ドラクエ4世界大戦!最強国はどこだ!?

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544栗 ◆KURIf.RE
【クリフトの野望-エンドール編 (34)】 

一方、その頃。 世界最強の大国と名高いエンドール。
死の商人と恐れられる大富豪・トルネコは、国王から依頼されていた
リック級第3号艦の軍艦の建造計画に着手していた。

トルネコは平民の出ながら、その財力のため、財界のみならず政界でも大きな発言力を持っていた。
今日もトルネコは、エンドール城へ軍艦建造計画の報告へ行くことになっていた。

トルネコ 「じゃあ、ネネ。 行ってくるよ…。」
ネネ 「どうしたの? なんだか元気ないわね。」
「ああ。 ロレンスのヤツが左翼文官の連中とつるんでいてな…
 わしの軍艦建造に反対してるんだよ。」
「あのロレンスさんが?」
545栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:27 ID:???
【クリフトの野望-エンドール編 (35)】 

トルネコ 「恩をアダで返すとはこのことだよ。
       あいつめ、わしの力で文官に取り入れてもらった分際で、
       平和だの友愛だのと能書きぬかしながら戦争反対を主張してるんだ。」
ネネ 「まあ…困った人ね。」
「最近の あいつは、わしの言うことには、なにかと反対反対だ。
 いいがかり半分で意見しおって、まったく可愛くないヤツさ。」
「どうにか ならないものかしら?」
「いや、あんな連中にも国民の支持があるんだよ。 国民が馬鹿だといい指導者は育たんよ。」
「あなたは、ただ商売のことだけを考えて頑張りたいだけなのに。
 いつの間にかそんな政治抗争に巻き込まれてしまうなんて…。」
「わしも偉くなるもんじゃないな。
 だが、財界から背中を押されると政治参加も やむをえんのだよ。
 まあ、ここまで来た以上は、連中と戦わねばなるまい。 政治も商売のうちさ。」
546栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:27 ID:???
【クリフトの野望-エンドール編 (36)】 

トルネコは馬車に乗って、エンドールの城へ向かっている。
トルネコの馬車が怪しげな酒場の前を横切ったとき、一人の男が近寄って声をかけてきた。

男 「よっ 、トルネコのダンナ! 今日はイイ子が入りましたぜ!」
トルネコ 「悪いが今日は大事な会議なんだよ。 また今度な。」
「そりゃ残念だな。 今日は、サントハイムから来た美女たちがよりどりみどりなんだがな。」
「サントハイムだって? サントハイムは今、対立国じゃないか。
 この軍事警戒の中、どうやってここまでやって来たんだ?」
「ここだけの話っすよ…実はね、クリフト様のご紹介なんですよ。」
「あのクリフトが? 何かの間違いだろ?」
547栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:28 ID:???
【クリフトの野望-エンドール編 (37)】 

男 「いえ、クリフト様のご指示でね。 サントハイムから何人もの美女が送られてきたんですよ。
   お城にも何人か派遣されたっけ。 まあ、貢ぎ物のつもりじゃないですかね?」
トルネコ 「貢ぎ物?」
「あちらさんは、ダンナの軍艦が怖いんすよ、きっと。」
「ふぅん。 妙なこともあるもんだな。 ところでお前さん、顔色が悪くないか?」
「ああ、ちょっと風邪ひいたみたいかな? 今朝からちょっとダルくてね。」
「ちゃんと医者に診てもらえよ。 この街にはいい医者がいくらでもいるだろうに。」
「いやあ、俺は医者と坊主が大嫌いなんだ。 それよりダンナ、頑張ってくださいよ。」
「ああ、頑張るよ。 お前さんの仕事が左翼文官どもに ご禁制にされんようにな。 ははは。」
「じょ、冗談やめてくださいよ〜!」
                                                   【続く】
548栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:29 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (38)】 

キングレオ領モンバーバラ。
ミネアとマーニャは、それぞれ占い師・踊り子として名声をあげていた。
二人はキングレオ全国での人気者となり、国民から愛される存在になっていた。

しかし、平穏に暮らしていた二人の家に奇妙な手紙が届いた。
それは、緑色の紙に見慣れぬ文字が書かれた物だった。

マーニャ 「ちょっとミネア、見てくれる? 何か変な手紙が来たみたいなんだけど…」
ミネア 「え…? 何それ?」
「分かんない。 気が付いたら部屋の中に置いてあったのよ。
 まさか、留守中に誰かが勝手に家に忍び込んで置いてったのかしら?」
「これ…神官文字よ。 聖書に使われる文字。
 ええっと……。 『錬金術をやめろ!』って書いてあるわ!」
549栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:30 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (39)】 

マーニャ 「どういうこと!? 私たちと錬金術なんて関係無いじゃない?」
ミネア 「うーん… オーリンが何か知ってるかもしれないわね。」
「そうね。 彼、錬金術師だし。 じゃあ今夜、オーリンの所へ行って聞いてみよっか?」

その夜、ミネアとマーニャは、コーミズ村の西の洞窟にあるオーリンの仕事場へ向かった。
オーリンの仕事場とは、洞窟の奥深くの隠し階段を抜けた先の秘密研究室である。
二人は、仕事場のドアの前まで来た。

ミネアがドアをノックしようとすると、突然怒鳴り声が響いた。
「誰だーッ!!」
ミネア 「ミ・ミネアだけど…。 姉さんも一緒よ。」
ドアが開いた。
オーリン 「何だ、お前らか。 悪い悪い。」
550栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:30 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (40)】 

