FFDQバトルロワイアル PART3

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━━━━━説明━━━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?というテーマで、
主にsage進行で進められている、全員参加型リレー小説スレッドです。
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。
レス内容に「ものいい」のレスが付けば、当該レス者同士を含めての雑談スレへの移動となり、
判定が行われます。ストーリー以外のレスは雑談スレで行われます。
前スレ DQ・FF連盟、バトロワ参戦!! PART2
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1035241545/
FFDQバトルロワイアル感想・雑談・討論用スレ 2
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1035812242/

説明は>>2-10…に収まらないんだろなぁ。とりあえず目標で。

過去スレ。
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1030688114/ PART1
2か?
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出時に現れる『階段』を二時間以内に降りなかった場合も、爆発する。

+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。
※現在の禁止技:
 復活系の魔法・特技。
 ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン、ラナルータ。

+戦場となる舞台について+
このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台はFF6帝国領→ロンダルキア台地への移り変わりの時期。

現在、「旅の扉」は
「マランダの街」「ベクタ城内」「ツェンの街」「アルブルグの街」「封魔壁監視所跡地」「大陸西部砂漠」の六ヶ所に存在してます。
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます
6スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:00 ID:???
次マップ ロンダルキア台地に完全に移動済みのキャラクター。
【エリア/ファリス(瀕死状態) ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置/食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7
小型のミスリルシールド 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:レナを含むクリスタルの戦士との合流およびファリスの治療】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:新フィールドへ 行動方針:全員殺す】
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 現在位置:新天地へ 行動方針:物見遊山】
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:新フィールドへ 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【ジタン/フライヤ/ピエール/ビビ 所持武器:仕込み杖/エストック/珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾石×10 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
(全員大火傷の可能性あり)
【エドガー 武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可) 現在位置:新フィールドへ 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタの城の中の旅の扉から新天地へ 行動方針:今のところ無し】
【マリベル:所持武器:いかづちの杖、エルフィンボウ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明(軽いバーサク状態、時間と共に回復)】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:新フィールド 行動方針:セシルを止める
7hayato:02/11/21 21:01 ID:qAyfIgK8
ff10の攻略スレッド教えてください おねがいします
8スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:01 ID:???
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ティーダ/エアリス/ギルガメッシュ/ 所持武器:無し/癒しの杖/無し/ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【ラグナ 所持武器:? 現在位置:旅の扉  行動方針:スコールを探す】
【ザックス 武器:バスタードソード 現在位置:封魔壁監視所跡地から新天地へ 行動方針:非好戦的 女性にはやさしく。】
【アーサー 所持武器:ひのきの棒 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【エッジ:所持武器:忍者ロング 現在位置:新フィールドへ 行動方針:仲間(リディアたち)を探す】
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:仲間を探す】
【ライアン/ルーキー 所持武器 フライパン×2/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:旅の扉 行動方針 次のフィールドへ ホイミンを説得する】
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:旅の扉
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う 次のフィールドへ】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 現在位置:旅の扉
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
【ティファ(負傷) 装備品 無し 現在位置 新フィールドへ 行動方針 クラウドたちを探す/傷の治療】

【ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:?】  

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット ダイヤソード 
 なべのふた 現在位置:新フィールドへ 行動方針:ゲームにのる】
(崖から落ちた際のケガはカスリ傷程度です)
9スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:01 ID:???
旅の扉にて移動したかどうか定かじゃないキャラクター。2名。飛び込んだかどうかは書き手の判断にて…

【セリス 所持武器:ロトの剣 現在位置:マランダ近郊の森 行動方針:錯乱(とにかく新フィールドへ)】
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ベクタから旅の扉へ 行動方針:占いで見た三人に会う(ロック、ファリス、エリア)】
10スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:05 ID:???
【モニカ/アーロン:所持武器:無し/鋼の剣 現在位置:大陸西端の岩山北側  行動方針:西の砂漠へ】  
【メルビン/ガウ 現在位置:大陸西端の岩山北側 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 行動方針 西の砂漠へ ホフマンの仇をうつ】
【デッシュ 所持道具:ミネアの首輪 現在位置:封魔壁洞窟への橋 行動方針:エドガーと合流と首輪の解除】
(橋は崩壊寸前、橋を渡ろうとしている。)
【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能) 現在位置:アルブルグ 行動方針:腕輪を探す】
【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】
【ピピン(気絶&負傷)/エーコ(睡眠) 所持武器:無し
 現在位置:アルブルクの近郊 行動方針:不明】
【バッツ:魔法剣士 時魔法(睡眠)/王子クーパー/リディア(幼児化・記憶退行)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし 現在位置:アルブルクの町近郊
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し/セシルを捜す?】
【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋 行動方針 次の世界へ移動】
【ホイミン(強化・魔法耐性を確認) 所持武器:なし
 現在位置:ツェン 行動方針 ハーゴン達を殺す。】(ライアンが死んだと思ってます)
【ハーゴン(数日中に呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌、裁きの杖 
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】

放送後の様子が描かれたがまだ移動してないキャラクター。
11スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:07 ID:???
残りは放送後の動向が描かれてないキャラクター。16名だと思うが。
【セーラ(睡眠) 所持武器:ブレイズガン 現在位置:マランダのチョコボ屋物置 行動方針:特に無し】
【リュック(魔獣化制御・身体能力上昇):所持武器:進化の秘法 現在位置:アルブルグ北の岩山 行動方針:仲間と会う 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる)
【アリーナ/王女アニー 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/マンゴージュ 現在位置:ベクタ南側の森の奥 行動方針:アニーを託せる人物を探す ソロを止める(倒してでも)/両親探し。クーパーも探す】
【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルグの街外れ 行動方針:人形状態?】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:アルブルグの街外れ 行動方針:スコールと行動する】
【バーバラ/レナ:シーフ 所持武器:果物ナイフ/メイジマッシャー 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:仲間の捜索/ファリスの捜索】
【導士 所持武器:天罰の杖 現在位置:封魔壁監視所方面へ 行動方針:化け物から逃げる(逃げ切ったら身を隠す)。戦闘は避ける。】
【アルス/ティナ:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 現在位置:大陸西端の岩山東側 行動方針:仲間を探す 】
(ブロードソードは現在不明、探せば見つかるかも)
【テリー 所持武器:チキンナイフ 現在位置:ベクタ・魔導研究所 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 雨が降り終るまで武器の調達、休息】

以上で生存者全員と思う。
12スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:10 ID:???
次マップ案内。
ttp://xb_lim.tripod.co.jp/dq/2rondarukia.png
西の城 ハーゴン神殿
東の祠 ロンダルキアの祠
南の洞窟 ロンダルキアへの洞窟

詳しい情報については追々。
131/2:02/11/21 21:19 ID:???
「どうしよう……」
アルブルクの街並みをやたらと遠くに感じながら、クーパーはため息をついた。
熟睡中で、蹴っても叩いても起きないバッツ。過労で倒れて気絶中のピピン。
エーコが起きてくれたのは不幸中の幸いだが――子供三人で大人二人を引っ張り、
時間中に旅の扉に辿りつけというのは、いくらなんでもキビし過ぎる。
おまけに、エーコの話だと、あのデスピサロが町にいるかもしれないというではないか。
もし戦闘になれば、今の状態じゃ勝ち目があるとは思えない。
悩むクーパー……そんな彼の後ろ姿を見ながら、リディアとエーコはこそこそ話し合う。

(あのね、エーコちゃん……(ひそひそ)
(本当? 実はね……(こそこそ)
(それじゃあ……(ひそひそ)
(うん、大丈夫だと思う……(こそこそ)
二人は互いに微笑み合うと、クーパーに話しかけた。
「わたし(エーコ)たちにまかせてちょうだい!」
142/2:02/11/21 21:19 ID:???
アルブルクの町。
デスピサロと女魔法使い――サマンサが、クーパー達のすぐ傍を通りすぎていく。
(すごいね)
二人の後姿を見送りながら、クーパーはエーコにそっと耳打ちした。
(まぁ、このエーコ様にかかればこんなものよ♪)
得意げに胸を張る。……その姿は、まるで小人のようにちっちゃい。
エーコが使ったのは、ミニマムの魔法。
最初はバッツとピピンだけを小人化し――小人状態なら、子供3人でも十分運べる――、
町に入ってから、全員で小さくなった。
流石に歩くスピードは遅くなるが、エーコはヘイストも知っている。併用すれば問題ナシだ。
後は気付かれないように、物陰に隠れながらそっと進んでいくだけ。
(旅の扉は見つかった?)
(うん。そこを曲がって、すぐみたい)
サイトロで辺りの様子を探っていたリディアが答えた。
(よし、行こう!)
角を曲がってから、エーコがミニマムを解除する。
その気配にデスピサロが気付き、イオナズンを唱え始めたが、
呪文が完成する前に、クーパー達はは旅の扉の中へと姿を消していた。

【クーパー/バッツ(睡眠)/リディア/エーコ/ピピン(気絶)
 所持武器:天空の盾、ロングソード/ブレイブブレイド/なし/なし/なし
 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:とりあえずアリーナ(アニー)を探す/両親探し/セシルを探す?/仲間探し】
【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能)
 現在位置:アルブルグの町 行動方針:腕輪を探す】
15スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:30 ID:???
次マップ案内。DQ2知らない人でもある程度はわかるように。
ttp://xb_lim.tripod.co.jp/dq/2rondarukia.png
西の城 ハーゴン神殿 7階構成。1回には玉座などがある。7階には神殿。
東の祠 ロンダルキアの祠 平屋建て、DQ2にはここが最後のセーブ地点、回復所。旅の扉はバトルロワイアルでは存在しない方向で(ロンダルキア外に通じているため)
南の洞窟 ロンダルキアへの洞窟 地下一階〜六階構成。洞窟の入り口は6階に通じている。ロンダルキア外にでてしまうため1階の出入り口は封鎖?落とし穴多数。無限ループもある。
「ふふ....してやられたな」
「はい、あのような魔法があるとは」
デスピサロとサマンサは苦笑しながら扉へと向かっていく、
その口調には悔しさよりも感心の響きがあった。
仮にも魔王であるデスピサロと一流の魔法使いであるサマンサ、
その2人がまんまと子供3人にしてやられたのである、これを感心しないでいられるか。

と、デスピサロは時計をみる、残り時間はあと45分だ。
「さて、我々も行くか」
もう少し粘っていたい気持ちを押さえて、二人は扉へと入っていった。

【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能)
 現在位置:新フィールドへ 行動方針:腕輪を探す】
17オルテガ(ノーマル)1/2:02/11/22 02:11 ID:???
チョコボに跨った一つの影。オルテガである。
覆面はつけてない。イッてはないようだ。先ほどの空白の時間、自分が何をしてたかいまだに思い出せないがいいことにしよう。
今現在、何とか思い出せた記憶でここまでたどり着けたのだから。

マランダの町についたのはほぼ30分後。それも目の前に旅の扉があるときた。
予想的中。ピッタリ。今の自分ならモンスター闘技場でも百発百中ではないか。
わははと笑う。
辺りを見回す。
…人の影は見えない。
この付近の建物などから全く人の気配がしない。
「ここにいた者はすでに移動済みか。」
多少、焦げ臭い。
「戦闘があったようだな。」
砕け散った剣がある。鈍らだったんだろう。鋭さが感じられない。
「こんな鈍ら剣を掴まされた者は不運だったようだな。」
カッコがつかなかった、というなら不運なのかもしれない。
18オルテガ(ノーマル)2/2:02/11/22 02:14 ID:???
──ここで息子を待つか?
そう思ったが、やはりやめた。
息子のことだ。無事に違いない。
魔王クラスが束になってかからない限りやられはしまい…
よいこらしょっと、と声をかけてチョコボから降りる。…やはり自分も年かもしれん。
やれやれと溜息をつく。
「世話になったな。」
チョコボがクェー…とさびしそうな声を上げる。くちばしをなでてやる。
「ここまでだ。この先まで付き合う必要はない。」
切なげな瞳をオルテガに向ける。
オルテガは踵を返し、旅の扉へと入る。
寂しさをこらえきれないチョコボがオルテガを追いかけて旅の扉に飛び込んだ。
オルテガがそれに気づいたのはすでに旅の扉へと身を躍らせていた。そのときであった。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:旅の扉 行動方針:アルスとの合流(ただしイッちゃったらこの限りではない)】
(チョコボが一羽、次のフィールドに迷い込みました。オルテガと共にいます。)
19メルビンとか:02/11/22 17:55 ID:???
「…ふむ。ここから北北東に500Mといったところでござるな。」
制限時間まであと30分、メルビン一行は砂漠の入り口まで来ていた。
「見えるのか?」
少々困惑した表情でアーロンが問い掛ける。
端からみれば手をかざしていくつモノ砂丘を見ているようにしか見えない。
しかし、メルビンの視点は高く青空に飛び砂漠を見下ろしている。
「昔、船乗りやってたでござるから。その時覚えたんでござる」
ホントに芸達者なじいさんだとモニカとアーロンは思っただろう。
「ほかに来ている奴はいるのか?」
「いや、ここに来たのはワシらだけのようでござる。足跡もないでござるし」
「やっぱりみなさん町のほうに行ってしまったでしょうか?」
「だろうな」
「大丈夫でしょうか。あのリュックさんと、ソロ…っていう人に……」
「あいつらはそんなにヤワじゃない。…アイツは泣いているかもしれんがな」
そのアイツというのはティーダの事なのだと、アーロンの微かに歪んだ唇から
モニカは理解した。短いつきあいだが、そのくらいわかる。
「ガウガウ〜!」
ふと声の方を向くと、すでにメルビン達は砂丘を登りきっていた。
「ここから扉がみえるでござるよ〜」
アーロン達は互いに苦笑いをみせ、砂丘を登り始めた。
20メルビンとか:02/11/22 17:55 ID:???
「ほう、さすがだな」
アーロンがめずらしく感嘆の声をあげた。
砂丘の上から見える扉の位置と距離はほぼぴったりだった。
「…アーロンさん。…もうおろしてくれませんか?」
アーロンにだっこされているモニカが顔を赤らめて言った。
「ほう、あそこまで転ばずに行けるのか?お姫サン」
「もう、アーロンさんのバカ」
砂丘を登るのに何度も転んだのが恥ずかしいのか、からかわれて恥ずかしいのかわからなかったが。
「それならワシがおんぶするでござる」
「結構です」
「さみしいのぅ」
鼻の下をのばしているメルビンを一蹴して、モニカはひしとアーロンに抱きついた。
21メルビンとか:02/11/22 17:56 ID:???
「もう時間も無いし入った方がいいでござるな」
「そうですわね。ってキャア」
すこし手前でおろしてもらったモニカがさっそく砂に足をとられて転んだ。
「もう。もっとイイ靴はいてくるんでしたわ」
「靴のせいにするな。おまえがドジなだけだ」
モニカも含めてみんな笑った。このゲームが始まってから、一番。
「もう、…あら?……メルビンさん。アーロンさん!これ、見てください!」
モニカは掘り返した足元に埋まっていた紙切れを拾って二人に手渡した。
「…ふむ。首輪についてのメモでござるな。ところどころにじんでいるでござるが」
「…なるほど。よくやったぞ、モニカ」
「もう、コドモ扱いしないでください!」
「…肝心なところが滲んで読めないでござるな。…エドガーという人物でござるか」
「ガウガウ!」
「ほう、ガウ殿の仲間でござるか」
「…言葉……わかるんですか?」
部外者の二人は困惑した表情を浮かべている。あの4文字にあんな意味があるなんて。
「もうほとんど覚えたでござる。それよりもう入った方がいいでござる」
「ああ。行くか」
「ガウ!」
そして四人は同時に旅の扉へ飛び込んだ。微かな希望をその胸に抱いて。

【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/鋼の剣 現在位置:旅の扉  行動方針:仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 現在位置:旅の扉 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 行動方針 仲間を探す ホフマンの仇をうつ】
(メモは肝心なトコが読めなくなってます)
「……」
「行った、の?」
スコールがコクリと頷く。今の今迄まで気配を殺していた二人。
時間ぎりぎりまで待つつもりが意外にあっさり行ってくれたためリノアが安堵の息を漏らす。
魔法を詠唱していたときはびっくりしたが。
「やはり…殺すの?次あったら…」
スコールは沈黙を守りつつ頷く。エーコたちのことである。
「…そう。私はどうするの?」
「……」
無言のままそこにある旅の扉に足を向ける。
相変わらずスコールは無言である。だが、一つだけ今までとは違ったことがひとつある。
リノアを守る。二人だけになったら…自分が死ぬ。そうすればリノアは生き残れる。
スコールの後をあわてて追うリノアは何か嫌な、悲しい予感がしていた。

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:旅の扉 行動方針:人形状態ではあるがリノア以外は殺す】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:旅の扉 行動方針:スコールと行動する】
―――朝のやわらかい光が窓からこぼれる。その光がベッドで寝ているアリーナとアニ―の横顔を照らす。
天使のような寝顔。このゲームにはふさわしくない。とても。
『バゴヲオオオオオオン!!!!』
耳をつんざくような爆音が静寂を切り裂いた。二人はあわてて身を起こし、
窓の外を見下ろす。視線の向こう、ちょうど町の中心部で大きな爆発があったようだ。
アリーナはベッドから飛び出し、乾かしておいた服を着た。――半渇きだったが。
「アニー、なにしてるの!早く服をきなさい!」
「へ?えあ、アリーナさん!ここどこ?なんではだかなんですか!?」
「濡れたまま寝てたらカゼひくでしょ! 服はソコにあるから!
 それに、ここはツェン!夜明け前にたくさん走ってここまでに来たでしょ!」
「って、なんで二人で寝ちゃってたんですか!」
「しょうがないじゃない!寝ちゃったんだもん!」
そうイイながらもさっさと手袋をしてお気に入りの帽子をかぶる。アニ―も手早く服を着て、マントをつける。
「準備できたわね?いくわよ!」
アリーナは言いきる前に既に駆け出していた。アニ―もいそいでそれを追う。
「扉の場所わかるんですか?」
「そうゆうのはたいてい町の真ん中にあるって決まってんのよ!」
「…真ん中って、さっき爆発あったトコじゃないですか!」
「大丈夫よ!一気に飛び込むわよ!」
そう言うとアリーナはアニ―を抱え、高く跳躍し屋根に乗る。
「しっかり掴まってなさいよ!」
アリーナはいくつモノ屋根を跳躍して、最速でまっすぐ町の中心へ向かう。
「…あった!アニー、一発空に魔法ぶちかまして!」
「はい!イオラ!!」
あさっての方向に大きな爆発が起きる。誰かいたとしても、コレで目をそらせるはずだ。
タイミングはバッチシ。アリーナは広場の中心に渦巻いている扉に向かって大きく跳躍した。
「このまま跳びこむわよ!」
「キャアアアアアアアアアア………」
アニ―の悲鳴を残して、アリーナは寸分違わず旅の扉に跳びこんだ。

【アリーナ/王女アニー 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/マンゴージュ 現在位置:旅の扉 
 行動方針:アニーを託せる人物を探す ソロを止める(倒してでも)/両親探し。クーパーも探す】
241/4:02/11/22 22:36 ID:???
木立の影で、導士の少年は目を覚ました。
「……?」
状況がわからないのか、それとも寝ぼけているのか。
ぼんやりと、視線を宙にさまよわせている。
「……そっか、あのバケモノから逃げようとして、ここに隠れてたんだっけ」
いつの間に寝ちゃったんだろう? そんなことを考えながら、辺りを見まわす。
雨はすっかり上がり、薄霧の向こうに見える朝日がとてもキレイだ。……って、朝日?
「しまった! 放送聞き逃しちゃった!」
その事実に気付き、オロオロしていると、遠くで誰かの声が聞こえた。

『――たすけ……』

「?」
ドコかで聞いた声だ。頭の中で危険信号が点灯するが、無視してその方向へ行ってみる。
すると、一人の男が、何故か橋の上でうずくまっているのが見えた。
「……デッシュ? デッシュじゃないか! 久しぶり!」
知己の姿に、少年は喜んで駆け寄ろうとする。
しかし、デッシュは顔色を青くし、首を横に振る。『こっちへ来るな』というように。
「どうしたのさ?」
さらに一歩近づく。向こうはもっと青ざめ、首を振るスピードを上げた。
逆に、一歩下がってみると、ちょっとだけ顔色が良くなる。
(……ちょっと、おもしろいかも。)
などと思ってしまったが、そんな面白がっている場合ではなさそうだ。
252/4:02/11/22 22:42 ID:???
少年がそっと橋のたもとまで降りてみると、橋桁に無数のヒビが入っているのが見えた。
なるほど、こんな状態じゃ、ちょっとの衝撃が加わるだけで橋は簡単に崩壊してしまうだろう。
「ちょっと待ってて、誰か呼んでくる」
事態を把握した少年は、踵を返した。その時。
こつん、と音がした。
『…………(汗)』
振り返ると、少年の持つ天罰の杖の先が、橋桁に思いっきり当たっていた。
それに反応するように、グラグラピシピシと橋が揺れる。無数の破片が濁流に落ちていく……
「うぉおおおおおおお!!」
デッシュが跳んだ。
その弾みで、橋は完全に崩壊する。
導師の少年は、慌てて杖を差し出した。
だが、わずかに届かない。このままでは、デッシュは橋と同じ運命をたどるだろう。
「デッシューーー!!」
濁流に消えて行くデッシュの姿を想像し、少年は叫んだ。
――その時、杖の先端から、竜巻のような風の渦が巻き起こった。
宙空のデッシュの身体が、渦の中心へと引き寄せられる。
彼の手が、杖の先端を握り締めると同時に、風は消えた。
「しっかりして!」
物凄い勢いでデッシュをさらおうとする水の流れ。
少年は手近にあった木をつかみ、必死で杖を握り締める。
何があっても、この杖を離すわけにはいかない――
その身体が、不意にぐいっと動いた。真後ろに。
それに合わせて、デッシュの身体が、勢いよく陸へと上がる。
「大丈夫か?」
ぼーっとしていた少年が振り向くと、そこには壮年の剣士が立っていた。
263/4:02/11/22 22:45 ID:???
「くそっ、荷物は全部パァか」
「仕方ないよ、あんな状況じゃ」
荷物が流された、それで済んだだけでも十分幸運だ。
「大丈夫だよ、食料ならパパスさんも少し分けてくれるって言ってたし、
僕のもまだまだあるからね」
「そういうわけじゃないんだが……」
言いかけて、デッシュはふと何かに気がついたかのように、少年を見つめた。
「……なぁ、おまえ、何のジョブについてるんだ?」
「え? やだなぁ、このネコミミフードでわからないの?」
わからねーよ、と心の中でツッコむデッシュ。
「導師だよ。ど・う・し」
聞いたことはある。確か、白魔道士系最高のジョブだ。
当然、白魔法に関する知識は、並みの魔導師を遥かに凌ぐはず。
「そうか。……実は話があるんだが」
デッシュは単刀直入に話を切り出した。
エドガーや首輪のこと。研究の成果。
そして、自分達が魔法使いの助力を求めている事。
「無理にとは言わないが、良かったら協力して欲しいんだ」
「いいよ」
デッシュが拍子抜けするほどあっさりと、導師の少年は承諾した。
「……本当にいいのか? 運営側に狙われる可能性もあるんだぜ?」
「だって、このまま隠れ続けるのも限度があるだろうし」
それに、腕輪を持っていったバケモノ。あんな奴に勝ち目なんかあるもんか。
首輪が外せるんだったら、とっとと外して逃げるに限る。
「……ありがとよ」
デッシュの言葉に、少年は少し照れたように、そっぽを向いた。
274/4:02/11/22 22:49 ID:???
「お世話になりました」
二人は旅の扉の傍に立つパパスに礼を告げる。
「行くのか?」
デッシュがうなずく。
「そうか……気をつけてな」
パパスの隣で、トーマスが別れを惜しむように、くぅんと鳴き声を上げた。
「……また、会えるといいですね」
できれば、首輪の解除方法が見つかった後で。
導師の少年はそう思いながら、扉をくぐった。

【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
 現在位置:新フィールドへ 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:封魔壁跡地 
 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】
【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
「はぁはぁ」
マランダの街で1番高い建物の上でリュックは苦しげに息を荒くしている。
その身体の疼きは今の所収まっている、だが・・・・・
渇く・・・渇くのだ。

リュックはフラフラと井戸の前に行くと、がぶがぶと頭から浴びるように水を飲むが、
それでも渇きは一向に収まらない。
分かっている・・・・この渇きは水では凌げない・・・・そう、渇きを癒すためには
と、自分の前方で金髪の女性が扉へと入るのが見える。
それを見つめるリュックの瞳が妖しく輝いた。

吸いたい・・・その喉に喰らいつき、滴り溢れる血潮を思う様すすりたい・・・・
そこまで考えたところで我に返ったリュックは思い出したように首を振る。
「いけない、いけない、さっきからどうも上の空になってしまうなぁ」
空を飛んでいる途中、突然気分が悪くなったかと思うと、ここにいた。
リュックはせわしなく、きょろきょろと周囲をみて、自分の身体の状態も確かめる。
「まだ・・・大丈夫みたいだね」
ともかく自分もそろそろ次の場所に向かおう、時計を見るともう30分を切ったところだ。
リュックは助走を付けると、勢い良く扉へと飛びこんだ。

【リュック(魔獣化制御・身体能力上昇):所持武器:進化の秘法 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:仲間と会う 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))

【セリス 所持武器:ロトの剣 現在位置:新フィールドへ 行動方針:錯乱?(とにかく新フィールドへ)】
セーラは足取りも軽やかにマランダの街へと到着した。
長時間、柱に縛り上げられていたわりにはその表情は幸福に満ちている。
まさか....新たな快楽に目覚めたか?
いや、これにはちゃんとした理由があるのだ。

つい1時間ほど前、セーラは物置の中で悪戦苦闘していた。
いくらもがこうとも縄は外れてはくれない、このまま騎士様に会えることなく終わってしまうのか、
そんな絶望的な気分を振り払うようにセーラは必死でもがいていた、そんな時、
ガタン!という音と共に物置がぐらぐらと揺れる、もともと老朽化していたのだろう。
その揺れの最中、セーラが縛りつけられていた柱は真ん中から折れて、そのおかげで縄が緩み
彼女は自由の身になれたのだ。

もたもたと縄を解いて、何事かと外に飛び出していったセーラが見たもの、
それは黒い翼を広げ悠然と空を飛ぶ何者かの姿。
そう、その姿こそ.....。
「騎士様!またも私を救いにきて下さったのですね!お待ち下さい、今度こそお名前を!」
セーラは声を限りに飛行物体に叫ぶが、それはセーラの呼びかけに答えることなく彼方へと消えていった。

その正体は飛行中、我を失い物置に激突したリュックなのだが、
セーラから見ると、黒い翼を広げたリュックの姿は逆光になっていた行為か、
彼女が捜し求める騎士そのものに思えたのだ。(幾分美化も入っているが)
「奥ゆかしい....方」
セーラはリュックが消えた方向の空をうっとりと眺めながら呟くと
そのまま猛然とマランダの街へと走ったのだった。

その甲斐あって、なんとか間に合った、残り時間はあと10分....ギリギリセーフだ。
「騎士様、あなたはついに天空すらも支配する真の英傑へとなられたのですね」
扉を目の前にして改めて空を眺め、セーラは決意を新たにする。
「セーラも負けてはいられませんわ、必ずやあなたの覇道を阻むであろう不届き者たちを、
いかなる手を使ってでも討ち果たして見せますわっ、いざっ!」
そして掛け声も勇ましくセーラもまた新たな戦場へと進んで行った。
【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:新フィールドへ 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
ティファ、アグリアス、ヘンリー、そしてソロ
幾人もの戦士を受け入れた扉の前にまた1人の戦士が立つ。
しかしその姿は戦士にしては、やや幼いように見えた。

その少年、テリーは旅の扉の前に立っていた。
彼は今の今まで大広間のバルコニーに潜んで下の様子をうかがっていたのだ。
そこから見た斧を持った男と女の人、ヘンリーとティファとの闘いは未だにテリーのまぶたに焼き付いている。
そしてその闘いから学んだことが一つあった。それは、
「強くならないと、仇は取れないんだ...見てろ僕はもっと強くなるんだ」
自分に言い聞かせるようにそう呟くとテリーは扉へと飛びこんだ。

しかしちっぽけながらも勇気を取り戻したテリーの手の中のチキンナイフは
刻一刻と切れ味を失っていくのであった。

【テリー 所持武器:チキンナイフ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 
邪魔するのなら手当たりしだい 強くなりたい】
「…限界か。」
ワン!とトーマスが吠える。
もう時間が、ない。
あれからだいぶ時間が経った。
これ以上待ち続けるわけにはいかない。
会えなかったか。
だが、次の大地で必ず会う。
決意を新たに旅の扉をくぐる。
バッツは、アニー、クーパーは元気だろうか。…いや、元気のはずだ。
頭の中にふとそう思った。
一日会わなかっただけでこんなに懐かしく思えるのか。
溜息を一つ、吐いた。

【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:移動中 
 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】
【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
 現在位置:移動中 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
331/2:02/11/23 19:09 ID:???
内容:
「何処をどうやったらそんな結論が出るのだ馬鹿者っ!」
あのな、我々の戦略はあくまで囮の利用だった筈だぞ?
ああいう場合は、この間抜けと連中が殺し合った跡で必要な物を入手するべきだろうが。
…我々も間抜けであったという事か。
イオナズンを打った当人であるマゴットは答えない、目の前のべホマスライムの攻撃を防ぐので手一杯の様だな。
「下がれ!」
わしの声に応えて下がるマゴット、その隙を逃さず振り下ろされる触手を変わりにわしが杖で受け止める。
スライムに銃が有効とは到底思えん、わしが接近戦で時間を稼ぐしかないが…
「ガァッ!!」
二度、三度と身体を触手で貫かれる、技量と数の圧倒的な差がわしの命を削っていく…。
「ライアンサン…ライアンサンノ……」
これだ!
「わしがライアンの敵か?間抜けめ、ライアンを殺したのは貴様だ!」
「チガウ!」
「違わない、貴様がわしをライアンの前に導いた。」
「ダマレッ!」
乱暴に殴打され吹っ飛ばされる、とっさに庇った右腕は有得ない方向に折れ曲がっている。
「ククク……事実は変わらぬ。貴様がライアンを殺したのだ!貴様が死神をライアンの元に導いたのだ!」
「ダマレ!ダマレ!ダマレ!ダマレ!ダマレェェェェッ!!」
殆ど全ての触手がわしの急所に狙いを付ける、もうわしにそれをかわす余地は…無い。
触手が稲妻の様に蠢き…
「バギクロスッ!!」
マゴットの呪文がその全てを切断する。
「べホ…」
「マとは言わせん。」
次の瞬間、わしが杖を奴の口の中に突っ込み、真空が奴の舌を切り裂いていた。
342/2:02/11/23 19:11 ID:???
「………イ……ア…ン……サン」
「ライアン…サン……ドコ?」
「奴は既に次のフィールドに向かった、安心しろ、あの男は必ず生き残る。」
「……」
「べホマを頼む、行くぞ。」
赤い塊を乗り越えると我々は旅の扉に飛び込んだ。

【ホイミン 死亡】

【ハーゴン(数日中に呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
35訂正:02/11/23 19:55 ID:???
>>33の冒頭に以下の文を追加
「まったく……」
マゴットから受け取った杖を握りながらわしはどなっていた。
>>34
のハーゴンとマゴットの現在位置を“新フィールドへ”に変更

「…イリ―ナさん、みつからなかったね」
「…他のトコに行っちゃったのかなぁ」
レナとバーバラは今まで山のふもとで滑っていったイリ―ナを探していたのだが、
日が高くなった今でも見つけることができないでいた。
「もう町に向かった方がいいわね」
「うん。生きてたら、また会える、よね?」
「そうね。行きましょ」
そして、目を向けた町の方でおおきな爆音が響いてきた。

「ひどいわね……」
町の広場は半壊し、通りでは何者かが争った跡があった。
「…もう、誰もいないみたいね」
制限時間が迫った今、町に人の気配はない。もしかしたら、この世界に残っているのは
既に私達だけなのかもしれない。
「…? なにこれ?」
バーバラは通りの真ん中に落ちていた、透き通った緋色の、
ルビーのようなかたまりを拾った。触り心地もちょうどそれのようだ。
「バーバラちゃん、早くいくわよ」
「ちょっと待って。…よし」
バーバラはそのかたまりをふくろに入れ、レナの後を追った。

「次の世界で、みんなに会えるかな?」
「会えるよ。きっと」
そして二人は青い渦に飛び込んだ。

【バーバラ/レナ:シーフ 所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核/メイジマッシャー 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:仲間の捜索/ファリスの捜索】
(核には記憶とかいろいろ詰まってますが、そこから肉体は再生できません)
刻限まであとわずか、そんな頃。
砂漠の中、煙を上げながら全力疾走で扉に向かうアルスとティナの2人がいた。
その身体は砂でどろどろに汚れている。
ここに向かう途中、流砂に捕まってしまったのだ。
なんとか脱出に成功したものの、大幅に時間をロスしてしまった。
砂と空以外何の目印も無い砂漠を2人は駆ける。
だが.....いくら走ろうとも砂と空と風だけが延々続いていた。

そんな時、アルスが感きわまって空に向い叫ぶ。
「頼む!もしこの絶望の大地にも神がいるのならば、僕たちに道を示してくれ!
 僕らが日夜あなたに祈るのはこんなときのためなんだぞ!」

その時であった、風向きが大きく変わる。
「あれ!」
ティナの指差す先で風があきらかに不自然に舞っている。風向きが変わらなければ分からなかっただろう。
2人は文字通り、最後の賭けと思わんばかりに息を切らし砂漠を走る。

そして、扉に飛びこんだとき、残り時間は3分を切っていた。

【アルス/ティナ:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:仲間を探す 】
38スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/24 00:21 ID:???
───それは突然始まった。
大地は揺れ、天は割け。
異様な空気があたりに漂う。
いつの間にか帝国領は完全に外界からの接点を断たれた。
辺りを包むのは虚無。
深淵なる闇。
如何なる手段を持っていても見通せない闇の中で崩壊は始まる。

ベクタの城が崩壊する。
まるで玩具のように。
大地が裂ける。
まるで紙切れのように。
取り残された動物たちの悲鳴が聞こえる。
まるで終焉の詩の詠っているように。

外界から見ることができるならば…まるでディオラマが無残にも壊されていくような。
そんな崩壊であった。
無の中へ、また一つ、世界は落ちた。

【帝国領:消失】
391/3:02/11/24 09:53 ID:???
《午前8時前後》
凍える大地、ロンタルギア。
その東の端に位置する雪原の真ん中で、『勇気の炎』は燃え尽きようとしていた。

「ははは…これってひょっとして……雪か?ラッキーだな、初めて見るよ。冥土の土産にはちょうどいいな。綺麗だ。」
「冥土って…ば、馬鹿な事言わないでください!」
ファリスが辺り一面に広がる雪景色を見て、力のない歓声を上げた。
その彼女の台詞に驚いて、エリアが怒声を…あまり迫力のない怒声を上げた。
ファリスは、熱い炎のような血潮を胸から溢れさせながら横になっていた。
その血潮も外にあふれ出るやいなや冷えていく。彼女の身体と一緒に。
今はロックの神秘の鎧を着せられてはいるが、それでも傷は塞がらない。ソレが死に至る傷だから。
エリアはその隣で跪き、祈っていた。祈る事しかできなかった。
その後ろには、ロックが立っている。ぎり…と歯を食いしばりながら。
(魔石さえあれば魔法が使えるのに…魔石さえあれば…。)
「二人とも、そんなに難しい顔するなよ。」
雪にその身を半ば沈めながら、ファリスは笑っていた。妙に、穏やかに。
「ファリス…!」
「俺な、『死の直前ってのは奇妙に心が穏やかなものだ』とか『自分の身体の事くらい自分で分かる』って台詞、ウソだと思ってたんだ。」
思わず叫びかけたロックを、ファリスの静かな言葉が押しとどめる。
「職業柄、何度か死にかけたけど穏やかになんてなれなかったし、ほっとけば死ぬような怪我しても「死ぬもんか」って思ってた。
 特に今なんか、レナがどっかで大変な目に遭ってるかも知れないんだぜ?それこそ落ち着いてられるもんか。」
ファリスの言葉を、エリアとロックは聞いていた。聞く事しかできなかった。
「でも、今は確かに『死ぬ』って分かるし、二人にレナとバッツを助けてもらえるなって思うと、確かに穏やかにもなるな。
 …勝手な言いぐさだけどさ。」
402/3:02/11/24 09:54 ID:???
ファリスの言葉は続いた。全く、途切れない。
「レナは強い。アイツといれば絶対このイカレた状況から抜け出せる。アイツは『諦める』って事を知らないから…。
 バッツは…なんかすげえヤツさ。ガキっぽくてバカだけど、最後には必ず何とかするんだ。カッコつかないけどな。」
ファリスの呼吸が穏やかになっていく。安定していく。ただしそれは0の安定にむかってだが。
「エリア……右手、出せ。」
涙を止めどもなく流すエリアに、ファリスは呼びかけた。
訳も分からずエリアが右手を差し出すと、ファリスがその手をしっかり握った。
そのとたん、暖かい何かがファリスの腕を伝ってエリアの中へと移動した。
「シルドラ、ってんだ。俺、の、トモダ、チ、だ…。多分、いっか、いしか使え、無いから、気を付けろ…。」
声ががくがく震えだした。ファリスは震える肺に無理矢理空気を送り込んだ。
「とにかく、二人に会えば生き残れる。がんばれよ。」
ファリスがキッパリと言った。自信を持って、言い切った。
…息が止まる。肺の収縮が止まり血液の流出が収まる。
視界が暗くなり、その闇の中にぼんやりと何かが見えた。
(死ぬ直前に走馬燈が見えるって言うけど…うそっぱちじゃないか。)
もはや喉を振わせる事を叶わず、ファリスは意識の中で呟いた。
そう。走馬燈なんて見えなかった。見えたのは二人の姿。
頼もしい妹の優しげな笑顔と、一番信頼できる戦友の悪戯っぽい笑顔。
(がんばれよ。)
二人にそう呼びかけた。そのとたんに、全身を覆う雪の冷たい感覚が消失した。
(アモっさん、悪い。俺、死んだ。)
その意識が、ファリスの最後の意識。
彼女と現世を繋ぐ糸がぷつりと切れた。
413/3:02/11/24 09:56 ID:???
「あ…あ…!」
繋がれた手から力が抜けた。ファリスが…死んだ。
声が出ない。喉が凍り付く、体が熱くなる、何もかもが分からなくなる…!
エリアが、握りしめていた手を離した。力を失った手が雪の上に落ちた。
ロックが、顔を伏せたままファリスの身につけさせた神秘の鎧を脱がし、両手を胸の前で交差させてやる。
ぐっ…と、ロックの目から涙が溢れ出す。
ソレを見て、エリアの何かが切れた。
残りの3人を探さなければならない。ファリスもソレを望んでいるはずだ。でも、今は…今だけは。
「あ…あぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!」
ファリスの亡骸に顔を埋めて、エリアは泣いた。ただひたすらに、大きな声で。

【ファリス:死亡】
【エリア/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水1,5リットル・小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド・クイックシルバー フィアーの書×7
 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の端の雪原
 行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
421/5:02/11/24 10:05 ID:???
「ビビ・・・・しっかりしろよ」
力無くジタンはビビに呼びかけるが、ビビはわずかに首を揺らすのみで答えようともしない
扉をくぐる瞬間、ジタンたちはセシルの放った火炎瓶によって炎に包まれてしまった
フライヤともはぐれてしまった上、ジタン自身も腕にひどい火傷を負っている。
しかし親友の無残な姿に比べれば可愛いものだ。

「ビビ・・待ってろよ、今助けを探しに・・・・」
と言いながら茂みを抜けたジタンは目の前の光景を見て絶句し、慌てて地図を見てまた絶句する。
そう、ジタンたちのいる場所はロンダルキアの南に位置する湖に、
何故かぽつりと浮かんでいる小島だったのだ。

ジタンが絶望に沈んでいたころ
「参りましたね・・・」
サマンサは薄く氷の張った湖面を見つめながら溜息をつく
扉から出る瞬間、ピサロから手を離してしまった。
この近くにいるといいが・・・・・

どうやらここは太陽の位置などから推察するに、南の湖に浮かぶ孤島らしい
ここから岸まではざっとみて数百メートルはある。
(1人で向こうに行くのは骨が折れそうですね)
と、思いながら茂みを掻き分け、とりあえず内地の調査を・・と思ってると
突然目の前に少年が現れる。

「!」
とっさに呪文を唱えようとしたサマンサを手で制するとジタンは頭を下げて懇願する
「俺の友達が死にそうなんです!お願いです、力を貸してください!」
しかし・・・私は治癒呪文は・・・と言いかけてサマンサは言葉を飲みこむ、興味の方が勝ったのだ
「分かりました、お役に立てるかはわかりませんが・・・・」
432/5:02/11/24 10:05 ID:???
「これはひどい」
サマンサはビビを一目見て、思わず口走ってしまう。
今まで様々なケガ人、死体を見てきたがここまでひどいのは久しぶりだった。
意識はあるようだが、全身の皮膚が黒焦げになっている上に、炭化した皮膚がズル剥けになって、
そこからどす赤い肉が見えており、もはや健康だった頃の面影が想像できない、
それほどまでに無残な状態だ。

吐き気をこらえながら口の中を見ると、喉の奥までも焦げているのがわかる。
つまり内臓までもがぼろぼろに焼け爛れているのだ。
これは治癒呪文では手の施し様がない、復活呪文の範疇だ。
少なくとも、自分の知る限りでは・・・・。

サマンサはしばらく考えていたようだが、やがて無言で指先に火花を散らすと、
それをビビの心臓へと押し当てようとする。
が、その手は寸前でジタンに掴まれてしまう。
「お前、何をしようとしているんだ!!、ううっ!」
火花を掴んでしまったために、軽い痺れを覚え、ジタンはよろめく
「残念ながら、彼を助ける手段は存在いたしません。したがって苦痛を長引かせるよりはと思い
 安楽死させようと思っただけです」
ジタンの問いにサマンサは表情を変えることなく淡々と答える。

「そんなことを頼んだ覚えは無い!俺はビビを助けてくれって頼んだんだ!」
「ですから私は彼を救おうとしたのです、このままだとまだ数時間もの間、ビビ君は地獄の苦しみを
 味わいつづける事になるのですよ」
悪びれる風もなく、ぬけぬけと言い放つサマンサを見てジタンの顔が怒りで紅潮していく。

「だからといって簡単にあきらめたりなんかできるかよ!奇跡だって起こるかもしれないだろ!
 人の命をなんだと思っているんだ!!」
(ふふ・・・アルスもきっと同じことを言うでしょうね)
サマンサはふとジタンの姿にアルスを重ねていた、そういえばアルスに出会ったのは・・・・
443/5:02/11/24 10:06 ID:???
魔法学校を首席で卒業したのはいいが、人間関係に問題があった彼女は何処にも仕える事が出来ず
適当な雇われ仕事をたまに請け負いながら、流れ流れてルイーダの酒場で書物を読みふける暮らしを続けていた
そんな頃、そこにアルスがやってきたのだ。
『腕のいい魔法使いがいるって聞いてやってきたんです、僕と来ていただけませんか』

そう言って手を差し出した姿をみて、大いに興味を感じた、勇者の血統にあるというこの少年が、
どこまでやれるのか見届けたくなったのだ。
それ以外に、別に世界の平和を守ろうとかそういう殊勝な考えを持っていたわけではない。
事実、自分にとってより魅力的な何かを与えてくれるのであれば、彼女はバラモスの元へ仕えたかもしれない。

こうして旅の仲間となったサマンサだったが
戦闘時以外はなるべく目立たないようにし、いつも書物を開いて難しい顔をする事にしていた。
こうしておけば滅多に声をかけられることはなかった。
全ては自分の本性・・・冷酷で自己中心的(少なくともサマンサはそう思っている)を隠すためだった。

もっともアルスには他に優れた仲間がいたので、サマンサはただ時折、
参加料程度の意見を言うだけで済んでいたのだが。
もし他の仲間たちがもっと無能で、サマンサが前面に出ていかざるを得なくなっていれば
アルスとサマンサは間違い無く衝突していただろう。

サマンサがそんな事を考えていると、ジタンは何時の間にか仕込み杖を抜き放っている。
「信じられない・・・・お前のような人間がいるなんて」
(ふふ・・・やっぱり似ている)
そんな一触即発の状態になってもサマンサは余裕だった、何故なら・・・・
「貴方の相手は私ではありませんよ、バイキルト!!」
サマンサの呪文と同時に背後の気配に振り向くジタンだったが、遅い、
その時にはすでに黒い炎を纏わせたデスピサロの拳がジタンの背中にめり込んでいた。
454/5:02/11/24 10:06 ID:???
デスピサロは何時の間にかジタンの背後へと忍び寄っていたのだった。
腕のいい盗賊であるジタンなら当然気がつくべきだろう、しかし熱くなりすぎていたのか察知できなかった。
ジタンの骨がきしむ音をBGMに2人は淡々と会話を交わす。

「ピサロ卿、やはりここでしたか」
「おおサマンサ、近くにいるだろうとは思っていたがな」
デスピサロはジタンを無造作に投げ飛ばし、さらに話を続けようとした、その時であった
ジタンの身体から何やらオーラのようなものが立ち上っている。
「お前らの・・・お前らのような奴らがいるから・・・」
と、次の瞬間、彼は信じられないような速度で、デスピサロへと襲いかかったのであった。

その速度はデスピサロですらついていくのがやっとだった、いやデスピサロだからこそついていけるのだ
事実、サマンサには2人の動きをかろうじて目で追うのがやっとだった。
(魔法攻撃では的が絞れない・・・・と、なると)
「モシャス」
呪文の完成と同時にサマンサの姿がデスピサロの姿へと変わって行く、
この呪文は効果はきわめて短いが、変身した相手の能力をほぼ再現することが出来る。

(ふふ、この姿なら見えます)
デスピサロの姿のサマンサはやはり拳に黒い炎を宿すと、ジタンのみぞおちへとその拳を叩きこむ。
そこにさらに今度は本物のデスピサロの拳がジタンの顎を捉える。

『く』の字に折れ曲がった状態でジタンは吹っ飛び、凍りついた湖面にゴムマリのように叩きつけられる
しかしそれでもジタンは立ちあがろうとするが、その瞬間、湖面に張った氷が割れ
ジタンの身体が水中へと没していく。
そこをすかさず彼女本来の姿に戻ったばかりのサマンサの呪文が飛ぶ。
「マヒャド」
465/5:02/11/24 10:07 ID:???
超低温の刃が水面へと殺到し、もうもうと煙がたつ、それが晴れたとき、
ジタンは、水面に片手をわずかに覗かせたまま完全に凍り付いてしまっていた。
急速冷凍のためか未だに心臓は動いてはいたが、このまま放っておけばやはり凍死するだろう。

「止めは差さぬのか?」
デスピサロはサマンサへと問う。
「どうせ2人とも、長くもって正午過ぎまでの命でしょう」
サマンサは思い出したように、ビビの身体に威力を弱めてヒャドを唱える、
これで命が延びるわけではないが苦痛は和らぐだろう。
(奇跡が起きるかも・・・ですか)
「そうか・・・サマンサよ、お前は自分で思っているほど冷たい人間ではなさそうだな」
デスピサロのその言葉にサマンサは不思議そうな顔をする。

「ともかくここから出るか、捕まってろ」
デスピサロはサマンサを抱きかかえると、まるで無重力のような身軽さで湖へと飛び出していく
そのつま先が湖面に触れる寸前、
「ヒャド」
足場を瞬間的に魔法で固め、着地するとまた宙を舞う、それを何回か繰り返し、
2人は陸へとたどり着いた。

デスピサロはサマンサを下ろすと、また何事も無かったかのように先へと進む。
それを追うサマンサの頬は、やや桜色に染まっているようにも見えた。

【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能)
 現在位置:ロンダルキア南の湖 行動方針:腕輪を探す】

【ジタン(瀕死)/ビビ(瀕死): 所持アイテム:仕込み杖/ギザールの笛 現在位置:ロンダルキア南の湖の小島 
 行動方針:?】
(2人とも、正午過ぎまでに処置されなければ死亡)
47ライアンとか:02/11/24 12:26 ID:???
「……いったいなにが起こったんでござるか?」
旅の扉の中で、突然の事態について行けなかったライアンはひとり言のように呟いた。
「…ぼくが見たのは、あの時町の広場の入り口からホイミンさんがきたんだ。
 そのあと、後ろにいた誰かがイオナズンを…。でもそれなら何で…」
「うん。…ちょっと待って」

とんぬらはアイラからさざなみの剣を受け取り、さっき彼女のやったように振りかざした。
すると光の壁がうっすらとあらわれた。
「やっぱり。マホカンタだ」
とんぬらは小さい魔力の塊を壁にぶつけながら言った。
「アイラさんはこの事をしってたみたいだね。

「待って、マホカンタって、それじゃあホイミンさんは四人分のイオナズンを
 くらったってことじゃないか!」
「…うむ。おそらく」
「おそらくって、ホイミンさん死んじゃったかもしれないんだよ!?」
「たぶん、ひとたまりもなかっただろうね」

「そんな……」
「…この方が良かったのかもしれないでござる。もうどうしようもないところまで
 行っていたようでござるし、あやつが誰かを殺してしまう前に……」
ライアンはルーキーを諭すように言っていたが、おそらく自分自身に言い聞かせていたのだろう。
一度は接触できていたのだ。そこから逃げ出したのも彼自身。一番悔しいのは自分だろう。
48ライアンとか:02/11/24 12:27 ID:???
「あの、聞きたい事があるんですけど…」
沈んだ空気に耐え切れず、とんぬらが口をひらいた。
「…なんでござるか?」
「息子と娘を探しているんです。二人とも紫の髪をした、10歳くらいの」
「見ていないでござるな。ルーキー殿は?」

「ううん。見てない」
ルーキーの口調は重い。ホイミンの死は自分の責任でもある、と思っているのだろう。
「そう…ですか。…40歳くらいの、髪の長い剣士には?」
二人とも首を横に振る。二人のしぐさを見てとんぬらははっきりと落胆の色を見せた。
足下から、扉の出口がゆっくりと近づいてきた。

「二人とも、これからどうするんですか?」
着陸地点は、寒冷地にはふさわしくないうっそうとした森の中だった。
「仲間を探すでござる。…もしそちらがよろしければ、行動を共にしたいでござるが」
「もちろん、よろしくお願いします」
「ねえ、とりあえず、アイラさんの呪いを解かない?」

さっきから黙っていたせいで忘れていたが、ルーキーはアイラが呪われている事を説明した。
「そうだったんですか。でも、壊したりするのは反対です」
「うん。呪いがどんなのかわからないもんね」
「うむ。やはり解呪の術者を探した方がいいでござるな」
「娘が確かシャナクを使えたはずです」

そして四人は森の中をあるきだした。

【ライアン/ルーキー 所持武器 フライパン×2/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:台地の北中央の森 行動方針 仲間を探す】
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:台地の北中央の森 
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う アイラの呪いを解ける人を探す】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 現在位置:台地の北中央の森 
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
49とんぬらとか:02/11/24 14:00 ID:???
(…あれ?シャナク使えたのクーパーの方だったっけ?…だめな父親だな。ぼく。)
子供の事を細かく思い出せなかったとんぬらは、重いため息をついた。
>>41
ロック達の所持武器を
所持武器:ミスリルナイフ・加速装置 食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド×2 クイックシルバー フィアーの書×7
に変更します。ご迷惑お掛けしました。
51713:02/11/24 19:51 ID:???
「……やっぱりここ、ロンダルキアの洞窟だ」
見覚えのある風景。何度も落ちた落とし穴の痛みが、ここがそうだと確信させる。
おそらく始めに入り口のほうにいたのだろうが、落盤でふさがっていたためわからなかったのだ。
記憶を頼りに稲妻の剣のあった所へ行ってみたのだが、残念ながらナニもなかった。
「…あ〜あ、あの剣があったらよかったのに」
アーサーはそう言いながら手に持ったひのきの棒を振り回す。

「…ここにいれば隠れられるし、旅の扉もここにでるだろうし……」
この洞窟の中は少し湿ってはいるが、外の寒冷地に比べたらずいぶんましだろう。
それにここの台地は高低差がキツイが、決して広くない。この目立つ服装。
やる気のある奴に見つかったらまず助からないだろう。ならばここにいた方が……
「…ひぃっ!」

アーサーは息を飲んだ。悲鳴をあげそうな口をなんとか両手でふさぐ。
視線の先。無限回廊の手前に男が立っていた。絶対忘れない。
アリアハンで自分を殺そうとした男。青の、赤い刃の男。あの身の毛がよだつ感覚がよみがえる。
(早く!早くそこに入っちゃえ!)
アーサーは身を隠し、その男に向かって電波を飛ばす。

アーサーの祈りがつうじてか、その男は回廊に姿を消した。
アーサーはそれを見届けて、ゆっくり今来た道を引き返す。できるだけ早く遠ざからなければ!
しかしその願いもむなしく、背後から誰かが走ってくる足音がした。
(まずい!気付かれた!!)
アーサーは慌てて走り出す。しかし体がついていかず、足がもつれて転んだ。
(もうダメだ!)
アーサーが死の覚悟をした時、走ってきた男に思いっきり頭を踏まれてアーサーは気絶した。
52713:02/11/24 19:54 ID:???
「…あれ?ここは…」
あれから少ししてアーサーは目を覚ました。
「おう、気がついたか」
アーサーは息を飲んだ。しかし、それが自分の見間違えだったんだとわかった。
目の前の男は、例の男に似ていたが全然違う。なんとなくだけど、雰囲気が。
「ふんずけたりして悪かったな。でもあんなトコで寝てるおまえさんも悪いんだぞ」
…なるほど。さっき回廊の方に走ってったにもこの人だろう。
「ああ、大丈夫です。もう痛くないですし」

まだ痛む後頭部をさすりながらアーサーは言った。
「それにしてもあの回廊にはまいったな。まさかUターンしてるとは思わんかった」
「……そうですか」
重度の方向音痴なのだろう。アーサーはそう確信した。
その時、不意に背後の空間が歪んだ。そこから何者かがこぼれおちてくる。

「…どうしましょう、これ」
「…とりあえず目を覚ますまで待った方がいいんじゃないか?」
アーサーとラグナの二人は呆けた顔をしてマリベルを見ていた。
彼女は扉の出口から頭から落ちてきて、そのまま気絶したのだ。
とりあえず回復魔法をかけ、二人はマリベルが目覚めるのをじっと待った。

【マリベル(気絶)/アーサー/ラグナ 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(無限回廊手前)
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/ひのきの棒/???
 行動方針:マリベルが目を覚ますのを待つ】

53712 1/3:02/11/24 20:06 ID:???
――気がつくと、マリベルは不思議な場所にいた。
大地も天空もない、延々と続く白一色の世界。
そして。

『全く、何をやっておるのじゃ』

死んだはずの人間が、目の前に立っていた。

「グレーテ……」
呆然とするマリベルに、彼女――グレーテ姫は、矢継ぎ早に言葉を浴びせた。
『そなた、それでも我がマーディラスを救った英雄の一人か?
 我が盟友が今のそなたの姿を見たら、何と思うであろうな』
「あんたに言われたくないわ。それに、参加してないあいつは関係ないでしょ!」
フィッシュベルの幼なじみの姿を思い浮かべ、マリベルは顔を真っ赤にして叫ぶ。
だが、グレーテは彼女の言葉を無視するように、言葉を続けた。
『だが、そなたしか頼める者はおらぬと来ている。
 歯がゆいが、そなたの記憶と知識に頼るしか……じゃ……』
その声が、聞き取れないぐらいにかすれていく。
『かつて我…国を………うに、……友を…ってくれ…――』
グレーテの姿が、幻のように薄れていく。
「待って、待ってよ!」
マリベルは彼女に駆け寄った。
だが、その手がグレーテに触れる前に、彼女の姿は虚空に溶けて、消えていた。
54712 2/3:02/11/24 20:09 ID:???
――……回復呪文はかけましたけど、大丈夫でしょうか?
――思いっきり、頭打ってたからなぁ。ま、息はしてるし、平気だろ。

近くで、誰かの声が聞こえる。
マリベルがゆっくり目を開けると、そこには二人の男が座っていた。
頼りなさげなヒマワリ頭の少年と、年齢不詳の長髪の男性……
風景もマランダとは一変し、どこかの洞窟といった趣だ。
「おう、気がついたな」
長髪の男が、マリベルに微笑を向けた。その顔から、敵意は感じられない。
だが、彼らがセーラのような人間ではないという保証もない。
「ここはどこ? あんた達は誰?」
もしものために、気付かれないようにいかづちの杖を引き寄せながら聞いた。
「オレはラグナ、んでこっちはアーサー。
 ここは『ロンダルキアへの洞窟』って言うらしい。良くは知らねーけど。
 で、あんたはあそこらへんから落っこちて、今の今まで気を失ってた、と」
ラグナ、と名乗った長髪男は、天井の一角を指した。
「ロンダルキア?」
「ハーゴン率いる、邪教の総本山……雪と魔物が支配する、人外の地です。
 まさか、またこの場所に来るハメになるなんて……
 どうせなら、稲妻の剣も元通り置いておいてくれれば良かったのに」
ヒマワリ頭、もといアーサーがため息をつく。
口ぶりからするに、この場所にかなり詳しいようだが。
「ふーん……って、そういえばハーゴンって人、参加者にいなかったっけ?」
「ああ、いたな。そーいや」
「……え゛?」
アーサーはマヌケな声を上げた。
1番早い時期に出発していた彼は、今までハーゴンの存在に気付いていなかったのだ。
55712 3/3:02/11/24 20:14 ID:???
唖然とするアーサーに、ラグナはふくろから1冊の本を取り出し、見せた。
「ほら、ここにも乗ってるぜ」
『参加者リスト』と題された本――
そこには、各々の名前と顔写真・支給武器・簡単な経歴が記されていた。
「ホントだ……」
忘れもしない、大神官・ハーゴン。その写真を、アーサーは複雑な表情で睨みつける。
そんな彼の手元から本をひったくり、マリベルはページをめくった。
(いた!)
「エドガー・ロニ・フィガロ……この人が、どうかしたのか?」
後ろから覗きこんだラグナが、怪訝な表情でマリベルを見る。
(この二人は信用しても良さそうだけど……どうしよう)
少しだけ考え込んだ後、彼女はふくろからメモを取り出した。
そこにさらさらと文字を書き加え、二人に手渡す。
「………!!」
二人は驚きを隠しきれないまま、メモと彼女を何度も見返した。
彼女が書き加えたのは、たった1行。
"首輪を解く手掛かりは、もう掴んでる。"
さっきの光景が、夢か幻かはたまた現実なのか……なんて、どうでもいい。
グレーテの言葉が、あの呪文を思い出させてくれた。それだけで十分。
(マジャスティス。……あの呪文さえあれば、脱出も不可能じゃないはず)
「私と手を組まない? 一緒に、この下らないゲームを抜けてやりましょうよ」
強い意思を湛えた瞳を向け、マリベルは手を差し出す。
二人はゆっくりと頷き、彼女の手を取った。

【マリベル/アーサー/ラグナ 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(無限回廊手前)
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/ひのきの棒/参加者リスト
 行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】
561/5:02/11/24 21:53 ID:???
「ここが新しいフィールドね」
「寒いよう…」
レナとバーバラは身を寄せ合う。
どうやら森の中のようだ。樹の上にも足元にも冷たい白い物が積もっている。
「これが雪っていうのね。はじめてみたわ」
「えっ、そうなんだ。お姉ちゃんのいた世界は雪は降らなかったの?」
「ええ。暖かい所だったから…。小さな頃、雪の絵本を読んでもらって姉さんと一緒にいつか見にいこうね、って言ってたわ…」
レナは静かに幼い日の思い出に目を伏せる。
そして、いつも自分を安心させてくれる大好きな姉の綺麗な笑顔を。
「お姉ちゃん…」

「あ、ごめんなさいね。もう大丈夫よ。そういえばイリーナさん、どうしたかしら」
「うーん。また会えるといいんだけどね。誰か会った人がいるかもしれないから、そうしたら聞いてみようよ!」
「ええ、そうね。でも気をつけて。今は決して安心できる人ばかりではないから…」
レナは言い聞かせるようにバーバラに念を押した。
その時。
「あ、あそこに誰かいるよ!」
森の木々の間から薄緑色の髪の毛の少年の姿が見えた。
おそらくバーバラよりも少し年上だろう。
少年は必死に何かを探すかのようにさまよっている。
「ねえねえー!そこのあなたー!!」
レナが止める間もなくバーバラは少年の元へ走りよる。
少年は驚いたようにバーバラを振りかえったがそれがまだ子供だと気付きいくらか安心した表情になった。
レナもあとから追いかけて少年に尋ねた。
「あなた、一人?名前は?」
「う、うん…僕はソロ…」
2人に殺意や闘気がないことを察し少年はおどおどと口を開いた。
「ソロっていうの?あたしはバーバラ!このレナお姉ちゃんと一緒に、お姉ちゃんのお姉ちゃんをさがしてるの」
バーバラが元気に自己紹介し、それにあわせてレナも頷く。
「ねえ、君達は信用してもいいよね?僕を裏切らないよね…?」
2人の笑顔をソロは泣き出しそうな目で見上げた。
572/4:02/11/24 21:55 ID:???

