∧,,∧
ミ,,゚Д゚,,彡 ほしゅだから!
(ミ ミ)
ミ ミ
U''U
小説は挿絵のために存在する
>324
異議あり!(AA省略
『飛べない翼に意味はあるんでしょうか』
遠野の言葉を、不意に思い出す。
(…意味はあるさ)
(それが、空を飛んでいた日々の大切な思い出だからな)
(………)
(そうだろ…みちる…)
_ _
〃┏━━ 、
| ノノソハ))) / ̄ ̄ ̄ ̄
Λ_リリ ;´∀`)リ < うぐぅあげ♪
( ⊂#~ ∞~~#⊃ \____
( つ/_∞__|~
|(__)_)
(__)_)
328 :
北風:02/12/11 15:37 ID:0r11MPp0
「……竜王二世、お前に従うぞ」
一瞬、時が止まったかに思えるほどの沈黙があたりをつつんだ。
その発言はトルファのものだった。トルファはゆっくりと、竜王二世のもとへ歩いていく。
「どういうことですトルファさん!」
「トルファ、なぜそんなことをするのだ!わしらの仲間ではなかったのか!!」
ベホックに「竜王の孫」、その他の者たちが厳しい顔で問い詰める。
「……これが俺の選択だ!ゴーリキ隊長とは違った、な」
そしてトルファと竜王二世は相対した。竜王二世はシュルシュルと元の姿に戻り、トルファに目線を合わせた。
「ふむ、そなただけか。まあよかろう」
竜王二世が左の手のひらを開くと、その上に小さな杯が現れた。その中には黒い液体が入っている。ボコボコと泡立ち、嫌な匂いを出している。
「さあ、これを飲むのだ。さすれば魔族へ仲間入りできる……」
トルファはそれを受け取ったが、その匂いにしばし顔をしかめる。だが意を決して杯をあおり……
「やめるんだ!トルファ!」
「竜王の孫」の声が聞こえたのだが、トルファは杯を空にした。そして竜王二世に向き直る。
「よし、飲んだか。しばらくは痛みが全身を走るが、それを耐えれば……ぬっ!」
ブシュッ!
トルファは口に含んだ液体を霧状にして吐いた。それが目に入り、竜王二世はとっさに両手を顔にあてた。
その隙を逃さず、トルファは右手に構えたままのドラゴンキラーを竜王二世の腹に刺した。刃の先端が少しの手ごたえと共に背中に突き抜ける。
「ぐっ……謀ったな……!!」
329 :
北風:02/12/11 17:24 ID:0r11MPp0
「すまないな。だまし討ちは好きじゃないんだが、あんたを倒す策はこれぐらいしか思いつけなかったんだ」
竜王二世の体が折れ、前方に崩れ落ちた。そしてピクリとも動かなくなる。
トルファはそれを確認すると、みなの方へと振り返った。
「トルファ!裏切ったのではなかったのか!」
「竜王の孫」たちの顔が驚きに満ちた。
「ああ、だます事になったな。心配をかけてすまなかった」
「まったく……俳優だな。すっかりだまされたぞ」
アーサーは文句を言った。しかしその顔は笑っている。
「いやいや、他に誰かが賛同していたら俺も困ってたぞ」
トルファは笑いながらみなを見回し……その顔が凍りついていることに気づいた。その視線につられて後ろを振り返った彼は、信じられないものを見た、という顔になった。
「馬鹿な……確かに急所に届いたぞ。体を貫いたんだ!」
竜王二世は、その腹部からドラゴンキラーを生やしたまま立ち上がってきたのだ。
「余はかりにも竜神、その生命力を侮るでないぞ」
確かに負傷しているのだろう、竜王二世は多量の血を流していた。だがその動作にあやしいところはない。そして竜王二世は自分にべホイミをかけた。
「……こしゃくなことをしてくれたな。だが余はもはや油断をしないぞ。おまえたちを完全に葬り去る!イオナズン!!」
大爆発が起こり、トルファたちは吹き飛ばされた。しかし「竜王の孫」だけはすばやくマホカンタを唱えていたので、竜王二世も爆風を受けてしまう。
だがすぐさまドラゴンへと姿を変えることで安定を取り戻す。そこで再び血を吐くが、再びベホイミを唱える。
その様子を見た「竜王の孫」は舌打ちをしたが、杖を構えなおす。
「もはや魔力も底をつきてきた。これが最後の呪文だ!ドラゴラム!!」
「竜王の孫」は再びドラゴンへと姿を変えた。しかし竜王二世に比べると一回り小さいので頼りなく見えてしまう。
『ふ!余に魔力を奪われたのでそれが精一杯か。一度戦ってかなわなかったものが、大幅に力を減らして勝てる道理はなかろう!』
『わしは人間の姿でかれらと旅をしてて学んだ……人は成長するものだと!』
