294 :
韓玄四:02/05/15 13:01 ID:???
名前が抜けてた・・・鬱だ。
ああ、哀しいかな魏延、痛ましいかな魏延、惜しいかな魏延。
何の前触れもなく、孔明が蒸発したため、
荊州は劉封が、益州は馬謖が、それぞれ守る事になった。
劉封が北伐に出るたびに孫呉は荊州を侵そうとする。
何度も武装していない、面妖な集団が国境を越えて来る。
そいつらが蜀の義勇兵に志願したり、役人として使えるぞと学問を自慢し、
荊州の権力構造に入りこもうとする。
さすがに蜀の役人はこれを拒んだが、
同時にまともな人材の確保も難しくなった。
益州には既に深い所までハーゴンが入りこみ、
馬謖の預かる成都は孤立しつつある。
劉封は何度も援軍を出そうとしたが、荊州に睨みを利かせる
幼将ピサロ、勇将アンドレアル、参謀エビルプリーストらがそれを許さなかった。
ピサロはそろそろ十五歳に達しようとしていた。
<ロンダルキアの予兆>
ハーゴンは蜀の地理をとても面白がっていた。
洛陽のある、司州のような華やかな文明とは無縁だが、
見渡す限り、山に閉ざされ、陽射しも弱く、どこまでも陰鬱である。
いつかこういう所を本拠を移したいとさえ考えた。
この天険の要塞を、数億に至る奴隷と、強力な魔法を使ってこねまわし、
蜀一帯を、全ての地から浮き上がらせた巨大な台地にしてしまいたい。
人はおろか、ありとあらゆる生き物が登攀できない絶壁に囲まれた悪魔の要塞。
そこから全世界を見下す。見下ろされる方は台地のある方角を見ては戦慄する。
かつて始皇帝なる人間は、民衆にして見れば息の詰まるような話だが、
その限られた支配圏を万里に至る城壁で囲み、『独裁の帝国』を守ろうとした。
これが馬鹿げたやり方に見えるのは、そこに現れる始皇帝個人の
私的な欲求と臆病とが露骨過ぎたためであろう、とハーゴンは思った。
「始皇帝は外敵への怯えから城を築いた。…が、わしの考える要塞は違う。
わが城は、外敵への備えではなく、人々を支配する為の城だ。
反抗など考える余地のない、見ただけで屈服せざるを得ない巨大な城。
絶対な支配の象徴。それがわしの望む要塞」
──尚、これは余談になるが、このハーゴンの構想は、
千数百年後の倭国で「織田信長」なる男が実現する事になる。
<成都の馬謖>
アトラスが軍勢を連れて、成都にゆっくり歩いていた。
彼らは時々、何の理由もなく、ゆっくりと横たわって、
そのまま何日も昼寝(?)する事があった。
実にいい加減な行軍で、人の足で三日かかる距離を、
彼らは十日かけて進んでいた。
馬謖は兵馬に調練を重ね、要所普請には女子供容赦なく動員して、
その守りを固め、篭城に備えつつあった。人民も不平一つ言わない。
結果がどうなろうとも、いっそ野戦でも開き、
一度に全て終わらせてしまいたい気持ちもあったが、
孔明が最後に残した「必ず戻る」の言葉を信ずる限り、
こうする他にないのであった。
「敵は、あと一ヶ月でこの成都に辿りつくかと思います」
斥候の報告を聞くたびに、敵が何を企んでいるのかを考えた。
奴らは明日にも考えられないくらい速度をあげて、
奇襲をかけるつもりかも知れないし、
あるいは成都を疲れさせるためだけに迫っていて、
途中で引き返してくれるかも知れない。
どうあれ、馬謖は孔明の帰還が待ち遠しかった。
あれからもう約束の半年が立とうとしている。孔明は間に合うだろうか?
