【機械化】サイボーグ娘!九人目【義体化】

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1名無しさん@ピンキー
サイボーグ娘に萌えるスレです。
人工皮膚系・金属外骨格系どちらも(それ以外も)OKです。
事故や病気で体を失って機械化した娘、特殊な作業に特化した体を得る為に機械化した娘、萌えるじゃないですか!
無理やり機械の体に改造されてしまった娘も、自分の機械の体で悩む娘も、能天気な機械化娘も、萌えるじゃないですか!
そんな趣旨のスレです。

アンドロイド娘とはかなり方向性が異なるので別スレにしてみました。
アンドロイド娘は完全人工な娘、サイボーグ娘は生身だったのを機械に改造した娘です。
区別の目安としては、脳味噌が生身か造り物か、という事になります。

前スレ
【機械化】サイボーグ娘!八人目【義体化】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1134767816/
前々スレ
【機械化】サイボーグ娘!六人目【義体化】 (実質七人目)
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1126369982/
【機械化】サイボーグ娘!六人目【義体化】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1120438550/
【機械化】サイボーグ娘!五人目【義体化】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1115785525/
【機械化】サイボーグ娘!四人目【義体化】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1109861097/
【機械化】サイボーグ娘!三つめのパーツ【義体化】
http://pie.bbspink.com/feti/kako/1082/10828/1082827604.html
【機械化】サイボーグ娘!二回目の手術【義体化】
http://pie.bbspink.com/feti/kako/1064/10645/1064515330.html
【機械化】サイボーグ娘!【義体化】
ttp://wow.bbspink.com/feti/kako/1062/10626/1062698217.html
2名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 22:43:29 ID:40KsV7wE0
∧  ∧
   / ヽ‐‐ ヽ
  彡_,.ィ^' ‐、 _,,.ヽ
  彡.  `‐-‐"^{" `リ
  彡  (    .`~l~
 彡   ヽ     |
 彡    ヽ    l     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ `     ( o o)\  < ぶひひん、見ろ、>>1がゴミのようだ
/ __    /´>  )   \____________
(___|_(   /<ヽ/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
  ヒl    ( \
       \二)
3名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 00:38:00 ID:5+ZSCFl90
>>1


