☆☆FFDQ板最萌トーナメント二回戦Round19☆☆
モンスターの牙が俺の顔面を狙う。
その一撃を頬を掠める程度でかわしながら、俺は魔法を唱えた。
「全能なる父よ、聖なる光をこの者に降らせ給え! ホーリー!!」
夜の帳を切り裂き、目が眩む程の光を集め、モンスターに必殺の魔法が振り注いだ。
まずは一匹・・・。だが、油断はせずに周りに注意を払ったが、連中は既にモンスターを
倒し終えたようだった。
「おい、少しはチームワークってのを考えろよ!」
騎士が先程の戦闘でスタンドプレーに出た事を怒っている様だ。
「フン・・・。俺が片付けた方が早かったからやっただけだ。
別にお前等に迷惑を掛けているつもりはない」
「〜〜〜。お前はパーティで唯一の回復役なんだからもう少し周りを見ながら闘ってくれよ!!」
騎士のその言葉に他の二人も頷く。
「・・・別に周りを見てないとは言ってないだろう。ケアルラ!」
とたんに先程の闘いで負った騎士の傷が修復される。
「お前こそ前線に突っ込み過ぎだ。少しは防御の仕方を覚えろ」
「なっ! て、てめえこそ人の事言えんのかよ!!」
「少なくとも、人が防御魔法を掛けてるのに気付かない間抜けよりはマシだな」
そう言い、斜に構えた笑顔を騎士に向けた。と同時にかけていたプロテスの効果を解除した。
導師は女じゃないよ
それに気付いた魔人と魔剣士が、騎士に顔を向ける。
「おっ、おい騎士・・・。どう考えても今回はお前の負けだ」
「まあ、毎回負けっぱなしって気もするがな」
魔人、魔剣士が口々に喋り出した。騎士はその言葉を受けて沈黙したようだ。
フン・・・、当たり前だ。
「くそっ、分かったよ、俺が悪かった」
「分かればいい。俺は先にインビンシブルに戻っているぞ。
そろそろクリスタルタワーも攻略間近だってのにいがみ合っている暇はないはずだ」
その言葉に顔を下に向け、やはり沈黙する騎士。
「〜〜〜。あのなあ、少しは俺が心配しているのも分かってくれよ」
「何を言っているんだ?」
「せめて、これを受け取れ。少しは自分の顔に気を使えよ」
そう言って騎士は小さな小瓶をよこした。ポーションだ。
俺がそれを素直に受け取ると騎士は満足したらしく、笑みを浮かべた。
その笑顔を見たら少し顔が赤くなったような気がした。何故だ。別に大した事じゃないだろう?
だが、その理由は結局分からず、俺は船に戻るのであった。