導師たん&白魔たん萌えスレ4

このエントリーをはてなブックマークに追加
「だ〜か〜ら、何でいつもボクばっかり!」
 ようやく、土のクリスタルまで到着し、敵を倒しクリスタルを開放したのだが、ここでいつものもめごとが始まった。
 こいつらはいつもボクにばかりとある役を押し付けようとするのだ。
「君も男なら聞き分け給え」
「そうは言ってもねえ」
「だって、今度はネコ耳付きだぜ? ネコ耳にネコしっぽに半ズボン……。漢ならこの浪漫が分かるはずだ!!」
 と順々に仲間達は言い出した。ちなみに上から魔剣士、黒魔道士、騎士の順だ。
 ぐぐぐ、お前ら〜〜〜。前から思っていたがやっぱり脳みそ腐ってるんじゃないのか?
と、うつむいている隙に、上から大きな黒い影見え、ボクに抱きついた。
「ん〜、やっぱお前の白魔道士姿が一番しっくりくるわ〜。この抱き心地がなんとも」
 ぞわぞわぞわっ。あまりのおぞましさに思わず鳥肌が立つ。
「離れろ外道が〜〜〜!!!!」
 零距離から放つアッパーカットに騎士はもんどりうって倒れた。
慌てて他の二人が騎士に駆け寄る。
「ま、待ってよ。そろそろキミも納得してくれたんじゃなかったの?」
「そうだ。この冒険がいかに厳しいものなのかはお前だって分かってるのだろう?」
 いや……分かっているのだ。
ひょんな事から風のクリスタルの力を得て旅を始めたんだが、その目的がどんどん大きくなってしまっている事を。
最初は、ちょっとした探検気分で入ったはずの洞窟で風のクリスタルに出会ってから、
今や闇に落ちた魔道士ザンデ倒し、世界の平和を取り戻すといったモノになってしまっている事を。
 その中でボク達四人は幾つかの決まり事をし、冒険を続けてきたのだ。
その中の一つにこういうのがある。
「この冒険は長く辛いモノだ。そして行く手には数々の困難が待ちうけているだろう。
 そこで我々にまずまっさきに必要なモノと言えばパーティの志気を上げる為の“華”だ」
 その発想が既に間違ってると思うのだが、どうよ、魔剣士……。
「うんうん。だけど、僕ら幼なじみ四人組は全て男! こんな女ひでりの状態で
 冒険を続けて行くなんて出来ないでしょ!? 絶対に無理だって。そこで……」
 そしてそこで何故ためらいもなく同意する黒魔道士。お前は魔法組でまだ仲間だと思っていたのに。
「俺達の中で最もサイズがコンパクトで可愛いお前にその“華”を任せると言う大命が下った訳だ!」
 キラッ、と瞳を馬鹿かと思うほど光らせて、騎士が最後のセリフを締めくくった。
って、お前は確かボクのアッパーカットで気絶したはずじゃあ。……まあ、この連中と付き合ってくのに
このぐらいで驚いちゃ身体が持たないか。ともあれ、気を持ち直して会話を続ける。
「“華”って言うのはこの白魔道士のびらびらした女みたいな格好のコトか……?」
 しかも、奴らは時々発作を起こしたようにボクに抱きつき、触り、なでるのだ。
い〜加減これは男でもセクハラだと思うんだが。
「そうに決まっているだろう? 何せ、この厳しい旅を生き抜く為だからな。
 俺らにとっては志気の上下は死活問題だ。そして適任としか言えないルックスを持つ人間がいる。
 この流れは必然に決まっている!」
「そんでもってさらに君の可愛さを上げる為としか思えないジョブが手に入ったんだよ」
 土のクリスタルの力を継承して手に入ったジョブ一覧を黒魔道士が見せてきた。
さっきも熱心に語っていたが、奴らが今度ボクに転職を勧めているのは“導師”。
白魔道士の上級職で、なんと封印されし古代の魔法も使え、さらに上級職だけあってか、
以前より使える魔法の回数も多い。その威力も増し、これからさらにきつくなっていく最終戦に
向けて、是非パーティメンバーに入れたい職業だろう。だが、問題なのはその格好だ。
 白魔道士の上級職だけあって基本的な格好は同じなのだが、“若干”違う部分がある。
だが、その若干が何か間違っている仕様なのだ。何せ……
・ネコ耳がついている(魔力を上げる魔術的な仕掛だと思おうとしたが無理だった)
・ネコしっぽもついている(同上)
・何故か半ズボン(この辺りに何か陰謀を感じるのだが気のせいか?)
と言ったモノなのだ。今の格好ですら皆にオモチャにされているのにこれ以上ヤバイ格好はしたくない。
「だからこの前も言ったが、別にボクが回復役をやり続けなければならない理由はないだろ?
 今回くらいは他の奴に代わってもらってもいいじゃないか?」
「でも、それじゃあ、パーティに“華”がいなくなっちゃうじゃないか〜」
 黒魔道士、今思い出すと、お前らそもそもサラ姫やエリアが一緒にいた時だって向こうに眼中はなかった気がするぞ。
「いい加減ボクもお前らの馬鹿っぷりに付き合うのに疲れて来たんだ。今回こそ変な役目は降ろさせてもらう」
 すると、騎士と黒魔道士の二人は見た目で分かる程、落ちこみだした。
「ううぅ。あいつのバイキングや空手家のごつい格好なんて見たくない……」
「ひどいよぉ、せっかく可愛い写真をいっぱい集めてたのに……」
 ん? 魔剣士だけ冷静っぽいな、どういう事だ? いぶかしんでいると、奴は口をゆっくり開いた。
「転職には相性があるって話を覚えているか? 風のクリスタルに最初教えてもらっただろう?
 我々は常々モンスターとの相性を考えてその点に気を配っていたが、お前は最初から白魔道士のままだ」
「へ? そんな事クリスタル言ってたっけか??」
「間違いない。と言うかお前は逆に白魔道士を極め過ぎてその系統の職業にしかつけない身体になっているはずだ」
 ………マジデスカ、ソレ?
「そっ、そうなのか魔剣士? でっ、でかしたぞ!!」
「やった〜、今度はネコ耳の写真のコレクションが増える〜」

「それじゃあ、最後にお前が転職する番だ。ショックなのは分かるがひとまず集中しろ」
「……一言言っておくがお前ら今回は俺に抱きついたりするなよ?」
「それは分からないなあ〜。なんせ、お前は可愛いから♪」
 そんな事言うから不安なんだよ。
「まあまあ。お喋りはその辺にして早く転職しちゃってよ♪」
 と言いながらなんでカメラを構えてるんだ?
と、ともかく転職自体は必要だからな。集中しよう。む〜、クラスチェンジ!!
そう心の中で唱えると、クリスタルの力が呼応し、ボクの姿が変化しだした……。
「うぉ〜、ネコ耳〜〜〜!! なっ、なでなでしたい〜〜!!!!」
「うわぁ、これは激写チャンスだよ、激写!!!」
「うむ、予想以上だ、素晴らしい!!」
「お〜ま〜え〜ら〜!!!!!!」

こうして、お馬鹿カルテットは大騒ぎをしながらザンデの野望を打ち砕き、やがて伝説の勇者となるのでした(笑)