訂正です。→宝石には赤い屋根のついた寺院の門のマークが彫られていた。
296さんの新作キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!!!!
2
ふむ、微妙なルートだが行ってみるか……。
2.しばらく市場を散策する
得体の知れない奇妙な男と別れた後も、トルファはまだ市場のなかにいた。
行き交う人々がかもし出すむっとした熱気と、刺すように皮膚を叩く日光が
容赦なくトルファの肌を焼く。額からしたたり落ちる汗を、トルファはぐっと腕でぬぐう。
砂漠の旅はこれが初めてではないが、この暑さは酷すぎる。
「……それにしても、今年は異常に暑くない」
「だねぇ……おかげで氷が飛ぶように売れてるらしいよ。そうそう、知ってるかい?
ハドバルドの奴、氷をたくさん仕入れたはいいが、仕入れた量が多すぎて砂漠で
往生してる間に全部溶かしちまったんだってさ。本人は、溶けた氷の水を売るとか
言い張ってるそうだけど、そんな生ぬるい腐ったような水を買う客なんていないよ」
「はは、そういえばさ。ベルディンのキャラバンが夜中に大勢引き連れてイシスの砂漠
に出ていったそうだけど、あんた、何か知ってるかい?」
「うん……ベルディンが……うーん、あたしは知らない」
「そうかい、何があったのか知らないけど傭兵の追加募集まで始めてさ、焦臭いことに
ならなきゃいいんだけど……」
「あんまり気にしない方がいいんじゃない。最近物騒でしょう。知ってる? 例の
砂男が、最近は城門の中にまで入り込むようになってきたんだって」
「! 本当かい?」
「間違いないよ。夜半にイシスの城から警備隊が出動するのをうちの若い子が見てる」
「たまらないね。うちも傭兵の追慕でもしようかね」
「ははは、あんまり無駄金使うんじゃないわよ」
市場の所々で商人達が咲かせる噂話は、旅人ならば好奇心をかき立てられずには
いられないものばかりだ。ついついトルファは夢中になってしまい、前方から
ぶつかるように歩いてきた女性と衝突してしまった。
「すまない」
「あら、こちらこそすみません」
トルファの謝罪の言葉に見向きもせず素っ気なく謝ると女性は、大きなショルダー
バッグをかかえて、さっと雑踏の中に潜り込んでいった。
しばらく茫然としていたトルファだが、やがて大変なことに気付く。
ない! 財布と宝石の入った革袋がない。あの女はスリだったのだ。
「ちっ! すみません、どいてください」
慌てて雑踏をかきわけ女の後を追うトルファだったが、もはや手遅れだった。
女の姿はどこにもなかった。途方にくれたトルファは、仕方なく男の言葉に
従い、「満月亭」へ足を運ぶことにした
何時のまにか辺りが暗くなってきていた。オアシスに面してそびえるイシス城の
白亜の城壁に、斜陽の影が差している。湖面には夕日に照らされる城の姿が映っていた。
暮れなずむ夕日の光を浴びながら、トルファは「満月亭」の前に立った。
扉を開けると、おさげの少女が退屈そうに店番をしていた。
少女はトルファの姿を見るなり「あーっ!!」と叫んで駆け寄ってきた
「やーっと来た。あなた、トルファさんでしょ?」
「……そうだ」
むっつりとトルファは肯定した。文無しでありながら宿屋の扉をくぐる羽目
になったためか、自然言葉に不機嫌な香りが漂う。
「まーったく……まぁ、来なきゃ来ないでも良かったんだけどね」
「おい!」
「嘘です嘘です。来てくれて嬉しいですよ。じゃ、案内しますから」
何処へとは少女は言わなかった。慣れたもので、トルファも何も聞かずに少女の後ろについて
ゆっくりと歩き出す。くりくりとした目を動かしながら、少女はトルファにさかんに話しかけてきた。
今までの旅はどうだったか? 外は暑くなかったですか? イシスは綺麗な所でしょう?