>>295の題名、<三国情勢>が抜けていました。失礼しました。
皆さん、いつもありがとうございます。
暇な時にでも気楽な気持ちで読んで頂ければありがたい限りです。
次回、<孔明の帰還>に続く予定。
299 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:02/05/17 17:28 ID:3J3uKOyM
ageないと。
カイン=呂布
これだけはゆずれない
301 :
∬:02/05/17 17:41 ID:???
>300
自分はむしろ馬超さんとかぶります。
確保
<孔明の帰還(1)>
成都に迫る軍勢は、一部を残して近くを通り過ぎ、
そのまま益州各地の要所を攻略しに向かって行った。
馬謖はこの状況を指をくわえて眺めている他になく、
やがて成都は孤立を深めていった。
死道軍が本気で攻めれば、この成都を落とすのは難しい事ではないはずである。
多数の犠牲を出す事を嫌っているとも思えなかった。
「奴ら、我らの命そのものを奪う事よりも、心を惑わし狂わせる事を望むか」
それにしても苛立たしいのは、荊州の劉封である。
本拠である成都が窮地に陥っているのに、援軍をよこす気配がない。
何度も催促の使者は送っているし、それ以前にこちらがどれだけ苦しんでいるか、
おそらく充分過ぎる程、理解しているはずだ。
「劉封様にして見ればこの成都など、本拠でも何でもないのかも知れないが」
もう一つ、危なっかしいのは、人材の不足である。
有能な、あるいは忠節な人士の多くは長年の戦で落命し、
残っているのはただの武僚か、官僚に過ぎず、
自分の頭で物事を考えて戦術や経略を担当する人間は皆無に等しい。
「どいつもこいつも役立たずが」
馬謖に独り言が増えた。
<孔明の帰還(2)>
やがて約束の時も過ぎ、孔明が消えてから既に一年近い時間がたつ。
馬謖は孔明が帰還しないことに、深く疑心を抱いた。
やがて疑心が、諦めに変わり、成都は主君・劉封にも師・孔明にも、
そして天にも見捨てられた事を感じた。
益州のほとんど全てが攻め滅ぼされた。
荊州の情勢は、情報網が完全に寸断されていて解らない。
成都の民はこれまで蓄えられた兵糧と、新たにはじめた屯田で、
何とか生き長らえてはいるが、いつ魔物が自分たちを殺しに来るのか、
それを思うと「生きている」と言う実感は薄かった。
「馬将軍、我らに総攻撃の命令を」
訓練で鼻を潰した若者が真剣なまなざしでそう言った。
今までも馬謖にそう申し出てくる連中が何人もいた。
はじめの頃は「孔明の帰還」、「劉封の援軍」を期待していた為、
これを退けていたが、最早ここまで至っては致し方あるまいと感じた。
「よかろう。誰も当てにならぬ今、自ら活路を開く他あるまい」
<孔明の帰還(3)>
馬謖自らが率いる一万数千の騎兵が城を出た。
山岳の高所に仮の陣地を作り、敵の襲撃に備える。しかしどこか危うげである。
戦慣れしている者なら、明らかな挑発と見てかかって来る事はない構えだった。
だがアトラスは馬鹿だった。馬謖の掲げる牙旗を見て、どもりつつ呟く。
「あれが成都の馬謖かあ。兵隊の位でいうと、大将だな」
わざわざ「兵隊の位」で言わなくとも、歴とした「大将」である。
「おい、みんな。大将首を狙え。攻めかかるぞ」
死道軍は、なぜ馬謖が歩兵ではなく、騎馬隊を率いたのかも考えず、
その陣地へと向かう。馬謖はそれを見下ろし、全軍に命令した。
「よいか。何としてもここを突破せよ。敵の首など取らずともよい。
どうせどこからどこまでが首なのかもはっきりとしない連中ばかりだから。
それよりも生延びる事だけを考えてひたむきに前へと走れ」
馬謖の組んだ陣形は、防御と見せて、敵の突進を誘い、
防御の時には安易に見えない、部隊ごとの士気の温度差を見出して、
弱点を狙い、敵中突破を狙うものであった。
成都を脱して、荊州で遊ばされている将兵を糾合し、成都を救うのだ。
そして益州をも奪回し、劣勢に立たされた敵軍が態勢を整えなおす前に北進し、
騎馬隊を中心とした奇襲部隊で、長安を攻め、中原に踊り出よう!
