今更!! ギガスラッシュを偲ぶスレ

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212はぐれメタル(1/3)
   『ニンゲンって、コワイ?
    ニンゲンって、コワイ?イタイコト・・・スル?』

つい逃げ出してしまうんだ。ボクは魔物の中でも臆病なモンスター
なんせ『はぐれ』メタル、なんて言われてしまうくらいだからね。
すぐ一匹だけ群れから離れてしまうんだ。本当はボクだって、仲間と一緒に戦いたいのに
ああ・・・ホラ、だめだ、敵を目の前にすると、もう体が震えてきたよ・・・み、み、

「みんなっごめんなさーーーーーい!」(はぐれメタルは逃げ出したっ!)

ああ、悔しいな。どうしてボクはこんなに臆病なんだろう?
もっと勇気が欲しいな。こんな自分が嫌だ。悔しくて悔しくて泣きたくなるよ
こんなんだから、ボクには友達が出来ないんだよ・・・

・・・夢を見た。寂しいときにはいつもこの夢を見る
いっぱい色んな仲間に囲まれて暮らす夢
みんなが笑ってる。ボクも笑ってる。幸せそうな夢・・・ああ、これこそボクの理想だよ
でも夢さ。理想さ。本当じゃないんだ。目が醒めるといつもそれを思い知る
森の中で誰にも見つからないように、一人隠れてコソコソと寝る。それが、ボクだ。
気がついたときには、傍になんて誰もいやしない
悲しいな。寂しいな
『ニンゲンなんか怖くない』そう思えたら、ボクも、もっと強く変われるのかなぁ・・・

『ニンゲン』 ニンゲンかぁ。ボクはいつも怖くて逃げ出してしまうけど
本当のところ、ニンゲンってどうなんだろう?ホントに怖いのかな?どうなのかなぁ?
ボク、ニンゲンと話がしたいな。それも怖さなんか感じさせない優しい人に、逢ってみたい
・・・ま、無理だろうけどね。そんなこと臆病なボクに出来るわけないさ・・・
213はぐれメタル(2/3):02/07/22 21:34 ID:???
ん・・・足音?それもたくさん?誰かが来たのかな・・・?
うわっ、またニンゲンだ!!隠れなきゃ。隠れなきゃ!
・・・うん?おかしいな。ニンゲンのまわりにモンスターがいっぱい
なんで?なんで一緒に暮らしてるのさ?・・・変なの。あんなの初めて見たよ
でも、なんか・・・いいなぁ、ああいうの。あ、笑ってる。・・・うらやましいなぁ

「ねえ、君、どうして僕らの方をさっきからそんなにジロジロ見てるの?」
「え・・・うわぁっ!」
気が付いたら目の前にスライムがいた。この地方にスライムはいないから彼らの仲間か
さすがのボクも、スライム相手に逃げ出したりはしなかった・・・逃げだしそうには、なったけど

「驚かさないでよ。だってさ、ニンゲンとモンスターが一緒にいるのが珍しくって」
「あはは、そう?まあそうだろうね。みんな初めはそう言うよ
 でも、しばらくしたらみんなわかるんだ!僕たちが仲良くしている理由」
「何?それ?」
「カンタンだよっ!僕たちはみんなご主人様が大好きだからさっ!
 ねえ、今一人なの?よければ君も一緒に来ない?ご主人様に紹介してあげるからさっ!」
(・・・ボクが、ニンゲンと一緒に・・・?)
ああ、また体が震えてきた。本当にそんなことできるのか?
でも、逢ってみたいんじゃなかったのか?そう思っていたんだろう、ボク?
モンスターと一緒に生きていける人、ひょっとしたら、そうだボクの望んでいた人かもしれない
勇気を出せ、勇気を出せ、勇気を出せ・・・!

「うん・・・でも・・・それはボクを、倒してからだっ!」
ち、ちがうっ!ああ、何か変なこと言ってる!違うよ。今必要なのはそういう勇気じゃないよ
倒すだなんて柄にもないことを!戦いに勝ったことなんかないクセに
すっかり気が動転してしまったんだ・・・ボクのバカ・・・
これで、倒されて、気を失って、それでおしまいか・・・ああ・・・ホントにバカ・・・
214はぐれメタル(3/3):02/07/22 21:36 ID:???
しばらくして・・・ボクは目を開けた。そして驚いた。すぐに穏やかな声が聞こえてきたから
「気が付いたかい?」
案の定ボクは負けて、やっと意識が戻った時、色んな顔がボクをのぞき込んでいた。
もう日が大きく西に傾いてたのに、彼らはまだいて、ボクを心配そうに見てくれていたんだ
なんだかおかしかったよ。怖いのに、怖いはずなのに、その時はもう震えてなかった
戦って、負けて吹っ切れたのかな?それとも、もしかして・・・安心したのかな?
そうかもしれない。そう、なんだか、とっても、暖かいところだったんだ

   『仲良くしてる理由?カンタンだよ!僕たちはみんなご主人様が大好きだからさ!』
ああ、そうか。そういうことか。やっとわかったよ。こういうことなんだね
目が覚めたボクを、さっき声をかけてくれた、彼らが言うご主人様が腕に抱き上げて
「一緒に行かないかい?」
微笑みながら、そう言ってくれた。ボクには、拒否する理由なんて、一つとしてなかったよ
信じていいかな?信じて・・・いい、よね?

そしてボクはみんなの仲間になった。
でも、今でも戦いになると怯える。ビクビクする。なかなか性格は治らない。困ったものだよ
でも一つだけ・・・いいことがあったよ。ボク、もう逃げないんだ。
だってここにいたいから。ここは、ボクが憧れていた場所、そのものなんだ
だから怖くっても、逃げなくなった。それだけでも少しは成長したのかなぁ・・・?
それに、あの時話しかけてくれたスライムは、ボクより強かった。最初はボクより弱いはずなのに
そうだ。いつか、きっと、ボクも強くなるよ。
人とも魔物とも話し合える勇気を身につけるんだ・・・ボクたちのご主人様のように
そうさ。ご主人様こそ、ボクの憧れ、ボクの目標なんだ!

頑張って!ご主人様!あともう少し・・・ボクたちも応援しているよ
最後まで心をしっかり持って、前を向いて頑張ってね
そう・・・それはあなたが、かつてボクに教えてくれたことなんだ!