「竜王の孫」は竜王二世に突進した。竜王二世もまた突進し、二匹のドラゴンは正面からぶつかり合った。しかし体格の差がきき、竜王二世は「竜王の孫」をはじき返してしまった。
330 :
北風:02/12/11 17:25 ID:0r11MPp0
そして右前脚で頭をつかみ、地面に叩きつける。
『不肖の息子よ、地獄で竜王陛下に詫びるがよい!』
竜王二世の口から火が漏れるのを見たトルファは叫んだ。
「いけない!とどめをさされるぞ!」
竜王二世は「竜王の孫」の頭部に至近距離から炎を浴びせた。ドラゴンの鱗は炎への耐性があるが、このまま熱され続ければ焦げ付いてしまうだろう。
そこへベホックがバギマを唱える。体に傷を負った竜王二世は思わず「竜王の孫」をはなしてしまった。
「これで僕の攻撃呪文は打ち止めです!あとは回復呪文に専念させてもらいます」
肩で息をし始めていたベホックが後ろに下がりながら言う。
「ありがとうベホック!後はおれたちに任せてくれ!」
戦士たちも思い思いに切りかかっていた。槍を突き立てようとする者もいれば、斧を力任せにたたきつける者もいる。
トルファはドラゴンキラーを無くしてしまったため自らの剣で切りかかったが、ドラゴンの鱗を裂くことはできない。
彼らの攻撃が有効打を出せないと見切った竜王二世は身震いとともに咆哮した。その大音量は近くにいた者たちを直撃し、彼らの多くが耳をおさえ、胎児のようにうずくまってしまった。なかには失神した者もいる。
『ふっ!その程度のレベルで余に立ち向かうとは100年早い!自らの愚行を悔やむがよい!』
身近でうずくまっている一人を踏み潰すと、竜王二世は翼を羽ばたかせて浮上した。ひとっ飛びでベホックとホークスが下がっているへ降り、そして火を吹く。
ベホックはフバーハを、ホークスはヒャダインを唱えることで炎をやわらげようとした。しかし竜王二世の炎は普通のドラゴンよりも一段と激しく、徐々に押されていく。
「くそっ!こんなところで……!」
ローブが焦げ付いてきたところで、ホークスはベホックを突き飛ばした。その瞬間、彼らが立っていた丘は炎に包まれた。
「ホークスもやられたか……このままでは全滅だ、何か策はないのか!」
331 :
北風:02/12/11 17:25 ID:0r11MPp0
「……アーサー、やつの腹に俺の持ってたドラゴンキラーが刺さったままなのが見えるよな」
「そういえば……」
地面に四本足で立っていたときには隠れていたのだが、確かに竜王二世の腹部にはドラゴンキラーが刺さったままだった。しかも血がこぼれ落ちている。
さきほどは背中まで貫いていたのがドラゴンに変身した時に抜けていったのだろうか、今では刀身の半ばまでがめり込んだ状態だ。
「あれを使おう。おい!まだ戦えるか!」
トルファの言葉の後半は「竜王の孫」へ向けたものだ。ドラゴンに変身したままの「竜王の孫」は首を縦に振り、肯定の意を示した。
「なら、もう一度組み合って、やつが腹をさらすようにしてくれ!」
「竜王の孫」が再び立ち上がったところで地面が震えた。竜王二世が彼らの前に着地したのだ。
『なにやら相談していたようだが、もはや立っているのはお前たちだけだ。
もう無駄な抵抗はやめるのだ。おとなしくしていれば楽に死なせよう』
「冗談じゃない!俺たちはまだあきらめていないぞ!」
最後の力をふりしぼるため、トルファは声を張り上げた。
『ならば!最後まで戦い、戦士として死ぬのだ!』
竜王二世は火を吹いた。しかし「竜王の孫」が自らの体を盾としてトルファとアーサーを守る。
そして火がやむと竜王二世に向け、今度はこちらが火を吹く。
竜王二世は体勢を低くし、それをものともせず、逆に炎の中へ突進して「竜王の孫」を横倒しにした。
そして首を上げたが、二人の姿はどこにも見えなかった。
『……後ろか!』
トルファがすぐ背後に迫っており、竜王二世の脇を切りつけようとした。
しかしトルファの剣は、やはり竜王二世の体を傷つけることができない。反撃を受けたトルファは地面に倒れてしまう。
『もう一人はどこだ!』
竜王二世はアーサーを探した。しかし、急に後ろへと引きずり倒されてしまった。「竜王の孫」が立ち上がり、つかみかかってきたのだ。
『そのまま死んだふりをしていればよいものを』
332 :
北風:02/12/11 20:13 ID:0r11MPp0
『あいにくだが、まだ勝機はこちらにあるのだ!』
