FFDQおとぼけ質問スレVIII 先生!おハロ〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
625洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc
FFDQ板オフ会報告

ついに、この日が来た。
Tは電車を降りると、改札を出る前にまた鏡を覗き込んだ。
(俺って、意外とイケてんじゃん)
今日のために、体重を10キロも落とし、ファッション雑誌で流行の服装を研究してきたのだ。
何年ぶりかのよそ行きスタイル。正直、自分がこんなにイケてるとは思ってなかった。
正直、コテの中に何人かはネカマもいるだろうが、本物の女性もいるだろう。
(どうせ2ちゃん以外にすることのないパソヲタばっかだろ、俺が一番だな)
己のことは棚にあげ、Tは改札を出た。

外はすっかり暗くなっていた。12月の7時だ、当然だろう。
駅前のマクドに入り、チーズバーガーのバリューセットと、単品でもう一つハンバーガーを食らう。
平日半額に慣れたせいか、日曜日にこれを注文すると、休日倍額といった感じは否めない。
もちろん、これから行く場所に、食事はある。
しかし、Tは現地でがっついたりせず、少しでもみんなと話していたかったのだ。
昼から何も口にしていないこの空腹は埋めておきたかった。
ハンバーガーをたいらげ、トレイをゴミ箱に捨てるお約束を忘れず、Tは店を後にした。
商店街は明るかった。ポケットから携帯を取り出し、集合場所と時間の確認をする。
集合時間まであと一時間。
626洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc :01/11/09 16:25 ID:wB5ae+2H
(さて、どうしようか……)
ここから約束の店まで、20分とかからない。少し暇だ。
こういう時、いつもならその辺の本屋で立ち読みでもして時間をつぶすのだが、
今日は日曜日ですでに週刊誌も読みつくしている。
普通の本を読みふけって、遅刻するのは避けたかった。どうも、自分は読書を始めると没頭してしまう。
しかたなく、Tは駅前の少し開けた空間を所在なげにうろついていた。
店の前でそわそわ待っているのも怪しかろう。

カサカサ……
足元に一片の紙が飛んできた。
駅の改札の方から、高校生ぐらいの少年がかけてくる。
どうやら、メモを風にさらわれたのだろう。Tはかがんでメモ用紙を拾い上げた。
そのとき、メモに書かれた「うにゅう」の文字がTの目に入った。
(今日のオフ会の参加者か?)
おそらく、今日のオフ会の参加者の名前をメモしたものだろうが、
買い物リストに「ぎゅうにゅう」が入っている可能性も否めない。
その可能性が低かろうとも、まっとうな人間に自分が2ちゃんねらーであることは知られたくないものだ。
意を決し、Tはぼそりとつぶやいた。
「うにゅうのマソコ」
こんな往来で「マンコ」などと口走っては、変質者確定だろう。
しかし、「マソコ」は一種の暗号だ。これを理解できるのは、チャンコロだけだ。
少年が口を開いた。

