無敵無敗女王のピンチ・まさかの惨敗

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506名無しさん@ピンキー
(ああ……や、やめて! やめてっ! おねがい……)
 嗚咽を続け、涙が止まらないキューティー浅尾にできることは、もはや心の中で敵
に哀願することだけであった。
 コング松本によって、既にチャンピオンベルトを奪われ、大勢のファンも奪われ、
パンティを晒して磔にされて元女王としての誇りも奪われたキューティーである。
 その彼女にとって、先ほど鏡で見せつけられた醜い自分の顔は大ショックであった。
頭頂部の頭髪を切り落とされ、まるでカッパか平家の落ち武者のようになってしまっ
たのだ。
(いやあっ! 切らないで!)
 長い黒髪がキューティーの美しさの根源でもあった。その髪が無残に刈られていく。
浅尾は髪を切られていく度に、自分のエネルギーも奪われていくような気がした。髪
を失うということが、こんなにも大きなダメージを受けることだったとは、想像もしてい
なかった。
「くうううううっ、あああああっ……」
 もはや、抵抗する気力も完全に失い、ただか弱い乙女のように泣き続ける事しかで
きない前チャンピオンキューティー浅尾は、いまや浅尾朋美という一人の女に過ぎな
いのであった。
507名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 19:40:24 ID:LraiKSSU0
 しかし、そんなキューティーの嘆き、悲しみなどまったく無視して、勝ち誇るコン
グ松本は情け無用で妖精の髪を切り落としていった。
「グフフ、もう少しだな」
 前頭部にわずかに短い頭髪を残して、残りはすべてハサミとバリカンで切り落とし
てしまった。
「うううううっ……」
 キューティーの嗚咽は続いていた。そこでコングはクルッとリングサイドの方を振
り向いた。そして、一人の小太りの少女を指差した。
「そこのお姉ちゃん! リングに上がりなよ」
 小太りで不細工な顔の少女だったが、コングからの突然の指名に驚いた様子だ
った。
「ええっ! 私!?」
「そうだ、あんただ、あんたがキューティーを丸坊主にするんだよ!」
 キューティーの元ファンに、丸坊主の仕上げをさせようという、コングの残忍な趣
向だった。不細工な少女は躊躇していたが、極悪軍団の若手に促されると、決意を
決めてリングに上がってきた。

508名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 19:41:15 ID:LraiKSSU0
 コングがこの少女に、キューティーへのとどめを刺させようとしたのは、もちろん
理由があった。試合途中から、キューティーに最も痛烈な野次を飛ばしていたのを
しっかりとチェックしていたのだ。キューティーの美貌への嫉妬もあるに違いない。不
細工な少女は脚立を上がっていく。
「さあ、これで刈りな」
 コングからバリカンを渡される。予想もしない展開に泣き止んだ瀕死の妖精は、憐
れみを請うかのように少女を見つめて懇願した。
「そんな、ひどいことしないで! あなたはわたしのファンだったんでしょ?」
 ところが、不細工少女は同情するどころか、憎々しげにキューティーをにらみつけ
て言い放った。
「あんたが悪いのよ、キューティー! わたしたちを裏切ったんだから!」
 これにはさすがのキューティーも一言も言い返すことができず、ガックリと首をう
な垂れた。少女は思い切りよく、元女王の最後の髪の毛をバリカンで刈り落としたの
だった。
「よくやった、おみごと!」
 コングと極悪軍団は、不細工な少女に拍手を贈った。