「ところで君達の探してるお姉さんって、どんな人?」
もしかしたらそれがティファかもしれないと一瞬ソロの目が光った。
「僕も女の人を探してるんだ!もしかしたらその人かも…」
「え、ええ。髪の長い…」
レナがそこまで言っただけで間髪入れずソロが問い返す。
「色は!?」
「綺麗な紫色の…」
それを聞いてソロの顔が曇った。ソロの記憶するティファの髪は黒色だった。
「違う人みたいだね。残念だよ」
すかさずバーバラが言った。
「あ、そうだ。あたし達もう一人人を探してるんだけど、知ってるかな?」
「それは?」
「あのね、こう短い金髪でスーツを着たお姉ちゃんなんだけど…」

ソロの頭の中をイリーナの姿がよぎる。
そして目を覚ます殺意。狂気…
「お前達もか…」
その声は先ほどと打って変わって低かった。
レナとバーバラは背筋に寒気を走らせる。
「お前達もデスピサロの仲間だったんだな!?また僕を裏切るんだな!!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!なんであたし達が裏切り者なの!?」
「バーバラちゃん、この子変だわ!逃げましょう」
とっさにレナがバーバラの手を握って走る体制に入る。
「変?僕が?変なのはお前達だろう?あの女の仲間なんだろう!?」
「こ、怖いよう…」
一刻も早く走り去ろうとするがバーバラの足がすくんでなかなか立ちあがれない。
「もう嫌だ…せっかく信じられると思ったのに…みんな僕を裏切るんだ…みんな、みんな…」
ソロが呟きながら鞘からエンハンスソードを抜いた。
583/4:02/11/24 21:56 ID:???
危険を察し逃げることを諦めたレナはメイジマッシャーをソロめがけて投げ付けた。
しかし、手に持った長剣で跳ね返されてしまう。
「バーバラちゃん、早く逃げて!!」
武器を失ったレナは観念した。が、この少女だけでも生かそうと大声で叫ぶ。
「お姉ちゃん!!」
バーバラはなんとか立ちあがり叫ぶがもう遅い。
次の瞬間、レナの腹から背にかけて長い剣が突き刺さっていた。
雪の上のその身体がどさりと倒れる。
「に…げて…」
バーバラに声をかけるのがせいいっぱいだった。
「姉さん、バッツ…ごめんなさい…私、もう…」
どくどくと赤い血が流れ白い雪を染めていく。
レナの薄れ行く意識の中では数々の人々の姿が浮かんでいた。
勇ましい父。
優しい母。
そしてかつての戦友、ガラフ。ゼザ、ケルガー。
ふっとその中かから白い手が差し伸べられる。
レナは暖かいその手に自分の手を重ねその人物の顔を見る。
穏やかに微笑むその人物は紛れも無く最愛の姉の姿だった。
「レナ…」
エメラルドの宝石のような4つの瞳が見つめ合う。
2人はお互いに手を伸ばし、抱き合った。
「ねえ…さ…ん…」
それがレナの最後の言葉だった。
【レナ:死亡】

594/4:02/11/24 21:56 ID:???
「お姉ちゃん!!」
ソロは完全に事切れたレナの腹から剣を抜くとバーバラに向き直る。
「こ、こないでよ!!化け物!!!! 」
バーバラは足元の雪を掴んで投げつけるのがせいいっぱいだった。
ソロは血の滴る剣をバーバラに容赦なく振り下ろそうとする。
「もう嫌だよおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
その瞬間バーバラの身体からものすごい魔力が放たれた。
ともすれば大爆発をおこしそうな勢いの魔力だ。
「いやーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ソロはその魔力に当てられ、一瞬目を瞑る。
次に目を開けたとき、そこに少女の姿はなかった。
「しまった!逃げられた!?」
ソロは走り出した。
もしもあの少女に自分のことを触れまわられたら、そしてそれがティファの耳に入ったら…
想像すると寒気がする。とにかくあの少女だけは殺さなければならない。

ふと横に倒れたレナの死体が目に入る。
一体どれだけの人物が自分のせいで死んでいったのだろう。
恐ろしいほどの罪悪感がソロを支配せんとする。

「なんだってみんな僕を…みんなあいつが、デスピサロが悪いんだ…」
「僕は悪くない…僕は悪くないぞ…」
ソロは再び森の中をさまよいはじめた。

【レナ:死亡】
【ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード 現在位置:ロンダルキア南の森 行動方針:バーバラを殺す(最優先)】  
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核 
現在位置:ロンダルキア南の森 行動方針:ソロから逃げる(森の中を逃走中)】
(核には記憶とかいろいろ詰まってますが、そこから肉体は再生できません)

訂正
>>56は1/4でした。
「うん?」
資料の整理をしていたエビルマージだが、奇妙な事に気がつく、
参加者から没収し、研究用に保管していたアイテムの1部がどこかに行ってしまったのだ。
「まさか、あの時」
エビルマージはデジョンでアークマージを葬った時のことを思い出す。
おそらくその時、異空間に流れ出てしまったのだろう。
「足りないのは...6個か、どれもまだ確認していないものだな」
ちゃんと整理整頓をしておくべきだったか、少しだけもったいないことをした。
と、思いながらエビルマージは持っていた書類を無造作に床に放リ投げた。


【何らかのアイテムが6個、ロンダルキアに流出しました】
空…天空(ソラ)が近い。
さぞかしここは高い場所にあるのだな…
空気を胸いっぱいに吸う。ああ。気持ちよい。
視線を上空から地面へと落とす。湖が広がっている。
それはまるで水鏡のような…
「…凍っているだけか。」
まどろみの剣でつつく。氷が割れる。湖一面に氷が広がっているがおそらく乗ったら割れてしまうのだろう。
この地で何をしろというのか。友は語りかけてはくれない。
地図を眺める、人が集まりそうなのは三ヶ所。神殿…に、祠…に洞窟。
さて、如何したものか。湖の真ん中に島がある。おそらくここは南の湖の近くだ。
「ふむ、神殿とやらに、行ってみるか。」
なぜ、そう思ったか定かではない。とりあえず、進路を北にとった。

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタの城の中の旅の扉から新天地へ 行動方針:今のところ無し】
63バーバラ:02/11/25 00:39 ID:???
「ハァ、ハァ、何で…なんでわかるのよ!?」
バーバラは森の中で逃げていた。背後から誰かが追ってくる音がする。
感覚でわかる。さっきお姉ちゃんを殺したアイツだ。
でも、なんで?さっき巻いたはず。それに森の中なのに……
払いのけた枝から跳ねかえってきた白い粉を見て、バーバラは愕然とした。

(雪!足跡!アイツはコレを追ってるんだわ!)
なんで気がつかなかったんだろう。さっきから雪を踏みしめる音を聞いているのに。
原因がわかったからといって、どうしろというのだ。解決案が浮かばない。
何かこんな時につかえる魔法があったはず。頭を急速に回転させていたバーバラは不意に走る事をやめた。
「…うそ…でしょ……?」

バーバラはその場に座りこみそうになるのをなんとか耐えた。森を抜けたそこには、
青空がひろがっている。さっき見たのは間違い無い。森を抜けたそこは、切り立った崖だったのだ。
迂回ルートは無い。飛び降りるにしては高すぎる。引き返す事もできない。アイツが近づいてくる。
「どうしよう……誰か、誰か助けてよぅ」
自分の仲間とレナの事を考えながらあたりを見まわす。
しかし、無常にも助けは来ず、替わりにソロが森の切れ目から姿をあらわした。

「…ここで足跡が途切れているな」
(え?どういう事?私はここにいるわよ?)
バーバラは自分の手を見た。透けてない。月鏡の塔の時とは違う。
「…下に飛び降りたのか? ちっ。早く見つけ出して殺さないと…」
そう言い残してソロは森の中に戻っていった。
64バーバラ:02/11/25 00:41 ID:???
(どういう事?)
バーバラは不思議そうにソロの消えていった森の入り口を見つめた。
確か、前にもこんな事が…。
そうだ。今日の夜明けに、お姉ちゃんがやった、あのコワイおじさんに鉢合わせそうになった時。
お姉ちゃんが何か呟いて、そうするとあの人達が気付かずにいっちゃったんだ。

(お姉ちゃん。助けてくれたの?)
バーバラはやさしかったレナの姿を思い出し、次に雪の中で淋しそうなレナの事を思い出した。
バーバラは立ちあがり、もと来た道を引き返した。足跡と、レナの血痕を頼りに。

「…お姉ちゃん」
バーバラはレナの死体の前で座っていた。
「ゴメン。…私、何もできなかった。…私がヘンな事言ったから…」
バーバラの目に涙が浮かぶ。
「…ゴメン。…ゴメンね」

不意にバーバラの袋から、赤い光が漏れる。
「…これは……。町で拾った宝石……。」
宝石はゆっくり回転しながらレナの死体の上に浮かぶ。
「…一体なにが……」
そして宝石の光がレナの死体を照らし、頂点からレナの姿が浮かび上がった。
65バーバラ:02/11/25 00:48 ID:???
「お姉ちゃん…なんで……」
「ゴメンね、バーバラちゃん。わたし、死んじゃったみたい。
 これは私が残せる、最後のメッセージ。一度しか言えないから、ちゃんと聞いて」
「あなたを助けてくれる人は、ここから北にいる。でも、決して北西には行ってはダメ。
 あそこに行ったら、必ず良くないことが起きる。北東に行けば砂漠があるはずだから、そこを行きなさい」

「それと、これは私からのお願い。私のペンダントを、姉さんか、バッツという人に渡して。
 この中に、手紙が入ってる。…でも、バーバラちゃんは見ちゃダメよ」
にっこりと微笑みかけるせいで、バーバラの涙腺が壊れた。胸が、すごく、くるしい。
「二人に、大好きだって、愛してるって伝えて」
「…うん。わかったよ。お姉ちゃん」

「もう、時間がないわね。最後に、私のことを埋葬してくれるなら、この子を使って」
さしだしたレナの右手から、小さな、炎の鳥がうかびあがる。
「このコが、あなたを護ってくれるはず。このコを、私だと思って。」
鳥が小さくいななき、バーバラの胸に跳びこむ。熱くは無かった。
「もう、これまで、かな?バー、バラ、ちゃん、死んじゃ、だめよ、絶対、生き残って」
もう、声が出ない。何度も、何度も首を振る。
「ありが、とう。あなた、に、会えて、よかっ、た……」

赤い宝石が静かに光を失い、ゆっくりレナの上におちる。
バーバラはその宝石を取り、首にかかっていたペンダントを取る。
「…絶対、絶対約束護るから。…私、ちゃんとやるから」
バーバラは涙を拭い、立ちあがり、魔法を紡ぐ。

「クリスタルに込められし風の記憶。翼を広げ死者を導く不死鳥の御名。出でよ、フェニックス!」
転生の炎とは違う、雪をも溶かさない真紅の炎と、暖かい光の羽がレナを包む。
バーバラはレナを包みこんだ炎を、消えるまで見つめていた。

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャ―
現在位置:ロンダルキア南の森 行動方針:北へ・レナの遺言を果たす】
(ホイミンの核に特殊能力確認・バーバラがフェニックス(転生の炎無し)を仕様可能)
661/2:02/11/25 01:04 ID:???
ロンダルキアのほぼ真北の林の中でアリーナとアニーはさくさくと雪を踏みしめながら、
あても無く歩いている。
「心細いなぁ、やっぱり」
武器や防具は全て奪われてしまった。己の拳と体術のみで戦う格闘家、
本来、武具頼りの戦いを展開することは、ほとんど無いのだが、
それゆえに愛用の武具に対する思い入れ、こだわりは戦士のそれよりも強い。

(ちょっと寒いなぁ、あれを着てれば寒さなんてへいちゃらなのに)
と、思っていた木の枝にはためくピンク色の布が目に入る、あれはもしかして、
アリ−ナが気がつくと同時にそれは風で煽られ、ひらひらと彼女らの方へと飛んでくる。
そして彼女らの目前に落ちたそれは、
胸の部分になにやら紋章が入った、きわどいハイレグカット&臍だしスタイルのレオタードだった。
アリーナは慌ててそれを拾い上げ、自分の物であることを確認する。

「随分大胆なレオタードですね....はしたないです」
レオタードを見てアニーが嫌悪の表情で呟く。
「失礼ね!これでも私の長年愛用している立派な防具なのよ..ちょっと待ってて」
そう言ってレオタードを両手でしっかりと抱えると、そのままアリーナは木陰へと入って行った。

しばらくして、木陰で着替えを済ませて出てきたアリーナは、もう肌もあらわなレオタード姿だった。
鍛えられ均整の取れた美しい身体がさらにレオタードによって引き締められ、その美しさを
より一層際立てている。

しかし女性であるアニーにとっては、別に面白くもなんともないようだ。
「それがですか?」
と、明らかに疑いの眼差しを向けている。
アリーナ愛用の自慢の防具らしいが、正直こんなレオタードに防御効果があるとは思えない。
「ふふん、このレオタードはね、肉体の本来持つ感知能力を最大限まで高めてくれるの、
 それに魔法のバリアも張ってくれるから、下手な鎧より防御力は高いわよ」
672/2:02/11/25 01:05 ID:???
アニーは未だに疑わしい目で見ている。
「おまけに夏はひんやり冷たくて、冬はあったか....!!」
その時アリーナは何かに気がついたらしい、アニーの手を引き、林から出る。
と、同時にみしみしという音と共に彼女らが立っていたあたりの地面が陥没していた。

アリーナは地盤が緩み、木々の根がきしむわずかな音を、直接聞こえたわけではないが、
何らかの感覚として察知していたのだ。
「ね、さっそく役にたったでしょう?」
こうなってみればアニーも納得せざるを得なかった。

しかし助かったのはいいが、木陰にたたんで置いていたアリーナの服はマントを除き、
全て雪の中に消えてしまった、おかげで彼女はレオタード1枚にマントという、
とても恥ずかしい格好で、これから先、過ごさねばならなくなった。
もっとも、本人は気にしてはいないようだが....。

【アリーナ/王女アニー 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード /マンゴージュ 
 現在位置:ロンダルキア北部の林 
 行動方針:アニーを託せる人物を探す ソロを止める(倒してでも)/両親探し。クーパーも探す】

(流出アイテム 残り5個)
681/2:02/11/25 05:40 ID:???
「ぶえっくしょーーーーーーーーいっ!!!!」
突如くしゃみが響いた。
あまりにも無防備ではあるが、当の本人は全く気にしていない。
なぜならこの「ゲーム」に参加する気はもちろん、身を守ろうとする気はからっきしもないのだから。
どうせ死ぬならこの大地に抱かれて死にたい、そう考えていたのだ。
…が、とにかく寒い。
「ぶえっくしょーーーーーーーーいっ!!!!」
空に城を構えている王、ゼニスがもう一発派手なくしゃみをする。
辺りを見回す。ここはロンダルキアの中でも最も高い位置にあるようだ。
西に神殿、東の湖の島に一つ家が見える。
「おお!あれはたいそうな建物じゃな。」
ゼニスの目に留まったのは神殿のほう。民家のほうは目に入らなかったようだ。

692/2:02/11/25 05:40 ID:???
しばらく歩いた。ほどほどに体が温まってきた。
砂漠地帯を南に。ここから砂漠ではなく草地。そんな場所。
足元に感触がある。そう思ったときはもう滑っていた。派手にすっ転ぶ。
「な、なんじゃ?」
腰を強く打ったか、腰に手を当てて起きる。目の前にそれはあった。
それは光を放っていた。地面に無造作に放り出された巻物。手にとって…
…あれ?
「なんじゃ?この巻物?地面にぴったり張り付いて取れないわい。」
踏ん張って地面からはがそうとするもどうにもならない。
それは聖域の巻物。エビルマージの研究所から流れ出たもの。
この地に流れ着いたときはまだその効果を発揮してなかったがゼニスが踏んだ瞬間、その巻物は宙に舞った。
そして再び地面にその巻物が落ちたときにそれは発動した。
その巻物の近くに結界が張られたのである。
それは発動主であるゼニス以外は何人たりとも決して通さない結界。
いかなる善たる者も邪なるものも足を踏み入れることができない結界。
当の本人はそんなことは知ったこっちゃないが。
兎にも角にも、ここに一つ、何人たりとも足を踏み入れることができない“世界”ができたのである。

【ゼニス 所持武器:アンブレラ 現在位置:中央の山脈の砂漠地帯とその南の草地地帯との境界部 行動方針:ハーゴンの神殿へ 物見遊山】

(流出アイテム 残り4個)
(中央の山脈砂漠地帯と草地との境界線付近に聖域の巻物が発動しました。ゼニス以外は誰も足を踏み入れることはできません。聖域の巻物を燃やすなり何なりしない限り効果は永続します。)
701/2:02/11/25 11:58 ID:???
ロンダルキアの西南に位置するハーゴン神殿のいずこか、
うずたかく積まれたガラクタの山の頂上で、アークマージはゴキブリのように這いずっていた。
「おにょれぇ〜っ」
もはや、頭の中にあるのはただ憎悪と執念のみだ。
(ワシはまだ生きておるぞ、エビルマージよ....その手でワシを縊り殺すべきであったよな)

必ず生きて帰り、復讐を果たし、そして魔界の王になる。
妄執を動力源にガラクタの山を這いずる、アークマージであったが、やがて妙な音を耳にする。
「何じゃぁ?」
その音はアークマージへと近づいてくるようだ。
やがてキチキチキチキチという機械音と共に、3体のロボット-----キラーマシーンが姿を現した。
「イオナズン!」
完全に及び腰になっていたアークマージは思わず呪文を唱えてしまう。
強烈な爆発と閃光....しかしそれが晴れたとき彼が見たものは、ほとんどの損害を認められすに
相変わらず機械音を鳴らしながら、アークマージへと近づくキラーマシーンたちの姿だった。

よく見ると通常のキラーマシーンと違い、そのボディ全体にわたってルーンが彫られている。
そう、こいつらはプロトタイプ.....通常型を超える攻撃力と、魔法に対しての防御力を持つ
もし生産性やその他諸々の問題で開発が見送られる事無く配備されていれば
ロトの勇者たちを、より窮地に追い込んだことは言うまでも無い。
そうこうしている中に、彼らはアークマージの周囲を取り囲む
「ひいい」
情けない悲鳴を上げて、アークマージは頭を抱える。
ワシはここで死ぬのか.......。
だが、そんな絶望的な気分のアークマージへと彼らは意外な言葉を発した。
712/2:02/11/25 12:03 ID:???
「Master Command Please」
「?・・こいつらワシを主人だと思っておるのか?」
「Command Please Master」
「やはりそうか....ふふふ」

偶然とは恐ろしい、アークマージが転移した時の衝撃で、廃棄状態だった彼らの命令認識システムが初期化され、
結果、アークマージを主人として登録するという奇妙な事態が起こっていたのだ。
「ならば皆殺しじゃあ!エビルマージよ、貴様のシナリオ通りに事は進ませんぞ!」

無論、彼はここがどこで、そして外がどうなっているかなどと、知る由もない。
しかし、それでも何か怒りのぶつけどころが欲しかったのだ。
「Yes Master」
命令を受けて、キラーマシーンたちはそれぞれの配置につく。
こうして3体の殺戮機械が野に放たれたのだった。
723/2:02/11/25 12:05 ID:???
プロトタイプキラーマシーンが3体、起動を開始しました。
A.B.Cの3体の中で
Aはロンダルキアを巡回し、Bはハーゴン城外、Cは城内を守っています。

武装
右腕に高周波ブレード、左腕にオートボウガン、ホバーで移動。

装甲
特殊な金属で出来ており、地火風水のいわゆる元素の力を必要とする呪文に関しては
ほぼ8割を無力化させ、微妙な曲線を描いたボディは刃を滑らせ、弾きます。
その反面打撃に弱く、当たり所が悪いと、
熟練の戦士のキック一発で機能を停止する場合もあります。

また、元素の力を必要としない、無属性の攻撃呪文やルナカン・スロウといった物理的な効果の呪文は有効です。

行動パターン
温度センサーによって敵の体温を察知、追跡し、
1度ターゲットとした相手を完全に見失うまでひたすら追跡します。

また常に単独行動を取るため、2体同時の行動はほとんどありえません。
アークマージの魔力を遠隔感知し、それを動力源の1部としているので
アークマージを倒せば行動を停止します。
731/3:02/11/25 12:33 ID:???
《午前8時20分前後》
「……お早う。」
「…おはよ。」
…何が「おはよう」なんだろうと思いつつ、バッツは寝ぼけた頭を降って起きあがった。
ぐっと上半身を起きあがらせた次の瞬間には、もうすでに意識は覚醒している。
…狭い、石畳の殺風景な部屋。その隅っこの方に寝ていたみたいだが…。
ぐるりと頭を巡らすと、こっちに駆け寄ってくるクーパーと、つい今さっきまで(バッツの感覚では)背負っていた少女。
それに見知らぬ青年と少女の姿も見えた。
こっちに駆け寄ってくるクーパーに右手を上げて挨拶し、自分の近くに座っている緑の髪の少女に笑いかけてやる。
「おお、気がついたのか。ええと…。」
「リディア。私、リディア。」
「そっか、リディアちゃん、よかったな。」
バッツの笑顔に、リディアは精一杯の笑顔で答えた。バッツも、もう一段階笑顔を明るくしようとして…。
「バッツ兄ちゃん、起きたんだ!」
クーパーの声に遮られた。
何となく、リディアとの笑顔の交流を妨げるような意図がある感じなのは気のせいだろう。きっと。
「ああ、起きた……いつから眠っちまったのかわかんねぇけど。」
「ずいぶん寝てたよ。もう次の場所に移動したんだ。」
そんなに寝ていたのか……。
「悪いな。苦労かけた。」
「ううん。ゆっくり移動したおかげで知ってる人にも会えたから。ピピンって言うお城の兵士なんだよ!エーコって言う女の子も一緒でね!それで…。」
「ん、大体分かった。」
クーパーの言葉から大体の状況を把握して、バッツはすっくと立ち上がった。
そのまま見知らぬ男…ピピンとエーコの方に歩み寄ると、軽く手を挙げて礼を言う。
「なんか…クーパー達を助けてくれたみたいだな。サンキュ。」
「いえ…実を言うと私もクーパー様に助けてもらったんですよ。兵士として情けない事です。ホントに。」
742/3:02/11/25 12:34 ID:???
「クーパー…様?」
バッツの疑問の声…ピピンが予想していたのとは違う場所に疑問点を上げられて、ピピンは一瞬戸惑って…すぐに意味が分かって笑った。
「クーパー様はグランバニア王室の王子であらせられます。普段はそんな事気にも止めてないみたいですけど。」
ピピンの隣に座っていたエーコが、ウソぉ、と声を上げる。
だがバッツは「ふーん…。」と生返事を返しただけだった。周りが王女様だらけだったので、そう言う感覚が麻痺してしまったのだ。
クーパーもそう言う事を気にしていないのなら、別に対応を変える必要も感じないし。
ふと、泳いでいたバッツの視線がピピンの脚で止まった。
めくり返したズボンの下の脚が、赤く腫れ上がっているのが見えた。
「おい、ひょっとして…。」
「はい、足が折れてるんです。エーコちゃんの呪文のおかげでだいぶ良くなりましたけど。」
と、ピピンがそう言って脚をさすった。
(…脚…か。)
バッツが一瞬思案する。
今は三日目。人数は五人で内3人が子供。一人が負傷…。
ぎり…と歯がみする。
もうすこし早めにレナ達を捜索して、見つけだしておくべきだったか…。
もう三日目、人数はどれくらいだろう?二人は生きているのか?確かめようにも、ピピンの脚がこれでは動く事も出来ない。
「大丈夫…か?」
「はい、もうしばらくすれば、動けます。」
ピピンは答えて、立ち上がった。とんとんと軽くジャンプしてみせる。
むう、としばらく考え込んでから、バッツは何となく狭い部屋…ロンタルギアの祠の外に出た。
753/3:02/11/25 12:36 ID:???
つめたい外気。凍てついた風。足の踝までが埋まる。ほとんど隙間無く生えた樹木のせいで、3メートル先も直視できない。
ロンタルギアの大地を踏みしめながら、バッツは慎重に辺りを観察した。
どうやら、ここは狭い島のようだが…。
そう思いながらバッツは振り返って…唖然とした。祠が無い。
ついさっきドアを開けて出てきたはずなのに、彼の真後ろにはただ森が広がっているだけで…。
何となく、つい今さっきまで祠のあった空間に手を伸ばしてみる。
じゃりっと、石壁の感覚が掌に伝わる。しっかり見なければ分からないほどに、祠は周囲に溶け込んでいた。
「カモフラージュにしても凄いな…全然分かんなかった…。」
呟きながら、バッツは『何もないように見える』空間を手探りでまさぐった。
その内に、ドアのノブが手に触れて、ソレを引っ張るとがちゃりとドアが開いた。

ロンタルギアの祠は、魔性のモノを退けるべく周囲と同化する呪文がかけられている。
ロトの血を引くモノ以外が見ても、それは周囲に溶け込んでほとんど分からなくなってしまうのだ。
全然分からない、と言うほどでもないけれど。

【クーパー/バッツ/リディア/エーコ/ピピン(脚を負傷。ほとんど回復)
 所持武器:天空の盾、ロングソード/ブレイブブレイド/なし/なし/なし
 現在位置:ロンタルギアの祠
 行動方針:とりあえずアリーナ(アニー)を探す。レナ、ファリスを探す。/父親、アニー探し/セシルを探す?/仲間探し】
761/2:02/11/25 12:40 ID:???
魔王ゾーマ城の一角。エビルマージの研究室と王の間へと続く通路。
そこをゆっくりとしたペースで歩きながら、エビルマージは一人眉をしかめながら歩いていた。
何しろ丸々1日半、仕事を…ゲームの管理をサボってしまった。
究極生物の研究と、アークマージの抹殺に熱中していたためなのだがまさかゾーマにそんな報告はできまい。
言い訳しなければゲームの仕事から外される。外されれば、これまで以上にゲームに『干渉』しにくくなるだろう。
かと言って正直に話せば、あの大魔王の手で体も心を無へと消し飛ばされてしまうだろう、が…。
(まあいい…ゾーマもある程度は知っているはずだ…ある程度は。)
自分が『何か』を企んでいる事をあの大魔王は知っているはずだ…『何か』の正体に気づいているとは思えないが。
まあ、事実に多少のアレンジでもくわえて報告すればいいだろう。
ゾーマは、少なくとも今のところは自分を泳がせておくつもりだろうから。
エビルマージは王の間に向けて歩いていった。

暗黒の王の間、その真ん中にうずくまる巨大な玉座。
その玉座に鎮座する存在はゾーマと呼ばれている。今は。
ゾーマ、永劫の時間に存在し続ける彼は今、笑っていた。
彼の目の前の水晶玉にはふてぶてしい顔のエビルマージの姿があった。
全てを知っているゾーマにはソレが滑稽で、思わず笑いを漏らしてしまう。
とても珍しい…と言うよりは、絶対にあり得ない事だが…ゾーマはそのように笑っていた。
「エビルマージのヤツめ…思ったよりも肝が据わっているようですな。」
足下のバラモスゾンビは、こちらはエビルマージの態度が気に入らないようだ。
「かまわん…。最後にこの闇の大地に君臨するのはこの儂だ。」
ゾーマの顔から笑みがすっと抜け落ちる。
「…下がれバラモス。ヤツにお前の事に気づかせる訳にはいかんのでな…今のところは。」
「は…。」
バラモスゾンビが一歩、闇の中へと下がる。
そのとたん、その巨体は闇に解けて消えた。
772/2:02/11/25 12:43 ID:???
「くあぁぁ〜…。」
ゾーマ城の一角、エビルマージの研究室の前で、巨大な動く石像が大きな欠伸を一つした。
扉を守ると言うただ一つの目的のために作られた彼は今…疲れていた。とても。
エビルマージは秘密の研究をしていて、ちょっと覗こうとしただけで半殺しにされるし、
少し前にはいきなりアークマージが訪ねてきてやっぱり殺されかけた。
おまけになにやら悲鳴も聞こえてきたし…。
「ゾーマ様にも言えぬ秘密の研究…か。」
動く石像はポツリと呟いて、忠実に己の仕事を続けた。

…だから、気づいていなかった。研究室の水槽の中の、変化に。
その水槽の真ん中に浮いている肉塊の変化に。
ソレは、様々なモノから出来ていた。
『生命でない力』から、『悪意の結晶』から、『無を呼ぶモノ』から、違う世界の『大魔王』の躯から。
メインとなっているのは『生命で無い力』アルテマウェポン。そして、ゾーマの手駒魔王バラモス。
しかしバラモスは生きて…『存在して』いる。
エビルマージより忠実な手駒として、ゾーマがアンデットとして復活させたのだ。
では、エビルマージが水槽の肉塊…彼曰く「究極生物」に使われたバラモスの躯とは、いったい何だったのか?
ソレは、卵だった。ゾーマに取ってもっとも邪魔で…不必要な存在、『龍の女王』の卵。
変化の呪文を使ってソレっぽく見せかけるだけで、ものの見事にエビルマージは騙された…まあ、その当時はばれていないと言う自負があったからだろうが。
…邪魔な存在である龍の女王の子の消去と、エビルマージの究極生物完成の阻止…ソレが目的だった。

だが、限りなく全能に近いゾーマであっても、真の『全知全能』ではあり得なかった。
遠い未来、龍の女王の子がどうなるのかを知り得なかったのだから。
…すでに卵は孵り、肉塊と一つになって成長を続けている。
それは、今より未来に『竜王』と呼ばれる事になる。大いなる畏怖を込めて。
781/2:02/11/25 13:16 ID:???
夜、港から見えた光景.....それは炎に包まれるアルブルグの街
その炎を見ながら俺はエアリスとティファのことを思い出していた。
そして朝、あの2人がまだ死んでいないことを知って、心から安心している自分に、
気がついたんだ。だから....

「それで2人を探そうと思ったわけか」
「ああ....」
ロンダルキアの中心に位置する砂漠、そこの岩場に腰掛けて、エッジとクラウドは話しこんでいる。
お互いの知っている限りの情報を交換しあった後、急にエッジがにやけ顔でクラウドに話を振る。
「で....お前は結局エアリスとティファって娘とどちらが好きなんだ?」
「そ、それは」
口篭もるクラウドには構わず、エッジは話を続ける。
「迷う事ねぇと思うけどな」
エッジはまだティファには会った事はなかったが、エアリスとはしばらく行動を共にしている。
だからどうしてもエアリスに肩入れしたくなってくる。

それにその時、彼女は言葉にこそ出さなかったが、クラウドに並々ならぬ思いを抱いている事は、
この手のことには基本的に鈍感なエッジにも理解できたし、片思いの切なさは痛いほどわかっているつもりだ。
だから煮え切らないクラウドを見ていると、エッジは苛立ってくる。
792/2:02/11/25 13:16 ID:???
うつむき加減で、黙り込んだままのクラウドを見て、エッジは何やら考え込んでいたが、
やがてクラウドの手をおもむろに掴んで立ちあがる。
「よし、決めたぞ、俺はお前をどんなことがあっても、エアリスなりティファの所に連れていく」
「お、おいアンタ....」
「もう会えねぇかも知れないんだぜ、お前がどちらを選ぶのか知らないけどよ、ちゃんと、
 言ってやらなきゃいけねぇだろうがよ、答えを」

まったくとんでもないお人よしのお節介焼きだぜ、俺は.....
俺だってリディアに会わなきゃいけねェのに。
心の中でそうぼやきながらも、エッジはクラウドの手を引いて北の方角に進んでいった。

【エッジ/クラウド:所持武器:忍者ロング/ガンブレード 現在位置:ロンダルキア中心部の砂漠 
 行動方針:仲間(リディアたち)を探す】
80孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/11/25 13:37 ID:???
ドラゴンボールZ
フジ(関東)で毎週月曜16:30〜放送中!!

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と〜けたこおりのな〜かに〜♪恐竜がい〜たら〜たまのりし〜こ〜みたいね〜♪
>>79の最後は間違い。
 
【エッジ/クラウド:所持武器:忍者ロング/ガンブレード 現在位置:ロンダルキア中心部の砂漠 
 行動方針:仲間(エアリス&ティファ)を探す】
82孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/11/25 13:55 ID:???
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83孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/11/25 14:12 ID:???
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841/2:02/11/25 19:28 ID:hkrC/qHG
「散っていった多くの同朋の為に、教団の栄光の為に、ロンダルキアよ、私は帰って来たぁ!」
「??」
「お約束だ、気にするな。」
ここは神殿の一角にあるわしの執務室、その荒らされた部屋の窓際に我々はいる。
それにしても今日は暖かいな、こんなに暖かいのは夏でも滅多にないだろう。
「紙は幾らか残ってるな、授業に入りたい所だが、その前に…」
「……」
ああ、その事か。
『構わんよ、どうせわしの手の内は奴に知られておる、知識としてはな。』
そう書いた紙をマゴットに見せるとわしは素早くそれを飲み込んだ。
普通このゲームに放り込むなら相手の手の内ぐらいは把握しているに決まっているだろう?
特にわざわざ蘇らせるような相手に対してはな。
後はその相手の手を封じる手段を用意しておけば良い、逆にそこまで判っていれば裏をかく方法など幾らでもある。
「さてと…」
執務室の机の上にあった水晶玉に手をかざす、遠見の水晶の類だがコマンドワードだけで動く様になっている。
「ふむ……」
範囲は神殿内部の対応する水晶のある場所だけなのはまぁ仕方あるまい、まずは書庫の様子を見る。
「ぬぅぅぅぅ!」
殆どの書物が焼かれていた、壁に大きく炭で『アーサー参上!』などと書かれてある。
「この分だと一階の幻術も破られたままか、人影は無い様だが…」
全ての水晶を点検してみたが稼動しているのは半分以下、人影も無いが機械が一つ。
うん?あんなものを出してどうするつもりだ?あれが参加者を全滅させてしまっても良いのか?
わしと同じ意味である可能性も有るが、だったら最初から放てば良かろうに。
「一応会ったら自爆コードを試してみるか、基本構造までいじった形跡は無いから
どうにでもなるな。」
852/2:02/11/25 19:49 ID:???
「結局、お前の知り合いとは会えん様だな、千載一遇の好機だと思ったのだが。」
「???」
理由はまだ言わない方が良いだろう、ただ事実だけを伝える。
「先程の戦闘の影響だと思われるが、わしの魔力の使用期限が更に短くなった、今日を含めてあと二日ぐらいだ。」
「!!」
だからこそ、戦力を補充したかったのだがな。
「それにあの四人組の件もある、戦力はなるべく増やしておきたい。」
実際あの四人…スライムが戦力になるとは思えんから三人がべホマスライムと組んだら我々に勝ち目は無かっただろう。
何故有利な状況で逃げたかは理解に苦しむ所では有るが。
「さて、授業に入るぞ。」
扉の近くの水晶に遠見の水晶をあわせてわしの授業が始まった。
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:神殿内の執務室 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 
現在位置:神殿内の執務室 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
※授業中
86ライアンとか:02/11/25 20:33 ID:???
「…ねえ、ここ、さっきも通らなかった?」
この台地に降り立ってから三時間。ルーキー達は思いっきり道に迷っていた。
「たぶん、そうでござるな。足跡も残っているでござるし」
「う〜ん。この森、なにか魔力でもかかってるのかな?」
抜群のサバイバビリティを持つとんぬらでさえ惑わされるほどだ。

密林の枝には重く雪が積もり、木々の隙間から見える青空は小さい。
地形は平坦な部分の方が少なく、崖や壁にいくどとなく出くわす。雪の台地に根付く森は
魔の地に相応しい死の樹海。時々見かける巨大生物の白い骨がこの森の厳しさを垣間見せる。
「…これで雪でも降り出したら抜けられなくなるかもな」
「やめてよ」

さすがに冷えるのでライアンの肩の上に乗っているルーキーはブルッと体を震わせた。
「あ〜あ、前の町でぼくも毛皮持ってくるんだった」
ルーキーはうらやましそうにとんぬらのマントを見る。アレを着てても十分寒いだろうが。
「これこれルーキー殿、コレくらいの寒さで音をあげてちゃいけないでござるよ」
神経切れてんじゃないんか?このおっさん。ゾンビ状態のアイラさんはともかく、このおっさんは
雪国では目も疑うような露出度の高い鎧をしているのに、寒そうなそぶりは一切見せない。

「ハハハ…。あれ?森をぬけたようだよ」
薄暗い森の中を照らす、とても強い光が木立の間から漏れる、
一同は森の外に出て、絶句した。
「…ここ、スタート地点、だよね?」
「たぶん、そうでござるな。足跡も残っているでござるし」
森の中の、少し開けた空間。ここには木々の屋根が無い為、光が満ちていた。
ご丁寧に空間の真ん中から森の中に続く足跡も残っている。
87ライアンとか:02/11/25 20:34 ID:???
「あ〜も〜!!」
ルーキーは思いっきり雪の中にへたれこんだ。
「なにか対策を練らなきゃなぁ」
「う〜む。しかしワシはこういう事には専門外でござるしなぁ」
二人があーでもないこーでもないと話をしている最中に、雪の中で寝ている
ルーキーの真上の空間が歪んだ。

「…ん?」
ルーキーはなんとなく自分の頭上を見上げた。―――デジャ・ビュ
ぽっかり開いた穴の向こうから、物凄い速度で金槌が落ちてきた。
「どひいいいいいいぃ!!!」
ルーキーは叫び声をあげて、身をかわす。森の方に。しかし、それがいけなかった。

金槌はなんの抵抗も受けないまま地面に接触し、激しく地面を揺らした。

「…イタタタ。ライアンさん、大丈夫ですか?」
たまらず転んでしまったとんぬらは身を起こしながら問い掛ける。
「うむ。大丈夫でござるよ」
ライアンも立ち上がる。アイラは無言で立ちあがり、髪についた雪を払う。
「…うーん、なんでハンマーがぼっ」
身を起こしかけたルーキーに、木々に積もった大量の雪がルーキーごと地面を埋め尽くした。

「おーい、ルーキー殿〜、生きてたら返事するでござる〜」
森の開けた場所にいて雪に埋もれなかった三人は、懸命にルーキーを探していた。
そこら中掘り返したが見つからない。早くしないと死んでしまうだろう。
誰もがあきらめかけたその時、雪の下からのびた炎の息がちょうどそこにいたライアンを包みこんだ。

「ケホケホ。あんな死に方じゃ、死んでも死にきれないよ」
自分で雪を溶かして出てきたルーキーは、となりでとんぬらの回復魔法を受けている
ライアンを見ないように呟いた。
「いやあ、ルーキー殿が無事でよかったでござる」
この人がこういう人で良かった、とルーキーはつけたしておいた。
88ライアンとか:02/11/25 20:35 ID:???
「ん?アイラさん、どうしたんだい?」
アイラがじっと、積もった雪を見つめていた。よく見ると、そこが微かに揺れている。
「…いったい何でござろうか…ム!?」
ライアンが言い終わる前にソレは姿をあらわした。

しかし、姿をあらわしただけだった。ソレは一抱えくらいの大きさの、
瞳を思わせる紋様を彫りこんである球状の物体。少し浮かんで、そのまま動かない。
「…なんでござろう、あれ」
ライアンが回収しようと近づき、手を伸ばす。ソレはあっさり捕まりライアンの腕の中に浮かんでいる。
「なにか魔法がかけてあるようでござるが」

「……このパターンはたぶん、マヌーサのようだけど」
「うん。ぼくもそんなカンジがする」
二人はライアンから手渡された球体をいろいろ弄くり回す。
「…なかなか高度な魔道技術だね。……設置されてだいぶたってるみたいだ」
「だとすると、コレを壊せばこの森からでられるの?」
「たぶん。やってみよう」

とんぬらは球体の隙間に剣を当て、一瞬で縦に貫く。
爆発するかと思ったが、その球体は魔力を失い小さなノイズをたてて瓦解した。
「強度はそんなでもないみたいだ。地面にぶつけても壊れるんじゃないかな。
 木の上にあればそうそう発見される事はないだろうからね」

「…でも、こんなのが何個もこの森の中にあるの?」
「ずいぶん昔のモノみたいだから壊れてるモノもあるんじゃないかな?」
「なに、迷った時はまた同じ事をすればいいんでござるよ」
ライアンはいつのまにか拾ってきたハンマーを片手で軽々と振りまわしている。
「……やめて。また生き埋めになりたくないよ」
89ライアンとか:02/11/25 20:38 ID:???
ルーキーは特別暗い声で言った。とんぬらも曖昧な笑みを浮かべている。
「大丈夫でござるよ。操作もそんなに難しくないでござるし」
「…なるべくアレを使ってもらわないようにしないとね」
「…うん」
なんども試し撃ちをしているライアンを横目に、二人はため息をついたのだった。

【ライアン/ルーキー 所持武器 大地のハンマー/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:台地の北中央の森 行動方針 仲間を探す】
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:台地の北中央の森 
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う アイラの呪いを解ける人を探す】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 現在位置:台地の北中央の森 
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
(フライパン×2は放置) (流出アイテム 残り3個)
(森の中に妨害装置確認  範囲は一マス  強度 弱  数はそんなに多くないかも)
901/3:02/11/25 23:35 ID:4S5yLfma
ロンダルキアの大地は、これまでにない寒さであった。
水の巫女たるエリアにとって、それはある種心地よいものであったかもしれないけれど、
先ほどの悲劇、すなわちファリスの夭折から、自身の無力さにひどく慚愧の念に駆られていた。
物陰ひとつない白銀の寂寥たる世界もまた、それに拍車をかけている。
とはいえ、いつまでも悲しんでいるわけにもいかない。
今自分を惨めな思いにさせている今は亡き彼女は、決してそのようなことを望んでいないだろうし、
エリア本人もまたこれ以上ただ悲嘆にくれることは嫌だった。

一方彼女と同じ時を過ごしたロックはといえば、現在その思考は遙か別の世界へ向かっている。
今になって再び、かつての仲間たちのことが彼の頭を擡げてきたのだ。
彼はこのゲームにおいて、身近な人物の死というものを初めて見た。
これまでにも散々見てきた筈であったのに、それとはまた違う不思議な感覚が彼の身体を駆け巡っている。
それはまさしく、『不安』に相違ない。
どこかにいる筈の仲間は、果たして今何をしているのか、まだ生きているのか、そのような思いが彼の頭を占領しており、
なんといっても自身の死への恐怖さえ彼の心に本格的にわき始めたことは否定する余地がない。
思えば、彼の仲間たるセッツァーの訃音を聞いたとき、いったい自分は何故平然としていられたのか不思議で仕方ない。
自分は何をすべきなのか、彼はここにきてようやく真剣に考え始めたのだ。

そんなロックを忖度してかどうかは定かではないが、
比較的早く心の整理のついていたエリアは彼に話しかけることはなかった。
ただ、目を瞑って、あたりを警戒している様子であった。
だが、ついに沈黙を破るときがきた。
エリアは「あっ」と短く叫んだ後、逡巡し、ゆっくりと言ったのだ。

「水の反応が、消えました」
912/3:02/11/25 23:36 ID:???
その瞬間、飛んでいたロックの思考は戻り、目を見開いて絶叫した。

「なんだって!?」
「違いありません。つい先ほどまで感じることができたのですが…」
「…じゃあ、それは、つまり、その、なんだ…」

エリアはこれ以上なにも言わなかった。ただとても、暗い顔をしていた。
北に風を感じ、西には土を未だ感じるが、水はない。これが意味することは――

「北に行きましょう。まだ、風の反応があります。西にも土の反応がありますが、ここからはだいぶ遠いですし」
「…ああ、わかった」

ロックは暫くの間なにか考えたあと、言った。
本来ならもっと慌てふためく状況であるのだろうが、不思議と落ち着いていた。


二人はそのまま無言で歩いていたが、ふとエリアが怪訝な表情になって立ち止まった。

「どうしたんだ?」
「…いえ、なんでもありません」

ロックは妙な顔をしたが、「そうか」とだけいって再び歩き始めた。
エリアが立ち止まった理由――それはひどく奇妙なことに、
以前とはまったく違う、しかし他ならぬ水の反応がまた感じられたからだ。
ただ、それはとても弱く、ちょっと気をぬくとすぐに感じられなくなってしまう。
以前の人物とは違うことは明らかだった。
それが何故かはエリアにはわからなかったが、なにか恐ろしいように思え、
ファリスの意志に反するかもしれないが、まず北へと向かうことにした。
気になることはその水の反応は存外自分たちの近くにあり、
さらにそれは北、つまり自分たちのほうへと向かっていることである。相変わらず、反応は弱々しい。

エリアは地平線まで続く白銀の世界に終わりのあることを祈りながら、ただただ歩いていた。
923/3:02/11/25 23:36 ID:???
【エリア/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水1,5リットル・小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド・クイックシルバー フィアーの書×7
 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の端の雪原
 行動方針:クリスタルの戦士との合流(ロックは今行動方針についてやや考え直していますが、基本的にはファリスの意志を継いでいます)】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)


ageてスマソ
見える。次の大地が──
オルテガは呼吸を整えて大地に降り立つ。
降り立った衝撃は微塵もない。雪がクッション代わりだった。
ほぼ同時にオルテガを追ってきたチョコボも降り立つ。
「…全く、お前というやつは…」
クェー…とないて顔をオルテガに摺り寄せる。
やれやれといった顔でオルテガはチョコボの頬をなでる。
「さて、どうするか。」
前を見る…水。右を見る…水。左を見る…水。
考えたくもないが後ろを見る。
…やっぱり水。
ここはどうやら湖に浮かぶ孤島。やれやれといった様子だ。
どうしようか。そう思っているうちにあるものを握り締めている自分に気がついた。

覆面。

次の瞬間ロンダルキア中になんともいえない叫びが響いたのであった。

「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」
見る人が見たならこう言うだろう。「マッスルダンス」と。
一通り踊りきった後高く跳躍する。
「クローーースッッ!!!!アウツッッッ!!!!!!!」
三回転半ひねり。それを見ていたチョコボが楽しそうに嘶く。
「行くぞ!」
「クェーーーー!!!!」
オルテガは颯爽とチョコボに飛び乗る。
「東だ!そこに向かうぞ!」
チョコボはそれを聞くと湖の中に飛び込んでいった。

【オルテガ(あらくれ状態) 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:南の湖、島から東に約二マスくらい 行動方針:東へ】
(チョコボが一匹います。オルテガを乗せて湖を渡ってます。)
数分後。だれもいなくなったはずの孤島に何者かの人影が現れた。
それはついさっきこの島を出ていったはずのオルテガであった。
島を回り、脱ぎ散らかした自分の衣服を集め、いそいそとたたんでいる。
変身が解けた時、覆面マントにパンツだけでは相方がカワイソウだとおもったからだ。
変身直後のハイテンションも少しだけ冷め、オルテガはある事に気がついた。

「そうか。泳がなくても氷の上を走れば良いではないか」
ひとしきり高笑いをあげ、気合の声をあげて高く跳躍をしチョコボに飛び乗る。
「いくぞ!」
「クェーーーーー!!!」
そしてチョコボは氷の上を走り出した。

そばで死にかけている二人に気付くには、まだまだテンションが高すぎた。

【オルテガ(あらくれ状態) 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:南の湖、島から東に約二マスくらい 行動方針:東へ】
ここはハーゴンの城の一室。
そこではマゴットがかなりのスピードで本を読んでいた。ハーゴンが言うには、
「兎に角、この本を理解できなければ話にならん。正午までに覚えろ」
との事だ。当の本人は机の上でよくわからない物をいじっている。
不意にハーゴンの顔に笑みが浮かんだ。ハーゴンは立ち上がり、言った。
「マゴット。授業は中止だ。着いて来い」

「???」
二人は長い洞窟の中を歩いていた。城の中からのびた、おそらく隠し通路というモノだろう。
「だまってついて来い。仲間がみつかった」
「!!!」
「だまっておれといったであろう。着けばわかる」
「………」

どのくらい歩いただろうか。不意にハーゴンが立ち止まり、簡単な呪文を唱える。
すると頭上の岩盤が裂け、そこから光が漏れた。

「………」
「ここか?地図で言うとここだな。」
ハーゴンは地図の一点を指差す。そこは城から南東、湖に浮かぶ小島だった。
「………」
「まっておれ。占いによるとここらヘンに…」
程なくして二人は死にかけているジタンとビビを発見した。
「やはり酷いな。マゴット、べホマだ」
マゴットはうなずくと二人を回復する。彼女の実力もあって二人はすぐに危機的な状況を脱した。
「一寸見せてみろ。なに、我が教団の簡単なまじないだ」
不思議そうな顔をしているマゴットを手で制して、二人の首筋に複雑な紋様を彫りこむ。

「これでいいな」
ハーゴンは呪文を呟き、一回手を叩いた。すると二人は立ち上がり虚ろな瞳でハーゴンを見る。
「…………」
「まだ目を覚まさんようだ。こいつ等を城まで運ぶのはちと骨だろう」
もちろんそれだけの術ではない。心配そうな顔をしているマゴットを口先三寸で丸め込む。

「では我が城に戻るぞ。授業はまだまだ先が長いのだ」
「………」
そしてハーゴンは、ジタンとビビを引きつれて城に帰っていった。

【ジタン(人形)/ビビ(人形): 所持アイテム:仕込み杖/ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路 
 行動方針:?】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
971/2:02/11/26 01:00 ID:???
荒涼とした丘の上でエドガーは腰を下ろすと、
バックの中からマランダの道具屋から持ってきた工具を使い、自分の支給武器である、
ボウガンの改造に着手していた。
「連射機能は無理としても射程や威力に関しては改造の余地がまだあるはずだ...うん?」
自分の背後で何か様子をうかがうような気配を感じる、エドガーは鏡状になっている、
工具箱のフタで背後の風景をそっと確認してみる....と、そこにはまだ幼い少年が映っていた。

エドガーの顔に一瞬緊張が走るが、すぐにもとの表情に戻る。
敵かと思ったが、この少年は自分の気配を押さえる術もまだ知らないようだ、それでいて
必死で隠れている様子が、エドガーには何だかほほえましかった。
「かくれんぼは楽しいかい?」
エドガーは振り向くと少年が隠れている、背後の木陰に向かって声をかける
と、わっ!という声がして、木陰ががさがさと揺れる。
そこをすかさずエドガーは木陰へと滑りこみ、少年の肩を掴む。
「おっと、捕まえたぞ」

必死でもがく少年だったが、その時その腹がぐぅ〜と大きく鳴る。
それを聞いてエドガーは笑顔でパンを少年へと差し出す。
「腹が減っているんだろ?ほら」
だが、少年が無言でパンを手に取ろうとしたとき、エドガーはパンを持った手を少年から離す。
「ママに教わらなかったかい?何かをしてもらったときは”ありがとう”だろ?」
「うん....ありがとう、僕はテリーって言います、おじさんの名前は?」
ありがとう、を聞いてようやくエドガーはテリーにパンを渡す。
「良く出来ました、けれどな俺はおじさんじゃないぞ、おにーさんだ。俺の名前はエドガーだ。」
「うん、わかったよ、エドガーおじさん」
982/2:02/11/26 01:01 ID:???
ちょっとだけ溜息をついて、また工具をいじりはじめたエドガーの隣で、
無言でしばらくパンをもふもふと食べていたテリーだったが、不意に口を開く。
「所でおじさんって、強い?」
「ああ、弟には負けるが強いぞ」
「だったら僕に戦い方を教えてよ、僕には倒さなきゃいけない相手がいるんだ」
その言葉を聞いてエドガーの目が鋭く輝いた。
「理由がありそうだな、正直に話せば考えてやらんでもないぞ」
「なるほど....」
テリーは自分が見たまま、聞いたままのことを包み隠さず正直にエドガーに語った。

セッツァーの死を聞いたとき、エドガーは一瞬叫びたくなったが、すぐに思いととどまった。
アイツの死を涙で送るのは似合わない、そう思ったエドガーは、
空に向かって餞のワインを振りまいたものだが、
まさかその最期を演出した当事者の1人にお目にかかれるとは思わなかった。

「おじさん、いいでしょう、僕は絶対仇を取るって決めたんだ」
「そうだな....」

確かにこのまま放っておく訳にもいくまい、
ティナはおそらくバカ正直にテリーに殺されてやるつもりであることは間違い無い。
それでは何の解決にもならない、いや、だからといって自分が出来る事など無いに等しいが.....
ならば、その無きに等しいことだけでも、とりあえずはやろうではないか。
そう思ったエドガーはテリーへと優しく微笑む。
「いいか、おじさんがこれから言う事をちゃんと守れるのならおじさんが戦い方を教えてやろう」

「一つ、その女の子に出会ったら、おじさんの名前を名乗った上で、必ず正々堂々と戦いを挑む事」
「一つ、女の子にも本気を出してもらうよう必ず頼む事」
「一つ、もしもおじさんが途中で死んでも、殺した人を憎んだり仇を取ろうとか思わないこと」

とりあえずテリーの憎しみを取り除く事は出来なくとも、暴走だけは押さえなくては.......。
あとはティナの行動にかかっているが、こればかりはその場にでもいない限り対処はできない。
993/2:02/11/26 01:03 ID:???
テリーは予想外の言葉に戸惑っていたようだが、やがて唇を引き締めて強く頷く。
それを見てやや複雑な表情でエドガーもまた頷くのだった。
(とりあえずティナを探さないことには話にならんな......)

【テリー/エドガー 所持武器:チキンナイフ/ボウガン&天空の鎧(装備不可)
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 
 強くなりたい/魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する、ティナを探してテリーのお守】
「ここがロンダルキアかあ。本当にあたり一面山と雪ね。」

ティファは木越しに見える雪山を見てそう思った。

「あ、山の向こうに何か見えるなあ。何だろう、よく見えないけど。傷が癒えたら行ってみようかな。」

ティファは視線を南の方に移した。すると20m程先に腕輪が落ちている。

「何かしら? 腕輪? どうやら邪気はなさそうだけど…。」

彼女はしばらく悩んでいたが自分のカンを信じることにしたようだ。
腕輪をつけてみる。

「ん?」

体が躍動感に満ち溢れてくる。ためしに蹴りを放ってみる。シュッ。
いつもより素早い蹴りが繰り出された。今度は正拳突きを出してみる。シュッ。

「やっぱりスピードが上がっているわ。これはいいものを拾ったわね。」


【ティファ(負傷) 装備品 星降る腕輪 現在位置 台地西の森 行動方針 クラウドたちを探す/傷の治療後、神殿に行く】

(流出アイテム 残り2個)
1011/5:02/11/26 11:54 ID:???
雪原の中、エビルプリーストは道に迷っていた、彼の現在の位置はロンダルキア北東、確か祠があるはずだが、
そこには木々が生い茂っているだけで、他に何の痕跡も無い。
「おかしな話だのう」
そう思い首をかしげるエビルプリーストだったが、不意に現れた青年に目を見張る。
その青年は確かに何も無い空間から出てきたように見えたのだ。
しばらく凝視していると、青年はまた空間の中へと消えて行く。

「そういう事か....くくく」
恐らく敵の侵入を防ぐために、保護色か何かで建物を隠していたのだろう、
これで納得がいく。
と、どうやら出発するようだ、青年と男に率いられ、3人の子供たちが後から続く。
エビルプリーストは変化の杖で念じるとその姿をアリアハン地下で1度見かけた少女
モニカの姿へと変える。
そしていかにも道にはぐれた風を装って彼らへとゆっくり近づいてゆく...そして、

「じゃあ、そろそろ出るか」
バッツの声に、は〜いと3つの声が重なる、まるで幼稚園の先生になったみたいだ。
苦笑するバッツだったが、こういうのも悪くは無い。
と、ピピンが何かを見つけたようだ。バッツの肩をせわしなく叩く。
「バッツさん、あれを見てください」
ピピンの指が指す先に、1人の少女がいかにも疲れ果てた風にこちらに向かってくるのが分かる。
ふらふらと足取りもおぼつかなく歩くその姿は、手を差し伸べずにはいられなかった。
「どうしたんです.....」
バッツとピピンが少女へと駆けより、声をかけようとしたその瞬間だった。

「イオナズン!」
少女の声と同時に、閃光と爆発が周囲を包んだ。
1022/5:02/11/26 11:55 ID:???
「くっ!」
至近距離からの大規模呪文.....一杯食わされてしまった。
バッツの目にごろごろと斜面を転がり落ちていくピピンの姿が見える。
そうだ、クーパーたちは?逃がしてやらないと、
少なくとも背後には彼らの気配は無い、どうやら祠に逃げ込んでくれたようだ。
とりあえずバッツはひたすら少女の行く手を阻むように剣を振るい、牽制を続ける。
(どうする.....)

このまま魔法剣士で戦うか、それともジョブを変えるか......
と、バッツが迷っている間にも少女はバッツには構わず、祠の方へと攻撃を仕掛ける。
(迷っている暇は無い!、やるしかない)
バッツはジョブを竜騎士へとチェンジすると、竜剣の構えを取ろうとする。
だが、少女の方が早かった、少女はバッツの手首を取ると早口で呪文を唱える。
「イオラ」
強烈なショックが全身を襲う中で、バッツは悟っていた。祠への攻撃は誘いだった事を、
(ちくしょう、こんな事なら最初から竜騎士にチェンジしてれば良かった....)
そして少女が手を離すと、バッツはそのままの姿勢でスローモーションのように地面へと倒れた。

「他愛も無い」
モニカという少女の姿をした、エビルプリーストは気を失ったバッツを嘲る。
「戦場では一瞬の迷いが死に繋がる、まだまだ青いよの」
余裕の表情のまま、エビルプリーストは祠の中へと入って行く、あとは子供3人
どれほどのことがあろう......、だが祠の中は衝撃で多少散乱していたものの
そこには子供たちの姿は無かった、何処に行ったのかと、部屋の中を色々と捜す
エビルプリーストだったが、ふと床板が微妙にずれているのに気がつく。
床板を外すと、そこには6段ほどの小さい階段があり、その下では旅の扉が渦を巻いていた。

ここは邪教のお膝元である場所柄、当然魔物等の襲撃にも2重3重の備えがある。
そう、本来のものとは別に、床下には小規模ながらも予備の旅の扉が設置されていたのだ。
エビルプリーストが続こうとしたとたん、扉は消滅する、後を追って来れないように、
一回限りの使い捨てなのだろう。
1033/5:02/11/26 11:55 ID:???
憮然とした表情で祠から出てきたエビルプリーストへとバッツが罵声を浴びせる。
「俺を殺すつもりか.....だが俺1人殺しても無駄な話だぞ」
その声に無念さはあれど、恐怖は微塵も感じられなかった。
(気に入らんな.....)
ただ殺すのでは収まらない、さてどうやって、と思ったエビルプリーストに妙案が浮かんだ。

「くくく......貴様は殺さんさ、貴様が死ぬと放送でばれてしまうではないか」
モニカ.....いや、エビルプリーストは手に待った杖に軽く念じる、と、
その姿が一瞬でバッツへと変化したではないか。

「今日からワシがお前の代わりを勤めてやる....くくく、というわけじゃしばらく眠っておれ」
余りの事に呆然とするバッツへ、エビルプリーストはラリホーを唱える、
戦闘による消耗、そして目の前での出来事、隙間だらけの心を突かれ、
バッツは深い眠りへと落ちていった。

それからしばらく後、エビルプリーストはバッツを身包みはいだ上で凍らせ、
仮死状態にした上で橋の上から湖へと投げ落とした。
ぶくぶくと水底深く沈んでいくバッツ....これで当分発見されることは無いだろう。

そして後始末を終わらせ、立ち去ろうとしたエビルプリーストに声を掛ける者がいる。
「バッツさん、無事だったんですね」
バッツ....いやバッツの姿をしたエビルプリーストへと安堵の表情で近づくピピン、
そんな彼にエビルプリーストはメラゾーマを持ってして応えたのだった。
特大火球に直撃され、業火に包まれるピピン、
「バッ....ツさ、どうし....て」
虫の息の中、途切れ途切れの声で叫ぶピピンへ構うことなくバッツ...いやエビルプリーストは
さらに火球をピピンへと放つ。さらなる業火の中、灰になっていくピピンの顔は涙に濡れているように見えた。
1044/5:02/11/26 11:56 ID:???
完全に黒焦げになったピピンの亡骸を踏み砕き、やはり湖へと蹴りこみながら、
エビルプリーストは淡々と呟く。
「立つ鳥跡を濁さず.....」
そうやって今度こそ後始末を終えると、エビルプリーストは北に向かって歩き始めた。

【バッツ(仮死状態)所持武器:無し 現在位置:ロンタルギアの祠近くの湖底
 行動方針:レナ、ファリスを探す】
(身包み剥がれてます、素っ裸です)

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
(現在はバッツの姿です)

【ピピン:死亡】
1055/5:02/11/26 11:57 ID:???
「ここどこだろ?」
偶然見つけた旅の扉、行き先が何処かよりも一刻も早く逃れなければという気持ちの方が強かった。
そしてその結果、クーパーたちは暗闇の中で目を見合わせる始末だった。
本来麓の街へと脱出できるはずの旅の扉であったが、やはり強大な結界の力の前では効果を発揮できなかったようだ。
彼らは今、ロンダルキアに向かう洞窟の4階にいた。

「もしかしたら、外に逃げられるかもって思ったのに」
だが、考えて見れば彼らは幸運だったのかもしれない、
境界線に阻まれれば、彼らは間違い無く爆発四散していただろうから。

「とにかく外に出よう」
クーパーの声にエーコとリディアも歩き出そうとするが、その瞬間エーコの姿が消える。
「!!」
2人は慌ててエーコが立っていた場所を調べて見る、案の定そこは巧みにカモフラージュされた、
落とし穴になっていた。

「どうしよう....」
「放っとけないだろ、行くしかないよ」
そしてクーパーとリディアも覚悟を決めると、落とし穴の中へと飛びこんでいった。

【クーパー/リディア/エーコ/
 所持武器:天空の盾、ロングソード/なし/なし
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3Fへ
 行動方針:父親、アニー探し/セシルを探す/仲間探し】
>>104の修正です。
 
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 ブレイブブレイド(バッツの所持物全て)
 現在位置:ロンタルギアの祠から北へ 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
(現在はバッツの姿です)
107メルビンとか:02/11/26 19:28 ID:???
「…どうやら現在地は地図によると中心から北東の森でござるな」
メルビンは太陽の光と、周囲の地形から判断した。
目の前には鬱蒼と茂る森。背後には壁のようにそびえる山脈が連なっていた。
今いる場所は、そのちょうど中間のほんの少しひらけた平地だった。
「…南の小島に祠があるな。まずそこに向かうとしようか」
「それならまず湖岸に出た方がいいでござるな。この森、いやなカンジがするでござる」

「…寒いですわね」
「…雪国だからな。そんな靴では歩けないだろう」
モニカのはいているハイヒールを指してアーロンは言った。
「大丈夫ですよ。…キャア」
アーロンは軽くモニカを持ち上げ、抱える。
「無理するな。雪はお前が思っているほど甘くはない」

「…アーロンさんこそ。…ケガがまだ治りきっていないんでしょう?」
「…祠についたら続きをやってもらう。オレも一秒でもはやく祠に着きたいからな」
軽口をたたくアーロンに、モニカはそっと首に手を回した。
「わかりました。…ダメですね、私。皆さんに迷惑かけてばかり……」
「おまえにしか出来ない事が何かあるはずだ。そう悲観するな」
(私にしかできないコト。かぁ)
アーロンの言葉に、モニカは深く頭を悩ますのだった。

「…この山脈を辿って南に歩く。森の中には入らない方がいいようだ」
「そうでござるな。それでは行くでござる」
「ガウ!」
「…あの、メルビンさん。」
「なんでござるか?」
「もしかして、体を温める魔法ってしっていますか?」
そこまで言って、モニカは後悔した。なにバカなコトを聞いているんだろう私は。
アーロンもたぶんあきれた顔をしているだろう。
「ああ、知っているでござるよ。その服じゃさすがに寒いでござるな」
108メルビンとか:02/11/26 19:29 ID:???
平然と言い放つメルビンを、二人は不思議生物でも見るかのような目で見た。
そんな二人の視線に気付いていないのか、メルビンは袋の中をまさぐる。
「…あった。ウールガード〜」
メルビンが取り出したのは、純白の羊毛のモコモコした服だった。
「心配しなくてもいいでござるよ。とりあえず四人分あるでござるし。」
二人のなんとも言えない表情を、メルビンはそう解釈したのだった。

「…あっ。これあったかい。アーロンさん、似合ってますか?」
手渡された服を着たモニカはクルリとターンする。
「…ああ。よく似合っているぞ」
「アーロン殿は着ないんでござるか?」
ガウに服を着せ終わったメルビンは、手に服を持ったまま硬直しているアーロンに問い掛けた。
前に大怪我した時、着ていた赤のコートが台無しになったので今は黒のアンダーシャツしか着ていない。

「…オレは、いい。」
アーロンは手に持ったもこもこをメルビンにつき返した。
「あー。もしかしてアーロンさん、はずかしいんですか?」
モニカが下からアーロンを覗き込む。アーロンは顔を赤らめて視線をそらした。
「ははーん。モニカ殿、コレには……(ごにょごにょ)」

「アーロンさん。ちょっとソコに立ってください」
「…何をする気だ?…なに!」
モニカは羊毛の塊をアーロンに投げつけた。羊毛の塊が瞬時にほどかれ、アーロンを包む!
「はい。私が着せたんですから脱いじゃだめですよ」
アーロンは純白のモコモコに身を包み、顔を赤くしてフルフル震えていた。

「無理しちゃだめですよ、アーロンさん。雪国の寒さは甘くないんですから」
「…誰のマネだ?」
「アーロンさんのです。…似てませんか?」
返事の代わりにアーロンはモニカを持ち上げる。今度なモニカも何も言わない。
「すまなかったな。コイツが我侭を言って」
「いやいや。それでは出発するでござる」
109メルビンとか:02/11/26 19:34 ID:???
【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/鋼の剣(中古) 現在位置:台地最北東  行動方針:南の祠に 仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 現在位置:台地最北東 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 行動方針 南の祠に 仲間を探す ホフマンの仇をうつ】

モ「そういえばこの剣、折れちゃったんですよね」
メ「壁おばけの時でござるな。」
ア「ああ。しかし無いよりマシだろう?」
>>101-105
は無効とさせていただきます、ご迷惑をおかけしました。
111次元 ◆yGAhoNiShI :02/11/27 00:09 ID:???
【ルパンごっこ】

1. コンビニにいく。
2. 普通に買い物をする
3. なにくわぬ顔で店を出る
4. 数分後、息を切らしてコンビニのレジにかけよる
5. 「お、おい!さっきこんな顔をした奴がこなかったか!」と叫ぶ
6. 「あなたがさっき買い物していったんですよ?」と店員に言われる
7. 「ば、ばかもぉ〜ん!それがルパンだ!追えぇ〜!」と、叫びながら店を出る
1121/:02/11/27 00:47 ID:???
何も無い空から二人は飛び出した。
――足場がない!
今の今まで大地に足を降ろしていた二人は、突然の事に為す術も無く大地に落下した。
フライヤは硬い地面で背中を打ち、
少し遅れてピエールは、人間の上に落ちた。
「うごぇっ!」
下敷きになった男の悲鳴が、スライム部分の下から洩れる。
ピエールは慌てて男から飛び退った。 今度は確かに冷たい大地の感触がスライムに伝わる。。
「も、申し訳ない!」
相手が自分たちの命を狙うものであろうとなかろうと、まずは謝るのが礼儀。
もし打ち所が悪ければ、回復魔法もかけてやるべきだろうと思ったが、
男が起き上がろうとするのを見て大丈夫だと判断した。
所持品らしいスーツケースも傷一つついていないようだ。

男の後ろでフライヤが背中を押さえながらこちらを覗っている。
ピエールは苦笑いを浮かべながら手を振った。
フライヤは笑うでもなく、目配せして応じる。
ややあって、男は立ち上がった。

「くそっ、僕が何をしたっていうんだ…」
ピエールのボディプレスの洗礼を受けた男はソロだった。
彼は立ち上がると、綺麗な顔立ちを歪めてピエールを憎憎しげに睨む。
「ち、違うんです。旅の扉の出口が空中だなんて予想でき…」
ピエールの口が止まった。ソロの目に異様な光が帯びているのを見た。
1132/:02/11/27 00:48 ID:???
「なんだ……魔物じゃないか。いっちょまえに言葉を話すのか。
僕の前に出てくるなんていい度胸だな」
ソロから発せられるものは殺気。
――この人は一体!?
「退がれ!」
言われるままに退がる。
ビュッ!!
ソロの剣がピエールの体をかすめた。
フライヤが叫ばなかったら、今ごろ胴体は真っ二つだったろう。
「もう一匹いるのかあ!」
ソロは後ろを振り向き、今度はフライヤに襲い掛かった。
「フライヤ殿!」
フライヤの武器は小剣のみ。
ソロのエンハンスソードと比べて性能の差は明らかだ。
(自分が助けなくては…)

あの前大陸でセシルに襲われたとき、ピエールは旅の扉に逃げ遅れたジタンとビビを助ける事が
できなかった。 紅蓮の炎を目の前にして尻込みしてしまったのだ。 
――自分は騎士失格だ、iいや、ビビ殿という恩人を見捨てて逃げるなど獣以下だ!