馬謖は、これは既に戦略というよりも夢に近いなと、自ら思った。
<孔明の帰還(4)>
逆落とし。悪魔の大群の中を、騎馬隊が駆け抜けんとする。
二千人の先発隊が敵にぶつかる。この部隊はほとんどが老兵だった。
ぶつかったかと思うと、すぐに何人かの兵が弾き飛ばされた。
落馬した兵たちが踏み潰されて行くのも見えた。
しかし彼らは捨て駒であった。この後、すぐに若い精鋭部隊が続く。
これは巧くアトラス軍の虚を突いた。
馬謖に指示された通り、雄叫びで魔物を威嚇し、不意に思わぬ動きを見せ、
芸術的な連携を繰り返して、敵軍を陽動する。
あっと言う間に四千ほどの騎馬隊が敵の先陣を突破した。
奇跡としか言いようのない手際だったが、
彼ら自身は無我夢中で、どれほどの成功に繋がっているか自覚はない。
ただ、おのれの首がまだ繋がっている事だけが現実だった。
疾走中、自分の父が魔物を食い止めている姿を見た若者もあった。
電撃を受けて、落馬し、たちまち槍にかけられた落ちこぼれもあった。
いつしか首を失った兵を乗せたまま、友軍と駆けている騎馬もあった。
しかし、ここで心動かしていてはいけない。
生き残るためには、「人である前に兵」でなくてはならなかった。
馬謖もまた、若い将校に混ざり、生き長らえた。
一度、暴れ牛鳥にぶつかって、馬を失ったが、
近くで泣きながら駆けている少年兵を見つけたのが幸いだった。
躊躇せず彼を突き飛ばし、その馬を奪い、事無きを得たのである。
<孔明の帰還(5)>
「やった、俺は助かった。ついに成都を抜けたぞ!
これで荊州に帰ることが出来る! 俺は生き残ったんだ!」
馬謖は自分の叫びに我ながら驚いた。この声が俺の本音だったのか。
返り血と汗に汚れた顔を左右した。道連れは誰も馬食の叫びを聞いていない。
彼らも必死の形相だ。これを見て、彼は脳裏に詩心が生まれるのを感じた。
「生きる事、それは」
だが、その後に続く言葉は出てこなった。
なぜならこの時、爆音とともに、彼の四肢は天高く舞っていたからである。
<孔明の帰還(6)>
「すわ、新手か」
伏兵か、援軍か。バズズの率いる大軍が、横槍を突いて、わらわらと現れた。
次々と放たれる火炎を伴う爆発の呪文。
あっちに来たかと思ったら、既に自分も吹き飛ばされている。
そんな凄まじい爆発が幾度となく巻き起こった。
数分後、戦場に静寂が訪れた。
バズズ軍の本陣に、だいまどうが報告に来た。
「…馬謖は死にました。彼の率いる騎馬隊もほぼ全滅。
ですが、何人かは討ち洩らしてしまったようです」
「それくらいは仕方ないと思う。だが、馬謖を殺せたのは戦果だ。
して、その死体はいずこに?」
「あちらの荒地をご覧下さい。殺した時、そのままにしています」
バズズは彼のいう場に出向いた。
そこで馬謖の死体を見つけたバズズは、
焼け焦げた身体から抜けて脈打っている腸につばを吐き、
「これはこのまま野ざらしにしてやれ」と命じた。
数刻後、死道軍は全て、成都に向かった。
残されたのは、馬謖隊が哀れな討ち死にを遂げた痕跡だけであった。
<孔明の帰還(7)> (今回、長くてすいませんでした)
夜のとばり。散乱する騎馬隊だった者たちの肉片。
この時、一人の男が月明かりに照らされた。
男は静かに戦場を歩いて廻った。
やがて何かを少しづつ拾い集めると、それを足元に投げ巻き、
一言、そっと呟いた。
「ザオリク」
閃光。地面にばら撒かれた塊が一つに合わさり、
それがやがて、馬謖に戻って立ちあがる。
目が合う二人。
「馬謖」
「……こ、孔明様!?」
孔明はやさしく馬謖を抱きとめた。
310 :
∬:02/05/18 11:25 ID:???