「ポリゴソ!」
627洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc :01/11/09 16:26 ID:wB5ae+2H
「はじめまして。高山 正治(仮)です。」
Tはこの名前もすでに雑談で明かしているので、少年はすぐにわかったようだ。
「Tさんですね。はじめまして、大原 勝(仮)です。」
……お互いこんな口調でしゃべるキャラではない。少なくとも今日の面子にそんなやつはいない。
やはり目の前に当人がいて、あんな発言はしにくいか。
(俺的にはいつもの雰囲気が好きなんだが)
まあ、酒でも入れば、いつもの雑談スレのような状況になるだろう。
ともあれ、これでは目の前の彼が誰なのかわからない。
「で、君は……?」
Tが尋ねると、少年はいたずらっぽい笑みを浮かべて
「さて誰でしょう? 当ててみて!」と言った。
(うーんと、確かこのぐらいの年齢といえば……)
「ちたん?」
「違いますよ、――――キティガイ厨房です。」
「……イェイ?チェキ?」
そこまで来て、少年はポケットから、おそらくさっきのものと同じと思われるメモ帳と、ボールペンを取り出した。
(携帯のメモ機能使えよ)とTは思ったが、高校生ならこんなものだろう。
そして、少年は何か書き込んだ後、メモ用紙を一枚Tに手渡した。
紙にはこう書かれていた。「イェイ!=チェキ!」
Tが顔を上げると、少年は満面の笑みを浮かべた。
「(・∀・)ジサクジエンデシタ!」
628洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc :01/11/09 16:28 ID:wB5ae+2H
すっかり打ち解けたTとイェイ!。
気がつけば、そろそろ7時半。
「そろそろ行こうか……」
そう言いかけて、Tはハッとした。
(まさかこいつ、時計に抱きついて、「今だ!7時半ゲット!」とか言い出すんじゃ…)
その心配はなかったようだ。
イェイ!はすでに50メートルほど先にいた。えらく足取りが速い。
おそらく学校でも活発な生徒なのだろう。Tは少しうらやましかった。
しばらくして集合場所である約束の店に着いた。
カフェともバーともいえるこじゃれた居酒屋。
看板にはアルファベットで何か書かれていたが、英語ではないらしく読めなかった。
フランス語かイタリア語だろうか。
イェイ!が早足(といっても普通に歩いてるつもりだったのかもしれないが)で進んできたため、
思ったよりも早く着いた。15分ほどある。
(まあ、いいか。話し相手もいるし、待ってる間もヒマにはならないだろう。)
しかし、普段あまり人と話す機会がないせいか、どう話しかけていいものかTは躊躇した。
(なんか話題ふってくれー)
看板の読みを必死に考えているイェイ!の背中をTは恨めしそうに睨んでいた。
「あの……今日のオフ会に来た人ですか……?」
透き通るような綺麗な声で話しかけられ、Tは振り向いた。
629洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc :01/11/09 16:28 ID:wB5ae+2H
振り返ると女性が立っていた。
声を聞いた時点で頭を支配したイメージ。
目の前の女性は決してそれにたがわない、妙麗なたたずまいをしていた。
背中のちょうど真ん中あたりまで伸びた長い髪は、光を照り返し輝くような黒だった。
人形のように整った顔立ち、それでいてその表情には生気が満ちている。
ボディラインがはっきりわかるスーツ、膝の少し上までのスカートは、
たいそうセクシーではあったが、ケバケバしいということはなかった。
いつもの雑談スレでなら、「( ´Д`)ハァハァ」と言うか、卑猥な言葉を投げかけるTだが、
この時は、相手が目の前にいるからという理由ではなく、
ただただ見とれて、そこに立ち尽くした。
「あ……そうですそうです。僕は高山 正治(仮)。Tとかたかがーとか名乗っていた者です。よろしく。」
イェイ!がTの右側に来た。Tと同じような心境なのか、どぎまぎしているのがわかる。
「ガガガ…ガムいります?」
イェイ!はポケットから、バブリシャス(グレープ)を取り出し、女性に差し出した。
しかし、ポケットから取り出した拍子に、そこに入っていたものが一緒に飛び出してしまった。
ボトボトボトボト……
グリーンガムにクールミント、ブルーベリー・コーヒーガム、歯磨きガムにフラボノイド、
キシリッシュ、フラボノ、フィリップスガム……エトセトラエトセトラ……。
Tの知る限り、日本で販売されている全ての種類のガムがそこにあった。
630洋芥子ラゴン ◆oRAGONcc :01/11/09 16:29 ID:wB5ae+2H
とりあえず、ガムを手渡した後、イェイ!は自己紹介をした。
「えっと、大原 勝(仮)です。イェイ!とかチェキ!とかで書き込んでます。」
何気に、自分を「気狂い厨房」とは言いたくないらしい。
「そうですか。はじめまして、よろしく。」
おだやかに言うと、女性はすぅっと頭を下げた。2人はその流れるような動きさえ美しいと思ってしまった。
(で、この人は誰なんだろう?)
それが、Tとイェイ!の共通の想いだった。
自己紹介を待てず、頭に次々と空想が浮かんでくる。
(ななたんか?名無子か?クイーン、ビビ、グゥあたりも女とか言ってたっけ)
そしてその女性は、右手に提げたバッグから一枚の紙を取り出した。
『ななたん=うにゅう=ちたん=ラゴン=ビビ=真の厨房=クイーン=へじほ=名無子=ネオギコ=
 女好き=aほ=カレー=スコール=緑茶=ダースドラゴン=鈴木五郎=真の勇者=グゥ=異端者=ハァゴン』
そして、女性はにこやかに言った。
「(・∀・)ジサクジエンデシタ!」

そして、24人もの人間が集まった、FFDQ板のオフ会は開始され、
3人は店に入って行きました。