/01 11:58 ID:???
《午前9時10分前後》
ズズズズズ……。
何か、大きなモノが崩れ去る音がバッツの耳に届き、その拍子に彼は顔を上げた。
祠の外…だいぶ離れた所で響いた音。ソレは雪崩の音だったのだが、バッツは気づく事はなかった。
なにしろ、雪を見るのも初めてだったので。
「………。」
今までは顔を伏せ、努めて何も考えないようにしていたが…顔を上げ、みんなの姿が視界に入ってきたとたん、思考が回転を始めた。
(もう三日目…人数は半分近くにまで減った。もう行かなきゃ、間に合わない…?)
外に駆け出したい。今すぐ駆けだしてレナとファリスを探したい。
だけど、今の彼の周りには子供が3人と、怪我が治りかけたとは言えまだ動くのに不自由するのが一人。自分一人動くのは無責任ではないか?
だが、ここにいれば見つかる可能性は限りなく低いのだし、クーパーは戦う力があって…。
バッツの中で、二つの思考がせめぎ合った。
悩む。ひたすらに悩む。今まで、こんなに悩んだ事はなかった。
しかし、永久に悩み続けるわけには行かない。しばらくして、答えは出た。
バッツが唐突に立ち上がったのを見て、ピピンの脚を治療していたクーパーはきょとんとした顔をした。
ここで、このロンタルギアの祠でしばらく休もうと言い出したのはバッツ自身なのに。
まるで、どこかへ行こうとするみたいに、バッツは立ち上がった。
「バッツ兄…。」
「クーパー、ちょっと出てくる。」
クーパーの言葉を遮って、バッツが言った。
まるで、ちょっと買い物に行ってくるとでも言うような調子で。
186 :
2/4:02/12/01 12:00 ID:???
「……え?」
呆けた声が、クーパーの口から漏れた。
「ごめんな。俺…もう我慢できない…限界だ。」
まるきりいつもの口調。いつものバッツの口調。ソレなのに、どこか…重かった。
「レナとファリスを探す。アニーとパパスさんと…エーコの仲間も。」
「ちっ、ちょちょちょちょっ!ちょっと待ってよ!」
淡々と言葉を紡ぐバッツを、エーコの声が止める。
「外には…あの怖いヤツとかいるし……危ないし…。」
「…だからさ。だから…行かなきゃ。」
バッツはそう呟いて…まるで独り言のようにそう呟くと、くるりと方向転換して扉の方へと歩いていく。
バッツは扉のノブに手をかけて…くるりと振り向いた。
「ここに隠れてれば…多分見つからないと思う。何もなくても次の放送が合ったら帰ってくるよ。」
バッツはそう言って笑い、ドアを開けて外に出ていった。
「………。」
クーパーは、バッツがたった今出ていった扉をじっと見つめた。
置いていかれた。自分は置いていかれた。
(……どうしてかは、分かるけどさ。)
危険だからだろう。死の危険があるから、ここに置いていった方が安全だとふんだからだろう。
だが、悔しかった。とても、とてもとてもとても悔しかった。
自分だって…バッツに見劣りしない力は持っているつもりだった。
アニーと父を捜したかった。パパスに会いたかった。バッツと一緒に戦いたかった。
みんなに……認めて欲しいと思った。父に一人前と、パパスに子供じゃないと、バッツと肩を並べて戦えると。
ぐ…と、クーパーが両手を握りしめた。
187 :
3/4:02/12/01 12:01 ID:???
クーパーは小さくこくんと頷くと、さっと振り返ってピピンに向き直った。
「ピピン…。」
「何ですか?クーパー様。」
クーパーが何というか半ば予想しながら、ピピンはクーパーに問いかけた。
一瞬の迷い。一瞬の葛藤。クーパーはちらりと横目でリディアを見て…どうやら、決意したようだ。
「コレ…ピピンにあげる。」
クーパーはそう言って、ピピンにロングソードを差し出した。
ピピンはソレを受け取り、型通りの会釈…王族に対する会釈を行った。
「僕…バッツ兄ちゃん追っかけるから…リディアとエーコを……。」
「承知いたしました。クーパー様。このピピン、命に代えてもこの二人のお姫様をお守りいたしましょう。」
ピピンは深々とお辞儀をしてそう言ってから…ふと顔を上げてウインクした。
「さあ、早く行かないと追いつけませんよ?」
「…ありがとう!」
クーパーは顔いっぱいに眩しい笑顔を浮かべ、振り向くやいなや走り出した。
半開き状態だった扉を思いっきり手でついて、外に飛び出す。
クーパーは振り向き扉を閉めようとして…視界にリディアの顔を納めた。
「リディア、すぐ帰ってくるからね!」
リディアは、ソレを聞いて顔を明るくし、うんと頷いた。
ソレを確認すると、クーパーはバッツを追って走っていった。まっすぐに。
「…リディアだけで、エーコには一言もナシ?」
「クーパー様はリディアちゃんがお気に入りみたいだから…。」
「失礼しちゃうわ。全くもう…。」
ロンタルギアの祠で、そんな平和な会話が交わされた。
188 :
4/4:02/12/01 12:01 ID:???