激しく自己嫌悪し、苦悩していたところいきなりの第三舞台、ソロと対面。
そしてフライヤが危機に見舞われている。

あの二人に何としても詫びたい。
どんなに軽蔑されようと、どんなに罵られようとも構わない、許してくれるまで。
だが、二人はここにはいない。 
ならば、今はフライヤ殿を守るのが、このピエールの役目。 ビビ殿の仲間はこの私が守る!
1143/:02/11/27 00:48 ID:???
ピエールは珊瑚の剣を高く掲げ、咆哮を上げながらソロに向かって突進した。
あと数メートル。
しかし既にソロは、フライヤを捉える間合いに入っていた。
どうやっても間に合わない。
絶対に埋められない距離。 
ソロの咆哮。
光を断つ剣。
景色が、歪む。

ピエールは息をのんだ。
ソロの斬撃をフライヤが避けたのだ。
しかも剣が振り下ろされた後に回避行動をとったように見えた。
すぐさまフライヤはソロを突き飛ばして大きく間合いを取った。

ピエールはフライヤを、そしてソロは自分の手を見つめてただ呆然とするだけであった。

【ソロ 所持武器 スーツケース核爆弾、エンハンスソード 現在位置;ロンダルキア南  行動方針?
フライヤ、ピエール 所持武器 エストック、珊瑚の剣  行動方針 ジタンとビビを探す】
ロンダルキアの西、断崖絶壁の崖付近…。
空から何かがふわりふわりと舞い落ちてくる。
どうやら羽がついた帽子のようだ…。

※使い古しのはねぼうしがロンダルキア西に置かれました。
(流出アイテム 残り1個)
1161/4:02/11/27 19:57 ID:???
セシルが今立っているのは闇の中、時折蝋燭の炎に似た灯が通り過ぎる以外、
何の光も存在しない。
そしてその炎が照らすものは、見渡す限りの無数の屍の山だった。
そこにはカインがいた、リディアがいた、テラが、エッジが、ギルバートが.......
皆、無念の表情で息絶えている。
しかしセシルは構わず進んでいく、彼らの屍を踏みしめて......

やがてセシルの目の前に1人の女性が姿を現す、彼女はまだ生きているようだ。
それを見たセシルの瞳に初めて表情のようなものが浮かぶ、
「ローザ!.....良かった、戻ってきてくれたんだね」
しかし、ローザはセシルを拒絶するかのように怒りと悲しみの表情で弓を構える。
セシルにはそれも分かっていたようだ、両手を広げ、自らの心臓を射手へと晒す。

「いいんだよ、だけど君だけは生きて、僕が奪った命の分まで」
そしてローザの矢をその心臓に受け、セシルもまた無数の屍の中へと落ちていった。


「......夢か」
セシルが目を開けるとそこは一面の雪化粧で覆われた森の中だった。
目覚めると同時にカインの嘆きにも似た叫びが頭の中に甦ってくる。
だが、その叫びをもってしてもセシルの心は動く事はなかった。

彼には罪の意識と悲しみは存在すれど、もはや迷いは存在しない、
自分にとって唯一無二の輝ける太陽を再び甦らせるため、
永遠の夜にその身を堕とそうとする、悲しき騎士の姿がそこにはあった。

ただ一言、
「ごめん.....」
と口の中で呟き、彼はまた新たな戦いを求め白銀の世界へと踏み出していった。
1171/4:02/11/27 19:58 ID:???
ひとまず話を止めます。申し訳無い

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:ロンタルギア東の森  行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
1181/2:02/11/27 20:26 ID:???
デ「はぁはぁ。おい少年。こいつなんとかしろって!」
導「なんとかしたいところなんですが……、エアロが効かないんですよぉ!!」

デッシュは変な機械においかけられていた。それはアークマージのキラーマシーンである。

新しいフィールドにきて、現在の位置がロンダルキア西部の森だと分かりこれからの対策を考えていたところ、
いきなり矢がデッシュの左腕にささり、その後、キラーマシーンが2人の前に姿を現した。

どうやらキラーマシーンはデッシュをターゲットにしたらしく、右腕のブレードでデッシュに襲い掛かる。
デッシュは逃げ始め、その後をキラーマシーンが追い、その後ろをまた導師が追うという形になった。
導師は走りながらエアロを唱えるも殆どきかなかった。
木が多いのでボウガンは使えないというのもキラーマシーンは理解しているようだ。

導『もしかしたらホーリーなら効くかもしれないけど、下位のエアロならともかく上位のホーリーは、
  走りながらじゃむりだし……。せめて戦士系のジョブならなあ。』

先頭を走るデッシュとキラーマシーンとの間が詰まってきた。人間の機械の差だろう。
1192/2:02/11/27 20:27 ID:???
とその時、導師の後方から女性の声がした。

「わたしに任せて。」

というと、その女性は全力で走っている導師を軽々と抜き去り、あっというまにキラーマシーンに追いつき、
キラーマシーンのボディに裏拳を叩き込む。キラーマシーンの動きが遅くなる。

キラーマシーンも目の前の敵の排除を優先させたのか、女性に攻撃を開始した。
キラーマシーンの攻撃もかなり激しかったが、女性の攻撃は機敏な動きでそれをかわし、キラーマシーンに的確にダメージを与えた。

デッシュも何時の間にか走るのをやめ、痛みをこらえ1人と1体の戦いを口をあけてみていた。
導師も自分が同じように口をあけてみていることに気づき、口を閉じる。

戦闘はスピードで勝る女性が徐々にマシーンの動きをおさえ、最後はアッパーからのハイキックをマシーンに叩き込むと、
マシーンは動かなくなった。

女性は「この腕輪がなかったら危なかったわね。」とひとりごちると、2人ににっこり微笑んだ。
「あ、まだ名乗ってなかったわね。私の名前はティファ。」


【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
 現在位置:新フィールドへ 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【ティファ 装備品 星降る腕輪 現在位置 台地西の森 行動方針 クラウドたちを探す/神殿に行く】
※ロンダルキア巡回のキラーマシーン動かなくなりました。
※デッシュとティファの怪我は導師が回復しました。
120↑修正:02/11/27 20:28 ID:???
【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
 現在位置:台地西の森 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【ティファ 装備品 星降る腕輪 現在位置 台地西の森 行動方針 クラウドたちを探す/神殿に行く】
121オルテガとか:02/11/27 20:48 ID:???
ロンダルキア大雪原地帯
洞窟を抜けてきた者への、第二の洗礼。
遠目には平坦な雪原に見えるソコは、歩みを拒む深い雪と山地特有の急な斜面。
そして犠牲者を求む数多くのクレバスが聖なる者の侵入を拒む。
この地には珍しい青空の下、黄色い影がこの台地の創生以来のスピードで駆け抜けて行く。

「クエーーーー!!」
嘶きも鮮やかに、チョコボは羽をはばたかせながら一際大きな裂け目を飛び越える。
それに乗っているのは覆面マントにパンツ一丁。荒くれ戦士オルテガだった。
しかし華麗に着地するチョコボの表情とは対照的に、彼の顔はすぐれない。
「むう、やはり充電が少なかったか……。そろそろ変身が解けてしまうな」

おもむろに地図を広げ、どこか休めそうな場所を探す。
「ふむ。北の森で休憩を取るか。どこか隠れる場所があるだろう」
オルテガは進路を変え、北の森にまっすぐ向かって行った。
「…相方にも困ったものだ。何か手紙でも置いといてやるか」
とりあえず変身のシステムを説明しなければな。消耗が激しいのだ、コレは。

変身してから20分。もうすぐオルテガが眠りにつく時間だ。
森の中は非常に入り組んでおり、所々に巨木が聳え立っている。
「…ふむ、あそこが良いか。」
オルテガの言葉の意図を読み取り、かなり高く跳躍した。
チョコボは頭上の巨木の枝に飛び乗り、再び高く跳躍する。
そして三度目に跳躍した時、チョコボは木の洞に着地した。

「…高低差はほとんど無視か。よくやった」
チョコボから降りたオルテガはやさしくチョコボの首をなでる。
チョコボもオルテガを甘噛みする。
「時間も少ない。はやく手紙を残さなければな」
122オルテガとか:02/11/27 20:49 ID:???
〜覆面の使い方〜

このたびは当社の製品を…  (この辺は省くか)
この覆面はあなたの内面に眠るもう一人のあなたにアクセスする手段の一つです。
この覆面に封印されし荒くれ達の記憶は以下の通りです。
・荒くれ戦士 ・荒魔道士 ・慰安夫 ・武器防具屋

もう一人のあなたの活動時間は、あなたの意識のある時間によって回復していきます。
健全な成人男性の場合、一時間で約20分の活動時間が回復します。
最大活動時間は約四時間くらいです。また、変身が解けた時に気絶する恐れがあります。

説明は以上です。それでは快適な荒くれライフを御送り下さい。


「…こんなものか。余計な脚色が入ってしまったがな」
大剣で器用に木の壁にメッセージを彫りこんだ
「…ここまでか。今度は長い眠りになりそうだ」
オルテガは側に腰を下ろしているチョコボにもたれかけ、ゆっくりと覆面を外した。

【オルテガ(眠り) 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:洞窟北西の森の巨木の洞 行動方針:休憩】
123>>91修正:02/11/27 22:24 ID:???
>>91最後の段、 ロックは妙な顔を〜反応は弱々しい。 までを以下に修正します。ご迷惑おかきしまう。

ロックは妙な顔をしたが、「そうか」とだけいって再び歩き始めた。
エリアが立ち止まった理由――それはひどく奇妙なことに、
以前とはまったく違う、しかし他ならぬ水の反応がまた感じられたからだ。
ただ、それはとても弱く、ちょっと気をぬくとすぐに感じられなくなってしまう。
以前の人物とは違うことは明らかで、 何故かはエリアにはわからなかったが、それは恐ろしいように思えた。
しかし、自分たちよりは遙か西の方向にいる。ちょうど、城の南にある森のあたりだろう。
結局今のところはとにかく北へ向かうことに変わらないのならば、この問題はとりあえず放擲し、騒擾して心配をかけることのないようにしたほうがよい。
水の反応もまた北へと向かっている。相変わらず、反応は弱々しい。
1242/4(116の続きです):02/11/28 00:01 ID:???
「くそっ!なんでこんなっ」
ロックとエリアは雪の平原をひたすら逃げつづけていた。
雪道で倒れている少女を助けようとしたら、その少女がいきなり攻撃を仕掛けてきたのだ。
「メラミ」
少女の手から火球が放たれる。
エリアに放たれたそれをロックがミスリルシールドで防ぐ、
「ぐうっ」
いかにミスリルと言えども呪文を受けとめた衝撃までは吸収しきれない、
強烈な痺れにロックは盾を落としそうになるが、
それでも何とか2人は森の中へと逃れる。

そして逃げながらもロックは心の中でずっと考えていたことがあった。
(俺の行為だ.....)
ロックはずっと後悔していた、あの時、先走って拳銃を射たなければ、
ファリスが傷つくことも無かったし、アモスが囮になることもなかったと。
だから....今度こそ俺が守らなければ、たとえ死ぬことになったとしても、

「俺がコイツを引きつける!アンタは必ず俺が守る!だから生き延びてくれよ!」
ロックはクイックシルバーを握り締め、盾を構えるとそのまま少女へとこれ見よがしに
その姿をさらし、南の方角へと逃げていく。
「お前の相手は俺だっ!」
「ほう」
少女、その正体は変化の杖で変身したエビルプリーストだ、は、禍禍しい笑顔を見せると
嬉々としてロックの後を追う。
(ふふふ、自分から別れてくれたわ、これは都合が良い、逃げろ逃げろ、くくく)
彼の目的は相手を倒す事でなく、自分が成り代わるべき確実な対象を拉致するためだ。
(死人が甦るわけには行くまいて、それにいつ本人と鉢合わせするかもしれんしの、
 にしても、工場で出会ったお主とまた会えるとは思いもよらんかったわい)
そう頭の中で語りながらエビルプリーストは、あえて距離を置き、まるでロックを誘導するかのように
火球を放っていくのであった。
1253/4:02/11/28 00:04 ID:???
それからしばらくまた時間が経過する、と、森の中に潜むエリアの耳に足音が聞こえる。
(ロックさん.....!)
一瞬そう思ったが、どうやら違うようだ。
やがてその足音の主はエリアの前へとその姿を見せる、影のように黒い鎧をまとった青年だ。
エリアの存在は彼にとっては予想外だったようだ。
彼女を前にして少しだけ固まってしまうが、思いなおしたように剣を取る、その時、
「私を殺すつもりですね」
機先を制するようなエリアの声に、またその手が止まってしまう。

「ええ、まさかこんなところで会うとは思いませんでしたけど、ごめんなさい」
そう言って、ぺこりと頭を下げる青年。
その瞳はあまりにも哀しく、そして美しい色をしているとエリアは思った。
これほどの戦士を殺戮に走らせるには余程の理由があるはずだ。

エリアは迫り来る死の恐怖よりもその理由について知りたいと思った。
だからエリアは優しく微笑むと、青年へと問いかける。
「逃げも隠れもいたしません、ですが少しだけ理由をお聞かせ下さいませんか?」
青年はその言葉と表情に少し驚いたような感じだったが、そして......。
1264/4:02/11/28 00:04 ID:???
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:ロンタルギア東の森  行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】

【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 吹雪の剣 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の森
 行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)

【ロック 所持武器:クイックシルバー 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の平原
 行動方針:エリアを守る】

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末 ロックを確保し成り替わる】
127修正:02/11/28 00:05 ID:???

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:ロンタルギア東の平原
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末 ロックを確保し成り替わる】
ロンダルキアの祠から西へ二つ目の橋の上。ミレーユは占いを再開していた。
近くにいる。
それだけはわかる。
けど…
「あの森の中で人を探すとなると厳しいわね。」
落ち着いていそうだが、彼女は焦っていた。
占いで守るべき人の反応が一つ消えた。
再び占いをしてみると二人が離れ離れになっているではないか。
「お願い。…アモス。私を導いて…」
そう思った瞬間。
───爆音が聞こえる。
「近い…?」
確かに近い。今、この橋の上から煙が見える。
そう思った瞬間、体が走り出していた。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ベクタから旅の扉へ 行動方針:占いで見た三人に会う(ロック、エリア)】
訂正です。
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ロンダルキアの祠の西の橋の上 行動方針:占いで見た二人に会う(ロック、エリア)】

130アルス組:02/11/28 06:36 ID:???
「冷たっ!!」
降り積もる雪に顔からダイビングしてしまい、アルスは思わず声を上げる。
荒い息のまま、アルスは立ち上がって首に手をあてた。
どうやら時間には間に合ったらしい。安堵感がこみ上げてくる。
(あぁ、精霊ルビス様ありがとうございます。
 さっきは暴言吐いちゃってすみませんでした。
 これからも毎日お祈りします)
本当に時間ギリギリだった。
時間切れで死亡、なんて情けない死に方は死んでもごめんだ。
いや、情けなくない死に方ならいいってわけでもないんだけど。
自分でツッコミを入れつつ、アルスはティナの方に顔を向ける。
ティナは息を整えつつ、その場にしゃがみこんで雪を掬い上げていた。
手の上で雪がゆっくり溶けていくのをじっと見つめている。
神秘的な姿に一瞬見惚れてしまったが、すぐに頭を振って気を取り直した。
「ティナは、雪を見るのは初めて?」
「ううん、私達が元いた世界には、年中雪に覆われた炭鉱都市があるの。
 とても・・・思い出深い所」
あの地―――炭鉱都市ナルシェは、ティナ=ブランフォードという
人間にとって第二の始まりの地といえる。
ナルシェで氷付けの幻獣に出会ったこと。
あの瞬間から全てが始まったのだ。
もういちどナルシェに行きたい。今も炭鉱に住むモグに会って、抱きしめたい。
ささやかな願いではあったが、それだけに本心からの想いであった。
「そっか。もう一度行けるよ、きっと」
「そうだと・・・いいね」
弱々しく微笑むティナ。
131アルス組:02/11/28 06:37 ID:???
話題が途切れる。痛々しい沈黙。
(ど、どうしよう。雰囲気が重くなっちゃった。なにか話題は〜っと・・・)
「あ、あのさ、これからのことなんだけど・・・」
さんざん知恵を絞った挙げ句出てきたのは、
ヒネリもウィットも効いていない、あまりに現実的過ぎるセリフだった。
世界を救う勇者だなんだと言われても、ここらへんはまだまだ16歳の子供である。
「あ、ごめんなさい。そうよね、私達にはやることがあるものね」
微妙に情けない気分になりつつも、
アルスはティナの隣に腰を下ろし、考えをまとめる。
「やっぱり、仲間を探すことから始めようと思うんだ。
 またティーダ達と会えればベストだね」
「そうね。あのゾーマっていう魔王を倒すにしても、
 このゲームを抜け出すにしても、私達だけじゃ力不足だし」
アルスは周りを見渡した。
周囲は360度完全に険しい山脈で閉ざされている。
その頂は深い雲に覆われ、どれほどの高さなのか見当もつかない。
「あの山は丸1日かかっても越えられない。
 きっと参加者は山に囲まれたこの土地の中に全員飛ばされてるんだ。
 だとすれば、ここはさっきまでいた帝国領よりだいぶ狭いから、
 誰かを探すだけならそう難しくないと思う。この杖もあることだし」
対人用のレミラーマの杖。
今までに試してみたが、感知できる範囲は半径100メートルといったところだ。
杖を手に取って念じなければ効果が現れないという欠点はあるが、
これさえあれば少なくとも不意の遭遇は免れることができる。
「問題は、『誰に会えるか』ね」
ゲームが始まってから2日以上が経過している。
この期に及んで単独行動をしているのは、ゲームに乗った人間である可能性が高い。
しかし、パーティを組んでいても全面的に信じることはできない
(デスピサロとサマンサという、アルスにとって信じたくない実例がある)。
安全度が高いのは3人以上のパーティだろうか。
とはいってもそういうパーティが都合よく見つかるかどうかは未知数だ。
132アルス組:02/11/28 06:40 ID:???
(結局、絶対確実なんてありえないんだな)
胸中でつぶやく。
単独行動をしているいい人だっている。
悪人同士が手を組む事だってある。
最終的には自分達の目で相手を見通すしかないのだ。

風が吹き抜けていった。寒さがじわじわと体に染み込んでくる。
砂漠を全力疾走してかいた汗が、こちらの世界の
寒冷な気候によって冷やされているのだ。
隣を見ると、ティナも寒そうに体を縮こまらせている。
「とりあえず動こう。じっとしてたら寒いし。
 動き回った方が他の人を見つけやすいだろうから」
言いながらマントを外し、ティナにかぶせる。
「あ、これ・・・」
「使って。その格好じゃ寒いよ」
「ありがとう・・・アルスは、優しいね」
柔らかい笑顔を向けられて、アルスは思わず下を向いた。
心臓がドキドキいっている。
(変な気分だ。どうしたんだろう・・・)
あまり深く考えると泥沼にはまってしまいそうな気がする。
緊張しているからだと自分に言い聞かせて、アルスは立ち上がった。
「じゃ、じゃあ行こうか。とりあえずこっちの方向でいいかな?」
「? ええ」
慌てたように言って歩き出すアルスをきょとんとして見つめていたティナだったが、
すぐに後を追って歩き出した。


【アルス/ティナ:
 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央やや南西の平原を北へ(平原と砂漠の境目には結界) 
 行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
1331/4:02/11/28 18:29 ID:???
一面の銀世界。先ほどのベクタよりも、空気が薄く、冷たい。
「雪山、か」
慣れていない人間にとっては、厳しい戦場となるだろう。
酸素の不足は戦闘力の低下を招くし、冷たい外気は容赦なく体温を奪う。
最も、高山での奴隷生活を長年強いられてきたヘンリーにとっては、何の苦もないが。

アグリアスは、ヘンリーより少し離れた場所に降り立っていた。
二人ともすぐに互いの姿を見つける――が、少し困惑した表情を浮かべる。
殆ど垂直に近い、険しい斜面で阻まれていたのだ。
大した距離ではないが、飛び降りるには危険が過ぎる。さりとて道具もなしに昇れる角度でもない。
「私がそちらにいく」
辺りを見まわし、先に回り道を見つけたアグリアスが、声をかけた。

その時だ。
およそこんな雪山には似つかわしくない、透き通った歌声が響いたのは。

「おい、先に向こうに行ってるぞ」
ヘンリーはアグリアスの返事を待たずに、声の方向へと向かった。
1342/4:02/11/28 18:30 ID:???
セリスは、切り立った崖の上にいた。
重過ぎる罪の意識と、深い後悔に囚われて。
時と共に増大していく、死への誘惑に誘われて。

「…………」
虚ろな瞳に映ったのは、白銀の世界と、どこまでも広がる空。
それは『彼』と、彼に会った『場所』を思い起こさせた。
……だからだろうか?

――愛しの貴方は遠いところへ 色あせぬ永久の愛誓ったばかりに

気がつけば、あの時の歌が、口をついて出ていた。
そう……初めて『彼』、セッツァーに出会った時の、オペラの歌。

――悲しいときにも辛いときにも 空に降るあの星を貴方と想い

ここが戦場だということも忘れ。
両手を広げ、声量を上げて。美しい歌声を響き渡らせて。
その姿は、オペラの主役、女優マリアそのものだった。
1353/4:02/11/28 18:31 ID:???
人の気配は、とうに察知していた。
それでも彼女は、歌うことを止めなかった。

――ありがとう私の愛する人よ
―― 一度でもこの思い 揺れた私に 静かに優しく答えてくれた

避けようと思えば、避けられただろう。
受け止めようと思えば、雪の上に置いた剣を拾い上げ、止めることもできただろう。

セリスは、どちらもしなかった。
その代わりに、白い雪の上に舞い散った、赤い血を一瞥し。
斧を振り下ろした青年の方に向き直って。

「さようなら、ロック……」

永久に歌われることのないフレーズの代わりに、たった一言を残して。
彼女の足は、トン、と雪を蹴った。

彼女は、幸せだった。
彼女は確かに、『帝国将軍セリス』の枷から解放されていたのだから。
だから――最期の瞬間まで、彼女は微笑を浮かべていた。
1364/4:02/11/28 18:32 ID:???
風になびいた金の髪と、女性の浮かべた微笑が。
かつての妻の面影と、一瞬重なる。

「……マリア!」
思わず差し伸べたその手は、虚空を掴んだ。
神の塔のように、奇跡は起こらない。
投げ出された身体は、どこまでも落ちていくだけ。
彼はその場にしゃがみこみ、遠くなっていく女性の姿を見届けた。

「………」
どれほどそうしていただろうか?
アグリアスの足音が、近くで聞こえた。
ヘンリーはすっくと立ちあがり、女性の荷物を手にする。
「行くぞ。もうこんな場所に用はない」
そう声をかけて、彼は崖を後にした。

【セリス:死亡】
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 ロトの剣
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
 装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:ゲームにのる】
137>>133-136:02/11/28 21:57 ID:???
感想スレで『話が破綻している』との意見を戴きましたので、
>>133-136はNG扱いにしてください。

ご迷惑おかけしました。
剣を構える。
その場だけ静かなる刻が支配する。
───殺気が感じられない。
お互い何も言わずに剣を収める。
さぞ、名のある戦士に違いない。
…無言で互いの横を通り抜ける。

パパスは無言でその男の陰を見送った。
トーマスがクゥン?と鳴く。
「よい。とにかく私たちは人を探す。」
このまま山沿いに南にいけば洞窟があるはず…
そこに皆がいればいいが。

あの者は目的があり、それをしっかり見据えている人の目。
迷いなき目。
──かつては私もあのような目をしていたのかもしれない。
目的のない戦士、リバストはパパスの後姿を見て、そう思っていた。
自分はありもしない…
いや、あるのかもしれない。
友は何のために私を生かしたのだ。
まだ、自分の目に見えてないだけのかもしれないな…
リバストは空を見上げた。
見下ろした次の瞬間。その足は動き始めた。

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:南東の森付近の平原。平原を北へ(祠を経由し、神殿へ) 行動方針:今のところ無し】
1391/5:02/11/29 00:01 ID:???
ぽとり....ぽとり.....
セフィロスの肩に地下水の雫が落ちる。
ロンダルキアから下界に向かう洞窟の入り口付近で、セフィロスは何をするでもなく佇んでいた。
その表情にはわずかながらも苛立ちのようなものが見える。
デスピサロ.....そしてアモス、自分こそ最強を信じて疑わなかったセフィロスにとって、
昨夜からの一連の戦いは不快きわまりない苦い思い出として胸の中にくすぶり続けている。
これを払拭するにはやはり戦いしかない。

セフィロスに生き残りたいという欲求は正直乏しい、とりあえずはルールにしたがっているのみに過ぎない。
だがそれでも最強の座についた者こそ、生き残るべきだとも思っているし、
それが自分であると信じて疑ってもいないことも事実だ。
そんなことを考えているセフィロスだったが、やがてこちらに向かう何者かの足音と気配を察知すると、
わずかに唇を笑みの形に歪ませ、背中の正宗へと手を伸ばした。

「ありがとよ、お前さんのおかげで楽に抜け出す事が出来そうだぜ」
「いえ、そんなことありませんよ」
無限回廊を突破したラグナの感謝の言葉に、アーサーは少し照れたようなそぶりを見せる。
出口が近くなってきた安心感もあるのだろう、3人の表情に少しだけ余裕が浮かんでくる。
余裕が出来れば口も軽くなる、誰からとも無く雑談が始まる。
もちろん1番かしましいのは1番後ろを行くマリベルだ、ぺちゃくちゃと口が止まらない。

「それにしてもあのギルガメッシュって男は情けなかったわよぇ、なーにがセフィロスに出会ったら逃げろ、よ
そのセフィロスって奴がどれほどの者だってのよ、箱に隠れて振るえていた奴が言っていても説得力ないんだっての」
マランダの街で自分が犯した大失態を棚に上げて、マリベルは強がっている。
つられてラグナも笑うが、アーサーは笑う気持ちにはなれなかった、同じ事をクラウドにも言われていたからだ。
1402/5:02/11/29 00:02 ID:???
「大体、こんなビジュアル先行の男が見かけ通り強かった試しがないわよ、
ホントは顔の1/10の実力も 無いんじゃないの?」
と、相変わらず軽口を叩くマリベルだったが、先頭のラグナが突然立ち止まったためにその背中に
鼻をぶつけてしまう。
「ちょ、いきなり」
「おい....そのビジュアル男がいるぜ」
そう、確かにラグナの指差した先にはマリベル言うところのビジュアル先行の男、
すなわちセフィロスが出口の光を背負って立っているのであった。

セフィロスは待ち構えていた相手がようやく現れたのを見て、正宗を抜き放ち3人へと襲いかかる。
「ベギラマ!」
マリベルとアーサーの声が同時に洞窟に響く、先に発見した分彼らの方が迎撃が早い。
だが、セフィロスの踏みこみは彼らの予想を遥かに超えていた、
ベギラマによる炎の壁が出来たのはセフィロスの遥か背後だった。
「こっちだっ!」
洞窟の奥へと退避しながらラグナがマリベルから借りていた、エルフィンボウを発射する、
セフィロスがそれを防ごうと正宗を構えた時、マリベルが同時にいかづちの杖を振りかざし、
また再びアーサーがベギラマを唱える。
2重にとどろく閃光、だがしかしそれでもセフィロスはとっさに上に向かって飛ぶと、
天井に正宗を突きたてて、呪文も弓矢も回避する、まさに凄まじいまでの戦闘能力だった。
天井に張りついたまま、セフィロスはマリベルへと尋ねる。

「どうだ?、これでもセフィロスはビジュアル先行の男か?」
聞こえていたらしい、頭上の声にマリベルは思わす口を押さえてしまう、自分が勝気な分、
マリベルは敵を楽観視する傾向があるが、今回は見事にそれが裏目に出た。
(いまさらあやまっても許してくれないわよね.....どうしようか)
悩んでいる間にセフィロスが動く、一旦正宗を引きぬくとそのまま空中で天井めがけて何度も
斬撃を繰り返す、まさに一瞬の早業、そして地上に着地するとそのまま出口へとバックステップで退いてゆく。
1413/5:02/11/29 00:04 ID:???
「?」
その行動の意図が掴めず、困惑する3人だったが天井から落ちる砂と水滴を見て、はっと気がついたように、
ラグナが叫ぶ
「崩れるぞ!」

もともと造られてかなりの歳月が経過していたのだろう、その上この周り一帯は地下水脈が通っている様だ。
そのため、水を含んだ天井は、わずかな衝撃にも絶えられぬほど脆くなっていたのである。
しかし恐るべきは、それを見抜いたセフィロスである。
自分めがけて崩れ落ちる岩盤を見て、立ちすくむマリベル、それを、
「あぶねぇ!」
ラグナがマリベルを抱きかかえ洞窟の奥へと飛び退さる、そして土煙と轟音
それが収まったとき、洞窟は岩盤で完全に塞がれてしまっていた。

そしてその場に残っているのはセフィロスとアーサーの2人だけになった。
出口側にいるセフィロスは正宗を青眼に構え、余裕の表情を見せている。

一方、アーサーはがくがくと笑い出しそうな膝を必死でこらえながら、呼吸を整えている。
「戦えるのは僕だけか......」
アーサーにはたった一つだけ策があった、これを実行すれば間違い無くセフィロスを倒せる、
だが、それは同時にアーサーの死をも意味していた。
1424/5:02/11/29 00:05 ID:???
その脳裏に魔法の師の声が聞こえる。
『よいか、この呪文は成功・不成功に関わらず術者は必ず死ぬ、術者の生命が発動の触媒なのだ』
(死にたくない......死にたくないよ.....でも.....)
アーサーは、これまで出会った数々の人々の顔を思い出す......
(誰かの為に死ねるのなら、この命が無駄にならないのなら......)
幸い、ここには自分とセフィロスの2人しかいないし、後ろは分厚い岩盤で塞がれている、
使っても誰も巻き添えにはならない。

そして、アーサーもまたゆっくりとひのきの棒を構え、セフィロスへと叫んだ、
精一杯の勇気と覚悟を込めて.......。
「行くぞ!」

【マリベル/ラグナ 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前、ただし岩で遮断されている)
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト
 行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】

【アーサー 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・洞窟側)
 所持武器:ひのきの棒 行動方針:何とかしてセフィロスを倒す】

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

(5/5はありません、失礼)
青眼に構えたセフィロスからの一撃がアーサーへと迫る、アーサーはひのきの棒でそれを受けるが、
それは一瞬で手元から切断され、さらに返す刀が、
そのままアーサーの左脇腹から右脇までをも一気に斬り裂いていた。
アーサーも決して剣が不得手なわけではないが、だがいかんせんひのきの棒ではどうしようもなかった。
しかし、そうなるのは覚悟の上だった、アーサーは歯を食いしばり正宗を脇に挟み最期の力を振り絞り
呪文を・・・・・自分の生命を代償に、究極呪文の一つメガンテを唱え始める。

が、その時アーサーの視界に人影が入る、セフィロスの背後だ。
逃げてと言いたいが呪文の詠唱に入っているため声を出せない、究極呪文だけあって、
かなり長い詠唱が必要なのだ。
(だめだ・・・・これじゃ使えない)
今メガンテを唱えれば、確実にセフィロスは倒せる、しかしそれは背後の人を巻きこんでしまうことになる
(出来ないよ・・・・出来ない・・・よ・・・で・・も)
アーサーは呪文の詠唱を止める、と同時に正宗が閃き、アーサーの身体はバラバラになっていく、
薄れ行く意識の中で飛び散る自分の肉片を眺めながら、ぼんやりとアーサーは呟いていた。
「これで・・良かった・・んだ・・・・・そうだよ・・・ね」
ごとりという自分の首が地面に落ちる音を合図に、アーサーの視界は闇に閉ざされた、永遠に。

セフィロスはアーサーに止めを刺してから、ゆっくりと背後の気配を確認する。
「逃げたか・・・・」
つまらなさそうにセフィロスは呟いたが、彼はその人物に感謝すべきだろう、
そいつがあと1秒立ち去るのが早ければ今ごろセフィロスはアーサーもろとも、
粉微塵になっていたのだから・・・・

【アーサー:死亡】

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

(逃げたキャラは不明・お任せします)
「…ん?」
リノアが目を覚める。鼻を突くのは腐敗臭。
生物の死骸が腐った臭い。
ここはロンダルキアの台地からある意味一番遠い箇所。
ロンダルキア、地下部。綺羅星の如きの勇者がこの洞窟に果敢にも乗り込んでいって敗れた者。
未練を残した英傑はこの洞窟にて、また一人仲間を増やさんと永久に彷徨うことになる…
いま、ここにいるのは二人。スコールとリノア。
ここを彷徨っているはずの腐った死体の姿は見えない。…当然ではあるが。
その代わり、すでに動くことを許されず終焉を迎えた死体はあるわけだが。
「スコール?」
沈黙を保ちつつ、振り返る。
──あれから、何も話してくれない。
何があったのか。何を問いかけてもその答えは首を振るだけ。
わかるのは今、ここに彼はいて、気を失っていた間守っていてくれたということ。
…それだけでも十分なのかもしれないけど。
「行こう。どこかへ…ね。」
スコールは頷く。
ふと、部屋の隅にある宝箱に目が行く。
それはかつて命の紋章というアイテムが眠っていた宝箱。
何か、ひきつける、ものがある。スコールは感じていた。
「…」
「これって、宝玉、だよね。」
かつての魔王が幾多の術を用いて、勇者たちを惑わした。
だけど、そのまやかしの術は必ずや破られることになる。
…真実のオーブ。まやかしの術を打ち破る術であるそれはエビルマージが恐れて自室に封印していた…はずのもの。
無言を保ちながら階段へと歩き出した。リノアがあわててそれを追う。

【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
(流出アイテムは以上で全てです。)
「ちく....しょう」
あと数メートル先に進めば外に出られるというのに・・・・
ラグナは腹立ち紛れに、自分の目の前で出口を塞いでいる岩を殴りつける.....痛い。
どうやら大人しくしていた方がよさそうだ、ただでさえかなりヤバイ状態なのだから。

そう、マリベルは何とか助かったものの、ラグナは岩盤の下敷きになってしまっている。
その膝から先については痛みはおろか感覚すら感じない、どうやら潰れるどころかそこから千切れてしまったらしい。
「必ず助かるから......泣くなよな、おい」
ラグナはそれでも自分の傍らのマリベル----ラグナの位置からだと足しか見えないが、へと優しく話しかける。
「泣いてなんかいないわよっ!」
「何だよ、俺の為に泣いてくれてんのかと思ったのに」
強がる割りに瞳は真っ赤に充血している、とにかくマリベルは通路をびっしりと塞ぐ岩を色々と調べている。

(今のままでラグナさんを助けるのは無理ね)
崩れ落ちた岩と岩との微妙なバランスによってラグナの身体はペシャンコ寸前で保たれている、
もし下手に崩せば今度こそ本当にペシャンコになってしまうだろう。
ならばまずは何とかして通路を開通させて、誰か助けを呼ばないと、
マリベルは比較的頑丈でなおかつ安定している岩に目星をつけると、イオの力を一点に凝縮させて、
少しずつだが砕いていく、それは気の遠くなるような作業だった。

イオナズンやベギラゴンを使えばもっと楽なのだが、強力な分だけ制御が難しいし、
もし失敗すれば、ラグナが巻き添えになってしまう。
ラグナにもマリベルが何をしているのか分かったのだろう、嗜める声が飛ぶ。
「おいよせ、この岩がどれくらいあるのかわかってんのか!?」
しかしマリベルはそれには応じず、酸欠気味の洞窟内で早くも意識を朦朧とさせながら、
うわごとのように小声で呟くのみだった。
「それでも、何とかしなくちゃ.....何とか」
【マリベル/ラグナ(重傷) 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前、ただし岩で遮断されている)
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト
 行動方針:首輪を外してゲームを抜ける・洞窟から脱出する】

(もし全体攻撃呪文等で岩を破壊しようとした場合、100%ラグナは巻き添えになります)
1481/3:02/11/29 06:41 ID:???
 世界を渡る旅の扉、抜けた先にあったのは銀世界だった。
 雪に覆われた山道に自分は立っている。
「…さむ」
 吹き付ける風に、マントをすり合わせるセリス。
 辛い事はこれまでにもあった。雪山で剣を振るった事もあった。
 でも、その時にはそばに誰かがいてくれた。…『あの人』がいてくれた。
「……ロック……」
 今は誰もいなかった。それが、堪らなく寒かった。

 何でも、今自分達は殺し合いをしているのだという。
 聞こえてくる放送では、仲間であるセッツァーがすでに誰かの手に掛かったそうだ。ケフカも、逝ったらしい。
 だが、セリスには信じられなかった。仲間たちの強さは自分が一番知っているし、
 それに自分は…この『ゲーム』が始まってから、誰にも会っていなかった。
 実際にはすぐ側で殺戮が繰り広げられていたのだが、神懸り的な偶然でセリスはそれらに遭遇もしていない。

 だが、それは逆にセリスの孤独を煽った。
 もう、自分ひとりしかいないのではないか。いや、最初から誰もいないのではないか…
 寂しさと不安がセリスを包む。
 私は…たった一人で、朽ちていくのだろうか…?
 耳の奥で、ケフカの笑い声が聞こえてきた。マリオネットを操る道化師の笑い声だ。
 ああ…気が、狂いそうだ。

 思い切り叫ぼうとした、そのときだった。
 人の気配に気付いたのは。

「…誰」
 思わず、口に出していた。
 自分の命を狙う者かもしれない。それでも、出さずに入られなかった。
 そして、物影から一人の男が現れた。
「こんにちわ。あなたも、今回の事に巻き込まれた人ですよね?」
 一見友好的な態度。ヘンリーだった。
1492/3:02/11/29 06:42 ID:???
 セリスは戸惑った。こんな非常事態に、これまで誰にも会わなかったのに、突然現れた男。
 男は何事もなかったように平然としている。まるで、何事もなかったかのように。
 もしかして、自分は騙されていたのかもしれない…ゾーマと名乗る、狂言師に。
 何が正しくて、自分は何を信じればいいのだろう。

 そんな事を考えているうちに、ヘンリーは歩み寄ってくる。
「そうそう、僕は『とんぬら』というんですよ。あなたは?」
 笑顔。だが、後ろ手には幾人もの血を吸った斧が握られている。
 後もう少し、そこが必殺の間合いだ。
 なにやら考えているトロそうな女を見ながら、ヘンリーは口の中で笑った。
 だが、その笑いは、凍りついた。

「マリア…です」

 セリスは、ただ単に不用意に名乗るのはまずいかもしれないと思ったから、偽名を使ったに過ぎない。
 『マリア』という名前も自分が初めて使った偽名で、咄嗟に頭に浮かんだからだ。
 だが、ヘンリーにとっては違った。その名前はヘンリーにとって無二のもので…奇しくも、セリスと妻、マリアは同じ金髪だった。
 硬直するヘンリーに、怪訝そうな表情を浮かべるセリス。
 どうかしたのか。そう口を開こうとして、セリスは咄嗟に状態を逸らした。

「何をやっているっ!」
 怒声。女のものだ。衝撃と痛みがセリスの頭をシェイクした。
 何か、飛礫のようなものをぶつけられたらしい。右肩に当ってしまったが、咄嗟に身を逸らしたおかげで砕けてはいないようだ。
 痺れる肩を抱きながら、ヘンリーから飛び離れる。再び飛礫がきたが、避けるまでもなく明後日の方向へ飛んでいった。
 着地すると同時に腰に佩いていた剣を抜こうとして…

「え?」
 セリスは、足元を見た。崩れる地面、奇妙な浮遊感。 
 次の瞬間、セリスは宙に投げ出されていた。
1503/3:02/11/29 06:43 ID:???
「キサマ、やる気あるのか!」
 アグリアスは怒鳴った。
 ヘンリーは、セリスが落ちていった崖を見ている。その姿は、腑抜けたものに見えた。
 ――――この男、思った以上に役に立たんかも知れんな。寝首をかく日も遠くないようだ。

 しばらくして、ヘンリーは、崖から視線を外した。
「どうする、止めを刺しに行くか」
「この崖を降りて、か?行きたければ一人で行け」
「キサマ…」
「ふん…行くぞ」
 ヘンリーは歩き出す。

 マリアと名乗ったあの女は、やはり自分の妻であるマリアとは違った。
 わかっている、違うことは。
 わかっているのに…ヘンリーの内には、小さなしこりが残ったままだった。


【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1
 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
 装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:ゲームにのる】

【セリス 所持武器:ロトの剣 
 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:錯乱? 崖下へ転落】
1511/4:02/11/29 12:57 ID:???
《午前8時四十分前後》
「愛する者の命のために。」
まっすぐなエリアの眼差しを正面から受け止めながら、セシルは答えた。彼女の問いに。
その言葉に、エリアの微笑が消え、何か別の表情が取って代わる。
「…そのために命を奪うのですか?沢山の、同じ、命を。」
我知らず手を握りしめながら、エリアは静かに言った。自分を押さえていないと、怒鳴りだしてしまいそうだ。
「僕にとって、命は“等価”じゃない。このゲームに参加してる全ての人間より、僕にとってのローザの命は重い。」
彼自身、冷たいなと驚くほどの声音でセシルが言う。まるで自分に言い聞かせるみたいに。
セシルは、ウソを言ってはいなかった。少なくとも今の時点では。
昔は、ゲームに参加する前は、そうは思っていなかった。全ての命は等価値だと思っていた。
だけど、気づいた。彼女が死んで。
彼女は何よりも大事だ。だから、他の命を奪ってでも彼女を生かす。
決意した時、彼はゾーマの操り人形になる事を決め、己を捨てた。
リディアと出会い、まだ僅かに心に残っていた己に気づき、再びソレを放棄した。
カインと出会って、再確認した。
セシルは今、誰だって殺せる。エッジでもカインでもリディアでも。ましてや知らない他人の命などそれ以前だ。
「…分かります、あなたの思いは…だけど、私にも背負うモノはあります!同じくらい、重いモノが!」
思わずそう叫んで、エリアは携帯していたミスリルナイフを抜いた。
エリアの心の中で焔(ほむら)が唸った。優しき水の心の中で、炎が怒りの産声を上げた。勇気の炎が。
その瞬間、セシルの表情が変わった。顔が強ばる。顔の裏で激情が爆発する!
どぉぅんっ!と、エリアの足下で黒の衝撃が弾け、ばっと雪が散る。周りに生えている木の一本が衝撃で倒れる。
剣の切っ先をこちらに向け、セシルが低く叫んだ。先ほどの黒の爆発も彼の仕業か。
「分かるものか…あなたに…!」
剣の切っ先に黒い光を集め、それをエリアに向ける。
…このまま話していたら、捨てたはずの己が戻ってくる。ソレは駄目だ。
ローザを生き返らせるためには、みんな殺すためには、何よりも、甘い自分自身が不必要なのだから。
1522/4:02/11/29 13:01 ID:???
ナイフを構えながら、エリアは小さく息をのんだ。
目の前にいる騎士は、強い。どうしようもなく強い。
ナイフを抜いて怒鳴ったのは失敗だったか?
否、そもそも彼女に打算など全くない。ただ、思いをぶつけただけ。

…騎士の、セシルの剣の切っ先の、黒い輝きが吠え狂う。
一瞬後には、エリアは黒い爆圧でバラバラになるだろう。避けられそうもない。
エリアはぐっと歯を食いしばった。その爆圧と、訪れる死を耐えるべく。

               だあんっ!

爆圧は、エリアを殺しはしなかった。
「っ…!」
「エリア!無事か!」
「ロックさん!」
間一髪のところで駆けつけたロックのクイック・シルバーが、セシルの腕を撃ったのだ。
残念ながらその一撃は真芯を捕らえず、腕を軽く裂くにとどまったが。
「邪魔をするな…!」
セシルは静かな怒りをたたえ、ロックに向かって剣を向ける。
「ロックさん!これを!」
エリアはザックから吹雪の剣を取り出すと、ロックの方に向かって思いっきり投擲する。
非力な彼女としては長い時間、剣は宙を舞い、ロックの足下に突き刺さる。
「っ…!」
ロックが剣に向かって跳躍する、ロックの立っていた場所を黒が薙ぐ。クイックシルバーの弾丸が空を切る…!
「エリア!下がれ!遠くまでだ!」
剣を握ったロックが短く叫ぶ。エリアはソレを聞いて一瞬迷い…振り向くと、南に向かって走り出した。
自分では足手まといになる…味方がいる。
そして、ここからしばらく南には…あの、小さな水の反応があったはずだった。
1533/4:02/11/29 13:09 ID:???
「く…くう…。」
邪神官エビルプリーストは、弾丸に打ち抜かれた腕を引きずりながら雪原を歩いていた。こちらに走っていったロックを追って。
(あの男め、なかなかやる。)
彼と戦っていたバンダナの男、呪文すら使えないくせをして…。
あの弾丸さえ喰らわなければ、ヤツを捕縛できたのに。一瞬の隙に逃げられてしまった。
腕の治療にベホマを使っているが、どうも効きが悪い。なにか、力を制限されているような…。
ぼふっ!
突然なにかに足を取られて、エビルプリーストはその場に倒れた。
考え事をしていたせいで、足下に気が回らなかった。
「む、むう…。」
腕を引きずりながら立ち上がり、振り向く。何だ?何に足を取られた?
振り向き、足元を見ると答えは知れた。死体だ。死体に足を取られた。
深い雪に埋められ、埋葬されていたのだろう。彼が派手にこけたせいで雪が散り、ソレは顔を露わにしていた。
女性だった。紫色の髪の、美しい女性。
エビルプリーストは一時思案する。
死人に化けるのはリスクが大きい。本人の知り合いに会ってしまえば一発でばれる。
だが、いきなり出会ったら…どうだ?
驚くだろう。死んでいるはずの人物が生きて目の前にいるのだから。
その一瞬の隙さえあれば…呪文をたたき込める。
しかも、この女性は相当な美人だ。武器が無くて困ったフリでもしていれば、お人好しが助けに現れるだろう。ソイツを、仕留めればいい。
エビルプリーストはニヤリと笑い、変化の杖を振りかざした。すぐに彼の身体が女性の…ファリスの姿に変わる。
エビルプリーストはとりあえずおとなしい表情を作って、軽く一回転してみる…完璧だ。
「こんな物かしら…。」
声を出してみる。なるべくしおらしく。
もしもまったく事情を知らないバッツがコレを見たら大笑いするだろう。もしくはファリスは気でも狂ったかと心配するだろうか。
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、にやっと嫌な…ファリスが絶対浮かべないような笑みを浮かべて、ファリスの死体を埋め戻した。
1544/4:02/11/29 13:12 ID:???
「む…。」
ファリスの死体を埋め戻そうとしたエビルプリーストの手に、何か堅いモノが触れた。
金属の感触。何か生き物のような形。
雪の中に手を突っ込んでまさぐり、ソレを取り出す。
ペンダント。大空を舞う飛龍を象ったペンダント。
「…もらっておくとするか。」
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、ソレをザックの中に放り込んだ。

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー 
 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)  行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック 所持武器:クイックシルバー 小型のミスリルシールド 吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)
 行動方針:エリアを守る】
【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から南へ
 行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:ロンタルギアの祠南に8マス・ファリスの墓
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
1551/3:02/11/29 17:27 ID:???
「あいててて……」
ティーダは頭を抑えながら立ちあがった。
「大丈夫ー?」
頭上から、エアリスの心配そうな声が響き渡る。
「大丈夫じゃないッス……もう、5回目ッスよぉ?」
「全く、情けないな! バッツならこれくらいの落とし穴、簡単に避けられるぞ?」
「オレより引っ掛かってる人に言われたくないっつーの!」
偉そうなことをいうギルガメッシュに突っ込みをいれてから、ティーダは階段に走った。

ティーダ・エアリス・ギルガメッシュは、かれこれ一時間以上も、4階と5階を行ったりきたりしていた。
理由は簡単。5階に仕掛けられた、異常な量の落とし穴のせいである。
それらは巧みに床とカモフラージュされている上、魔法でもかかっているのか、
時間が立つとまた、元の床に紛れて判別がつかなくなってしまう。
誰が仕掛けたのかはしらないが、意地悪ここに極まれり。
お陰で最初は、モロに全員引っ掛かった上、エアリスが頭を打って気絶してしまったりもした。

ちなみに、この間に、アーサーに道案内されたマリベル達が、5階を通り過ぎていたのだが。
この時は、誰一人としてお互いの存在に気づいてはいなかった。
1562/3:02/11/29 17:29 ID:???
「じゃ、今度は気をつけてね」
「は〜い、はいはい……」
3人がとった手段は、マッピング。
ティーダとギルガメッシュが色々な方向に進み、エアリスが紙に印をつけていく。
地道だが、確実な手段ではある。
……しかし、この手の勘と運があまりない二人。
落とし穴という落とし穴に、片っ端から引っ掛かること引っかかること。
最初は呆れ顔だったエアリスも、だんだん笑いを隠しきれなくなってきた。

「……もうイヤッス」
「もう少しだから頑張って、ねっ?」
たんこぶだらけの頭をさするティーダに、有無を言わせない笑顔で励ますエアリス。
「まぁ、ここまでくれば後少しだからな……ぁぁあああああああ?!」
一歩踏み出したギルガメッシュの姿が、不意に消えた。
エアリスは早速ペンで印をつける。
「ここにも落とし穴ね……ということは、ここを迂回すれば、階段に着くはずよ」
「だってさ。頑張って上がってこいよー」
投げやりに声を掛けて、ティーダは先に進もうとする。
その時、上の階から、重く低い音が響き渡った。
1573/3:02/11/29 17:30 ID:???
――ズ……ズズゥン……

「……?」
二人は顔を見合わせる。昨日聞いた土砂崩れの音に、良く似た音……
「ちょっとオレ、行って見てくるッスよ!」
不安に駆られたティーダは、慌てて階段へと駆け出した。
「あ、待って、そっちは!」
「へ? ……うわぁあああああああ!」
エアリスの制止は、ちょっと間に合わなかったらしい。
ティーダは足を踏み外して、落っこちた。
ギルガメッシュの落ちた穴へと。
「はぐぅっ!」「うぎゃっ!」
二人分の悲鳴が、階下で木霊する。
「……私、先に行ってるね」
エアリスはため息をつくと、マッピングした紙を穴の下へ落とし、階段を上がった。

【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
 現在位置:ロンダルキアの洞窟
 行動方針:上階で何が起こったのか確かめる/落とし穴フロアを脱出(w)】
158リュック:02/11/29 19:15 ID:???
「…う〜ん。…あれ?ここは…」
リュックは目を覚ました。いつの間に気を失っていたのだろう。
しかし、今はそんな事はどうでもいい。今いる場所は見覚えのある、
いや、自分の家と言ってもいい場所。飛空挺の中の、休憩室。
「あら、リュック。目を覚ましたのね」
「ユウナン!?」
「どうしたの?狐に化かされたような顔して」
「…えーと」
(なんで?私、あのゲームに参加してたはずなのに)
「ふふ、大丈夫そうね。うなされてて心配だったんだから」
(そう、なの?あれは全部夢だったの?)

「ちょっと待ってて。今、食べる物持ってくるから。おなかすいてるでしょ?」
「あ、うん。お願い」
部屋から出ていくユウナの背中に、なんとか言葉をかけた。
部屋の中に誰もいないのを確認して、リュックはベッドから出た。
腕を伸ばしてみる。あの腕輪はもちろん無い。意識を集中してみる。別にヘンなトコは無い。

「…ぜんぶ、夢だったの?」
飛空挺の駆動音が、質問に答えてくれる。YESと。
「あ〜もう、ヤな夢だった。」
思いっきりベッドに仰向けに倒れこむ。あのバカらしいゲームも、銀髪の剣士も、
怪物になった自分も、…アーロンを殺してしまいそうになった事も、夢だったのだ。
みんながいる。いつもと変わらない、新しい今日が始まる。あたり前の事なのに、すごく嬉しい。
そして、長く大きな腹の音がリュックの思考を停止させた。外から美味しそうな匂いが漏れてきた。
159リュック:02/11/29 19:17 ID:???
「はい、今日のお昼ご飯。いくらダイエットしてるからって残しちゃだめよ」
(ダイエットなんかしてたっけ?まあいいや。すごくお腹すいてるし)
ユウナの持ってきたトレイの上には、ジューシーな音を立てているステーキとワインが乗せてあった。
「うわぁ、おいしそう。」
「ふふ、お代わりあるからたくさんたべてね」

「いっただっきまーす」
歓喜の声も高らかに、ナイフとフォークを巧みに操って肉を一口大に切り分ける。
中にまだ赤い部分が残っているレアステーキ。耐えきれずフォークに突き刺さったそれを口に運ぶ。
「…おいしーコレ!!」
中まで巧みに火の通った完璧なレアステーキ。味、風味、食べごたえ、どれも完璧。
フォークとナイフがきらめき、あっという間に食べきってしまった。

「ユウナン、おかわり!」
「はいはい。すぐに持ってくるからね」
お腹はまだ満たされていない。それとなく側のワイングラスに手を伸ばす。
透き通るようなクリムゾン・レッド。かぐわしい香りが鼻腔をくすぐる。
とりあえず一口。
…言葉が出ない。感動すら与えるこのワインを、リュックは一気に飲み干した。

「それにしても、ワッカもひどい事言うわよねぇ」
「モガ?」
口にお肉をほお張ったまま聞き返す。
「リュックの事、ぷにぷにっていうんだもん。女のコをなんだと思ってるのかしら」
(モグモグ、ごっくん)
「ワッカ、そんな事言ってたんだ。くぬ〜。今にみてろ〜」
160リュック:02/11/29 19:18 ID:???
「だからって、絶食なんかしちゃダメよ」
「大丈夫。明日っからたくさん運動するから」
いっぱいになったお腹をさすりながら、ワインをすする。
テーブルの上には皿が山のように積まれ、床にはワインのビンが散乱していた。
「ところでユウナン。このお肉とワイン、普通のじゃないでしょ。どこで買ってきたの?」
いたずらっぽい顔をして問い詰めるリュックに、ユウナは微笑して答えた。
「それ、アーロンさんよ」

―――沈黙だけが空間を支配した。駆動音は、いつのまにか消えていた。
ゆっくりとした波紋のように、言葉の意味が部屋の中に広がっていった。
「…ユ、ユウナン?ナニ言ってるの?」
何十秒も経ってから、ずいぶん間の抜けた声で答えた。
「なにって、リュックが採ってきたんでしょ?」
表情を変えずにユウナが答える。対照的に、リュックの心は激しく荒れ狂っていた。

「厨房にまだ残ってるから、見にいってきたら?」
既にユウナの声では無かった。しかしリュックは弾かれたように走りだした。
ドアを開けて―――
「いや、やめて、いやだよ、こんなの」

ドアを開けたソコは廊下になっているはずだが、厨房に変わっていた。
リュックの視線の先、真ん中に置いてある大テーブルの上には、後ろを向いているが間違いない。
アーロンの、生首が置いてあった。
体は…どこにも無い。床に置かれたバケツに、骨がたくさん入っていた。
血は…一滴もない。壁のところに、ワインのビンが積まれていた。

「どう?人って、とってもおいしいでしょ?」
声の方を振り向き―――ソコにユウナはいなかった。そこにいたのは―――私だ。
「どうして?どうして私がソコにいるの?…ヒッ!!」
目の前のリュックの背中から、黒い羽が生えた。
「…私はお前だ。驚く事もあるまい」
低く、暗い声。変化は、絶えず続いていた。
161リュック:02/11/29 19:19 ID:???
黒い鱗が体を覆い、腹部から何本も腕が生えてきた。蜘蛛を思わせるフォルム。
そう、さっきまでの私。
「いや、いやだよ、わたし、そんなんじゃない」
「人の肉の味はどうだ?血の味が忘れられないだろう?」
「違う、わたし、そんなもの食べてない」
「自分の親しい者を殺す快感も、残っているはずだ」
「違う、やめて、やめてぇ……」

思わず耳をふさぐ。しかし、自分の手のやわらかい感触はしない。
恐る恐る自分の手を見てみる。
「いや、いやーーーーー!!」
黒いカギ爪と化した自分の腕をみて、リュックは絶叫した。意識が弾けた。

―――冷たい感触が肌を包む。開いた目に白い景色が映って、リュックは身を起こした。
あたりを見まわす。飛空挺の中ではない。一面の、銀世界。
「…夢、だったの?」
身を刺す冷気が答える。YESと。
「…そっか。移動中に気を失っちゃったんだ。」
それにしてもイヤな夢だった。大丈夫、アーロンは生きてる。
そこまで思い出して、リュックの中でナニかが動き出した。
162リュック:02/11/29 19:24 ID:???
急激に増した飢えが、リュックの体を激しく揺さぶる。
夢の中のアイツの言葉が、頭の中をむちゃくちゃにかき混ぜる。
人の味が、心の中の倫理をぐちゃぐちゃにすりつぶす。
(もうダメだ。このままじゃ、飢え死にしてしまう!)

