うわ、皆様お久です。不義理してホンマすみまてん。
えーと。修正版オケーですか?
とりあえず載せてってみるでスー↓
どのくらいの間、その場に立ち尽くしていただろう。
重苦しい気持ちを抱え、うなだれてティーダは飛空挺に戻った。
あんな痴態を犯した直後で、ユウナに合わす顔など無いのが本音だが、とにかくきちんと謝らなけ
れば。
悲壮な決意を固め、寝室用にあてがわれているユウナの部屋に真っ直ぐに向かった。
「・・・ユウナ?」
躊躇いがちに、閉ざされた鉄製の扉の外から呼びかけてみる。応えはない。思い切って扉を押し
開けてみると、足下をひやりと冷たい空気が流れた。灯りも点けられておらず、中の暗闇に人の
気配はないようだ。
陽も沈みきったというのに、何処に行ったのだろう。まさか、あのまま帰って来てないのか・・・!?
俄かに不吉な考えが膨らみ、焦ってあちこちを覗き回ってみるものの、どこにもユウナの姿は見つ
けられない。
「おい、どした?」
通路をばたばたと慌ただしく渡ってゆく途中で、急ぎ足をワッカに呼び咎められた。
「ああ、ワッカ!ユウナ、見なかった?」
「ユウナ?ああ、今さっき向こうに居たけど」
「・・・ホントに?マジッスか?勘違いじゃなくて?」
「何だオマエ。確かに決まってるだろうが。何で俺がユウナを勘違いすんだよ」
・・・良かった。ひとまずほっと胸を撫で下ろす。
「何かあったんか?・・・ははーん」
ワッカは勝手にしたり顔になった。たちまち眼に楽しげな光が踊る。
「喧嘩か。しょうがねーなー、青少年共は!」
「余計なお世話ッスよ」
苦々しく呟くティーダの顔があまりに落胆の色濃いので、ワッカは怪訝そうにその額に掌を当てた。
「おいおい、ノリ悪りいぞ。熱でもあんじゃねーか」
「なんでもないって!俺、ユウナ探さないといけねーから」
たく。すぐ無責任に面白がんだから。ぶすっとして再び歩き出そうとした時、金色の旋風が敏捷な
足音を立てて脇をすり抜け、突如ティーダの行く手を遮った。
「こらあ〜!ちょい待ち、ティーダ!」
「なんだよ、リュック!俺今急いでんだよ」
どうしてこういう時に限って邪魔が邪魔を呼ぶのか。ティーダは流石に苛立った声を、眼前に立ち
塞がったアルベド娘にぶつけた。
むうー、と可愛らしく眉を吊り上げ、腰に手を当ててこちらを見上げるリュックはしかし全く退く様子を
見せず、小柄な躰からは何故か、憤懣やる方なしという気配が濃厚に漂ってくる。本能的に剣呑な
雰囲気を感じて、ティーダが思わず身を引くと、リュックは殆ど密着せんばかりにずい、と詰め寄って
きた。人差し指をびしっと鋭くティーダの胸に突きつける。
「見たぞ、見たぞみたぞお?このケダモノ!ハツジョー男!」
「・・・・・え・・・ええぇっ!!??」
冷たい衝撃が、劇的にティーダの全身を走り抜けた。
瞬時に思考の止まった頭に抑える余裕もなく、素っ頓狂な悲鳴が口をついて出る。ワッカがますま
す怪訝な顔になった。
「あ?なんだあ?」
「ユウナん、あんな風に泣かしちゃって!非道いよ!もお最低ったらサイッテー!!」
「ちょ、ちょちょちょちょっ!!」
硬直を振りほどくが早いか、ティーダはリュックの頭を小脇に抱え込み、非難を喚き続ける口を掌で
しっかと塞いだ。
「・・・見てたのかっ!?」
声をひそめることも忘れて訊くと、リュックは怒った表情のままこくこくと頷いた。
ああ。17年の人生で、最も恥ずべき瞬間を他人に見られてしまった!