「竜王の孫」は最後の力をふりしぼって竜王二世をはがいじめにする。
腹をさらした竜王二世に、岩陰に隠れていたアーサーが切りかかってくる。しかし竜王二世は尾を振り回し、それを受け止めようとしたアーサーごと弾き飛ばした。
『これでお前達はもう……ぬう?』
竜王二世の残った左眼は、トルファが立ち上がってくるのをとらえた。その横には疲れ切った様子のベホックがいる。
「助かったぞベホック」
「いえ、これ、が、最後のベホイミです。もう、傷ついても、癒せ……」
呪文の唱えすぎによる疲労に耐え切れず、ベホックが倒れこむ。
「あとは寝ていろ、俺が片をつける!」
トルファが再び攻撃してくる。
『馬鹿の一つ覚えか。ドラゴンのうろこをそんな剣で傷つけることなどできないぞ!』
だが、トルファは剣を投げつけたのだ。
竜王二世はその意図をはかりかねて戸惑ったが、とりあえず尻尾で剣を叩き落とした。しかしそのすきに竜王二世の腹に跳び乗ったトルファは、その手に斧を構えていた。
『トルファ、これで終わりにしてくれ!』
「ああ!これで終わりだ!!」
「竜王の孫」に応え、トルファは渾身の力をこめて斧をふるった。その目標は、ドラゴンキラーの握り手。
『ぬっ!!!』
ドラゴンキラーは深く竜王二世の体内へとつきささり、臓器をえぐった。
ドラゴンへ変身すると、体の外側と同時に内側の作りも変化してしまう。臓器が移動するとき、ドラゴンキラーの刃はそれらを傷つけていた。
竜王二世が直後に回復呪文により、確かに傷口はふさがった。しかしドラゴンキラーが刺さったままでは完治といかず……。
傷口はさらに大きく開き、血が噴き出る。そして竜王二世の身じろぎにより、傷ついたはらわたもこぼれ落ちる。
そこでトルファは落ちていたデーモンスピアを広い、鱗の隙間に突きとおした。その一撃は見事に急所を貫いた。
333 :
北風:02/12/11 20:13 ID:0r11MPp0
竜王二世は絶叫を上げ、首を二、三回振り回し、地面に震動を起こして倒れた。その姿は人の形に戻っていった。デーモンスピアが抜け落ち、ドラゴンの肉に埋もれていたドラゴンキラーも再び姿を現したが、黒い血にまみれたそれらはボロボロに錆び、すぐに崩れ落ちる。
「竜王の孫」も──こちらは自らの意思で人の姿に戻った。そして死のふちに瀕している竜王二世の横に立つ。
「父上……」
「まったく、父を殺すとは、親不孝者よ、ははっ」
ぐふっ、と血を吐く。
「それは違います。私は父上にこれ以上の悪行を行わせないために」
「みなまで言うな!その程度の事はわかっている。だが、わしはその上でこの身を悪の道に沈めたのだ。そのことに悔いはない」
「…………」
「残念だが、ここまで傷ついては、もはやお前の魔力を返すことも、できそうにない。すまないことをしたな……」
そして竜王二世は目を閉じた。これが竜王に心酔し、そしてその遺志を継ごうとした竜神の最期だった。
「お前、最後にこいつを『父上』と呼んだな……」
トルファが「竜王の孫」の肩に手を置く。それを「竜王の孫」は振り払わず、ただ顔をそむけただけだった。
334 :
北風:02/12/11 20:14 ID:0r11MPp0
「さて、ラダトームに帰還するとしよう」
アーサーは荷物から『キメラの翼』を取り出した。ちゃんと人数分……もはや人数分以上にある。
昨日一日、ベホックは蘇生呪文『ザオラル』を唱え続けた。しかし日を置いてしまったこともあるし、なによりも遺体自体の損傷が激しく、命を取り戻せたのは二人だけにすぎなかった。その中にゴーリキ隊長は含まれていない。
生き残った『竜王探索隊』の隊員はわずかに7名。途中でリタイアした者もいるが、城を出発したときには20名を数えたことを考えると、
「まったく、さびしくなったものだ」
対岸にかすんで見えるラダトーム城を目に入れながら、アーサーは感慨深げに話す。すぐ横のベホックはというと空を見上げていた。
「優秀な人材を失ってしまいましたものね。ゴーリキ隊長にメルビー師、それに……」
逝ってしまった者たちの名は忘れることが出来ないだろう。
そして、死闘を終えて歩哨も立てずに泥のように眠りこけた翌日(もう日が中天に達していた)には「竜王の孫」の姿、そして竜王二世の死体は消えていた。
おそらく天界の事情であろうということで一同は納得したが、苦難を共にした仲間と別れの言葉も言えずに離れるというのは気が重くなる。
