☆☆FFDQ最萌トーナメント準決勝Round25☆☆

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930ビアンカ支援(1/2)
ビアンカはベッドの上で娘の隣に座り、彼女の髪を梳かしながら話をしていた。
幼いころの事、山奥の村に居た頃の事、結婚の時の事、彼女たちが生まれた時の事・・・
話したいことは山ほどある。
今すぐにすべてを話して聞かせるなんて出来るわけがない。
それは分かっているけれど、娘に聞いて欲しかったから、ビアンカは少しずつ、少しずつ話をした。

彼女はビアンカが言うことに、必ず頷いてはくれたけれど、実はまだ、何も言葉を交わしていない。
照れているのだとは思う。
彼女が赤ん坊の時に離れてしまい、もう、10年も会っていなかったのだから、当然と言えば当然かもしれない。
だから、自分から話をする。
問いかけることもなく、静かに穏やかに・・・
ゆっくりと、彼女の髪を梳きながら・・・
彼女の淡い金色の髪は、柔らかくてまっすぐで、ビアンカは自分の髪と同じだと思った。
そしてそれは、この子が本当に自分の娘だと実感させてくれる。
931ビアンカ支援(2/2):02/05/25 01:41 ID:???
ふと手を止めて、ビアンカは彼女の顔を覗き込んだ。
「ねぇ、お母さんの大切なもの・・・受け取ってもらえるかな・・・?」
彼女はほんの一瞬、ビアンカに視線を向けると、こくこくと何度も頷いた。
ほんの少し赤くなった頬で、懸命に頷く彼女のそんな様子がいとおしくてたまらない。
「うふふ・・・ありがとう・・・・・・」
ビアンカはそう言うと、彼女の髪を一ふさ掬い上げて、自分の髪に結んであったリボンを解いた。
さらりとビアンカの髪が落ちる。
そして、ビアンカはそれを丁寧に彼女の髪に結いつけた。

「はい、出来た。」
ぽん、と軽く彼女の肩を叩くと、彼女はぴょこんとベッドから飛び降りて、鏡の前に走って行った。
鏡を覗き込んでから、自分の頭を確かめるように、何度か首を傾げる。
10歳とは言っても、まだ幼い。
ビアンカはそんな彼女の後姿を微笑んで見つめていると、彼女がくるりとこちらを向いて、
相変わらず赤い顔だったけれど、満面の笑みを浮かべて走ってきた。
迎えるように両手を軽く広げると、彼女はビアンカの胸に飛びこんできて、ぎゅっと抱きついた。
「ありがとう、お母さん。」
その言葉に、ほんの少し目頭が熱くなったビアンカは、嬉しさで思わず言葉を失ってしまったけれど、
その代わり、彼女の髪にそっとくちづけた。