ユウナに許しを乞う為、漸う奮い立たせた気力までもが、ショックに完膚無きまで打ちのめされる。
へなへなとティーダの力が緩んだ隙をついて、リュックは口に覆い被さる掌をもぎ離し、なす術なく
ぽかんと交互に二人を見比べているワッカの巨躯の後ろに素早く逃げ込んだ。
「待てよ、リュック!覗きなんて悪趣味だろ!?」
「異議有り!あたしが先にあそこ散歩してたんだもーん。ティーダがあとから勝手に来て、勝手に
ユウナん押し倒しちゃったんだもーん」
「……おお」
一人置いてけぼりを食っていたワッカは、そのリュックの決定的な一言でようやく状況を理解 し、
意味のよく分からない無感動な声を上げる。
「自分だけその気になって突っ走って、女の子の気持ちはすっかり無視?傲慢もいートコ!いくら
お互いラブラブだからってさぁ」
そりゃあオトコってそういう仕方のない生き物ですけど、とリュックはよじ登ったワッカの肩の上から、
大人ぶった軽蔑の言葉をティーダに投げて寄越す。
「あたしの大事なユウナんに、あんな顔させるなんて!絶っ対許さないんだから!」
猫科の生き物を思わせる大きな碧色の眸がきらきらと強い輝きを放ち、舌足らずな声にも珍しく本
気の気迫が籠もっている。ティーダの行状そのものについて、というよりは強引に押しかけガードに
までなってしまう程、入れ込んでいる従姉妹を泣かせた事に余程腹を立てているらしかった。
「…なんだよ!リュックには関係ないだろ」
最底辺まで落ち込んだ男のプライドが惨めに拗け、ティーダは半ば自棄になってかっと逆上する。
「俺とユウナの問題なんだからな!お子様は引っ込んでろよ!」
「あー!誰がお子様だってのさ!ティーダと2コしか違わないじゃんか!」
「だからそういうとこがガキだってんだよ、莫迦っ」
「にゃにおう〜?莫迦ってゆった人が莫迦なんだからっ!」
「あー。お前らな、とりあえず人越しにやり合うのは止めてくれっか」
背中と目の前を往復する低次元な応酬に、所在なげにぽりぽりと頭を掻きながらワッカが口を挟む。
「ワッカは黙っててっ!とにかく、ティーダ…」
尚も何かを言い募ろうとしたリュックは、ワッカに猫の子よろしく首根っこをぎゅっと捕まえられ、背
中から軽々と引き剥がされた。
「成る程な。それでお前、ヘコんでるワケだ」
押さえつけた手の下でわあわあと暴れるリュックを往なしつつ、ワッカは一人頻りに頷いた。
「いやあ、俺にも覚えがあるなあ!若さゆえの暴走、ちゅーヤツだな」
「覚えがあんなら退いてくれよ!俺はユウナに謝ってくんだから!」
「ダメっ!!今後ユウナんの半径5メートル以内には、あたしが近付けさせないんだから!」
「待て待て。今すぐ行くのは拙いって。特にユウナの場合はなあ」
居たたまれない恥ずかしさに、憤然と二人の脇をすり抜けようとしたティーダの足を、リュックの叫びに
被ってワッカの大様な言葉が引き止めた。
「なっ……何で!?」
思わず振り返る。ワッカはティーダを見下ろす眸に、ゆるゆると同情の色を深くした。
「ユウナは昔っからモテたけど、男と付き合った経験はねえかんな。免疫ねっつーか・・・ま、その、
なんだ。初めてってヤツか?」
ドコまで先走っちまったのか知らねーけど、と言葉尻が咳払いを挟んでもにょもにょと濁る。ティーダは
耳と頬が内側から火を吹いたように熱くなるのを感じた。
「おっ…俺は、ほんの触りのとこまでしか!ホントだって!」
「でも無理矢理、だったんだろ?途中で理性戻って良かったなぁ」
ワッカはいつになく妙な貫禄を見せて、リュックを押さえていない方の手で労わり深くティーダの肩を
叩いた。
「ほとんど純粋培養のアイツからすりゃ、押し倒されただけでショック死寸前だったろーよ。今謝っても、
どうせ聞く耳持ってくれねぇさ。ユウナ、あれでなかなか頑固モンだしな」
「・・・それは……そうなのかもしれねーけど…」
ティーダはぐっと言葉に詰まり、床に視線を落とした。空回りした勢いを持て余し、口唇を噛み締める。
(いやああああっ!!)