こちらに答える時を与えずも矢のように投げかけてくるので、トルファは相づちを打つこと
しかできない。少女の案内は二階の奥まったところにある部屋の前で終わった。
「そうだ! 念のために確認しておきたいんです、オパールの宝石、私に見せてください」
「………盗られた」
「はい、 何ですって?」
「女のスリに財布ごと……盗まれた」
「………えーと……困っちゃったなぁ」
少女とトルファの間に重い空気が漂った。
重苦しい雰囲気を吹き飛ばすかのように少女がニッコリと微笑む
「ま、無ければないで、絶対困るっていうほどの物じゃないですから。大丈夫ですよ」
「お前、そればっかりだな」
「何言ってるんですか? あっさりと盗られた貴方にそんなこと言われたくないですよ」
「すまん。自分が悪かった」
「あはは、トルファさんのそういう素直なところ、好きですよ。でも、これっきりに
してくださいね。では!」
バンバンと強い力でトルファの背中を叩くと、少女は弾むような足取りで一階に
降りていった。残されたトルファは、扉を開けて中に入るべきか、一瞬躊躇した。
「どうぞ、お入りください」
逡巡するトルファを促すように、部屋の中から柔らかい女性の声がした。
意を決してトルファは部屋の中へと一歩足を踏み入れた。
ドアを開けたトルファの目の前に、銀色の服をまとった黒髪の少女がちょこんと立っていた。
年の頃は、十二、三といったところか。すっきりとした顔立ちに、腰まで伸ばした長い髪が
映える、綺麗な女の子だ。少女は、トルファに椅子をすすめると、開口一番こう言った。
「トルファさん、あまりレディを待たせるものではないですよ。せっかくお茶を用意して
待っていたのに……冷めちゃいました」
彼女の少しこまっしゃくれた感じがトルファの苦笑を誘った。
「それはすまない。それじゃ、手短に言うよ……自分に何の用だ。変に凝った繋ぎまでして」
「実を言うと、トルファさんに用があるのは、私じゃなくて私の友人の方なんです」
「友人……?」
「はい。それも……ちょっと特殊な事情があって。理由は後ほど。王城に着いて
から説明しますね」
そう言って少女は席から立つと、扉を開けて外に出ていった。
「お、おい?」
しばらくして、少女は部屋の中に戻ってきた。
「何してるんですか? 市場のおじさんから夜に城に入れと言われたでしょう?
着いてきてください。私が貴方の案内人なんですから」
別板のトリップを使ってしまった……(汗)
熱気に満ちた昼間が嘘のように、月光に照らされる砂漠の町は静かでひんやりと
している。メインストリートを歩きながら、トルファは少女に言った。
「いつもこんな風なのか?」
「最近ですよ。半年ほど前から、砂漠に恐ろしい魔物が出るようになりまして。
おかげで、イシスの人間で、夜に外を出歩こうとする人は滅多にいなくなりました」
「そういえば、そんな噂を聞いたな。確か、砂男か……でも、魔物が簡単に町の
中に入ってこれるものなのか」
「信じていませんね。無理もないのですけれども。私も、最初見たときは夢かと
思いました」
そこで一端区切ると、少女は事のおこりをトルファに語り始めた。
「半年前、彼らは風に乗るようにこの国に現れました。最初に被害を受けたのは
アッサラームへ交易に向かおうとしたあるキャラバン隊でした。商人達から
急報を受けたイシスの城は国軍を出しましたが、指呼の差でキャラバン隊は壊滅。
国軍も得体の知れぬ魔物との戦いで大勢の犠牲者を出しました。神出鬼没の彼ら
の体は砂で出来ていて、剣も、槍も、矢も、斧も通らず、氷の呪文しか通じなかったそうです」
「それでも昼間は結構賑わっているようだが」
「交易商にとって商売できないというのは死活問題ですから。それに、ヒャド系呪文
以外に弱点があるんですよ」
「ほほう、察するところ、お日様が苦手ってところかい?」
