自分もしばらくは無理なので……新たな勇者の登場を待ちますか。
保守しまつ
,,,,.,.,,,.
ミ-д-ミ <キョウハ ポカポカ アタタカイ デシュー
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ほっしゅ毬藻で保守
344 :
華龍光臨:02/12/17 18:10 ID:4ydFmhdu
「これは一体…どういうことだ。」
劉備たちは程なく町にたどり着いた。
静かであった。静かすぎであった。
その原因はすぐにわかった。村のあちこちに石像がある。
…否、石にされた人々がいる。
何が原因かはわからない。このような奇病聞いたことがない。
この村はすでに死を迎えてしまったのだろうか。
「生存者がいないか探すぞ。」
「そうですな。」
各自で散開して生存者を探す。程なく生存者を見つける。
焚き火をしていたため煙が上がっていること。そこだけ明るいため迷うことはなかったが。
焚き火のそばでは老人がまるで凍ったように、石に座っていた。
雨が少しずつ、降り始めてきた。
「もし、御老人。」
劉備が声をかける。老人が多少おどろいた様子で
「ん、おお。このような町に旅人が来るとは…驚かれたことでしょう。ここはダイアラックの町。もっとも、生きている人間はわし一人なんじゃが。」
「事の仔細を話していただきませぬか。」
「…聞いたところでなんとする?」
「無論、この石になった人々を元に戻す。」
「無駄じゃ。」
雨が少し強くなる。
「何故だというのです。」
「皆を治す薬ならある。これじゃ。」
老人の反応は意外なものだった。これさえあれば村の皆は直るという。
「ならば何故!」
345 :
華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
沈黙が辺りを包む。響くのは雨音のみ。少し激しくなってきたようだ。
「…長い間、雨風に晒されてきたため、村の皆はすでに朽ち果てている。雨風によって朽ちてしまってはもはやこいつは効かぬ。」
そういえば腕がなかったり、耳が欠けているもの、石像自体にヒビが入っているものもいた。
要するに再生の限度を超えるほど朽ちてしまってはもはやこの「天使の涙」も効果をなさないということだろう。
「…」
「さあ、もう行きなされ。その「天使の涙」はあなた方にあげよう。…忌々しい、雨め。」
最後の言葉は劉備にしか聞こえなかっただろう。なぜなら雨音にかき消されたのだから。
大地は痩せていた。
ここは海辺に近い町だ。
潮風が強く作物を育てていくのには向かない土地であろう。
それに…水がない。
島の面積が狭く川が流れるようなところはない。
溜池を作ろうとした跡はあるようだが海岸からの潮風に乗ってくる砂によって溜池を作ったとしても砂に水分を取られてしまう。
「雨乞いの儀式やなんかの本が多いわね。」
「ああ。それだけここは水に窮していたのだろうな。」
主なき教会。あれから賊にも入られたのだろうか、ひたすらに荒れていた。
雨は激しく降り続いている。この雨だと動き回ることはできまい。
346 :
華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
アルスたちは町の入り口付近の家…宿屋との事…に、劉備たち一行は東の教会に分かれて休むことにした。
教会の神父は表で石になっていた。天使の涙をかけてももはや治らないほどに朽ち果ててしまっていた。
パミラからもらった薬も試してみた。
だけどすでに朽ちてしまった者には効果がない、ということがわかっただけだ。
「…」
重い沈黙が漂う。
そしてあれこれ何か策はないかと話し合っていた。
…気がつくと眠っていたようだ。
手元に特効薬があるもののもはや意味をなさず、どうして石になったのか、何が原因でなったのかがわからないため策なんて思い浮かぶわけが無かったが。
雨音はしない。どうやらもう止んでいるようだ。
染み出した雨水が劉備の頬を打つ。
雨、そうか、あの老人は忌々しい雨といっていた。
雨が原因で石になったのか?やはり魔物たちの仕業なのか?