耳の奥に突き刺さったままのユウナの悲鳴。
去り際のユウナの傷ついた涙が、脳裡に鋭い痛みを伴って甦る。
今この瞬間もユウナは、自分に対して激しい憤りの気持ちを抱いているに違いないと考えるだけで、
恐怖の刃が爪先から頭の天辺までをずしりと貫いた。
それでいて、この掌に刻み込まれたユウナの乳房の柔らかい感触を思い出すと、躰の奥にくらりと
痺れる程の興奮が疼くのを意識せずにはいられない。あの蕩けるような甘い膨らみ、信じられない
程肌理細かく、どこまでも滑らかな白い肌。
以降いっぺんにコレくらいずつうpし直して…
ゆけるかな。ゆけたらいいな。
蜜国さま、修正版ウプご苦労様です。
修正前と見比べながら読まさせていただきやす・・・・。
一粒で二度楽しめるってかんじ(違うか)
ぅわー見比べないでェエエ(絶叫)
自業自得か…
密国さまに感謝感謝。
これからもがんばってとしか言えない自分が情けない。
389 :
388:02/03/21 01:57 ID:???
はうっ、名前間違えた。
すみませんでした。
あぁ鬱だ…。
ふむふむ、微妙に違いますね。
391 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:02/03/21 18:27 ID:U/f+63nZ
キマリ×ユウナを書きたいんですが、いいでしょうか。
>391 がむばれ・・今から載せるの?
393 :
変:02/03/21 19:24 ID:???
>>391مصراالفنون
ثقجات اطار
لميتاثقافةية فى اطار الميتا
افةتهادات اطارمصرية
اطار الميتتهادا?
>>391 Σ(´Д`;)ユウナ祭のヨカーン
よっておながいします
395 :
踊るザリガニ:02/03/22 21:58 ID:XrORJ5ej
誰かシーモア・ティーダ知りませんかね?
サイト探してもなくって・・・
私ってへんですか?
ドーメイ立ってるからそっち逝ってこい
蜜国さま最高!続きキボン。まじ最高に(゚∀゚)イイ!がんばってください!!
それでは頑張ってみます。はたしてユウナ祭りに貢献できるような話でしょうか。
「いつも明日を待っている」
キマリは十年前のある日を、時折思い返す。
あのグレードブリッジの祭りの日、はぐれないように少女を肩に担ぎ、人混みに
紛れ進んでいた。熱気と喧噪がエボンの中心地を包む。
誰もがナギ節の到来に浮かれざわめく中、少女と彼とだけが祭りの恩恵から
外れたかのように、沈黙を守っていた。キマリ自身についてはスピラの大半の
人間とは違う様相をしているロンゾ族ということもあってか、誰も彼に喜びの
言葉一つ、かけようとはしなかった。元より無口なことが多い上、今は肩の上の
少女を。無事目的地に送り届けることに気を奪われていた。
少女の沈黙の理由は、その時のキマリには漠然としか分からなかった。彼女の
境遇についてはまだ概要しか知らず、少女とも先刻、逢ったばかりである。ただ、
父の使いだとしか伝えていない彼の肩に乗り、賢明に小さな手足を回している。
不意に、視界を色とりどりの光が覆った。花火が上がったのだ。絶え間なく
打ち上がるそれは彼を一瞬立ち止まらせたが、気を引くには至らず、再び歩を
進める。
しかし少女が身をよじったのに、又立ち止まった。見ると、首どころか上半身まで
曲げて、光の立ち止まる方を見ている。
「きれい」
そう口にすると、キマリに向き直り、少女らしい笑みを見せた。
399 :
GZ:02/03/24 00:21 ID:???