「とにかくこれで竜王二世の野望は終わった。これで私たちの探索は終了だ。……トルファ!本当にキメラの翼はいらないのか?お前の分もあるんだぞ」
自分の荷物を抱え上げたトルファにアーサーが声をかける。
「いや……歩いていくよ。竜王二世がいなくなったんだから、もう魔物が襲ってくることもないだろう」
トルファには確信があった。再びあの男──彼を『赤い旅の扉』に誘った男が現れることを。そう、このクエストは終わったのだから。
「お前も欲のないやつだ。私たちと一緒に城へ戻れば、再びこの大陸を救った勇者として抱えきれないほどの名誉と恩賞を得られるだろうに」
「そんなのに興味は……ないわけじゃないが。俺には荷が重すぎる、それだけのことだ。勇者なんて名乗るがらでもないしな」
トルファは彼らに背を向けた。
「トルファさん……お元気で!」
「じゃあなトルファ!」
それに対しトルファは……振り返らず、ただ、右手を上げた。
335 :
北風:02/12/11 23:17 ID:0r11MPp0
竜王の島から虹の橋へと足を一歩踏み出すと、突然まわりの風景が変わった。もうおなじみとなった赤一色の空間だ。そこへ「彼」が姿を現した。
「やあ、長いことご苦労様」
「……また姿が違うな」
最初に会ったときには特に特徴のない男、この世界に来る直前には老人だった「彼」。今度は旅の商人風の中年男の姿をしていた。
「まあ、そんなことはどうでもいいじゃあないか……ところで、ここには君のほかにもお客さんがいるんだよ」
「彼」がそう言うと、新たな人物が現れた。
「……おい!お前が何でここにいるんだ!」
トルファは三人目の男──「竜王の孫」に詰め寄った。
「まあ、まずはこの手を離せ……うむ、あの戦いの後わしは夢の中でルビス様に声をかけられたのじゃ。
まあ、そこらへんの事情は詳しく話してもしょうのないことだろうから結果を手短に言おう。
わしはわしの使命──父の打倒を果たしたのだ。だが、父に奪われた魔力はもはや戻ってこない。天界の神々の力でもな。
結局、わしはある程度の魔力を新たに与えられた上、人間として生きることにしたのじゃ」
「竜王の孫」は淡々と語った。その口調はどこか楽しげでもある。
「竜神から人間へか。なんか、格下げされたみたいに思えるが……」
「そう人間を卑下するものでもない。人間もなかなかに楽しいものだということはお前たちが教えてくれたのではないか」
「ま、あんたがいいと言うのならそれでいい……で、なんでこいつがここにいるんだ?」
トルファは「彼」に顔を向けた。
「君だって、なぜ自分がここに来れたのか、それを聞こうとはおもわないだろう」
「…………まあな」
336 :
北風:02/12/11 23:18 ID:0r11MPp0
「とにかく、彼には先に扉を選ばせるよ」
「彼」が指し示すと、その先に三つの赤い扉が現れた。そしてそれぞれの行き先を告げる。
「これで本当にお別れだな」
「この先どうするんだ?俺みたいに旅を続けるのか?」
「……そうじゃな。この肉体は若いし、魔術師ならば寿命を数百年延ばすことも出来る。都合がいい世界に辿り着いたら、そこで町でもつくり静かに暮らすとするよ。せんべつにいろいろとアイテムももらったしな」
「魔術師の町でもつくるのか?」
「人間の体に封じられているが、わしの魂は竜のもの。いつか子孫が先祖返りを起こさないとも限らない。
そいつが困らないよう、知識を残しておく事も必要だと思う。その者がいつの日か、どこかの世界でそなたにめぐり合うかもしれないな」
「竜王の孫」は扉の一つを開けた。
「さらばだ、トルファ」
「あんたも達者でな」
扉が閉まり……そして三つとも消えた。
「さて、お次は君の番だ」
再び「彼」が指を指すと、赤い扉が三つ現れた。
「右からルプガナ、ジパング、そしてレイドックへ続いている。好きな場所を選びたまえ」
*長い間お付き合いただきましたが、これで私の作品は終わりです。
*次の方へようやく渡すことが出来てほっとしています。
*で、例の選択肢ですけど……最初からフォローできるようにしていたので、ちょっと皆さんの期待には添えませんでしたね。
*基本的にバッドエンドは好みじゃないんです。
*あそこまできてリムルダールの宿に戻るのも、話を世界征服に持っていくのも私には荷が重過ぎますし……。
*とにもかくにもこれにて了です。
北風さん、お疲れさまでしたー!
