今更!! ギガスラッシュを偲ぶスレ

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187父の姿(1/3)
お父さんは、あっという間に二匹の魔物を倒したんだ。
ホントに、びっくりするくらいあっという間で、
ぼくはその前にゲマってヤツにやられたせいで体中が痛くて痛くて、動けなかったけど、
お父さんはすごく強くて、ぼくだったら絶対に勝てなさそうなヤツらに簡単に勝ったんだ。


なのに・・・なのに・・・
「ほっほっほっほっ。みごとな戦いぶりですね。でもこうすると・・・どうでしょう?」
ゲマはそう言って、ぼくの首に大きな鎌をつきつけてきた。
「ぬうっ・・・!き、きさま・・・・・・」
「この子供の命がおしくなければ、ぞんぶんに戦いなさい。
 ですがこの子供の魂は、永遠に地獄をさまようことになるでしょう。
 ほっほっほっほっ。?」
「ひ、卑怯なっ!」
お父さんはゲマを睨みつけたけど、ゲマは気持ち悪く笑って、手下に言ったんだ。
「さぁ、ジャミ、ゴンズ、やっておしまいなさい!」
さっきお父さんにやられたはずの二匹は、起き上がるとお父さんに襲いかかった。
お父さんは、ただじっとそこに立ったまま、そいつらの攻撃を受け続けてた。
ぼくが・・・ぼくが動ければ、この鎌から逃げられるのに・・・
そうしたら、お父さんは戦えるのに・・・
くそっ!くそっ!動いてよ、ぼくの腕!動いてよ、ぼくの足!!
このままじゃ、お父さんが死んじゃう・・・死んじゃうよ・・・
あんなに、あんなにたくさん血が流れたら、死んじゃうよ!
188父の姿(2/3):02/07/19 02:08 ID:???
「お父さん・・・た・・たかって・・・」
やっとの思いで出した声は、自分でも聞こえないくらい小さかったのに、
お父さんはぼくの方を見て、笑ってくれた。
でも、次の瞬間、
「何が、おかしいんだよ!ガキを人質に取られて、何もできやしないくせになァ!!!」
お父さんを嘲るみたいなその声と一緒に、お父さんの上に剣が振り下ろされた。


カラン・・・・・・
剣がお父さんの手から落ちて、床に転がり、お父さんは倒れた。
「く・・・これまでか・・・・・・」
やだよ!そんなこと言わないで、お父さん!!
そう言いたいのに、声が出ない。
お父さんの、悔しそうに歯を食いしばった顔が滲んで見えた。
泣いちゃだめだ!
そう思うのに、涙が後から後から流れてきて、ぼくはそれを止められなかった。

お父さんがなにか言ってる。
「息子よ・・・気がついているかっ!?はあはあっ・・・
お前の母さんは、まだ何処かで生きているはず・・・・・・わしにかわって・・・」
なに?何言ってるの・・・?お父さん・・・
お父さんはまだなにか言おうとしたけど、
そのあとの言葉はゲマの笑い声に消されて、ぼくには聞こえなかった。
「ほっほっほっほっ。子を思う親の気持ちはいつみてもいいものですね。
 しかし心配はいりません。お前の息子は わが教祖さまのどれいとして
 一生幸せにくらすことでしょう。ほっほっほっほっ。」
ゲマは血だらけのお父さんの方へと寄って行った。
189父の姿(3/3):02/07/19 02:08 ID:???
やめて・・・やめろよ・・・・・・やめろってば・・・くそっ!
「や、やめろ・・・」
ぼくは力を振り絞ったけど、そう言うのが精一杯で、体は相変わらず、少しも動いてくれなかった。
「楽にしてあげましょう」
やめろぉっ!!!

ぼくは心の中では力の限り叫んだけど、そんなのはなんの役にも立たなくて、
お父さんはぼくの目の前でゲマが放った炎に焼き尽くされた。
今まで、お父さんが居たところには何もなくなっていて、その床が黒く焼け焦げてるだけだった。
お父さんがぼくの目の前から消えた。
ぼくがなんにもできなかったせいで、殺された・・・
なんで・・・・・・なんで、ぼくは何も出来なかったんだろう・・・?
お父さんはいつだってぼくを守ってくれていたのに、ぼくはお父さんを守れなかった・・・

お父さん・・・お父さん・・・・・・
遠くでゲマがゴールドオーブを砕く音が聞こえたけど、でも、
ぼくはもう、それ以上何も考えられなくて、そのままヘンリーと一緒にどこかへつれて行かれた。