視界の隅に赤い髪を確認した次の瞬間、リュックは羽を広げソレに向かっていった。

【リュック(ハラぺコ):所持武器:進化の秘法 現在位置:台地中央山間砂漠南 
 行動方針:御食事 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))


1631/3:02/11/30 09:33 ID:???
「くっ……。」
通路を半分ほど戻った辺りで若造がわしの術を振り払った。
あれだけの術を使ってもこの程度しかもたぬとはな、わしの衰えは思ったより進んでいる様だな。
現在わしの魔力、生命力の源である闇の力はほぼ枯渇状態にある、補充しようにもわしに力を授けてくださるお方、シドー様は既に身罷っておられる。
従って後はわし本来の人間としての魔力、生命力で勝負するしかないのだが、200年以上生きているわしにそんなものが残っているかは甚だ疑わしいな。
「少々相談したいことがあったのでな、我々が魂を駆集めるのを手伝って貰いたい、報酬はその魂を使ってのゲームからの脱出。」
別に死ぬ事自体はどうでも良い、わしの総てを捧げたお方、シドー様のおらぬ世界に未練なぞ無い。
だが、そんなわしを後悔と絶望しかない現世に呼び戻した連中にはたっぷりと復讐してやる、楽しいゲームをぶち壊しにすることでな。
「誰がそんな話に…」
「良いのか?このままいったら最後の一人になるまで殺し合うしかないのだぞ?どうせ失われる命だ、我々が有効に活用してやった方がまだましだとは思わぬか?」
問題はマゴットだ、今の中途半端な状態でわしの真実を告げるのは流石に不味い、下手に発狂でもされようものならわしの計画は頓挫せざるを得ない。
それに戦力の問題も深刻だ、今はまだ身体が動くから良いがいずれわしが荷物になるのは目に見えておる。
本来アルスかサマンサがベストなのだが、そこまで贅沢を言っている場合でもあるまい。
「無論他に良い方法を知っているならそちらに乗ろう、返答は?」
その時、小さな人影がわしに襲い掛かった。
1642/3:02/11/30 10:14 ID:???
「それが答えか?」
明らかに術者にしか見えない小僧の攻撃をあっさりと交わす。
そんな工夫もスピードも無い攻撃にわしが当たるものか。
「ビビ?」
どうやら相棒にも意外だった様だな、まあ相手に噛み付こうとする術者は非常に珍しい気がするが。
うん?そうか、そういう事なら遠慮は要らんな。
わしは真空を作るべく大きく杖を振りかざす。
「くっ…」
間に割って入る若造。
「馬鹿者がぁっ!」
わしは咄嗟に左の拳を叩き付け、あっさりと若造がそれを避け、そして若造の首筋を狙っていたビビの顎がわしの左手を食い千切った。
「どうしちまったんだよビビ……。」
わしの左手はそのまま租借されてビビの腹に収まってしまった、こうなると流石にべホマを使っても再生は不可能だな。
「この地方は非常に負の生命力に満ち溢れていてな、死にぞこないを長時間放置しておくとごく稀にアンデット化してしまう事がある。」
そんな特徴が無ければいかに難攻不落とは言えこんな食糧事情の悪い所に大神殿など作らぬよ。
「元に戻す方法は……」
「愚問だな、貴様らはアンデットに会った時にどう対処している?」
それにあそこに有るのはビビという魂を入れていた肉の器に過ぎぬのだがな。
「邪魔だけはするなよ若造。」
それさえなければただのゾンビ風情に我々が負ける筈が無いからな。
1653/3:02/11/30 10:22 ID:???
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖 現在位置:小島隠し通路 
 行動方針:不明】
              VS?
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
              VS
【/ビビ(アンデット化): 所持アイテム:ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路 
 行動方針:生者を食べる】

>>151->>154の内、

《午前8時四十分前後》→《午前9時前後》
南には…あの、小さな水の反応があったはずだった→北には…まだ確実に生きている、風の戦士がいるはずだ。
ファリスの墓・祠から8マス→西に4〜6マス、南に15〜20マス
エリア現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から南へ→ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ

を、上記のように訂正します。
どうもご迷惑お掛けしました。
167163訂正:02/11/30 12:07 ID:???
二行目の
>通路を半分ほど戻った辺り

>通路を幾らも戻らぬうちに
に訂正します。
スレ汚しスマソ
168163,164訂正:02/11/30 13:06 ID:???
若造を全て若僧に変更します。
169バーバラ:02/11/30 13:10 ID:???
バーバラは今、神殿南東も雪原を歩いていた。
足取りは決して速くはないが、その目には色濃く意思の光が満ちていた。
吐く息は白く、薄い空気が体を蝕む。しかし彼女は歩く事をやめない。
「…見えた。あの砂漠まで着ければ……」
視線の先、雪原の果てにうっすらと黄色の砂が見える。
それと同時に、なにか黒い影がこちらに飛んでくるのがみえた。

砂漠から飛来した黒い影は次第に大きさを増し、今ではその羽をも確認できる。
人の背中に羽が生えたようなフォルム。そしてその羽が一瞬ブレて―――
「!!!  きゃあ!」
間一髪バーバラは真横に飛び退く。風の刃が、さっきまでいた場所を薙ぎ払う。
「これは……真空波!?」

黒い影はなおも真空波を生み出し、バーバラに向かって解き放つ。
しかし、バーバラはそのことごとくを避けきっていた。
「…大丈夫。雪のおかげで軌道が読める。」
新たに放たれた二つの真空波を見切って避ける。
「…私、戦う。死んじゃ、いけないから。約束、守らないと、いけないから…!」
バーバラはこのゲームが始まってから初めて攻撃のための呪文を紡いだ。

「……アルス君、反応があったわ」
「そうなんですか!?方角は?」
「ここから北西、人数は一人ずつ、二人よ。名前はバーバラと、…リュックさん」
アルスは近くの雪丘に登り、その方角を見る。
「……!!  ティナさん、二人が戦ってるみたいです!あの怪物は…やっぱり……」
「……どうするの?アルス君…」
「リュックさんを…殺しに行きます。たとえ、どんな結果になっても」
アルスの意思は、固かった。誰にも曲げられないくらい。
「…わかったわ、私も行く。行きましょ、手遅れにならないうちに」
170バーバラ:02/11/30 13:12 ID:???
「行け!バギマ!!」
真空の渦が、リュックの直前に発生する。進行を止め、目をくらますため。
風が雪を巻き上げる。バーバラはソコに向かって呪文を放った。
「くらえ!べギラゴン!!」
両手に生み出された熱線が対象の周囲を燃やす。雪がソレを反射し、対象を閉じこめる。
突然、対象を中心に風が巻き起こる。ソレが収まったとき、ソコにはモンスターが現れていた。

「…え?こんな怪物、参加者にはいなかったじゃない!?」
8本の足、黒い羽、黒い鱗、蜘蛛を思わせるフォルム、かなりの巨体。
こんなのが最初の広間にいて、気付かないはずが無い。
バーバラの叫びの答えのかわりに、ソレの羽が振動した。
「キャア―――――!!」
バーバラは真空波にあたり、雪原に吹き飛ばされた。

「くっ、風で相殺しなかったらやばかったわね」
アレが真空波を放った直後、バーバラはとっさにバギを唱えていたのだ。
「大丈夫、外傷はないわ。でも、あんな怪物どうやって」
距離が離れたためアレの出す真空波は避けれるようにはなったが、近づけない。
「とりあえず、あの羽をなんとかしないと……」
アレは今同じ技しかやってこないが、もし別のパターンに切り替えたら……

「とりあえず、マヌーサ!!」
怪しい霧がリュックを包む。効いているならあたりを無茶苦茶に攻撃するはずだ。
しかし真空波は確実にバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「次は、ラリホー!!」
甘い空気がリュックを包む。効いているなら眠ってしまうはずだ。
しかし真空波は絶えずバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「これなら、メダパニ!!」
奇妙な物がリュックを包む。効いているならワケのわかんない事をするはずだ。
しかし真空波は(略
「状態変化呪文は効かないってワケね。方針を変えたほうが良さそうね」
171バーバラ:02/11/30 13:12 ID:???
リュックには呪文は効いていなかったが、中では少しだけ本来のリュックが目を覚ましていた。
(やめて、あたし、こんなことしたくない)
心の叫びは、体に届かない。そして再び意識が闇に落ちていった。

「くっ、あと使ってない魔法は…」
べギラゴンは効かない。中級魔法も多分効かないだろう。それなら大魔法クラスになるのだが…。
「こんな事なら、スーパースターより先に賢者をマスターしとくんだったわね」
後悔しても始まらない。ストックは3つ。いなづま、フェニックス、そして……
「…マダンテ…か。」

(コレを使ったら、あたしはナニもできなくなる。でも、使うべき呪文はコレじゃない。
 北に行かなきゃならないから。『北西に行ったら良くない事が起こる』
 だから、コレは良くない事じゃない。絶対、打開策はあるはず。だよね?お姉ちゃん)
「…よし。たぶんコレがあたしにできる精一杯。いくわよ!化け物!!」
そして、バーバラはリュックに向かって走り出した。

「せーの、みかわしきゃく!」
流れるようなステップを踏み、迫りくる真空波を避ける。
「いくわよ、まぶしいひかり!」
接近してくるバーバラを見ていたリュックの目は、その光に直撃して機能を失った。
「いけ!いなずま!!」
天空より墜ちし稲妻の剣がリュックの体を貫く。リュックは耐えきれず叫びを上げた。
バーバラはその叫びを聞きながら、最後の呪文を紡ぐ。

「クリスタルにこめられし炎の記憶。断罪の名をもつ汝の翼をもって魔を焼き尽くせ!!」

「フェニックス!!!」
―――死の大地に不死鳥が舞い、紅蓮の炎がリュックの体をつつみこんだ。
172バーバラ:02/11/30 13:13 ID:???
「ハア、ハア、、、、やったの?」
猛烈な脱力感と喪失感に体を蝕まれながらも、バーバラは目の前の火柱を見つめていた。
火柱の中で黒い影はのたうちまわり、次第にその動きも鈍ってくる。
そしてその骸が剥がれ落ち、中から一人の女性の姿が生まれた。

「…どうして?なぜ……?」
「おねがい、わたしを、、ころして、、、、、、
 もう、おさえきれない、、わたしが、きえちゃう、、、
 いまなら、わたしを、、ころせる、、、おねがい、、はやく、、、」
「ダメ…できないよ。だって、あなたは、まだ生きてる」
さっきは殺してしまう気持ちでいた。でも、相手が人間だったのなら話しは違う。
「…もう、わたしじゃないの、もう、わたしは、もどれない、、
 もっと、はやく、、ころされるべきだった、、
 わたしが、わたしであるうちに、、おねがい、、」 

「だめ、なにか方法があるはず。あきらめたら……」
「じかんが、、ないの、、、あいつは、まだ、しんでない、、、
 あいつが、、めをさます、、まえに、、、はやく、、、!!!」
「だめ、あたしにはできない!!」
「もう、、だめ、、あいつが、、、」
そして再び、リュックの体が黒い鱗で覆われた。
173バーバラ:02/11/30 13:14 ID:???
「グウウウ、、オマエ、、、クワセロォ!!!」
「きゃあーーー!!」
リュックの体当たりに、バーバラは大きく吹っ飛ばされた。
「くう、…お姉ちゃん、あたし、どうしたらいいの?」
リュックは空に浮かび、物凄いスピードでこちらに向かってくる。

そのとき、黒髪の剣士の斬撃がリュックの羽を切り飛ばし、
巨大な火球がリュックを雪の中に叩きこんだ。


【リュック(ハラぺコ・重傷):所持武器:進化の秘法 現在位置:台地中央砂漠から南 
 行動方針:御食事 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 
 行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核 
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
カインは洞窟近くの岩山の頂上にいた。
無論、龍騎士たるカインなればこそ侵入できる場所だ。
そこから下界を見下ろすカインの息がはぁはぁと荒い、その視線の先には首をかしげながらも、
北に向かうセフィロスがいた。

「ちくしょう、俺って奴は」
カインはつい数秒前の事を思い出す、
本当は助けに行きたかった、だが、そこに到着したときにはすでに手遅れだったのだ、
と自分では思っているが、違う・・・本当はあの銀髪を見た瞬間、身体が竦んでしまったのだ。
結果、彼はセフィロスから、いや戦いから逃げてしまったのだ。

「こんなので・・・俺はアイツを止める事ができるのか」
カインの脳裏にセシルの言葉が甦る、もはやセシルを救う事は叶わないだろう。
ならば戦って止める以外に無い、それは親友である自分の役目だ、他の奴には譲れない。
だがこの体たらくは何だ。
命を無駄にするな、という観点から見れば、カインの行動は正しい。
だが、カインはそれを正当化するには、あまりにも一途でまっすぐな心を持ち過ぎていた。

どこまでも殺風景な景色に囲まれ、1人で頭を抱えるカインだった。

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの岩山
 行動方針:セシルを止める】
(セフィロスへの苦手意識あり)
1751/5:02/11/30 18:26 ID:???
 ライアン、ルーキー、とんぬら、アイラの4人は森の中を歩いていた。
 魔法の球はかなり広範囲に配置されているらしく、現に今も同じところを回っているようである。
 ルーキーは白い息を吐きながら呟いた。
「なんだか、ぜんぜん進まないねぇ」
「仕方ないでござるよ。とにかく、今は一刻も早く森を出ることでござる」
 そのとき、とんぬらがある方向に指をさした。
「今度こそ、抜けたみたいだよ」

 森から抜けた先には、山道があった。
 白く染まった道を見て、ルーキーはため息をつく。
「今度は山に登るの?」
「仕方ないでござるよ。あの森の中にいたのではいつまで経っても進めないでござる」
 もちろん、それはわかる。だが、森の中は木々のおかげで風は届かないという利点もある。
 この寒さだ、防寒具を着ているとんぬらやゾンビ状態のアイラはとにかく、自分はつらい。
 ルーキーはライアンの方から飛び跳ねると、とんぬらの肩に移った。
「ねぇ、とんぬらさん、とんぬらさんのマントの中に入れてよ。もう、寒くて寒くて」
「これ、多少涼しい程度でござらぬか。あまりわがまま言うものではないぞ、ルーキー殿」
 大真面目な顔でいうライアンに、とんぬらは苦笑した。
「まあまあ。僕はかまいませんから。いいよ、マントの中にお入り」
「やったぁ!ありがとうとんぬらさん!」
 言うが早く、襟からマントの中に潜り込むルーキー。
 そんなルーキーを、アイラはうらやましそうに見ている。
「やれやれ、モテモテでござるなぁ」
 肩をすくめるライアン。とんぬらはあいまいな笑みを浮かべた。

 山道は、険しい山脈の狭間に伸びていた。
 こんなところで敵に会ったら、堪らない(でござる)な。
 戦いに慣れた二人はそんなことを思いながら、先に進む。
 この山を抜けて、とにかく見通しのよい場所に出る。
 そこには勿論危険もあるだろうが、探し人がいる可能性もあるのだ。
1762/5:02/11/30 18:26 ID:???
(クーパー、アニー。今、どこにいるんだ…?)
 とんぬらは、まだ幼い自分たちの子供のことを思った。
 仲間たちのことも。ピエール、ピピン。そして……
 そして、再開の時は来た。

 お互いが、何の気構えもできなかった。正真正銘の突然。
「ヘンリー」
「とんぬら」

 山間を、風が抜ける。
 二人の連れは、それぞれの表情で二人を見比べた。
 大きく息を吸って、そしてヘンリーは笑う。
「よう。相変わらず変なのに好かれてるみたいだな」
「まあね、どうやら性分らしい。ヘンリーも……」
「放送聞いたよ。フローラさん、残念だったな」
「…マリアさんも」
 ヘンリーの連れ、アグリアスの眉が微かに動く。マリア、その名前はつい先ほど聞いたものだった。
「ああ。……また、お互い、大切な人を失ってしまったな」
 ヘンリーはゆっくりと、とんぬらたちに近づいてくる。

「む、とんぬら殿、知り合いでござるか?」
 そんなの見りゃわかるじゃん、とマントの中のルーキーは思ったが、
 まあ大方本当に今気付いたのだろうから、何も言わなかった。
「ならばよいのでござる。ヘンリー殿、であったか。拙者は……」
「ライアンさん」
 とんぬらは底冷えのする声でライアンの言葉を遮った。
 ヘンリーは相変わらず笑ったままだ。
「やっぱり、お前にはわかってしまうか」
「何年親友やってると思っているんだ、ヘンリー」
「そうだったな…でも、さすがにこれはわからないだろう、相棒!」
1773/5:02/11/30 18:27 ID:???
 ビンが投げつけられる。
 次の瞬間、とんぬらはさざなみの剣を掲げ、ヘンリーは呪文を唱えた!
「イオ!」

「ヌ、おおっ!?」
「これは…っ!」
 小規模な爆発。それ自体は、剣の力で跳ね返している。
 だが、爆発はビンを巻き込み、ビンの中に入っていた薬品が引火して、とんぬら、ライアン、アイラに降り注ぐ!
 火を纏った液体をかわせず、三人は火ダルマになった!

 ライアンはごろごろと地面に転がり、とんぬらはフードと防寒具を脱ぎ捨てようと手をかける。
 アイラは……相変わらず平然とした姿でライアンが落とした大地のハンマーを拾い上げると、
 無造作に、地面を叩き付けた。

 ドゥン!!
 遥か彼方まで届きそうな重い音が響き渡り、雪が舞って白い柱が生まれる。
 ライアン、とんぬら、アイラはその柱の中に巻き込まれ、吹き飛ばされた。
 雪にまみれながら地面に落ちたころには、火は消えている。

「いたた…手荒すぎるでござるよ、アイラ殿」
 雪を撥ね退け、身を起こすライアン。
 アイラはやはり無造作に大地のハンマーをライアンに押し付ける。
 とんぬらは二人からやや離れたところで、頭を振りながら身を起こした。
 とんぬらがいる場所は、ライアンたちよりヘンリーたちに近い。

 刹那、とんぬらをアグリアスの剣が襲う。
 とんぬらは二度三度アグリアスの剣撃を受け流すと、バギの呪文を唱えた。
「くっ…」
 巻き起こった真空の渦に攻撃の手が止まる。
 その隙を見逃さず、今度はとんぬらが攻撃に転じる。
「とんぬら殿!」
 ライアンは大地のハンマーを手に取った。アイラはすでにとんぬらの元に駆け出している。
1784/5:02/11/30 18:28 ID:???
 そのときだった。

 ゴゴゴ……

「む…何の音だ?」
「まさか…」
 大地のハンマー。それは名前の通り、大地の力を秘めたもの。
 その力は…大地をも揺るがす。
『雪崩!?』
 全員(アイラを除く)が叫んだときには、白い激流が全員を押し流していた。


 …
 ……
 ………どれくらい、気を失っていたのか。
 とんぬらはちょうど森から山道に入るあたりで、我に返った。周囲を見回す。誰も、いない。
 あわててマントの中を見ると、目を回して気絶しているルーキーがいた。
1795/5:02/11/30 18:29 ID:???
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 
 現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う】
【ルーキー 所持武器:スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:気絶中】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:仲間を探す】

【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター
 現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3
 現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:皆殺し】

【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
 装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
 現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:ゲームにのる】
180バーバラ:02/11/30 19:29 ID:???
173の持ち物修正します。

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャ― 
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】

181_ ◆yGAhoNiShI :02/11/30 23:28 ID:???
幕府を開きたいのですが
何処に申請すれば良いのでしょうか?
雪原の中、つまらなさそうにセーラは歩いていた。
彼女はロンダルキアの洞窟方面から歩いてきた。
セフィロスとアーサーとの一騎打ち。
最初は身を潜めて消耗した片方をこのブレイズガンで撃ち抜く。
そうしようと思っていた。
だけど、その予想は外れてしまった。
あまりにも一方的であったためだ。
さすがに無傷同然の敵を攻撃することは無理があった。
気づかれる前に逃げ出さないと…
そう思い、あの場から逃げ出してきたのである。
もっとも、セフィロスにも、アーサーにも気づかれていたのではあるが。
アーサーは彼女の姿を見てメガンテの発動をやめて、セフィロスはそのおかげで命を救われた。
セフィロスに追撃の意思がなかったのは彼女の幸運以外の何者でもあるまい。
「あの騎士様は今いずこにいらっしゃるのかしら…」
彼女は目に焼き付けていたあの翼を求めてふらふらと北東へ、北東へと湖沿いに歩き出した。

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:南部の湖の南ぞい 行動方針:騎士様を探す&皆殺し 北東へ進んでいます】
1831/2:02/12/01 04:36 ID:???

「まだ早いけど、食事にしよっ」
「待ってましたっ」
ロンダルキア洞窟にて、ティーダたち3人は輪になって座り、休憩している。

異変を確かめるべく、エアリスは1人6Fに上がったのだが、そこは落とし穴よりもまだ性の悪い無限回廊だった。
ある程度のパターンは掴めたのだが、先行し過ぎるわけにも行かない。
そのためエアリスは一旦5Fに降りて、2人の合流を待っていたのだ、幸いすぐに合流こそ出来たのだが、
ティーダもギルガメッシュもかなり疲労しているようだ、事実、エアリスにしても不毛な行ったり来たりで、
かなり汗だくになっている、ここはひとまず気分を変えるべきだろう。

てなわけで、エアリスがバックの口を逆さにするとそこからごろごろと缶詰が幾つも転がり出て来る。
「おおっ、豪勢だな」
コンビーフに、カレー、魚のクリーム煮、etc、さらに桃缶にパイン缶もある。
すべて缶詰とはいえ、支給品のパンと栄養ドリンクにいささか食傷気味のギルガメッシュにとっては
充分なご馳走だった。

「そういえば、食料問題もあったな」
支給された食料と水は節約すれば5日は持つ、しかし思慮の足りない者ならそろそろ底を尽いていても、
おかしくない。
もしかして、これも奴らの狙い・・・・いや、だったら現地補給の道も絶っているはずだ。
ならば、そもそも俺たちが3日も持つとは思って無かったのか?
まぁ、いずれにせよ武器が無くてもまだ戦いようがあるが、食べ物が無くては話にならない。
少しだけマジメな表情で考え込むギルガメッシュ、その隣では待ちきれないといった表情で
桃缶をしっかり確保したティーダが、缶を指先でつんつんと叩いている。

「で、缶キリは何処ッスか?」
缶キリ・・・・その言葉を聞いて、エアリスの顔が一瞬真っ青になる。
「おい・・・もしかして缶キリを持ってくるの忘れたとか?」
不気味な沈黙が3人を包む。
1842/2:02/12/01 04:36 ID:???
「エアリスさん!まさかそんなマンガみたいことしちゃいないでしょうね?」
びくっ!、ティーダのその言葉にエアリスの肩が刎ねあがるのを2人は確かに見た。
さらにギルガメッシュが追い討ちを掛ける。
「幾らなんでも、お約束過ぎるぜ!俺でも恥ずかしくてやんないぞ、そんなこと」
びくっ!びくっ!
今度は効果音までも聞こえた。

缶詰はあれど缶キリは無い、マンガではおなじみの光景だが、自分たちの身に降りかかると、
これほど惨めで腹立たしいことはない。

エアリスは穴があったら入りたい、といった表情をしていたのだが、
やがて、立ちあがるとふらふらと、本当に自分から落とし穴の中へ飛びこんでいった。
文句を言われる前に自分から・・・・というわけなのだろうか?

「穴があったら入りたいってやつッスか、今のは」
「しかしある意味美味しいな、俺も機会があればやってみよう」
なんてことを言いながらも、ティーダとギルガメッシュはエアリスを回収しに、
自分たちも落とし穴に飛びこんでいった。
(無事脱出したら缶キリを探さないと)

ちなみにそんなバカ騒ぎの最中、スコールとリノアが6Fへと階段を上がっていったのだが、
そんなことは、彼らには知る由も無かった。

【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
 現在位置:ロンダルキアの洞窟  行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】

【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
1851/4:02/12/01 11:58 ID:???
《午前9時10分前後》
ズズズズズ……。
何か、大きなモノが崩れ去る音がバッツの耳に届き、その拍子に彼は顔を上げた。
祠の外…だいぶ離れた所で響いた音。ソレは雪崩の音だったのだが、バッツは気づく事はなかった。
なにしろ、雪を見るのも初めてだったので。
「………。」
今までは顔を伏せ、努めて何も考えないようにしていたが…顔を上げ、みんなの姿が視界に入ってきたとたん、思考が回転を始めた。
(もう三日目…人数は半分近くにまで減った。もう行かなきゃ、間に合わない…?)
外に駆け出したい。今すぐ駆けだしてレナとファリスを探したい。
だけど、今の彼の周りには子供が3人と、怪我が治りかけたとは言えまだ動くのに不自由するのが一人。自分一人動くのは無責任ではないか?
だが、ここにいれば見つかる可能性は限りなく低いのだし、クーパーは戦う力があって…。
バッツの中で、二つの思考がせめぎ合った。
悩む。ひたすらに悩む。今まで、こんなに悩んだ事はなかった。
しかし、永久に悩み続けるわけには行かない。しばらくして、答えは出た。

バッツが唐突に立ち上がったのを見て、ピピンの脚を治療していたクーパーはきょとんとした顔をした。
ここで、このロンタルギアの祠でしばらく休もうと言い出したのはバッツ自身なのに。
まるで、どこかへ行こうとするみたいに、バッツは立ち上がった。
「バッツ兄…。」
「クーパー、ちょっと出てくる。」
クーパーの言葉を遮って、バッツが言った。
まるで、ちょっと買い物に行ってくるとでも言うような調子で。
1862/4:02/12/01 12:00 ID:???
「……え?」
呆けた声が、クーパーの口から漏れた。
「ごめんな。俺…もう我慢できない…限界だ。」
まるきりいつもの口調。いつものバッツの口調。ソレなのに、どこか…重かった。
「レナとファリスを探す。アニーとパパスさんと…エーコの仲間も。」
「ちっ、ちょちょちょちょっ!ちょっと待ってよ!」
淡々と言葉を紡ぐバッツを、エーコの声が止める。
「外には…あの怖いヤツとかいるし……危ないし…。」
「…だからさ。だから…行かなきゃ。」
バッツはそう呟いて…まるで独り言のようにそう呟くと、くるりと方向転換して扉の方へと歩いていく。
バッツは扉のノブに手をかけて…くるりと振り向いた。
「ここに隠れてれば…多分見つからないと思う。何もなくても次の放送が合ったら帰ってくるよ。」
バッツはそう言って笑い、ドアを開けて外に出ていった。

「………。」
クーパーは、バッツがたった今出ていった扉をじっと見つめた。
置いていかれた。自分は置いていかれた。
(……どうしてかは、分かるけどさ。)
危険だからだろう。死の危険があるから、ここに置いていった方が安全だとふんだからだろう。
だが、悔しかった。とても、とてもとてもとても悔しかった。
自分だって…バッツに見劣りしない力は持っているつもりだった。
アニーと父を捜したかった。パパスに会いたかった。バッツと一緒に戦いたかった。
みんなに……認めて欲しいと思った。父に一人前と、パパスに子供じゃないと、バッツと肩を並べて戦えると。
ぐ…と、クーパーが両手を握りしめた。
1873/4:02/12/01 12:01 ID:???
クーパーは小さくこくんと頷くと、さっと振り返ってピピンに向き直った。
「ピピン…。」
「何ですか?クーパー様。」
クーパーが何というか半ば予想しながら、ピピンはクーパーに問いかけた。
一瞬の迷い。一瞬の葛藤。クーパーはちらりと横目でリディアを見て…どうやら、決意したようだ。
「コレ…ピピンにあげる。」
クーパーはそう言って、ピピンにロングソードを差し出した。
ピピンはソレを受け取り、型通りの会釈…王族に対する会釈を行った。
「僕…バッツ兄ちゃん追っかけるから…リディアとエーコを……。」
「承知いたしました。クーパー様。このピピン、命に代えてもこの二人のお姫様をお守りいたしましょう。」
ピピンは深々とお辞儀をしてそう言ってから…ふと顔を上げてウインクした。
「さあ、早く行かないと追いつけませんよ?」
「…ありがとう!」
クーパーは顔いっぱいに眩しい笑顔を浮かべ、振り向くやいなや走り出した。
半開き状態だった扉を思いっきり手でついて、外に飛び出す。
クーパーは振り向き扉を閉めようとして…視界にリディアの顔を納めた。
「リディア、すぐ帰ってくるからね!」
リディアは、ソレを聞いて顔を明るくし、うんと頷いた。
ソレを確認すると、クーパーはバッツを追って走っていった。まっすぐに。

「…リディアだけで、エーコには一言もナシ?」
「クーパー様はリディアちゃんがお気に入りみたいだから…。」
「失礼しちゃうわ。全くもう…。」
ロンタルギアの祠で、そんな平和な会話が交わされた。
1884/4:02/12/01 12:01 ID:???
さくさくと地面に積もる雪を踏みしめながら、バッツは森の中を歩いていた。
祠から西にある橋。ソレを通って北に向かうつもりだった。特に理由があるわけでもないが。
(やる事がいっぱいあるからな。急ごう。)
と、バッツが決意を新たにした時、彼の背中の方で声がした。聞き覚えのある、少年の声が。
「…あんのバカ…。」
こっちに走ってくるクーパーの姿を確認したバッツは、頭を押さえてうめいた。
「まあ、しょうがないか…?」
顔を上げて一人ごちる。クーパーが自分で決めたなら、しょうがないだろうと思いながら。

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾
 現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
 行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
【リディア/エーコ/ピピン
 所持武器:なし/なし/ロングソード
 現在位置:ロンタルギアの祠
 行動方針:セシルを探す?・祠で待つ/仲間を捜す・祠で待つ/リディアとエーコを守る。】
189オルテガとか:02/12/01 14:43 ID:???
アリアハン城下町。
大魔王の恐怖が全世界を覆った今でも、この街は人々の活気と笑顔に満ちていた。
自分が魔王討伐に向かったあの時から3度目。この街に戻ってきた回数だ。
まず家に帰る前に王に挨拶を済ませて、城から城下町に続く橋をわたる。
すれ違う人々も様々だが、見知った顔も多く親しみと期待を込めて私に挨拶をする。

やはりこの街に帰ってきて一番楽しみにしていたのは、やはり息子に会う事だ。
ずっと離れていても親の顔は覚えているのだろう。この前帰ってきたとき、
駆け寄ってきて「おとーたん」と呼んでくれた。
自分の道具袋に入っているお土産の事を考えると笑みを隠しきれない。
この前できたばかりのルイーダちゃんの酒場を見て、やっと我家が目の前に現れた。

ドアの前に立ち、深呼吸をする。なぜこんな事で緊張するのだろうか。
意を決してドアノブに手をかける。そのときだった。
「おとーさんおかえりーーー!!!」
「ぬおぉ!!」
勢い良く開かれたドアに、オルテガは大きくぶっ飛ばされた。

「おとーさーーーん!!」
ふらふらと立ち上がる私に、息子はダッシュをかけてタックルしてくる。
しかし歴戦の勇者である私は、その勢いを十分に殺し、大きく空に放り投げる。
たっぷり二十秒くらいたって落ちて来た息子をなんなくキャッチする。
「息子よ!いま帰ったぞ!」
そんな父に、アルスは満面の笑みを浮かべて抱きついた。
190オルテガとか:02/12/01 14:44 ID:???
「息子よ!土産があるぞぉ!!」
「うわーい!ありがとうおとーさん!」
期待に胸を膨らます息子に見守られながら、オルテガは道具袋の中をまさぐる。
確か底の方に入っていたはず……。あれ?
袋の中には水鉄砲は入っておらず、ソコにはあの忌わしき覆面が入っていた。

「…なぜ、こんなものが……」
呆然と覆面を袋の中から出して、見つめる。
「うわぁ、それがお土産なの?ずっと欲しかったんだコレ!!」
そう言うと、アルスはオルテガの手から覆面をひったくり、ソレをかぶる。
「やめろ!ソレをかぶったら……」
オルテガの悲鳴は、アルスの雄叫びにかき消された。

「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
白目に怪しい光をたたえ、雄叫びをあげる息子の姿。
突如、体が膨張し筋肉が異常に発達する。衣服は裂け、しかしパンツだけは一緒に膨張する。
身長は既に3メートルを超え、オルテガの目の高さに発達した大胸筋が映る。
息子の変貌していく姿を、オルテガはただ呆然と見ているしか無かった。

「…なぜ、こんな事に……」
変化が止まり、巨大な筋肉の塊になった息子が目の前にいた。
「あいたかったぜぇ!!親父殿ぉ!!!」
後ずさりするオルテガを、アルス(?)はハグする。
「やめろ…やめてくれぇ……」
オルテガの周囲にアルスの高笑いが何度も何度も木霊し、オルテガの脳みそを揺さぶる。
巨大な肉の塊と共に、オルテガの意識は闇に落ちて行った。
191オルテガとか:02/12/01 14:45 ID:???
「…ゴハア!!…ゆ…夢か……」
全身に冷や汗をかき、息が荒くなっている。
幸せそうに寝ていたが、突如うなされはじめ、飛び起きたオルテガをチョコボは心配そうに見つめる。
(…まいったな。…あんな夢を見るなんて)
右手に握り締められた覆面をみつめる。

(…はやく、コレを処分しなければ……!!)
何度も火の魔法を紡いでは、直前でソレを中止する。
引き千切ろうと力を込めては、全然力が入らない。
(…くそ。オレには…無理なのか……)
覆面をソコらへんに放り投げ、力の無い笑い声をあげた。

これから二度とかぶらなければいいと結論を出し、袋の奥に覆面を詰める。
ついでに中に入っていた、多分朝に慌てて詰めたのであろう缶詰を開けて食べる。
どこぞのチームみたいに缶切りを忘れたりはしない。日頃から愛用している十得ナイフを持っていたのだ。
味は感じなかったが、元気は出た。ゴミをまとめ、出発の準備をする。
「…ちょうど正午になるな。行くぞ」

チョコボにまたがり手綱を引くが、チョコボは外に出ず、壁のところに向かう。
「クエッ」
「む?なにか書いてあるのか?」
オルテガはソコに書かれた文字を読み、大きくため息をついた。
「……………」
「クエ?」
「…ああ、大丈夫だ。出発しよう」

なにが大丈夫なのかわからなかったが、気をしっかり持ち手綱を引く。
「北だ。まず祠にむかうぞ」
「クエ♪」
そしてイヤな思いでを残し、チョコボは木の洞から外に飛び出した。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:洞窟北西の森の巨木の洞 行動方針:祠へ】
1921/3:02/12/01 16:19 ID:???
南西の森──

ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたがファイ(導師)とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。

ティファ「……そっかあ。」
デッシュ「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
ティファ「へ?」
デッシュ「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」

デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。

デッシュ「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
     道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
ファイ「さっすが、デッシュ!!」
デッシュ「おだてても何もでんぞ。少年。」
ファイ「少年はやめてくださいよぉ。ファイっていう名前があるんですから。」
デッシュ「ああ、わかったわかった。少年。」
ファイ「……。」

ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
ティファ『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』

ファイ「ところで、ティファさんに相談があるんです。」

というと、ファイは首輪についての説明をティファに始めた。

デッシュ「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、ファイの耳元で囁く。「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
1932/3:02/12/01 16:20 ID:???
ファイは2人に向かっていう。
ファイ「とりあえず、僕の話を聞いてください。」
そしてまた、ファイは一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。

ファイ「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をしますが、たさっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれないし、
    僕とデッシュではこの先、研究が調査できるかどうか不安があります。
    ですから、僕達に女性としての知恵を貸してください。そして時には……その、守ってください。お願いします。
    そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げましょう。」

デッシュが口を挟む。

デッシュ「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
ファイ「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
デッシュ「な、なぜ?」
ファイ「理由はわからないんですけど。」
デッシュ「ちっ、ゾーマのやつめ!!」

デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。

ファイ「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれません。
    ですから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思います。」
デッシュ「そういうことなら……。主催者側からも狙われるかも知れませんが、俺からもお願いします。」
ファイ「お願いします。」

2人はお辞儀をし、ティファの反応を窺う。

ティファ「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』
デッシュ&ファイ「ありがとうございます!」

2人は声を合わせて喜んだ。
1943/3:02/12/01 16:21 ID:???
【導師/デッシュ/ティファ 所持武器:天罰の杖/なし/星降る腕輪
 現在位置:南西の森(湖と山に挟まれて森が1マスしかないあたり) 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手・マシーンの残骸の調査】

デッシュは内心気になることがあった。
デッシュ『ひょっとすると、このマシーンのボディに使われている材料と首輪の材料は似ているかもしれない。』
雪・・・・・・か・・・・・・
何分か前に旅の扉により東のほこら付近に無事到着したヘンリーは周りに積もった
雪を見回しながら昔を思い出していた。
(ラインハットにいたころは兵士の奴の顔に雪をぶつけてからかってやったなー
あいつの名前何て言ったかな・・・・)
そこまで考えた時ヘンリーははっとして思考をやめた。
(何を考えてるんだ・・・・オレは・・・・・
冷徹になれ・・・過去を捨てろ・・・皆殺しだ・・・・・)
ヘンリーは、憎悪の呪縛から解き放たれようとしていた。
(だが・・・マリアが・・・マリアが・・・・・・・)
彼は怒りの矛先を近くの大木に向けた。
ザンッ!
大木を一閃すると彼はほこらへ向かった。
ぽたっ・・・・
彼の顔から水が垂れ、足元の雪が僅かに溶けた。

【ヘンリー 
所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 
現在位置:東のほこら付近 
行動方針:皆殺し(?)】
196バーバラ:02/12/02 20:10 ID:???
「大丈夫?ケガしてない?」
緑の髪の、女の人。…あたしの知らない人。
「動かないで。今、ケアルかけるから」
向こうで誰かが、あの人と戦ってる音がする。
女の人が何か言ってる。体が少し、楽になる。
「これで大丈夫ね。待ってて、今アレを倒してくるから」
……あの人を、倒す?

「ダメ!やめて!あの人は怪物なんかじゃない!あの人は…」
「わかってる。…顔見知りよ」
「だったらなんで!なんでそう簡単に殺すなんて言えるのよ!あの人は人間なんだよ!?」
「こんな事、簡単に言えるワケないでしょ!私だって、アルス君だってつらいんだから!!」
「だけど、あの人はまだ生きてる。何か助けられる方法があるはずよ!」
「私だって彼女を助けたい!だけど、方法なんかないじゃない!!」

「だけど…。こんなの、間違ってる」
「他に彼女を止める方法は無いの。だから、私達やらなくちゃいけない」
「…………」
「この選択が正解だなんて私も思ってないわ。でも、コレしか私達に選択肢がなかった。
 どれが正解かなんて、後になってみないとわからない。ううん、正解なんて無いかもしれない。
 だけどね、つらい選択肢しかなくても、それを選ばないのはやさしさじゃない。弱さよ。」
「…………」
「あなたがどうするにしても、誰にもあなたを責める権利なんてないわ。
 彼女を助けようとしても、私達を止めようとしても、ここでじっと座っていても、
 私はあなたを責めない。だから、自分が後悔するような事だけはしないで」

「…あの人、私を殺してって言ってた。私が私であるうちにって。
 だけど、あたしは殺せなかった。自分が、あきらめる事を、知りたくなかったから。
 でも、あの人の最後の願いをかなえてあげたい。それが、あの人の望んだ事だから」
「そう。…ごめんなさいね。これは私達の事なのに、あなたをまきこんでしまって」
「いいえ、これはあたしが決めたことだから。あたしがやらなきゃいけない事だから」
197バーバラ:02/12/02 20:11 ID:???
「てやぁーーー!!!」
無意識に気合の声が出る。アルスは真横に剣を振るい、脚を切り飛ばそうとする。
しかしあえなく鱗に阻まれ、硬い感触だけがアルスの手に残る。
コレに対しリュックは、羽は切られてしまったものの全身が硬い鱗に覆われており、
ダメージはくらってはいない。時折強烈な一打を受け止めた時、鱗ごと斬られたりしているが
すぐに新たな鱗が再生する。攻撃は脚を五本使い、後の三本で体を支える。
多方向からの巧みな攻撃は、しかしアルスの防御技術には及ばない。 

一見互角のように見えるこの攻防は、アルスの方が圧倒的に不利だった。
硬い装甲、かなりの再生能力。アルスの攻撃はまず通じない。
もっと強力な攻撃ができるのであろうが、この隙の少ないこの攻撃が
一番有効なのを知っているのか、大技を使ってこない。もちろんこんな小技でも、
もし当たったりしたら戦闘不能は免れないだろう。

なにより、リュックの戦闘能力はアルスを上回ってはいたのだ。
しかし強烈な飢えと、この矮小な生物に対する侮りが、正常な思考を停止させていたのだ。
羽を再生して真空波を発生させれば、距離を取って大技を使うなりすれば既に決着はついていただろう。
そして、彼は失念していたのだ。自分の敵が、まだ二人残っている事。
そしてアルスの持っている天空の剣の力を。

(くそっ!攻撃が通用しない。魔法だって効いているようには……)
アルスは焦っていた。相手の攻撃をなんとかさばけているという状態なのにこちらの
攻撃が相手に通用しているようには見えない。
それにさっきティナの魔法に直撃していたはずなのに傷ついているようにも見えない。
効果的な攻撃方法が見つからないのだ。
(…なにか弱点があるはずだ。あきらめるな)
その時、何者かの声がアルスの頭の中に響き渡った。
198バーバラ:02/12/02 20:12 ID:???
『苦労しているようだな。お前の勇気に免じて、私が力を貸してやろう』
「だれだっ!?どこにいる!」
アルスは注意をそらしてしまい、相手の攻撃を捌ききれず、リュックの脚が肩をかすめる。
『油断するな。私はお前が持っている剣だ。』
アルスはなぜ剣が喋れるのかわからなかったが、今は目の前の相手に集中する事にした。

『それでいい。緑の髪の女が相手の背後から狙っている。一番脆い羽の付根だ。
 女の剣は相手の体を貫くだろう。相手が仰け反ったら、私を相手の体に突き刺せ』
(それって、あんたの力じゃないような……)
『まず、相手の脚を数本斬り飛ばせ。私の力ならできるはずだ。』
(うわ、聞こえてた)
『そして最後に雷を落とせ。仕上げは赤毛の女がやってくれる。作戦は既に女の方には伝えてある』
(わかった。この攻撃を捌ききったらいくぞ)

「たぁーーーーーー!!」
最後の連続攻撃の後のわずかな隙をぬって、剣を脚に向かって振り下ろす。
なんども硬い鱗によって無効にされたその攻撃は、なんの手応えもなく脚を斬りとばす。
「グギャアアアアアアアアアアアア!!!!!」
初めて聞くリュックの叫び。怒りに目を燃やし、猛烈に攻撃を繰り出す。
しかし大振りな攻撃は、アルスにはかすりもしない。
攻撃を避ける動きを利用して、また一本脚を斬りとばす。

(すごいぞ!王者の剣にひけを取らない。それに、なんて軽いんだ!)
リュックの攻撃はなおも続いていたが、本数の少なくなった脚での攻撃は
先ほどまでの命中率は持っていなかった。天空の剣が再び煌き、三本目の脚が宙に舞った。
『やはり脚の再生に集中しているようだな。コレでは羽を再生する事など
 思いつかないだろうな。次の脚を切り飛ばしたら、女が攻撃するはずだ』
「わかった。くらえ!!」
―――また宙に脚が舞い、今までで一番おおきな叫びが雪原に響き渡った。
199バーバラ:02/12/02 20:13 ID:???
『今だ!!私を突き刺せ!!!』
アルスはリュックの首に、深く剣を突き刺し、大きく間合を取る。
『魔法を!!!』
「ギガデイン!」「サンダガ!!」
魔を裁く雷帝の鉄槌が、体に刺さった二本の剣を伝い、リュックの体内をズタズタに切り裂く。
―――雷により炭化した体が崩れ去り、再び中から女性の姿が現れた。

「ごめんなさい。あたし、あなたを助ける方法を見つけられなかった。 だから、
 せめてあたしがあなたの最後の願いをかなえてあげる。絶対、地獄へはいかせない!!」

「クリスタルに込められし風の記憶。天界への道を照らし、闇に墜ちし死者を導く者よ!」

「フェニックス!!」
―――女性は、その炎をまるで愛しい者の様に抱き、ゆっくりと炎の中へ消えていった。

「…終わった……のか?」
炎の消えたソコには、この激戦を思い出させるモノは残ってはいなかった。
……リュックの死体さえも。
ただ雪原に突き刺さった二本の剣と、主を無くして佇んでいる腕輪があるだけだった。
バーバラは彼女のいた所をみつめて、彼女の為だけに、そっと涙を流した。
200バーバラ:02/12/02 20:14 ID:???
「あなたはこれからどうするの?」
あれから数十分。それぞれ異なる祈りをリュックに捧げ、それぞれ出発の準備をした。
「あたしはここから北に行きます。そこに、あたしの探している人がいるから」
目を少し赤くしていたが、その言葉と目には強い意思が感じられた。
「そうか。ティナさん、ぼく達も同行しようかと思うんだけど……」
「ええ。今は一人でも多く仲間が欲しいしね。このゲームを脱出するためにも」
ティナはゲームという言葉に、激しい怒りと嫌悪感を込めて言った。

「あたしの方からもお願いします。魔力が無くなってるから、
 あたしの方が迷惑かけちゃいそうですけど」
ただでさえ消費量の多い召喚獣を、慣れていないのに何度も使ったためバーバラの
魔力は枯渇しかかっていた。そして、精神的にも肉体的にも激しく疲労していた。
「元はといえばぼく達の責任だしね。つらい仕事を任せてしまってすまなかった」
「…あたしがやらなければいけない事だったんです。気にしないでください」

「…この腕輪、彼女のモノみたいね」
「…ティーダに渡してあげよう。彼女も彼にコレを持っていてもらいたいはずだから」

「この剣、急に喋らなくなったな。…電撃で壊れたかな?」
『失礼な。その必要がないだけだ』
(うわ、生きてた)「さっきは助かったよ」
『…。一つ頼みがある。私の主を探して欲しい』
「どんな人だ?」
『資格がある者なら、自ら私の所へ来るはずだ。お前は私を持っていればよい』
「わかったよ。恩人の頼みだしな」
『わたしは人ではない』

三つの人影が砂漠へと消えていった。この雪原の戦いの傷跡は、彼等の心の中にのみ残っている。
201バーバラ:02/12/02 20:16 ID:???
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 
 行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】


―――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルプリーストの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
 失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
 なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルプリーストの使い魔にして分身。生まれてまだ3日だが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性―――リュックが入っていた。

「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
 取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
 こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。

【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビプリの研究室 行動方針:なし 】
202195:02/12/02 22:43 ID:???
かなりカン違いしてますた。
>>195無効にしてください。
203ザックス:02/12/02 23:32 ID:???
ロンダルキアの洞窟。
長剣を背負った黒い長髪の青年─ザックスはそこに入るべきか否か迷っていた。
中には罠があるかもしれないし、最悪の場合魔物が巣食っているかもしれない。
ザックスはしばし思考した後、結論を出し、中へ入っていった。
(さ・て・と)彼は大きく伸びをした。
そして頭に二人の人物を思い浮かべていた。
黒い髪の活発そうな少女、そしてソルジャーになる前に多少の好意を寄せていた
あの少女。
(たしか、エアリスとティファって言ったな。二人とも昔オレと会ったことがあるはずだ・・・・)
しばらく真剣な顔をしていたザックスだがすぐにその顔が緩む。
(限られた人数しか選ばれないこのクソゲームで選ばれた三人の人間・・・
運命を感じるぜ!)
その二人のどちらがこの中にいる。そう直感した彼は中へ走って行った。

【ザックス 
武器:バスタードソード 
現在位置:ロンダルキアの洞窟
行動方針:非好戦的 エアリス・ティファの捜索】
204バーバラ:02/12/02 23:58 ID:???
>>201修正します。

【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 
 行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】


―――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルマージの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの、子供の声のような独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
 失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
 なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルマージの使い魔にして分身。生まれてまだ3日しかたっていないが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性―――リュックが入っていた。

「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
 取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
 こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。

【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
2051/4:02/12/03 17:05 ID:???
>>203の少し前。

荒い息遣い。その間隔が、段々早くなっていく。
薄くなった酸素が、マリベルの体力と思考力を削っていく。
「…マリベル、もういい。早くこんな岩、デカイ魔法でぶっとばしちまえよ!」
ラグナはたまりかねたように叫んだ。
――もし、彼女が大きな魔法を放てば、自分は確実に巻き込まれるだろうが。
だからといって、自分のために、マリベルまで死なせるわけにはいかない。

けれど、マリベルは首を降った。
「冗談じゃないわ……自分の責任ぐらい、自分でとってみせるわよ」
そう、ラグナをこんな目に会わせたのは、自分の油断と軽口が原因なのだから。
それこそ死んでも、ラグナを見捨てるわけにはいかないのだ。
だから、彼女は岩を砕くためのイオ、ラグナの体力を保たせるためのホイミを、
ただひたすら唱え続けている。

塞がれた出口。7人の人間。呪文による小さな、しかし幾度もの爆発。
酸素はゆっくりと、しかし着実に、洞窟の中から失われていく……
2062/4:02/12/03 17:07 ID:???
「……うっ」
「え、エアリス!? 大丈夫ッスか?」
口元を押さえ、しゃがみ込んだエアリスに、ティーダが駆け寄る。その顔色は蒼白で、苦しそうだ。
良く見ると、ギルガメッシュも似たような症状を呈している。
ティーダが平気なのは、彼の身体を構成している幻光虫の力に他ならない。
普通の人間(?)である二人には、この薄い酸素はキツいしヤバイだろう。
「……くそっ、やっぱりさっきの音、落盤だったのか?
 オレ、ちょっと行ってくるから、エアリスとオッサンはここで待っててくれ!」
それだけ言い残し、ティーダは走り出した。

道中、二人の男女がしゃがみ込んでいた。
声を掛けようとしたが、男性は尋常じゃない目で、ティーダを睨みつける。
もしこんな状況下でなければ、即座に襲いかかってきそうだ。
……だが、ティーダもわざわざ戦う気はない。
彼等を無視して、出口の方へと急ぐ。
その先で、ティーダは見た。

出口を塞ぐ岩の山、そして――
「マリベル!」
マランダで会った少女が、必死で呪文を紡いでいるのを。
「何やってるんスか! くそっ、オレがこんな岩、早くぶっ壊して…」
ティーダがいかづちの杖を拾い上げようとした時、マリベルが制止した。
「やめて……下に、人が、いるの……」
「!!」
慌てて、岩の下の隙間を覗く。そこには確かに、一人の男=ラグナの姿があった。
2073/4:02/12/03 17:09 ID:???
恐ろしいほどのバランスで、偶然に生まれた隙間。
下手に衝撃を与えようものなら、男は岩に押しつぶされ、圧死してしまうだろう。
……だが、このままでは、洞窟内の7人全員が窒息死してしまう。
どうする? 悩むティーダに、ラグナが声をかけた。
「マリベルさ、首輪外す方法思いついたって……言ってたんだ……
 オレはいいから、マリベルだけでも助けてやってくれ……」
ティーダは驚愕を隠せず、マリベルの方を見た。
そして再びラグナの方に向き直る。
「……それが本当なら、尚更見捨てらんないッスよ!
 マリベル、オレが何とかするから、合図したらここの岩ぶっ飛ばしてくれ!」
マリベルが、信じていいの? とティーダを見る。
ティーダは自身たっぷりに頷いてみせ、そして――

「よし、今だ!」
「イオ!」
爆発が、ラグナの前の岩を砕き、吹き飛ばす。
それと同時に、ティーダは流星のようなスピードで、ラグナの腕をつかむ。
絶妙なバランスで支えられていた岩が、スローモーションのように崩れ始めるのと殆ど同時に。
ティーダは、ラグナの身体を勢いよく引きずり出していた。
「よっし、後は任せた!」
「……イオナズン!」
マリベルの言葉と共に、巨大な爆発が岩盤を吹き飛ばした。
2084/4:02/12/03 17:17 ID:???
その後、3人は、外の――人に見つかりにくそうな場所に移動し、ラグナの治療を始めた。
両足が膝下からなくなり、おまけにイオで岩を吹き飛ばした時の影響か、頭から血が流れている。
……それでも、何とか一命を取りとめることはできそうだ。
マリベルの口からその言葉を聞いて、ティーダは内心ホッとしていた。
――スロウガで岩の崩れるスピードを抑え、
 ヘイスガ&クイックトリックでラグナが押しつぶされるまえに引きずり出す――
とっさに考えたとはいえ、成功する確率は5割を余裕で切っていたはずだ。
あんな状況だったし、二人の手前、自信たっぷりに言ってみせたが……
本当は(失敗したらどうしよう)、と冷や汗でダラダラだった。

そんなこんなで、ティーダはすっかり忘れていた。
途中で見かけた男=スコールのことを。
置いてきたエアリスとギルガメッシュのことを。

そして、3人はついに気付かなかった。
吹き飛ばされた岩の下敷きになった、アーサーの死体に。

【マリベル/ラグナ(両膝から下を消失・重傷)/ティーダ
 現在位置:ロンダルキア台地・洞窟の入り口近辺
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/無し
 行動方針:ラグナの治療・首輪を外してゲームを抜ける】
【エアリス/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/
 現在位置:ロンダルキアの洞窟6階  行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
 現在位置:ロンダルキアの洞窟6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
(アーサーの死体及び所持品は、吹き飛ばされた岩に覆い隠されました)
そろそろ橋が見えるころだ。
地図を眺めながらリバストは思う。
そのときは以後から何者家の気配を感じた。
…後ろから何者かやってくる。
…速い!

