無敵無敗女王のピンチ・まさかの惨敗

このエントリーをはてなブックマークに追加
305☆☆大ピンチ! キューティー浅尾☆☆
 コング松本は一気に攻勢に出た。浅尾は身体を頭を下にして持ち上げられるとコーナー
ポストまで抱えていかれた。そして両脚を少し開かれて、膝を曲げられてロープに掛けら
れてしまう。屈辱的な逆さ吊り状態だ。
 ビキニパンツのアイドルが、まるでコーナーポストに逆さ磔にされてしまった様な光景
だった。
先ほどのロープを使った三角木馬に続くSMチックなシチュエーションに、男性客はまた
しても股間を硬くした。
――ううっ、何よこれは!
 逆さハリツケにされたキューティー浅尾は恥辱に身体を震わせた。このような下品な攻
めは、駆け出しの若手やカワイイだけのやられ役のレスラーが受けるものだ。美と強さを
兼ね備えたキューティーのようなスーパースターが受けるものではない。
 身動きの取れない浅尾に、コングからの情け容赦ないストンピングの嵐を浴びせられた。
「ああっ!」
「いやっ!」
 キューティーは無抵抗で痛めつけられる。
「ロープだ」
 レフェリーが割って入り、ようやく逃れることができた。しかし、すぐコングに捕まっ
てしまった。身体ごと抱きかかえられてしまった。ベアハッグ=さば折りで攻め立てられ
る。チャンピオンの丸太のような太い腕で、浅尾の、レスラーとしてはスリムな身体が激
しく締め上げられた。
306☆☆大ピンチ! キューティー浅尾☆☆ :2007/11/29(木) 07:10:05 ID:AXUw3Ir40
「あああっ!」
 細身の美女レスラーは悲鳴を上げて苦しんだ。
(く、苦しい……)
 背骨が折れそうになるくらいの万力のような力で締め付けられる。パワー勝負ではもと
より最初から勝ち目はない。
「くううっ!」
 悶えながら、空いている両手でコングの身体をバンバンと叩いて離れようとした。しか
し悲しいかなパワー不足である。コングにとっては蚊に刺された程度しか感じていないよ
うであった。
(ダメっ! このままではギブアップを取られてしまう!)
 追い込まれたキューティーは、またしても禁じ手に手を出してしまう。
(こうなったら、あれしかないわ……)
 次の瞬間
「ギャッ!」
 と叫んだコング松本は、ベアハッグの手を離していた。なんとキューティーはコングの
目にサミング(目潰し)をかませたのである。これにはさすがの強靭な肉体を誇るチャン
プもたまらなかった。
「何するんだ!」
「卑怯だぞ、キューティー!」
 マットの妖精のこの破れかぶれの反則には、会場の観客から強烈なブーイングが浴びせ
られた。
307☆☆大ピンチ! キューティー浅尾☆☆ :2007/11/29(木) 07:12:40 ID:AXUw3Ir40
 デビューして以来、女子プロレス界随一の美女として、そして無敵の女王として、常に
スーパースターとしての待遇を満喫してきたキューティー浅尾である。観客からブーイン
グを浴びるなど、かつてなかった。
――どういう事!? このわたしがブーイングを浴びるなんて……
 リングのアイドルは激しく動揺した。ショックだったのは、ブーイングの中に、自分を
崇拝しているはずの少女ファンたちまで加わっている事だった。
――そ、そんなっ! あの子たちまで、わたしを非難するなんて!
 事態が信じられないキューティーに、口汚い野次が飛ばされる。激昂した彼女は、観客
を怒鳴りつける。
「違うわ! 先に反則したのはあっちよ!」
 観客とやり合うスーパーアイドルの見苦しい姿に、ファンの心もキューティーから完全
に離れてしまった。
 そして、そうしている内に浅尾の反則目潰しから回復したコングが立ち上がった。
「グフフ、やってくれるじゃないかキューティー! だが、今の反則のツケは高くつくぜ
この借りは倍にして返してやる!」
 そう言うと観客席の方を指さして、大声で叫んだ
「てめえら、キューティー浅尾の丸坊主処刑が見たいか!」
観客の心変わりを読み取った巧妙な扇動だった。すると、なんと一斉に口を揃えて返事
が返ってきた
「見たーい!!」
 異様な集団心理。みな集団催眠にかかったかの様に、キューティーを敵視する様になっ
てしまったのだ。
――い、いやっ!! お客さんがみんなわたしを憎むなんて……
 元女王はこの異常な雰囲気に全身が凍りつき、顔面蒼白になった。孤立無援、四面楚歌
になったキューティー浅尾大ピンチである。