キ…(゚д゚ )…タノ?
311 :
あぼーん:02/05/18 12:48 ID:KNSZyQKw
保守上げ
312 :
スラリソ:02/05/19 02:18 ID:1xV0noPw
定期揚げを行います。
すいません。今日は多忙のため、
実況(かなり脚色しているけれど、一応リプレイスレです)をお休みします。
314 :
Cain ◆ubj0tvjw:02/05/19 23:17 ID:Nxk/QWxA
お久しぶり〜
今は忙しいので 読めないのですが
来週か再来週までに追いつきます 必ず
もっとゆっくりでもいいよ>連載
長文つらい・・・
昨晩このスレを見つけて、読み耽ったせいで今朝寝坊した。
謝罪と賠償を(以下略)
…ってウソです。美文に惚れました。がんがってください。
<ピサロ成人>
大神官の玉座。一人の美しい少年が現れてひざまずく。
その瞳は残酷な輝きを宿している。
ハーゴンは、しかしまだ幼さが残っている、と感じた。
「ピサロ」
「ははっ」
「いよいよお前を我が軍の大将に取り入れる」
「ありがたき幸せ」
清らかで気持ちのよい返事であった。
もしこの場に人間がいたならば、彼らが邪悪と呼ばれる所以は、
彼らが卑劣で利己的な生き物だからではなく、
人間が家畜に愛情を持たないように、
彼らは人間に愛情を持たないだけである事を察したかも知れない。
だが、厄介な事に、人間は家畜と違って、「知能」を持つ。
それゆえに人間と家畜の間には生まれ得ない感情を、
すなわち「憎悪」を持ってしまう事が多い。
それゆえに分かり合う事がない。それだけの事なのだ。
館に帰ると、数え切れないほどの届け物があった。
いずれも将軍職の就任を祝う品ばかりで、祝いの手紙が添えられている。
ピサロは全ての手紙を読んだが、どれも面白味に欠けていると思った。
「…ピサロ様」
不意に背後から呼ぶ声があった。
振り向くと、エビルプリーストがいた。
「おお、お前か。明日より俺は荊州攻略軍の大将となる。
今後は我が補佐役としてよろしくお願いしたい」
エビルプリーストは畏まって頭を下げた。
「ところで大神官様が攻め続けている益州の情勢でございますが…」
このよき教育係であった男の報告では、成都だけがなかなか陥落せず、
いつまでも抵抗を続けているという。
「……。何が原因なのだ?」
「孔明が戻ってきました。…それも賢者としての修行を積んで」
「賢者? すると奴はロトの一党の如く、呪文を使い始めたというのか」
「左様。どうやら裏でダーマの孟獲たちが手引した模様です。
更には蜀と、ある勢力との仲介を試みているとか」
「ある勢力というのは何だ」
「アレフガルドの精霊ルビスです」
<とてつもなく恐ろしいもの>