あんな選択しましたが、私もハッピーエンド大好きなんで大満足の
エンディングでした。
トルファもずいぶんかっこよくなって……(w
竜王の孫の行方とか、余韻のある終わり方も大好きです。
次は2と3と6の街ですねー。作者登場期待age。
おつかれさまでした〜。
すごいなあ、トルファ かっけー!
北風さん かっけー!
次の書き手さん期待。
おいらは書けないでふ。
書いてみたい気はするが同時並行はちと勘弁だな。
おー、お疲れ様でした。
そうですか。確かにリムルダールの宿に戻るのはつらいですね(w
うまくしめられましたね。
自分もしばらくは無理なので……新たな勇者の登場を待ちますか。
保守しまつ
,,,,.,.,,,.
ミ-д-ミ <キョウハ ポカポカ アタタカイ デシュー
""""
ほっしゅ毬藻で保守
344 :
華龍光臨:02/12/17 18:10 ID:4ydFmhdu
「これは一体…どういうことだ。」
劉備たちは程なく町にたどり着いた。
静かであった。静かすぎであった。
その原因はすぐにわかった。村のあちこちに石像がある。
…否、石にされた人々がいる。
何が原因かはわからない。このような奇病聞いたことがない。
この村はすでに死を迎えてしまったのだろうか。
「生存者がいないか探すぞ。」
「そうですな。」
各自で散開して生存者を探す。程なく生存者を見つける。
焚き火をしていたため煙が上がっていること。そこだけ明るいため迷うことはなかったが。
焚き火のそばでは老人がまるで凍ったように、石に座っていた。
雨が少しずつ、降り始めてきた。
「もし、御老人。」
劉備が声をかける。老人が多少おどろいた様子で
「ん、おお。このような町に旅人が来るとは…驚かれたことでしょう。ここはダイアラックの町。もっとも、生きている人間はわし一人なんじゃが。」
「事の仔細を話していただきませぬか。」
「…聞いたところでなんとする?」
「無論、この石になった人々を元に戻す。」
「無駄じゃ。」
雨が少し強くなる。
「何故だというのです。」
「皆を治す薬ならある。これじゃ。」
老人の反応は意外なものだった。これさえあれば村の皆は直るという。
「ならば何故!」
345 :
華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
沈黙が辺りを包む。響くのは雨音のみ。少し激しくなってきたようだ。
「…長い間、雨風に晒されてきたため、村の皆はすでに朽ち果てている。雨風によって朽ちてしまってはもはやこいつは効かぬ。」
そういえば腕がなかったり、耳が欠けているもの、石像自体にヒビが入っているものもいた。
要するに再生の限度を超えるほど朽ちてしまってはもはやこの「天使の涙」も効果をなさないということだろう。
「…」
「さあ、もう行きなされ。その「天使の涙」はあなた方にあげよう。…忌々しい、雨め。」
最後の言葉は劉備にしか聞こえなかっただろう。なぜなら雨音にかき消されたのだから。
大地は痩せていた。
ここは海辺に近い町だ。
潮風が強く作物を育てていくのには向かない土地であろう。
それに…水がない。
島の面積が狭く川が流れるようなところはない。
溜池を作ろうとした跡はあるようだが海岸からの潮風に乗ってくる砂によって溜池を作ったとしても砂に水分を取られてしまう。
「雨乞いの儀式やなんかの本が多いわね。」
「ああ。それだけここは水に窮していたのだろうな。」
主なき教会。あれから賊にも入られたのだろうか、ひたすらに荒れていた。
雨は激しく降り続いている。この雨だと動き回ることはできまい。
346 :
華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
アルスたちは町の入り口付近の家…宿屋との事…に、劉備たち一行は東の教会に分かれて休むことにした。
教会の神父は表で石になっていた。天使の涙をかけてももはや治らないほどに朽ち果ててしまっていた。
パミラからもらった薬も試してみた。
だけどすでに朽ちてしまった者には効果がない、ということがわかっただけだ。
「…」
重い沈黙が漂う。
そしてあれこれ何か策はないかと話し合っていた。
…気がつくと眠っていたようだ。
手元に特効薬があるもののもはや意味をなさず、どうして石になったのか、何が原因でなったのかがわからないため策なんて思い浮かぶわけが無かったが。
雨音はしない。どうやらもう止んでいるようだ。
染み出した雨水が劉備の頬を打つ。
雨、そうか、あの老人は忌々しい雨といっていた。
雨が原因で石になったのか?やはり魔物たちの仕業なのか?
