(お触りショーですって!? そんな目に合うのはいやよっ!)
キューティー浅尾は激しい焦燥に襲われたが、どうしようもなかった。何も抵抗
する手段はない。うぐっうぐっと呻くのが精一杯だ。
そんなキューティーの眼の前に再び鏡が差し出された。彼女に更なる精神的な
ダメージを与えるためである。
(いやああっ! 違うわ! こんなのわたしの顔じゃないっ!)
そこに映っていたのは、マットの妖精と謳われた超美人女子レスラーの美貌で
はなかった。
(ひ、ひどい……)
ツルツルテカテカのスキンヘッド、額には女性器の落書きをされ、眉毛までなく
なっている。口には自分のビキニパンツを押し込まれ、更に鼻フックを掛けられ無
残な豚鼻に変わっていた。
あまりに醜く変わり果てたおのれの顔に、キューティーは叩きのめされてしまっ
たのだ。この現実を受け入れることができない。
(違う……わたしじゃない……)
泣きベソをかきながら、哀れにも、心の中で事実を否定し続けるキューティー浅
尾だった。
そんなキューティーをよそに、まだ残っていた客たちはリングサイドに押し寄せ
ていた。彼女の肉体に直接触れるためである。
「キューティーのおっぱい揉めるなんて夢だろ」
「アソコ触ってもいいのかな、ハアハア」
「乳首だ。乳首舐めたい」
みな、もはや理性を失い身勝手なことを口走っていた。
「押すな、押すな!」
「並んで、並んで!」
極悪軍団が総出で場内整理に当たっていた。
「みんな慌てるな! グループになって、リングに上がってもらう。1グループは
20人だ。持ち時間は1グループ2分、その間触り放題だ!」
コングの説明に観客は沸いた。いつの間にか客たちはまるでコングの手下にな
ったかのように、彼女の言うことを忠実に聞くようになっていた。数百人が一度に
リングに上がろうとしたら、リングは壊れてしまう。すぐに客たちは各グループに
分けられていった。
その間にも、コング松本はキューティーへのダメ押しの一撃を準備していた。
「さてお客さん、」
例によって、もったいつけてマイクで話し始める。場内は鎮まった。
「今からお触りショーの開演だが、こいつはまだ邪魔な布きれ二枚をつけてやがる。
今からそいつを取っ払うから見てな!」
まんぐり返しの格好で縛られているキューティーを、更に全裸開脚にしようとい
う、残忍な目論見であった。キューティーの抵抗はうめきながら、身体をわずかに
くねらせるだけだ。
「いよいよ、キューティーが素っ裸にされるんだな!」
次々ともたらされるエロシーンにドッと沸く観衆。
「まず、ブラからだ」
ハサミを持って浅尾の胸に近づいたコングは、手早くブラジャーを切り落とした。
キューティーの美しい巨乳が乳首もろとも露わになる。
「ううっ、ううっ……」
絶体絶命のキューティーは泣きながらうめくだけである。残りは最後の一枚のみ
だった。場内は息を殺して期待に胸を膨らませた。
(いやっ! いやっ! 見ないで! 見ないで!)
叫べないのがもどかしかった。今までも、リングでイカされたり、丸坊主にされ
たり、充分辱められてはきたが、こんな格好でパンティを取られたら、自分の秘
部が丸見えになってしまう。
「さて、キューティー浅尾の一番恥ずかしい部分、ご開帳!」
コング松本は、大股開きのキューティーのパンティに、いよいよハサミを入れた。
そして、一気に取り去る。妖精の恥ずかしい二穴が人前に晒された。
だが、人々の目を引いたのはそれではなかった。
「すげえ、ボーボーじゃん!」
キューティー浅尾のアンダーヘアーは、ファンの想像を絶するほど濃密なジャ
ングルだった。肛門周囲までビッシリと生えている。
客の反応を見てとった、サディズムに関しては大変な能力を持つコングはまた
も悪魔的なアイデアを思いついた。新ルールが発表される。
「よし、千円払ってもらえば、キューティーのどこの毛でも抜いていいということ
にしよう! ただし、一人三本までだ、いいな!」
このコングの宣言に、ウォーという大歓声が巻き起こった。