…もう一度、あの老人の話を聞いておく必要がありそうだな。
劉備は身を起こすと静かに外へと歩き出した。
おお、ダイアラックですか。
あの町は『銀河鉄道999』の化石化ガスを思い出させました。
町を探索してて心が冷え込んできましたね。
華龍光臨を読んでいると、もう一回7をやりたくなってきますね。
今度はどんな展開になるか楽しみ。
349 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:02/12/24 08:48 ID:U3G5CC3v
華龍光臨を読ませていただきました。
確かに348さんのいうとおり、もう一度7をやってみたくなりました。
350 :
華龍光臨:02/12/25 16:43 ID:9Of2l4+t
自分のカンが正しければまだ夜中のはずであるが。
ふとそんなことを考えて昼…だろうか?出会った老人の元へと歩を進める。
まだ、何か希望はあるはずだと、自分に言い聞かせながら。
老人の後ろに忍び寄る魔物の影。
当の老人は気づいていない。
魔物がその腕を振り上げ…その次の瞬間、その魔物の腕は宙に舞っていた。
魔物は何が起きたか認識する前に絶命することとなる。
劉備が雌雄一対の剣の片方で腕を切り飛ばし、もう片方で怪物の心の臓を突いた。
返り血を思いっきり浴びる。…また、尚香に怒られてしまうな。
ふとそんなことを考えて老人に向き直る。
「…なんじゃ、まだ、いたのか。」
「危ないところでしたな。」
老人はモンスターの死骸を見つめて呟いた。…死ぬ…つもりだったのだろうか。
「…何故、そこまで、この村にこだわる?」
一陣の風が吹き抜ける。
「守りたい。この村の民はもちろん…未来を。」
351 :
華龍光臨:02/12/26 03:19 ID:rsmMZxRw
「民も…未来もすでになきこの村にまだ残っている希望があるというわけか?」
「あなたがくれた、この「天使の涙」。我らがここにやってくることができたのもあなたがこの天使の涙を捨てることなく今までずっと守り続けたからだと考えています。」
「そんなこと、偶然であろう?」
「いいえ、今の時代、この時間に私たちがやってきたことに意味がないわけがないでしょう。」
「…何?」
「まだ話していませんでしたな。多少長くなりますがお聞きいただけるとありがたい。」
「なるほど、話は大分理解した。」
焚き火を挟んでしばらく話をする。一時間くらい話しただろうか。
「…もし、この村が手遅れでないとするならば、直に始まるじゃろう。それを見て、何ができるか見極めてくるといい。」
「何が…」
「百聞は一見に如かず。村の真ん中にいればすぐわかるじゃろう…」
「それもそうですな。わかりました。今しばらく、待ちましょう。」
村の中心。村の象徴であろうか、巨大な岩がそびえている。
この岩には何か人を惹きつける魅力があるのだと感じる。
劉備はその岩に背中を預けてそのときを来るのを待つ。
かつてこの村は…いや、この島は戦場だったと聞いた。
何が何に対しての戦争だったか今は知る由もないが長い戦いの果てにこれほどまでに土地が痩せてしまったのだろうか。
そして、それが始まったのはちょうど宿屋のほうから一つの人影が見えた頃であった。
352 :
ママ先生:02/12/26 19:29 ID:7CI/lUSp
353 :
ママ先生:02/12/26 19:35 ID:7CI/lUSp
ブラクラだそうですのでご注意ください。
シャイン降臨って誘い方がなんかなあ
355 :
名も無き冒険者 ◆v4klbZfRto :02/12/27 23:46 ID:6pQRzw0E
ほしゅ
あげ
ほっしゅ
ワクワクほしゅ
360 :
華龍光臨:03/01/08 18:17 ID:JfomK1XY
完全な闇が支配するその中。
うとうとしているときにぼやけた視界の隅で何か、光った。
焚き火のそれではない。
いうなれば蛍のような光であった。
目を擦り、光へと近寄る。
「おお…」
光の発生源は石となった村人。あの老人は自分を恨んでいるのではないかといっていたがこの輝きは全く別のもの。そう思えた。