…もう一度、あの老人の話を聞いておく必要がありそうだな。
劉備は身を起こすと静かに外へと歩き出した。
おお、ダイアラックですか。
あの町は『銀河鉄道999』の化石化ガスを思い出させました。
町を探索してて心が冷え込んできましたね。
華龍光臨を読んでいると、もう一回7をやりたくなってきますね。
今度はどんな展開になるか楽しみ。
349 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:02/12/24 08:48 ID:U3G5CC3v
華龍光臨を読ませていただきました。
確かに348さんのいうとおり、もう一度7をやってみたくなりました。
350 :
華龍光臨:02/12/25 16:43 ID:9Of2l4+t
自分のカンが正しければまだ夜中のはずであるが。
ふとそんなことを考えて昼…だろうか?出会った老人の元へと歩を進める。
まだ、何か希望はあるはずだと、自分に言い聞かせながら。
老人の後ろに忍び寄る魔物の影。
当の老人は気づいていない。
魔物がその腕を振り上げ…その次の瞬間、その魔物の腕は宙に舞っていた。
魔物は何が起きたか認識する前に絶命することとなる。
劉備が雌雄一対の剣の片方で腕を切り飛ばし、もう片方で怪物の心の臓を突いた。
返り血を思いっきり浴びる。…また、尚香に怒られてしまうな。
ふとそんなことを考えて老人に向き直る。
「…なんじゃ、まだ、いたのか。」
「危ないところでしたな。」
老人はモンスターの死骸を見つめて呟いた。…死ぬ…つもりだったのだろうか。
「…何故、そこまで、この村にこだわる?」
一陣の風が吹き抜ける。
「守りたい。この村の民はもちろん…未来を。」
351 :
華龍光臨:02/12/26 03:19 ID:rsmMZxRw
「民も…未来もすでになきこの村にまだ残っている希望があるというわけか?」
「あなたがくれた、この「天使の涙」。我らがここにやってくることができたのもあなたがこの天使の涙を捨てることなく今までずっと守り続けたからだと考えています。」
「そんなこと、偶然であろう?」
「いいえ、今の時代、この時間に私たちがやってきたことに意味がないわけがないでしょう。」
「…何?」
「まだ話していませんでしたな。多少長くなりますがお聞きいただけるとありがたい。」
「なるほど、話は大分理解した。」
焚き火を挟んでしばらく話をする。一時間くらい話しただろうか。
「…もし、この村が手遅れでないとするならば、直に始まるじゃろう。それを見て、何ができるか見極めてくるといい。」
「何が…」
「百聞は一見に如かず。村の真ん中にいればすぐわかるじゃろう…」
「それもそうですな。わかりました。今しばらく、待ちましょう。」
村の中心。村の象徴であろうか、巨大な岩がそびえている。
この岩には何か人を惹きつける魅力があるのだと感じる。
劉備はその岩に背中を預けてそのときを来るのを待つ。
かつてこの村は…いや、この島は戦場だったと聞いた。
何が何に対しての戦争だったか今は知る由もないが長い戦いの果てにこれほどまでに土地が痩せてしまったのだろうか。
そして、それが始まったのはちょうど宿屋のほうから一つの人影が見えた頃であった。
352 :
ママ先生:02/12/26 19:29 ID:7CI/lUSp
353 :
ママ先生:02/12/26 19:35 ID:7CI/lUSp
ブラクラだそうですのでご注意ください。
シャイン降臨って誘い方がなんかなあ
355 :
名も無き冒険者 ◆v4klbZfRto :02/12/27 23:46 ID:6pQRzw0E
ほしゅ
あげ
ほっしゅ
ワクワクほしゅ
360 :
華龍光臨:03/01/08 18:17 ID:JfomK1XY
完全な闇が支配するその中。
うとうとしているときにぼやけた視界の隅で何か、光った。
焚き火のそれではない。
いうなれば蛍のような光であった。
目を擦り、光へと近寄る。
「おお…」
光の発生源は石となった村人。あの老人は自分を恨んでいるのではないかといっていたがこの輝きは全く別のもの。そう思えた。
光を失ったこの村に光を取り戻さんという思いが伝わってくる。
意を決して石像に手を触れてみる──
流れ込んでくる記憶。