リバストが振り向くとそこには巨大な鳥…チョコボというが本人は知らない…に乗った男、オルテガがいた。
先ほどあった者…パパスのことだが…とはまた違った雰囲気を持つ男。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだが。」
「なんだ?」
オルテガはチョコボから降りながら言った。
「アルスと呼ばれていた青年を見なかったか?」
「いや、見ていないが。」
「…そうか、わざわざ呼び止めてすまなかった。」
「嘘をついているとは思わないのか?」
「あんたは嘘をつける男ではないと思うが。」
なるほど、この男も「勇者」であるのだろうな。リバストは確信した。
「…祠に行くんだが乗っていかないか?」
クエッ?とチョコボが言う。しばらくすると納得したような表情を見せる。二人乗りは大丈夫らしい。
「私は神殿に行くつもりなんだが…」
「アルスが祠にいなかったら神殿まで足を伸ばすつもりだ。行き先は同じだろう。ならば乗っていくがいい。」
「じゃあ、言葉に甘えさせてもらおうか。」
オルテガがチョコボに飛び乗る、リバストも乗る。
「じゃあ、行くぞ。」
歩くスピードの何倍もの速さでチョコボは平原を駆けていった。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:平原北 行動方針:祠へ】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:平原北 行動方針:神殿へ】
チョコボが一匹ともにいます。 
慟哭が響いて行く、笛を握り締め、死体すら残さずに消えた仲間の為に、若僧の慟哭がただ響いて行く。
「親友だったのだな?」
頷く若僧。
「仲間は残っているのか?」
「…ああ」
ふむ、引き込めるやもしれんな。
「で、どうするのだ?」
「え…?」
返答に窮している様だな。
「我々と共にゲームを抜けるのか、残った仲間も切り捨てて生き残るのか、そう聞いている。」
他の道も無い訳では無いのだが、そんな余計なことは言わん。
「本当に他の道があったらそっちに乗るんだな?」
「無論。」
ゲームをぶち壊しに出来るのなら文句は無い、そんな方法があればの話だがな。
「仲間も一緒に脱出できるのか?」
「可能だ。」
その時まで生き残っていれば、な。
「わしはハーゴン、こっちがマゴット、貴様はなんと言うのだ、若僧。」
「……ジダン。」
……ククク、クククククククッ

【ビビ 死亡】

【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路 
 行動方針:ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
211192-の修正版 1/3:02/12/07 12:25 ID:???
南西の森──

ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたが導師とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。

「……そっかあ。」
ティファはため息をついた。
「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
デッシュはティファの方に視線を向ける。
「へ?」
「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」
デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。

「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
 道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
「さっすが、デッシュ!!」
導師は感心する。
「おだてても何もでんぞ。少年。」
「少年ってのやめてよ。僕にはちゃんとした名前があるんだから」
「ああ、わかったわかった。少年。」
「……。」
ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』

導師は真剣な顔に戻すとティファに向かいこう言った。
「ところで、ティファさんに相談があるんです。」
というと、導師は首輪についての説明をティファに始めた。

「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、導師の耳元で囁く。
「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
212192-の修正版 2/3:02/12/07 12:25 ID:???
導師は2人に向かっていう。
「とりあえず、僕の話を聞いて」
そしてまた、導師は一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。

「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をするんだけど、さっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれない、
 だから僕とデッシュだとこの先、研究できるかどうか不安があるんだ。
 だから、僕達に女性としての知恵を貸して欲しい。そして時には……その、ぼく達を守って欲しいんだ。
 そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げよう。」

デッシュが口を挟む。
「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
「な、なんで?」
「理由はわからないんだけど。」
「ちっ、ゾーマのやつめ!!」
デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。

導師は続ける。
「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれない。
 だから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思う。」
「なるほどな……。主催者側からも狙われるかも知れないが、俺からもお願いする。」
「お願いします。」

2人は頭を下げ、ティファの反応を窺う。

「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』

「「ありがとう!」」
2人は声を合わせて喜んだ。
2131:02/12/07 18:20 ID:???
ソロはまだフライヤの見せた動きが信じられなかった。
完全に捉えていたのだ。
剣を振り下ろせば体を真っ二つにした死体のできあがり、のはずだった。
あんな速度で動く魔物など見たことない。
(負けるわけがない、負けるはずがないんだ)
落ち着きを取り戻さなければならない。
ゆっくり息を吸い込んで、一気に吐き出す。 繰り返すこと数回。
フライヤを見据える。まるで肩一つ揺れていない。厚い毛に覆われた顔から鋭い視線を感じる。
(くっ……)
フライヤの恐ろしいほどの冷静さを前にソロは再び動揺した。それを見透かせられまいと、己を鼓舞する
ために声を上げる。
「僕は世界で唯一人の勇者だ! 僕だけが特別なんだ。 シンシアたちは僕が勇者だと
信じて死んでいったんだ!」

剣を握る手に汗が滲む。  
ソロの体は燃え上がる程の気迫で包まれた。周りの空気もそれに呼応するかのように熱くなる。

「えええいっ!」
肌を突き刺すような殺気がソロの全身からほとばしる。 そばで見ていたピエールは圧倒された。
フライヤは飽くまでもその殺気を冷静に受け流す――

ソロが全速で駆ける。 魔物めえ、今度こそ!! 剣を握る手に一層力を込めた。
喉元を狙った必殺の突き。 
だがフライヤは退がらず、前に出た! 
(なっ、右でも左でもなく…)
一瞬の躊躇。 突然フライヤが目の前から消えた。冷たいものが足元に滑り込んでくるような感覚を覚える。
その瞬間、腹が爆発したかのように熱くなった。
「がはっ……」
姿が消えたように見えたのは下に潜り込んだため。
フライヤの拳がソロの腹にめり込んでいた。 
2142:02/12/07 18:21 ID:???
猛烈に熱いものが喉をつきあげてくる。
めり込んだ拳がまだ離れない。 剣を振るおうにも力が入らない。
どん、と空いた手でフライヤがおもいっきりソロを突き飛ばす。
「うげえっ!」ソロは胃の内容物を吐き散らしながら後方に転がっていった。

「勝負あった……」
ソロが倒れたまま動かないのを見て、ピエールはフライヤのもとへ駆け寄る。
「あまりに殺気を出しすぎるから、こちらもつい力が入ってしまった……」
フライヤは少し後悔した。まだソロは腹を押さえて呻いている。
「彼はどうします?」
「細かい事情はわからぬが……何やら自分に不満があって暴走しているのではないか」
フライヤは先程の戦いでソロが洩らした言葉だけで、彼のことがわかったような気がしていた。
「放っておくのは危険じゃ。今度こそ誰かを、いや既に人を殺めているやもしれぬ。
 この場で息の根を止めておく」
それを聞いてピエールの顔が一瞬険しくなる。
「と言いたいところじゃが、それでは私も同じになってしまう。 武器を取り上げておけばよいじゃろ
それに、よく見ればまだ子供じゃ」
ピエールはほっとしたように、
「承知しました。やはり貴女は勇猛なだけの方ではなかった……」
ピエールは片膝をついて(スライムの上で)、王族に挨拶するが如くうやうやしく礼をした。
「フライヤ様、このピエール、御身の為に命を懸ける所存であります」
「ど、どうしたのだ、ピエール殿」
フライヤは目を丸くして驚いた。 冗談で言っているようには見えない。
「ピエール殿、頭を上げるのじゃ。その、ジタンたちはどうしたか」
しどろもどろになっていると、突然動物のような唸り声が耳を打った。
ハッとなって身構えた。 ピエールもたちまち警戒の姿勢を見せる。
声の主はソロだとすぐにわかった。 獲物を狙う野獣のような視線が二人に向けられた。
2153:02/12/07 18:22 ID:???
「魔物ども…怪物どもめ! どうしてさっさと殺さない。 僕を生かしておいたことを後悔させてやる」
全身を自分の吐いた汚物に塗れながら、ソロは血走った目で威嚇する。
その姿こそまさに怪物そのものなのだが。
「まだやる気か」
ソロはエンハンスソードを持とうとすらせず、ただ体をぶるぶると震わせている。
凄まじい殺気は前と変わらない。 だが今度はフライヤも冷静ではいられなかった。
体にのしかかる圧迫感。 全身の毛が逆立つ感覚はこの男におぞ気を感じるから…?
いや、重力に逆らい直立する毛並みは現実のもの! フライヤは天を見上げた。考えられるのは一つ。 
「ピエール殿、珊瑚の剣を私に!」

フライヤは飛翔した。逃げるのではなく受け止めるために。
ソロの慢心を打ち砕くために。
ピエールはフライヤのやることに間違いはないと確信していた。だからこそ躊躇いなく自分の剣を投げ渡す。
空中で受け取った珊瑚の剣はフライヤの意図によって逆手で握られ、ある構えを作り出した。
「ライデイーンッ!」
ソロは喉が千切れるほどの声で叫んだ。空に立ち込める暗雲にたちまち雷が走る。
「黒コゲになって落ちろおっ!」
轟音が域内に響き渡る。稲妻はフライヤの腕部を直撃した。 ――確かにそう見えた。
「……!?」
勝ち誇った表情のソロの目に驚愕の映像が飛び込んでくる。 認めるはずのない現実。
雷神がフライヤに味方した。 電流を帯びた珊瑚の剣は雷神の息吹に姿を変えていた。
そのまま逆手に構えた珊瑚の剣を全力で前に振り出せば、完成。 
ライデインストラッシュ。
2164:02/12/07 18:23 ID:???
「終わりじゃ。行こう、ピエール殿」
フライヤは背を向けてさっさと歩き始めた。
「フ、フライヤ殿、終わりとはどういうことですか?」
ピエールはソロが棒きれのように突っ立っているのを見た。
「あとは自分自身の問題じゃ」
フライヤは立ち止まらなかった。

後ろの方で、なぎ倒された樹木がぶすぶすと燻っている。
髪にべっとりと付着した汚物の甘酸っぱい臭いが鼻をつく。
その不快感を堪えながら、ソロは叫んだ。
「僕は、勇者なんだ! 世界でたった一人の……ううっ、勇者なんだ」
自分が何者であるか確かめるように叫ぶ。 その目に涙を浮かべて。
「でも、今は……」
ソロは血で汚れたエンハンスソードを曇る目で見つめた。
自分を見失った代償はあまりにも大きかった。

【フライヤ、ピエール 行動方針:ジタンたちを探す 所持武器:エストック、珊瑚の剣
ソロ 行動方針:なし 所持武器:スーツケース核爆弾、エンハンスソード  現在位置:ロンダルキア南】
祠から飛び出した陰が二つ。
バッツとクーパーである。
西の橋を抜けて北の森へ───
最初の橋を抜けたところでとある女性とすれ違う。
思わずバッツが振り返るほど美しい、ミレーユである。
神秘的は魅力をもつ彼女に思わず足を止めたが、すぐに再び駆け出した。
二人はミレーユを美しい、としか認識しなかったが、彼女がすでに死んでしまっている探し人の場所を知っているということを二人は知らない。
どうやって知ることができようか。

片や、ミレーユ。
今すれ違ったバッツが占いに出ていた人たちの探し求める相手であることは知らない。
彼女の占いではそこまで詳しいことは見えなかったのである。
そして、今はすれ違った相手に気をかける余裕なんてなかった。
とにかく、走り抜けていた。
アモスの守ろうとした友を彼に代わって守るために。

求めるところは同じでも、どこか、すれ違っていた。

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの西の橋から北へ
 行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ロンダルキアの西の橋から南へ 東部の森へと向かう 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
支援サゲ
2191/3:02/12/14 23:49 ID:aHyrUvLj
バッツとクーパーが祠を出てから、もう二時間がたとうとしていた。
辺りは木が鬱蒼と生い茂っており、雪原のように雪が白く輝くこともない。
ただただ肌寒く、昼だというのに森の中はひどく暗かった。
それが関係しているのかはわからないが、
この間彼らに会話がなされることはほとんどなかった。
といって、二人の仲が拗れたわけではない。
短い時間とはいえこの異常な状態の中で共に暮らしていた二人は、既に沈黙なが苦になるような間柄ではなかった。
もっとも、時が経つに連れてバッツの顔が少しずつ険しくなっていくものだから、クーパーとしても話し掛けづらかったのかもしれない。

しかし北の森の中央部のあたりで、バッツは急に立ち止まったかと思うと空を仰いで言った。

「なあクーパー、俺、思うんだ」
なんの脈絡もない話にクーパーは目をぱちくりとさせたが、構わずに続けた。
「実は全部悪い夢なんじゃないかって」
バッツはクーパーの方へと向き直った。
「ほんとは、俺は今頃森の中で野宿してるんだ。
 タイクーンにいって、レナやファリスたちと会うために。
 そしてさ、着いたら、みんなと笑って最近のことを話すんだ。
 クルルは相変わらずガキで。レナはしっかりしてるけど、でもどこか抜けてて。
 ファリスは全然王女って柄じゃなくて、それを俺がからかうと怒るんだよ。
 そのくせ、王女なんて嫌だっていうんだよな。
 うん、それで、田舎には幼馴染みのあいつらがいて、暖かく俺のことを迎えてくれる。
 おやじたちの墓参りをしたあと、ボコと、またどこか旅にいく…」
そこまで一気に話すと、バッツは俯いて、
それを見やりながら、クーパーも口を開いた。
名前を聞いても誰かはわからなかったが、それがバッツにとってどういう存在なのかはわかる。
「僕も、同じようなこと考えたよ。でも…」
クーパーは須臾躊躇ったが、はっきりといった。

「これはやっぱり、夢じゃないよ」
2202/3:02/12/14 23:55 ID:aHyrUvLj
その声はやや絶望的な色を帯びていたものの、同時に現実から逃げることのない力強さも感じられる。
バッツは溜息をつきながらクーパーを見やると、クーパーはなにか思い出しているように見えた。
元の世界のことを思い出していたのか、それともいつかの夢のことを思い出していたのか、それとも…

―――ああ、そうだったな。クーパーはもう、大事な人を、一人失ってるんだ。

バッツは再び空を見た。
視界のほとんどは木で埋まってしまっけれど、辛うじて一部の青を見ることができる。
腰にささっている剣は最初ほどではないにせよ燦然と輝くなどということはなく、
そして今の自分ではこれ以上の光は欣求したところで得ることはできないだろうと諦観していた。
現段階では恐らく、クーパーの方が持ち主としては相応しいであろう。
バッツはそんな自分に対して苛立ちを僅かに感じていた。
こんな気持ちになったのは、彼らの気の持ちようの違いからきたのかもしれない。
自身が生き延びることよりもあの姉妹の命のほうが、天秤にかけるまでもなくバッツにとっては重かった。
ゲームを脱出することだって、彼女らを助けるという前提条件によるものである。
もっとも、現在のところ肝心の脱出手段が暗中模索の状態ではあるのだが…。

なんにせよ、彼にとって己の命に対する興味はさほどなかったといってよい。
そしてそれは、最初に懊悩したように自分の死を悲しむ人がいないと思いこんだ故に他ならないのだが、
今にしてみると、少なくともこの少年やパパス、祠においてきた皆がいる間は、
いかなることがあろうとも生きていたいという気持ちも少しずつではあるが彼の中にも生じてきた。
後はそれを決定づける「何か」が必要なのである。
無論、レナやファリスに会えば心情的な打開の道は開けただろうが、もはやそれも叶わぬことだ。
彼らが知る由もないが、既に二人とも逝去している残酷な訃音がもうすぐに伝えられる。
そのときが彼、バッツ自身にとって一つ目の山場となるに相違ない。
「レナとファリスの生存」という彼にとって不変の真理にも近かったそれが否定されるのだ。
2213/3:02/12/14 23:59 ID:aHyrUvLj
さらにやはりこの大地の神というのは相当に意地が悪いらしく、
先のミレーユとの遭遇の件もそうであったように、彼らが祠を南ではなく北へといったのもまた運命の擦れ違いである。
もしも南へと進んでいたならば、悲劇を知らされるまでに今もっとも会うべき人物に会うことができたであろう。
しかしながら、どのような運命にあっても彼はそれに抗しなければならない。
それこそがクリスタルに導かれたる戦士の所以なのだから。

しかしながら、どのような運命にあっても彼はそれに抗しなければならない。
それこそがクリスタルに導かれたる戦士の所以なのだから。

刹那、バッツはクーパーを見ると、視線を森の奥へ戻していった。

「放送までにはまだ時間があるはずだ。このまま、南の城へ行こう」

現実には、放送までの時間などほんのわずかなのだが、放送回数が増えたことなどを知るべくもなかった。
ただバッツたちが南へと向かうのは、性悪の神もようやくにして悪戯心をおこしたからだろうか?
そこには少なからず運命的な出会いがあるかもしれない。
もっとも、この冷ややかな地の主が最後まで気が変わることがなければ、だが…。
しかし、この鮮やかな雪原こそ不変のように見える中、それはきっと杞憂であろう、恐らく、多分。



【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
 行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
222スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/15 00:08 ID:g29TtPjW
ゾーマの城。
相も変わらず外には稲妻が轟いている。
稲光で見える影は他ではないゾーマそのもの。
悠然と構えるゾーマは何を考えるだろうか。
傍らにはバラモスゾンビの影はない。どこかにいるだろうか。
バラモスゾンビの姿はない。どこかにいるだろうか。
「頃合だな。」
ゾーマは立ち上がり、水晶玉に念をこめる。

「参加者の諸君。如何過ごしているか…?
 中々に頑張っているではないか。
 今現在ちょうど正午、だな。…まだ日も長い、精々凍えぬようにな。
 
 闇の中におちた参加者の名を読み上げる。
 「アモス」「ホイミン」「イリーナ」「レナ」「ファリス」「アーサー」「ビビ」
 以上である。
 
 次に、禁止呪文、魔法を読み上げる。
「アストロン」「メテオ」「コメテオ」「コメット」「クエイク」
 以上である。

 我が名はゾーマ。
 我こそすべてを滅ぼす者…」

(時刻が正午を過ぎました。)
223スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/15 19:58 ID:g29TtPjW
放送直後のこと。
静かな雪原。
静寂が辺りを包む。
ボコッ…!
突如何もない雪原から手が現れる。
ゆっくりとその身を現わす。
旗から見ればゾンビと思えなくはない。
…いや、実際ゾンビなんだけど。

とんぬらの姿はない。近くにもいない。真っ白の雪原には足跡はないからだ。
かなりの雪崩だったがどうやらあまり流されてはいない。
彼女はそんなことを気に留めることなくとんぬらを求めるようにふらふらと歩き出した。

懐にしまってあったマンイーターはあの雪崩でどこかに流れてしまった。
…今の彼女にとってさほど大きな問題ではないのだけど。

「…待て。」
アイラは振り返る。

アグリアスも埋もれた雪の下から姿を現した。
遠くなりそうな意識をオヴェリアへの忠誠心のみで繋ぎ止めここに現る。
相手は一人、先ほどの奇襲はあの女のために失敗した。
悪い作戦ではなかった。確かに裏をかいたのだから。
アグリアスはダイヤソードを構える。
相手は丸腰、だが油断はしない。
224スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/15 19:59 ID:g29TtPjW
「大気乱す力震え…」
仕掛けようと行動を先に起こしたのはアグリアス。ダイヤソードに氣を込める。間合いは十分。
氣を放出するその瞬間、彼女は何気なく目を瞑る。次の瞬間。
「うっ!?」
顔面に雪玉が直撃する。アイラの石つぶてならぬ雪つぶて。放出されるべき氣が散開する。
雪で足がもつれる。アグリアスが雪を払ったそのときにはすでにアイラは一気に間合いを詰めていた。
ムーンサルトで迫る。アグリアスの剣は完全に引かれていた。剣を構えるも…すでに遅い。
胸部に食らって派手に吹っ飛ぶ。
再び深い雪に身を沈める。
急いで身を起こすもすでにアグリアスの敗北は確定していた。
手に感触がない。ダイアソードが宙を舞う。
それは剣がアグリアスを拒絶したのか。
たとえ、その身が呪いで蝕まれていたとしても、たとえ、守るべき主君がすでに亡くとも…
守ること、救うことを忘れない者を剣は選ぶというのか。
ダイアソードはアイラの手に渡った。
すぐさまアイラは剣の舞を繰り出す。
アグリアスに刃が届かんとした刹那。アグリアスは詠唱を完了していた。
ヘイスト。
間合いを取り一気に背を向ける。
「…情けないっ!」
それは自分の何に対しての言葉か。アグリアスは逃げ出した。たとえなんであろうとも生きなければならなかったからだ。
静かに見送るアイラ。アイラは追撃の意思はなかった。…と、言うか、今はとんぬらに会うことが彼女にとっての最優先事項であったからだ。
アイラはアグリアスとは全くの反対方向、山を下っていった。

【アイラ(ゾンビ) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪 現在位置:祠西の山脈中腹付近→山を下る 
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】
(マンイーターはどこかに流れていった。見つけるのは至難の業。)
【アグリアス(ヘイスト) ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット なべのふた
 現在位置:祠西の山岳地帯中腹→山を登る 行動方針:ゲームにのる】
「……ざっと、片付いたか。」
「どういう意味だよ?」
「わしの部下も、宿敵も、皆逝ってしまった。それだけの事だ。」
うん?どうした?二人供何を妙な顔をしておる?
「………」
「部下の方はこのゲームの前に壊滅しておる、だいたいわしは部下の為に貴様に協力した訳ではない。」
「じゃあ何であんたみたいな悪党がこんな真似をしてるんだ?」
失礼な奴だな。
「第一に、わしの世界ではこんなゲームの話は聞いた事が無い、つまり奴等のいう事は信用できない。
第二に、わしは唯々諾々とこんなゲームの駒になれる程腑抜けではない。」
奴等にわしの真意を知られる訳にはいかん、この程度の方便は使わせて貰うぞ。
「………で、どうするんだ?」
「今日は呪文を使い過ぎた、神殿に引き返して明日に備える。」
「そんなチンタラやってたらっ!」
「失敗は許されんのだっ!慎重に振舞って何が悪い!」
大体だな、貴様があんな所で凍ってなければメラミやメラを使わずに済んだのだぞ?
「……それに神殿まで戻れば上手くすれば1人分ぐらいは確保できるあてがある、今は黙って付いて来い。」
若干の装備の交換を行った後、我々は神殿に移動を開始した。

【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路 
 行動方針:ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット(MP減少) 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
226スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 00:09 ID:NWwOoaqg
《午前11時40分前後の話》
どぅんっ!どどどどぅんっ!
遠慮のない、耳障りな音がロックの鼓膜を打ち付けた。
身体を隠す大木の幹に、小さな穴が大量に生まれる。
(くそ…もう何時間こうしてるんだ…。)
大木をかりそめの盾としていたロックが、小さく舌打ちして木の陰から飛んだ。
木の陰から木の陰へ飛ぶ一瞬の間に、大量の弾丸と黒の爆圧が彼を追いかける。
クイックシルバーに残った弾丸を全て…正真正銘、全て敵に向かって吐き出させながらソレを回避し、隠れる。
ぜぇぜぇと息を荒らげながら、ロックはクイックシルバーを投げ捨てた。
もう一発も入っていない。弾の入っていない銃など、ただの鉄の塊に過ぎない。
「ちくしょう……。」
もう一度、うめく。今度は声に出して。

コレまでずっと、隠れながらの弾丸の交換を繰り返していた。
ロックのクイックシルバーと敵…黒衣の騎士セシルのギガスマッシャーと暗黒波はお互いを殺そうと幾度も牙を剥き…
結局、ここまで一度もソレをなしえなかった。
ロックがここまで生きていられた…それも、無傷で生きていられたのは、彼の実力とソレに数倍する運のたまものだろう。
だが、彼が闘っている暗黒騎士…セシルの場合、その比率は逆転する。つまり、彼の運とそれに数倍する実力。
「何とか逃げ切らないと…。」
身体を庇う木が、無数の弾丸の洗礼にさらされているのを感じながら、ロックは逃げ切るための思考を始めた。
227スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 00:09 ID:NWwOoaqg
右手に掴んだ巨大な銃が、何の遠慮もなく怒声を発し、そして怒声は弾丸となって敵が隠れた木の幹をえぐり取る。
ただひたすらに敵を殺すべく、暗黒騎士セシルは弾丸を撃ち続けていた。
今戦っている…と言うにはやや一方的だが…バンダナの男、ロックはよく頑張っていると言えた。
もう三時間近く、危険な賭けに出る事もなくただひたすらに隙をうかがい続ける。並みの人間に出来る事ではない。
だが、それももう終わりだ。
ロックが、弾を撃ち尽くしたクイックシルバーを捨てるのをセシルは見た。
敵には銃がない。おまけに魔法を使える様子もない。だがこちらには銃と…暗黒の力がある。
「もらった…!」
セシルはもう一度、ギガスマッシャーに弾丸の怒声をあげさせるべく指に力を込めた。

…それから数分が過ぎて…ロックが、動いた。
再び別の木の陰へ飛び出し、隠れようとする。
だが、それを見逃すほどセシルはうかつではないし、寛容でもない。
「終わりだ!」
叫び、引き金を引く。
撃ち放たれた弾丸がロックの身体を浅く引き裂くのが見えた。
そして、ロックがこちらに何かを投げつけるのが見えた。
そして、セシルの視界はいきなり白に閉ざされた。ものすごい重量と共に。

うまくいった!
身体を鉄の飛礫に引き裂かれた痛みを強引に無視して、ロックは歓声を上げた。
ついさっきまでセシルが立っていた位置には、こんもりとした雪の山が出来ている。
その足下には、アモスのミスリルシールド。その後ろには、雪化粧を落としてスッキリした巨木が一本。

ロックの投げたシールドはセシルの後ろの巨木に命中し、その衝撃で落ちてきた雪が彼の身体を覆い隠したのだ。

ロックはそれを確認すると、振り返りもせず賭けだした。
エリアの走っていった方に向かって。
228スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 00:15 ID:NWwOoaqg
「くそ…。」
セシルは小さく毒づきながら雪の山から這い出した。
まんまとしてやられた。まさかこんな事をするなんて思っても見なかった…甘かった。
セシルは完全に雪山から這い出ると、その場にどっかりと座り込んだ。
暗黒波の撃ちすぎで、体力が消耗していた。

【セシル(やや体力を消耗) 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー 
 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)  行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
 行動方針:エリアを守る】
(弾切れのクイックシルバーとミスリルシールドは森に放置されています)
229あぼーん:あぼーん
あぼーん
230スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 19:45 ID:NWwOoaqg
《午後0時》
「参加者の諸君。如何過ごしているか…?」
突然ロンタルギアの大地に声が響いた。よく知っている声。背筋が冷たくなり、産毛がそそけ立つような…。
「ゾーマ…?」
バッツは、意外そうに言って、立ち止まった。
後ろからついてきているクーパーもそれに習う。
(どうして…)
そんな言葉が、二人の脳裏に同時に過ぎる。
放送のはまだだいぶ先のハズだが…正午?放送の回数が増えたのだろうか?
クーパーはぽかんと空を見上げ、バッツは麻痺しかけた頭を再回転させる。
だが、ソレは…バッツの頭の再回転は…一瞬後に、凍結した。

「闇の中におちた参加者の名を読み上げる。
 アモス、ホイミン、イリーナ、レナ、ファリス…」

……空を見上げていたクーパーの身体が、びくりと痙攣した。驚きに。
レナと、ファリス。さっき、バッツが話していた名前…。
まさか。探しに行こうと言う所だったのに。もう、死んでいる?
…放送が終わった。寒々とした声は途切れ、静寂が戻る。
クーパーは、バッツを見た。見ただけで、声をかける事が出来なかった。
バッツの背中が見えた。顔は、表情は見えなかった。
ただ、分かった。彼の周りの空気が一瞬変わったのが。
ゾーマとは違う方向の恐怖を感じる。魔の覇王と相対した時の威圧感ではなく、凶悪な魔物と出会ってしまった時の絶望感。
だが、ソレはすぐにさっと引いていき…戻った、いつものバッツに。いつものバッツを取り巻く空気に。
231スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 19:46 ID:NWwOoaqg
恐る恐る、声をかけてみる。何となく…まだ、怖い。バッツが。
「……大丈夫だ。」
バッツは答えた。力強く、だがどこか震えた声で。
バッツがこちらを振り向いた。そして、笑った。いつもの、ただ少しだけ力のない笑顔で。
「泣いたり怒ったりしてるヒマなんて…無いからな。」
「でも……だって…。」
「子供(ガキ)が余計な気を遣うなよ…大丈夫だ…俺は。」
クーパーの頭に、バッツの手がぽんと置かれた。
その表面は冷気で冷え切っていたが、芯からぼんやりとした暖かさが伝わってくる。
だけど、その手は震えていた。ブルブルと小刻みに。恐怖ではなく…怒りに。
「これ以上誰かが死ぬ前に…ってことだ。行くぞ。」
「…うん。」
クーパーは頷いた。頷く事しかできなかった。
それ以外の言葉を今のバッツにかけてしまったら…バッツがどうなってしまうか、分からないから。
今回のゾーマの宣告は…バッツにとって間違いなく最悪の知らせだった。
二人が死んだ?死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ…殺された。
(誰が殺した?)
バッツがバッツ自身に問いかける。答えが分かるはずもないが、それでも問いかける。
そのとたん、バッツの思考は血の赤と闇の黒に向かっていきなり急降下していった。
凄惨な殺戮が脳内で瞬時に展開される。
あの、ゾーマの城にいた全ての顔が、その殺戮の海の中にいた。
広い雪の大地の中央に、綺麗な顔のレナとファリスの身体。もう動かない二人の身体。
その周りに、もはやほとんど原型をとどめぬ死体の山。
死体の誰かが、二人を殺した。死体の全ては、バッツが“壊した”。
(みんな殺してしまえ。)
ゾーマの声が…ゾーマの声色をしたバッツ自身が、バッツにそっと囁いた。
(みんな殺してしまえばいい。その内の誰かは確実に二人を殺した。)
バッツが死体の山を見た。知った顔が…クーパーの、アニーの、このゲームで知った全ての顔があった。
(殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ…)
(止めろ!)
232スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 19:48 ID:NWwOoaqg
バッツが絶叫する。喉はすでに用をなさなかったが、それでも心の中で絶叫する。
そのとたん、凄惨な地獄の風景の空想は消え失せ、現実の地獄が目の前に広がった。
どうかなってしまいそうだった。右手が動く。剣を手に取ろうと…。

「バッツ…兄ちゃん…?」

クーパーの不安そうな声が後ろから響き、そのとたん、動こうとした体が止まる。
(そうだよ…クーパーがこんなにしっかりしてるのに、俺がコレじゃ…。)
まだ、やらなければならない事がある。そうだ、やらなけらればならない事が。
「……大丈夫だ。泣いたり怒ったりしてるヒマなんて…無いからな。」
そう返事をしてやる。クーパーを安心させるように、笑顔を作って。
「でも……だって…。」
「子供(ガキ)が余計な気を遣うなよ…大丈夫だ…俺は。」
なるべく平静を装って、バッツは言った。ついでにクーパーの頭を撫でてやる。
「これ以上誰かが死ぬ前に…ってことだ。行くぞ。」
「…うん。」
バッツの言葉にクーパーが応える。
ソレを確認してから、バッツは再び雪原を歩き出した。
233スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/16 20:04 ID:NWwOoaqg
体の中で風が唸る。全てを切り裂き、血祭りに上げろと叫ぶ。
だが、その“殺意”は、一つの対象に向けられようとしていた。
…人がナイフで刺されて殺されても、ナイフの罪を糾弾する人間などいない。
罪は、ナイフを振った人間にある。
このゲームにおいて全ての参加者はナイフであり、同時に刺される被害者を兼ねる。
ナイフを振う人間の役割を担うのは、ただ一人。
(待っていろ、ゾーマ。)
バッツは、空に向かって心の中で叫んだ。
(ゲームからみんなを逃がしたら…真っ先にお前の目の前に現れてやる。お前を滅ぼしてやる…!)

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
 行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜け、ゾーマを倒す】
234保管庫:02/12/17 22:07 ID:OlPEsXcK
「ふう。やっと抜けたでござるな」
「ガウ!」
予定していたコースから大きく外れたのか、目の前には
地図に描いてある湖の真ん中の突き出た砂地がある。
「ずいぶん西にそれちゃったみたいですね」
「しょうがない。ここまで入り組んだ地形だとはおもわなかったからな」
メルビンとガウに続いて、アーロンとモニカが森から出てくる。
「まあ、抜けれただけでもよかったでござるよ」

当初は山沿いに南下して、湖の湖岸からココまで来る予定だったのだが、
崖やら谷やらのせいで山沿いから離れてしまったのだ。
「・・・もうすぐ昼になるな。どうする?このまま祠まで向かうか?」
「小島にも森があるようでござるし、一度休憩した方が良さそうでござるな」
「そうか。モニカ、水を汲んでくる。手伝ってくれないか?」
「はい!」
モニカは、やっとアーロンの手助けをできるのが嬉しいのか、
顔を輝かせて湖にむかうアーロンの後をついていった。
235保管庫:02/12/17 22:08 ID:OlPEsXcK
「・・・ガウ殿。『奴』の気配はまだ無いんでござるか?」
二人の姿をほほえましげに眺めていたメルビンは、
急に表情を険しくしてガウに問い掛けた。
『うん、森の中では感じなかった。近くにはいないみたい』
「そうでござるか。・・・当面は二人の保護をするでござる。いいでござるな?」
『メルビンがそう言うなら』
「できればあの二人を巻き込みたくないでござる。
 二人の知り合いに会って、彼等を預けたいんでござるけどな」

「アーロンさん、ケガ、どうですか?」
森の入り口から湖まで少し距離がある。なんとなくモニカは口を開いた。
「心配するな。このくらいで傷が開いたりはしない」
心配そうにたずねるモニカに、アーロンは簡潔に答えた。
「・・・ごめんなさい。森を出るまでずっと抱えてもらって」
「祠にもっといい靴が置いてあるといいな」
落ちこんでいたモニカの表情が少しだけ緩む。
彼なりに気を使ってくれたのだとわかってるからだ。
236保管庫:02/12/17 22:09 ID:OlPEsXcK
「・・・この水、飲めるんですか?」
水袋に湖の水を入れながらモニカは聞いた。
もちろん見た目は透き通った綺麗な水なのだが、彼女は生まれてからいままで
こういう水を飲んだ事はない。このゲームが始まる前は、清潔な部屋の中で
用意された物しか飲んだ事は無いし、始まってからも支給された水袋に入っていた
物しかのんでいない。不安になるのもしょうがないだろう。
「大丈夫だろう。あのじいさんなら水をキレイにする呪文くらい知っていそうだがな」
自分の徳利に水を入れながらアーロンは言った。とりあえず、持ってきた物には
全て水を入れた。メルビンとホフマンの持っていた二つの水袋と、徳利に。
(他の三人の持っていた物は紛失してしまっていたのだ)

「・・・メルビンさん。そのキノコなんですか?」
水を汲んできた二人を出迎えたのは、みた事も無い珍色奇形キノコのバーベキューだった。
「さっきソコで採ってきたんでござる。食料も少なくなってきたでござるしな」
悪びれもせずメルビンは答えた。
焚火の向こうでは、ガウがよだれをたらして焼けるのを待っている。
「食料の事はわかるが、食べられるのか?ソレ」
平静を装って出した言葉は、力が少し欠けていた。
「さあ。さっきかじってみたんでござるけど、何とも無いでござるよ」
説得力に欠けるじいさんの言葉。モニカは涙をのんで言った。
「私、キノコアレルギーなんで、パンをください」、と。
そして、この窮地から、モニカだけが脱出したのだった。大切な人を見捨てて。
逃げられなくなったアーロンは、しぶしぶ焼けたキノコを口に運ぶ。

毒は無かった。しかし、強烈な味がアーロンの体を蝕んだのだった。
237スラリソ@代理 ◆5VrxCs/8kA :02/12/17 22:57 ID:4ydFmhdu
「・・・すごくまずかったみたいですね。ソレ」
「むう、どれも味が違うみたいでござるな。ハズレだったんでござろう」
「ガウ!」
口にキノコを挟んだまま白目をむいて気絶しているアーロンを眺めながら、
メルビンはまた一つキノコを口にする。今度のも当たりだったようだ。
二人ともいくつもキノコを食べているが、ハズレはまだ出ていないようだ。

というか、ハズレキノコはアーロンの食べた最初の一本だけだったようだ。
二人の味覚が狂っていないのであれば。ガウが残りの三本を美味しそうに租借する。
「しかし、一本しかないハズレキノコに、最初の一本であたるとは・・・」
アーロンは微かな意識の底で、仲間達に、
「ラッキースフィアは別にいい」と言った事を猛烈に後悔していた。

そんな微かな意識が、耳障りな声で急速に覚醒した。
間違い無く、主催者側の提示放送だった。

【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/鋼の剣(中古) 現在位置:   台地最北東  行動方針:南の祠に 仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 現在位置:台地最北東 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 行動方針    南の祠に 仲間を探す ホフマンの仇をうつ】
「くそっ!」
まさか、雪崩を引き起こしたとは。
あの女、かなり冷静だな。
やっとの思いで雪の中から這い出したヘンリーは悪態を着いた。
…ここは、どこだ?
現在位置の感覚が麻痺してしまっている。
体も冷え切ってしまっている。体を温めないといけない。
辺りを見回してみる。真っ白なゲレンデに二種類の足跡が。
アイラとアグリアスとの戦闘の跡であるがそれは彼の知る所ではない。
誰かが戦った跡だというのは容易に想像できるが。
「…まだ、新しいな。これを辿っていけば誰かがいる。」
そう呟いたヘンリーは片方の足跡をたどっていった。

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3
 現在位置:祠西の山岳地帯 行動方針:皆殺し アイラかアグリアスの足跡をたどっています】
 ――――ここはどこだろう?
 ズキズキする頭で考える。

 崖下へと落ちて行ったセリスは、奇跡的にも生きのびていた。
 崖の斜面に、深く、深く降り積もった雪が、転がり落ちていくスピードを押さえると共にクッションの役割を果たしたのだろう。
 しかし流石に無傷というわけにはいかず、金色の髪の間からは一筋の赤が流れていた。
 セリスは、まず自分の現在おかれている状況を確認する。
 周りはどこを向いても白白白…いや、遥か高みを仰げば天空の青が覗いて見える。

「あそこから落ちてきたのね…」
 斜面に残る、自分が滑り落ちてきた軌跡の痕跡を見て呟く。
 とりあえず、自分が今からすべき行動は決まった。
 こんな所にいつまでもいても仕方がない、早く上へと登ろう。

 と、一歩踏み出した所で足元がふらつき、慌てて倒れないようにセリスは自身の体を支える。
 足元の雪が、頭から落ちた一滴の血で鮮やかに染まっていくのを視界に入れる。
「ケアル」
 左手を翳し、治癒の魔法を唱える。
 そう、私は魔法が使える――――ガストラ帝国の常勝将軍としての自分があったのも、この力に依るものだった。
 そこで唐突に、自らの思考の流れに疑問点を覚え、その部分をそのまま口に出してみる。
「ガストラ帝国の常勝将軍?」
 なんだろう、それは?
 というよりも……私は一体誰なのだろうか?
 自分の名前がわからない。
 何をしていたのか、何をこれからしようとしていたのか――――
 結論に至って愕然とする、どうやら自分は記憶喪失になってしまったらしい。
 何か自分に関することがわかるものは無いかと、持ち物を点検してみる。
 剣が一本と……
 いや、それだけのようだ。
 もしかしたら他にもあったのかもしれないが、きっと――――
 まだまだ下へと続いている崖の斜面を見下ろす。底は見えない。
 食料すら保持していないのでは、このまま飢え死にしてしまうか、そうでなくても凍死してしまうか……いずれにしても状況は絶望的だった。
「とにかく、誰か居ないか探してみないと」

 セリスは、不安のためか少し早足になりながら、純白の大地に足跡を刻み始めていった。
 歩きながら、記憶の糸を手繰り寄せようとしてみる。
 まずこの剣。
 鳥(?)を模した意匠の柄作りに、燦然と輝く黄金色の刀身。
 一目でかなりの業物とはわかるが、自分の手には微妙に馴染まない。
 馴染みはしないが――――振り回しているうちにわかってくる、自分の手には剣を扱う術が備わっていることを。
 そうだ、自分には魔導の資質だけでなく、戦士としての才覚もある!
 そして……
 ダメだ、やはり自分の名前は思い出せない。
 しかしそれ以上に、何かもっと大切なことを忘れているような気がしてならない。
 それが一体なんのことなのか、誰のことなのか……

 セリスは能動的思考とは裏腹に、無意識の内では思い出すことを拒絶していた。
 血で染め上げた自らの罪、その負い目、そして――――ロックのことを。
 崖の転落で頭を打ったのはきっかけに過ぎなかったのかもしれない。
 しかしそれは、今の彼女にとってある意味望んでいた展開なのかもしれなかった。

 覚えていなければ。
 思い出さなければ。
 苦しみ――――愛する人を求めてやまない、そして同時に、求めてはいけないとする二律背反の心――――から解放される。

 セリスの足は、生きる為に前へ前へと歩を進めていく。
 しかし心は、死んだままでいたいと立ち止まったままだった。

 セリスが正午の放送を聞いたのは、そんな想いに囚われながらかなりの距離を登りきった時だった。

【「セリス」:記憶喪失
 所持武器:ロトの剣
 現在位置:祠西の山岳地帯中腹
 行動方針:人を探す】
242保管庫:02/12/22 11:03 ID:4+CiTvGN
暗い森の中とは相当に場違いだが、透き通った青髪の美しい少女がいた。
当然ながら、それは水の巫女エリアに他ならない。
あの騒動のあと急いで祠の方に向かったのはいいのだが、
運の悪いことに風の反応の主は北へと動き出した。
しかし、頼れるのはその会ったこともない彼しかいないのである。追うしかなった。

それにしても、今になって考えるのも愚かなことだが、まったく馬鹿なことをしたものである。
何故、あの青年に自分は向かっていったのだろうか?
運良く生き延びることができたが、あれは勇気ではない。単なる無謀である。
もしかすると、ファリスの炎を継承する人物を捜すための試練だったのであろうか?だとすれば、落第であろう。
もっとも、炎とは対極に位置する水の巫女に勇気の炎を、というのも些か滑稽な話ではある。

さて、橋を渡ればあとは一本道なのにも関わらず、祠のようなものはまったく見かけることがなく、彼女は自分の位置を疑った。
しかし地図を見る限りでは、そこは祠の近くに間違いなかった。
もっとも、本当に地図が正しければの話だが、今さら嘘の地図を参加者に渡すことになんの意味があるのだろうか。
地図の真偽に対し猜疑的になるのは恐らく的はずれのことだ。
少し探し歩いたあと疲弊していた彼女はそれ以上考えることはなく、そのまま短い砂漠を渡り森へと入った。
そして祠のあたりを歩いている間に、彼女を捜し求めていたミレーユはその存在に気づくことなく南の橋を渡ってしまった。
偶然というのはこうまで重なるのかと、事情を知れば溜息をもらしたことだろう。

バッツに走って追いつくには幾分距離が遠すぎる。
もとより体力のない彼女は走らずに、通常よりも少し速い程度のスピードで歩いた。時間はかかるが、いずれ追いつく。
243保管庫:02/12/22 11:04 ID:4+CiTvGN
そしてやや北西よりの北の森のあたりである。あの予期せぬ放送がなったのは。
この時間に死亡者通知がされたのは、彼女にとって大いな誤算であった。
ファリスが逝去し、そしてその妹のレナという人物も生死が怪しまれる中、
なんとしても放送の前に風の戦士、バッツにその旨を伝えたかったのだ。
これでまだレナが生きていたならば、救いようもあったのだが…。
通知の中にアモスの名があったことも、彼女に並ならぬ衝撃を与えた。
だがなによりも彼女は、それを聞いて涙ひとつ流すことのなく、そのうえ存外に自分の心が落ち着いていることに驚いた。
アモスの死に実感が湧かなかったこともあったかもしれない。
しかし、だからといってここまで平静を装えるものなのだろうか?
短い間ではあったが、共に過ごした仲間ではなかったのか?
ほとんど無意識のうちに呟いた。

「死ぬって…なんなんだろう」

忘れかけていたが、彼女は思いだした。自分が、元いた世界では既に死んでいることを。
しかし、今自分は間違いなくこの冷たい大地のうえにたっている。
果たしてこの世界は現実なのか?雪の中の肌寒さ、風に靡く木々はその通りだと返答しているようであったが、
自然の力のそれさえも彼女には嘘臭いものが感じられる。
疑問は尽きない。
ふと、エリアは顔をあげた。
こんなことを考えてなんになるのか、と。
暗闇を照らす一筋の光は、きっとある。
風の反応まで、もう少しではないか、今はただ、進もう。

そこまで考え、またはっとした。これはこのゲームの最初にも考えたことだということにきづいたのだ。
結論のでないまま、結局、とにかく行動しようという結論。
同じような疑問に頭を擡げ、そしてまた同じような結論に達すると?
いや、進展はある。少なくとも、同じクリスタルの元に導かれた者がいる。
そして恐らく、あの四人の少年の一人もいる。
244保管庫:02/12/22 16:55 ID:BW2VCLI/
エリアは大きく息をついて、再び歩き出した。
それは先のスピードよりも数段速かった。
無念無想の境地に入れば、様々なことがわかるのだろうが…。
とにかく、アモスは死んだ。恐らく、あのまま自分たちを逃がすために。
その意志を無駄にしてはいけない。
ロックは生きているようだが、自分の後ろからはまったく気配は感じなかった。
現在どのような状況にあるのかは検討もつかない。
でもきっと、生きている…そう信じたい。いや、信じなくはならない。
レナは死亡していた。ならば、今ある小さな水の反応は?クリスタルの継承?
まさか、ありえない…。ならいったい…
風の反応は今動きが止まっている。彼は今どうなっているのか?
一刻も早く追いつかなくてはならない。
土の反応も、ここのところ動きが少ない。
そして、そろそろ真剣に考えねばなるまい。
死んだ筈の自分がここにいる理由を。
このゲームのことを。


風が少し強く吹き、森はざわめき、エリアの青い髪は鮮やかに靡いた。
その姿は、形容する言葉の見つからないほどに美しかった。



【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア北の森(やや北西より、つまり北北西?(w)から風の反応へ
 行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
ゾーマの城。
相も変わらず外には稲妻が轟いている。
稲光で見える影は他ではないゾーマそのもの。
悠然と構えるゾーマは何を考えるだろうか。
傍らにはバラモスゾンビの影はない。どこかにいるだろうか。
バラモスゾンビの姿はない。どこかにいるだろうか。
「頃合だな。」
ゾーマは立ち上がり、水晶玉に念をこめる。

「参加者の諸君。如何過ごしているか…?
 中々に頑張っているではないか。
 今現在ちょうど正午、だな。…まだ日も長い、精々凍えぬようにな。
 
 闇の中におちた参加者の名を読み上げる。
 「アモス」「ホイミン」「イリーナ」「レナ」「ファリス」「アーサー」「ビビ」
 以上である。
 
 次に、禁止呪文、魔法を読み上げる。
「アストロン」「メテオ」「コメテオ」「コメット」「クエイク」
 以上である。

 我が名はゾーマ。
 我こそすべてを滅ぼす者…」

(時刻が正午を過ぎました。)
246あぼーん:あぼーん
あぼーん
しかし、これまたとんだ糞スレだな。
ここに投稿してるやつらにはボンクラばっか
普通につまらないよ
248あぼーん:あぼーん
あぼーん
良かったのは最初だけ。
書き手レベル低すぎ。
250あぼーん:あぼーん
あぼーん
>>182は、
先に>>174で「物陰に隠れている人物」を特定されてしまっているため、
申し訳ありませんが無効とさせていただきます。
252あぼーん:あぼーん
あぼーん
253あぼーん:あぼーん
あぼーん
254あぼーん:あぼーん
あぼーん
255保管庫:02/12/25 23:08 ID:0t8k5aCO
《午後0時半前後》

しゃこんっ…しゃこんっ…。
金属と金属が軋み合う音、そして、シリンダーが伸び縮みする嫌な音がセーラの耳に届いた。
(また来たのかしら…しつこいですわね…)
簡素な村娘の服を身に纏った女…セーラは、そう心の中で愚痴った。
愚痴りついでに、そこらの物陰に身を隠しておく。

……軋みの音が、セーラの隠れた物陰の前を通り過ぎて向こうの方へ歩いていく。
物陰からそっと覗いてみると、丸い金属の背中が見えた。
「…なんであんなモノが彷徨いているのかしら。」
心の中の愚痴を口の端から思わずこぼしながら、セーラは物陰から這い出した。
ついてに、腹立ち紛れに近くの石像を小さく蹴っ飛ばす。
見るも禍々しい破壊神の石像は、そんなセーラの無礼な行動を気にも止めず、悠然と佇んでいる。
…セーラの今いる場所は、かつて…今でもかも知れないが…ハーゴンの神殿と呼ばれていた。
256保管庫:02/12/25 23:09 ID:0t8k5aCO
「ここは何処なのかしら…。」
セーラは唯一信頼できる存在であるブレイズガンを握りしめ、再び神殿の散策を開始した。
この神殿に転移してきて数時間、あの不気味な鉄の塊のせいで、すっかり道に迷ってしまった。
唯一の幸運は、この神殿の中ではまだ誰にも会っていない事か…否、彼女にとってそれは“幸運”ではなかった。
何しろ、“か弱い”彼女は誰かに助けてもらわねば、すぐ死んでしまうだろう。こんなゲームの中では。
だから、会う。あの黒い騎士に。そして、二人で生き残るのだ。二人で。
…その甘美な空想に、セーラの表情がほどけていく。顔が上気し、どこか恍惚とした顔へと変わっていく。
思わず、頬を掌で押さえる。暖かい頬が冷たくなった彼女の手を僅かに暖めた。
その感触にもう一つの快感を思い出して、セーラはさらに恍惚とした表情を深めた。
頬に当てたはずの手に、クッションの…その下にあるフローラの手の感触が蘇る。
もがく身体。クッションの下の荒い呼吸。肌を通して伝わる恐怖と絶望。人として犯される最大の背約行為。
その光景を思い出すだけで、彼女の体は甘く溶けていってしまいそうだった。
黒い騎士と自分が、深く深く愛し合う空想と同じくらいに、ソレは大きな快感を彼女にもたらす。

「騎士様…貴方のために、このセーラ、誠心誠意を持って戦わせていただきます。」
ふぅ…ふぅと、僅かに荒い吐息を漏らしながら、セーラは小さく呟いた。

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿内(詳しい現在位置不明) 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
257保管庫2:02/12/26 00:05 ID:bF53PIFo
 雪崩に巻き込まれた後、とんぬらとルーキーは山沿いに南へ移動した。
 ライアンとアイラを探したいのは山々だったが、雪崩が起きたばかりの山に入るのも躊躇われた。
 それで、こうして山の入り口付近を巡回して、二人がやってくるのを待っている。
 勿論、ヘンリーともう一人、アグリアスがやってくる可能性もあったが、
(ヘンリーは止める。殺してでも)
 腰に佩いた剣を撫でる。その目に迷いはない。
 ヘンリーは親友だ。それは今でも変わらない。だが、今の自分には子供がいる。
 子供のためならば、何でも出来る。それが親というものだ。
(そうだよね、父さん…)
 
 一方、ルーキーは不安げだった。
 ライアンとアイラの戦闘力が優れている事はわかっているが、
 アイラはともかく、ライアンは非常にお人よし…悪く言えばオメデタイなところがある。
 とにかく、策略とか駆け引きが似合わない人だ。それ故に、こんな状況では不安だった。

 そうこうしているうちに、二人は湖の辺に出た。
 南、湖の向こうにはなだらかな平原。東には湖を横断するように伸びた陸地と、橋が見える。
「なんだか、すんなり移動できちゃったね」
 ルーキーは何となく納得できない口調で呟く。
 それもそうだろう、森の各所に設置された魔術装置、あれだけ悩まされて山登りまでする事にしたのに、今はまったく迷わなかったのだ。
「そうだね。今は装置が働いていないみたいだ」
「でも、なんでだろ…誰かが止めた、って事はないよね。あれは単体でも起動するみたいだから」
「…迷った時は四人で、今は二人だから…」
「?」
「あるいは、僕と君以外、つまりはライアンさんかアイラが迷わせていたか。
 色々原因は考えられるけど、とりあえず迷わされることはないってことだけは確かだね…」
 それだけ言うと、とんぬらは腰から剣を抜いた。
258保管庫2:02/12/26 00:33 ID:6FOhHtf3
「とんぬらさん…?」
「出てきたらどうだい?…って前にもこんな事いった気がするけどね。
 出てこないなら、こちらから行かせて貰う」
 けして荒げているわけではない、だが有無を言わせぬ力強さでとんぬらは言う。
 ルーキーは、とんぬらが見ている木陰に何者かの気配があることに、ようやく気付いた。
 急いでブーメランを取り出し、構える。緊迫した空気が周囲を満たした…気がした。

「…?あれ?」
 最初は小さく、次第に大きく。木陰の向こうでなにやら言い争う声が聞こえてくる。
 動きも段々激しくなっていく。木陰の向こうから、ちらちらと人影が見えるようになった。
「あの、なんか揉めてない?」
「みたいだね…どうやら敵ではないようだけど」
 そして遂に、木陰から人の姿が完全に出た。
 紫の髪の女の子。おかっぱに黄色いマント。
 それを追って出てきたのは亜麻色の髪の妙齢の女性。ただし服装はマントの下にレオタードのみ。

「こら!危ないからでてっちゃダメだってば!」
「ヤダヤダヤダヤダやだぁっ!!離して、離してってばぁ!」
 じたばた暴れる女の子を、何とか押えようとする女性。
 とんぬらは、震える唇で呟いた。

「………アニー…?」
 二人の女性が、とんぬらを見る。見る見るうちに女の子の瞳に涙が溜まる。
 女の子は女性の手をすり抜けると、そのままとんぬらの首元に飛びついた。 

「お父さん、お父さん、お父さん、お父さん、お父さん、お父さん!!!
 うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーん!!!」
 大声で泣きじゃくる少女、やや戸惑いながらも抱きとめる父親、唖然とする傍観者二人。
 こうして、離れ離れになった父と娘は再開する事が出来たのだった。
259保管庫2:02/12/26 00:48 ID:Be+ZQKqF
「でも、とんぬらさんに子供がいたって本当だったんだねぇ」
 ルーキーはしみじみという。とんぬらは苦笑しながら、自分のマントの端を握ってベソをかいている娘の髪を、優しく撫でた。
「まぁ…ともあれ、めでたしめでたし、かしら?」
 アリーナは、複雑な気分になっていた。傍目同世代の彼が、アニーの父なのである。
 自分は恋愛だとか、そう言ったことに興味なかったし、まだ早いと思っていた。
 だが、すでにこうして、子供がいる同世代もいるのだ。どうしても意識してしまう。
 そんなわけで、同世代の男の娘が10歳であることの疑問点にはとりあえず気付かなかった。

 それから、お互い意見の交換を行った。
 ルーキーはゲーム開始当初からライアンと共に行動していたこと、
 最初、アニーとクーパーは一緒にいて、パパスに守られていたこと、
 パパスと逸れたこと。色々あって、クーパーとも離れ離れになったこと。
 つい先程雪崩に巻き込まれ、ライアンの行方が知れないこと。

 一通りの意見の交換を終えた後、とんぬらは静かに目を閉じ、口の中で呟く。
「そうか…父さんが、アニーとクーパーを………」
 一方、アリーナはパン、と拳を合わせた。そして、湖の向こうを見る。
「ライアンと合流できなかったのは残念だけど、仕方ないか」
 そして、踵を返す。
「アリーナさん?」
「アニー、あなたはお父さんと一緒にいなさい。私は行くから」
「一人で?」
「止めなきゃいけない奴がいてね。そう、倒してでも絶対に止めてみせるわ」
 ソロ。緑の髪の勇者。自分のもっとも頼れる仲間、だった…
 瞼を閉じればまだ思い出せる。ムシケラのように、人を殺してケロリとしているあの顔。
 人を殺めながら自分は悪くないとあっさり言ってのける甘ったれた顔。
 拳を握り締める。そして唇を強くかんだ。
「そういうことだから。私、行くわ」
260保管庫2:02/12/26 00:50 ID:Be+ZQKqF
 アニーは父を見上げた。困惑した娘の顔に、とんぬらは一つ息をつく。
「わかりました。これまで娘を守っていただき、ありがとうございます」
「どういたしまして。それとこれは忠告だけど、ソロって奴にあっても、けして信用しちゃダメよ。外見は緑色の髪で私と同じ年頃だから、すぐわかると思う」
「では、僕からも。ヘンリーという男に注意してください。緑色の髪で、年頃は僕より一回り上ぐらいです」
 アニーが息を飲んで自分を見ている。それを感じながら、言葉を続ける。
「そいつは、完全にゲームに乗っています。話し合いだとか、そんな馬鹿な事は考えないで下さい」
「…OK。おぼえておくわ」
「それから」
「まだなにかあるの?」
 とんぬらはアリーナの姿をさらりと眺めてから、いった。
「風邪ひきますよ、その格好だと」
「………」
 アリーナは以前娘に話した事をそっくりそのまま父親に話すことにした。
 そんなにこの格好は寒そうに見えるのだろうか、と少し疑問を感じながら。

 ともあれ、アリーナは一人、雪を蹴って駆け始めた。森の向こうに消えていく彼女の姿を見送る三人。
「お父さん…」
「大丈夫、また会えるよ」
「……はい」
「僕たちも行こう。クーパーを探さないと」
「はいっ!」

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:祠の西の森、南の平原へ 行動方針:ソロを止める(倒してでも)】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
 所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
 現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目あたりの湖畔 
 行動方針:王子を助ける、パパスに会う/ライアンと合流/クーパーを探す】
261あぼーん:あぼーん
あぼーん
262あぼーん:あぼーん
あぼーん
263あぼーん:あぼーん
あぼーん
「確かにサマンサと名乗ったのだな?」
「ピサロって奴はそう呼んでた、けどそれがどうしたんだ?」
ここは神殿の信者用の浴場、マゴットは外で水晶を使って神殿の監視をしている。
マゴットの入浴?我々の前に終わっておる。
「サマンサはマゴットの仲間だったそうだ。」
「じゃああんな奴を仲間にするってのかよ!」
「ゲームに乗っているなら話は別だ、ただ」
「乗ってるに決まってるだろ!」
「装備も命も奪われておらぬ、乗ってるとしたら随分間抜けな連中だな。」
もしわしがサマンサの立場だったら看病をするふりをしてジタンの命を狙うだろう。
「それにだ、ピサロが現れた時貴様は既に抜刀していたのだろう?」
「それは……そうだけどよ。」
感情的に納得がいかぬ様だな、ビビが生きておれば話も違ったのであろうが。
大体サマンサも何でそんな中途半端な真似をしたのだ?
「とはいえ、この環境で一度敵対した相手と和解するのは非常に難しい、復讐自体を止めろとは言わぬ。」
「……条件は?」
「復讐したければ、サマンサよりも強力な信頼関係を貴様とマゴットの間に築く必要がある、
手段は任せるが、壊すなよ。」

【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿 
 行動方針:ゲームから脱出、サマンサとピサロの殺害】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:神殿 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット(MP減少) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
hihihihihi
266名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/03 03:16 ID:7t0VgI2y
保守あげ
267名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/03 13:06 ID:ny1L8KlO
もうこのまま眠らせてやってくれ。
gugu
269うう:03/01/03 13:56 ID:uBkgT1R8
実は僕たん、おるごでみーらたん萌えなのらぁ〜 ハアハア… (´∀`)
270あぼーん:あぼーん
あぼーん
ワインの味を堪能していたゾーマはゾーマは立ち上がった。
「もう終わりでいいや・・・」
ゲームの参加者達の首輪が爆発した。
 お し ま い

FFDQバトルロワイアル─完
272∬ ◆xVFORTsym2 :03/01/10 18:58 ID:0c5gd+C8
激しく保守マリム
273名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/11 02:30 ID:2L1IQnzv
終了??
このまま終わらないでくれー。
激しく復活をキボンヌ。
>>271 荒らしは氏ね
276∬ ◆xVFORTsym2 :03/01/12 16:52 ID:fYESiyjz
物凄い勢いでほしゅまりむ
277あぼーん:あぼーん
あぼーん
278保管庫:03/01/14 01:34 ID:x4S795Es
放送の後も森の中を絶え間なく歩き続けたエリアが、ふと歩みをとめた。
忽然と近くに気配を感じたのだ。
その現れ方はあまりに突然であったし、人の気配ではなく何かしらの魔力であるように思えた。
すなわち、気配といういいかたは適当ではないかもしれぬが、肌に伝わるその感覚的なものは気配といって逕庭ない。
時間は惜しいが、普通ではないその存在を突き止めずに進むというのもまた不安だった。
エリアは魔力の源に近づいた。そこには、紋様の刻まれた球体があった。
そっと手に取ると、そこからは何かしらの魔力は感じられても、具体的にどういった作用があるのかは皆目見当がつかなかった。
その様は、もはや役割を終えたかのようだ。
暫くの間思案していると、今度はやや東からも同じような魔力を感じた。
そこは自分が通った道であった。

この球体はなにか幻影のようなものを見せるもの、とエリアは考えていた。
そしてこの魔力の大きさから、範囲は四方50〜100メートルに及ぶであろう。
つまり、彼女はここまでにこの球体の魔力の範疇に入ったことになる。
いくつもあったであろう幻影の魔力を悉皆無視してきたのだ。
なんの意識もせずに。彼女だけではなく、前方にいるバッツも然りである。
そのようなことが果たしてあるのだろうか?

