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360ロビン(キラーマシン)
ロビンは自分の手足を見下ろした。
冷たい鋼の身体。
魔王の魔力によってひたすら破壊と殺戮を命じられた魂。
だが、ある人間との出会いが、機械の身体に変化をもたらしたのだ。
人を殺す事にためらいを覚え、独りでいる事に寂しさを感じるようになったのだ。
自分の居場所に違和感を覚えた彼は、やがて魔物の集団から離れるようになっていった。
もう一度あの人間に会ってみたい。
口を開けぬ自分に対してあの人間はどんな風に接してくれるのだろうか。
再会した時の事を考え、彼は歩みを続けるのであった。
その想いが彼を動かし続け、やがて主人公と再び出会うことになる。


ジャハンナの街の周辺で主人公達は休息をとっていた。
頼りになる仲間達に、馬車の周囲を任せ、
先ほどまで戦っていた家族4人は馬車の中で休憩中だ。
「ねえ、貴方。さっき倒した魔物の中に様子が変だった子がいなかった?」
「あっ、ボクもそう思ったよお母さん。ねえ、ソラもそう思わなかった?」
「あのキラーマシンの子の事?確かに変だったわね。」
「そうそう。それにお父さんならああいう時は一声かけるよね?」
「わたしもそう思ったのよ!ねえ、お父さん。どうしてあの子に声をかけてあげなかったの?」
家族の矢継ぎ早の質問に少したじたじになる主人公。
「え〜っとね。ちょっと今回は考えがあったんだよ。それより皆して僕に迫らないでくれないかい…」
が、最愛の家族達は主人公の言う事を聞いてくれないようだ。
まっさきに妻から主人公の膝に飛び込み、体重を掛けて来る。
「なら、さっさと話してくれると嬉しいわ?」
身体をあずけ、膝の上に肘をついて、上目つかいで見詰めてくる。
そして、にこやかに彼女は微笑んだ。
いや…石化が解けて嬉しくて最近よく引っ付かれるのは分かってるんだけど……。
正直恥ずかしい(////)
「お父さん達ったら…。わたし達もいるんだから、ちょっとは遠慮して欲しいわね」
ジト目で睨んでくるソラ。あああ、そんな展開になると思ったから勘弁して欲しかったんだよ。
361ロビン(キラーマシン):02/07/22 13:39 ID:???
「ま、まあそれはいいとしてだよ。どうしてあの子に話しかけなかったの?」
「それも、そうね。お父さんどうして?」
息子がフォローを入れて、話が本筋に戻ってきたようだ。
「うん。あの子はまだ悩んでるみたいだったんだ…。
 また会う事もあるだろうし。その時にもう一度様子を見ようかと思ってね」
「ふうん。そういうのも分かるんだ、お父さんは」
「と言うか次に会って見分けがつくのかしら…」
これは、娘と妻の問いかけだ。
「それは大丈夫。同じ種族って言っても一人一人ちゃあんと特徴があるんだよ。
 さっき会った子の顔はちゃんと覚えたから」
そう言うと家族は沈黙してしまう。
「やっぱりお父さんて変なところあるわよね、テン」
「う、う〜ん。ボクはお父さんのスゴイところだと思うな」
「まあ、私はその辺りも含めてこの人の事好きになったのだけど…」
その後はまた雑談に戻り、会話がはずんでいった。


だが、主人公は、機械の身体に不似合いな心を持ってしまった彼の事が気にかかっていた。
止めを刺さずに逃げるように仕向けたが、彼はあの後どうしているのだろう。
主人公の母から受け継いだ力は魔物に心を通じさせる事だ。
元々、人と話せる資質を持つ魔物もいるが、
今回のようにいきなり起こしたパターンは初めてだった。
次に会うまでに、彼が仲間の中でどうなっているのだろう。
願わくば、彼が無事でいることを…。そう祈って目を閉じた。