FFDQバトルロワイアル PART3

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169バーバラ
バーバラは今、神殿南東も雪原を歩いていた。
足取りは決して速くはないが、その目には色濃く意思の光が満ちていた。
吐く息は白く、薄い空気が体を蝕む。しかし彼女は歩く事をやめない。
「…見えた。あの砂漠まで着ければ……」
視線の先、雪原の果てにうっすらと黄色の砂が見える。
それと同時に、なにか黒い影がこちらに飛んでくるのがみえた。

砂漠から飛来した黒い影は次第に大きさを増し、今ではその羽をも確認できる。
人の背中に羽が生えたようなフォルム。そしてその羽が一瞬ブレて―――
「!!!  きゃあ!」
間一髪バーバラは真横に飛び退く。風の刃が、さっきまでいた場所を薙ぎ払う。
「これは……真空波!?」

黒い影はなおも真空波を生み出し、バーバラに向かって解き放つ。
しかし、バーバラはそのことごとくを避けきっていた。
「…大丈夫。雪のおかげで軌道が読める。」
新たに放たれた二つの真空波を見切って避ける。
「…私、戦う。死んじゃ、いけないから。約束、守らないと、いけないから…!」
バーバラはこのゲームが始まってから初めて攻撃のための呪文を紡いだ。

「……アルス君、反応があったわ」
「そうなんですか!?方角は?」
「ここから北西、人数は一人ずつ、二人よ。名前はバーバラと、…リュックさん」
アルスは近くの雪丘に登り、その方角を見る。
「……!!  ティナさん、二人が戦ってるみたいです!あの怪物は…やっぱり……」
「……どうするの?アルス君…」
「リュックさんを…殺しに行きます。たとえ、どんな結果になっても」
アルスの意思は、固かった。誰にも曲げられないくらい。
「…わかったわ、私も行く。行きましょ、手遅れにならないうちに」
170バーバラ:02/11/30 13:12 ID:???
「行け!バギマ!!」
真空の渦が、リュックの直前に発生する。進行を止め、目をくらますため。
風が雪を巻き上げる。バーバラはソコに向かって呪文を放った。
「くらえ!べギラゴン!!」
両手に生み出された熱線が対象の周囲を燃やす。雪がソレを反射し、対象を閉じこめる。
突然、対象を中心に風が巻き起こる。ソレが収まったとき、ソコにはモンスターが現れていた。

「…え?こんな怪物、参加者にはいなかったじゃない!?」
8本の足、黒い羽、黒い鱗、蜘蛛を思わせるフォルム、かなりの巨体。
こんなのが最初の広間にいて、気付かないはずが無い。
バーバラの叫びの答えのかわりに、ソレの羽が振動した。
「キャア―――――!!」
バーバラは真空波にあたり、雪原に吹き飛ばされた。

「くっ、風で相殺しなかったらやばかったわね」
アレが真空波を放った直後、バーバラはとっさにバギを唱えていたのだ。
「大丈夫、外傷はないわ。でも、あんな怪物どうやって」
距離が離れたためアレの出す真空波は避けれるようにはなったが、近づけない。
「とりあえず、あの羽をなんとかしないと……」
アレは今同じ技しかやってこないが、もし別のパターンに切り替えたら……

「とりあえず、マヌーサ!!」
怪しい霧がリュックを包む。効いているならあたりを無茶苦茶に攻撃するはずだ。
しかし真空波は確実にバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「次は、ラリホー!!」
甘い空気がリュックを包む。効いているなら眠ってしまうはずだ。
しかし真空波は絶えずバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「これなら、メダパニ!!」
奇妙な物がリュックを包む。効いているならワケのわかんない事をするはずだ。
しかし真空波は(略
「状態変化呪文は効かないってワケね。方針を変えたほうが良さそうね」
171バーバラ:02/11/30 13:12 ID:???
リュックには呪文は効いていなかったが、中では少しだけ本来のリュックが目を覚ましていた。
(やめて、あたし、こんなことしたくない)
心の叫びは、体に届かない。そして再び意識が闇に落ちていった。

「くっ、あと使ってない魔法は…」
べギラゴンは効かない。中級魔法も多分効かないだろう。それなら大魔法クラスになるのだが…。
「こんな事なら、スーパースターより先に賢者をマスターしとくんだったわね」
後悔しても始まらない。ストックは3つ。いなづま、フェニックス、そして……
「…マダンテ…か。」

(コレを使ったら、あたしはナニもできなくなる。でも、使うべき呪文はコレじゃない。
 北に行かなきゃならないから。『北西に行ったら良くない事が起こる』
 だから、コレは良くない事じゃない。絶対、打開策はあるはず。だよね?お姉ちゃん)
「…よし。たぶんコレがあたしにできる精一杯。いくわよ!化け物!!」
そして、バーバラはリュックに向かって走り出した。

「せーの、みかわしきゃく!」
流れるようなステップを踏み、迫りくる真空波を避ける。
「いくわよ、まぶしいひかり!」
接近してくるバーバラを見ていたリュックの目は、その光に直撃して機能を失った。
「いけ!いなずま!!」
天空より墜ちし稲妻の剣がリュックの体を貫く。リュックは耐えきれず叫びを上げた。
バーバラはその叫びを聞きながら、最後の呪文を紡ぐ。

「クリスタルにこめられし炎の記憶。断罪の名をもつ汝の翼をもって魔を焼き尽くせ!!」

「フェニックス!!!」
―――死の大地に不死鳥が舞い、紅蓮の炎がリュックの体をつつみこんだ。
172バーバラ:02/11/30 13:13 ID:???
「ハア、ハア、、、、やったの?」
猛烈な脱力感と喪失感に体を蝕まれながらも、バーバラは目の前の火柱を見つめていた。
火柱の中で黒い影はのたうちまわり、次第にその動きも鈍ってくる。
そしてその骸が剥がれ落ち、中から一人の女性の姿が生まれた。

「…どうして?なぜ……?」
「おねがい、わたしを、、ころして、、、、、、
 もう、おさえきれない、、わたしが、きえちゃう、、、
 いまなら、わたしを、、ころせる、、、おねがい、、はやく、、、」
「ダメ…できないよ。だって、あなたは、まだ生きてる」
さっきは殺してしまう気持ちでいた。でも、相手が人間だったのなら話しは違う。
「…もう、わたしじゃないの、もう、わたしは、もどれない、、
 もっと、はやく、、ころされるべきだった、、
 わたしが、わたしであるうちに、、おねがい、、」 

「だめ、なにか方法があるはず。あきらめたら……」
「じかんが、、ないの、、、あいつは、まだ、しんでない、、、
 あいつが、、めをさます、、まえに、、、はやく、、、!!!」
「だめ、あたしにはできない!!」
「もう、、だめ、、あいつが、、、」
そして再び、リュックの体が黒い鱗で覆われた。
173バーバラ:02/11/30 13:14 ID:???
「グウウウ、、オマエ、、、クワセロォ!!!」
「きゃあーーー!!」
リュックの体当たりに、バーバラは大きく吹っ飛ばされた。
「くう、…お姉ちゃん、あたし、どうしたらいいの?」
リュックは空に浮かび、物凄いスピードでこちらに向かってくる。

そのとき、黒髪の剣士の斬撃がリュックの羽を切り飛ばし、
巨大な火球がリュックを雪の中に叩きこんだ。


【リュック(ハラぺコ・重傷):所持武器:進化の秘法 現在位置:台地中央砂漠から南 
 行動方針:御食事 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 
 行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核 
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】