さくさくと地面に積もる雪を踏みしめながら、バッツは森の中を歩いていた。
祠から西にある橋。ソレを通って北に向かうつもりだった。特に理由があるわけでもないが。
(やる事がいっぱいあるからな。急ごう。)
と、バッツが決意を新たにした時、彼の背中の方で声がした。聞き覚えのある、少年の声が。
「…あんのバカ…。」
こっちに走ってくるクーパーの姿を確認したバッツは、頭を押さえてうめいた。
「まあ、しょうがないか…?」
顔を上げて一人ごちる。クーパーが自分で決めたなら、しょうがないだろうと思いながら。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾
現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
【リディア/エーコ/ピピン
所持武器:なし/なし/ロングソード
現在位置:ロンタルギアの祠
行動方針:セシルを探す?・祠で待つ/仲間を捜す・祠で待つ/リディアとエーコを守る。】
アリアハン城下町。
大魔王の恐怖が全世界を覆った今でも、この街は人々の活気と笑顔に満ちていた。
自分が魔王討伐に向かったあの時から3度目。この街に戻ってきた回数だ。
まず家に帰る前に王に挨拶を済ませて、城から城下町に続く橋をわたる。
すれ違う人々も様々だが、見知った顔も多く親しみと期待を込めて私に挨拶をする。
やはりこの街に帰ってきて一番楽しみにしていたのは、やはり息子に会う事だ。
ずっと離れていても親の顔は覚えているのだろう。この前帰ってきたとき、
駆け寄ってきて「おとーたん」と呼んでくれた。
自分の道具袋に入っているお土産の事を考えると笑みを隠しきれない。
この前できたばかりのルイーダちゃんの酒場を見て、やっと我家が目の前に現れた。
ドアの前に立ち、深呼吸をする。なぜこんな事で緊張するのだろうか。
意を決してドアノブに手をかける。そのときだった。
「おとーさんおかえりーーー!!!」
「ぬおぉ!!」
勢い良く開かれたドアに、オルテガは大きくぶっ飛ばされた。
「おとーさーーーん!!」
ふらふらと立ち上がる私に、息子はダッシュをかけてタックルしてくる。
しかし歴戦の勇者である私は、その勢いを十分に殺し、大きく空に放り投げる。
たっぷり二十秒くらいたって落ちて来た息子をなんなくキャッチする。
「息子よ!いま帰ったぞ!」
そんな父に、アルスは満面の笑みを浮かべて抱きついた。
「息子よ!土産があるぞぉ!!」
「うわーい!ありがとうおとーさん!」
期待に胸を膨らます息子に見守られながら、オルテガは道具袋の中をまさぐる。
確か底の方に入っていたはず……。あれ?
袋の中には水鉄砲は入っておらず、ソコにはあの忌わしき覆面が入っていた。
「…なぜ、こんなものが……」
呆然と覆面を袋の中から出して、見つめる。
「うわぁ、それがお土産なの?ずっと欲しかったんだコレ!!」
そう言うと、アルスはオルテガの手から覆面をひったくり、ソレをかぶる。
「やめろ!ソレをかぶったら……」
オルテガの悲鳴は、アルスの雄叫びにかき消された。
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
白目に怪しい光をたたえ、雄叫びをあげる息子の姿。
突如、体が膨張し筋肉が異常に発達する。衣服は裂け、しかしパンツだけは一緒に膨張する。
身長は既に3メートルを超え、オルテガの目の高さに発達した大胸筋が映る。
息子の変貌していく姿を、オルテガはただ呆然と見ているしか無かった。
「…なぜ、こんな事に……」
変化が止まり、巨大な筋肉の塊になった息子が目の前にいた。
「あいたかったぜぇ!!親父殿ぉ!!!」
後ずさりするオルテガを、アルス(?)はハグする。
「やめろ…やめてくれぇ……」
オルテガの周囲にアルスの高笑いが何度も何度も木霊し、オルテガの脳みそを揺さぶる。
巨大な肉の塊と共に、オルテガの意識は闇に落ちて行った。
「…ゴハア!!…ゆ…夢か……」
全身に冷や汗をかき、息が荒くなっている。
幸せそうに寝ていたが、突如うなされはじめ、飛び起きたオルテガをチョコボは心配そうに見つめる。
(…まいったな。…あんな夢を見るなんて)
右手に握り締められた覆面をみつめる。
(…はやく、コレを処分しなければ……!!)
何度も火の魔法を紡いでは、直前でソレを中止する。
引き千切ろうと力を込めては、全然力が入らない。
(…くそ。オレには…無理なのか……)
覆面をソコらへんに放り投げ、力の無い笑い声をあげた。
これから二度とかぶらなければいいと結論を出し、袋の奥に覆面を詰める。
ついでに中に入っていた、多分朝に慌てて詰めたのであろう缶詰を開けて食べる。
どこぞのチームみたいに缶切りを忘れたりはしない。日頃から愛用している十得ナイフを持っていたのだ。
味は感じなかったが、元気は出た。ゴミをまとめ、出発の準備をする。
「…ちょうど正午になるな。行くぞ」
チョコボにまたがり手綱を引くが、チョコボは外に出ず、壁のところに向かう。
「クエッ」
「む?なにか書いてあるのか?」
オルテガはソコに書かれた文字を読み、大きくため息をついた。
「……………」
「クエ?」
「…ああ、大丈夫だ。出発しよう」
なにが大丈夫なのかわからなかったが、気をしっかり持ち手綱を引く。
「北だ。まず祠にむかうぞ」
「クエ♪」
そしてイヤな思いでを残し、チョコボは木の洞から外に飛び出した。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:洞窟北西の森の巨木の洞 行動方針:祠へ】
192 :
1/3:02/12/01 16:19 ID:???