>>2
ガッ
4manplus:2006/04/13(木) 00:52:54 ID:CnbOPvQV0
 谷本ドクターからの報告を受け、私は、サイボーグ処置室に入っていった。
 私が部屋にはいるのを谷本ドクターが確認して、私に近づいてきた。
「片桐社長、水沢さんのサイボーグ手術は成功しました。後は、水沢さんの回復を待って
長期着用型宇宙服を装着させるだけです。どうぞ、サイボーグとなった水城主任をご覧下さい。
社長のリクエストには全てお答えしています。
これが水城主任の身体の長期着用型宇宙服未着用時のコントローラーです。」
谷本ドクターはそう言ってから、二つ折り携帯電話型の機械を渡して、私を杏奈のもとに案内してくれた。
「携帯電話のように見えるんだね。」
「ハイ、社長が常時持っていられても、不自然がないように工夫しました。」
「ありがとう。気を使ってもらって感謝する。」
私がそう言い終えて、サイボーグ処置室の隣にあるサイボーグトレーニングセンターに入っていくと、
サイボーグ専用調整機に座らされている杏奈の姿があった。
谷本が杏奈の機能の調整を行っている調整機械を操作すると杏奈を拘束している拘束ベルトがはずれた。
 杏奈がサイボーグ専用調整機から起きあがって私の方に近づいてきた。
 その姿は、人間と言うにはもう程遠い、セミトーランス色のラバー光沢のある皮膚を持ち、
頭髪はセミブロンドのいかにも人工毛髪といったロングヘアーであった。
 私が、恋愛の対象として受け入れることの出来る人形が、自分の意志で近づいてくるのであった。
まさに私が望んでいた、生きた意志を持つ人形であり、理想の恋人であった。
杏奈がこの姿になることを選択してくれたことを、そして、その立場を受け入れてくれていることに私は満足していた。
私の理想の女性を理想的な人形として生涯、愛していけることの喜びを私は噛みしめていた。
「伸二さん。全て順調に回復しています。生まれ変わった私を気に入っていただけたでしょうか?
もちろん、細部にわたって伸二さんを失望させない仕様になっていると谷本ドクターからご説明を受けています。
5manplus:2006/04/13(木) 00:54:30 ID:CnbOPvQV0
これから、我が社の最新の長期着用型宇宙服の中に閉じこめられて、秘書サイボーグとして、
我が社の長期着用型宇宙服の着用実験者として、大半の人生を送ることになるのですが、
伸二さんがお許しくださるときのみ、長期着用型宇宙服を着ていない姿を見せられることになるのですが、
早く伸二さんにこの姿を見ていただきたくて、谷本ドクターにお願いして、伸二さんを呼んでいただいたのです。
仕事の上では、秘書として、プライベートでは、従順なパートナーで、生きた人形ロボットとして
あなたのお側で仕えさせていただきます。よろしくお願いします。」
 私の耳に杏奈の新しい声が聞こえてきた。
その声は、私が官能する理想の声である電子的な人形の声であった。
杏奈は、私の理想とする私の私物になってくれたのであった。
「社長。もちろん、夜の営みの時の水沢主任の持ち物は、社長にとっての理想的なものに仕上げてあります。
それに、内蔵された感情を制御するコンピューターによって、水沢主任は、
社長しか恋愛対象として思考することが出来ないようになっていますし、その感情は、秘書として、
パートナーとして、従順に従うことが前提としての恋愛感情に制御されています。
それ以外の彼女の意志に制御はもうけていませんから、人間らしさを失うことはないと思います。」
谷本ドクターの説明が私に届いた。
私は、杏奈の全ての状態に満足して、谷本ドクターに
「ありがとう。素晴らしいパートナーを作ってもらえて満足している。」
と短く言った。
「社長。水沢主任とお二人にしましょうか?性器の具合を確かめてみられますか?」
谷本の勧めに、
「いや、今日はその必要はない。杏奈も長い手術によって疲れているだろうし、私の仕事のパートナーとして
早期に職場に復帰させることを優先させて欲しいのだ。」
私の言葉に、
6manplus:2006/04/13(木) 00:56:08 ID:CnbOPvQV0
「わかりました。水沢主任のサイボーグ体の調整を急ぐとともに、長期着用型宇宙服への封入を急ぎます。」
「谷本ドクターそうしてください。杏奈が無事に私の秘書として職場復帰するのを待っています。」
「伸二さん。いえ、片桐社長、私は、早くこの身体に慣れて、サイボーグ秘書として、
早期に職場復帰するように頑張ります。」
「杏奈、早く職場に戻ってきてくれ、それから、いつでも一緒にいるパートナーとしての生活をはじめよう。」
「よろしくお願いします。」
杏奈の抑揚のない、電子音のような言葉が、私の性欲をさらに刺激した。
私は、今この場で、セックスドールとしての杏奈の性能を試したいという衝動があった。
その強い衝動を私は、あえて抑えることにしたのだった。
私の大事な宝物である杏奈を大事にしたい、ただの宝物ではなく、
人形しか愛せない特殊な性癖を持つ私にとっての理想にして最高の女性であり人形である、
理想の恋愛対象が杏奈なのだ。だから、あえて、杏奈との関係を大事にしていきたかったのだ。
だから、初夜は、杏奈との婚姻届を出して、真のパートナーにしてからにとっておきたかったのだ。
それほど杏奈は私にとって大事な存在になったのであった。
そして、私は、私の欲望を抑え込むことに成功すると次の性癖が心の中で大きくなった。
それは、恋愛対象を誰にも触らせたくない、貞操管理を徹底させたい。
それを早く行わせたいという願望だったのである。
 そのような感情が私に芽生えたのを谷本ドクターは、察知したのだろう。
「水沢主任への長期着用型宇宙服の装着を出来る限り早期に行います。私にお任せください。」
「ドクター、お願いします。杏奈は私の講師に於ける大事な存在です。頼みましたよ。」
私は、そう言うと、杏奈と谷本ドクターのいる部屋を出て行った。


