☆☆FFDQ板最萌トーナメント一回戦Round8☆☆

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455フローラたん初めての戦闘1
それは私にとって初めての戦闘。
サラボナを出てすぐに、私達の馬車はモンスターに囲まれた。ころころした男の人が、鞭
を持ってにこにこ微笑んでいる。何だかかわいいこの人、れっきとしたモンスターなんで
すって。ピエールが、魔物使いだと教えてくれた。
「フローラ、本当に大丈夫かい?」
油断なく杖を構えながら、あの人は傍らに立つ私に囁いた。
「君が戦闘だなんて……」
「大丈夫ですわ!」
私は力強く頷いた。
戦闘に臨む私のいでたちは、みかわしの服、鱗の盾、そしてシルクのベール。シルクのべ
ールはちょっと派手だけど、防御力が高いの。サラボナの人が、道行く私を物珍しそうに
眺めていたけど、あれはなんだったのかしら。
両手にしっかりと握るのは、お父様から頂いたモーニングスター。棒の先端に、いがいが
のついた玉が二つぶら下がっている。振り回して、鉄球で敵を殴る武器ね。
「けど、君、モーニングスターを使ったこと……」
「ありませんわ!」
 私がそういうと、あの人の額に汗のようなものが光った気がした。
「心配ありません、あなた。私は元シスターですもの。モーニングスターは僧侶の武器だ
とお父様が仰っていました。きっと私にも使いこなせると思いますわ」
「そんなムチャクチャな」
「大丈夫ですったら。あなたはそこでご覧になっていて。えい!」
456フローラたん初めての戦闘2:02/04/16 20:39 ID:???
私は渾身の力を込めて、重たい棒をせいいっぱいふりかざした。後ろでぶうんと鈍い音が
して、鉄球が大きく揺れたのは分かった。
……なんだか、鈍い音がしたのは気のせいかしら。
不審に思って振り返ると、そこには鼻血流して倒れるあなたの姿があった。あなたの精悍
な顔が、信じられないくらい歪んでいる。ああ、神様!!!
「きゃあ!あなた!しっかり、しっかりして!!!」
 私は武器を放り出して、あの人の傍に駆け寄った。
「一体誰がこんな酷いことを!目を開けて!もう一度私を見て!私を残して死んじゃイヤぁ!」
それは私が、戦闘の厳しさを身を以って体験した出来事だったわ。

私のベホイミで意識を取り戻したあの人は、私の両手を柔らかく握り、しみじみとした口
調で言った。
「フローラ。やっぱり君に戦いは危険だ。馬車にいた方がいい」
「でも……でも私、あなたのお役に立ちたいの」
「俺は君が心配なんだ……」
あの人の顔が、微妙に引き攣っているように見えるのは私の気のせいかしら。
「君には危険な目にあって欲しくない。モーニングスターなんて物騒なもの……じゃなく
て危ないものを振り回して欲しくないんだ」
「あなた……」
あなたの優しさに、私は胸がときめくのを感じた。
優しいあなた。大好きよ。