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357オークス(オークキング)
ワシはオークキングのオークスである。
オーク族の王であるワシが、何故人間の配下となったか、
今日はそれを説明させてもらおう。

彼奴との出会いは、ジャミ様が治めるデモンズタワーであった。
ワシは、日々配下の魔物共の訓練に勤しんでいたのであるが、
ある日、敵襲の知らせが入ったのだ。
近くの国の王が、自らの妻を助け出す為に攻めてくるとの話であった。
人間ごときが、我等の住処を荒す事は当然許せぬ。
ワシはいち仕官として前線に立ち、部下達を率いて戦った。
そして、見たのだ。その人間ごときが我等に立ち向かってくるの様を。
見た目は、屈強な訳ではなく、
その顔つきもワシが屠って来た歴戦の兵どもとは、比べ物にならぬ程柔和であった。
だが、その瞳に宿るモノが、明らかに今まで出会った人間共とは違っていたのである。

それだけではない。
その戦い方にはワシと共通する部分を感じた。
自身の妻を奪われた怒りからか、
その身体からは怒気をまとったオーラが放たれていた。
だが、いざ戦闘の段になると、見事に自身の配下を操っていた。
冷静に指揮官としての判断を下していたのだ。
常にパーティの体力に気を使い、部下を回復を怠らない事。
いざという時は前線に出る勇気を持つ事。
それらの判断を的確にこなしつつ、無駄なく戦いを進めていた。

さらには、その配下のモンスターも見事に訓練されておった。
その錬度はワシの部下達とは比べ物にならなかったであろう。
人間がモンスターを使う、と言うのも妙なものではあるが、
あの程度のレベルの種族のモンスターを、
あのレベルまで鍛え上げるのにはさぞかし時間がかかったであろうに。
358オークス(オークキング):02/07/22 11:26 ID:???
そんな風に彼奴の戦いぶりに見惚れておった間に、
戦いは終わってしまったのである。ワシ等の完敗であった。
部下達は見事屠られ、ワシ自身も瀕死の重傷を負っていたが、
つい、この優秀な指揮官としての資質を持つ漢と握手をしたくなった。
「人間ごとき、と思っていたが、お主は中々やるの。ワシ等の完敗だ」
そう言い止めの一撃を、と剣を構えていた彼奴に手を伸ばしたのだ。
すると、身体に纏わりついていた怒気が若干薄れた。
そして、構えた剣を下げたのだ。
「……貴方は立派な武人なのですね」
「フン…。このように散々に敗れては立派もあるまいに」
「実は今、少しでも援護の人手が欲しい所なんです」
「……ワシにお主らの仲間に加われと?」
「そうです。出来れば僕等と一緒に戦って欲しい」
そう言った彼奴の瞳は限りない悲しみに彩られていた。
このように強い人間がこのような表情をするとは。
その時、この人間に強く興味を惹かれたのである。

その後、ワシは彼奴と共に旅をする事になった。
強い者に惹かれる魔物の性が、そうしたのか、
それとも彼奴のその瞳を見てしまった為なのかは解らぬ。
だが、この人間を見ていきたいと思ったのは確かだ。

ワシが認めた、この武人としてもリーダーとしても、
申し分ない5主人公に一票を投じてやってくれい。