南西の森──
ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたがファイ(導師)とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。
ティファ「……そっかあ。」
デッシュ「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
ティファ「へ?」
デッシュ「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」
デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。
デッシュ「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
ファイ「さっすが、デッシュ!!」
デッシュ「おだてても何もでんぞ。少年。」
ファイ「少年はやめてくださいよぉ。ファイっていう名前があるんですから。」
デッシュ「ああ、わかったわかった。少年。」
ファイ「……。」
ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
ティファ『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』
ファイ「ところで、ティファさんに相談があるんです。」
というと、ファイは首輪についての説明をティファに始めた。
デッシュ「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、ファイの耳元で囁く。「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
193 :
2/3:02/12/01 16:20 ID:???
ファイは2人に向かっていう。
ファイ「とりあえず、僕の話を聞いてください。」
そしてまた、ファイは一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。
ファイ「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をしますが、たさっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれないし、
僕とデッシュではこの先、研究が調査できるかどうか不安があります。
ですから、僕達に女性としての知恵を貸してください。そして時には……その、守ってください。お願いします。
そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げましょう。」
デッシュが口を挟む。
デッシュ「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
ファイ「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
デッシュ「な、なぜ?」
ファイ「理由はわからないんですけど。」
デッシュ「ちっ、ゾーマのやつめ!!」
デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。
ファイ「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれません。
ですから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思います。」
デッシュ「そういうことなら……。主催者側からも狙われるかも知れませんが、俺からもお願いします。」
ファイ「お願いします。」
2人はお辞儀をし、ティファの反応を窺う。
ティファ「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』
デッシュ&ファイ「ありがとうございます!」
2人は声を合わせて喜んだ。
194 :
3/3:02/12/01 16:21 ID:???
【導師/デッシュ/ティファ 所持武器:天罰の杖/なし/星降る腕輪
現在位置:南西の森(湖と山に挟まれて森が1マスしかないあたり) 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手・マシーンの残骸の調査】
デッシュは内心気になることがあった。
デッシュ『ひょっとすると、このマシーンのボディに使われている材料と首輪の材料は似ているかもしれない。』
雪・・・・・・か・・・・・・
何分か前に旅の扉により東のほこら付近に無事到着したヘンリーは周りに積もった
雪を見回しながら昔を思い出していた。
(ラインハットにいたころは兵士の奴の顔に雪をぶつけてからかってやったなー
あいつの名前何て言ったかな・・・・)
そこまで考えた時ヘンリーははっとして思考をやめた。
(何を考えてるんだ・・・・オレは・・・・・
冷徹になれ・・・過去を捨てろ・・・皆殺しだ・・・・・)
ヘンリーは、憎悪の呪縛から解き放たれようとしていた。
(だが・・・マリアが・・・マリアが・・・・・・・)
彼は怒りの矛先を近くの大木に向けた。
ザンッ!
大木を一閃すると彼はほこらへ向かった。
ぽたっ・・・・
彼の顔から水が垂れ、足元の雪が僅かに溶けた。
【ヘンリー
所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1
現在位置:東のほこら付近
行動方針:皆殺し(?)】
「大丈夫?ケガしてない?」
緑の髪の、女の人。…あたしの知らない人。
「動かないで。今、ケアルかけるから」
向こうで誰かが、あの人と戦ってる音がする。
女の人が何か言ってる。体が少し、楽になる。
「これで大丈夫ね。待ってて、今アレを倒してくるから」
……あの人を、倒す?
「ダメ!やめて!あの人は怪物なんかじゃない!あの人は…」
「わかってる。…顔見知りよ」
「だったらなんで!なんでそう簡単に殺すなんて言えるのよ!あの人は人間なんだよ!?」
「こんな事、簡単に言えるワケないでしょ!私だって、アルス君だってつらいんだから!!」
「だけど、あの人はまだ生きてる。何か助けられる方法があるはずよ!」
「私だって彼女を助けたい!だけど、方法なんかないじゃない!!」
「だけど…。こんなの、間違ってる」
「他に彼女を止める方法は無いの。だから、私達やらなくちゃいけない」
「…………」
「この選択が正解だなんて私も思ってないわ。でも、コレしか私達に選択肢がなかった。
どれが正解かなんて、後になってみないとわからない。ううん、正解なんて無いかもしれない。
だけどね、つらい選択肢しかなくても、それを選ばないのはやさしさじゃない。弱さよ。」
「…………」
「あなたがどうするにしても、誰にもあなたを責める権利なんてないわ。
彼女を助けようとしても、私達を止めようとしても、ここでじっと座っていても、
私はあなたを責めない。だから、自分が後悔するような事だけはしないで」
「…あの人、私を殺してって言ってた。私が私であるうちにって。
だけど、あたしは殺せなかった。自分が、あきらめる事を、知りたくなかったから。
でも、あの人の最後の願いをかなえてあげたい。それが、あの人の望んだ事だから」