「行こう、キマリ」
自身、口にしたかどうか忘れていた彼の名をはっきりと告げると、回してきていた
手足の力を込めた。意外としがみつく力は強く、彼はよりしっかりと
支え直すことでそれに答えた。
出逢ったばかりの少女と長い旅を始めようとしていた彼、父親を亡くした少女の
笑み、果てしなく続く祭り、すべては夢のようだった。
そう、夢でなければ、彼は何故こんなところにいるのか。
狭い部屋には最小限の物しかなく、それが主の性質を表していた。その人は寝台で
横になり、キマリが部屋に入り、近づいても気付かない。
彼は傍らで膝をつき、傷つけないように、その大きな手を相手の頭にのせ、
柔らかな髪を指先でそっとなでた。掛け布から透けて見える体の線は、この人が
少女ではなくなりつつあることを示していた。
「ユウナ。キマリは来た」
呼びかけに、はたしてユウナはゆっくりとまぶたを開けた。
姿を認めたのか少し身を起こすと、身をかがめた彼に、「キマリ」と、腕を
伸ばしてきた。
400 :
GZ:02/03/24 00:29 ID:???
今日はここまでです。
肝心の場面は遙か遠くですが、
出来れば最後までお付き合いできればと思います。
それでは今日のところはおやすみなさい。
おお、GZさんじゃないすか! 久しぶりっす。
キマリ小説は少ないので希少ですよね(重複)
続き、楽しみにしてますー∩(´∀`∩)ワショーイ
祭三番手逝くぜー
//////////
「まだ召し上がられていないのですか?」
卓上の冷たくなりつつある料理の皿を眺め、その落ち着き払った視線を、
ユウナの方へと向ける。
「食べたくないんです」
ベベル宮に入ってから、ユウナは、殆どものを口にするということをしな
かった。
極度の心労のためか、全く食欲が湧いてこない。
手つかずの食事を前に、ただ椅子にかけ、立ち上る湯気が薄れていくのを
眺めるばかりであった。
「昨日もそう申されていましたね」
一拍の間。
「せめて、お茶の一杯くらいは、口にしてくださると嬉しいのですが」
卓の一方に、飾りもののように並べられた茶道具を手にして言うと、長い
指でそれを起用に扱い、シーモアは支度を進めていった。
茶瓶に保温瓶の湯をゆっくりと注ぎ、馴染ませるように磁器の器を温める。
「……自分で出来ます。後は私が」
席を離れ、シーモアの側に立つ。
「いえ、これは私の仕事ですから」
磁器の肌が温まる頃合いを見て、湯を盆に捨てると、匙で計った茶葉を
茶瓶ヘ入れる。茶葉の中には、乾燥した果実のようなもの、細かい木片の
ようなものが見られた。
「どうして、そんなに私を気にかけるのですか……?」
握り締めた手のひらに、鈍い過去の感触がこみ上げてきた。
//////////
GZ殿>
どうやら名の知れた書き手様とお見受けしましたが
先のカキコにおいて、無礼にもクレ厨的行動をとってしまった
ことをお詫び申し上げます
//////////
「私は……貴方を殺したのに!」
シーモアに最後の時を刻み付けたのは、ユウナだった。
「何故、そのようなことを思われるのですか?」
相手が罪人であれ、人を殺めたという結果に変わりはない。鼓動を止めた
肉体が崩れる瞬間と共に、事実は深く心に沈澱していた。
「貴方は、もしや私が召喚士としての能力を利用するためだけに、貴方を妻
として選んだと、そう思われているのでしょうか?」
そう言う間も、シーモアの手が休まることはなかった。
再び茶瓶に湯をあふれる程度に注ぎ入れると、水面に浮いた泡を軽く匙で
すくい取り、茶瓶の蓋を戻した。
「もしそうなのだとしたら……ユウナ、私はとても悲しいです」
紫水晶の瞳が、磨き上げた切っ先の如くユウナを射抜く。
「!? ……老師?」
「シーモアと呼んでください。この屋敷に私と貴方の二人だけなのですから」
寺院の高位僧等が宿泊するために建てられたという離れが、仮住まいとして
ユウナに与えられていた。
「シー……モア?」
恐る恐る、名を口にすると、シーモアは満足げな笑みを浮かべた。
「私は貴方を、一人の女性として愛しております」
ユウナは、俯いて頬の裏を噛み締めた。
//////////
続くでやんす
キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
祭りですナァ♪
ええと、なんだか流れが読めてないのかもしれませんが、
GZサン、 エロ ですか?
