霊峰ガガゼトよ、キマリの話を聞け。ロンゾとは関係ないが。
今日、ベベルの手前に着いた。真夜中。
そしたら男が倒れていた。めちゃくちゃ怪我してて動けない。
で、よく見たら包帯が巻いてある。だが、傷が開いてる。
もう、アホかと。馬鹿かと。
お前、そんな大怪我で太刀引きずりながら歩くな。死ぬぞ。
安静だ。安静。
なんか右目もやられている。そんな身体で長い道を来たのか。何故そこまで。
二人に約束したんだ、とか言っている。もう見てられん。
お前、ポーションやるから手当てを受けろと。
だが、約束ってのはな、死んでも果たすべきなんだ、と男は言う。
ベベルにいる友の娘はいつ寺院に利用されてもおかしくない、
ビサイドかキーリカか、のどかな雰囲気の所へ連れて行かねば。手当てなど、すっこんでろ。
虫の息でそこまで言うと、男は、また立ち上がろうとして、倒れこむ。
そこでキマリはぶち切れた。
キマリは、ツノなしの自分はもう死んでいいと思っていた。愚かだ。
得意げな顔して何が、ロンゾの誇り、だ。
この男に、何故ここまで命を賭けられるのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
一言、友との約束だからと言うだけだろうが。
ツノを失くしたキマリだが、わかる。今、キマリがやるべきこと。この男の代りを務める。これだ。
娘を連れて行く。守る。これがキマリの運命。
人を守るというのは責任が多大に課せられる。代わりの見返りなどない。いいのか。
と、男はキマリを試す。眼光が最強。
そして、俺には構わず早くベベルへ行けと男は言う。果たされるなら、自分の命はどうでもいいと。
約束は、諸刃の剣。
並の男にはお薦め出来ない。
霊峰ガガゼトよ。キマリは、娘を守る。キマリは、この男、アーロンに誓った。