「そう。…ごめんなさいね。これは私達の事なのに、あなたをまきこんでしまって」
「いいえ、これはあたしが決めたことだから。あたしがやらなきゃいけない事だから」
「てやぁーーー!!!」
無意識に気合の声が出る。アルスは真横に剣を振るい、脚を切り飛ばそうとする。
しかしあえなく鱗に阻まれ、硬い感触だけがアルスの手に残る。
コレに対しリュックは、羽は切られてしまったものの全身が硬い鱗に覆われており、
ダメージはくらってはいない。時折強烈な一打を受け止めた時、鱗ごと斬られたりしているが
すぐに新たな鱗が再生する。攻撃は脚を五本使い、後の三本で体を支える。
多方向からの巧みな攻撃は、しかしアルスの防御技術には及ばない。
一見互角のように見えるこの攻防は、アルスの方が圧倒的に不利だった。
硬い装甲、かなりの再生能力。アルスの攻撃はまず通じない。
もっと強力な攻撃ができるのであろうが、この隙の少ないこの攻撃が
一番有効なのを知っているのか、大技を使ってこない。もちろんこんな小技でも、
もし当たったりしたら戦闘不能は免れないだろう。
なにより、リュックの戦闘能力はアルスを上回ってはいたのだ。
しかし強烈な飢えと、この矮小な生物に対する侮りが、正常な思考を停止させていたのだ。
羽を再生して真空波を発生させれば、距離を取って大技を使うなりすれば既に決着はついていただろう。
そして、彼は失念していたのだ。自分の敵が、まだ二人残っている事。
そしてアルスの持っている天空の剣の力を。
(くそっ!攻撃が通用しない。魔法だって効いているようには……)
アルスは焦っていた。相手の攻撃をなんとかさばけているという状態なのにこちらの
攻撃が相手に通用しているようには見えない。
それにさっきティナの魔法に直撃していたはずなのに傷ついているようにも見えない。
効果的な攻撃方法が見つからないのだ。
(…なにか弱点があるはずだ。あきらめるな)
その時、何者かの声がアルスの頭の中に響き渡った。
『苦労しているようだな。お前の勇気に免じて、私が力を貸してやろう』
「だれだっ!?どこにいる!」
アルスは注意をそらしてしまい、相手の攻撃を捌ききれず、リュックの脚が肩をかすめる。
『油断するな。私はお前が持っている剣だ。』
アルスはなぜ剣が喋れるのかわからなかったが、今は目の前の相手に集中する事にした。
『それでいい。緑の髪の女が相手の背後から狙っている。一番脆い羽の付根だ。
女の剣は相手の体を貫くだろう。相手が仰け反ったら、私を相手の体に突き刺せ』
(それって、あんたの力じゃないような……)
『まず、相手の脚を数本斬り飛ばせ。私の力ならできるはずだ。』
(うわ、聞こえてた)
『そして最後に雷を落とせ。仕上げは赤毛の女がやってくれる。作戦は既に女の方には伝えてある』
(わかった。この攻撃を捌ききったらいくぞ)
「たぁーーーーーー!!」
最後の連続攻撃の後のわずかな隙をぬって、剣を脚に向かって振り下ろす。
なんども硬い鱗によって無効にされたその攻撃は、なんの手応えもなく脚を斬りとばす。
「グギャアアアアアアアアアアアア!!!!!」
初めて聞くリュックの叫び。怒りに目を燃やし、猛烈に攻撃を繰り出す。
しかし大振りな攻撃は、アルスにはかすりもしない。
攻撃を避ける動きを利用して、また一本脚を斬りとばす。
(すごいぞ!王者の剣にひけを取らない。それに、なんて軽いんだ!)
リュックの攻撃はなおも続いていたが、本数の少なくなった脚での攻撃は
先ほどまでの命中率は持っていなかった。天空の剣が再び煌き、三本目の脚が宙に舞った。
『やはり脚の再生に集中しているようだな。コレでは羽を再生する事など
思いつかないだろうな。次の脚を切り飛ばしたら、女が攻撃するはずだ』
「わかった。くらえ!!」
―――また宙に脚が舞い、今までで一番おおきな叫びが雪原に響き渡った。
『今だ!!私を突き刺せ!!!』
アルスはリュックの首に、深く剣を突き刺し、大きく間合を取る。
『魔法を!!!』
「ギガデイン!」「サンダガ!!」
魔を裁く雷帝の鉄槌が、体に刺さった二本の剣を伝い、リュックの体内をズタズタに切り裂く。
―――雷により炭化した体が崩れ去り、再び中から女性の姿が現れた。
「ごめんなさい。あたし、あなたを助ける方法を見つけられなかった。 だから、
せめてあたしがあなたの最後の願いをかなえてあげる。絶対、地獄へはいかせない!!」
「クリスタルに込められし風の記憶。天界への道を照らし、闇に墜ちし死者を導く者よ!」
「フェニックス!!」
―――女性は、その炎をまるで愛しい者の様に抱き、ゆっくりと炎の中へ消えていった。
「…終わった……のか?」
炎の消えたソコには、この激戦を思い出させるモノは残ってはいなかった。
……リュックの死体さえも。
ただ雪原に突き刺さった二本の剣と、主を無くして佇んでいる腕輪があるだけだった。
バーバラは彼女のいた所をみつめて、彼女の為だけに、そっと涙を流した。
「あなたはこれからどうするの?」
あれから数十分。それぞれ異なる祈りをリュックに捧げ、それぞれ出発の準備をした。
「あたしはここから北に行きます。そこに、あたしの探している人がいるから」
目を少し赤くしていたが、その言葉と目には強い意思が感じられた。
「そうか。ティナさん、ぼく達も同行しようかと思うんだけど……」
「ええ。今は一人でも多く仲間が欲しいしね。このゲームを脱出するためにも」
ティナはゲームという言葉に、激しい怒りと嫌悪感を込めて言った。
「あたしの方からもお願いします。魔力が無くなってるから、
あたしの方が迷惑かけちゃいそうですけど」
ただでさえ消費量の多い召喚獣を、慣れていないのに何度も使ったためバーバラの
魔力は枯渇しかかっていた。そして、精神的にも肉体的にも激しく疲労していた。
「元はといえばぼく達の責任だしね。つらい仕事を任せてしまってすまなかった」
「…あたしがやらなければいけない事だったんです。気にしないでください」
「…この腕輪、彼女のモノみたいね」
「…ティーダに渡してあげよう。彼女も彼にコレを持っていてもらいたいはずだから」
「この剣、急に喋らなくなったな。…電撃で壊れたかな?」
『失礼な。その必要がないだけだ』
(うわ、生きてた)「さっきは助かったよ」
『…。一つ頼みがある。私の主を探して欲しい』
「どんな人だ?」
『資格がある者なら、自ら私の所へ来るはずだ。お前は私を持っていればよい』
「わかったよ。恩人の頼みだしな」
『わたしは人ではない』
三つの人影が砂漠へと消えていった。この雪原の戦いの傷跡は、彼等の心の中にのみ残っている。
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
―――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルプリーストの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルプリーストの使い魔にして分身。生まれてまだ3日だが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性―――リュックが入っていた。
「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビプリの研究室 行動方針:なし 】
202 :
195:02/12/02 22:43 ID:???