光を失ったこの村に光を取り戻さんという思いが伝わってくる。
意を決して石像に手を触れてみる──
流れ込んでくる記憶。
その人の今までの生きてきた記憶が頭の中に流れ込んでくる。
頭の中が破裂しそうな、そう思えた。
気づいたときには石像の光は弱々しくなって、ついには消えてしまった。
…石像となった村人の最後の力であったのだろうか。
頭がガンガンする。意識が朦朧とする。だが、この村の者たちの記憶をすべて…すべて受け止めることができたなら、できたならこの村も救われることだろう。
わかっていてもその足取りは重い。
この時を逃せばもう、二度とこの村が生き返らないような。そんな気がした。
ふと、前方に目をやる。人影が…
アルスだ。この異変に気づいたか…
目が合う。無言ですれ違う。
…お互いに余裕はないようだ。アルスも誰かの記憶を受け止めたか。頭を抱えていた。
後で話し合おうということを目で伝えて次の記憶へと向かって言った。
少しだけ明るくなる。朝だろうか。
そのころになってやっと全員の記憶を見ることができた。
痛む頭を水で冷やしながら、休みながらであったが。
だが、その甲斐はあったのか…
未来への鍵。それを見つけたような。そんな顔をしていた。
巨大な石柱の元で二人は大の字になって眠っていた。
他のみんなが起きてそんな二人を見たのはもう少し後のことである。
361 :
華龍光臨:03/01/11 07:06 ID:Wbmpw38p
ここは教会。劉備が筆をとる。
「兄者、それで何か手がかりになりそうな記憶はありましたか。」
「雲長、待ってくれ。今、書き出している。」
口に出すのは色々な記憶がごちゃ混ぜになって難しい。だから、一旦その記憶を書き出そう、としたのである。
白紙の巻物に筆を動かす。
素直に受け止めたことを書き込む。
退屈そうに張飛があくびをする。
さらに数時間。
巻物三つ分に書き込んだ村の者たちの記憶。
流れてきた記憶はその者の生涯のほんの一部分であるのだけれども。
「終わった?」
「ああ。私の見た記憶はこれだけだ。他の村人の記憶はアルスが見た。…おそらくそろそろやってくることだろう。」
関羽が巻物を手に取る。目に付いたものがあるようだ。
「兄者。…これが気になりますな。」
大きく劉備が背伸びしながら関羽を見やる。
バーテンの記憶。小さな男の子が何かそのバーテンに話しかけている。
傍らには父親らしきものがいる。
かつてはここは戦場であるということで地下に何かあるらしきことを話していた。
そのような記録であった。細かいことも詳しく書かれている。
「地下に何かがあるということね。」
「…!なるほど!」
「兄者、わかりましたか。」
劉備が立ち上がる。
「今までこの村の中を隅々まで歩いたが…」
うんうんと孫尚香が頷く。
362 :
華龍光臨:03/01/11 07:07 ID:Wbmpw38p
「子供の石像は一つ、それも幼い女の石像しかなかった。」
「そうですな。」
孫尚香は鳩が豆鉄砲を食らった感じの顔をしていたが思い起こしてみると確かにそうだった。
「村のいずこかにまだ見つかっていない石像があるはずだ。」
「その残っている石像はおそらく我らの目の届かぬ場所。…かつてここが戦場だったころの名残にあるのだと思われます。」
「うむ。今まで風雨に晒された石像が無事なのだ。風雨に晒されない場所にあるだろう石像は無事に違いない。」
拳を上に突き上げる。
「翼徳、起きろ。為すべき事は決まったぞ。」
「起きてるぜ。…早く探しに行こうぜ!」
さっきまで鼾を掻いていたが、よっこらせと言う声とともに張飛が立ち上がる。
「うむ。」
教会から出てきたところにアルスたちと出会う。
「アルスか。どうやら何か掴めた様だな。」
「はい。」
アルスから記憶をまとめた巻物を受け取る。ざっと目を通す。
「これを見てくれよ、劉備さん。」
そしてキーファから切れ端を受け取る。
切れ端と巻物、それを見比べる。
巻物には劉備の予想通り、無事であろう子供がいることを確認できた。
「…違いない!まだ、この村は死んではいない。」