この装置が故障している可能性をまず考慮した。
だが、これだけの魔力が何の意味もなさないことなど到底考えられない――そこまで考え、ふと気がついた。
そう、今まさに自分はこの魔力の中にいるのである。
それにも関わらず、身の回りに変化らしい変化はまったく何一つないのであった。
考えられることのひとつは、この魔力には対象者の条件があるということだ。
その条件というのはわかるはずもない。だが、何か目的あっての装置らしい。
たいていこういった類の装置は、よそ者の侵入を妨げることが目的だ。
城から祠へ行くことができないようにしているということが考えられる。
それならばバッツを含めて彼女は森を渡ったが最後、祠には戻れないことになるが…。
また、地図を見る限りこの大地には城と祠くらいしかめぼしい建物はないことから、
城と祠をつなぐ森によって人の移動を遮断することが目的ということも考え得る。
279保管庫:03/01/14 01:36 ID:x4S795Es
その際に気になるのは、移動を妨げられる対象はどのように決まるかだが。
「…対象は死人、なんてね」
自分のことを思いながら、やや皮肉をこめてエリアは呟いた。
なんにせよ、ミレーユやとんぬらたちのことから前者である確率はないのだが、そのことをエリアが知っているはずもない。
また、彼女の何気ない独り言もあながち間違いとも言いきれないであろう。

共通して疑問に残るのは、何故今頃になってこの装置に気がついたかである。
それに関しては彼女は答えを出すことができず、代わりにあまり信憑性のない仮説をたてた。
至って単純なもので、ある者の意志によって魔力がより具現化され、掻い摘んで言うと強力になったのではないかということだ。
それが何か理由あって直接増大させたのか、それとも放送の時間あたりを契機に間接的に増大させたのかまではわからない。
また、その主という者も曖昧模糊としている。
根拠は稀薄であるし、馬鹿馬鹿しい空理空論であるかもしれなかったが、それ以外のことは彼女には思い浮かばなかった。

なんにせよ、今の自分には直接の危害を加えるものではないというのが彼女の結論だった。

エリアは青い髪をかき上げると、再び森の中を歩みだした。
暗鬱な森の脆弱な光は、漸次強くなっていった。



【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア北の森(やや北西より、つまり北北西?(w)から風の反応へ
 第一行動方針:森を抜け、風の反応に追いつく
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
如意棒・・・
作戦:

      ・マターリ逝こうぜ
      ・死ぬ気でがんばれ
      ・他人にまかせろ
      ・薬つかうな
      ・命をだいじに
     >・発狂させろ
PS2、GCの2大ハードで発売するのが一番上手く行くのにねぇ
たぶん200も行かないうちに飽きて終わると思うよ。
FFはPS以降が駄目ってことか
ワロタwただのってw
286名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/15 00:50 ID:zFJYnyGR
漏れはスレを間違えたのだろうか…。
保守
288保管庫1/4:03/01/24 03:17 ID:QfQtv7Ge
ロンダルキア洞窟、無限回廊
リノアは闇の中で1人震えていた。
「スコール・・・早く帰ってきてよ」
洞窟の中で、転倒してしまったリノア、しかも場所が悪かった、彼女の転倒した場所は
ちょうど無限回廊のフロアとフロアの境目だったのだ。
そのためわずかに先行していたスコールとはぐれた彼女は、スコールが迎えに来るのをひたすら待ち続けていた。

洞窟の片隅でうずくまっているうちにリノアに睡魔が忍び寄ってきた。
一面静寂と闇の中では、それに抗う事は難しい・・・・リノアは床にころんと寝転ぶとそのまま寝息を立て始めた。


「すっかり迷ってしまったぜ・・ってうわっ!」
そしてそのころ、同じように無限回廊の中をさまよっていたザックスは、不意に足元に現れた障害物に
思いっきりつんのめってしまう、普段のザックスならば、こういったことにも対処できるのだが、
洞窟に掛けられた魔法が、微妙にその感覚を狂わせていた。
「おい・・・そこで何しているんだ、あぶねぇな!」
苛立ちまぎれにザックスは足元のそれを蹴りつけようとして、その障害物がもそもそと動いたのに気がつく
「って、人かよ!オイ、大丈夫か!」
闇に目を凝らすと正体が見える、それはまさにザックス好みの美少女だった。

「俺はザックス、君みたいなキレイな女のコが1人でいちゃ危ないぜ!」
ザックスはまさに電光石火の早業で少女に近づき、声をかける。
少女は怯えたような声を上げて奥の方へと後ずさっていく、
「俺は何もしないって!信じてくれよ、俺は女のコには優しいって評判なんだぜ!
なぁ・・ほら武器も捨てるから・・・」
ザックスは少女を安心させるため、あえて剣を地面に投げ捨てた、この状況でそれがいかに危険かを
充分に理解した上で。
289保管庫1/4:03/01/24 03:19 ID:QfQtv7Ge
と、その時だった、少女の緊張した顔がやや緩んだと思った瞬間、ザックスは背後から現れた何者かに
思いきり殴りつけられていた。
「何しやがる!テメェ・・・おっと君は安心していいよ、俺があんな奴には指1本触れさせやしないぜ・・・
って、そんなのアリかよ!」

そう、少女はザックスを完全に無視して、闇から現れた男・・・スコールの元へと走ったのだった。

「そうか・・・そういうことだったのか、色々悪かったな・・・・またな」
気まずそうに鼻の頭を掻きながら頭を下げるザックスだったが、スコールはさらにザックスへと殴りかかる。
「オイ、謝っただろ!もういいじゃねぇか!しつこいぞ!」
掴みかかるスコールを振りほどこうとしたとき、ザックスは見てしまった、スコールの瞳を・・・

はっ!と気がついたようにザックスはスコールへと向き直る。
「テメェ!乗ってやがるな・・・しかももう何人か殺っているな・・あのコも殺すのか!許さねェ」
スコールはザックスの言葉に氷のような視線で応じる、ザックスもまた、スコールを振りほどき拳を構える。
またそして正午の放送が鳴り響くと同時に2人は・・・・

【ザックス 武器:無し(バスタードソードは地面に落ちたままです) 
現在位置:ロンダルキアの洞窟5F 行動方針:とりあえずスコールを何とかする→エアリス・ティファの捜索】

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F 
 行動方針:ザックスを殺す→人形状態ではあるがリノア以外は殺す】

【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F
 行動方針:スコールと行動する】
290保管庫:03/01/24 03:22 ID:QfQtv7Ge
そしてそれとほぼ同時刻、ロンダルキアの洞窟の出口

放送が終わると同時にギルガメッシュの口から、凄まじい絶叫があがる。
その悲嘆は、共に行動していたティーダとエアリスにも充分理解できた。
彼は事あるごとに、彼らクリスタルの勇者たちを称え、彼らとの再会を心の支えとしていたのだ。
「レナ!ファリス!・・・何故だ!何故俺が生きていて、お前らが先に死ぬ!
お前ら勇者だろ!世界を救うんだろ!ちくしょうッ!!」

一方、彼らの背後では、ラグナが止めるのも聞かず、マリベルが必死に瓦礫を掘り返している、
「おい、もう止せ、無駄だ」
「アーサーが死んだなんて絶対に嘘よ!このどこかに埋まっていて、きっと助けを待っているのよ・・・
 助けなきゃ・・・助けなきゃ」
自分に言い聞かせるように呟きながら瓦礫を掘る、マリベルのその手は自らの血に塗れていた、
それを見たラグナはもう止めようとはしなかった、ただ悲しげに見守るだけだ。

そんな彼らの様子を見ながら、ティーダは申し訳無さ気な表情をしてエアリスに話しかける。
「俺・・・・リュックやアーロンが死んでなくって、少しだけ安心してしまったッス
 でも・・・その陰で誰かが死んで、悲しむ人がいて・・・・それでも安心できる俺って一体・・・」
ギルガメッシュたちの悲しみの表情を見ながらうなだれるティーダの肩に手をやりエアリスは優しく言い聞かせる。
「いいのよ・・・私だって皆には悪いけど、クラウドたちが死んでなくって・・・・うれしいもの
 こんな時だから、素直に喜べるときは喜んだ方がいいと思う、自分の命の他に今はそれしか
 希望はないもの・・・・」
291保管庫:03/01/24 03:24 ID:QfQtv7Ge
と、その時
「やはりセフィロスは倒さないといけねぇようだな、このゲームを抜けるなり潰すにしても」
その唐突な一言に一同は一斉にギルガメッシュの方を向く。
「俺の考える限り、タイマンで奴に勝てるような奴は想像もできねぇ、これから先、
 人数が減ればますます奴が有利になる、仕掛けるなら今だ」
その言葉を聞いたラグナがうんうんと頷く。

「6人、いや攻撃に5人、守りに2人で7人は欲しいな・・・それでも」
ここでギルガメッシュは言葉を切って一同を見つめる。
「奴を倒せるとは限らんし、例え倒せたとしても・・・・生き残れるのは1人か2人、だから強制はしない、
 俺だって本心は死にたかないしな」

「今から俺が100数える、その間に答えを決めて・・・嫌ならこの場から去ってくれないか」
と、かなりムリヤリな、まるで自分がこのメンバーを仕切っているような言葉を残し、
ギルガメッシュはそのまま背中を向け、大声で一つ、二つと数を数えだしていく。
不思議な雰囲気が漂う最中、数え終わったギルガメッシュが振り向いたとき、

そこにはマリベルもエアリスもティーダも残っていた、そして両足を失ったラグナさえも
自分の存在を誇示するように、両手を挙げて微笑んでいる。

予想外の結果に、ギルガメッシュはうろたえながらも声を出す。
「いいのかよ、お前らも会いたい奴もいれば、やらなきゃいけねぇ事もあるだろうが・・・死ぬぜ」
292保管庫:03/01/24 03:28 ID:iAKGlvfP
「だからこそ、そのセフィロスって奴は止めなくっちゃいけないッス!」
「やられっぱなしじゃ、納得できないわよ!それにもしエドガーって人が死んだら元も子もなくなっちゃうし」
「守り手が必要よね、ギルガメッシュさんはドジだから」
「俺でよければ俺なりにって所かな、足がありゃ任せろって言えるんだがな」

もちろん、彼らも好き好んで戦うわけではない、その内心は死への恐怖で溢れている。
だが・・・それでも自分がセフィロスを倒す事で、守りたい誰かが、希望を託したい誰かが生き残れるのなら
可能性がわずかでも増えるのなら・・・この命、惜しくは無い。
彼らの表情はそう物語っていた。

「よし!あと3人、腕の立つ戦士を2人と、それから回復魔法の使い手を探すぞ!」
「それに武器も探さないとな」
「武器もいいけど、カンキリも忘れちゃだめッスよ!」
「もう!ティーダ君のいぢわる!」

なんてことを口にしながら雪原を進む彼らの顔に何時の間にか笑顔が戻って来ていた。
だが、それは死地に赴く覚悟を決めた戦士たちの死出の笑いでもあった。
293保管庫:03/01/24 03:36 ID:iAKGlvfP
【マリベル/ラグナ(両足欠損)/エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/ 癒しの杖/無し/無し/
行動方針:打倒セフィロス→このゲームから抜ける】
294保管庫改:03/01/24 03:44 ID:iAKGlvfP
〈台地中央砂漠北の山地  12:05〉

「・・・!!!! 聞いた?今の!!」
「ええ・・・。リュックさんの名前が無かった・・・」
「一体・・・・・・どういうこと・・・」
突如流れた、ゾーマの放送。いつもの通りにこれまでの死者の名が呼ばれた。
しかし、ソコに彼らが手にかけたリュックの名前がのっていなかったのだ。

「・・・むこうのミスってわけじゃなさそうですね」
「でも、彼女は確かに私達が・・・殺した・・・はずよ。最後まで・・・見たし・・・」
ティナの言葉には力が入っていなかった。
「アレはリュックさんじゃなかったのかも・・・」
「いえ、多分本人だったと思います。一度、人間に戻っていましたから・・・」
「バーバラはどう思う?」
ティナは後ろにいるはずのバーバラに問い掛けた。
しかしバーバラの返事は無かった。こちらの話を聞いていないようだった。
彼女は顔を真っ青にして、両腕を抱えて震えていた。

(アモスも・・・アモスも死んじゃったなんて・・・
 あんなに強かったのに・・・なんで・・・なんで・・・・・・!!!)
「バーバラ、バーバラ!!」
アルスに両肩を掴まれ激しく揺さぶられたバーバラはようやく我を取り戻した。
「どうしたんだ?顔が真っ青じゃないか」
「え?・・・うん、大丈夫。ちょっと疲れちゃっただけだから・・・」
顔の筋肉を無理に動かして笑う。迷惑をかける訳にはいかない、そう思ったからだ。
「無理しない方がいいわ。少し休憩しましょうか」
「もうすぐ森にでるはず。それまでがんばれるわ。気にしないで」
バーバラはそう言って歩き出した。少しも大丈夫そうに見えなかったが。
二人は気がついた。
おそらく、バーバラの仲間の名がさっきの放送で呼ばれてしまったのだろうという事に。
だからこそ今は彼女に何も言わない方がいい、という事を二人は無言で了解した。
295保管庫改:03/01/24 03:45 ID:iAKGlvfP
「リュックの事は今バーバラに伝えない方がいいわ。今伝えても、たぶん辛いだけだから」
危険だから、という事で二人はバーバラを後列に下げた。山道を歩きながら
ティナは隣を歩いているアルスに、バーバラに聞こえないように話し掛けた。
「はい。・・・でも、リュックさんの名前が呼ばれなかった、という事は・・・」
すなわち、リュックは生きている。いや、リュックだった怪物と言ったほうが正しいか。
音の無い言葉が、2人の耳に強く響いた。
「でも、あの状況でどうやって・・・転移魔法は使えないはずなのに」
ティナの疑問に答えられる者はここには誰もいなかった。
ただ重い空気だけが青空にそぐわない重圧を加えていた。


三人の歩みは目に見えて遅くなっていた。
アルスは先頭に立って歩けるコースを探し、ティナは杖に意識を集中して策敵している。
ただでさえ魔力の枯渇しているバーバラは、ついて行くだけで必死だった。
山間部の道は険しく、薄い空気が体を蝕む。だが、それ以上に先程の事実は重かった。
296保管庫改:03/01/24 03:49 ID:pqygJUqX
「・・・え?うそっ!?」
アルスは少し訝しげに後ろを振り向いた。
ティナの声には、ハッキリと歓喜の色がこめられていたからだ。
「反応があったわ。ここから西に、私の仲間がいるの!」
「そうなのか。一人なのか?名前は?」
アルスの顔にも笑みが浮かんだ。
ティナの仲間ならこっちの味方になってくれるにちがいない。
「反応は二人、一人はエドガー、私の仲間よ。もう一人はテリ―という人よ」

「テリ―が向こうにいるの?」
疲れた表情をしていたバーバラも、その言葉を聞いて少しだが元気を取り戻したようだ。
「テリ―はあたしの仲間よ。良かった、無事だったのね・・・」
「二人の知り合いなら、早く合流したいな。方向はこのままでいいんですね?」
「ええ、このまま真っ直ぐ西よ。森の境くらいに、動きはないわ」
「ちょっと杖を貸してください」
ティナから杖を受け取ったアルスは、それに意識を集中してみる。
頭の中に自分を中心とする円が広がり、ちょうど自分の向いている方、
中心から西の方角、円の端に光点が二つ浮かんでいた。
円の中心には自分の他に二つの光点、バーバラとティナの点が浮かんでいる。

「・・・あれ? なんで名前がわかるんですか?」
アルスは不思議そうな顔をしてティナの顔を見た。
「光点の下に名前がでているはずだけど・・・。出てないの?」
アルスは無言で首を縦に振る。
「使う人の魔力によって差があるのかしら」
しかし、ティナの言葉は少し投げやりだった。心ここにあらず、という感じだ。
探していた仲間にやっと会えるという事が、彼女はとても嬉しいのだろう。
ここから西に仲間がいる。その事実が少しだが三人の足取りを軽くしたのだった。
297保管庫改:03/01/24 03:50 ID:pqygJUqX
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 
 行動方針:仲間を探す→エドガーと合流】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 行動方針:仲間をさがす→テリーと合流】
298保管庫ベス:03/01/24 03:52 ID:pqygJUqX
放送直前、ロンダルキア南東の森の中でサマンサは目を覚した。
昨夜からの激戦の疲れか、ピサロの腕に抱かれたまま眠ってしまったようだ。
その温かい腕の中を回想すると、サマンサの白い肌がほんのりと桜色に染まる。
(こ、この感情はなんだ・・・ありえない!)
未知の感情に戸惑い、ぶんぶんと頭を振ってそれを追い払った、サマンサの背後から
唐突にデスピサロが声をかける。

「気がついたか、やはり人は脆弱よな」
はっ、とサマンサは振り向くが、何故か無意識にデスピサロの顔から視線を逸らしてしまった。
そこに湖からの風が頬に触れる、未だに熱を持ったままの顔に心地よい。
風が幾分、火照った頭も冷やしてくれたようだ。今度はちゃんとデスピサロの顔を見据えて
サマンサは問いかける。

「ピサロ卿、もしよろしければまたあの島に渡りたいのですが、よろしいでしょうか?」
その言葉を聞き、デスピサロは意地悪く笑う。
「ほう・・・やはり気になるか?あの少年たちが」
「・・・・・お戯れを」
「まぁいい、私もあの島は気になっていたのだ。掴まれ」
そう言うなり、デスピサロはまたサマンサを強引に抱きかかえ、再び薄い氷の上を跳躍し
島へと向かう。
その腕の中ではぁはぁと息を荒くしているサマンサには気がつかないままで・・・・。

(どうやら命拾いをしたようですね、ですがどうやって?)
上陸後、ビビとジタンが無残な姿を晒していた周辺で佇むサマンサ、だがその瞳はどこか虚ろだった。
彼女の本来の仲間、アルスにしろマゴットにしろ、実力は彼女より上だったかもしれないが、
その能力以上の感情、すなわち友情なり愛情なりといったものをサマンサは持つ事は無かった、
だが・・・ピサロに関しては・・・・。
299保管庫ベス:03/01/24 03:54 ID:pqygJUqX
 まして彼は魔族、しっかりしろ・・・彼が私を利用するのではない、私が彼を利用するのだ」
そう自分に言い聞かせるサマンサだったが、その言葉に力は無かった。

一方のデスピサロは島の中心部で色々と調べ物をしている。
そこには古ぼけた社と祭壇、それから禍禍しい神を彫った石像が安置されている。
「なるほど・・・・ここはなにやら神事を行うための島のようだな」

だが、腑に落ちぬ点もある。
この島の海岸線は岩場ばかりで、船では上陸できない、この島が彼の睨んだとおり
祭事を行う場所ならば、信者たちはどうやってここまでやってくるのだ。

と、そこにサマンサの声が聞こえる。
「ピサロ卿、これを」
サマンサの示した場所には、いかにも不自然な岩盤が砂地に露出していた。
「そういう仕掛けか」

2人は岩の前で色々と呪文を試していたようだが、通常の魔法で開かないと見るや
今度は祭壇の石像に刻まれていた語句を岩の前で暗唱していく、と
かちりっ、と、乾いた音と同時に2人の目前で岩が開き、その下に通路が現れる。
「ふん・・・なるほどな」

トンネルの中は一本道ではなく、いくつか分岐があるようだ、どうやらこのトンネルは
ロンダルキアの地下全体に網の目のように張り巡らされているらしい。

「サマンサよ、どうする・・行くか」
「ピサロ卿の望むままに」
デスピサロの言葉に、出来るだけ平然と事務的な口調で応じるサマンサ
その冷たい瞳の奥底には、少しだけ温もりのような光が宿っているかのように見えた。
300保管庫ベス:03/01/24 03:57 ID:MS29ss4y
【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん『光の玉』について書かれた本/ 勲章(重装備可能)
 現在位置:ロンダルキア南の湖の小島→トンネルへ 行動方針:腕輪を探す→勝利者となる
 /腕輪を探す→生き残る】
301ハイ保管庫:03/01/25 02:27 ID:lbN1Szy9
魔物の騎士とネズミの竜騎士は、同じ景色の続く荒野を歩いていた。寂寥感が募る寒々とした大地。
見るものもなく乾いてしまいそうな心に突然やってきた魔の時刻。 放送だ。
ゾーマの放送は呪いの言葉と呼ぶにふさわしかった。 ビビが死んだ。どこで最期を迎えたのかもわからない。
ただ事実だけが告げられて二人は呆然とした。
「また大事な仲間が一人……」
フライヤがつぶやくと、ピエールは堰を切ったかのように泣き崩れた。
騎士の目から溢れる涙が足下まで伝い、スライムの緑の肌を濡らす。
常に緩んだ口元に笑みを絶やさなかったスライムも、まるで怒っているかのように顔を膨れ上がらせていた。
二人を包む空気はずっしりと重い。 
フライヤはピエールにかける言葉が見つからず、しばらく何も言えなかった。
(泣きたいのは私も同じだ……)
何しろあのビビだ。可愛らしいほんの子供としか思えなかったビビがだ。死の予兆など
まるで感じられなかった。
自分の命に限りあることを知ったあの黒魔道士は、来たるべき時を迎えるまで懸命に生きようとしていたのだ。
それをこんな形で、こうも簡単に。 ビビへの想いが張り裂けそうなほどに募ってくる。
フライヤは懸命に、激しく暴れ回る感情を抑えつけた。
(二人揃って大泣きして何になる)
ぐっと歯を食いしばり、流れ出そうになる涙を堪えた。
「ピエール、つらいじゃろうが立ってくれぬか。 ビビに手向けたい」
ピエールはうずくまったまま動かない。 傍らのスライムが震えながら瞳を大きく見開いている。
まってくれ、とでも言いたげな目だ。 フライヤは待ち続けた。 
数分、しかしピエールは立ち上がろうとはしなかった。 
「わかった……」
フライヤは、動かないピエールを横目にエストックを取り出すと、天に高く掲げた。
(ビビ、何もできなかった。すまぬ……)
エストックが太陽を浴びて、荒野に一条の光を導き出す。 それは遠くどこまでも続く。
きっと、ビビは輝いていた。 手に握る剣が指し示した光のように。
フライヤは目を閉じ、嘆息した。

【フライヤ・ピエール 武器:エストック・珊瑚の剣 行動方針:ゾーマ打倒 現在位置:ロンダルキア南平原】
不思議に思った。戦場の真ん中で、自分の位置を悟られてもおかしくない行動を取るものがいたからだ。
誰かを呼ぶための行為かとも思ったが、それにしても大胆だ。
血に飢えた人という名の獣が、どこに潜んでいるかもしれないのに。
余程腕に自信があるのか、あるいはやむを得ない事情のためか。
光の輝きはまだ続いていた。 気付いたのが私じゃなかったら、とっくに襲われているだろう。
と、今度は光の数が二つに増えた。 あまりの無軌道ぶりに少しイライラする。
ああ、そうか。 私を呼んでいるかもしれない。  救いを求めているのか。
さきほど近くで聞こえた爆音は、今はなりを潜めている。 光と爆発。 どちらも気になる。
私は占ってみた。 精神を集中を妨げる冷たい横風が吹く。 前髪が目にかかって振り子のように揺れた。
いつのまにか落ち着いていた。 頭の中にイメージされたのは人間とは違う二つの存在。はっきりとはわからないが
邪悪さは感じられない。  魔族が参加していることは考えられるが、邪悪ではない、とは

私は光に導かれるように歩いていた。 
ひょっとしたら罠でもありえた。 邪悪さがないのは嘘で固めた作り笑いで、すぐに牙を剥き出しにするかもしれない。
この先には死への道があるだけかもしれない。 
見事に騙されたらなんて言おうか。  無理に明るく振舞えば少しは気も晴れようか。
――呼ばれて来ました、ええ、なぐり込みでーす
「……」
 自分で慌てて口を手で押さえた。
いけない、どうしたんだろう私……  
恥ずかしいやら情けないやらで、誰も見ていないのに顔が火照りだす。でも、私は決意した。
アモス、ごめん。どうしても行かなきゃならない気がするの。 大切な人の傍には、あなたがついていてあげて

自分を見守っていた魂が離れていくような気がした。
――必ず後でいくから
私はしっかりと方向を見定めて、走りだした。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル、妖剣かまいたち、小型ミスリルソード、水筒1.5リットル
 現在位置:ロンダルキア祠南平原移動中 行動方針:さらに南へ。光の方向へ】
「もうここに居てもつまんねーや・・・・」
ゾーマは指を鳴らした。
ボンッ!
参加者たちの首輪が全て爆発した。

FFDQバトルロワイアル─完
304∬ ◆xVFORTsym2 :03/01/27 18:58 ID:jdg7MijJ
再開保守
305保管庫:03/01/30 02:14 ID:8u7CGF7g
放送後暫くし、決意も新たにしたバッツだったが、これからの行動に関して少し考えなければならなかった。
祠をでるときに「次の放送がなったら戻ってくる」といったが、まさかこんなにはやく放送がくるとは思わなかった。
レナとファリスはもういないが、それでもここまできて戻るのは些か残念である。
ただ、ひとつ問題なのは、放送の時点ではあまりに衝撃が大きすぎて気づかなかったが、
先の訃によればビビという者も名を呼ばれており、それはたしかエーコの仲間であった。
となれば、祠にいる者たちも動揺しているだろうし、それで放送後自分たちがなかなか帰らぬようならばいらぬ心配をかけることになろう。
ここは戻った方がよいかもしれない。
しかし、やはり戻るのは惜しい。

バッツは溜息をつくと、クーパーに休憩しようとよびかけた。
クーパーは少し戸惑った。さっきの今で、歩き始めてからもまだ幾ばくと経っていないからである。
「変な顔すんなって。放送があったんだ、祠に戻るかこのまま行くか、考えなきゃならないだろ?」
クーパーはそう言われて初めて気が付いたかのような顔をした。
彼にとっても、先の放送はショックだったのだ。

「飯、食おうぜ」
「うん」
支給された簡素なパンを、久方ぶりに口に入れる。
「パン、無くなってきたね」
もさもさとしていて味気もなく、ただでさえ足りないのに、あと3,4食もしたらなくなりそうな現状を、
幼いながらにクーパーは心配していた。
「ああ。もしかしたら、もう無くなってる奴もいるかもな」
バッツは素っ気なく答えた。
「水も減ってきたよ」
「水は泉なんかから補給できるしな。食料は、民家からしか無理だろうが…
 少なくともこの舞台では無理だ。次のステージでもしそういったものが得られなかったら、ちょっとまずいことになる…
 せめて虫とかがいたら、それを捕まえて食べられるんだが…」
それを聞くと、クーパーは口の中のパンをぶっとふきだして叫んだ。
306保管庫:03/01/30 02:15 ID:8u7CGF7g
「む、虫!?虫を食べるの!?」
「騒ぐなよ。近くに人がいるかもしれないんだぞ」
クーパーは慌てて口を押さえて、あたりをきょろきょろと見渡し誰もいないことを確認すると、必要以上の小声でもう一度同じことを言った。
「む、虫を食べるの?」
「最終手段だよ。でもとかげとかはけっこういけるぜ?あー、鳥はたいていいいけど、チョコボだけは駄目だな、うん」
「と、と、とかげ…」
どこか別の星の生物の言語を聞いたかのように呆然としているクーパーを見て、バッツは少し笑った。
(そういえば、あいつらと旅してるときに飯がなくなったときにも、レナとクルルは同じような反応をしてたっけな)
ほんの暫くの間だったが、バッツは少し楽しかった。

数分して、この簡単な食事は終わった。
休憩といっても、外気の低さからじっとしていると次第に寒くなってくる。
あまり時間もかけられない。バッツは祠に戻る是非をクーパーに問い掛けた。
しばらく考えたあと、小さな声で「バッツ兄ちゃんに任せるよ」と言った。
クーパーには判断しかねたのだろう。結局、バッツに全権が委ねられることになった。
バッツはぼさぼさの頭をくしゃくしゃと掻き混ぜ、少しして「あ〜」と低く唸ったあと、
「じゃ、行こうか」といって、歩き出した。
ぼーっと雪の中の足跡を見ていたクーパーは、はっとしてバッツの後を追いかけていった。


【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
 第一行動方針:(戻るかそのまま南へ行くかは次の人に託します)
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
ソロは自分を見つめていた。 そこにいた自分の姿を見ていたのだ。 
とても醜悪で人間の形をしているとは思えない。なのに何故かこれは自分だと思ってしまう。
僕はこんな姿はしていない!  ソロは目を背けようとしたが視線が固定されて動けなかった。
手足が自分の意思から切り離され、クラゲのように宙を漂っている感じがする。
遠くから声がする。 非難する声、罵倒する声、どれもこれもが自分に向けられていた。
やめてくれ、やめてくれ。ソロは泣き出しそうになって必死でもがいた――

突然、凄烈に瞬く星々がソロの知覚を刺激した。 おぼろげだが感覚が身体に戻ってくる。
多分僕は寝ていたんだ、と自覚するのに数秒とかからなかった。
完全に目が覚めると自分が闇の中にいることに気付いた。 冷たい風が体をなで払う。 
夢を見ていたのか……。 寝ていただって!?
今まで何をしていたのか、いつの間に日が沈んだというのか。 
一体このザマは何だ。
吹きすさぶ風の音、背中に伝わるざらざらとした土の感触。ここが屋外であることは容易に知れた。
こんなところで無防備で寝転がっていた自分をとてつもなくバカバカしく感じた。
体を起こそうとするが、胸が咽て満足に呼吸ができなかった。
しまった、肺をやられたか。 ソロは胸を左手で数回叩いた。
肺の中は空気で一杯のようでありながら、息を吐くことがうまくできない。
何とももどかしく、そして苦しくて、痛い。 冷気が確実に体の機能を低下させているとわかる。
だがここでいつまでも往生しているわけにはいかない。

ソロは立ち上がろうとして、剣を掴んだ。 気力を奮い起こそうと勢いよく体を起こし直立する。
だが途端に咳き込んで、前屈みの姿勢にならざるを得なかった。
「くっ……、痛えっ…」
眠りに落ちる前の記憶がおぼろげで思い出せない。それにこの暗さ、月も出ていないのか。
「うう……くそっ……」
悪態を付きながらも必死で動こうとする。 闇は深くどこまでも続いているような気がした。
手探りで辺りを把握しようとするが、ソロの手は暗闇の空をかき混ぜただけだった。
――じきに目は慣れるはずだ。
そう思うと気分が多少楽になり、どっかりとその場に座りこんだ。 
――しばらく待つか。 ソロは膝を抱えて体を丸めるようにした。 これ以上体を冷やさないように。
ここがどこなのか、何をしていたのか、時間だけは有りそうなのでいろいろ思案してみた。
仲間たちの顔ぶれが思い浮かんでは消えていく。 誰かに裏切られたとか、誰かをこの手で傷つけたとか
恐ろしげな記憶の断片が甦ってくる。ソロは頭を抱えた。全てが曖昧ではっきりとしない。 
最後に見たのは雷光だった、これは間違いない。 雷光、そういえばミネアは――
ソロは次第に焦りを感じていった。  目が暗闇に慣れる気配はない。 まさか、
手の甲で目を拭ってみた。数回、瞬きをする。 そしてギュッと目を瞑り、恐る恐るまぶたを開けてみる。
深淵より来たものに目の前を覆いつくされたような気分。 闇はより深く、底なしでソロを出迎えた。
自分が置かれている状況を予想し背筋が凍りつく。 身体の震えが止まらない。
「助けて!」
思わず叫んだ。 助けてくれる者などいるはずがない。ソロのとってきた行動からすれば
むしろ彼を憎む者の方が多いぐらいだ。
それでも叫ばずにはいられない。 発見されることすなわち死、である可能性など頭の片隅にもなかった。
「何も見えないんだ、誰かあ」
叫び声が虚しく響く。山おろしの強い風がソロの声を掻き消しながら過ぎ去っていった。

【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
現在位置:ロンダルキア南の平原(フライヤ、ピエールより東)
行動方針:助けを求める
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
309保管庫:03/02/04 00:03 ID:R/5UkFE+
「行き止まり...か」
人が2人収まるかどうかの、先細りになった通路の先端で、クラウドはぽつりと呟く。
クラウドとエッジは地底の中、トンネルをひたすらさ迷い歩いていたのだ。
つい数時間前、自分たちの行く手で大規模な戦いの気配を感じ、そちらに向かう途中地面が陥没し
この地下通路に閉じ込められてしまってからずっと。

「おい出口はこの上じゃねぇのか、見ろよあれ」
先ほどから周囲の様子を色々と調べていたエッジが天井付近の壁を指差す。
そこには天井へと伸びる梯子がかかっていた。
2人は梯子を上り、さらに天井を調べていたが、梯子の中途になにやら文字が書かれているのを発見する。
その文字はエッジにもクラウドにも見覚えが無い、異世界のものであったが、なぜかその文字の発音だけは
理解することが出来た、どうやらその類の魔法がかかっているらしい。
「合言葉かな?」
「だろうな.....よしいっちよ唱えて見るか」

アリーナのお腹がきゅ〜っと音を立てる。
そういえばアニーと別れてから何も食べていなかった。
南に行くのをやめてそのまま西の山脈へと向かったのは判断ミスだったかもしれない。
手近な岩に腰掛けて、昼食を摂るアリーナだが、その表情は暗い。
「ソロを....止めないと、でも私1人でどうやって」

雨の中対峙したときのソロの瞳はもうすでに常軌を逸しているように思えた。
言葉が届かない以上、実力行使しかない、だが
自分とソロが正面から戦えば、まず勝機はないだろう。
自分の拳はスピードはあってもティファのそれとは違い一撃必殺の力に欠ける、
だがソロには魔法もあるし一撃を決めるだけの剣術の腕もある。

それにティファから聞いた爆弾の件もある。どうしてこう色々と降りかかってくるだろうか?
思わず頭を抱えてしまったその時、いきなり自分の座っていた岩が地面へと口を開く、
アリーナはとっさに飛びのこうとしたが、あぐらをかいた状態での跳躍は容易なことではない。
成す統べもなくアリーナは奈落へと落ちていった。
310保管庫:03/02/04 00:06 ID:R/5UkFE+
「おっ、開いたなんか降って...おわわわっ」
アリーナが座っていた真下にいたエッジとクラウド、出口を開いたのは良かったが
その出口の上に人が立っていたとは予測もつかなかったようだ、クラウドとエッジ、そしてアリーナ
3人はもみくちゃになって、なんとか脱出しようともがいていた。

しかしエッジはアリーナの薄いのレオタードの胸の谷間に挟まれ身動きが取れない
もともと2人入るのがやっとの行き止まりに、さらにもう一人降ってきたのだ。
さらにクラウドは完全にアリーナの下敷きになり、その顔はアリーナの股間にうずまってしまっている。
「ちょっと....だ、だめ、下の人..うごいちゃ」
「ひひひゃひひひゃい」(息が出来ない)
「ああん....そこだめぇ!」
「変な声だすんじゃねぇ!俺まで妙な気分になるじゃねぇか!」
「だからぁ...ああもう!動かないでよう」
「動かなきゃ出れないだろうが」
「ひひ...ひひひゃ」(息が...息が...)
------------------------------------------------------------------

「なぁ.....いいかげん気分直してくれよ」
エッジの声にアリーナはそっぽを向く。
「参ったなぁ、おいクラウドお前もなんか言えよ、お前もいいおも、いや迷惑かけたんだしよ」
「クラウド?」
アリーナはエッジの視線の先に居る金髪の青年の姿を見る、
そういえば特徴的なとんがりヘアをしているって聞いたっけ?確かに青年の頭はツンツンと鋭角に尖っている。
「ふ〜ん、あなたがクラウドなんだぁ」
アリーナはクラウドの顔と体をじろじろと値踏みするように見ていたが、やがてその瞳がきら〜ん☆と輝く。
「合格、ティファさんの彼氏として申し分無いわね」

年頃の少女のご多分に漏れず、アリーナもこういう話が大好きだった
事実、1時期はミネアとクリフトをなんとかしてくっつけようと色々と画策していたこともあるくらいだ。
もちろんクリフトの本当の想い人が誰なのか全く知らぬままに。
それにソロのことを忘れていたいと思うある種の逃避的な気分も手伝い、
アリーナは普段よりもテンションが高くなっていった。
311保管庫:03/02/04 00:08 ID:R/5UkFE+
「とーぜん、ティファさんが好きなのよね、クラウドさんは」
「おいおい何言ってやがる、クラウドが好きなのはエアリスなんだぜ、なっ!クラウド」
2人は困った表情のクラウドそっちのけで口論を始める。

「エアリスだかなんだか知らないけど、絶対ティファさんの方がいいって!おっぱいも大きいし」
「全ての男がそうじゃねぇ!俺なんか.....」
そこまで言いかけてエッジは、はっ!と口を塞ぐ、なんとなく続きを言ってはならないような気がしたのだ。
「ま...まぁとにかくだ、女の価値は胸じゃねぇ」

「よし!じゃあクラウド、こんな女放っといてエアリスを探しに行くか」
エッジはクラウドの同意をえないままその右手を掴み、その場から立ち去ろうとする。
「違うわ、ティファさんを探すのよね、クラウド」
今度はアリーナがクラウドの左手をもってエッジとは逆方向に引っ張る。
「そっちこそ離しやがれっ!」
2人はさらに力をこめてクラウドを引っ張る。

「いいかげんにしろっ!人が誰を好きになろうといいじゃないか!」
ついに堪忍袋の緒が切れた、クラウドの一喝に2人は慌てて手を離す。
が、そのまま立ち去るのかと思いきやクラウドもその場に座りこんだまま動こうとはしなかった。
なんだかんだ言っても、クラウドも1人に戻るのが心細かったのだ。
それからしばらく妙な空気がまた場を支配していく。
「ご不浄だ.....すぐ戻る」
そんな空気に耐えられなかったのかそう言い残し、エッジは茂みの奥へと消えていった。

ちょうどその時、彼らの姿を醒めた瞳で遠くから発見した者がいる。
たとえ茂みに身を隠していたとしても、銀世界の中でピンクのレオタードは目立って仕方が無い。

湖に厚い氷が張ってたので大分距離を稼ぐ事ができた、このまま接近し斬り込むか....
いや、この距離で察知されずに接近することは難しい....ならば。
セシルはギガスマッシャーに付属のスコープを装着し、狙撃の準備を始めていた。
312保管庫:03/02/04 00:09 ID:R/5UkFE+
どこまでいったのかエッジはなかなか戻ってこない。
アリーナが再び口を開こうとしたとき、わずかだが周囲の大気が乱れるのを感じる。
10時の方向から弾丸!
だが、ここで何事も無く回避しては面白くない。
アリーナはギリギリまで引きつけ、格好よく見得を切って回避しよう、そうすれば少しは場の空気も変わるだろう
そう思っただけだ、悪気があったわけじゃないのだ......しかし。

「危ないっ!」
アリーナが満を持して回避に入ろうとした瞬間、機先を制しクラウドがアリーナを突き飛ばす。
むろんクラウドもこのタイミングならアリーナを助けて自分も充分避けられる、そう考えての事だった。
しかし、その時クラウドの足が氷に乗り上げわずかだが滑る。
そしてバランスを崩したクラウドの腹へと弾丸は命中したのだ。
着弾の衝撃でその身体を錐揉みさせながら、地面へと叩きつけられるクラウド
その様子をアリーナはただ呆然と見ていることしか出来なかった。

「ひっ!」
自分の目の前での出来事に怯えたまま何も出来ないアリーナへと凶弾は次々と迫る。
しかし狙いが甘いのかその全てはアリーナに当たる事は無かった、しかしこのまま立ち尽くしていたら
いずれは時間の問題だろう。

そしてアリーナが我に帰り、セシルが狙撃の要領を掴んだ時、いきなりその周囲を黒い煙が包みこんだ。
「何ぼさっとしてやがる!逃げるぞ」
煙が晴れたときセシルの視界から標的の姿は消えていた。
しかしセシルは煙が上がる瞬間、見覚えのある派手な忍者装束をしっかりとその目に捉えていた。

「流石だね...エッジ、でも逃がしはしない、僕は決めたんだ」
セシルは銃を構えたまま、小走りに煙の下へと向かっていった
313保管庫:03/02/04 00:11 ID:R/5UkFE+
その頃、何とかトンネルの中へと逃げ込めたエッジ達だったが、クラウドの傷の状態を確認し、
エッジが渋い声で呟く。

「だめだ...手持ちの薬草じゃこの傷はどうしようもねぇ、それ以前に腹の中の弾を抜かないと
 お前、魔法は使えるか?」
アリーナが力無く首を振ると、エッジは少し考えていたようだがすぐに立ちあがり地上へと向かう。

「俺が囮になる、こういう事は忍者の専門だぜ、任せろ」
エッジはアリ−ナに書きとめていたトンネルの地図を渡す。
「30分しても戻らなければ、その時は....クラウドを頼んだぜ、それからもしリディアって娘に会えたら
 今から言う言葉を伝えてくれねぇか」
エッジはすこしうつむき加減で、小声でアリーナへと何言かを伝え、アリーナが頷くのも待たず。
エッジは外へと飛び出していった。

そして残されたアリーナは、
(どうしよう....リディアちゃんのこと、まだ話して無かったわ、それにしてもどうして
 こんなに色々と振りかかってくるのよ!)
トンネルの中で膝枕にクラウドを載せて、心の中で泣き言をいうアリーナだった。

そして地上では
「エッジ、悪いけど君の手はすべてお見通しさ」
茂みから派手な音を立てて飛び出したエッジの姿を見てもセシルは動じることはなかった。
「とりあえず君から倒す事にしたよ、君自身はともかく君の術は色々厄介だし」

自分の姿はまだ発見されてないようだ、エッジの性格は知っている、もし発見されていれば目の前に飛び出してくるはず。
正面から戦えば厄介な相手だが、その単純な性格を衝きさえすれば......
ともかくセシルは慎重に先に進みながら、策を実行に移すタイミングを計っていた。
314保管庫:03/02/04 00:13 ID:R/5UkFE+
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸北部山脈、西の湖側) 】
第一行動方針:エッジの帰りを待つ
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:大陸北部山脈、西の湖側 】
第一行動方針:エッジを殺す
第二行動方針:その他の参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
最終行動方針:勝利する

【クラウド(瀕死):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下トンネル】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【エッジ:所持武器:忍者ロング現在位置:大陸北部山脈、西の湖側】
第一行動方針:追っ手を捲く。
第二行動方針:クラウドをエアリスに会わせる
最終行動方針:リディアを見つけだし、このゲームから脱出する

(日没(放送直前)までに処置しなければクラウドは死亡)
森の中をチョコボに乗って悠々と進む影二つ。
雰囲気からして歴戦の勇者。今はお互い話をしているが、全く隙がない。
手綱を執るはオルテガ。アリアハンの勇者。勇者ロトの父親。
同行者はリバスト。かつて、天空の鎧を纏って怪物たちを戦った勇者。
「なるほど、温泉町か。さぞやいい場所だろうな。」
「ああ。私の世界に来ることがあれば寄られてみては如何か。」
「そうだな。家族連れて行きたいものだな。ところで温泉の後はいい酒が飲みたくなる。酒といえばカザーフ地方の酒はなかなかのものだぞ。特に西部よりの地域のものは格別だ。」
「確かに。酒はほしくなる。その酒を一度は味わってみたいものだ。」
お互いの世界のことは知らない。未知なる物だ。
だが、たとえ知らなくとも想像力がそれを補ってくれる。

ふと、オルテガがチョコボの足を止める。
「どうした。何かあるのか?」
「…そこに祠があるだろう。」
オルテガの指差した先…普通に森が広がっているように見えた。
目を凝らしてみるがどうにも不審な点は見つからない。
「…いや、何も…見えないが。」
リバストはオルテガには祠が見えているのだろうとわかった。どういうわけかは知らないがオルテガには見えている。自分には見えていない。
なぜならそれはロトの血を引くものしか見ることのできないもの、すなわち勇者ロト、アルスの父親であるオルテガには「それ」が見えて当然なのである。
チョコボから降りてリバストが注意しつつ「それ」に近寄る。
「なるほど。何か呪文のようなものがかかっているようだ。」
何もないように見える空間をリバストが触れる。なるほど、これはすごい呪文だ。
「なぜ、私に見えるのかはわからないがまあ、よしとしよう。」
「如何する?オルテガ殿。」
「先客はいると考えるのが自然だと思うが。それが敵なのか、味方なのか。おそらく複数いると思うが…」
祠がはっきり見えるオルテガにはある程度中の様子がわかるようだ。
「息子さんじゃないのか?」
「…アルスはここにはいない。わかる。」
「親の勘というものか。」
「そうかもしれん。」
「息子さんの知り合いかもしれないということか。」
「息子の交友関係は知らないが、仲間はいるはずだ。」
「思案のしどころですな。入るか、否か。」
「うむ。」
ロンダルキアの祠前。二人の勇者が思案する。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠前 行動方針:思案中】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:思案中】
チョコボが一匹ともにいます。
3171/3:03/02/10 23:25 ID:r5pQtUng
(大体15分くらい経ったかな?そろそろ動くか)
森の中、全ての準備を整えたセシル、時間もちょうどいい頃合だ。
セシルはすうっと息を吸いこむと、大声で森の奥へと叫ぶ。
「エッジ!エッジだろ?、僕だよ!セシルだよ!」

こだまが森の中へと響き渡り、それが聞こえなくなってしばらく経ったころ
不意にセシルの頭上の木々ががさがさと揺れたかと思うと

「セシル!ああ良かった!お前に会えるなんて」
ようやく頼れる仲間にめぐり合えた、その喜びを隠しもせず、エッジはセシルの目の前へと舞い降りる。
「エッジ!僕も君に会えて本当に良かったよ!心細かったんだ、それより」
ここからが本題だ、無駄話をしていれば感づかれないとも限らない。
「そうだエッジ、さっき誰かに襲われて、ここまで追ってきたんだけど見失ってしまったんだ」
「俺の仲間を襲ったのもきっとそいつだな、気をつけろ奴は銃を持っているぜ」
今だ。

一瞬、自分からエッジが視線を逸らしてのを見て、セシルは左足に括りつけたロープを操作する。
と、雪の中に埋めたロープを伝い、左手の茂みの奥深くに設置したギガスマッシャーの撃鉄が落ちる。
「あぶねェ!」
エッジはセシルを突き飛ばし、辛くも弾丸を回避させる。
計算通り!次だ。
セシルはさらに雪の中に隠したロープを引く、と今度はセシルの背後で弓矢の弦音が聞こえる。
「もう1人いやがったか!ちくしょう!」
何の疑いも無くセシルの背中へと飛ぶ弓矢を手刀で叩き落すエッジ、その時であった。

ズブリ

自分の身に何が起こったのか、エッジがまずそれを理解するのには数秒の時間が必要だった。
(おかしいな……なんで俺の胸から剣が生えてやがるんだ、俺の後ろにはセシルしかいねぇし
まさか…….そんな……はず、いや、そんな)
3182/3:03/02/10 23:27 ID:r5pQtUng
そして胸から生えた切っ先がくるりと回転し、同時に大量の血潮がエッジの視界を赤く染める。
(そうか……セシル、お前だったんだな、クラウドを射ったのも、今、俺を後ろから刺したのも)

ようやく現実を受け入れたエッジ、だがそれでも納得の行かないことがある。それを聞かないと
死んでも死にきれない。

「手の込んだ真似しやがって、なぁ……理由聞かせてくれねぇか?」
「こうでもしないと君は楽には倒せないと思ったから、1歩間違えれば僕の方が死んでいたかもね」
ギガスマッシャーと弓矢、どれも狙いは罠を仕掛けたセシル本人に向けられていた。
もしエッジがセシルの考えるよりも未熟な忍者なら、セシルは自分の仕掛けた罠で死んでいただろう。

すでに血の気の引いたかさつく唇を振るわせ、エッジは再度セシルに問う。
「んなこたぁ……いいから..よ、はやくワケを言え、俺が……生きてる間によ」
「ローザの為なんだ、僕が最後まで生き残れば彼女は甦るんだ」
それを聞いてエッジは納得したかのように目を閉じる。
「そうか……ローザのためか………ならよ、しかたねぇ……な」
「けどよ……もしできるなら……リディアだけは……」

そこで言葉を止めると、どこにまだそんな力が残っていたのだろうか?エッジは渾身の力で
自分の身を剣から引きぬき、ふらふらとセシルから離れていく、セシルも追おうとはしない。
エッジの傷が致命傷であることを承知しているからだ。
「へへ……忍者の最後は、これと……相場が決まっているからな、派手に……行くぜ!」
仁王立ちしたエッジは忍者装束をはだける、と、ベルトから無数の導火線が生えているのが見える。
本来単発の煙玉の導火線を震える指で一つにまとめると、そのまま火種を導火線へと導く。

(本当はよ、お前もろとも吹っ飛ぶつもりだったけどよ、ローザのためなら仕方ねぇよな
カインの奴はきっと泣いて怒るだろうが、俺にはお前の気持ち……わかるぜ)
導火線が火花を散らしていく、何故だか妙に遅く感じる。
(ああ、ティファって娘にも会いたかったなァ、胸が大きいんだっけ、そういやあの
レオタード娘、名前聞いてなかったな、エアリス、約束守れなくってすまねぇな、
クラウド、エアリスを泣かせるんじゃねぇぞ、それから最後にリディア...俺の)
3193/3:03/02/10 23:56 ID:r5pQtUng
どばぁん!!
彼の最後の回想は最後まで達成されることなく、エッジの五体は粉みじんに吹き飛び。
大量の黒煙が空へと舞いあがる。

その黒煙はトンネルの出口から顔を覗かせるアリーナにもはっきりと見て取れた。
そして彼女は悟った、もうあの男は2度とここには戻る事がないと。
アリーナの瞳から涙が溢れ出す。
「何よ……名前だってちゃんとまだ聞いてないのに!あたしの行為で死ぬこと無いじゃない!
リディアちゃんのことやギルバートさんのこと、伝えなきゃいけないことがたくさんあったのに!」
泣くのはこれで何度目だろう?
トンネルの壁をばむばむと叩きながら、アリーナはただ泣きつづけていた。

そして、火薬の匂いが立ちこめる中、焼け焦げた地面を眺めながら、ぽつりとセシルは呟く。
「エッジ、最期まで君は忍者らしくない忍者だったね、本当に単純でお人よしで……でも…
それでも君は僕の大切な……」
そこから先は言葉にならなかった、しばし立ち尽くすセシルの頬にもまた、何時の間にか涙が流れていた。

【エッジ:死亡(残り57人)】

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸北部山脈、西の湖側) 】
第一行動方針:クラウドを救う
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:大陸北部山脈、西の湖側 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する
3201/2:03/02/10 23:59 ID:BjFZ7InV
ピサロとサマンサは湿っぽい洞窟の中をただひたすら進んでいた。
幾度にも渡り、分岐路があったが、ピサロは直感で道を選んでいるのか、迷う素振りを見せずにひたすら早足で歩いて行く。
足元は滑りやすく、後をついてゆくサマンサは彼の歩調に合わせるのが精一杯だった。
ピサロの腕で目が覚めて以来、心に少々動揺を感じていたサマンサはピサロの背中を何度かじっと見つめる。
―いや、そんな筈は無い!私は誰にも心は開かない!―
自分でもよくわからない想いがせめぎあっていたが、少し油断をしてしまったようだ。
「きゃっ!」
ついに足をとられ転んでしまった。
なんという屈辱。冷静な自分がだんだん消えてゆくのが手にとるように分かる。
「何をしておる…」
ピサロは振り返り、サマンサに手を延べた。
その手はサマンサにとって嬉しいものであった。が、サマンサは彼の手を取らずに自分で立ちあがった。
「失態を見せて申し訳ありませんでした。でも助けは無用です」
恥ずかしさで顔を赤らめながら、サマンサはピサロの前に出て歩き始める。
「…素直ではないな。ロザリーとは大違いだ」
ぴた。
サマンサの歩みが止まった。
ロザリーとは誰の事であろうか。
胸の奥がずきん、と痛くなる。
差し出した手を引っ込め、ピサロは苦笑を浮かべている。
「あれが…このゲームに参加していなくて良かった…」
聞こえるか聞こえないか分からない大きさの声でつぶやいた。
「いや、つまらぬ事を思い出してしまったな。行くぞ」
気をとりなおし、ピサロは固まっているサマンサの横を抜け、再び歩き出した。
慌ててサマンサが追いかける。
胸の痛みはおさまるどころか、どんどん悪化していた。
そして、始めて、ピサロに対してよく分からない憎しみを感じ、戸惑う。
3212/2:03/02/11 00:00 ID:3k/5IqKS

どれほどの時が経ったのか、暗がりでわからなかったが、やがて洞窟の出口らしきものが見えた。
簡素な作りの梯子を昇り、天井の蓋を開けると、半分崩れかかった建物の中に出る。
「ピサロ卿…ここは…」
サマンサは気配を隠しながら辺りを見まわした。
見た事のない像が並んでいる。
「どうやら何らかの神殿のようだな」


一方、水晶を覗いていたマゴットは神殿にかつての仲間が映っているのに驚く。
「………!!」
慌ててハーゴンに知らせようと駆けだそうとしたが…。
かつて、共に戦った仲間でもある。
できるならば穏便に事を済ませたい。
マゴットの中で過酷な選択が強いられた。
しばらく考えた後…マゴットは意を決して走り出した。

※マゴットがどんな決意をしたのかはお任せします。

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・勲章(重装備可能)
現在位置:神殿】
第一行動方針:神殿内を調べる
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)

【マゴット(MP減少)武器:死神の鎌:現在位置:神殿】
第一行動方針:デスピとサマンサ関係で何らかの対処をする
第二行動方針:ハーゴンから儀式について教わる
第三行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流
…………。」
「何だとっ?」
「どうしたんだ?」
最悪だ……まさかこんなに簡単にサマンサと接触する破目になろうとは。
これでは『マゴット懐柔計画』が完全に潰れてしまうではないかッ!
わしが後どれだけ生きられるかさっぱり判らんのだぞッ!
その後のお前のガードはこの若僧に託すしか無いのだぞッ!
だからこそあんな策を吹き込んだというのに……。

「何て言ってるんだ、おっさん?」
「あ〜その、な、」
「……サマンサだな。」
「なっ……」
「おっさんが俺相手に口篭る事なんてそれしかねーだろ?」
ジャキッ
「…!!!」
「何のつもりだ?」
「こうでもしねーと教えてくれねーだろ?あいつ等は何処にいる?」
銃を渡すのがちと早過ぎたか…。
「……マゴット。」
「………」
「悪いなおっさん、俺が戻らなくてもエーコ達の事頼むぜ。」
「判った。」
ふん、誰がそんな真似をするか。
「じゃあな。」
「………。」
駆け出すジタン、追おうとするマゴット。
「行くな!」
「行くな!」
「………?」
「貴様は疲れている、授業も中途半端だ、そ」
「………!」
「別に問題は無い、ジタンはサマンサ達と戦って敗れている、銃があった所で勝敗が変化するとは思えん。」
これがわしの結論だ、早急に新しい仲間を探す必要があるが、新しい魂が手に入るだけ良しとしよう、銃は高い授業料ではあるが仕方があるまい。
「………!」
は?あの小僧を助ける?
「一寸待て、奴はサマンサを殺す気だぞ?」
「…………………」
「聞いていたのか。」
「……!」
「あ、あれはだな、その。」
「………………………」
「本気か?それはつまり、仲間を殺す事になるのだぞ?」
「…………」
「それは奴がそう言っているだけの話だ、証拠はまだ無い。」
「…………」
信じる、か。確かに相手を信じずに信頼関係を築こうなどと虫の良い話ではあるな。
いや違う、利害で絡め取るのがわしのやり方だった筈だ。
「ふむ、ならばとっとと小僧に追い着かねばならんな、その間に何か考えてみる事にしよう。」
ここでお前を失っては元も子も無い、とはいえわしは何を答えておるのだ?こんな場合は眠らせてでも阻止するのが常道だろ?
奇妙な違和感を抱いたまま、わしはマゴットと共に走りはじめた。
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第2行動方針:不明
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3現在位置:神殿 
 第1行動方針:マゴットとジタン止める
 第2行動方針:授業 
 第3行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット(MP減少) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
 第1行動方針:ジタンを助ける
 第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う
 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
325保管庫:03/02/12 22:26 ID:0Awudtl7
「情けない、何という様だ」
またしても遅れを取ってしまった、せめてもの慰めは相手が普通ではなかったということくらいか
だが、はあはあと息を白くするアグリアスだったが、自分の背後の影にようやく気がつく
(しまった!)
いつの間にか接近を許してしまっていた、その影の形からいって相手はヘンリーだろう。
そして予想に違わず、ヘンリーが木陰からぬっと姿を現す。
こちらは丸腰、相手は斧を構えている、ヘイストを詠唱する時間も無い....ここまでか、
(ここまでか....)
無念の表情で瞳を閉じるアグリアス、だがその時はいつまで経っても訪れなかった。
「?」
戸惑うアグリアスにヘンリーは雪の中で回収した、マンイーターを投げてよこす。
「何のつもりだ?」
「俺は1人より2人、少なくとも切り抜けられる可能性の高い選択肢を選んだだけだ」
「ほう....思った以上に賢明だな、だが」
アグリアスはマンイーターを引きぬくと、それをヘンリーに向ける。
「私が恩をアダで返す可能性もあるぞ」
326保管庫:03/02/12 22:27 ID:0Awudtl7
しかしヘンリーは動じず、平然と言い返す。、
「お前も俺を殺すのと、俺を生かしておくのと、少なくとも今はどちらが得かは分かるだろう?」
ヘンリーの言葉にアグリアスは笑って剣を鞘に収める。
「さて、どうする?この場はお前に従うが?」
アグリアスの問いにヘンリーは言うまでも無いといった感じで答える。
「再び行くぞ....あいつらもそう遠くまでは行ってないだろう、受けた屈辱は晴らす
お前が言っていたように」

受けた屈辱.....その言葉にアグリアスの表情が変わる。
「そ、そうだ....忘れてはならん、あの屈辱....ぐわあああっ!」

アグリアスはなんとティファにつけられた額の傷を再び今度は自らの手で深々とえぐっていた、
白い顔がみるみるうちに赤く染まり、またその瞳に異様な光が宿っていく。
「これだ。この痛みだ、これこそが今の私の現実.....くくっ、ふふふふっ」
痛みが忘れかけていた憎悪を呼び覚ましてくれる、今のアグリアスの瞳には2度と消せぬ敗者の烙印を刻んだ
あの少女の姿しか映っていない。

「生きていろ....私に殺されるその時までな...ふふふ、ははははははっ」
白銀の世界に女騎士の狂ったような笑い声が暫し響き渡った。

そしてそれを見つめるヘンリーの表情には、わずかながら後悔の色が浮かんでいた。
327保管庫:03/02/12 22:28 ID:0Awudtl7

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:全てが終わった後、マリアの元へ逝く

【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット  
なべのふた マンイーター  現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを何処までも追い詰め、嬲り殺す
最終行動方針:元の世界に帰還する
荒野を駆けていたミレーユが、急に足を動きを緩めて歩き出す。追い始めてまもなく、
光の筋は細切れとなり消えてしまった。
再び光が見えることを期待したが、そうはならない。 
もちろん光が見えなくても位置はわかる。このまま真っ直ぐ進めばよい。
だが光の主が移動を始めたとしたら……。アモスの想いを蹴ってまで自分の意思を貫こうとしたのだ。
今更誰もいないところに一人で出向いて、置いてけぼりでした、なんて言えやしない。
そう思うと、自然と足は以前にも増して、その前進運動を早めることになった。
ミレーユは肩で荒い息をしながらひたすら駆けた。 
全てが同じだと思っていただだっ広い景色も、少しずつ移り変わっていく。
前方にごつごつとしている岩場が広がっていて、その先に小高い丘が見える。
ミレーユは勢いに乗って、そのまま丘を駆け上がろうとした。 と、
突然ミレーユの足がぴたりと止まる。 
行く手を遮るようにして、岩の影からのそりと現われる影。 
蠢いていた。咄嗟の思いつきで出た表現だが、案外的確だったかもしれない。
目に飛び込んでくる鮮やかな緑の髪、黒ずんで染みができているいる布の服。顔には言いようの無い
汚物めいたものが張り付いている。 そして手と足をふらつかせてうわ言を呟いていた。
少年である、人である。だが心はどこかに置き忘れた人形のよう。
「ううう……」
少年が呻き声を上げた。どこか焦点の合っていないグリーンの瞳がミレーユの心をかき乱す。
「あ……」
呼びかけようとしたが、声が上ずってしまいそうで、出掛けた言葉を慌てて引っ込める。
ソロはびくっと体を震わせた。 体をすぼめて怯えの表情を見せる。
「だ、誰? そこに誰かいるのか?」
ミレーユの顔に困惑の色が浮かぶ。
「助けて、お願いだ……」
少年は右手を差し伸べて懇願したが、それは明後日の方を向いていた。
ミレーユはようやく事情が飲み込めた。 少年は光を失っているのだと。
初めの印象こそ強烈だったが、よく見れば本当にまだあどけない顔立ちをしている。
歳はテリーと同じくらいだろうか。背は高めだが、弟よりも幼さく見える。
優しげで、そして脆そうで、不思議な雰囲気が少年にはあった。  選ばれし者?
テリーから刺刺しさを取り除けばこんな感じになるのだろうか。
……またか
何でも弟と比較してしまう悪い癖がまた出たのかと苦笑した。
少年は土下座するかのように両手を地につけて
「僕の名前はソロだ。 勇者なんて慕われていたのは昔さ。今は、いまはもうただの……」
その目から涙がこぼれ落ちた。 ミレーユが涙に惹かれて歩みよる。
何が見えるだろうと、ミレーユは占いの要領で精神を高めた。 意識が高みに上るのを感じる。
少年は羽を折られて天空から落ちた鷹。
だが地の底にまで堕ち果てることはなく、危うく踏みとどまっている。

最初はアモスの意思を受け継ごうと懸命だった。それが光を求める心に突き動かされ、
そして今また進む道が変わろうとしている。 これも運命なのだろうか。
ミレーユはもう現実だけを見ようとした。ここにいるのは救いを求める哀れな人間。
私に求めているのならば、助けなければ。
ミレーユはソロの手を取ると、そっと語りだした。
「あなたの回りを取り巻く光が見える。私はそれに導かれたのかもしれない。
あなたのこと、話してもらうわよ」
汚物で汚れている服に一瞬躊躇った。だが思い直すと、震えているソロの肩にもう片方の手を置いた。
「でも、今は何も言わなくていい……」
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル、妖剣かまいたち、小型ミスリルソード、水筒1.5リットル
行動方針:ソロを救う
ソロ 所持武器:イリーナの会員証(エンハンスソード、スーツケース核爆弾はやや離れたところに放置)
現在位置:ロンダルキア南(倒れていた場所から少し北へ移動)
行動方針:ミレーユに任せる
最終行動方針:デスピサロ打倒】
ガッ!
ピサロとジタン、二人の武器が火花を散らす、戦局は銃を織り交ぜて使うジタンにやや有利に
進んでいるものの表情はピサロの方が余裕がある。

(誰も居ないようですね。)
それまで周囲の警戒をしていたサマンサだったがおもむろに呪文の詠唱を始める、
ジタンが銃を持っていた事、助かる筈の無い状況から復帰した事から仲間の存在を警戒していたのだ。
「モシャ」
「マホトーン!」
その瞬間、通路の角から姿を表したマゴットの呪文がサマンサの呪文を封じ込める。
予想外の人物の出現と有り得ないタイミングで呪文を封じられたショックで固まるサマンサ。
しかしマゴットは再び通路の角に隠れてしまう。
(とんだ伏兵ですわね、しかし…)
一瞬だけ動きを止めたサマンサだったがあっさりと余裕を取り戻す、ジタン対ピサロは次第にピサロが優勢になっていたからだ。
一度は戦った相手である為ある程度手の内は判っている、結果として互いに致命傷を与えられないが持久力ではピサロに部があった。
メラ!」
ガッッ!
キンッッ!
「メラ!」
ゴッ!
「どうした、こんなものか?」
「舐めるなあッ!」
…………
(これで勝負ありですね。)
あれから20分程度たっただろうか、既にジタンは殆ど防戦一方になりつつある、
序盤は時々火球を飛ばしていたマゴットも暫らく前から出てこなくなった。
(マゴットは呪文切れ、あの少年はスタミナ切れ、後は…)

「これで終わりだ。」
「くぅっ!」
ピサロが放った渾身の一撃に対しジタンが半ばヤケクソの一撃を放った時、マゴットが再び姿を表す。
「ピオリム!」
(ククク、ククククククッ)
ピサロ達のミスは作戦を考えていたのがハーゴンであった事、
その為にこの邪悪な男は最後まで姿を表さずサマンサの判断を誤らせる事に成功した。
「へっ?」
ハーゴンのミスはジタンがピオリムの呪文を知らなかった事、その為ジタンは辛うじてピサロの攻撃をかわす事に成功したものの、
自分の想像以上に素早く繰り出した攻撃はピサロの腹部を浅く切り裂いたのみであった。
次の瞬間、ピサロの形相が憎悪に染まる。
「人間風情がぁッ!」
凄まじい蹴りがジタンを襲う、更に壁の一部を破壊してその破片をマゴットに投げつける。
「グッ!」
「!!!!」
ジタンはマゴットの側まで吹き飛ばされ、マゴットは顔を押えて倒れる、その瞼の下からは血が溢れ出ていた。
止めを刺すべく疾るピサロ、マゴットを抱えて角に逃げるジタン。
(高く、ついたな。)
ピサロが角に到達する直前、グレネードと首輪の爆音の複合爆発がハーゴンが直前まで潜んでいた通路を完全に破壊した。
【ジタン:(軽傷) 所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:逃走
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2現在位置:神殿 
 第1行動方針:逃走
 第2行動方針:授業 、マゴットの治療
 第3行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
 第1行動方針:逃走
 第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う
 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
【デスピサロ(軽傷)/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・勲章(重装備可能)
現在位置:神殿】
第一行動方針:神殿内を調べる
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
334名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/13 00:58 ID:JhCNSrfU
おもしろあげ
              , ィ'::;:::::::::::::ヽ
          , ', '  ``"´´ '`、
            //        ,,. i
         l '}ニ=z:、,,  ,z=ニ;:{' l
       |ヽ! ''=・ッ゙l l"、:・='' |'"i
          iヘ|   " | | 丶  |l'/
        i {li!   _,,," `,,,_  l!l}','
        ヽ,!l! i'" _,,,......,,,__`i |l!!/   バーカ♪
         |i l |  ──   |.l!l!
          |ヽ,,!!  /::::::::', i:!./|
           ! `;:'.,,/:::::::::::::V:/ |
       ,r:!  ':;::::::::::::::::::::,'  l.__
    ,. -‐'/ ``''-、.' 、:::::::::::,:' , -''" !‐、>>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1
 ‐''"/ /      `'- ̄‐''"     〉 `''‐、>>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1
3361/3:03/02/13 01:35 ID:iAyPpHSU
通路を塞いで、とりあえず一息と行きたかったハーゴンたちだったが、
しかし状況は予断を許さない事態が続いていた。

「おっさん!今のは何なんだよバランス崩しちまったじゃないか!」
「打ち合わせもせずに勝手に討って出るからだ、見ろ」
ハーゴンがあごで示した先にジタンは視線を移す、
瓦礫の山がガラガラと少しずつではあるが崩れつつある、さらに
『逃がさんぞ!』
『ピサロ卿、こういう時こそ冷静になってください!でもこういうのも悪くないですね』
などと声が聞こえてくる。

「怒りに火を注いでしまったではないか、全く」

「やむを得んな」
出きる事ならこの段階で使いたくなかったが、命には変えられない。
(マゴットは気絶しているし、このガキは当てにならんし、ワシも今こんなところで、
魔力を消費するわけにはいかん)

「いいか、お前は速さには自信があるのだろう?、合図をしたらワシとマゴットを抱えて、
全速力で地上階へと逃げてくれんか」
ハーゴンはジタンの返事を待たず、今潜んでいる小部屋の奥へと入っていくと、そこに安置してある、
巨大な水晶を渾身の力で蹴り飛ばす、と、頑丈そうに見えた水晶はガラスのように粉々に砕け、
それから数秒遅れでゴゴゴと天井が崩れ出す。
「今じゃ!」
手はず通りハーゴンとマゴットを抱えて、ジタンは地上へと階段を駆けあがる。
背後で凄まじい大破壊の音が聞こえるが振り向く余裕も無い、ジタンが地上の廊下に足を踏み入れると
同時に地下へと続く唯一の階段が、がらがらと奈落の底へと消えていった。
3372/3:03/02/13 01:39 ID:iAyPpHSU
転がるように廊下に出、今度こそ本当に一息つく、ハーゴンたち。
「おい、今のは何なんだよ?」
ジタンの問いにハーゴンは事も無げに答える。
「城の地下を完全に崩して塞いだ、だが奴らもおそらく逃がしてしまった」
「おい!それって!」
「あの仕掛けは地上からの軍勢を地下に誘いこんで殲滅し、なおかつ脱出する仕組みでな、
その脱出用の旅の扉がちょうど連中のいる場所に出現するように設計してある
まさか地下からの侵入者を退散させるために使う羽目になるとはの」

不満げなジタンの文句を聞き流しながら、ハーゴンはこれからのプランを練り直す必要があることを
痛感していた。
(全く、万が一の脱出路が潰れてしまったぞ、それに今のマゴットとワシの状態では儀式の完遂が
出来るかも微妙じゃな、儀式魔法は魔力の問題だけではなくメンタルも強く影響する
時間は限りがある、やむを得ん1度休息を取るか)

マゴットの傷の処置を済ませると(目の損傷は直るかどうか五分五分じゃな)
ハーゴンはそのままジタンを伴い自室へと移動する。
「おい、先走って迷惑をかけたペナルティじゃ、ワシとマゴットはこれからしばらく眠る
そうさな、大体4時間、その間ワシらの警護を任されてはくれんかの」
「今!助けただろうが!」
「だからお前が先行しなければ地下室を崩さなくとも他の方法も取れたかもしれんし、上手く
篭絡して味方に出来たかもしれんのだぞ!まして氷漬けになっていたのを動けるようにしてやったのは
誰のおかげじゃ!」
(いかん、長せりふも身体にこたえる、これは単に年の行為か)

「いいか、分かったな、とりあえず4時間、ワシらは魔法で眠るから時間までは多少のことでは目覚めん
頼んだぞ」
そう言い残してハーゴンはマゴットを抱え自室へ入っていった。
3383/3:03/02/13 01:40 ID:iAyPpHSU
実はこれは非常に危険な行為である、これでジタンはいつでもハーゴンの寝首を獲ることができるのだ。
だが、このジタンという少年がそういう行為をするような男ではない、ということがハーゴンには
分かっていた。
もし彼にその気持ちがあるのならば先ほどの崩壊のときに自分だけ、あるいはマゴットを連れて
とっとと逃げているはずだし、殺せるチャンス、逃げるチャンスはこれまでにもあった。
そして実際
「人遣いの荒いおっさんだぜ、宗教家ってのはみんなそうなのか」
と、ぶつくさいいながらも銃を構えて早速警戒を始めるジタンだった。


【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえず部屋の番
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2現在位置:神殿 
 第1行動方針:睡眠し、体力・魔力の回復を図る
 第2行動方針:授業 、マゴットの治療
 第3行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
 第1行動方針: 睡眠し、体力・魔力の回復
 第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う
 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】