かなりカン違いしてますた。
>>195無効にしてください。
ロンダルキアの洞窟。
長剣を背負った黒い長髪の青年─ザックスはそこに入るべきか否か迷っていた。
中には罠があるかもしれないし、最悪の場合魔物が巣食っているかもしれない。
ザックスはしばし思考した後、結論を出し、中へ入っていった。
(さ・て・と)彼は大きく伸びをした。
そして頭に二人の人物を思い浮かべていた。
黒い髪の活発そうな少女、そしてソルジャーになる前に多少の好意を寄せていた
あの少女。
(たしか、エアリスとティファって言ったな。二人とも昔オレと会ったことがあるはずだ・・・・)
しばらく真剣な顔をしていたザックスだがすぐにその顔が緩む。
(限られた人数しか選ばれないこのクソゲームで選ばれた三人の人間・・・
運命を感じるぜ!)
その二人のどちらがこの中にいる。そう直感した彼は中へ走って行った。
【ザックス
武器:バスタードソード
現在位置:ロンダルキアの洞窟
行動方針:非好戦的 エアリス・ティファの捜索】
>>201修正します。
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
―――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルマージの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの、子供の声のような独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルマージの使い魔にして分身。生まれてまだ3日しかたっていないが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性―――リュックが入っていた。
「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
205 :
1/4:02/12/03 17:05 ID:???
>>203の少し前。
荒い息遣い。その間隔が、段々早くなっていく。
薄くなった酸素が、マリベルの体力と思考力を削っていく。
「…マリベル、もういい。早くこんな岩、デカイ魔法でぶっとばしちまえよ!」
ラグナはたまりかねたように叫んだ。
――もし、彼女が大きな魔法を放てば、自分は確実に巻き込まれるだろうが。
だからといって、自分のために、マリベルまで死なせるわけにはいかない。
けれど、マリベルは首を降った。
「冗談じゃないわ……自分の責任ぐらい、自分でとってみせるわよ」
そう、ラグナをこんな目に会わせたのは、自分の油断と軽口が原因なのだから。
それこそ死んでも、ラグナを見捨てるわけにはいかないのだ。
だから、彼女は岩を砕くためのイオ、ラグナの体力を保たせるためのホイミを、
ただひたすら唱え続けている。
塞がれた出口。7人の人間。呪文による小さな、しかし幾度もの爆発。
酸素はゆっくりと、しかし着実に、洞窟の中から失われていく……
206 :
2/4:02/12/03 17:07 ID:???
「……うっ」
「え、エアリス!? 大丈夫ッスか?」
口元を押さえ、しゃがみ込んだエアリスに、ティーダが駆け寄る。その顔色は蒼白で、苦しそうだ。
良く見ると、ギルガメッシュも似たような症状を呈している。
ティーダが平気なのは、彼の身体を構成している幻光虫の力に他ならない。
普通の人間(?)である二人には、この薄い酸素はキツいしヤバイだろう。
「……くそっ、やっぱりさっきの音、落盤だったのか?
オレ、ちょっと行ってくるから、エアリスとオッサンはここで待っててくれ!」
それだけ言い残し、ティーダは走り出した。
道中、二人の男女がしゃがみ込んでいた。
声を掛けようとしたが、男性は尋常じゃない目で、ティーダを睨みつける。
もしこんな状況下でなければ、即座に襲いかかってきそうだ。
……だが、ティーダもわざわざ戦う気はない。
彼等を無視して、出口の方へと急ぐ。
その先で、ティーダは見た。
出口を塞ぐ岩の山、そして――
「マリベル!」
マランダで会った少女が、必死で呪文を紡いでいるのを。
「何やってるんスか! くそっ、オレがこんな岩、早くぶっ壊して…」
ティーダがいかづちの杖を拾い上げようとした時、マリベルが制止した。
「やめて……下に、人が、いるの……」
「!!」
慌てて、岩の下の隙間を覗く。そこには確かに、一人の男=ラグナの姿があった。
207 :
3/4:02/12/03 17:09 ID:???