顔を上げた劉備の目に一瞬、龍の幻が見えた。
まだ、目覚めるべき龍は眠っているのだろう。
永遠の眠りでない限り、眠りはいつかは覚めるもの。
予想が確信に変わるとき。
…龍が再び、蘇る。
363 :
華龍光臨:03/01/13 02:48 ID:/n42OQir
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「兄者、この辺にはないようだぜ。」
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「ここでもありませんな。」
ザッ、ザッ。
ザッ、コツッ…
「ありました!劉備さん。」
「おおっ!ついに見つかったか!」
村の西、枯れ木が立っている辺り。
よくよく見ると壁に「目印」と書いている。
今考えてみると、すべての鍵はこれにあったんだろう…
土を払う。足元に鉄製の扉が。
「これを持ち上げりゃあ、いいんだな。」
張飛が扉を持ち上げる。大きな音を立てて扉が取り除かれる。
「これを小さな子供が持ち上げたというのかしら?」
それは子供があけるには到底無理な扉。
大人であっても簡単には持ち上がらないだろう。
「ここに板があったようですね。」
扉横に木の板が。そしてその下には空洞が。小さい子供なら入れるだろう。
「なるほど、扉ではなく、この空洞から出入りしていたということか。」
「行こうぜ、兄者!」
階段の奥からすでに降りて言った張飛の声が聞こえる。
「ああ。」
イイ!!(・∀・)
365 :
華龍光臨:03/01/14 07:28 ID:aqG7iBPZ
カンテラに火を点す。
カンテラからの光が辺りを包む。
そこは思った以上に広く、しっかりとしていた。
何気なく壁を見やる。
そこには子供が書いたと思われる字で…
「『ひみつきち その2』と書いてありますね。」
「ということはその1があるわけだな。」
アルスが読む。そしてキーファがそれについての観想を言う。
「他にも地下室があるというわけね。」
通路を歩く。ここは相当大事な拠点だったのだろうか。
通路の脇にはボロボロでその役割を果たせない装備が山積みになっていた。
折れた銅の剣、先端が欠け、突き刺さらなくなった槍、ズタズタにされ鎧の役割を果たさなくなった皮の鎧…
絶望に近い、そんな戦況だったのだろうか。
それでも信じる何かのために戦ったのだろう。
「この手記を見ると、兵たちの士気は高かったようだな…」
部屋の隅の引き出しにあった手記を眺めながらそう呟いた。
「兄者、石像は見当たりませんぞ。」
「ここではなく、もう一つの地下室にある可能性があるからな。とりあえず、ここを色々調べてみよう。」
劉備はいつでも石化を治療できるようにその手に天使の涙を携えていた。
…奥への通路に目をやる。
あの梯子は何処へと通じているというのか。
吸い寄せられるようにその梯子を上っていく。
そろそろ、出口だな。
366 :
華龍光臨:03/01/14 07:35 ID:aqG7iBPZ
劉備を迎えたのは海沿いの町特有の潮風。
町中心のあの石柱。その上に劉備は立っていた。
この穴は人の手が加えられた跡はない。おそらくは自然に開いたものだろう。
自然の力にはほとほと驚かされる…
「風が強いな。」
辺りを見回す。島を一望できる。
戦時にはここに見張りを立てていたのだろうか。
空には真っ黒な、何物も通さない思い雲。
邪悪な何者かの意思が具現化したような雲。
人の絶望を喰らいそれは広がっていったのだろうか。
そして眼下には生気をなくした町が広がる。
…否、龍が眠っている大地。劉備は確信していた。
龍が目覚めれば、必ずやこの地に希望を取り戻してくれる。
どのような形かはわからないが、それだけは確信していた。
また、潮風が吹きつける。先ほどより強い…
劉備の手に握られていた天使の涙がその潮風にさらわれる。
しっかり握っていたはずなのになぜか風にさらわれた。
まるで、意思を持っていたのかのように…
風に乗って、それはダイアラック中に。
煌くそれは眠りし龍の目を覚まさん…
念の為ほす
保