そうすると背徳的?な方向に・・・? ドウナルンジャー?
とか思っている次第でございます(爆)。←意味不明
>R@no-nameサマ
待ってましたスーモア老師!
ええ、これ以上はしつこくなるので言いません(w
また盛り上がってきた…v
うれしい限りです。
お3方、がばってくだされ!
いいですねえ、活気があって。
皆さん頑張れ〜!!
念願のシーユウ、続きが楽しみだあ
さっそくポカってるやんオレ(自爆)>402
ハーサッパリサッパリ
/
え? どこっすか?<402のぽか
>410殿
注目しちゃイヤーソ(w
//////////
「私は……わからない」
不可解な感情が、胸の中で膨れ上がっていく。
「貴方のことが好きなのか、そうでないのか……わからないんです」
例え抱き締められたとしても、快も不快もなく立ち尽くしてしまいそうな、
捕らえどころのない心の揺らぎが襲ってくる。
「時に、貴方は男性に好意を持たれた経験はおありですか?」
シーモアの手が、ユウナの頬に伸びてゆく。
「いいえ……人を好きと感じたことはあります。けれど、貴方が言う好意と
いうものとは、違う感情だと思います」
長い指と、爪が髪に絡む。
「ユウナは考えすぎてしまうのですよ。自分が思うこと、感じること、
皆心の奥深くに閉じこめてしまう」
二人の身体が接近し、ユウナは、シーモアの胸に抱き寄せられる恰好に
なった。
空気と衣服の壁を隔てて伝わってくる体温と、香を思わせる微かな匂いが、
死者と生者の境を一層あやふやにした。
「貴方を、解き放って差し上げましょう」
恐怖とは異なる高鳴りが、ユウナの胸を責め立てた。
//////////
祭なのに一人ソロはチョト寂しい……ショボンヌ
保全…だけでは何なので…亀レスで悪いのだけど。
>GZ殿
キマリ×ユウナ見た事ないので楽しみ。恐いもの見たさ、というか…
>蜜国殿
待ってた甲斐があった。涙が出そうだ…(大袈裟な;;)
>R@no-name殿
そんな、肩を落とさず…他の方々は構想中だと信じてがんばって!
貴方の文章は何でも無い仕種がなんとなくエロくて好きだ。
これ載せたら寝る……フワァァ
//////////
「しかし、その前に体調をしっかり整えていただかなくては……」
思い出したように身体を離し、シーモアは卓に向かった。
「意地を張って、これ以上無理を続けるというのなら、本当に身体が参って
しまいますよ?」
シーモアの声は、空恐ろしいくらいに穏やかで、優しい。
「どうぞ、お座りください」
促されるままに、ユウナは、椅子に戻った。
「私の口から言うのは少し違うかも知れませんが……ユウナの曇った顔を
見ているのは、私も辛いのです」
時に冷徹で、時に柔和な眼差しが、ユウナの心から何かを薄く削ぎ取って
いった。
小石が砂に磨かれるように、微量ながらも確実に外殻を浸食し、やがて、
内側を全て露わにされてゆく気がした。
「そろそろ葉が落ち着く頃ですね」
大きめの鉢に、茶瓶の中のものをいったん移し、湯で洗っておいた茶杯に
少量ずつ分けて注いだ。
うっすらと紅色を感じる水色。
目の前に出された茶杯を手に取り、ユウナは、その縁に口を寄せた。
花の香りがする。
少し、甘い。
喉を伝って落ちる液体を、渇いた胃壁が貪欲に取り込んでゆくのを感じた。
//////////
では(眠)
ドキドキ。穏やかなシーモアと、おなかペコペコのユウナ。 ( ^∀^)
なんともおいしそうなシチュですね、コトコト。待ち遠しいなぁ。
ちなみにKH面白いね。はまっている。エアリス出ているし〜。
がんばれ、書き手様達保全!
416 :
GZ:02/04/03 15:57 ID:???