ハリネズミの如く、全身に矢が突き刺さった人面樹の死体。
それが魔物たちに担がれて、何度も何度も、城門にぶつけられる。
その割れ目から飛び散ってしまう、人面樹の血や体液。
魔物の血や体液は、その身体から放たれると、乾かずに毒の沼地を作る。
とても嫌な臭いが漂う。そこにアトラスの怒鳴るような声。
「あと一歩だ。あと少しで突破できるぞ」
「うおおおお」
地響き。またぶつけられた。城門が少し歪んだように見える。
城門を取り囲む城壁からは、守兵らが魔物に向けて、
刃物や岩石、熱湯などを休みなく投げつける。
「これしきの事で怖れる我らではないわ。いけえいっ!」
魔物達は死を怖れず、門や壁に、傷だらけになって体当たりする。
もうすぐここは突破されるであろう。
城壁の上から、それを眺める影が二人。孔明と馬謖である。
孔明が、羽扇を振った。
「パルプンテ」
時空が歪んだ。途端、空が曇りはじめ、ぽつぽつと雨がふりはじめる。
髪・衣に水気が加わり、大地を濡らせたかと思うと、
突風が木を揺らし、稲妻は轟き、アトラスたちは目を見開く。
暴雨の痛みを堪えつつ、「これは何の技か」と叫ぶが、
その声は枯葉ふぶかせる天風が奪う。
暗雲、狂風。そしてつぶてのような雨。
そして凄まじい数に及ぶ馬蹄の地鳴り。あれを見よ!
風林火山の旗印。人の肉をも食らう勢いで迫る騎馬の嘶き。
「御旗楯無(みはたたてなし)、ご照覧あれ!!」
狂気じみた大音声で、謎の騎馬軍団が四方八方より突進する。
アトラスは気違いのように「退け」の叫びだけを繰り返し、
手足をちぎらせるほどに振りまわして逃げ出した。
続こうとして、魔物どもが先を争う。
「今こそ」
ここで馬謖が城門を開かせた。
孟獲が戦士としての訓練を仕込んだ兵卒を従えて、追撃に懸かる。
弓矢が放たれ、槍が投げられ、わずかな時間に、
おびただしい数の魔物の命が奪われた。
──こんな戦が何度も続いた。
蜀軍の、……いや、孔明軍の抵抗はとても手がつけられるものではなかった。
孟獲が、祝融夫人が、そして孔明が、持ち前の奇策と、強力な魔法を用い、
攻め寄せる魔物たちを全て、徹底的に痛めつけた後、追い返す。
孔明は馬謖の目を見つめては静かに微笑み、馬謖もまた微笑みを返す。
祝融夫人が、二人の師弟愛を羨ましげに眺めて呟く。
「敵を蹴散らし続けている間に、ルビス様からの返事が来て下されば…」
彼らは密かにルビスと接触し、救いを求めようとしていた。
ゲスト出演(まさか「パルプンテ」を使うとは…)記念sage
322 :
∬:02/05/22 22:02 ID:???
キター!!って感じ。
凄え…これが奴の真の力か。
パルプンテなんぞ使って軍が全滅したらどうするつもりだ・・・
武田騎馬軍団ワラタ
でも、(・∀・)イイ!!
