女将さんは大きめの器に、少しだけとても強いお酒を注いだ。
その器に新鮮な具材を数匹放り込んでお箸で軽く混ぜる、具材がパチャパチャとお酒と絡められる。
そこに調味料、塩と砂糖、お出汁を注いで少しのお酢、最後にお醤油で味を調える。
具材も最初は騒いではいたが、お酒に絡められた頃には少しぐったりとして、出来上がった時には何とか泳いでいる程度。
「一匹ずつ味わってもいいし、ぐいっと飲み干して喉越しを味わうのもいいわね」
女将さんのアドバイスがちょっと嬉しい、それじゃぁって日本酒をお願いする。
「遠慮しないで飲みなよ、ここは奢ったげるからさ」
「はぁ… では、いただきます…」
ちびちびと飲む後輩に面倒抱えてるなぁと、ちらりと考えた。
カウンターの向こうで女将さんが焼きを作ってくれている。
ジュゥ〜という脂が落ちて炭にかかる音が聞こえ、芳ばしい香りが漂ってきた。
横では後輩がもじもじと話を切り出そうとタイミングを伺っている。