その人の今までの生きてきた記憶が頭の中に流れ込んでくる。
頭の中が破裂しそうな、そう思えた。
気づいたときには石像の光は弱々しくなって、ついには消えてしまった。
…石像となった村人の最後の力であったのだろうか。
頭がガンガンする。意識が朦朧とする。だが、この村の者たちの記憶をすべて…すべて受け止めることができたなら、できたならこの村も救われることだろう。
わかっていてもその足取りは重い。
この時を逃せばもう、二度とこの村が生き返らないような。そんな気がした。
ふと、前方に目をやる。人影が…
アルスだ。この異変に気づいたか…
目が合う。無言ですれ違う。
…お互いに余裕はないようだ。アルスも誰かの記憶を受け止めたか。頭を抱えていた。
後で話し合おうということを目で伝えて次の記憶へと向かって言った。
少しだけ明るくなる。朝だろうか。
そのころになってやっと全員の記憶を見ることができた。
痛む頭を水で冷やしながら、休みながらであったが。
だが、その甲斐はあったのか…
未来への鍵。それを見つけたような。そんな顔をしていた。
巨大な石柱の元で二人は大の字になって眠っていた。
他のみんなが起きてそんな二人を見たのはもう少し後のことである。
361 :
華龍光臨:03/01/11 07:06 ID:Wbmpw38p
ここは教会。劉備が筆をとる。
「兄者、それで何か手がかりになりそうな記憶はありましたか。」
「雲長、待ってくれ。今、書き出している。」
口に出すのは色々な記憶がごちゃ混ぜになって難しい。だから、一旦その記憶を書き出そう、としたのである。
白紙の巻物に筆を動かす。
素直に受け止めたことを書き込む。
退屈そうに張飛があくびをする。
さらに数時間。
巻物三つ分に書き込んだ村の者たちの記憶。
流れてきた記憶はその者の生涯のほんの一部分であるのだけれども。
「終わった?」
「ああ。私の見た記憶はこれだけだ。他の村人の記憶はアルスが見た。…おそらくそろそろやってくることだろう。」
関羽が巻物を手に取る。目に付いたものがあるようだ。
「兄者。…これが気になりますな。」
大きく劉備が背伸びしながら関羽を見やる。
バーテンの記憶。小さな男の子が何かそのバーテンに話しかけている。
傍らには父親らしきものがいる。
かつてはここは戦場であるということで地下に何かあるらしきことを話していた。
そのような記録であった。細かいことも詳しく書かれている。
「地下に何かがあるということね。」
「…!なるほど!」
「兄者、わかりましたか。」
劉備が立ち上がる。
「今までこの村の中を隅々まで歩いたが…」
うんうんと孫尚香が頷く。
362 :
華龍光臨:03/01/11 07:07 ID:Wbmpw38p
「子供の石像は一つ、それも幼い女の石像しかなかった。」
「そうですな。」
孫尚香は鳩が豆鉄砲を食らった感じの顔をしていたが思い起こしてみると確かにそうだった。
「村のいずこかにまだ見つかっていない石像があるはずだ。」
「その残っている石像はおそらく我らの目の届かぬ場所。…かつてここが戦場だったころの名残にあるのだと思われます。」
「うむ。今まで風雨に晒された石像が無事なのだ。風雨に晒されない場所にあるだろう石像は無事に違いない。」
拳を上に突き上げる。
「翼徳、起きろ。為すべき事は決まったぞ。」
「起きてるぜ。…早く探しに行こうぜ!」
さっきまで鼾を掻いていたが、よっこらせと言う声とともに張飛が立ち上がる。
「うむ。」
教会から出てきたところにアルスたちと出会う。
「アルスか。どうやら何か掴めた様だな。」
「はい。」
アルスから記憶をまとめた巻物を受け取る。ざっと目を通す。
「これを見てくれよ、劉備さん。」
そしてキーファから切れ端を受け取る。
切れ端と巻物、それを見比べる。
巻物には劉備の予想通り、無事であろう子供がいることを確認できた。
「…違いない!まだ、この村は死んではいない。」
顔を上げた劉備の目に一瞬、龍の幻が見えた。
まだ、目覚めるべき龍は眠っているのだろう。
永遠の眠りでない限り、眠りはいつかは覚めるもの。
予想が確信に変わるとき。
…龍が再び、蘇る。
363 :
華龍光臨:03/01/13 02:48 ID:/n42OQir
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「兄者、この辺にはないようだぜ。」