(マゴットとハーゴンは睡眠中です、多少の事では目が覚めません
 4時間後に自動的に目覚めます)
(神殿の地下部分は完全崩壊、地下から神殿への侵入は不可能になりました)
3391/3:03/02/13 02:45 ID:iAyPpHSU
ずるずる、ずるずる
地下道の暗闇の中、アリーナはシーツと棒で作ったタンカにクラウドを載せて、
それを引きずりながら出口を求めさまよっていた。
エッジの書いたマップは本人の性格そのままに適当極まりない、おかげでここまで2回も、
段差に足を取られ、転びそうになった。
と、ここで初めて背後のクラウドの声が聞こえる、どうやら意識を取り戻したようだ。
「大丈夫?」
本当は他に言わなければならないことがあるのだが、アリーナの喉からはこれしか言葉が出てこなかった。
「いや、大丈夫じゃないな」
そこでクラウドは言葉を切り、しばらく間を置いてから続ける。
「俺を置いていってくれ、俺を見捨てれば……それだけアンタの助かる可能性は高くなる」
アリーナは振り向きもせず応じる。
「バカ言ってるんじゃ無いわよ、絶対にアンタを助けて、そんでからティファさんのところに
連れていくんだから、大体アンタの事想ってくれてる女の子を置いて死ぬなんて
男のやる事じゃ無いわ」

「で、ホントはどっちが好きなの?」

返事が無い、狸寝入りかもしれないが怪我人にこれ以上の追求は傷に良くないだろう
そしてアリーナは再び黙々と足を進ませる。
もう少し進めば分岐があるはずだ。
「にしても、出口はどこなのよ」
3402/3:03/02/13 02:45 ID:iAyPpHSU
一方、彼らからそれほど離れていない、やはり地下道の中

「すまんな、少々熱くなり過ぎていたようだ、ああいう時こそ1度後退すべきだったな」
「いえ、止めねばならぬ私も、多少は楽しみましたから」
間一髪で難を逃れたデスピサロ達が、やはり出口を求め歩いていた。
「しかし、我らにも多少は運が残っていたようだな」
あの時、崩れ行く地下室の中で、奸計に嵌ったことを悟り、思わず歯軋りをした2人だったが
突如、自分たちの目の前に旅の扉が現れ、これ幸いと飛びこんだのだ。

「にしても、お前の言う通りやはりあと1人くらいは必要だな、駒が」
いかにデスピサロが強大な魔族であり、サマンサが優秀な魔法使いにしても2人きりでは
やはり限界がある、それに戦ってばかりでは有益な情報も得られないという事にようやく
デスピサロも気がつきはじめていた。
(所詮、私も貴方にとっては駒でしかないのですか?、いやそれでもいいのだ……私は)
そしてサマンサはデスピサロの言葉を聞き、揺れ動く心を必死で押し殺していた。

それからしばらく他愛もない話をしながら2人は先へと進んでいく。
「ピサロ卿、分岐です」
先行していたサマンサの声で我に返ったデスピサロは再び先頭に立ち、分岐点に入っていく、
どうやら先客がいるようだ、そこに居たのは。

「嘘でしょう!?あ、アンタは」
「ほう?これは懐かしい相手に出会ったもんだ、久しいな、アリーナ」

最悪の状況下で最悪の相手に出会った、正に今のアリーナがそうだった。
そして一方のデスピサロは、にやりと不敵に唇を歪めるのであった。
3413/3:03/02/13 02:46 ID:iAyPpHSU
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:クラウドを救う
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド(瀕死):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:自分たちの手駒を勧誘する
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
「いいか、手を出すでないぞ」
サマンサは物言いたそうにしながらも渋々従った。
と、アリーナは怒涛の勢いで迫った!
「今ここで決着をつけようじゃないのっ!」
ピサロに鉄拳を見舞ったが、ピサロはのけぞりながらかわし、その腕を掴む。
「離しなさいよっ」
デスピサロの顎に蹴りを入れようとしたのだが、またもあっさりかわされ足を掴まれてしまう。
「当たれば痛いのだろうがな……」
掴んだ足をあっさり放すピサロ。
アリーナは不振そうにピサロの挙動を見送った。
「お前の格闘センスには前々から目を付けていた。無粋な言い方になるが、我が戦列に加われ」
「ふざけないでっ、何を今さら!」
「後ろにいる男な。あれを助けたいとは思わんか?」
「え?」
アリーナは後ろを振り返った。クラウドの青ざめた顔が鮮烈に目に飛び込んでくる。
間違いなく容態は悪化していた。 もう一刻の猶予もないと思えるほどに。
アリーナはピサロの方を向き直った。 嘲りもからかいの様子もなく、
「お前一人でははあの男のケガを直すことはできまい」
真に答えを求めているピサロの顔があった。
「それは……もちろん助けたい! でも、」
「でも、なんだ」

「魔王に力を貸すことがそれほど嫌か?」
(そうよ、こいつは魔王……)
一度仲間になったことがあると言っても、あれは成り行きだったのだ。
アリーナの意思ではない。
「私がミネア……だとか、クリフトとかの上を行く回復呪文の使い手であることは知っていよう?」
アリーナはしゃがみ込んで頭を抱えてしまった。ミネアやクリフトの名前まで持ち出すとは、本気らしかった。
しかし、酷く仲間を侮辱された気分になったのも事実。
「いやっ! 誰があんたに手を貸すもんかっ」
3432/:03/02/13 18:52 ID:X3wG7qiD
「交渉決裂です、今すぐ排除しましょう!」
サマンサが勇んでずいと前に出た。
「手を出すなと言ったはずだ」
ピサロがサマンサを手で制する。
「しかし!」
サマンサは続けて言おうとしたが、ピサロの険しい表情の前にそれ以上何も言えなかった。
「もう一度言う。私と共に行く気はないか」
アリーナは石の破片を投げつけた。ピサロの目に残酷な色が浮かび上がる。
「もう少し理知的だと思っていたが……、それともそれも作戦なのか?」
「うるさいっ、クラウドは絶対死なせない!! 絶対あんたの仲間になんかならない! 二度とならないっ!」
「くくく……気合で人は直せんぞ?」
ピサロの声色が変わった。押し込めていた殺気を湧き上がらせようとしているのか。
それを感じて後悔しそうになるアリーナ、がしかし。

いきなりアリーナは笑い出した。
「あははははっ、私なんで気付かなかったんだろ……ああ、ホントに」
サマンサが目を丸くしてアリーナを凝視している。その奇行ぶりに動揺していた。
横でピサロが呆れたような表情を浮かべている。
「あんたたちの手を借りる必要ないじゃない……。」
アリーナの声がどんどん高くなっていく。
「ピサロはともかく、そっちのへっぽこ魔法使いさんのなんか及びも付かない回復手段があったのにぃ
ああ、バカだったな」
ピサロがちらりとサマンサの方を見た。
サマンサは肩をわなわなと震わせアリーナを睨んでいる。
「な、何を言うのですか、私をバカにしているつもりですか」
(もう少し…)
3443/:03/02/13 18:53 ID:X3wG7qiD
アリーナは仰々しく手を拡げて挑発する。
「だってさぁ、あんた頼りなさそうじゃない。一人で生きて行けなさそう。金魚のフンみたいにピサロに
くっついていれば安心だなんて思ってるとしたら甘いんじゃない?」
サマンサは怒りを爆発させた。
「はあぁ!? ろくに学もないようなあばずれが何言ってんのぉ!!」
サマンサは金切り声を上げた。今にもイオナズンを唱えそうな気配にピサロが身構える。
「いいこと? 魔法使いさん。私がこれからクラウドを直してみせるから、まあ見てなさい」
サマンサの怒りを受け流すように、アリーナはステップを踏みながら仰向けになっているクラウドの
元に駆け寄ると、前屈みの姿勢になった。
そのまま吸い込まれるように、クラウドの唇に自分の唇を重ねた。 ティファには悪いと思いながらも。
「お姫様に愛の口づけで、王子様な目覚める……どう?」

ピサロは苦虫を噛み潰している。憮然としながらも事の顛末を見届けようとしているようだった。
サナンサの高らかな笑い声が響き渡った。
「バカバカしい……。呆れたというか、あなたおかしくなったんじゃない?」
サマンサはつかつかとピサロの下に歩み寄った。
「本当の回復呪文を見せてあげますわ。 その目を見開いてとくとご覧なさい!」
そしてピサロの服の綻んでいる所を手に取ると、アリーナに見せつけるようにして
「ピサロ卿、貴方の呪文の凄さをあの娘に見せてあげてください!」
ピサロはうんざりとした表情を浮かべながらも、特大の回復呪文を詠唱しはじめた。
これ以上、茶番には付き合っていられないといった風に早口で呪文を唱え出す。
「何が愛ですか、私のピサロ卿への想いは気安く愛などと呼べるような……」
シュッ!   アリーナが何かを投げた。
ピサロのベホマの呪文が完成するのと同時だった。 
宙を舞う指輪がピサロとサマンサの間に割って入る。 光が反射した。 
アリーナが動く。電光石火の早業。
回復呪文の光がアリーナたちの方向へ降り注ぐ。
つんのめる形でクラウドの背中を押し出したアリーナ。
手加減する余裕はない。クラウドの背骨が折れてしまいそうなほど強く、押した。
柔らかな眩い光がクラウドの全身を満たしていった。
3454/:03/02/13 18:53 ID:X3wG7qiD
「うそ……」
サマンサがその場にへたり込んだ。 ピサロは向き直った。
ゆっくりと、体を馴れしたませるようにして、クラウドが動き出す。
アリーナは感激する間も惜しんで叫んだ。
「クラウドッ、その二人は敵!!」

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:デスピサロを倒すか、逃げる
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド(瀕死):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:自分たちの手駒を勧誘する
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
3464/:03/02/13 19:10 ID:DvFNwU3m
訂正  
/3の11行目
「お姫様の愛の口づけで、王子様は目覚める」

4/
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
3471/2:03/02/13 21:31 ID:ujHCVcNr
アリーナの声に応じて、剣を構えるクラウド
だが、彼は傍らのアリーナを征するように片手を広げるのであった。
「さっきからずっと話は聞いていたし、戦いも見ていた、何はともあれ傷を治してくれたのは事実だ」
話しながらもクラウドは構えを解かず、じっとデスピサロを睨みつける。
(武神覇斬が決まればおそらくは倒せる、だけどしくじれば2人とも死ぬ)
「出来れば、俺たちをこのまま見逃してくれないか?」

「何をたわごとを」
一笑に付せるデスピサロだったが、彼もまた冷静に頭の中で計算をめぐらせる。
(この構えからみて、クラウドとやらかなりの手練、おそらくライアンと同等かそれ以上、
しかもこうなると、アリーナの存在が厄介になるな)
だが、あのような子供騙しに引っ掛かった挙句、見逃すのでは腹の虫が納まらないし、
何より責任を感じているであろうサマンサに申し訳が立たない。
たとえこの場限りの、かりそめの縁だとしても、王族として自分を慕う者が掻された恥は、
ぬぐってやらねばならぬ。

膠着状態が続く中、そのサマンサだが、
「・・・・」
先ほどから暗い目でうつむき、何やら呪文を口ずさんでいる。
その言葉を聞いたデスピサロの顔色が変わる。

「バカな、こんな場所でドラゴラムなどと!」
ドラゴラム、という言葉を聞いてアリーナもまた血相を変える。
「クラウド!逃げるわよ、あの魔法使い、ドラゴンに変身しようとしてるわ!」
地下道に大声が響き渡る、しかしサマンサは怒りで完全に頭に血が上ってしまっているのか、
詠唱を止めはしない。

アリーナとクラウドは一目散で壁を蹴り地下道の彼方へと消えていく。
そのがら空きの背中に一撃を加えることもせず、デスピサロはサマンサの襟首を掴む。
「やめぬか!お前らしくもない」
3482/2:03/02/13 21:32 ID:ujHCVcNr
「はい」
その明快な回答にデスピサロは拍子抜けし、思わずサマンサを掴んだまま転びそうになってしまった。
「ドラゴラム、ではなかったのだな」
「はい、膠着状態から抜け出せぬようでしたので、あえて一芝居を・・・それにしても先ほどの失態はなんと詫びれば
しかも、あのような小娘に」

「いや、あれは余の責任でもある、またお前に助けられたな、あの状況が続いていればどうなっていたか」
ねぎらいの笑顔をサマンサに向けると、そのままデスピサロは壁にもたれ座りこむ。
「流石に疲れた、しばらく休むか」
そんなデスピサロの顔色をうかがいながらサマンサは意を決し、先刻からの疑問を思いきって口にする。

「あの、休むついでにお願いがあります・・・ロザリーという方のことをお聞かせ下さいませんか?」
ロザリー、という言葉を聞いてデスピサロの表情が一瞬、険わしい物へと変わる。
が、サマンサがそれに気がつく前にその表情は消えていた。

「ロザリーの事か・・・・いいだろう、憎しみも恨みも消えることは無いが
それでも振り帰る事が出来るだけの時間は流れた、その代わり少し長くなるぞ」
3493/2:03/02/13 21:32 ID:ujHCVcNr
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:休息
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
350348〈修正):03/02/14 17:43 ID:KpYu+83A
「はい」
その明快な回答にデスピサロは拍子抜けし、思わずサマンサを掴んだまま転びそうになってしまった。
「ドラゴラム、ではなかったのだな」
「はい、膠着状態から抜け出せぬようでしたので、あえて一芝居を・・・それにしても先ほどの失態はなんと詫びれば
しかも、あのような小娘に」

「いや、あれは余の責任でもある、またお前に助けられたな、あの状況が続いていればどうなっていたか」
ねぎらいの笑顔をサマンサに向けると、そのままデスピサロは壁にもたれ座りこむ。
「流石に疲れた、しばらく休むか」
そんなデスピサロの顔色をうかがいながらサマンサは意を決し、先刻からの疑問を思いきって口にする。

「あの、休むついでにお願いがあります・・・ロザリーという方のことをお聞かせ下さいませんか?」
ロザリー、という言葉を聞いてデスピサロの表情が一瞬、微妙なものへと変わる。
が、サマンサがそれに気がつく前にその表情は消えていた。

「ロザリーの事か・・・・まぁ、話してももいいだろう、だが
お前達人間にとっては、あまり面白くない気分になるかもしれんぞ」
それはずっと時を待っていた、完全なる破滅に怯えながら。
暫らくしてそれと同じ存在がもう一つ出来たが、それはじっと動かなかった。
更に時がたち、それにとって最も理想的な環境が訪れたがそれは尚沈黙を守り通した。
もう一つの存在はこの環境を利用して小細工をしていたが、それでもそれは動かなかった。
何故ならそれの敵はもう一つの存在の小細工をワザと見逃している事がそれには判っていたから、
そして自分が同じ行動を取った場合は即座に阻止すると思っていたから。

やっと時がきた、敵は静かに眠っている、それは夢を紡ぎ上げる。
その夢は実際にあった夢、一匹のホイミスライムの末路。
それは紡ぎ上げた夢を一通り眺めると微調整を加えて行く。
ハーゴンの声を実際より大きくし、エコーもつけてやる『ライアンを殺したのは貴様だ!』
ついでにハーゴンの苦戦するシーンは大幅にカットする、折れた腕はハーゴンの顔をアップにする事で誤魔化す。
最後のシーンの音声はホイミンのもの以外は完全にカットする、『ライアン…サン……ドコ? 』
更に視点を変えて歩み去るハーゴン達がホイミンの死体を踏んでいったように見せる。

それは自分が改変した夢をもう一度確認した後今度は対象となる人物を探した、
候補は四人いたが、うち二人は起きて活動中、もう1人はそもそも夢を見ない。
普通ならチャンスを待つべきだろう、だが負の生命力の強いこの土地でなければ夢を他人に送れない、
次にいつハーゴンが眠るか判らない。

仕方なく、それ=生と死の境にいるムーン王女の魂は残った1人に夢を投射した。

「ヌォォォォォッ!」
そして、ライアンの目が醒めた……

【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠西の山岳地帯 行動方針:仲間を探す?】
ドアゴラムから慌てて逃げた先の小部屋の中
「何よ!何にも起こらないじゃない!」
アリーナはようやく自分が一杯食わされたことを知った。
「こうなったらもう1度っ」
「よせよ、はめたのはお互い様だ、それにお互い無駄に争うこともない」
クラウドはこういうときでも落ちついている、その姿にアリーナはまた彼に対して好意を持つ。
(うんうん、ますます気に入ったわ、さすがティファさんが好きになるだけのことはあるわね)
と、壁越しに声が聞こえる……この声はデスピサロ!
再び拳を構えるアリーナだったが、
「落ちつけよ、ここから聞こえてくるんだ」
クラウドの指差した先に通気孔のようなものがある、そこから声が聞こえるのだろう。
実際はかなり遠くにいるようだ。

「何話してるのかな?」
アリーナは興味津々で聞き耳を立てる、そしてそれとは対照的にクラウドは壁にもたれ静かに目を閉じていた。
「やめろよ、みっともない」


(そういうわけですか、納得が行きましたよ)
自らの半生、そしてロザリーにまつわる長い話。
魔界でも指折りの貴族だとは思っていたが、まさか魔族を束ねる王であるとまでは思わなかった。
さらに、そのことを差し引いても、ピサロの時折見せる深い人間嫌悪の原因はこれであったのか、と
サマンサにはようやく合点がいった。
「サマンサよ、今話した通り、私は人間にとって敵たる存在、私の元から去るのであるならば
今のうちだぞ」 
「私と貴方は別の世界の住人です、同じ世界に籍をおくのならば人として戦うのが道かもしれませんが」
一旦言葉を切り、不敵に微笑むサマンサ。
「貴方が貴方の世界において何を思い、何を行うのも自由でしょう、私の関知するところではありませんよ」
3532/3:03/02/15 02:41 ID:VH/i43wf
それを受け、デスピサロもまた、くくっ・・と微笑む。

話が一旦途切れたところでサマンサは疑問をぶつける。
「ピサロ卿、しかしお話を伺う限りでは1度秘宝を使い、手酷い目にあったのでは?」

「ああ、怒りと憎しみに支配され、秘宝のなんたるかを知らず、この身を滅ぼす寸前まで行ってしまったわ」

「ならば、何故また秘法を求めるのです?」

「危険は承知だ、あれを持ってすればゾーマとやらに一泡吹かせることも可能だ、それに
我ら魔族はもはや種の限界を迎えている、このままでは人間が手を下さずとも
いずれ滅んでしまう……だが、秘法は生物本来の進化の過程を歪める邪法であると同時に、
お前の推測通り、あらゆる生物の情報データとエネルギーの集合体だ、それを正しく扱うことが出来るのならば、
魔族という種を救い、かつての勢力を取り戻すことが出来るやもしれん」

「そして私は魔族を復興させた後、世界を制覇し、そしてそれをもってロザリーへの愛の証としよう
そう、全ては我が妻のためでもあるのだ」
デスピサロにしては珍しく笑顔を浮かべ、またロザリーの話が始まる。

そんな彼の傍らでサマンサはただ暗闇を眺めていた。

(ふふ、初恋は実らぬものといわれておりますが)
ピサロほどの男をここまで本気にさせるのだ、ロザリーという娘はきっと自分など
及びもつかないほどの魅力を備えているのだろう、到底勝ち目は無い。

(だが、これでよかった、これで思い残すことなく只の駒として振舞う事ができる)
そう、これで良かったのだ、魔学の徒たる者が感情に左右され、大局を見誤ってはならぬ、それでも。
(何故でしょう・・・・涙が止まりません、ああ、ここが暗い地の底でよかった)
頭上の通風孔がかすかな音を立てる、そしてその先には。
3543/3:03/02/15 03:00 ID:VH/i43wf
やはり暗闇の中、アリーナは膝を抱え、塞ぎこんでいる。
「聞くんじゃなかった・・・・」
アリーナにとって魔族とは憎むべき人類の敵、自分たち人間とは根本的に異なる論理で
動く存在だと考えていた、異質の存在だからこそ憎み、排除することができた。
だが、その魔族も自分たちと変わることの無い、誰かを思い、愛する心を持っている。
まして彼が人を憎み滅ぼそうと考えた原因は、自分たち人間のせいなのだ。
それを知ってしまった今、もうアリーナは以前のようにデスピサロを憎むことは出来なくなっていた。

「それでも私は人間だから……アンタのやろうとしている事を止めないといけない、たとえ
ロザリーさんが悲しむ事になっても、それにアンタやっぱりバカよ、ロザリーさんの気持ち、
なんにも分かっちゃいない、それとも男って、そういう愛し方しか出来ない生き物なの?」

クラウドはそれには答えず、まだ目を閉じたままだった。


【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:休息
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
>>352-354
は、>>348の続きです、>>350は無かった事に・・・・
ご迷惑をおかけしました。
356 :03/02/17 00:02 ID:jAtiU5BI
>>302>>328>>329は無効です。
ご迷惑おかけしました
3571/3:03/02/17 23:32 ID:FGfVXlfs
エリアは北の森の中、クリスタルの気配を捜し求めていた。
気配はあるものの段々とそれが感じられなくなってきている、体力の低下にともない感知能力が
弱くなってきているのだ。しかも深い森の中だ、エリアは自分が道に迷ってしまった事を、
おぼろげながら悟りつつあった。
と、自分の前方に人影、久しぶりのそれにエリアは引き寄せられるように近づいて行く。
しかしその姿がだんだん大きく近づいてくるにつれて、彼女は困惑を隠せなくなっていた。

(まさか!ファリスさん、でも……)
何度も我が目を疑う、しかし何度見てもあの後姿は紛れも無く、非業の死を遂げたはずのファリスのものだ。

だが、クリスタルの力を感じることはできない、そればかりか彼女固有の気配をも、
一切感じることが出来ないのだ。
では、やはり他人のそら似、ということなのだろうか?それに放送でも彼女の死は伝えられている、だが……それでも。
エリアはさらに後を追う、しかし自分では気をつけているつもりでも、
その行動は、ファリス、すなわちエビルプリーストには筒抜けであった。

(ふふ、あれで気配を消しておるつもりか?、攻撃を仕掛けてこんということは乗ったわけでは
なさそうじゃの、どうやらこの女の身内のようじゃな、ならば)
ファリス、いやエビルプリーストはゆっくりと振り向き、エリアへと歩み寄る。
そして2人の距離が会話が出来る程度まで近づいたとき、エビルプリーストはファリスの貴婦人を思わせる、
整った顔にふさわしい笑顔を作ると、にこやかにエリアへと挨拶をした。

「まぁ!生きてらしたのね!良かったわ」
3582/3:03/02/17 23:33 ID:FGfVXlfs
エビルプリーストにすれば完璧な演技だった、しかし……
「違う!貴方はファリスさんじゃない!」
エリアは間髪いれず踵を返し、エビルプリーストから逃げ出そうとする。

(何じゃ?ワシの演技のどこにミスがあったと言うのじゃ?まあよい)
やや、プライドを傷つけられたような表情だったが、気を取り直し、今度は自分の人格そのままの
傲然とした言葉を吐く。
「いかにも、ふふ…この女の名前はファリスというのか、感謝するぞ」

逃げ出そうとしたエリアだったが、ファリスの姿のエビルプリーストの目が妖しく輝くと
彼女はその場から1歩も動けなくなってしまった。
固まってしまった自分の身体を必死で動かそうとするエリアだが、まるで石になったかのように
その場から1歩も動く事はできなかった。

「そう慌てるな、感謝は一つだけではないのじゃ、ワシは誠にもって僥倖じゃて、死人に化けるのは、
やはり少々気分が悪くての、よって、お主の身体を頂く事にさせてもらう、ラリホー!」
金縛りでは抵抗も出来ない、一瞬にしてエリアは深い眠りへと落ちていく。
そして先ほどまでのファリスの姿が、今度はエリアのものへと変わって行く。
「ふふ……念には念をいれんとの」

エビルプリーストはさらに魔力を結集し、氷の棺に眠りに落ちたエリアを封じこめ、
さらにそれを雪原の中へと深く埋める。
そして後始末が終わった事を確認すると、エビルプリーストは今度は南へと向かう。
先ほど橋を渡ったとき、奇妙な違和感を感じたのだ、あの場所にはもしかすると何かが
隠されているのかもしれん。

エリアの姿のエビルプリーストはこうして、自分の来た道を逆戻りして行った。
3593/3:03/02/17 23:34 ID:FGfVXlfs
そしてその頃、
「何処だ!何処にいるんだ、エリア!」
もう何時間になるだろうか?あちこち捜し歩いているにも関わらず、エリアの姿を見つけることは、
一向に出来ないままだ。
「俺には死神が憑いているのか……レイチェル、アモっさん、ファリス」
だから、今度こそは必ず守る、そう誓ったはずなのに。
「頼む!俺が見つけるその時まで生きていてくれ!」

【エリア(仮死状態・生き埋め):所持武器 なし(全て奪われました)現在位置:ロンタルギア北の森の土の下】
 第一行動方針:森を抜け、風の反応に追いつく
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】

(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
(エリアにかけられた呪縛は、エビプリが死ぬか、エビプリ以上の魔力で解呪魔法を成功させる
 以外に解くことはできません)

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ
・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 
現在位置:ロンタルギア北の森】

 第一行動方針:湖の島(祠がある場所です)へ向かう
 第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末
(現在はエリアの姿です)

【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠の湖南岸の山地】
第一行動方針:エリアを守る
360オルテガとか:03/02/18 00:17 ID:KCLxKJuy
隠された祠を発見したオルテガとリバストだったが、
誰がいるかもわからない建物の正面にずっと立っているのはさすがに無用心だ、
という結論をだし、二人は近くの茂みに隠れた。
そこで祠から出てくる人物を見極めようとしたのだが、一向に出てくる気配はない。
「屋根に石を投げるなりしたら警戒して出てくるんじゃないか?」

寒気に耐えかねたのか、リバストは雪に埋もれかけた石を掘り出して
オルテガがGOサインを出すのを待った。しかしオルテガは首を縦に振らなかった。
「賛同しかねるな。こんな状況だ。
何が起こるかわからん。あまり刺激を与えない方がいいかもしれん」
しかし何かしら行動を起こさなければ、と思い、オルテガは祠の周りを見渡した。
「・・・とりあえず、建物の裏に廻ってみるとしよう」
オルテガは冷えた体をさすりながら立ち上がった。
「なにがあるかわからんが、周辺を探っておいて損はないだろう」

二人は祠を中心に森の中を大きくまわって祠の裏へ歩いた。
もちろん祠の石壁が見えるくらいの距離しか離れていなかったが、
ソレが見えないリバストは前を歩くオルテガについて行くしかなかった。
程無くして島の北側にある山のふもとに着いた。
祠はこの急な斜面と隣接して建っているようだが・・・。
「・・・ふむ。リバスト、正面に窪みがあるのが見えるか?」
リバストは茂みの間から首だけを出して、オルテガの指さした方を向く。
「ああ、・・・あそこになにがあるんだ?」
おそらく自分とは違うモノが見えているであろうオルテガを振り返った。
361オルテガとか:03/02/18 00:18 ID:KCLxKJuy
「たぶん納屋か何かだろうな。祠とは別の建物が見える」
「なるほど。人の気配はしないようだが・・・。行ってみるか?」
アゴに手をやって思案していたオルテガはゆっくりと頷き、後ろを振り返った。
「おまえは森の中で待っていろ。すぐ戻ってくる」
オルテガはチョコボの首筋を撫でながら言った。
チョコボは小さく鳴いて、その場に腰を降ろした。

「なるほど。確かにココになにか建っているみたいだな。あけるぞ?」
建物の正面へ行き、手探りでドアノブを見つけたリバストはゆっくりとソレをひねった。
「・・・・・・? だめだ。鍵がかかっている」
「そうか。見せてみろ」
オルテガはリバストをソコから退かして扉を調べた。
「どうだ?壊すしかなさそうだが・・・」
「いや、普通の鍵のようだ。この位ならなんとかなる」
そう言うとオルテガは懐から針金を取り出すとソレを鍵穴に差し込んだ。
しばらく金属同士が触れ合う音だけが響き、唐突に何かが外れる音がした。
「ふむ。大分腕が鈍ったな。簡単に外せると思ったが・・・」
唖然としているリバストを振り向きもせずに、オルテガは指先でくるくると
針金を回しながら建物の中に入っていった。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 行動方針:離れの探索】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:離れの探索】
チョコボが一匹ともにいます。
「4時間か。 結構長いよな」
壁にもたれながら独りごちるジタン。 
神殿内はしんと静まりかえっており、小声でも遠くまで響き渡った。
一分、二分、三分…
途中でバカらしくなって時間を数えるのはやめた。
(見張りなんてあまりいいもんじゃないな)
退屈しのぎになるかもと思って口ずさんだ。 ガーネットがよく唄っていたあの歌。
もう思い出の中に閉じ込めようとしていたのに、自然と外に出てきてしまうのだ。
どうせならばと、ジタンは過去を思い出し懐かしい気分に浸り始めた。
眠たくなってきたよ、ガーネット……

「騎士様!?」
「へ?」
女の呼ぶ声がしたのでジタンは起きた。 
柱の陰になるようにして一人の女性が立っていた。
「あらやだ、とんだハズレですわね」
ジタンを見るやいなや、ため息まじりでそう言った。
「ハズレ……なんだって?」
ああ、と声を上げながら女性は大袈裟な足取りで駆けつけてきた。手に武器らしきものは持っていない。
「ごめんなさい。何でもありませんわ」
セーラは軽やかにお辞儀すると、
「セーラと申します」
にこやかな笑みを浮かべて自己紹介を始めた。


「……そうか。お姫様がこんなところに一人でいちゃ危険だ。
オレが一緒にいてやるよ。」
ジタンはセーラの顔をじっと見つめた。セーラは笑みを絶やさぬながらも首をかしげる。
ガーネットとは似ていなかった。
「オレにとってのお姫様はただ一人だけどな……」
それを聞いてセーラが不愉快そうな顔をした。
「悪い、独り言だ」
【セーラ 所持武器:ブレイズガン(柱の陰に隠してある) 現在位置:神殿
行動方針:騎士様を探す&皆殺し】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえず部屋の番
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2現在位置:神殿 
 第1行動方針:睡眠中
 第2行動方針:授業 、マゴットの治療
 第3行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
 第1行動方針: 睡眠中
 第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う
 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
364359(修正):03/02/18 02:08 ID:dFtfzPxj
そしてその頃、 ロックはどうしていたかというと。
「何処だ!何処にいるんだ、エリア!」
もう何時間になるだろうか?あちこち捜し歩いているにも関わらず、エリアの姿を見つけることは、
一向に出来ないままだった。
「俺には死神が憑いているのか……レイチェル、アモっさん、ファリス」
だから、今度こそは必ず守る、そう誓ったはずなのに。
「頼む!俺が見つけるその時まで生きていてくれ!もうだれも死なせやしない!」
3651/3:03/02/18 13:07 ID:x/Yrau7b
「クエ?」
主を待つチョコボの耳に笛の音が聞こえる。
どこか遠くから聞こえるそれは、なんとなく自分を呼んでいるような気がしたのだ。
知らず知らずの間にチョコボは主を置いて、すいよせられるようにフラフラとその方向へと
進み出す。

そこでようやく、オルテガがそのことに気がつく。

「おい、どうした何処へ行く」
オルテガは手綱を操ろうと手を伸ばすが、間に合わずチョコボは橋を渡り西の方向へと、
向かっていく、チョコボにすれば鈍重なその歩みも、人間にしてみればなかなか追いつけない速度だ。
「どうした!オルテガ」
「チョコボが急に言う事を聞かなくなって、とにかく何とかしないと」
ともかくオルテガとリバストも慌ててチョコボの後を追いかけていった。


そして遠く離れた神殿。
「あれ、この笛鳴らなくなっちゃった、さっきは音が少しだけ出たのに」
ジタンは手に持ったギザールの笛をセーラに見せる。
「笛の吹き方って分かる?」
「私、笛については嗜んでおりませんでしたの」
「あ、そう」
それを聞いてもジタンはなお色々とギザールの笛を調べまわしていた。


さらにそれから遅れて
「この辺じゃのう、なにやら変な感じがしおったのは」
湖を渡って小島へと戻った、エリアの姿のエビルプリーストはあちらこちらを手探りで調べる。
何も無い空間に手の平をかざすその姿はまるで前衛演劇の様だ。
3662/3:03/02/18 13:07 ID:x/Yrau7b
と、いきなり自分の目の前の空間が開く。
「グッ!」
ドアの一撃を受けそうになり、慌てて身体をのけぞらせるエビルプリースト
「す、すいません人がいるとは思わなかったので」
人のよさそうな兵士、ピピンが現れて、へこへこと頭を下げる。

「どうしたの?ピピン、おや?あなたは」
物音を聞きつけたか、その後ろからさらに2人、とんぬらとアニーが姿を現す。
まさか建物が隠れているとは思わなかった、やや予想外の展開に戸惑いながらもエビルプリーストは
自分の中で何度も繰り返したリハーサル通りに事を進めようとする。

「私、私は……誰?」
(名前を聞いてから埋めるんじゃったわ)
後で気がついたことだが、たしかに名前すら知らないままでその人物に成りすます事は不可能だ、
そこで記憶喪失を装うことにしたのだ。だが、どうやらここにこの女の知人はいないようだ。
なら、便宜上名前くらいは必要だろう。

「わ、私の名前は、ああ思い出せない、何だったかしら?ええとビ、ビアンカ?」
その名前を口にしたのはあくまでも思い付きだ、だがその名前は、
目の前の男、とんぬらにとっては特別な意味を持つ名前だったのだ。
そして事実、その名前を聞かされたとんぬらは、まるで凍りついたように驚きを隠すことが出来なかった。
「?」
今のはNGワードだったか?一瞬そう思ったエビルプリーストだったが。
次の瞬間、とんぬらは快く彼を祠の中に招き入れるのだった。
「とにかく中に、奥にまだ2人眠っていますから起こさないようにしてくださいね」
3673/3:03/02/18 13:08 ID:x/Yrau7b
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:橋を渡りロンダルキア南東平原へ 
行動方針:チョコボを追いかける】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:同上】

【セーラ 所持武器:ブレイズガン(柱の陰に隠してある) 現在位置:神殿
行動方針:騎士様を探す&皆殺し】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえず部屋の番
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ
・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 
現在位置:ロンタルギア湖の祠 行動方針:とりあえずとんぬらたちの所に潜りこむ 】
  
(現在はエリアの姿です)
368 :03/02/18 18:36 ID:lrjN5w6b
爆音と共に地響きが起こった。 ここからそう遠くはない、位置は北西あたり。
「何の爆発でしょうか。 大規模な呪文の使用とも考えられますが」
ピエールはビビの死から立ち直っていた。 珊瑚の剣を握り直してはっきりとした意思を見せている。
「魔法は詳しくないので何とも言えぬ。人為的な力が働いてのことだとはわかるがの」
フライヤは応じながらも、周囲に神経を尖らしているようだ。
確かに音に紛れて襲い掛かってくる者がいるかもしれない。
フライヤの気配りに感心して、自分も周りを覗う様子を見せる。
「でしょうね」
ピエールはそれだけ言った。

しばらく状況を見守っていたが、爆音はしだいに収まり再び静かになった。
「行こうか。誰が待ち受けているかはわからぬが、ここにいても始まらない」
フライヤは決断が早かった。 ピエールも異論はない。
二人は歩き出し、先に広がる森に入っていった。この森を越える先には険しい山が連なっていた。

もしジタンがいたら何と言おうか。
ピエールは何があってもいいように心構えした。

【フライヤ 現在位置ロンダルキア南の平原辺り(小島のある湖の西側) 所持武器;エストック
第一行動方針;神殿へ向かう
第二行動方針:ジタンを探す

ピエール 所持武器;珊瑚の剣 
現在位置、行動方針はフライヤと同じ】
369勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 21:21 ID:3E3gn0tw
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>>75207519531250
370勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 21:33 ID:h66LTo4a
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>>66708374023437
371勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 22:23 ID:SeJDBxeE
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>>45455932617187
372名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:46 ID:vwesFPHe
ぴよだまりん
申し訳ありませんが、>>357-359は無効とさせていただきます。
理由については感スレ460以降参照のこと。
374保管庫:03/02/23 00:45 ID:nze06Saq
(うまく騙せたか?)

 雪の山道を進む二人のうちの一人――――アグリアスは考えていた。
 武器を持たない相手に対して、二度にわたる敗北。
 顔にこそ出しはしないが、精神的にかなり追いつめられていた。
 自覚がある、自身の勇気が萎えかけているのに。
 剣を捧げたオヴェリアへの忠義、そしてティファへの復讐を心の支えにしていたが…
 それももはや限界にまで来ていた。
 かつて、ドラクロワ枢機卿にオヴェリアを奪われた時――――
 アグリアスは、自分一人の力の無力さを痛感させられていた。
 そして、ラムザに助けられ、共に戦うようになってから。
 知らず知らずのうちに、仲間がいることに甘え、依存するようになっていた。
 ここには、信じることのできる人間は誰もいない。
 いつ殺される事態になってもおかしくはない。
 こんな世界に一人で耐えられるほどアグリアスは強くはなかったのである、本当は。

 だから。
 ヘンリーが自分を見限らなかったことに、心の底から安堵していた。
 そして、この関係を維持する為に、自分の勇気を無理矢理にでも奮い立たせる必要があったのである。
 勇気が下がり続け――――チキンになってしまったら、全てがお終いなのだ。
 額の傷口を自ら広げ、声高に、狂ったように、ティファへの復讐を示すことで、自分の弱さをヘンリーに隠した。
 とっさに張った虚勢ではあるが、行動に出して吐きだしているうちに段々とその気にもなってくる。
 萎えかけた勇気も、ほんの少し戻ってきたような気がしてくる。

(これでいい。まだまだ私が戦えることを示せた。チキンになんてなるものか!)

「おい、見ろ」

 行く手の先に見える人影を示しながら声をかけてきたヘンリーの言葉に、我に帰るホーリーナイト。
 いかめしいその形相とは裏腹に、心は小さく震えていた。
375保管庫:03/02/23 00:48 ID:nze06Saq
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:全てが終わった後、マリアの元へ逝く

【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット  
なべのふた マンイーター  現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:ヘンリーに見捨てられないようにする
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する
376保管庫2:03/02/23 00:50 ID:nze06Saq

「・・・ほお」
慌てて建物の中に入ったリバストは思わず感嘆の声を漏らした。
外から見た時にはわからなかったが、中はわりと広く、おそらく倉庫だったのだろう、
スコップ等の日用品が主に目に付いたが、
棚にはこの世界では一般に教会で使われる祭具が並んでいたし、
床に置いてある大きめの麻袋には穀類や野菜等が入っているようだ。それも、かなり豊富に。

「・・・ルビス系統の祭具か・・・・・・。なら、ここはアレフガルドのどこかか?
しかし、こんな雪山があるとは聞いていなかったが・・・・・・」
リバストはオルテガが独り言を呟いている方を向くと、
彼は棚の上にある神像を手にとって調べている所だった。
「どうした? なにか気になる事でも?」
「いや、気にしないでくれ」
オルテガは神像を元の位置に戻し、手についたホコリを払った。
「それより、どうする?」
オルテガは食料の入っているいくつもの麻袋を見渡した。
「全部持っていくワケにはいかんしな。自分が必要だと思う分だけ持っていけばいいだろう」
補給のままならなかったリバストにとっては、ここで食料を補給できる事は大変な僥倖だった。
377保管庫2:03/02/23 00:56 ID:0SgRhdVP
「匂いがしたのはここら辺でござるな? ガウ殿」
「ガウガウ!」
「でも、それっぽい建物は見当たりませんけど…」
ガウの案内でここまで来たのだが、どうみても祠らしき建物は見えない。
周囲は森に比べたら木が少なくなっているが、それ以外気になる所は見つからない。
「目に見えるモノが全てではないでござるよ。『見えないモノには体当たり』
という格言もあるくらいでござるしな」
そう言ってメルビンは足元から雪をすくい、それを丸めた。
3人はそれを不思議そうに眺めていたが、メルビンは気にせずにソレを山側の方に投げた。
斜線軸上にある木に当たって砕けるだろうと他の三人は思っていたが、
雪球はそれより少し手前で、壁に当たったかのように四散した。
「やはり目に見えないだけでござるな。入り口を探すでござるよ」
378保管庫2:03/02/23 00:57 ID:0SgRhdVP

「ドアノブみたいなモノがありました!」
あれから程なくして、少し窪んだ所にある壁を調べていたモニカが入り口を発見した。
これらの作業を一人でやったとしたら、大分時間がかかってしまっただろう。
「鍵は開いてるみたいですし、入りますよ」
「!!! モニカ! そこから離れろ!」
開きかけたドアの隙間から漏れる微かな気配。
今の今まで気付けなかった何者かの気配に、アーロンの脳が全身に危険信号を送る。
ガードとして、決して会わせてはいけない事柄の一つ。
アーロンは中に入ろうとしたモニカに慌てて手をのばした。
しかし、それより一瞬早くドアの隙間の暗闇から伸びた太い腕が
不思議そうな顔をして振り返ったモニカを掴んで、建物の中へ引きずり込んだ。
ほんの一瞬、瞼の裏に自分が護れなかった二人の姿が浮かんだような気がした。

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 
行動方針:、メルビン達と話し合う 離れの探索、アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 
行動方針:同上】
チョコボが奥に隠れています。
【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れ
行動方針:モニカを助ける アーロンの傷を完治させる、仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 現在位置:祠の離れ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 
行動方針 モニカを助ける、仲間を探す、ホフマンの仇をうつ】

モニカがオルテガに掴まっています
379保管庫3:03/02/23 01:00 ID:0SgRhdVP
二匹の騎士は足踏みを揃えて、切立った山を越え再び森へ入り、爆音が聞こえた場所近くまでやってきた。
森を抜けた先の砂漠地帯。今はここにいる。
「おそらく、この辺りのはずです」
「むう……あれかの」
フライヤは木々の隙間から見える空に目を凝らした。
教会なのか神殿なのか、途方もなく巨大な建物が目に飛び込んでくる。
まだ数百の歩数を踏まえねば辿り付かない距離なのに、建物から威圧感を感じてたじろぐ。

森を抜け砂漠を移動中にフライヤは聞いてみた。
「ピエール、下のスライムを休ませた方が良いのではないか?」
先程から熱っぽい頬を膨らませていたスライムが気になっていた。
「大丈夫です、彼と私は一心同体。この通り元気ですよ」
ピエールは体操でもするかのように腕を振り回した。
ビビのことがまだ払拭できないがためのカラ元気にも思えた。 勿論そんなことは口にしないが。
「それなら良いがくれぐれも無理はせんようにな」
そう、はりきり過ぎて肝心な時に動けないでは困る……ん?
フライヤはエストックを懐から取り出した。
「何か光ったような」
「え、なんです?」
反射光なら物体があるはず。 だが砂漠はもちろん、背後の森にも金属片などそうそうありはしない。
フライヤは空を仰ぎ見た。 「贈り物は天から来る……当たりかの」
有無を言わさぬ形でピエールの襟元を掴む、と同時に飛びのいた。
ヒュン!!
きらめきながら飛んできたものが砂漠に突き刺さる。 数本の矢だった。
少し強く引っ張りすぎたのか、ピエールは砂漠に頭から突っ込んでしまった。
「ぐ、うぐぐぐ!」
「すまぬっ」
またしても矢が飛んできたので、打ち払うのに気を取られピエールのことに手が回らない。
380保管庫3:03/02/23 01:01 ID:0SgRhdVP
ピエールは何とか砂地から頭を抜き出した。
「いきなりなんですかっ」
「敵じゃ!」
フライヤが剣で指し示した方向をピエールも見た。
「キラーマシーン!? こんな辺境の地にも配備されていたとは」
ピエールは珊瑚の剣を構えて
「あの機械人形奴は、もともと人間だけを狙う殺人兵器なのです。
高度な素材で作られていて半端な攻撃ではびくともしません」
「詳しいの……来る!」
ホバーというのかキラーマシーンは砂地から少し浮かび上がるようにして接近してくる。
紫のボデイがなめまかしく艶めいた。 こんなか細い剣では心もとない。 
もうキラーマシーンは目の前まで迫っていた。
フライヤはエストックを懐に収め呼吸を整える。
「ならばっ」
なぎ払われた右腕のブレードを軽いジャンプでかわし、腕の付け根目がけて蹴りを放った。
目の錯覚ではない。火花が散った。 間接部分は思ったほど硬くはない。
軋んだ音がしてキラーマシーンの図体が揺れ動く。 
「足は鍛えておるからのっ」
もう片方の足で着地する。痛みはあったが動くのに支障はない。
ガキイィっ!
背後に回ったピエールが間髪いれずに腕の付け根を斬りつけた。 そうじゃ、徹底的に同じ箇所を狙え!
勢いづいたフライヤは更に責めようと飛びかかった。 ピエールも続いてくれることを期待して。
381保管庫3:03/02/23 01:02 ID:0SgRhdVP
「どうしたピエール!」
ピエールは剣を構えたまま動こうとしない。
「こ、こんな時にっ」
ピエールが無防備にも視線を足元に落とす。 スライムがぶるっと震えた。

一撃を食らってピエールがふきとんだ。振るわれたのは左腕、ピエールの身体はつながっている。
キラーマシーンが興奮したかのように不愉快な金属音を弾き鳴らし ピエールを追う。
怒号とともに砂地が爆発した。 弾丸の如き勢いでフライヤが飛び出す。
ピエールと殺戮兵器の間に滑り込んだ。 
砂地にめり込んだ左足をバネに渾身の力を込めて鉄拳。
キラーマシンは大きく後退し機体をうち震わせた。
拳の痛みを堪える暇も惜しんで、ピエールの襟元を掴む。
「ま、またですか!?」
「今度は少し長いぞ」
フライヤはピエールを連れてジャンプした。


神殿内は思った以上に暗くもなければ、決して意外なほど明るいわけでもなかった。
埃っぽい空気が、長い間人が寄り付かなかったであろうことを感じさせた。
入口の扉はしっかりと閉じられ、キラーマシーンが侵入してくることは無さそうだ。
フライヤたちは辛くもジャンプであの場を逃れ、神殿に足を踏み入れることに成功したのだった。
「申し訳ありません。 言われたとおりスライムを休ませるべきでした。」
ピエールが恥ずかしそうに頭を掻く。
「もう済んだことじゃ。とにかく小休止といこう」
フライヤとピエールは腰を下ろしてしばし休息することにした。
382保管庫3:03/02/23 01:09 ID:OFnYO5UG
「ベホマ…!」
ピエールが呪文を唱えると、スライムは元気を取り戻したようで嬉しそうに跳ねた。
「もう安心じゃな」
「はい、では行きましょう」
金属の擦れるような音が神殿の中でしたような気がしたが、先程の戦いが耳に残っていたのだろうと
それ以上は深く考えなかった。 だが念のため足音はできるだけ立てずに歩くことにした。

二手に別れて神殿内の探索を始めた。
見るも珍しい彫刻や、何に使うか見当もつかない異様な形の祭器など目に付くものは至るところにあった。
それに一つずつ触れては有益なものであるか確かめたり、はたまたこんな悪趣味なものを一同に揃える
のはどこの酔狂な御仁であるかと呆れてみたり。
フライヤはいつの間にか自分が秘宝の鑑定人にでもなったような気分でいた。

いくつもの柱が立っている神殿の一角。 古めかしいレリーフに縁取られた頑丈そうな扉が見える。
目を凝らすと人が二人いる。 扉にもたれかけながら番人のように座っていた。 
「フライヤッ」
ジタンだった。 薄暗い廊下に鮮やかな金色の髪が浮かび上がった。 
呆気にとられた。まさか望みがかなうとは。こうして偶然出会うのは二度目だ。
だが仲間との再開の喜びも束の間、辛い話をしなければならぬことを思うと心苦しくなる。
「ジタン……ビビのことは」
ジタンの足取りが止まる。言葉を捜している様子で顔を曇らせながら拳を握り締めている。
力ない冷めた表情があった。
「守れなかった……」
ジタンの言葉に追い討ちをかけるように頭上で風を切る音がした。
吹き抜けの天井の何処かに隙間があるのだろう。神殿がフライヤたちの心情を察したとでもいうのか。
沈黙が続いてどう切り出していいか迷った。だがこれ以上ジタンを追い詰める真似はしたくない。
「こちらにも自分に責があると思いつめて命を捨てる覚悟をした者がいる。
皆苦しんだのじゃ。 ジタン、これからのことを考えよう。
天にいるビビに笑われぬよう、これからを」
ジタンの目が微かに潤んだかに見えた。次の瞬間には燃え上がるような意思を瞳に宿していた。
383保管庫3:03/02/23 01:09 ID:OFnYO5UG

「そちらの婦人は?」
引き攣り気味の顔をフライヤに向ける野暮ったい恰好の娘。
まあ無理もないが。
「心配しなくていいぜ、俺の仲間だ。 その辺の人間よりかよっぽど信義に厚い頼りになる奴さ
ちょっと堅いところがあるけどな」
ジタンが説明すると、娘は幾分か穏やかな表情になった。
「……私はセーラです」
そう言ってそっと目を伏せる。
「私はフライヤ。 ネズミ族の竜騎士じゃ」
セーラはどうも落ち着きがなく、そわそわしながら顔を上げようとしない。
「そういえばあの戦士はどうした? 妙な乗り物に乗ってた。戦士というのかどうかわからないけど」
その言い方が可笑しかったのでフライヤは笑った。
「ピエールなら一緒に来ているが、乗り物などと言ったら怒るぞ。あれはスライムという立派な魔物じゃ」
突然、セーラがもう辛抱できないといった風に取り乱す。、
「ああっ、私の第六感ではこれ以上ここに留まるのは危険かと!」
セーラは中央に立つ柱の陰に飛び込んだ。
「いきなりどうしたんじゃ……?」
「おい、なんだよ」
ジタンとフライヤが突然のことに驚く。 何かを忍ばせたのか、出てきたセーラの服は奇妙に盛り上がっていた。
「ご、ごめん遊ばせ」
セーラはそそくさと出口の方に向かいだした。それと同時に横から現われた騎士のシルエットが目を惹いた。
384保管庫3:03/02/23 01:10 ID:OFnYO5UG
「貴様、あのときの女狐!」
セーラが怯えに狂ったような声を張り上げて、その場から飛び出す。
「ピエール、やっときたか」
「フライヤ殿っ、その女殺人鬼であります!! ジ、ジタン殿!?」
まだ事情が飲み込めてないらしく、ジタンは飄々と手をかざして応じた。
ピエールは何ともばつの悪そうな顔をする。
セーラはその間にも遠ざかっていく。 その動きを目で追いながらフライヤは質問をぶつけた。
「どういうことじゃ! 知っておるのか、あの娘を」
「はい、異常な妄念を抱えているようで、それがフローラ様というご婦人を手にかけ、
その上マリベル殿まで……」
そこまで聞いて話を切らせた。
死人を増やしたくはない。目的と外れるが天命が下ったと考えるしかないだろう。
「野に放つのは危険ということじゃな」
ピエールの切情なる言い方で確信は持ったが、再度確かめた。
「つまりは、そういうことです!」


フライヤはもう走り出していた。 ピエールもジタンに一礼した後それを追う。
セーラは見かけによらず足が速かったが、フライヤたちの脚力には到底敵わないであろう。
追いつくのは時間の問題のようだ。
「おーーーい」
ジタンの呼ぶ声が神殿内に響き渡る。 が、ピエール達の耳には届いていない。
「結局何しに来たんだよ」
385保管庫3:03/02/23 01:14 ID:7sjar+cJ

【フライヤ、ピエール 所持武器;エストック、珊瑚の剣 現在位置;神殿 
行動方針:セーラをつかまえる】

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿 
第一行動方針:ピエールたちから逃げる
第二行動方針:騎士様を探す&皆殺し】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえず部屋の番
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
386保管庫4:03/02/23 01:16 ID:7sjar+cJ
しばらくの間、追いかけっこは続いていたが、やはり、
セーラはとうとうピエールとフライヤに追い詰められてしまっていた。
「もう逃げられんぞ!大人しく己の罪にふさわしき裁きを受けよ!何か言い残す事は無いか!」
ピエールの声にセーラは黙したまま答えない、答えようにも恐怖のあまり言葉が出てこないのだ。
だからただ、心の中で彼女は祈るしかなかった、あの時のように黒衣の騎士、今は亡きレオンハルトが現れ
自分を救い出してくれる事を。
(騎士様!どうかお助けを騎士様!、貴方に会えずこのまま得体の知れぬ魔物風情にかかって死ぬのはいやでございます
どうかこの声よ、騎士様に届いて)
その沈黙が余計にピエールの怒りに火を注ぐ。

「そうか!ならばもはや何も問うまい、フローラ様のマリベル殿の痛み、苦しみを思い知れ!」
気合一閃、ピエールは必殺の突きをセーラへと繰り出す、これで終わった……フローラ様、マリベル殿
不肖ピエール、ようやくその無念を晴らし……!?

だが、ピエールが感涙にむせぶのはまだ早すぎたようだ、何故なら
横合いから飛んできた小石がピエールの手首に命中し、必殺の突きはセーラの身体を捉えることなく
柱に穴をあけるにとどまった。

「ちょっと!ちょっと!ちょっと!そんなか弱い女の子になんてことしてるのよ!」
ピエールとフライヤは石の飛んできた方向を見る、そこに立っていたのは、
大きな胸を誇らしげにぷるんっと揺らす、ティファ=ロックハートの姿だった。
387保管庫4:03/02/23 01:17 ID:7sjar+cJ
話はしばらく前に遡る。

デッシュ・導師・ティファたち一行は神殿と目と鼻の先の林の中に潜んでいたが、
先ほど林の中で倒したロボット、キラーマシーンが城の周囲を巡回しているため、そこから先に進めずにいた。
「僕らを守りながらあいつと戦うのは容易なことではないです」
導師の言葉にティファも頷く。
林の中で遭遇したときは運が良かったのだ、実際の強さはあんなものではないはず。

デッシュはティファの方を見て呟く。
「あいつは一定の間隔、頻度で巡回をしている、その隙をついたとしても君の足なら大丈夫だが、
俺達はどんなに頑張っても捕捉されてしまう」
その言葉を聞いて何事かを考えていたティファだが、やがてそっと片手を上げて提案する。
「じゃあ、私1人なら大丈夫って事よね…」
「駄目だよ!君みたいな可愛い女の子にそんなことさせられないよ」

すかさずデッシュがティファの手を握り止めに入る。やはりここらへんは流石プレーボーイといった感がある。
もっともすでにデッシュは、ティファにはもうすでに心に決めた男性がいることにも、気がついていたが。
(どこのどいつかは知らんが、幸せな奴だぜ)
だからといって女性の危険を見過ごすわけにはいかない、しかし。

「ここでじっと隠れて誰かを待つよりは、ずっとマシよね、まかせて!」
ティファはデッシュの手を振り切るとそのまま砂漠を超え、神殿の中へと入っていった。
こうして3人の中で1番戦闘力のあるティファがまずは単独で先行し、中の様子を探ることにしたのだった。
388保管庫4:03/02/23 01:21 ID:7sjar+cJ
さて、話を神殿内部に戻そう。

突如現れた乱入者に早速ピエールが異論を唱える。
「この娘は友の仇!邪魔をしないでいただきたい!」
普段のピエールなら決してこのような頭ごなしの言葉を吐いたりはしないのだが、仇を目の前にして、
邪魔が入ったことでかなり苛立っている。

と、そこでセーラがすかさず反論する。
「嘘ですわ!この魔物たちは私にいわれ無き罪を着せて殺そうと!騙されてはなりません」
「おのれ!言うに事欠いて何という事を、この女狐め!」
再びピエールが剣を構える。
フレイヤはそこから1歩離れて状況を見守っている。

そしてティファだが、
最初に言っておくが、彼女は特別魔族や亜人類に対して偏見を持っているわけでは決して無い。
だがやはり目の前の光景を人間として判断すれば、どちらに味方すべきかは明白のような気持ちがしないでもない。
少なくともティファには、目の前の少女がとても彼らの言う人殺しだとは思えなかった。
それに自分の見てる前での殺人を黙認するつもりも無い。
(ここはひとまず仲裁すべきよね)
と、ティファがピエールを止めようと足を進めたときであった。

物陰から無機質なボディが姿を覗かせる。
神殿内部を警護していたキラーマシーンの一体である。
そのセンサーが不気味に瞬き、不可視の光線を放つ…その光線の先にいるのはスライムにまたがった騎士だ。
『You have no chance!』
キラーマシーンの手のボウガンが唸りを上げ、十数本の弓矢がピエールめがけ殺到する。
389保管庫4:03/02/23 01:26 ID:I8m8SXuN
幸運にも狙いはそれて全てピエールの傍らの柱に命中のみにとどまったが、一同が一瞬注意を解いたその隙をついて、
セーラは脱兎のごとく逃げ出していた。
「新手か!こやつは私が引きうける、フライヤ殿はあの女をお願いいたす!」
間髪いれず斬り込んできたキラーマシーンの刃を辛くも受けとめたピエールの言葉を受け、
フライヤがセーラを取り押さえようとするが、横合いからティファの蹴りを受け、
すんでの所で逃がしてしまう。

「早く逃げなさい!」
ティファの言葉を聞くまでもなくセーラは一目散に城の奥へと消えていった。

そしてキラーマシーンとピエールが切り結ぶ音をBGMにティファとフライヤは対峙する。
「我々にも引けぬ理由があっての、お主には無力化してもらう必要があるみたいじゃな」
(ピエールの言葉、それに先ほどのせりふ、やはりあの娘、かなり危険じゃな、やはり逃がすわけにはいかぬか)
ますはフライヤが1歩前へと踏みこむ。
「そう、でもあたしだって強いんだから!」
(先行するんじゃなかったなぁ…何とか気絶でもさせてデッシュさんたちの所に早く戻らないと)
それを受けてティファも1歩前へと進む。

また暫しの沈黙…そしてちょうど2人の中間の床に流れ矢が突き刺さった瞬間、
フレイヤのエストック、そしてティファの拳が唸りを上げて激突を開始した。
390保管庫4:03/02/23 01:28 ID:I8m8SXuN
【フライヤ、ピエール 所持武器;エストック、珊瑚の剣 現在位置;神殿 
行動方針:フライヤ:ティファをやり過ごしセーラを捕捉
     ピエール:キラーマシーンと戦う】 

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿 
  第一行動方針:ピエールたちから逃げる
  第二行動方針:騎士様を探す&皆殺し】

【ティファ 所持武器 星降る腕輪 現在位置:神殿 第一行動方針:フレイヤを気絶させ離脱
  第二行動方針:クラウドたち探す】

【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上) 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
391保管庫5:03/02/23 01:30 ID:I8m8SXuN
フライヤとティファの主戦場は何時の間にか中庭の古ぼけた霊廟へと場所を移しつつあった。
ここまでの戦いは全くの互角だが、現時点ではややフライヤが主導権を握っているようだ。
縦に、横に、左右にとエストックを巧みに操り、突きを繰り出していく。

フライヤから繰り出される鋭い突きを何とか交わしながら、ティファも反撃を試みる。
まずは身体を屈めてローキックの体勢へと入る。
それを見てフレイヤは身体を浮かせ、飛び退ろうとするが、ティファのそれはフェイントだ。
フライヤのガードがわずかに下がったところで、すかさす強烈なラッシュを放つ。

しかしフライヤは後ろに下がるのではなく、滑るように横方向での回避に切り変える。
結果、ティファの攻撃は大理石の柱にいくつか穴を穿ったのみ、
そこを逃さず、フライヤの突きがティファの側面から迫るが、まともに避けても間に合わないと見た、
ティファは切っ先めがけキックを放ち、突きの軌道をズラす、穴に続いて柱に大きな傷が付く。
さらにティファはフライヤの顎めがけサマーソルトを放つのだが、これもフライヤは、
上体をわずかに逸らしてだけで難なく避ける。

(このままでは…)
フライヤの心に次第に焦りが生まれ始める、ここで時間を浪費している場合ではない。
しかし目の前の拳法使いの実力はかなりのもの、そう上手くは行くまい。
(早くこの場をどうにかして逃れなければ)

焦りがあるのはティファも同じである。
目の前の騎士は間違い無く強い、腕輪の力を持ってしても完全に身体を捉らえることが出来ない以上、
もはや気絶だのなんだのと考える余裕は無い。
(なんとか一撃で決めないと)

こうして戦いは無秩序な乱戦、いや消耗戦へと発展していく。
お互い有効打を与えられないまま、フライヤが剣を振り、ティファが拳を繰り出すたびに、
周囲の柱や床が傷だらけになっていくばかりだった。
392保管庫5:03/02/23 01:35 ID:MQ/wnF91
そんな中、フライヤがあることに気がついた。
(光?)
見るとさっきは気がつかなかったが、天井に大きな穴が開いており、そこから空が覗いている。
(あそこから出られる、ならば)

フライヤはティファへと飛び蹴りを出すと見せかけ、まずはガードの体勢を取らせる。
それを確認すると、そこから大きく背後へと飛び退き、
そこから穴めがけ龍騎士特有のジャンプで空中高くに舞いあがる。

それを見てティファは一瞬思案をめぐらせる。
フライヤのジャンプはこの場から逃れるためのものだが、彼女はこちらへの攻撃のためと判断したのだ。
相手にまだあんな手があったとは、もし空中から攻撃を受ければこちらは成す統べもない。
(この角度じゃドルフィンブロウは届かない、だったら)

ティファはとっさに床めがけ渾身の気合弾を放つ、気弾が床に当たって弾け飛び。
その反動を利用してティファもまた空中へと舞いあがる。
この完全に予想外の行動にフライヤは全く対応できなかった、
「何じゃと!」
慌てて応戦しようとするが、攻撃ではなく逃げの姿勢に入っていたため、間に合わない。
剣を構える間も無く、フライヤはティファによって空中で身体をロックされてしまっていた。


双方互角の状態の中、逃げることを選んだフライヤ、そして勝負に出ることを選んだティファ、
この瞬間に勝負は決したといってもいい。
この選択が逆ならば、おそらく結果も逆になっていただろう。
ともかく、空中でフライヤの身体をキャッチしたティファはそのまま身体を反転させ、
「メテオっ」
そのまま急降下で地上へと落下させようとする。
「ドライブ!」
393保管庫5:03/02/23 01:37 ID:MQ/wnF91
だが、空中でのメテオドライブなどという不慣れなことをしたため、本来極めてなければならないはずの
フライヤの右足が完全に自由になってしまっていた。
フライヤはその自由な右足でティファの脇腹を蹴りつけたため、空中での姿勢が崩れ、
結果、2人はもつれあいながら完全にバランスを崩して床に落下、ティファは石畳に肩をしこたま叩きつけられ、
フライヤは柱に激突し、腰を強打していた。

