FFDQバトルロワイアル PART3

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セシルが今立っているのは闇の中、時折蝋燭の炎に似た灯が通り過ぎる以外、
何の光も存在しない。
そしてその炎が照らすものは、見渡す限りの無数の屍の山だった。
そこにはカインがいた、リディアがいた、テラが、エッジが、ギルバートが.......
皆、無念の表情で息絶えている。
しかしセシルは構わず進んでいく、彼らの屍を踏みしめて......

やがてセシルの目の前に1人の女性が姿を現す、彼女はまだ生きているようだ。
それを見たセシルの瞳に初めて表情のようなものが浮かぶ、
「ローザ!.....良かった、戻ってきてくれたんだね」
しかし、ローザはセシルを拒絶するかのように怒りと悲しみの表情で弓を構える。
セシルにはそれも分かっていたようだ、両手を広げ、自らの心臓を射手へと晒す。

「いいんだよ、だけど君だけは生きて、僕が奪った命の分まで」
そしてローザの矢をその心臓に受け、セシルもまた無数の屍の中へと落ちていった。


「......夢か」
セシルが目を開けるとそこは一面の雪化粧で覆われた森の中だった。
目覚めると同時にカインの嘆きにも似た叫びが頭の中に甦ってくる。
だが、その叫びをもってしてもセシルの心は動く事はなかった。

彼には罪の意識と悲しみは存在すれど、もはや迷いは存在しない、
自分にとって唯一無二の輝ける太陽を再び甦らせるため、
永遠の夜にその身を堕とそうとする、悲しき騎士の姿がそこにはあった。

ただ一言、
「ごめん.....」
と口の中で呟き、彼はまた新たな戦いを求め白銀の世界へと踏み出していった。