恐ろしいほどのバランスで、偶然に生まれた隙間。
下手に衝撃を与えようものなら、男は岩に押しつぶされ、圧死してしまうだろう。
……だが、このままでは、洞窟内の7人全員が窒息死してしまう。
どうする? 悩むティーダに、ラグナが声をかけた。
「マリベルさ、首輪外す方法思いついたって……言ってたんだ……
オレはいいから、マリベルだけでも助けてやってくれ……」
ティーダは驚愕を隠せず、マリベルの方を見た。
そして再びラグナの方に向き直る。
「……それが本当なら、尚更見捨てらんないッスよ!
マリベル、オレが何とかするから、合図したらここの岩ぶっ飛ばしてくれ!」
マリベルが、信じていいの? とティーダを見る。
ティーダは自身たっぷりに頷いてみせ、そして――
「よし、今だ!」
「イオ!」
爆発が、ラグナの前の岩を砕き、吹き飛ばす。
それと同時に、ティーダは流星のようなスピードで、ラグナの腕をつかむ。
絶妙なバランスで支えられていた岩が、スローモーションのように崩れ始めるのと殆ど同時に。
ティーダは、ラグナの身体を勢いよく引きずり出していた。
「よっし、後は任せた!」
「……イオナズン!」
マリベルの言葉と共に、巨大な爆発が岩盤を吹き飛ばした。
208 :
4/4:02/12/03 17:17 ID:???
その後、3人は、外の――人に見つかりにくそうな場所に移動し、ラグナの治療を始めた。
両足が膝下からなくなり、おまけにイオで岩を吹き飛ばした時の影響か、頭から血が流れている。
……それでも、何とか一命を取りとめることはできそうだ。
マリベルの口からその言葉を聞いて、ティーダは内心ホッとしていた。
――スロウガで岩の崩れるスピードを抑え、
ヘイスガ&クイックトリックでラグナが押しつぶされるまえに引きずり出す――
とっさに考えたとはいえ、成功する確率は5割を余裕で切っていたはずだ。
あんな状況だったし、二人の手前、自信たっぷりに言ってみせたが……
本当は(失敗したらどうしよう)、と冷や汗でダラダラだった。
そんなこんなで、ティーダはすっかり忘れていた。
途中で見かけた男=スコールのことを。
置いてきたエアリスとギルガメッシュのことを。
そして、3人はついに気付かなかった。
吹き飛ばされた岩の下敷きになった、アーサーの死体に。
【マリベル/ラグナ(両膝から下を消失・重傷)/ティーダ
現在位置:ロンダルキア台地・洞窟の入り口近辺
所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/無し
行動方針:ラグナの治療・首輪を外してゲームを抜ける】
【エアリス/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟6階 行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
(アーサーの死体及び所持品は、吹き飛ばされた岩に覆い隠されました)
そろそろ橋が見えるころだ。
地図を眺めながらリバストは思う。
そのときは以後から何者家の気配を感じた。
…後ろから何者かやってくる。
…速い!
リバストが振り向くとそこには巨大な鳥…チョコボというが本人は知らない…に乗った男、オルテガがいた。
先ほどあった者…パパスのことだが…とはまた違った雰囲気を持つ男。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだが。」
「なんだ?」
オルテガはチョコボから降りながら言った。
「アルスと呼ばれていた青年を見なかったか?」
「いや、見ていないが。」
「…そうか、わざわざ呼び止めてすまなかった。」
「嘘をついているとは思わないのか?」
「あんたは嘘をつける男ではないと思うが。」
なるほど、この男も「勇者」であるのだろうな。リバストは確信した。
「…祠に行くんだが乗っていかないか?」
クエッ?とチョコボが言う。しばらくすると納得したような表情を見せる。二人乗りは大丈夫らしい。
「私は神殿に行くつもりなんだが…」
「アルスが祠にいなかったら神殿まで足を伸ばすつもりだ。行き先は同じだろう。ならば乗っていくがいい。」
「じゃあ、言葉に甘えさせてもらおうか。」
オルテガがチョコボに飛び乗る、リバストも乗る。
「じゃあ、行くぞ。」
歩くスピードの何倍もの速さでチョコボは平原を駆けていった。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:平原北 行動方針:祠へ】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:平原北 行動方針:神殿へ】
チョコボが一匹ともにいます。
慟哭が響いて行く、笛を握り締め、死体すら残さずに消えた仲間の為に、若僧の慟哭がただ響いて行く。
「親友だったのだな?」
頷く若僧。
「仲間は残っているのか?」
「…ああ」
ふむ、引き込めるやもしれんな。
「で、どうするのだ?」
「え…?」
返答に窮している様だな。
「我々と共にゲームを抜けるのか、残った仲間も切り捨てて生き残るのか、そう聞いている。」
他の道も無い訳では無いのだが、そんな余計なことは言わん。
「本当に他の道があったらそっちに乗るんだな?」
「無論。」
ゲームをぶち壊しに出来るのなら文句は無い、そんな方法があればの話だがな。
「仲間も一緒に脱出できるのか?」
「可能だ。」
その時まで生き残っていれば、な。
「わしはハーゴン、こっちがマゴット、貴様はなんと言うのだ、若僧。」
「……ジダン。」
……ククク、クククククククッ
【ビビ 死亡】
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路
行動方針:ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失)
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
南西の森──
ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたが導師とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。
「……そっかあ。」
ティファはため息をついた。
「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
デッシュはティファの方に視線を向ける。
「へ?」
「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」
デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。
「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
「さっすが、デッシュ!!」
導師は感心する。
「おだてても何もでんぞ。少年。」
「少年ってのやめてよ。僕にはちゃんとした名前があるんだから」
「ああ、わかったわかった。少年。」
「……。」
ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』
導師は真剣な顔に戻すとティファに向かいこう言った。
「ところで、ティファさんに相談があるんです。」
というと、導師は首輪についての説明をティファに始めた。
「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、導師の耳元で囁く。
「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
導師は2人に向かっていう。
「とりあえず、僕の話を聞いて」
そしてまた、導師は一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。
「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をするんだけど、さっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれない、
だから僕とデッシュだとこの先、研究できるかどうか不安があるんだ。
だから、僕達に女性としての知恵を貸して欲しい。そして時には……その、ぼく達を守って欲しいんだ。
そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げよう。」
デッシュが口を挟む。
「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
「な、なんで?」
「理由はわからないんだけど。」
「ちっ、ゾーマのやつめ!!」
デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。
導師は続ける。
「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれない。
だから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思う。」
「なるほどな……。主催者側からも狙われるかも知れないが、俺からもお願いする。」
「お願いします。」
2人は頭を下げ、ティファの反応を窺う。
「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』
「「ありがとう!」」
2人は声を合わせて喜んだ。
213 :
1:02/12/07 18:20 ID:???