ミネア 「どうしたの? そんなに血相変えちゃって…」
オーリン 「ああ…大変なことになったんだ。 まず入ってくれ。」

ミネアとマーニャはオーリンの仕事場へ入った。
すると、その仕事場は、机が壊され瓶が割られ本が破られるという大荒れの様子だった。

マーニャ 「ひどい…… どうなってんの!?」
オーリン 「ちょっとした外出の帰りのことだ。 仕事場に戻ってみたらこのザマだ。」
ミネア 「誰がこんなことを…」
オーリン 「分からん。 ただ、こんな妙な紙切れが落ちていたぞ。」
それは神官文字の書かれた緑色の紙切れだった。
マーニャ 「これは、うちに置いてあったのと同じ!」
オーリン 「なんだって?」
551栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:31 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (41)】 

ミネア 「錬金術をやめろ…っていう脅迫状よ。」
オーリン 「ふざけやがって! どこのどいつの仕業だ!」
ミネア 「待って。 紙の裏に何かのマークが… 丸の中に十字…。
      これは、サントハイムの紋章よ!」
オーリン 「なんでそんな物が!?」
マーニャ 「…ってことは犯人は……」
ミネア 「そう。 サント教徒ね。」
オーリン 「何でだよ? 俺はサント教徒なんかに恨みを買う覚えはねえぞ!」
ミネア 「かつてサントハイムは、進化の秘法から恐るべき力を手に入れたバルザックたちによって支配された…。
      彼らは進化の秘法に恨みを抱いているから、多分、それに関連する錬金術を封じようとしたのよ。」
オーリン 「馬鹿言うな! 俺の仕事は進化の秘法なんかと関係無いだろ?」
ミネア 「彼らは狂ってるのよ。 狂信的なサント教徒にはそんな理屈は通用しない。
      ただ単に自分たちの教義と反すると感じる物には、問答無用で叩き潰しに来るだけよ。」
552栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:32 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (42)】 

オーリン 「くそッ! そんな気違いどもに俺の大事な仕事を邪魔されるだなんて、納得いかねえッ!」
マーニャ 「困ったわね… ごく一部の人間しか知らないはずのこの研究室を嗅ぎつけるなんて…
       このままじゃ、あんたも私たちもこの国で生活出来なくなるわよ。」
オーリン 「怪しい奴が来やがったら、俺がブチのめしてやるよ!」
ミネア 「無理よ。 彼らは優秀なテロリストよ。 いつどこで仕掛けてくるか分からないのよ。」
オーリン 「じゃあ、俺もお前らもどうすりゃいいんだよ?」
ミネア 「……どこかの国に亡命して身を隠すしか無さそうね…」
オーリン 「どこに逃げ場があるってんだよ!」
マーニャ 「うーん…どこかなあ…?」

ガン、ガン、ガン!
その時、ドアをノックする音が鳴り響いた。
ミネア 「えっ? 誰かしら…? こんな時間に……」
オーリン 「下がってろ… 俺が出る。」
553栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:33 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (43)】 

オーリンは、壁に掛けてあった剣を手にしつつ、注意深くドアを開けた。
すると、ドアの向こうに立っていたのは、フードを頭にすっぽりと被った たくましい若い青年だった。
オーリン 「ん…? 誰だ、お前……?」
青年は頭からフードを取った。
その顔は、三人が嫌と言うほど見覚えのある顔だった。
マーニャ 「バッ バルザック!!?」
ミネア 「まさか!? バルザックなの!?」
オーリン 「てめえッ! 生きてやがったのか!」
オーリンは剣を振りかぶった。
バルザック 「落ち着け、オーリン! 俺の話を聞くんだ!」
オーリン 「エドガン先生のかたき! 死ねッ!」
ミネア 「オーリン、やめて!
      確かに彼はバルザックに間違い無い。 でも、彼からは何の邪気も感じないわ。」
554栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:34 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (44)】 

オーリン 「ええ?」
オーリンは、剣をおろした。
マーニャ 「…話を聞いてみる価値はありそうね。」
バルザック 「いいか。 お前ら、よく聞け。 エドガン先生を殺したのは俺じゃねえ。」
オーリン 「なんだと!」
バルザック 「知ってるぜ。 お前、サント教徒どものイヤガラセに遭ったんだってな。」
マーニャ 「あんたもグルなの!?」
バルザック 「違う違う。 相変わらず せっかちだな、マーニャは。
         俺はお前らを助けに来てやったんだ。」
ミネア 「助けるって?」
バルザック 「そうだ。 このままじゃお前ら命が危ないぞ。
         狂ったサント教徒どもは、何をしでかすか分からんからな。
         だから俺が安全な場所を提供してやる。」
555栗 ◆KURIf.RE :02/01/14 18:34 ID:???
【クリフトの野望-キングレオ編 (45)】 

オーリン 「お前、何が目的なんだ? 言え! 何を企んでる!?」
バルザック 「フフフ… じゃあ結論から言おうか。
         俺はお前らの安全は守る。 その代わり俺に協力して欲しい。」
マーニャ 「協力って、何を?」
バルザック 「決まってるだろ! 俺たちの共通の敵を倒すことだ!
         エドガン先生を殺した かたきを討つんだよ!」
マーニャ 「かたきって誰よッ!?」
バルザック 「かたき討ちの達成のためには、俺たち4人が力を合わせなくてはならん!
         だが、それで終わりではない。 最終目標は天下を取ることだ!」
ミネア 「て…天下!?」
バルザック 「世界に秩序と安定が無ければ、また俺たちのように師や親を亡くすという不幸が起こりうる。
         そんな不幸から民を守るには、俺たちがこの国で天下を取り、世界に平和をもたらすのだ!
         俺にはそのための作戦がある。」
オーリン 「天下だと…? な…何言ってんだ…お前…!?」
                                                        【続く】