218 :
名無しさん@ピンキー:
コング松本とのタイトルマッチで惨敗しチャンピオンの座から転落したキューティー浅尾
は、あまりの屈辱に打ちひしがれていた。
試合の翌日のスポーツ紙、自分のことがどんなに書かれているか読もうとして恐る恐る手
に取った彼女は
「いやっ!」
と悲鳴を上げて新聞を投げ出した。一面にデカデカと自らの惨めな姿が載っていた。ロメ
ロスペシャルを極められて、股を広げられたまま気を失っている写真だ。しかもご丁寧に
「リングのアイドル、パンチラ失神!」
などと、読者を煽る見出しが銘打たれている。スカートから覗く股間に食い込んだコスチ
ュームの白い布がまるでパンティの様に見えていたのである。
(ひ、ひどいわ! こんな写真載せるなんて……)
こんな恥ずかしい写真が公開されては、人前に出る事もできなくなる。プロレス界のスー
パースター、マットの女王として君臨しメディアからもチヤホヤされ、過剰に持ち上げる提
灯記事しか書かれてこなかった自分が、一夜にしてこんな扱いを受けることになってしまう
とは……
「ああ……悔しい、悔しいっ!」
惨敗の敗北感に加え、女としての恥じらいも加わり、激しい感情の波に襲われたキューテ
ィー浅尾は嗚咽した。あふれる涙を抑える事ができなかった。つい昨日まで栄光に包まれて
いた自分の運命が、一瞬にして暗転したのを彼女は実感したのである。
219 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 21:32:47 ID:+Z3cO7fi0
体調不良を理由に、キューティー浅尾の姿は新日本女子プロレスの会場から姿を消した。
その間に、コング松本を中心とするヒール組は、極悪軍団なる軍団を結成し、日本の女子プ
ロレス界をを牛耳っていったのである。
「パンチラ女王キューティー浅尾、失踪か?」
「キューティー浅尾、ヘアヌード写真集発売も」
キューティーが姿を消した間、無責任な週刊誌は心無い記事を書きたてた、それがまた彼
女の耳に入り、心を深く傷つけたのである。
実のところ、浅尾は思い悩んでいた。
――もう、引退すべきなのか、それとも現役を続けるべきか?
新女の社長も、それとなく引退を勧告していた。
「なあ、キューティーよ、そろそろのんびりしたらどうだ?」
芸能界入りを勧める声もある。
――いやっ! こんな形で辞めるなんて。
このような引退は納得できなかった。そして、すっかり萎えていた元女王の気持ちを引き
戻したのは、彼女を崇拝する全国の少女ファン達からの暖かい激励だった。皆、極悪軍団の
暴虐を苦々しく思っていたのだ。
「キューティーの復活信じてます。必ず戻ってきて!」
「一度くらいの負けで落ち込まないで! これからも応援し続けます」
「キューティー、ガンバ! 負けないで!」
マネージャーから届けられたこれらの手紙、メールを目にしたキューティー浅尾は、感激
して涙を流した。そして復活への気力が沸いてくるのを感じたのである
220 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 21:34:24 ID:+Z3cO7fi0
「やっぱり、わたしにはプロレスしかないわ!」
元女王は、リングへの復帰を決意した。だが
(今のわたしの力では、コング松本に勝つことはできない)
切り札の延髄斬りをはじめ、自分の技は通用しなかった。新しい必殺技を身に付けなけれ
ばならない。激しいトレーニングが始まった。前チャンピオン再始動の噂はたちまち各方面
に伝わっていった。
そして、遂にキューティー浅尾は再びリングに戻ってきたのである。
「キューティー! キューティー!」
という、ファンの大コールの中、マットに立ったアイドルの姿にファンは驚かされた。以
前より、セクシーさ倍増のコスチュームだ。
上がタンクトップ、下がハイレグタイプのビキニパンツ、まるでビーチバレーのようなセ
パレーツのリンコスに場内は沸いた。もともとの美乳、美尻、長い脚を引き立たせ、彼女の
エロティックさを演出した。その肉体も筋肉がついて引き締まり、雌豹のような雰囲気を漂
わせている。
そして、試合が開始された。これまで以上のスピーディーな動きだった。相手は一流の外
国人女子レスラーだったが、立ち上がりから圧倒して秒殺に仕留めた。鮮やかな復活劇であ
る。ニューキューティー浅尾の誕生だった。快進撃は続いた。そして、その勢いでチャンピ
オンコング松本に挑戦状と叩きつけたのだった。