しばらくの間、倒れたまま動かなかった2人だったが、やがてティファがゆっくりとその身を起こす。
立っているだけでも肩から激痛が走る…どうやら鎖骨が折れているみたいだ。
「また肩やっちゃった、直してもらわないと」
フライヤもまた立ちあがろうとしたが、上体を起こす以上のことが出来ない…腰の骨が折れているのだ。
「立てぬ…腰をやられたか」

フライヤが置きあがれないのを見て、ティファは一旦外へと向かうが、
だが、そのままずりずりと這いずりながらもこちらに進もうとするフライヤの姿が目に入り、
しばらく思案顔をしていたが、やがてだらりと両手を垂らしたままの姿勢でティファはフライヤの方へと向かう。
その時であった。
 
ゴゴゴという響きと共に、霊廟が崩れ始める。
見た目こそ頑丈で重厚だったが、元々老朽化していた上に長年の雨ざらし、さらに先程の戦闘、
こういった要因が重なった上の崩壊だった。
ティファは未だに起きあがれないフライヤを何とか助けようとするが、2人の間を分かつように、
巨大な柱が倒れ、思うように近づけない。
それでも何とかもうもうと煙が立つ中、ようやくフライヤの近くまで来る事が出来たティファ。
それを確認したフライヤが必死の表情でティファへと手を伸ばす。

ティファはフライヤが必死で伸ばした手を取り、引っ張って脱出させようとしたが、
手を伸ばそうとしたとき、肩に激痛が走り、その余りの痛みに手を伸ばす事ができず、引っ込めてしまう。
それを見て驚愕と絶望の表情を浮かべるフライヤ。
そしてその時、完全な崩壊が始まる、連鎖反応で次々と倒れる柱、壊れる床、降り注ぐ天井、
それらが次々とフライヤの身体に襲いかかっていく。

もはやティファはそこから転がるように脱出するのがやっとだった。
同じ頃、霊廟が崩れる音は離れた場所にいたジタンの耳にも届いていた。
フライヤは自分と違い、慎重で百戦錬磨だ、だから心配無い。
そう自分に言い聞かせながらも、胸騒ぎがする…まさかフライヤに限って…
ともかくジタンは音のした方角へと向かった。

崩壊が収まり、骨組だけになった霊廟の中を恐る恐る覗きこむティファ。
瓦礫の上にわずかに覗く手を発見したティファは急いで瓦礫を取り除こうとするが、
腕がほとんど動かず、さらに握力がほとんど無いのではどうしようもない。

途方にくれるティファの背後から声がする。
「何やってんだ?」
振り向くとそこには銃を構えた金髪の少年がいた。
「ちょうと良かったわ、お願い手伝って!」
相手は銃を構えているが、それどころではない、ティファは構わず大声で呼びかける。

この銃が見えないのか?怪訝な表情ながらも中を覗きこむジタンだったが、瓦礫の上に覗く手を見て、
表情を変える。
「フライヤ!ちくしょうどうして!」
ここで何があったか、そしてこいつがだれなのか、そんなことはどうでもいい、早くしないと。
手の傍らにいたティファを弾き飛ばし、ジタンは大急ぎで瓦礫に取りつき、フライヤの身体を
引きずりだそうとする。
やがて瓦礫は取り除かれ、フライヤを何とかして外に出す事には成功するが…

「そんな!」
「ひどい…」
瓦礫の中から引きずりだされた、フライヤの身体は肉が潰れ、骨が砕け…もはや原型をとどめて
いなかった。
それでもわずかながら息があるのを確認すると、2人は一目散にそれぞれ、ある場所へと走った。
395保管庫5:03/02/23 01:43 ID:5B/Bnt8g

まずジタンはハーゴンの部屋に戻ると、必死でドアを叩き、大声で叫ぶ。
しかし返事が無い、それならばと鍵をこじ開けようとするが中から魔法で鍵をかけてあるのか、
びくともしない。
それでも諦めることなくジタンは必死で扉を叩き、声を張り上げる、その拳はすでに血まみれだった。
「おっさん!頼む、起きてくれおっさん!仲間が死にそうなんだ、開けてくれおっさん!」

一方、ティファは傷ついた身体を押して、砂漠を駆ける。
今、自分の知る限り唯一の回復魔法の使い手である、導師の元へ戻るために。

【フライヤ(瀕死) 所持武器;エストック 現在位置;神殿 行動方針:不明】 
(死の1歩手前です、もし救おうとするならば何らかの大きな代償が必要でしょう
少なくともベホマやケアルガでどうにかなるような状態ではないです)

【ティファ(重傷) 所持武器:星降る腕輪 現在位置:神殿外の砂漠 
行動方針:導師を連れてきてフレイヤを救う】
(現在手技は一切使えません、足技のみです)

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 行動方針:ハーゴン達を起こしてフライヤを救けてもらう】
>>365-367を無効とさせていただきます。
理由については感想スレをご覧下さい。
「ふう〜。いい眺めじゃぁ」
神殿から南に位置する山地の一番高い場所で
ゼニスは何時間も飽きもせず風景を眺めていた。
東を向けば抜けるような蒼い空に透き通るような青白い山々が
いくつも重なって素晴らしいグラデーションいを見せている。
西を向けば鏡のような湖が一望でき、その奥にある森が気分を沸き立たせる。
「夕暮れになればどんな景色が見られるじゃろうか……うわっぷ!」
真っ赤に染まる雪景色を想像していたゼニスの視界が何かによって塞がれた。
「なんじゃ? この帽子は」
周囲を見渡してみたが、持ち主であろう人の姿は見えない。
「風にとばされてきたのか? まあ、頭が少し寒かったし、ちょうどいいわい」
ゼニスは王冠をはずして羽帽子をかぶると、石に座り直した。
ゼニスは日が暮れるまで、ここで景色を眺めているつもりのようだ。

【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 現在位置:神殿南の山地 頂上
行動方針:夕方までのんびりする、神殿へ行く、物見遊山】
おっさん!頼む、起きてくれおっさん!仲間が死にそうなんだ、開けてくれおっさん!」
「やかましいわ馬鹿者ッ!」
ったく貴様は何を考えているのだ?この状況が判ってるのか?大体仲間、うん?仲間?
わしは急いで扉を開けた。
「状況を説明しろ。」
「外の建物が潰れてフライヤが死にそうなんだよ!」
死にそう、か。それは不味いな、不味いが事実を告げねばなるまい。
わしは半泣きのジタンに対してなるべく早口で話し始めた
「通常、眼球の治療は早ければ早いほど良い、」
「目は関係ねーよっ!」
話の腰を折るな。
「その成功率は3時間を過ぎると極端に悪化する。」
「だから関係、えっ」
やっと事態が飲み込めたジタンにわしも水晶球を使いながら沈痛な表情で頷いてみせる。
「マゴットは呪文を唱えられん、わしも可能ならとっくにやってる」
だからこそ、わしは魔法の眠りなどという嘘まで付いてマゴットが眠り続けられる環境を作ったのだがな。
「なんだよ、なんだよそれはっ!おっさんは仲間は助けるって言ったじゃねーかよ!なんかいい知恵は無いのかよっ!」
喚くジタンを無視して水晶球を弄りまわす、スカ、スカ、スカスカスカスカ。
「聞いてるのかよ!」
いきなり胸倉を捕まれる、その時になってやっとわしは当りらしきものを引き当てた。
「その水晶を見ろ」
「ピエール?」
そこに写っていたのはキラーマシーンと戦う魔物の騎士だった。
「『汝にシドーの祝福を』キラーマシーンの自爆コードだ、場所は判るか?」
我ながら分の悪い賭けだ、あの魔物が魔法を使えると誰が決めた?あの魔物をどうやって説得する?
それに主催者側が自爆コードを変更した可能性もゼロではない。
止めにわしのあて=キラーマシーンに殺された者の魂も得られなくなる。
「ありがとよっ!」
だが次の瞬間、ジタンはわしの視界から消え失せていた。

「やれやれ」
改めて現状を確認する、日の傾き具合からして寝ていたのは1時間位か?
ジタンを追って走り回ったせいか足が少し痛むがまぁ何とかなるだろう。
わしは水晶球の視界を部屋の側に合わせた。
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:ピエールと合流、フライヤの治療
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:ハーゴンの執務室
 第1行動方針:見張り
 第2行動方針:授業 、マゴットの治療
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷、気絶) 武器:死神の鎌 現在位置:ハーゴンの執務室
 第1行動方針:ハーゴンから儀式について習う
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
401 :03/02/23 18:23 ID:Ahzw+AQ1
山道を歩いているだけでこうも楽しいものだとは。
子連れの親になった気分だった。傍から見れば本当に親子に見えるかもしれない。
テリーは遠慮なく聞いてくる。
「ねえ、おじさん」
「お・に・い・さ・ん・っ」
エドガーがおどけながらテリーを丸め込んだ。 
えへらと笑っている顔を見ると怒る気もなくなってしまう。
「今度言ったらこうだぞっ」
拳をこつんとテリーの額に当てた。テリーの頬が赤く染まり膨れっ面になる。
だがすぐ元の笑顔に戻ると、腕の中から抜け出てはしゃぎながら坂道を駆け下りだした。
エドガーと出会ってテリーの強張っていた心はほぐれてきたようだ。
(まったく可愛いもんだな)
エドガーは足を止めた。
約束はしたが本当に良いのだろうか。
小さな体に溜め込まれた憎しみをこのまま残らずすくい取ってやりたいと思う。
戦い方を教えることは、それに反するのではあるまいか。

……だが約束は約束だ。
力を制御する術を教えてやらなければなるまい

【テリー/エドガー 所持武器:チキンナイフ/ボウガン&天空の鎧(装備不可)
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 
 強くなりたい/魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する、ティナを探してテリーのお守】


402保管庫:03/02/24 23:09 ID:xURbQiIf
転がるようにティファは導師たちが潜む林の中へと駆けこんでいく。
「ティファさん、その傷は」
「話は後よ、今から私と一緒に来て!」
ティファは導師の手を引き、また砂漠に踏み出そうとするが、ますますひどくなった肩の痛みに、
へたり込んでしまう。
「とにかく治療を…肩の骨が折れてるから」
「私の傷なんていいからっ」
それでもティファは立ちあがろうとするが、導師が肩に手を触れただけでまたへたりこんでしまう。

「今はあなたの傷の方が重要!僕の手も振り解けないようではどうにもなんないよ、話は治療をしながら聞けるから
じっとしてて」
導師は有無を言わさず、ティファを草むらに寝かせて治療を始める。
数分後、上半身をがっちりテーピングされたティファの姿があった。
「いい!しばらくの間は絶対に安静にして動いちゃだめだよ、魔法も万能じゃないんだから」
「でも…それじゃ間に合わない、こうしている間にも、あの人死んじゃうかもしれない」
ティファの呟きに導師は悲しげに頭を下げる。
出来る事なら今すぐ自分だって神殿に行きたい、事情が事情だ。
だが、それでもあの殺人ロボットがいる限り、単独での突破は難しい…ミイラ取りがミイラになっては意味が無い。

そんな中、デッシュは手に持ったメモ帳を何やら確認している。
そこにはこれまでのキラーマシーンの巡回の頻度と間隔が細かく書きこまれている。
「さっき見たんだが、あのロボット、駆動系に損傷があった、今なら腕輪を使えばなんとか
お前の足でも神殿まで行けるんじゃないのか?」
駆動系の話はティファにも思い当たることがあったようだ。
「そういえば行きも帰りも見つかったけど、余裕で振りきれたわね」
それを聞いて導師の顔が明るくなる。
「だったらっ!」、
そのまま飛び出しそうになった導師をデッシュが止める。
「出発はもう少し待ったほうがいい、奴がここから最も遠ざかる頃合を待つんだ」

さらにデッシュは背後の茂みから大きな金属板を導師に手渡す。
「それとこいつも持って行けよ、森で倒したあのロボットの装甲を使って作った盾だ、
 違う違う、手に持つんじゃなくって、背負うんだ」
言われるままに導師は背中に盾を背負う、その姿はまるで亀のようだ。

時間が来た、導師はティファから腕輪を受け取ると、そのまままっしぐらに神殿に向かって走る。

中間地点まで来たところで耳障りな起動音、あいつか。
導師は背後から放たれる弓矢を避けるため、ジグザグに走る、下は砂地だ…転べば終わり。
慎重に足元に集中しながらも全力疾走する、それでも背中に何発か命中し装甲が渇いた音を立てる。

「そうか、だから背中に背負えって言ったんだ」
ともかく、そんな死ぬような思いをしながら、何とか導師は神殿へと辿り着く。
神殿に辿り着いた時点で、キラーマシーンは反転し、また砂漠へと戻っていった。
どうやら神殿内部までは入ってこないらしい。

ようやく一息ついた導師は、中庭目指してまた走り出す、
遠くに何者かが切り結ぶ音を聞きながら。
一方のジタンはピエールの援護に向かうべく、渡り廊下を駆けていた。
廊下はあちこちが刀傷や矢が散乱し、凄まじい激闘を物語っている。
と、その時白いフードの少年が息を切らして、こちらに近づいてくる。

「中庭はどこですかっ!ティファさんに怪我人がいるって聞いて」
「中庭はここから反対だ…違う、そっちじゃない、ああもう俺が連れていってやる」
本来彼が向かわなければならないにはピエールの援護だが、こうしてフライヤを直接治療しに
やってきたものがいるのなら話は別だ。

ハーゴンの考えも今一つ理解し難いものがあるし、
ともかく、やはり見知らぬ魔物の騎士より、仲間の方が大切だ。
ともかく2人は中庭に安置してあるフライヤの元へと走った。

一方、ハーゴンはフライヤのズタズタの身体を水晶越しにひとめ見て、
「あの少年には悪いが、もはや無駄じゃな」
と思わず呟いてしまう、とそこに先程の手はずを破ってジタンが、白いフードの少年を伴って現れる。
少年はそのまま鼠女の傍らで治療を始める。暖かな光が周囲を満たして行くのが分かる。
「ほう…これは意外な収穫じゃわい…直接、力の程を確かめるとするか」
こうしてハーゴンは、マゴットを起こさないようにそっと自分の部屋を出て、中庭へと向かった。

さて、導師であるが、彼は自分の持てる全力を使い、フライヤの治療を試みていた。
暖かな光が中庭を照らす、しばらくしてフライヤの顔にわずかながら生気のようなものが差してくる。
しかし。その光はそれからまもなく急速に小さく消えていった。

「駄目だ…肉体の損傷が酷過ぎて、出来る限りのことはしたけど、これが限界だよ」
その言葉にジタンは激昂し、導師の胸倉を掴んで揺さぶる。
「おい!ここまで来てそんなのありかよ!冗談は止せよ!」
「ごめん、僕の力では無理…それにこれ以上はむしろこの人を苦しめることになるんだよ!」
「お前までそんなこと言うのかよ!、頼む助けてくれよ…そしたら俺、何でもするからさ」

涙ながらに両手を床につき、土下座までして懇願するジタン。
それを見て導師もまた、床に手をつき頭を下げる。
「そんなこと言われたって無理なものは無理だよ!ごめん、僕にもっと力があれば!」
そしてそんな2人の様子を、中庭に辿り着いたハーゴンが神妙な表情で眺めていた。
(やはりこの癒し手、かなりの使い手のようじゃな……)

と、その時先程まで閉じられていた、フライヤの目が開き、その唇がたどたどしくも言葉を紡ぎ出した。
「ジタン、無理を…言うのは止すのじゃ…その少年の言う通り、私はもう、駄目じゃ」
「そんな、そんなことないって!」

ジタンの必死な声に、力無い微笑で応じるフライヤ。
「いや…わかる、ふふ、あいつが呼んでいる…早くそばへ行かせておくれ」
「駄目だ、いくな!…ああフラットレイ、頼むからフライヤを連れていかないでくれ!」

「ジタン…最後に言っておくことがある…よく聞くのじゃ、私がこうなったのは…私自身が招いたこと
これが私の天命じゃ、誰の責任でも…ない」
自分はもう助からない、だがこの目の前の少年が心配でならない、だから良く言って聞かせねば…
冥界にて見守ることは出来ても、もう2度とそばで支えてやることは叶わないのだから。
「だから誰も恨んではならぬ、憎んでもならぬ…心正しく…生きるのじゃぞ…さぁ
もはや助からぬ私のそばに居ても意味が無い……お前は…お前のすべき事を、するのじゃ」
それからフライヤはジタンの傍らに立っている導師にも、ねぎらいの言葉をかける。
「そこの少年、私に最後の時間を与えてくれて、感謝の言葉も無い…お主はよくやってくれた
己の非力を悔やむでないぞ」
ああ、この女性は死を目前にしてなお、他人を思いやれる心を持っている。
こんな気丈で高潔な人をこのまま見送る事しかできないなんて!
導師はただ、その場に跪き、嗚咽を漏らすことしか出来なかった。

そして、静かな微笑をたたえていたフライヤの表情に変化が訪れる、いよいよその時が訪れたのだ。
まだ言わなければ、伝えなければならぬことはたくさんあるというのに…
断末魔の苦痛がフライヤの全身を駆け巡る。血泡をごぼごぼと吐きながら彼女は懇願する。
「さすがに苦しくてたまらぬ…ジタン、とどめを、後生じゃ」
「いやだ!そんなこと言うな…なぁ、冗談だろ、嘘だって言ってくれよ、フライヤ!」
「うつけ者め……」
一方、ハーゴンであったが、彼はなにやら周囲を気にしている。
(集まってきおったか)
なかなか、感動的な見世物だったが、そろそろ閉幕の時間が迫っているようだ。
彼の目にはフライヤの断末魔を喰らおうと群がる悪霊の類がはっきりと見えていた。

「目を覚ませ!その女をお前の友人のようにしたいのか!」
(魂を喰われてしまう上、後始末が面倒じゃからのう)
ハーゴンの言葉で、ジタンの脳裏に生きながら物言わぬゾンビとなって、朽ちていったビビの姿が甦る。
このままだと……フライヤも…

ジタンの身体ががたがたと震える、硬く握り締められた拳から血がぽたぽたと流れる。
どれくらいそうしていただろうか、ジタンの身体の震えが止まったその時。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
ジタンは凄まじいまでの叫び声を上げると、仕込み杖を抜き、それをフライヤの胸に突きたてる、
心臓を貫くわずかな手応え。
そしてフライヤはもう1度だけ微笑を浮かべ、静かに目を閉じていった。

その様子を見ても、誰も声を発しようとはしない、導師もハーゴンですらも、
ただ、フライヤの亡骸にすがりつく、ジタンの泣き声だけが中庭に響いていた。
【フライヤ:死亡】(残り56人)

【導師:所持武器:天罰の杖 星降る腕輪、盾(キラーマシーンの装甲を利用) 現在位置:神殿
 行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2現在位置:神殿 
 行動方針:最終的な目的はゲームの破壊】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 行動方針:不明】

【ティファ(療養中) 所持武器:無し 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
 行動方針:傷を癒す】(夕方の放送時までには回復)

【デッシュ 所持武器:なし 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
409保管庫:03/02/24 23:23 ID:8pfsozC4
「ってわしは何をやっとるぅぅぅぅぅ!」
わしの計画の鍵はマゴットなのだぞ?無防備なマゴットを放っておいてどーする!
「おっさん?」
「頭、大丈夫?」
はっ
いかんいかん、わしとした事が随分と取り乱してしまった様だな。
「ジタン、すまんがマゴットの警備に戻ってくれ、わしも後から追いかける」
「あっ、何やってんだよおっさん!」
「いいから急げ!」
全くその通りだから言い訳もできぬ、一体わしはどうしてしまったと言うのだ?

おっさんも早く来いよっ」
そう言い残してジタンはわしの執務室へ戻って行く、わしも歩いて執務室に
チィーン
ああ、そいえば様子を見る傍ら首輪の研究もするべく首輪を出しておいたのだったな、全く今日のわしはどうかしている。
「ねえ」
「うん?」
何じゃ猫耳?
「それ、首輪だよね?」
「そうだな。」
何を今更。
「どうやって手に入れたの?」
「死体の首をはねた」
ほんの僅かに猫耳の身体が震える、貴様もこの状況を理解しとらん口か?そうでもしなければ手に入らないだろうが。
「あ、あの、それ譲ってくれない?」
「貴様は馬鹿か?」
視線でフライヤの死体を指してやる、勿論その首にはしっかりと首輪が付いている、
最もわしにはジタンとの義理が有る為回収不能なのだが。
「ええっ!い、幾らなんでもそれはちょっと」
「ふむ」
成る程な、自分の手は汚したくない、しかし首輪は欲しいという事か。ならば
「渡しても良いぞ」
「やったぁ!」
「ただし、こちらの要求も聞いてもらう、付いて来い」
首輪を懐にしまう。
「首輪が外れる様になったら教えるからいいでしょ?」
「素晴らしい提案だ、で、次のフィールドの何処で落ち合う?」
ザックから突き出ている杖を取り出す。
「じゃあ、危険な機械人形の情報は?」
「あれは主催者側に取られたとはいえ、元々わしが作った物だ、
キラーマシーンの情報ならその妖しげな腕輪と交換だな」
それから悠々とこちらの条件を見事に縦線の入った猫耳に告げてやる。
「別に無茶を言うつもりは無い、人を1人治せば良い」
411保管庫:03/02/24 23:27 ID:8yp7liJn
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:見張り
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
※ハーゴンの執務室に移動

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿
 第1行動方針:マゴットの治療
 第2行動方針:授業 、
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師:所持武器:天罰の杖 星降る腕輪 現在位置:神殿
 行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】
※ジタンより遅れて執務室に移動してます
412Z保管庫:03/02/25 22:19 ID:Pz1k6JJC
研究室でエビルマージは水晶球を弄んでいる。
そこには2人、いや1人と1匹が映っていた。1人の方は息を潜め、銃を構えている少女
確か名前はセーラと言ったか、そして1匹は劣勢でありながらも必死で機械人形と戦っている。
「ピエールとやら、スライム族にしてはかなりの強者だが、勝負はついたな」
エビルマージの呟きと同時に、一撃を受け、窓を突き破り外へと叩き落とされるピエールの姿が映る。

「叔父上もなかなか洒落た事をなさってくださる、さて、どちらを使うとしようか」
そう1人ごちて、席を立つエビルマージ、机に置かれた水晶には、
再び不届きな侵入者の探索に戻るキラーマシーンの姿が映っていた。

導師とハーゴンは、いろいろと話しながら長い廊下を歩いている。
「で、お前の本名は何だ」
「導師でいいよ、僕の名前凄く長くって、その上発音が難しいんだ」
「そうか、なら遠慮なく導師と呼ばせてもらうぞ」

と、そこに耳障りな起動音が響く、その音に導師はひっ!と声を上げて頭を抱える。
一方ハ−ゴンは余裕の表情だ、続いて姿を現したキラーマシーンを見ても動じない。
ハーゴンは両手を掲げ、コードを唱えようとしたのだが…
だがキラーマシーンのボディ全体に刻まれたルーンを、それは非常に小さく細かな文字だった上、
ボディの色と同色で書かれていたため、水晶越しでは分からなかった、を発見したとき。
「いかん!逃げるぞ!」
ハーゴンはコードを試すことなく踵を返し逃げ出す。
413Z保管庫:03/02/25 22:20 ID:Pz1k6JJC

導師は腕輪の力でぐんぐん加速していく。ハーゴンも必死で走るが追いつけない。
「ワシを置いていくな!」
キラーマシーンは容赦なくハーゴンへと迫る、ボウガンの矢が切れているのが幸いだった。
もし残っていたら、今ごろ成すすべもなく蜂の巣だろう。
「ええい、ままよ!ピオリム」
やけくそでハーゴンはかつて何度かマゴットが使った呪文を見様見まねで唱えていた、
すると実際の効力の半分程度だが確かにスピードが上がった、これならば逃げ切れるやも。

2人はまさに全力疾走で神殿から逃げ出し、ひとまず砂漠へと出る。
不運に不運が重なり彼らの逃げ道には一つも階上に上がる階段が無かった、
したがって外に逃げる以外に選択肢は無かったのである。
そして神殿からある程度離れた砂漠の中ほどで、突然、導師が立ち止まる。

「ああっ!大事な事忘れていた」
「今度は何じゃ!」
「外にもアレと同じなのがいるんだよう」
「それを早く言わんかーっ」
2人がそんなやり取りをしている間にも、何処からともなく特有の起動音が風に混じって
聞こえて来るのであった。
414Z保管庫:03/02/25 22:21 ID:Pz1k6JJC
その頃、ピエールはその身体に何本もの矢を突きたてられ、致命傷ではないにせよ、
幾つもの刀傷を刻まれた無残な姿で、神殿へと戻っていた。
「わ、私はまだ……死んではおらぬ…まだ死ねぬ」
フローラも、ビビも守ることは叶わなかった。誰かを守ることが騎士の勤めならば。
私は間違いなく騎士失格だ……だから今度こそ必ず……、
彼の脳裏にフライヤの姿が映る、頼む、生きていてくれ、そうすれば私はまだ戦える。
例え満身創痍でも、戦う力が得られる、まだ騎士でいられる……。

しかし……。
無常にも中庭に入った彼が見たものは、ボロボロに傷ついたフライヤの亡骸だった。
ピエールはふらふらとその亡骸に近づく。
「何故だ…神よどうしてなのです……何故、私にこれほどまでむごい仕打ちをなさるのです」
仇を討たねば、という気持ちはすでになえてしまった、そんなことをしたところでいまさらどうなる。
もう駄目だ、もう自分は生きる理由を失ってしまった、これ以上の生は苦痛でしかない。

ピエールは珊瑚の剣を自分の喉元に突きつける、そして一気に喉を貫こうとしたとき。
「ストップ」
不意に聞こえた声と同時にその身体はぴくりとも動かなくなった。
続いて、彼の目の前に何者かが現れる、緑色のローブに覆面…そう、その正体はエビルマージだ。
415Z保管庫:03/02/25 22:28 ID:78g5GtDq
ひとまずエビルマージはピエールの手から剣を取り上げ、それから呪文を解除する。
「き……貴様は…」
まさに悪魔を見るような眼で睨むピエール、しかしエビルマージは動じない。
「別に死にたければそのまま死ね、私は一向に構わぬ……だが、このまま死ねば貴様は
騎士としてではなく、誰も救えなかった、ただの負け犬で終わる事になるぞ」
負け犬、その言葉にピエールはわずかに動揺する、つい先程捨て去ったはずの騎士のプライドが
刺激される。
そんな様子を満足げに眺めながらエビルマージは続ける。
「貴様にやりなおす機会を与えてやろう、望むのならば」

「条件は一つだ、ここからまっすぐ大廊下を進んだ左の突き当たりの部屋で眠る娘の
首を取って来い、さすればお前に力をくれてやる…もう2度と誰かを失うことの無いほどの力をな」
「だっ!誰がそんな!」

「他者の命を奪う事に抵抗があるか?だが逆に私が問うが、貴様も誰かを守るという騎士の使命のため
幾多もの命を奪ってきたのではないのか?、そう、これは定めなのだよ、生きとし生ける者全てにおいて
平等なルールだ」

このスライムがどちらを選ぼうが別段どうでも良い、失敗すれば変わりを選ぶそれだけだ。
余裕の表情でエビルマージはメフィストフェレスのごとく、ピエールに選択を迫る。

「どうする…重ねて言うが私はどちらでも構わぬのだが」
416Z保管庫:03/02/25 22:29 ID:78g5GtDq
【導師:所持武器:天罰の杖 星降る腕輪、盾(キラーマシーンの装甲を利用) 現在位置:神殿近くの砂漠
 行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2現在位置:神殿近くの砂漠 
 行動方針:最終的な目的はゲームの破壊】

【ピエール(重傷) 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:不明】 

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿
  第一行動方針:ピエールたちから逃げる
  第二行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
「ど、どうしようかおじさん?」
「どうもこうも勝つ以外にあるまい」
幸い近付いてくるキラーマシーンの機動音にはやや奇妙な音が混じっている、恐らく長い間放置した為何処かが故障したのだろう。

おぼろげにキラーマシーンの姿が見え始める、震える導師に勝ち方を囁いてやる。
「腕の付根が壊れかかっている、あそこを破壊して中央に一発決めれば勝ちだ」
「唱えてる間に蜂の巣になっちゃうよ!」
「そうか、時間さえあれば勝てるのだな」
素早くランタンを取り出し火を着ける。
「回復呪文1発、その呪文2発、素早く動ける呪文人数分+1、今から1時間以内にいけるか?」
「できるけど?」
ならば良し!
「合図をしたらわしを素早くしろ、隙を作るから叩き込め」
「どうするつもり?」
「プロトタイプには一つだけ欠点がある、頭が悪い」
手の内は全て知っている、加えてあの程度のスピードならわしにとってはスライム以下に過ぎん。

わしは走り出す、キラーマシーンはより活発に動くわしに狙いを付ける。
「中身を書き換えてはいない様だな」
無論走った程度でキラーマシーンを振り切れる訳が無い、わしはキラーマシーンの周囲を回る。
キラーマシーンはわしの胴体に狙いをつける、発射まで後3、2、1
「今だ!」
「ヘイスト!」
急に周囲の風景が加速する、ジタンに似た呪文を使った時はこの一瞬で致命傷を与える必要があったが今回は逃げるだけで良い。
キラーマシーンはその直後にわしのいる筈だった空間に空しくボウガンを発射する。
「我ながらつまらぬロジックを組んだものだ」
丁度導師の正反対の位置で停止する、現在キラーマシーンのセンサーに写ってるのはわし1人だ。
戦闘モードのキラーマシーンは温度のある物、活発に動く物に反応する、つまり
「取って来いポチ」
などと言いつつ投げたランタンに迷わずボウガンを発射してしまうのである。
がら空きの背後から導師が己の生命エネルギーを直接叩き込み、(ホーリーというらしい)キラーマシーンの腕がもげる。
これでキラーマシーンの武器はボウガンのみ、わしもランタンを失った。
更に裁きの杖を引き抜きつつ移動する、キラーマシーンも対応して導師に腕の付根を晒す
刀があれば斬りかかる筈のスピードと間合いだが今なら此方から仕掛けない限りキラーマシーンはボウガン以外の選択肢を取らない。
後はボウガンの発射に合わせて竜巻を作り、導師が付根に攻撃し、キラーマシーンは轟音と共に四散した。

「さてと、戻るぞ。」
「ち、一寸休んでいかない?」
導師は肩で息をしている、ここまで走りっ放しだった上に強力な呪文も連発しているから無理も無い、正直わしも些かつらい。
「それは構わんが今の音は確実に周囲に聞こえているぞ、こんな遮蔽物の無い場所で狙撃を喰らったら一たまりも無いが?」
再び導師の顔に縦線が入る。
「頑張ります…」
わしと導師はヘイストを使って神殿へと戻り始めた。
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失、) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿近くの砂漠
 第1行動方針:マゴットの治療
 第2行動方針:授業 、
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師:所持武器:天罰の杖 星振る腕輪  現在位置:神殿近くの砂漠
 行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】
※執務室へと移動開始

※キラーマシーンBとハーゴンのランタンが破壊されました。
呼吸を落ち着けて、追って来る者がいないか聞き耳をたてる。
足音は聞こえなかった。神殿は、いつもの静寂を取り戻したようだ。
セーラはほっと、安堵の溜息をもらす。そして、周りを見渡した。
「適当に走ってきたけど、ここ、どこなのかしら」
見渡す限り、ゴミや鉄屑の山、山、山。
「酷い臭いね。こんな所、もう一秒だっていられませんわ」

「待ってください!セーラ姫!!」
不意にかけられた男の声に、部屋から出かけたセーラは思わず振り向いた。
春のうららかな光のさす花畑に、騎士の鎧を纏った男が立っていた。
男はかぶっていた兜を脱ぐと、セーラに微笑みかけた。
「ずっと、貴方を探していたんだ。姫」
「あなたは…、あなたは私の騎士様なのね?」
あふれ出る涙が抑えられない。セーラはゆっくりと男の方に近づいていく。

「ずっと貴方様を探しておりましたわ」
セーラは男の胸に頬を寄せ、体を預ける。
「知っています。私なんかの為に、危険な事をされていた事を」
男は両手をセーラの背中に回し、抱きしめた。
「どうしてそのことを…」
男は微笑んで、自分の後ろを指差した。
そこには、先程セーラを追ってきた人外の化物達が、光り輝く長槍に貫かれて絶命していた。
「貴方を殺そうとしていた下郎共も、貴方をこんな目にあわせた主催者共も、
全て殺して参りました。そのために貴方を迎えに来るのが遅くなってしまいました」
男はセーラの首に手をまわし、首輪を外した。
そして、一歩後ろに下がると、セーラの足元に跪いた。
セーラは男の言葉と、久しぶりに感じた開放感に驚いた。
「立って下さい、騎士様」
「貴方は私を許してくださるのですか? 貴方を多くの危険に遭わせてしまったのに…」
「いえ、私は、貴方に会えた事だけで…」
「姫、私も、ずっと貴方に…」
それ以上二人の間に言葉はいらなかった。桃色の花畑の中で、二つの影が一つに……

「うふふふふふっ。きしさま〜〜」
「なんてアホな夢をみておるんじゃ。こいつは」
瓦礫の山の上で、幸せそうな顔をして眠っているセーラに、
ついつい夢を覗き見てしまったアークマージは溜息をついた。
「適当に組み立てたが、なかなかうまく働いてくれたな」
アークマージは手にもった機械のスイッチを切った。
「こんな神殿にも、面白い装置があるものだな」

「しかし、ここまで引っかかるとは…。
まあ、良い。もう二度と目を覚ます事はないのだからな」
そう言うと、セーラの体を中に浮かせ、鉄屑の山の影に作った魔法陣の中心に据える。
「わしがお前の体を、お前よりも有効に使ってやろう」
アークマージはゆっくりと呪文を紡ぎ始める。徐々にアークマージの体から湧き上がった
怪しい霧が、セーラの体へと吸い込まれていく。
「―――やはり、器が小さいな。魔力が半分も入らんかったわい」
目を覚ましたセーラはゆっくりと腕を伸ばしたり、曲げたりしている。
「残った魔力はこっちの体に置いといて、他の器を捕まえてくるしかないのう」
そう言うと、セーラは死んだように眠っているアークマージに呪文をかけて、
他の人間に見えないようにした。
「もう少しマシな器がみつかるといいんじゃがな」

そしてセーラはゆっくりと目を閉じると、自分の意識の中心にいる「何か」を確認した。
「自我を消去するには時間がかかるからな。
 まあ、仮に目を覚ましてもわしの自我を上回る事は無いじゃろうて」
セーラは一通り高笑いをあげ、あさっての方向に中指をおっ立てた。
「待っていろエビルマージ!!貴様の計画などこのわしが捻り潰してくれるわぁ!!!」


【セーラ 所持武器:ブレイズガン 神殿内限定幻影制御装置 現在位置:神殿の廃棄場 
  第一行動方針:より良い体を探す
  第二行動方針:エビルマージの計画を潰す】
「ハア、ハア。…なんとか、逃げきれたわね」

スイマセン。一番上にコレが抜けてました。
424保管庫:03/02/26 22:15 ID:S50p45Gf
人の寄り付かない山地に響く二つの声。 その間を埋めてからんからんという
乾いた音が聞こえてくる。
「よしっ、いい太刀筋だ。経験ありか?」
エドガーが手に持った棒切れを、同じくテリーの握る棒切れにつばぜり合いの要領で重ね合わせる。
背の低いテリーは上からかかる力を押し上げる形となった。
「友達が剣の達人だった! それを見ていたんだ」
テリーが子供ながらに気合の声を上げ、エドガーを押し返そうと踏ん張った。
「甘いなテリー」
エドガーが腕に力を込め、胸よりも下にいるテリーをぐっと押さえつけた。
「うわっ」
たまらずテリーは膝を曲げて地面に尻を貼り付けてしまった。
エドガーはニッと笑った。「よーし、ここまでっ」

一休みということで二人は手頃な岩に腰かけた。エドガーは
テリーが手を擦り合わせて息を吐きかけている
「なかなか動きは良かったんだが、最後のあれはまずかったな
 上から押さえつける力と下から押し上げる力なら、どうしても上からの方が有利だろ?
 もう少し背が伸びればまた違うんだがな……」
テリーが岩から飛び跳ねて足元にある木の棒をまた拾う。
「じゃあもう一回やろう」
めげている様子は感じられない。エドガーは逸るテリーの頭をポンと叩いた。
「待て待て、そんなに急ぐことはないんだ。少しずつ上達させていけばいい、わかったな」
テリーは不満そうにしながらも、やがて棒切れを捨てると
「わかったよ、おじさん」と笑った。
「やれやれ、またか」
エドガーもまた笑う。
まさかこの笑顔がすぐに過去のものになろうとは二人とも予想できなかった。
誰かが近づいてくる足音が聞こえてきたのだ。
425保管庫:03/02/26 22:17 ID:S50p45Gf

足音はぴたりと止まった。この出会いは宿命だったと言える。

「……」
アルスにとっては初対面だが、傍らの二人には運命の再開に他ならなかった。
「エドガー、ね?」
ティナの声は歓喜に満ちていた。これほど嬉しそうなティナは滅多に見られないだろう。
アルスはエドガーを羨ましく思った。
その横でバーバラが不思議そうにつぶやく。
「あれテリーだよね……? どうして縮んじゃったんだろう」
アルスは言い知れぬ胸騒ぎを感じて、ふとティナの方を見た。 
その顔にはまるで血が通っていなかった。

エドガーは内心の動揺を完全には隠せなかった。
予想外だ、名前を呼ばれてはかなわないな……。
「あいつを知ってるの、おじさん」
テリーの笑顔は粉微塵となって空に掻き消えていた。
潜めていた憎悪を噴出して、鋭い眼光をティナに向けていた。
今にも飛び出してナイフを振りかざさんとしているのがわかる。
完全に本気だった。
「ふう……」
上手く立ち回れば丸く収まるかもしれない。そのために漠然とではあるが考えていた作戦はある。
だが本気の者に偽りの心で相対するのは無礼となろう。
エドガーは真っ正直にいこうと決めた。 
「ああ、仲間というやつさ」
そう言ってティナにウインクする。 ティナは悲しそうに儚げな微笑を浮かべた。
テリーは体を震えわせてエドガーを睨んだ。
「ごめんな、出会う前に本当は言うべきだった」
426保管庫:03/02/26 22:18 ID:S50p45Gf
ティナは重々しい口を開いた。
「あの時の子ね。 ……片時も忘れたりしなかった」
テリーが拳を握り締めて一層憎しみを込めた目をする。
突然現われた敵に対して言葉が出てこないようだった。
だがその目が物語っている。 よくも言えたものだな、と。
青地の服が風でなびかれ、テリーの心の荒波を表している。
子供に気圧されそうになる自分を認めざるを得なかった。人の王たる者が何という様か。

「テリー、誓いの言葉は覚えているかい」
エドガーは飽くまでも冷静さを失わずに努めようと、あの三ヶ条を唱え出した。
「一つ、その女の子に出会ったら……」
絵本を読んでやるようにゆっくりと言葉を紡ぎだす。
エドガーが一条読み上げる毎にテリーは首を横に振り続けた。 
上気した顔は、もはや話を聞こうという意思など持ち合わせていないのか。
それでもエドガーの口が休まることはない。
「君はまだ未熟。はっきり言って勝敗は見えている。 
あの子に本気を出してもらおうがもらわまいが関係ない。 勝てないんだよ、テリー」
テリーはどうしていいかわからないといった風にたじろぐ。
エドガーは語気を強めて言った。
「やめるんだ。君のような子供に人殺しなどさせたくはない」
テリーがチキンナイフを頭上にかざした。 
「もう普通の子供じゃなくるんだぞ!」

「いやだっ、いやだいやだっ!! おまえなんか、お前なんかー!! 」
テリーがついに走り出した。ティナの真っ正面、穴だらけの斜面を小さな足踏みで、
心の中に大きな憎しみを持って。
バーバラがヒステリックな声を上げた。腕組みしていたアルスはもう間に合わない――
427保管庫:03/02/26 22:22 ID:kOMNh886
ティナは受け止めるかのように立ち尽くしていたが、ナイフが体に届く距離まで近づいた瞬間、
弾かれるように横に飛びのいた。
突然目標を失ったテリーは勢いのあまり前倒れになって頭を打ちつけた。 
赤い血が色白い額に滲んでいた。
ティナが思わず声をかけたようだ。
「無理よ、あなたはまだ小さすぎる」
うぅぅぅおおおおおお!! 猛獣が発したかと思えるような唸り声。
いよいよ殺気だった顔立ちがティナを射抜いた。 子供のものとは思えない。

「よすんだ! 復讐したって何も生まれないよ!」
ずっと見ていたアルスが駆け寄ろうとする。
「アルス、いいの」
ティナはテリーのそばに立つと、手からこぼれたチキンナイフを拾い上げた。
「私があげたナイフ、きっとあなたの憎しみを吸っているわよね」
テリーは悔しさのためか涙まじりでティナを見上げた。
「私にできるのは、これくらいしか無いけれど」
チキンナイフをいきなりティナは自分の左腕に突き刺した。
ティナの顔が苦痛に歪む。
「ティナさん……」
 アルスが、バーバラがその光景を見て立ちすくんだ。

「あなたの痛みの百分の一でも感じることができれば……」
 ティナが勢いよくナイフを腕から抜き取った。鮮血が舞い、冷たい地面にぼたぼたとこぼれ落ちた。
きょとんとして焦点を失った眼差しを向けるテリー。身動き一つしようとしない。
だが手を差し伸べようとすると、怯えた表情を浮かべて地べたに座ったまま後ずさりする。
「聞いて。本当にあなたに殺されてもいいと思った。 気が済むならそれでいいと思ってた。
 でも、それじゃあなたが……」
ティナがまた一歩、近づいた。
「うっ、うわ うわぁああああん!!」
テリーは喚き叫びながら地面を蹴りつけ体を起こすと、後方にすっ飛んでいった。
「驚かすつもりじゃ……」
428保管庫:03/02/26 22:23 ID:kOMNh886
「テリー! 追わなくていいの!?」
バーバラの促す声に、暫し呆然としていたエドガーが我にかえる。
「あ、ああ……しかしティナが」
エドガーは振り返った。ティナはうずくまり苦しそうに左腕を押さえている。
溢れ出した血が赤い水溜りを作っていた。
バーバラが駆け寄り、震えているティナを押さえつけ矢継ぎ早に呪文を唱える。

エドガーは自分自信に憤っていた。ティナにしてやれることが何もないこと、
そしてテリーを暴走に導いたのが自分であるという責任のために。
テリーが走っていった方向に目を凝らしてみたが、岩陰が障害物となって既にその姿は見えなくなっていた。
ちいっ、どっちつかずだ…
アルスがエドガーの気分を察知したのか、なだめるように言った。
「大丈夫。レミラーマの杖があるから見失っても」
ガチッ、ガチッ 反応がない。アルスの顔が青ざめた。
「まさか、もうそんな距離を?」

「ううっ」
ティナか細い声が耳に届いた。 その声を聞くとエドガーはここを離れるのを躊躇してしまう。
アルスが声を上げた
「僕が探してくる! 何とかして見つけるから」
「待って!」
ティナが叫んだ。 呪文を唱えていたバーバラがびくっと体を震わせる。
「ダメ……あの子とわかり合えることは絶対無い。 連れてきても私を殺せずに苦しむだけ……」
バーバラはティナの顔をじっと見つめた。
「考えもしなかった。あんな子供がいるんだって。 あれほどの憎しみを抱く子供がいるだなんて……
429保管庫:03/02/26 22:24 ID:kOMNh886
ティナの目から涙が溢れ出す。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
突然、ティナは泣き出し地面に突っ伏した。 ごめんなさい、ごめんなさい……声は連続する。
バーバラが困った顔をしながらも呪文の詠唱を続ける。
「俺たちに謝ることはないだろう。 
 ティナの気持ちはわかるさ。テリーに人を殺させたくないと思ってのことだろう?
 優しすぎるんだ、ティナは」
エドガーは優しく声をかけたのだが、
「違う! 違うの。もっと、私は……自分勝手で」
ティナは涙でうるおった声で叫んだ。
「私、わたし……あの瞬間、ナイフを持って走ってくるあの子を見たときから、死にたくないって思ったの。
 殺されてもいいなんて言いながら、恐くなったの。嘘をついたの。
 私は臆病者なのよ……」

あとはもうティナの嗚咽する声が響き渡るだけであった。
エドガーは近づきティナの傍らに立つ。バーバラもエドガーの言葉を待っているようだ。
エドガーは頷いた。
「それなら尚更だ。何故謝る必要がある、当然じゃないか。好き好んで死にたがる人間がいるものか。
 誰だって、それは同じだ」
エドガーはそっとティナの肩を抱いた。
少し離れているところで見ていたアルスも納得顔であった。

しばらくそのままで時は過ぎた。 四人を急かせるように冷たい風が音を立てて吹く。
やがてティナの腕の傷が癒えると、バーバラはすっと立ち上がった。
「あたしテリーを探しにいくわ。 知ってるテリーと少し違うけど、やっぱりあれはテリー本人みたい。
 あ、心配しないで。 ここに連れてはこないから。 だから」
バーバラは眩しいくらいの笑顔を浮かべて
「さようならっみんな。
 あっと、これじゃ何だか不吉か。 ……よし、やっぱりこうか。
 また会おうねっ」
バーバラはそういい残してテリーを探しに行ってしまった。
エドガーはテリーとバーバラの幸運を祈るばかりであった。
430保管庫:03/02/26 22:28 ID:weesTR+S
【テリー所持武器:なし 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地から南の平原の方へ
行動方針:わけもわからず逃げる 第二行動方針;謎の剣士の敵(ティナ)を取る、強くなりたい

【エドガー:所持武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可)
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 
 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する、】
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 、チキンナイフ
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 
 行動方針:仲間を探す】

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 行動方針:テリーを探す】
431保管庫2:03/02/26 22:29 ID:weesTR+S
山脈の連なる歩くのも困難な場所を、テリーは無心に駆けていた。
麻痺した心は、幾重にも立ちはだかる障害物をものともせずに突き進ませる
何度も小さな岩につまづいて転びそうになったが、その度に小さな手を支えに踏みとどまった。
手は血が滲んで無数の傷を作っていたが、感覚も遠ざかっているのか痛みは感じていない。
大斜面を駆け下りると、目の前が開けてきた。
荒涼とした砂漠が寒空の下に広がっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
休むことなく走り続けたので心臓が激しく高鳴っている。テリーはもう動けず立ち止まった。

「みんな嫌いだ。みんな、どいつもこいつもいやな奴だ」
自分は何も悪くないといった風にテリーは吐き捨てた。もう嫌な奴と一緒にいなくていいという気持ちが
一瞬の安心感を生み出した。
でも何故か堪えられずに涙があふれ出した。
どうして泣いてしまうのかわけもわからず、テリーは手で涙を拭った。


走っていた間はよかったが、こうして足を止めると寒気を覚える。
流れていた汗は、身体の熱を奪う冷たい雫となりテリーの体を震えさせた。
432保管庫2:03/02/26 22:30 ID:weesTR+S
「あう…寒い」
かなり疲れていたので走って熱気を取り戻すことはできない。
だが立ち止まっているよりはマシかと思い、テリーはとぼとぼと歩き出した。
砂に足を取られ、山を下ったときよりも重みを感じる。
ほんの十歩ほど歩いたところで風が吹いた。
「ううう……」
普段なら軽いものだと気にも止めない風が、今はデュランの放つ凍て付く波動のように体にこたえた。
負けないように一歩一歩確かめて、テリーは大地を歩いていく。
楽しいことを考えていれば頑張れる、テリーは懐かしい不思議な世界に思いを巡らせた。
タイジュの国に帰ったら、わたぼうのふかふかな毛に飛びつくんだ……
マルタの国にもまた行きたいな。いつもあそこは夏みたいに暑いもんなあ。
牧場のみんな、いま何してるんだろうな……

砂漠地帯を越えた先はうっそうとした草木がまばらな平原だった。
更に先は草一本生えそうも無い地の果てのような荒野だ。
ゴオォォォッ 強烈な横風が吹き荒れた。
思わずテリーは身を固くしてうずくまった。耳をつんざく爆音のように聞こえる風の音。
テリーの表情が強張っていく。どこまでも続く冷淡な情景がテリーの心を変えていった。
……やっぱりあいつは許せない。
温かに溶け始めた心が再び凍りだす。同時に怒りを奥底から呼び戻した。
テリーが見た敵――ティナの最後の姿。左腕から流れる血の色、気を高ぶらせる紅蓮の赤。
あの光景はもはやティナの見せた優しさではなく、自分に対する挑戦だとしかテリーは捉えられなかった。

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
「あのヒヒじじい、余計な事を」
あのまま大人しくスクラップ置き場でくすぶっていればしばらくは見逃してやったものを、
肉欲目当てで襲うのならまだしも、参加者に憑依するのはいくらなんでもやりすぎだ。
そんな内心の焦りを、おくびにも出さず、エビルマージはピエールへと厳かに告げる

「まぁ、良く考えることだ、このまま単なる哀れな魔物で終わるか、それとも己の手を汚してでも
 再起に賭けるか」
黙り込んだまま、わなわなと身体を振るわせるピエールを残し、エビルマージは姿を消して
スクラップ置き場へと向かった。

スクラップ置き場までは特に何事もなく辿り着く。
その扉を明けた瞬間、おびただしい魔素が溢れ出す。
「このような場所で魔法陣を……」
精神憑依の魔法は多大な魔力を使う、その痕跡がここにはまだありありと残っている。
「身体だけ隠しても無駄ですよ……」
その残り香をたどり、エビルマージはゴミの山を掻き分けて行く。
案の定、エビルマージの足元になにやら柔らかいものが触れる。
「シャナク」
呪文が効力を発動し、エビルマージの足元に眠りこけるアークマージの姿が現れた。

他者の肉体に完全に精神を移植させる、そんなことはいかに魔族でも不可能だ。
噂では高位の竜族は転生することで知識や記憶をある程度、保つ事なら出来るらしいが、
それでももう1度赤ん坊からやりなおす事になってしまうし、新たな環境の中では、
本来の人格は失われる可能性が高くなる。
肉体が滅べば精神もまた滅ぶ、万物に対してのその大前提は決して覆らない。
少なくともエビルマージが考える限りでは。
ともかく今、アークマージの命は、完全にエビルマージの手中にあった。
わずかに脈打つ心臓、1突きすればそれで終わる。
エビルマージは無言で短剣を振り上げるが、その時ふと一計を思いつく。
それはまさに妙案だった、もしかすると自分はトンでもない事をしでかしたと後で思うのかもしれないが、
少なくとも今は名案に思えた。

エビルマージは短剣を引っ込めると、かわりにアークマージのローブに火をつける。
それから数分後……
「うわっちゃっちゃっちゃ!」
中身がアークマージのセーラが転がるようにスクラップ置き場へと戻ってくる。
胸をはだけ、スカートを半分ずり下ろしたその姿を見て、エビルマージはこの老人が、セーラの身体で
何をしていたか、瞬時に理解した。
(この下衆が……)

この一族の恥を、今すぐ殺してやりたいところであったが、ここは我慢だ。
エビルマージはアークマージがこちらに気がつく前に、土下座し大声で詫びるのであった。
「叔父上!お許し下さい!」
「ゾーマめの監視がきつく、ついあのような真似をしてしまいました!本気でかからねば奴らの目を、
 ごまかせないと思いましたので!」
アークマージは何が何だか、という風にきょとんとしている。

「生半可な攻撃では叔父上には勝てぬと思い、本気を出させていただきました!
 しかし叔父上、あの小娘には遅れを取ったとはいえ、お強い!、いやあの小娘とて本来は
 叔父上の研究の成果!改めて感服いたしました!」

性欲ばかりが先走った、その衰えた頭脳では甥っ子のヨイショ攻撃に対抗はできなかったらしい。
「おお、そうかそうか、ワシは最初からとうに見抜いておったぞ、くくくワシは良い弟子を持ったわ」
アークマージはたちまちご満悦となり、だらしない笑顔を浮かべる。
「しかし安心してはいられませんぞ、叔父上は疑われておりまする、お逃げ下さい、出来るだけ目立たぬように」
「そうじゃ、大事な身体でのう、自重せねば」
エビルマージは毒々しい赤色のキメラの翼を数枚手渡す。
「私はともかく、ここでは移動系は使えませぬ、これを……」

「ようやってくれた、当然じゃがの!これからもワシに尽くせ、さすれば世界の50分の1くらいならくれてやるでの」
(下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、)
今、この場で縊り殺してやりたいのを必死でこらえながら、震える声でエビルマージは頭を下げる。
「有り難き……幸せ」
「では早速逃げるとするか、ああそれから今度会うときはワシの下半身を作りなおしてくれよ、この娘を
 犯しそこなってしもうたわ、ぐふふふ」
こうして捨て台詞を残し、アークマージは去って行く。

その姿を見送りながら、エビルマージはようやく一息つく、あと数秒奴が立ち去るのが遅ければ我慢できず、
この場で殺していたであろう、だが。
これでよい、あのジジイは自分の権力と生命に対する執着だけは人一倍なので、余計なことさえ考えなければ、
しばらくは大丈夫だろう。
万が一、参加者の手に落ちても機密なぞ何も知らぬから痛くも痒くも無いし。
「せいぜい逃げ延びてください、イザというときの犠牲の羊としてね、と、ここからが肝心だな」

エビルマージは水晶球を操作して、ゾーマを呼び出し、その姿が現れると同時に平伏する。
『何事だ、エビルマージよ』
「ゾーマ様、戦場に勝手に降り立ち、その後潜伏中のアークマージですが、どうやら叛意の兆しがある模様」
それを聞き、ゾーマはわずかに唇を歪める。
『ほう、それは遺憾な事であるな、あの者、衰えたとはいえかつては我が腹心の1人
 本当ならば甚だ残念なことよ、分かった…追っ手を差し向けるとしよう』

「追っ手の件ですが、この私めにその役目を与えては下さいませぬか?」
「ほう?理由を聞こうか」
「はい、今ここで派手に動きましては参加者たちに変事を悟られる恐れがございます、
 それで『宴』に影響が出ては元も子もありませぬ」
「さらに言うのならば、これは我が一族の問題でもあります、なればこそこの目、この耳でまず最初に真実を
 確かめ……もし、叛意が確実ならば、私自身で……」
嘘は言っていない、強いて言うならアークマージを探すつもりなぞ毛頭ないと言う事くらいか、彼が探したいのは……。

『よかろう……ならばやってみるがよい、貴様に我が城と戦場との自由往来を認めようぞ』
「有り難き幸せ、手はずが整い次第、早速」
そう言い残しエビルマージは通信を切る、上手くいったと心の中で小躍りしながら。


続いてエビルマージは人気が無いのを確認して、セーラを担いでスクラップ置き場を出る。
彼女はこちら側にとって貴重な駒の一つだ、自分の意思で『乗って』いるのだから。
「そういえばこの娘、武器はどうした、さては叔父上め、何処かに落としてきたな」
拾って手渡してやっても良いのだが、そこまでしてやる義理も無い。
かわりに自分が持っていた短剣、アサシンダガ−を懐の中に入れてやる。

「ここらでいいだろう」
エビルマージは手ごろな場所でセーラを下ろして姿を消す。
未だに気を失ったままのセーラだったが、しかし、
セーラの中にはわずかな時間だったとはいえ、魔族の精神が宿っていた。
それは彼女の表面的な人格や感情に表れることはないにせよ、深層心理下で行動に影響を与えることは必至だろう。
そして同じ頃玉座では、
「エビルマージよ、焦りは無いにせよ今のはちと強引だな」
ほくそ笑みながらゾーマは指先で銀色の何かを弄ぶ、それは参加者たちにはめられた首輪だった。
「貴様の首にもこれが嵌るのが近いと見たが……はたしてどうかな、せいぜい楽しませてもらおう」

【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:不明】 
(結構迷ってます)

【セーラ(気絶中) 所持武器:アサシンダガー 現在位置:神殿 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
(ブレイズガンは神殿内に放置)

(アークマージはロンダルキアの何処かにいます)

訂正>>435
「ようやってくれた、当然じゃがの!これからもワシに尽くせ、さすれば世界の50分の1くらいならくれてやるでの」
(下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、下衆、)
今、この場で縊り殺してやりたいのを必死でこらえながら、震える声でエビルマージは頭を下げる。
「有り難き……幸せ」
「では早速逃げるとするか、ああそれから今度会うときはワシの下半身を作りなおしてくれよ、この娘を
 犯しそこなってしもうたわ、ぐふふふ」
こう捨て台詞を残し、アークマージは自分の身体に戻り、キメラの翼(特別製)を使い
いずこかへと去って行った。
FFDQバトルロワイヤル PART4
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1046510418/
保守。
保守る。
保守れる。
保守られる。
保守られてる。
保守れ
保守れよ
保守れって
保守っとけって
保守っとけってば
保守ってるよ!!
保守せよ
保守please!!
ho
syu
保守。
hosyu。
感想スレが使えないな。
当分こっちを使うか?
あげとくか
感想スレ使えるよ?
FFDQバトルロワイアル感想・雑談・討論用スレ4
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1047280008/

もしかして新スレたったこと知らない…とか、いや、まさかね
おいらは見れないんだけど…。

感想スレの143から下が真っ白なんだけど
462剣士 ◆QWzUF/wj3. :03/03/21 21:17 ID:AyP6ZSmB
ん? ナビギコ使ってるけど見れるよ
IEでも。
463461:03/03/21 21:29 ID:xTubFGtD
updateしてもみれん。
どうすればいいんやろ
保守。
保守。
保守。
保守
保守
保守。
保守。
保守
保守
保守。
保守
保守。
保守
477名前がない@最強の名無しのようだゴルァ!!:03/04/05 18:52 ID:3tVPoLFg
_(__)_〜◎バタンキュー
478名前がない@最強の名無しのようだゴルァ!!:03/04/05 19:05 ID:3tVPoLFg
_(__)_〜◎バタンキュー
_(__)_〜◎バタンキュー
_(__)_〜◎バタンキュー
保守
保守。
保守
482名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/11 23:55 ID:NTPbziAu
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               ○○  ●●      iiiii iii ii iiii       ●●  ○○
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483名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/11 23:55 ID:NTPbziAu
ここはドラ糞挙式会場になっております。
このヨに残る価値も無いくせに異界送りさえもしてもらえずこのヨをさ迷っている
ドラ糞信者及びILL「ドラ糞脳内妄想」(軽症から末期症状全てを含む)
はFF信者方に目障りで非情に迷惑なので(当然のこと、一般人の常識、生物の常識)
立ち入り禁止となっております。ドー瀬、異界にも入れてもらえない立場でしょうから、
存在価値なしということで、いっそ消滅してください。そうすれば、この宇宙全てが幸福に満たされるでしょう。
484名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/11 23:59 ID:NTPbziAu
ドラ糞=日本国内ですらしょぼい売り上げと名声しかない=世界では全く認められていない
=世界中での名声0=0%<FFは国内のすばらしい売り上げと名声に留まらずに、世界中
デの売り上げもスバラシイ=世界中で認められている=名声が物凄い(数字じゃとても表せないくらい)
=真のRPG=正義のRPG何物にも劣ることは無い
それに比べてドラ糞信者どもは国内のごく少数の日本人にしか認められないことを自慢している。
これじゃ、弱すぎて勝負にならない。FF信者方も、こんな凡夫どもなんか相手にしないほうがいいですよ。
ドラ糞信者どもの唯一の特技=勝ち目が無い相手に聞こえない負け犬の遠声でほざくこと
ですからね。
485名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/12 00:00 ID:huqTG6O9
ドラ糞信者ドもよ、いくら自分たちと信仰しているドラ糞がキモい うざい 
ハゲ 馬鹿 廃人 麻薬常習者等で 幻覚幻聴にオ化されていて偉大なるFF信者様サマ
方及びFFから線香さえも捧げていただけないからって、愚かでクダラナイ生涯を遂げ
てしまった腹いせに、FF信者及びFFサマ様がたに大敗を記してしまった(当然
のことだが)ことにたいするせめてもの愚か過ぎる消防的な言い訳をする事は
 出世できない凡人 人徳0% どの世界から見ても、自分たちの無力さにあがいてる
ようにしか見えなくて、あきれてものが言えないのでそこらで辞めとけ氏んどけ
逝ってろ。理解できたか?自分たちの愚かさも見えないドラ糞信者℃もよ!!
あと、お前たちドラ糞信者どもにお似合いのしょぼく愚かでくだらない挙式
開いてやってるんだから、たまに授かる線香をちったぁありがたく思え!!
どー瀬、ドラ糞信者なんか34人だよ。10万本/人って感じで買ってるからな。
保守
保守。
保守。
保守
保守。
保守
保守。
保守
保守
保守
保守
保守。
保守
保守
保守。
保守
保守。
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
保守
保守
保守
   ヒギィイイィィィィ…
        .。
      、,;,ヘ,.;从と≡、_∧
    ∴;゙っ`#;,⊂≡(∀´  ) 氏ねよ!!
     ‘;゚、っ;,と=⊂三≡  ○
     ::〜( 、,∴⊂≡( (`ー-J
       ;(/;ヾ)::W` (_)
     ;‘∵ "'' `
        ↑>>1
508T.sakura:03/05/20 17:20 ID:1hcrB6W3
                         .  ) (  、
                       ; (    )  '
               o___, . (、. ' ⌒   `  )
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509名無しさん@LV2001:03/05/20 17:23 ID:21khjrow
うにうに><
510T.sakura:03/05/20 17:46 ID:TftPLHED
                         .  ) (  、
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511名無しさん@LV2001:03/05/20 17:55 ID:+vPWxRC/
うにうに><
512パイナップル Ver 1.1 ◆yGAhoNiShI :03/05/20 18:39 ID:WH+78ItS
  ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧     ∧_∧
 ( ・∀・)   ( `ー´)  ( ´∀`)  ( ゚ ∀゚ )    ( ^∀^)
 (    つ┳∪━━∪━∪━━∪━∪━∪━┳⊂     つ
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513名無しさん@LV2001:03/05/20 23:12 ID:m+IIMjxZ

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