ソロはまだフライヤの見せた動きが信じられなかった。
完全に捉えていたのだ。
剣を振り下ろせば体を真っ二つにした死体のできあがり、のはずだった。
あんな速度で動く魔物など見たことない。
(負けるわけがない、負けるはずがないんだ)
落ち着きを取り戻さなければならない。
ゆっくり息を吸い込んで、一気に吐き出す。 繰り返すこと数回。
フライヤを見据える。まるで肩一つ揺れていない。厚い毛に覆われた顔から鋭い視線を感じる。
(くっ……)
フライヤの恐ろしいほどの冷静さを前にソロは再び動揺した。それを見透かせられまいと、己を鼓舞する
ために声を上げる。
「僕は世界で唯一人の勇者だ! 僕だけが特別なんだ。 シンシアたちは僕が勇者だと
信じて死んでいったんだ!」
剣を握る手に汗が滲む。
ソロの体は燃え上がる程の気迫で包まれた。周りの空気もそれに呼応するかのように熱くなる。
「えええいっ!」
肌を突き刺すような殺気がソロの全身からほとばしる。 そばで見ていたピエールは圧倒された。
フライヤは飽くまでもその殺気を冷静に受け流す――
ソロが全速で駆ける。 魔物めえ、今度こそ!! 剣を握る手に一層力を込めた。
喉元を狙った必殺の突き。
だがフライヤは退がらず、前に出た!
(なっ、右でも左でもなく…)
一瞬の躊躇。 突然フライヤが目の前から消えた。冷たいものが足元に滑り込んでくるような感覚を覚える。
その瞬間、腹が爆発したかのように熱くなった。
「がはっ……」
姿が消えたように見えたのは下に潜り込んだため。
フライヤの拳がソロの腹にめり込んでいた。
214 :
2:02/12/07 18:21 ID:???
猛烈に熱いものが喉をつきあげてくる。
めり込んだ拳がまだ離れない。 剣を振るおうにも力が入らない。
どん、と空いた手でフライヤがおもいっきりソロを突き飛ばす。
「うげえっ!」ソロは胃の内容物を吐き散らしながら後方に転がっていった。
「勝負あった……」
ソロが倒れたまま動かないのを見て、ピエールはフライヤのもとへ駆け寄る。
「あまりに殺気を出しすぎるから、こちらもつい力が入ってしまった……」
フライヤは少し後悔した。まだソロは腹を押さえて呻いている。
「彼はどうします?」
「細かい事情はわからぬが……何やら自分に不満があって暴走しているのではないか」
フライヤは先程の戦いでソロが洩らした言葉だけで、彼のことがわかったような気がしていた。
「放っておくのは危険じゃ。今度こそ誰かを、いや既に人を殺めているやもしれぬ。
この場で息の根を止めておく」
それを聞いてピエールの顔が一瞬険しくなる。
「と言いたいところじゃが、それでは私も同じになってしまう。 武器を取り上げておけばよいじゃろ
それに、よく見ればまだ子供じゃ」
ピエールはほっとしたように、
「承知しました。やはり貴女は勇猛なだけの方ではなかった……」
ピエールは片膝をついて(スライムの上で)、王族に挨拶するが如くうやうやしく礼をした。
「フライヤ様、このピエール、御身の為に命を懸ける所存であります」
「ど、どうしたのだ、ピエール殿」
フライヤは目を丸くして驚いた。 冗談で言っているようには見えない。
「ピエール殿、頭を上げるのじゃ。その、ジタンたちはどうしたか」
しどろもどろになっていると、突然動物のような唸り声が耳を打った。
ハッとなって身構えた。 ピエールもたちまち警戒の姿勢を見せる。
声の主はソロだとすぐにわかった。 獲物を狙う野獣のような視線が二人に向けられた。
215 :
3:02/12/07 18:22 ID:???
「魔物ども…怪物どもめ! どうしてさっさと殺さない。 僕を生かしておいたことを後悔させてやる」
全身を自分の吐いた汚物に塗れながら、ソロは血走った目で威嚇する。
その姿こそまさに怪物そのものなのだが。
「まだやる気か」
ソロはエンハンスソードを持とうとすらせず、ただ体をぶるぶると震わせている。
凄まじい殺気は前と変わらない。 だが今度はフライヤも冷静ではいられなかった。
体にのしかかる圧迫感。 全身の毛が逆立つ感覚はこの男におぞ気を感じるから…?