<荊州の悲劇>
劉封は「劉」の旗を、そしてピサロは「死」の旗を、
それぞれ掲げて、平野に対峙していた。
ピサロの手勢はまとまりが悪く、時々陣中で揉め事すら起こっているが、
誰もみな、疲れ知らずで、覇気に満ち溢れている。
一方、劉封の手勢は、無謀な戦が荊州の国力を削ぎ、
その将兵も兵糧や武器の不足に苦しんでいる。
特に劉封らが辛いのは、破損した武具の補充が出来ない事である。
かつて、武装品の元である金属の多くは、益州や中原などから、
商人達が運んで来たものを買い取っていたものであるが、
孫権の支配する江州ならまだしも、北も西も魔物たちが行く手を塞ぎ、
必要な物資がどこからも手に入らない状態が長く続いている。
次第に弱まる荊州の劉封軍。
おそらく数で押しかかれば、これは容易に突き崩せるに違いない。
この戦は間違いなく勝利する。
まず間違いなく大戦果を上げられる戦こそ、ピサロ様の初陣に相応しい。
エビルプリーストはそう踏んで、主・ピサロに出撃を進め出た。
ピサロはこれが初陣とは思えない、立派な采配ぶりを見せた。
先陣のアンドレアルに、敵将・張苞を焼き殺させ、一番槍の名誉を与えた。
エビルプリーストは倒れた兵をスモールグールにして甦らせ、
傷ついた軍勢を何度も何度も立てなおし、全軍の補佐にあたった。
右翼のギガデーモンには、劉封軍の周囲を守る諸将を討ち取らせた。
そして左翼のヘルバトラーが劉封の本陣を突いて、全軍を壊滅させた。
追撃する魔物たち。
直後、劉封は敵に背を見せるは恥とばかりに馬首を返し、
化け物みたいに巨大な長刀を彼らに斬りつけて、少しばかり追撃軍を揉み砕いた。
すると本気で劉封の本陣を追う魔物はいなくなった。
この隙に劉封は「俺だって負け戦もあるさ」と荊州の南方に逃亡する。
だが、手痛い敗戦であった。
これで荊州の北方はほぼ死軍の手に渡ってしまうだろう。
<孫権の野望>
「劉封が敗戦」
民政の評議中、孫権の元にもたらされた報せ。
「左様にございます」
予想し、待ち望んでさえいた機の一つではあったが、
いざ立ち会って見ると、さすがにこれは、と感じられた。
「して、荊州は如何した」
「仰せ付けられていた通り、前線の徐盛殿が、
追撃に狂う死道軍より先んじて、蜀領の征圧に奔走しています。
首尾は上々。このまま行けば、荊州は全域は呉の手に渡るものかと」
孫権は一度、ハーゴンと戦って以来、適当に領土を増やすと、
長い間、甲羅に閉じこもった亀の様に守りに入り、
自らが解放した民草を安んじる事だけに専心した。
多分にそれは彼の気質がさせたのであるが、
幕僚らはその気質に従った上で、大陸に生き残る戦略を立てた。
地道に領土の拡大を図る。それが呉の戦略であった。
「蜀主・劉封はまだ生きているのだろうか」
「生死不明。辛うじて確認出来るのは成都がまだ健在である事のみです」
「出来れば彼はハーゴン如きに討ち取らせるな。我ら自身で身柄も抑えた方がよい」
とーたく「ドラクエ7はどうであったか?」
じょえー「語るに及びもうさん」
とーたく「エフエフ7はどうであったか?」
じょえー「語るにすべがござらん」
モノローグ「FF8発売」
とーたく「お前の中のFFは斬れたかっ」
じょえい「御意」
やっとその境地にたどりつけたか
331 :
野村殿:02/05/25 23:38 ID:???