では続きです。前回はちょうど区切りのところで
終わってしまいましたので、前回の終わりから書かせていただきます。
姿を認めたのか少し身を起こすと、身をかがめた彼に、「キマリ」と、腕を
伸ばしてきた。
*
それは、何度目だったろうか。
「ユウナ!」
ルールーが悲鳴を上げるのに、キマリは駆け寄った。
場にはワッカもリュックもいたが、彼らに目を向ける余裕はない。キマリは
膝をつき、地に倒れ伏したユウナをそっと抱えた。頭部は打って
いなかったが、体のどこかを強く打った可能性がある。
ひとまず、呼吸があることを確かめると、頬を軽く叩いた。
「あ・・・」
切なげにそう漏らすと、ユウナは気を取り戻した。目が何かを捜すように
泳ぐ。ふと、止まったと思うと、一瞬、その表情が苦しげに歪む。それも
すぐに戻ったが、
「ごめん。私、まただね」
そう言って、身を起こそうとした。皆が一声に動いたが、ルールーが
ユウナの前に身をかがめ、両肩を押さえたのが一番早かった。
417 :
GZ:02/04/03 15:58 ID:???
「いいから。休みなさい、起きているのは却って毒よ」
「そういやあ、俺もちょっと昼寝したくなってきたな」
ワッカがそう言って、あくびなどひとつした。演技だと一目で分かるのが
彼らしい。
「よし、今から皆で昼寝にしよう。後の仕事はそれからだ」
「何であんたが仕切ってるの」
「悪いかよ」
「らしくないの」
噴き出したのはリュックで、続いてルールーも笑った。ワッカは何事か
ぼやいていたが、ユウナがかすかに笑ったのを見たのか、その表情は
不機嫌なものではなかった。
ひとしきり笑った後、リュックがユウナに抱きついた。
「ね、ユウナん。一緒に休もう」
キマリの腕の中で、ユウナは軽く身じろぎした。頷いたのだ。
「そうだね。そうしよう」
その一言で、一同の空気が和らいだのは事実だった。そうして、ユウナが
倒れる直前までしていた仕事を、一旦片づけるために動き出す。
キマリはそこでようやく、ユウナの怪我を確かめることができた。彼の
意図を察してくれたのか、ユウナは体を動かされるままになっている。手や
足に打ち身は見えない。それ以外の、腹や背に何かあったのなら表情に
現れていただろうが、その様子もない。どうやら今日は、倒れ込んだ敷物が
衝撃を和らげてくれたらしい。心配はなさそうだった。
418 :
GZ:02/04/03 16:00 ID:???
「ありがとう、キマリ」
感謝の意を表してだろう、腕に触れていた手に少し力を込めてから、
ユウナの手は離れた。立ち上がるのを支えようとしていた彼を、手と目とで
制する。
その後を継ぐようにリュックが、歩き出した彼女と腕を組んで
歩き出したが、ユウナの背に疲労が見えているのは、彼以外の目にも
明らかだったに違いない。
ユウナとその仲間が急に一休みすると言い出しても、不満を漏らす者は
いなかった。むしろ、「ユウナ様たちは働きすぎるんだから、少しは
休んだ方がいい」と、午後一杯の休憩を言いつけられたぐらいである。
それでも、ユウナとリュックが休んでいる家の外で、キマリは地に座り、
起き続けた。平和になった、しかも長年住んできたビサイドで何を
しているのか、と笑われたこともある。しかし彼は、以前と同じように、
ガードとしての仕事をし続けていた。
とはいえ、昔と今とでは、変わったこともある。以前はこうしてユウナが
眠りにつくときは常に側で彼も眠ったが、今は皆で野宿するときを除けば、
彼女が休むときは扉一枚、距離をおくようになった。
そうなったのは、シンが消滅し、ユウナが己の使命から解放された日では
なく。
あの日以来だ。
「やっぱり、起きていたんだ」
声をかけられたので見ると、ルールーが一人でこちらへ歩いてくる。
419 :
GZ:02/04/03 16:07 ID:???