いや、重力に逆らい直立する毛並みは現実のもの! フライヤは天を見上げた。考えられるのは一つ。
「ピエール殿、珊瑚の剣を私に!」
フライヤは飛翔した。逃げるのではなく受け止めるために。
ソロの慢心を打ち砕くために。
ピエールはフライヤのやることに間違いはないと確信していた。だからこそ躊躇いなく自分の剣を投げ渡す。
空中で受け取った珊瑚の剣はフライヤの意図によって逆手で握られ、ある構えを作り出した。
「ライデイーンッ!」
ソロは喉が千切れるほどの声で叫んだ。空に立ち込める暗雲にたちまち雷が走る。
「黒コゲになって落ちろおっ!」
轟音が域内に響き渡る。稲妻はフライヤの腕部を直撃した。 ――確かにそう見えた。
「……!?」
勝ち誇った表情のソロの目に驚愕の映像が飛び込んでくる。 認めるはずのない現実。
雷神がフライヤに味方した。 電流を帯びた珊瑚の剣は雷神の息吹に姿を変えていた。
そのまま逆手に構えた珊瑚の剣を全力で前に振り出せば、完成。
ライデインストラッシュ。
216 :
4:02/12/07 18:23 ID:???
「終わりじゃ。行こう、ピエール殿」
フライヤは背を向けてさっさと歩き始めた。
「フ、フライヤ殿、終わりとはどういうことですか?」
ピエールはソロが棒きれのように突っ立っているのを見た。
「あとは自分自身の問題じゃ」
フライヤは立ち止まらなかった。
後ろの方で、なぎ倒された樹木がぶすぶすと燻っている。
髪にべっとりと付着した汚物の甘酸っぱい臭いが鼻をつく。
その不快感を堪えながら、ソロは叫んだ。
「僕は、勇者なんだ! 世界でたった一人の……ううっ、勇者なんだ」
自分が何者であるか確かめるように叫ぶ。 その目に涙を浮かべて。
「でも、今は……」
ソロは血で汚れたエンハンスソードを曇る目で見つめた。
自分を見失った代償はあまりにも大きかった。
【フライヤ、ピエール 行動方針:ジタンたちを探す 所持武器:エストック、珊瑚の剣
ソロ 行動方針:なし 所持武器:スーツケース核爆弾、エンハンスソード 現在位置:ロンダルキア南】
祠から飛び出した陰が二つ。
バッツとクーパーである。
西の橋を抜けて北の森へ───
最初の橋を抜けたところでとある女性とすれ違う。
思わずバッツが振り返るほど美しい、ミレーユである。
神秘的は魅力をもつ彼女に思わず足を止めたが、すぐに再び駆け出した。
二人はミレーユを美しい、としか認識しなかったが、彼女がすでに死んでしまっている探し人の場所を知っているということを二人は知らない。
どうやって知ることができようか。
片や、ミレーユ。
今すれ違ったバッツが占いに出ていた人たちの探し求める相手であることは知らない。
彼女の占いではそこまで詳しいことは見えなかったのである。
そして、今はすれ違った相手に気をかける余裕なんてなかった。
とにかく、走り抜けていた。
アモスの守ろうとした友を彼に代わって守るために。
求めるところは同じでも、どこか、すれ違っていた。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの西の橋から北へ
行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ロンダルキアの西の橋から南へ 東部の森へと向かう 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
支援サゲ
219 :
1/3:02/12/14 23:49 ID:aHyrUvLj
バッツとクーパーが祠を出てから、もう二時間がたとうとしていた。
辺りは木が鬱蒼と生い茂っており、雪原のように雪が白く輝くこともない。
ただただ肌寒く、昼だというのに森の中はひどく暗かった。
それが関係しているのかはわからないが、
この間彼らに会話がなされることはほとんどなかった。
といって、二人の仲が拗れたわけではない。
短い時間とはいえこの異常な状態の中で共に暮らしていた二人は、既に沈黙なが苦になるような間柄ではなかった。
もっとも、時が経つに連れてバッツの顔が少しずつ険しくなっていくものだから、クーパーとしても話し掛けづらかったのかもしれない。
しかし北の森の中央部のあたりで、バッツは急に立ち止まったかと思うと空を仰いで言った。
「なあクーパー、俺、思うんだ」
なんの脈絡もない話にクーパーは目をぱちくりとさせたが、構わずに続けた。
「実は全部悪い夢なんじゃないかって」
バッツはクーパーの方へと向き直った。
「ほんとは、俺は今頃森の中で野宿してるんだ。
タイクーンにいって、レナやファリスたちと会うために。
そしてさ、着いたら、みんなと笑って最近のことを話すんだ。
クルルは相変わらずガキで。レナはしっかりしてるけど、でもどこか抜けてて。
ファリスは全然王女って柄じゃなくて、それを俺がからかうと怒るんだよ。
そのくせ、王女なんて嫌だっていうんだよな。
うん、それで、田舎には幼馴染みのあいつらがいて、暖かく俺のことを迎えてくれる。
おやじたちの墓参りをしたあと、ボコと、またどこか旅にいく…」
そこまで一気に話すと、バッツは俯いて、
それを見やりながら、クーパーも口を開いた。
名前を聞いても誰かはわからなかったが、それがバッツにとってどういう存在なのかはわかる。
「僕も、同じようなこと考えたよ。でも…」
クーパーは須臾躊躇ったが、はっきりといった。
「これはやっぱり、夢じゃないよ」