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「ここでもありませんな。」
ザッ、ザッ。
ザッ、コツッ…
「ありました!劉備さん。」
「おおっ!ついに見つかったか!」
村の西、枯れ木が立っている辺り。
よくよく見ると壁に「目印」と書いている。
今考えてみると、すべての鍵はこれにあったんだろう…
土を払う。足元に鉄製の扉が。
「これを持ち上げりゃあ、いいんだな。」
張飛が扉を持ち上げる。大きな音を立てて扉が取り除かれる。
「これを小さな子供が持ち上げたというのかしら?」
それは子供があけるには到底無理な扉。
大人であっても簡単には持ち上がらないだろう。
「ここに板があったようですね。」
扉横に木の板が。そしてその下には空洞が。小さい子供なら入れるだろう。
「なるほど、扉ではなく、この空洞から出入りしていたということか。」
「行こうぜ、兄者!」
階段の奥からすでに降りて言った張飛の声が聞こえる。
「ああ。」
イイ!!(・∀・)
365 :
華龍光臨:03/01/14 07:28 ID:aqG7iBPZ
カンテラに火を点す。
カンテラからの光が辺りを包む。
そこは思った以上に広く、しっかりとしていた。
何気なく壁を見やる。
そこには子供が書いたと思われる字で…
「『ひみつきち その2』と書いてありますね。」
「ということはその1があるわけだな。」
アルスが読む。そしてキーファがそれについての観想を言う。
「他にも地下室があるというわけね。」
通路を歩く。ここは相当大事な拠点だったのだろうか。
通路の脇にはボロボロでその役割を果たせない装備が山積みになっていた。
折れた銅の剣、先端が欠け、突き刺さらなくなった槍、ズタズタにされ鎧の役割を果たさなくなった皮の鎧…
絶望に近い、そんな戦況だったのだろうか。
それでも信じる何かのために戦ったのだろう。
「この手記を見ると、兵たちの士気は高かったようだな…」
部屋の隅の引き出しにあった手記を眺めながらそう呟いた。
「兄者、石像は見当たりませんぞ。」
「ここではなく、もう一つの地下室にある可能性があるからな。とりあえず、ここを色々調べてみよう。」
劉備はいつでも石化を治療できるようにその手に天使の涙を携えていた。
…奥への通路に目をやる。
あの梯子は何処へと通じているというのか。
吸い寄せられるようにその梯子を上っていく。
そろそろ、出口だな。
366 :
華龍光臨:03/01/14 07:35 ID:aqG7iBPZ
劉備を迎えたのは海沿いの町特有の潮風。
町中心のあの石柱。その上に劉備は立っていた。
この穴は人の手が加えられた跡はない。おそらくは自然に開いたものだろう。
自然の力にはほとほと驚かされる…
「風が強いな。」
辺りを見回す。島を一望できる。
戦時にはここに見張りを立てていたのだろうか。
空には真っ黒な、何物も通さない思い雲。
邪悪な何者かの意思が具現化したような雲。
人の絶望を喰らいそれは広がっていったのだろうか。
そして眼下には生気をなくした町が広がる。
…否、龍が眠っている大地。劉備は確信していた。
龍が目覚めれば、必ずやこの地に希望を取り戻してくれる。
どのような形かはわからないが、それだけは確信していた。
また、潮風が吹きつける。先ほどより強い…
劉備の手に握られていた天使の涙がその潮風にさらわれる。
しっかり握っていたはずなのになぜか風にさらわれた。
まるで、意思を持っていたのかのように…
風に乗って、それはダイアラック中に。
煌くそれは眠りし龍の目を覚まさん…
念の為ほす
保
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>>336 で止まってますよ〜
と、告知しつつ 保守
ヒョイ , ,,,,.,.,,,.
(_&ミ・д・ミ ミ ___
⊂|___,.つつ て/ ) クルリ
彡 ⊂ .ノ
ミ ミ ,,,,.,.,,,. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. ゙``゙`゙ 彡 ミ・д・ミ < 保守まりむ。
&/ ,つ \_______
〜、 ノつ スタッ !
.(/