「ワッカは」
「寝かせてきたわ、自分まで気に病んで、起きている必要は
無いんだからって言って。今は大いびきかいてる」
側に眠っている人間がいるので、やり取りも自然と小声である。戸口まで
来ると、彼女は扉の幕から中を覗いた。
「リュックに、薬を飲ませるように言ったの。よく効いているみたい」
その薬の強度がどれだけのものか、ルールーの表情で全て察することが
できる。きっと、それぐらいでないと、効かなくなっているのだ。
ルールーは戸口から離れると、キマリの側で座り込んだ。辛そうな表情を
隠さないことも、今までの彼女なら考えられないことだ。
「シンがいなくなって、・・・ユウナを本当の意味で幸せにできるって、
思ったのに」
そう。なのに、現状はどうだろう。
ユウナはこのビサイドを中心に、シンに破壊された世界を復興させるための
手伝いに奔走している。家族との間を往復しているリュックや、ブリッツ
ボールの後輩を指導しているワッカは時折だが、ルールーとキマリは、
彼女の旅に必ず着いていった。
シンを消滅させた人であるし、世界中を回る人間でないとできない仕事も
あるので、行く先々で、ユウナは歓迎されている。そしてどんなに割に
合わない、辛い依頼でも喜んで受けている彼女に、誰もが驚嘆している。
420 :
GZ:02/04/03 16:08 ID:???
けれど、誰も気付いていない。いや、いつも側にいるからどうしても
気付かざるを得ない仲間たちを除けば、ユウナは賢明に周囲に悟られまい、
としている。
シンを倒してから、彼女は食べ物を受けつけていない。少量なら何とか
食べられるが、とても生命を保たせられるだけのものではない。
そして、よく眠れなくもなっている。どんなに疲労していても、明け方に
やっとまどろめればよい方だという。
ユウナは自分の異変に気付いたとき、隠さずに告げてくれたが、誰も
どうすることもできないでいる。せいぜい、今、ルールーがそうした
ように、睡眠のための薬を飲ませることぐらいだが、それも段々と
効かなくなっている。
「本当に、どうしてこうなったんだろう?」
誰にともなく、ルールーが言う。
理由はいくらでも挙げられる。
シンが消失し、長年にわたる召喚士としての使命から解放されたために、
一気にこれまでの疲労がのしかかったこと。
復興のために、これまで以上にほとんど休まずに働いていることから体に
無理がきたこと。
シンを倒すためとはいえ、自分が信じ切っていたエボンの教えを根底から
覆してしまったこと。
相談に訪れる人たちの心の苦痛を、真正面から受け止めすぎてしまうこと。
・・・しかし、何よりも彼女の心を、その生命ごと奪ってしまうほどに
消耗させている理由は、ひとつしかない。
「あいつがいれば、変わったかな」
ルールーは晴れ渡った天を見上げ、そう漏らした。
まるでそうすれば、天の光の髪を持つ少年が、ユウナが愛した男が
舞い戻ってくると信じているかのように。
421 :
GZ:02/04/03 16:24 ID:???
…また区切りのところで終わってしまった…
>ギゴガードさん
ご無沙汰しております。その節はお世話になりました。
ご期待に添えられるものになるか分かりませんが、
まずは完結に向けて書き込んでいきます。
>R@no-nameさん
えー、ここは強調しておきますが、
私は無名です。かつて某板でギゴガードさんのお世話になっていただけです。
R@no-nameさんに比べると、添え物のパセリにもなれません。はい。
そんな訳ですが、ご発言の件、お気になさらないで下さい。
シーユウ、楽しみにしています。
>405さん
はい、今は全くそんな気配がありませんが、エロです。
背徳になるのかは、…どうなるんでしょう?
>412さん
…やっぱりこの二人だと怖いものになってしまうんですね。…
楽しんでいただけたら、と思います。
422 :
412:02/04/04 12:55 ID:???
>GZ殿
レスありがとうございます。
がんばって下さい!やっぱりまだ、どきどき…
それにしてもこのスレはすごい。
3作品共、まだエロが無いのにこれだけ楽しめてしまうのだから。
イイ!どこかのFF厨房サイトのヘタレ小説よりイイ!
424 :
:02/04/07 23:40 ID:???
保全しておくか…一応
落ちすぎアゲ
続き・・・ 続きを!! ぐふっ
なにを思ったかユウナはギザールの野菜をむさぼり始めた。
wingame.html
winhgame.html