キャラデザは天野様のものでありますぞーッ
手を出してはなりませぬ
「FFは常に斬新にして爽快、ムービーも他にかなうものあらずで
これからも常にRPG界に君臨し続けるものと思われますッ」
「ドラクエは単調とはいえ、ファンの年齢層は幅広く、
わたくしにまかせていただければ、巻き返しの下ごしらえをしてまいりましょうッ」
グシャ
<KEISHUの呼び声>
劉封の頭に兜はもうない。親衛隊の一人が身代わりを買って出たので彼に譲った。
不思議な事だが、その者の名は彼の印象に残らなかった。
「孟達、孟達」
劉封はふと思いついたように、騎乗のままで語りかけた。
「俺たちは、どこまで逃げればいいんだろう」
「もうすぐ武陵近辺です。あすこならば、まだ敵の手は伸びていますまい」
「武陵…。思えば父上の王業が軌道に乗り始めたのは、あの辺りからであったな」
不意に思い出が甦る。金旋、韓玄、劉度、趙範…。
もし、この暗愚な四人があそこになければ、父上は孫権の部将程度で
その生涯を終えていたかも知れない。
奴らの墓はまだあそこに残ってるのだろうか。
その日の夜営は、ある墓地に決められた。
夜。鮮やかな月明り。涼風をか、草間の虫が嬉しんで鳴いている。
何気に彼は武陵への道乗りで金旋の墓場に立ち寄った。合掌する気など当然ない。
それなのに何故立ち寄ってしまったのか、自分でも解らない。
数十人の旗本とともに通り過ぎようとした。
その時、劉封の頭にどこからともなく声が響いた。
『負けたのか』
瞬時、身体が震えた。すぐに廻りを見まわしたが、誰も見えない。
そんな乗り手の挙動を馬がいぶかしむ。
そこで、別の声が届いた。
『劉備の息子もこの程度では、わしらも何のために侵略を受けたのか解らんわい』
「貴様は誰だ。そして、どこにいる」
思考でもって問いかける。すると四人の『声』が答えた。
『我が名は金旋』
『余は趙範よ』
『ワシ、韓玄だけど』
『そして俺は劉度様だ』
突然、馬が怯えるように前を浮かせて嘶いた。
足元から、くさったしたいが一人現れた。
くさったしたいは仲間をよんだ。
くさったしたいBがあらわれた。次にCが現れた。そしてDがあらわれた。
泣く子も笑う、荊州弱四英傑のなれの果ての姿だった。
355の「数十人の旗本とともに通り過ぎようとした」は推敲ミスです。
見逃して下さい。(お願い
337 :
∬:02/05/26 09:14 ID:???
…すんません。
『ワシ、韓玄だけど』 に大爆笑してしまいました。
『ワシ、韓玄だけど』
そう言えば韓玄のリプレイスレのタイトルがそんなんだった気が。
<夢の金旋ワールド>
金旋のくさったしたいが天を仰いで大声をあげた。
「肥沃な土地に只一人!! 男一匹金旋ワールド! みんなも来いYO!
つか、お願いです侵攻してきても構いませんから首だけは撥ねないで…」
趙範が、劉封を見つめて言う。
「俺らって仲間だよな」
劉度が、劉封の手を握って、自分たちの墓に誘う。
「俺らってsageでやるのが似合ってるよな」
韓玄が、劉封の腕を組んで頷く。
「まったくだ」
劉封が、泣きそうな声で叫んだ。
「ワシまでいっしょにするなよ」
韓玄が不愉快そうな顔で「それはワシの台詞じゃ」と呟いた。
身を縛られ、口を塞がれ、墓穴へと押しこまれる劉封。
四人は劉備への復讐がなった事を喜び、愉快気に歌い始めた。
「君も今日からは僕らの仲間さ。旅立とう、穴倉の下へ」
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/978208304/ 旗本が気づいた時は、もう劉封の姿はどこにもなかった。
<次回予告>
いよいよ大詰めに入りはじめたハーゴンの覇業。
河北・中原・涼州・漢中・荊州の大部分は死道軍の手に渡り、
曹操も劉備も、そして曹丕も劉封も死んだ。
死道軍の支配する領土では、人間はただ奴隷として使役され、
山河は毒を含む湿地に侵され、この世の地獄と化す。
残るは成都で孤軍奮闘する諸葛亮と馬謖。
そして荊州の1部分を奪った江州の孫権軍。
果して彼らの命運はいかに…。
341 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:02/05/26 14:04 ID:ITxPMoik
君も今日からは僕らの仲間 飛びだそう穴倉の下へ
( ⌒ ⌒ )
( )
(、 , ,)
|| |‘
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
l ∨∨∨∨∨ l
| \()/ |
(| ((・) (<) |) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ⊂⊃ | / このチンカスども!
| .| ⌒ \.l/ ⌒ | | <
/ |. l + + + + ノ |\ \ 解散しやがれ!
/ \_____/ \ \___________
/ _ \
// ̄ ̄(_)
激励sage