「そうです。奇妙な事に彼らは太陽の光を嫌っています」
「あとは、水ですね。砂漠に点在するオアシス近辺でアレが現れたという話は
聞いたことがありません」
「それじゃ、普通の商人でもしのげないわけじゃないんだ」
「はい。最も、今この国が抱える真の問題は、旅人達が自衛の手段に講じ始めたせいで、
獲物にありつけなくなってきた連中が、城下町や城の中にまで入り込むように
なってきたことなんです」
「し、城の中にも入ってくるのか?」
「はい、砂さえあれば、連中は何処からでも侵入できるんですよ」
トルファが撫でるように後頭部をかいた。
「納得した。ところで………」
「何ですか?」
「後ろに立つ砂の塊は、やっぱり俺の気のせいじゃないんだよな?」
「な! どうして、早く言ってくれないんですか? まだオアシスまで……むぐっ」
口元を押さえつけられた少女がトルファの中で暴れる。
「静かに! 刺激したらまずい……」
彼女の話に耳を傾けているうちに、接近を許してしまった。
距離にして自分の歩幅で約五歩。つかずはなれずの距離を保っている。
1.逃げる
2.戦う
んじゃー1で。
灯が消えたように静かだね。
ライアンとホイミンの、ギャグ物を書こうと思っていますけど
ギャグは、商業本の4コマ漫画で出尽くしている感があるから
ちょっと躊躇してます。
このスレの状況だと、変に選択肢いれないほうがよさそうだな。
これからは、選択肢をあまりいれないようにしよう。
一で
1ですね。レスをありがとう。感謝してます。
>>609の続き
「どうします、トルファさん?」
腕の中から少女が綺麗な黒い目を向けて問いかけてくる。
「とりあえず、逃げる。」
「わかりました。それじゃ、オアシスに向けて全力で疾走しましょう。水辺についたら
すぐに飛び込んでください。あれは水の中まで入って来られません」
「わかった」
少女の手を取ってトルファは駆けだした。同時に、背後からの尾行者が砂をかきわけるような
音を立てて二人を追いかけてくる。走りながらトルファは見た。
大きな砂のかたまりが、砂上を滑るように二人に迫ってくるのを見た。
想像以上に早い。このままではオアシスに飛び込む前に奴らのざらざらとした手に
捕まってしまう。トルファが戦いを覚悟した瞬間、耳元でひゅうひゅうと風が鳴った。
「えっ?」
地面を一蹴りしたトルファの体が鳥のように宙に飛んだ。二人の驚きをよそに、
中空を滑るトルファと少女の体は、そのまま吸い込まれるように水の中へ落ちていった。
どこかで誰かが笑い声をあげたような気がした。
夜のイシス。城の満々と水のたたえられた外堀を、ちゃぷちゃぷと泳いで渡る
トルファと少女の姿があった。
「なぁ、聞いてもしょうがないんだけど、他にまともな道はなかったのか?」
「そう思うなら黙って泳いでください。今、城の中は戒厳令がしかれていて、
トルファさんみたいな余所者を連れて入ったりなんてできないんです」
あの後、砂のかたまりの魔の手から逃れたトルファは、少女の案内に従って
水の中を泳いできた。少女が言うには、オアシスと城の外堀は直結しており、城内に
忍び込める抜け穴に向かうのにちょうどいいのだそうだ。
やがて、二人は城壁の向こう側に辿り着いた。
「まんまるボタンはお日様ボタン。 小さなボタンで扉が開く。
最初は東で、次は、西〜♪」
城壁に近づいた少女が、謎のフレーズをくちずさみながらペタペタと壁を触っていく。
歌い終えた彼女が、最後に城壁の一部をドン!と叩いた。
途端に、ズンと振動が走って目の前の壁があがっていく。
やがて、城壁の一部に人一人が入れるくらいの隙間ができた。
「さて、一名様、イシス城にご案内〜」
おどけた口調で少女が手招きしてトルファを誘う。黙って頷くと、トルファは
少女の後に続いた。
>>612 まずは、書いてみてくださいよー。
4コマを全く読まない人間もココにいますw。