聖剣伝説1総合スレッド

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心が苦しい。
アマンダを殺めてしまった事が、フロルを守れなかった事が、ジュリアスにマナの樹を奪われた事が
次々に思い出されて俺をどんどん追いつめていく。

「大体、あんたはジェマの騎士なんだろ?俺にやらせないであんたがやればいいんだ!」
その言葉を聞くと、ボガードが怒りで顔をさっと赤くした。
「・・・っ!馬鹿野郎!!出ていけ!!」
「ああ、出て行くさ!」
俺は乱暴にドアを閉めて部屋を出た。

部屋の外には、サラと言う老婦人がいた。
チョコボが運んできた俺を看病してくれた人らしい。
「グランさん、ボガードには黙っていろって言われたのだけど・・・」
サラは言い辛そうに口を開いた。
「あの人ね、飛空挺から落ちた時のケガで、もう動けない体になっているの。」
「えっ・・・ボガードはそんな事、一言も・・・。」

俺は瞬時に後悔した。言ってはならない事を激情に任せて言ってしまった。

「あの人、ジュリアスのせいで復活したモンスターが、街を襲っている話を聞いては苦しそうだったわ。
 でも、グランという人が必ず来るっていつも言ってたの。」

脳裏にさっきのボガードの顔が浮かぶ。
350326:02/07/04 11:54 ID:???
「私もあまり信じてなかったの。だけど、チョコボに運ばれてきた貴方を見て変わったわ。
 チョコボが、身を犠牲にしてまでも運んできた貴方・・・。
 チョコボでさえ、貴方が平和を取り戻す最後の希望だって信じている。
 今はボンボヤジの所にいるはずよ。もうダメかもしれないけど、見てきてあげてね・・・。」

俺を親だと思い込んで、ひたすらついてくるチョコボ。
グランスへ向かう際に別れて、そのままだったのに、俺を捜してこんな遠くまで来たのか。
自分の身を犠牲にしてまで。

「お願い、あの人の分までがんばって・・・!」

俺は何も言わずに彼女の側を離れた。
恥ずかしかった。苦しいのは俺だけだと思い込んでいた。
自分の不甲斐なさが、弱さが情けなくて、八つ当たりをしていただけなのだ。

「でも・・・っ!!俺はジェマなんかになれない!そんなに期待されたって応えられない!!」
街の外壁に拳を叩きつけた。何度も何度も叩きつけた。
心も、体も弱い事が苦しかった。
強くなりたかった。愛する少女を、フロルを救いたかった。
「くそったれっ!!」
情けない自分が嫌だった・・・。
351326:02/07/04 11:56 ID:???

「クエッ」
突然、俺の耳にあのチョコボの声が聞こえた気がした。
そう言えば、チョコボがボンボヤジの所にいるって言ってたっけ。
俺は力のない足取りでボンボヤジの家に向かった。

ガン!ゴン!ガン!ゴン!ガン!ゴン!ガン!
「よ〜し、完成じゃ!」
家に入って、まず聞こえた機械音。
そして・・・チョコボの下半身がメカになってる??!!
「名付けてチョコボットだいっ!これで水の上もス〜イスイだ!」
俺は慌ててチョコボの側に駆け寄った。
足が傷ついていたからって・・・何もこんな・・・。

しかし、チョコボの方は至ってゴキゲンだった。
「クエックエッ」
澄んだ瞳で俺を見つめる。
こいつはただ俺を信じているのだ。ジェマの騎士ではなく、俺自身を。
こんな体になったのは俺のせいなのに。

「お前の瞳には、勝てないよ・・・」
俺は思わずフッと笑ってしまった。
「クエックエッ!」
さぁ、行こう、とチョコボが言ってる気がした。
「おっ!やる気になったか?」
ボンボヤジの言葉に、俺は力強く頷いた。
352326:02/07/04 11:59 ID:???

それからすぐ、頼もしい友を連れて、ボガードの所に向かった。
非礼を詫び、今後の進む道を教えてもらうために。


もう、俺は迷わない。俺の力でできる限りの事をやろう。
過去ばかり見つめるのをやめて、未来の事を、どうすればフロルとマナの樹を救えるかを考えよう。

少し迷ってから、そっと扉を開いた俺を、
ボガードは優しい笑顔で迎えてくれた。

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以上です。おそまつでした。>348さん、協力感謝です。
でも、今思えば地下スレに貼れば良かった・・・すみません。