7manplus:2006/04/13(木) 00:58:54 ID:CnbOPvQV0
 谷本は杏奈のサイボーグ体の最終調整を行っていた。
杏奈を長期着用型宇宙服に入れていない状況なので、単独体としての杏奈の生命維持の許容時間は
24時間以内であった。
そのため、あえて杏奈に単独体としての活動を禁止し、サイボーグ専用調整機に拘束する形で行われた。
サイボーグ体の調整が終了すれば、長期着用型宇宙服の中での生活になることがほとんどなので、
3600時間に一度、長期着用型宇宙服のバックパックに作られた循環液の交換や長期着用型宇宙服の
細部のチェックを行うための機械と接続するためのコネクターにケーブルを6時間ほど接続すれば、
自由に動き回れる状態で暮らすことが出来るのであった。
もっとも、片桐が24時間以上杏奈を未着用の状態で置くときは、生命維持用ケーブルを
杏奈のヘソのところに作られたコネクターに接続し、サイボーグメンテナンス用寝台に24時間に一度、
1時間拘束されることになるのだった。
ノーマルの長期着用型宇宙服装着対応アストロノーツは、240時間に一度、2時間の拘束で済むのである。
しかし、杏奈の場合は、秘書用サイボーグとしての電子機器が体内にたくさん納められているため、
未着用での生命維持の時間が極端に短いのであった。
杏奈が、未着用での生活時間を短くしなければならなかったのは、着用状態での生活が、
この製品のPRそのものであるため、未着用の時間を考える必要がないことと、
片桐の杏奈を自分だけのものにしたいという独占欲からくる要望によるものということもあったのである。
 しかし、谷本にとっては、杏奈のサイボーグ体を調整をするのに、杏奈を完全に拘束した状態で行うことが
可能なため、非常にやりやすいものであった。
今後のノーマルの着用者もこのように完全に拘束された状態でサイボーグ調整機の一部としての調整が
行われることであろう。
しかし、このことは、杏奈にとっては不幸なことであった。少なくとも、長期着用型宇宙服の着用前のこの時間は、
少しでも人間に近い最後の生活がしたかったのに違いないのに、サイボーグ調整機に縛り付けられたままの
囚人生活を送ることになり、自由な日々とは程遠い日々になるからである。
8manplus:2006/04/13(木) 01:11:14 ID:CnbOPvQV0
 杏奈は、そのことを知って少しの悲しさを覚えた。しかし、彼女の目は、完全に機械で出来た作り物であり、
デジタルカメラでしかないため、涙を流す機能なんてどこにもなかったのである。
杏奈は、涙を流すことさえ出来ない身体になったのである。
もちろん、人形というコンセプトで造りかえられた杏奈の顔は、表情を作ることが出来なくなっていた。
従って、笑うとか、怒るといった表情さえも作ることを許されない身体になっていたのである。
この点もノーマルの着用者とは、違うところなのである。
ノーマルの着用者は、人間のアストロノーツとして、未着用での生活も想定し、
少しの表情を作ることは可能であった。
もっとも、目は人工のものになるのは、杏奈と変わらないため、涙は流すことは出来ないであろう事は同じであった。
長期着用型宇宙服の着用者たちの目は、物を見るということよりも、記録機械の意味が強かったのである。
 谷本は、杏奈のサイボーグ体の調整中、杏奈を人間のように感じられない錯覚に陥ることがあった。
それほど、杏奈は、人形に近い存在になっていたのであった。
長期着用型宇宙服を着ていない杏奈は、片桐の望むセックスドールになってしまったのであった。
たぶん、長期着用型宇宙服を着ているときは、人間か、若しくは、機械と生体の共生体であるサイボーグに
感じるのであろうし、秘書としての能力を追求している人間の女性か秘書サイボーグと感じるのであろう。
しかし、未着用の杏奈は、人形そのものであった。生身の人間の女性を愛することが出来ない片桐の最愛の
婚約者として、当然のことなのであるが、それは、残酷なことなのであった。
人間の意志を持ったサイボーグであるのに、人形としか見えない。それが今の杏奈なのであった。

9manplus:2006/04/13(木) 01:11:50 ID:CnbOPvQV0
 杏奈のサイボーグ体の調節が終了すると杏奈は、自分の身体の機能を谷本から教えられ、
その一つ一つを最大限に使いこなせるようになるための訓練を受けた。
しかし、使い方の訓練を受けていない箇所がいくつかあった。それは、杏奈の口とアナルとヴァギナであった。
この3カ所は、片桐が、実際に使用するまで、試験的にであっても、使用することは認められなかった。
この3カ所は、片桐のための物であった。
そのほかのサイボーグ体の機能は、みっちりと訓練を受けたため、杏奈は、
10日もするとアストロノーツサイボーグとして、秘書サイボーグとして、全ての機能を何不自由なく
使いこなせるようになっていた。
サイボーグ体の慣熟訓練の大部分は、サイボーグ調整機からの拘束を外されて行われることが多かったため、
サイボーグトレーニングセンターを動く杏奈は、決して自由ではなかった。なぜなら、
杏奈のヘソに接続された太い生命維持用ケーブルは、杏奈のサイボーグ体の維持管理のために外すことが
許されなかったからである。
サイボーグ調整機に拘束されたままの状態で行える限りの慣熟訓練が行われ、
それでは出来ない慣熟訓練は、へその緒を付けたままの胎児のような状態で行われたのであった。
従って杏奈が行動できる範囲は、生命維持用ケーブルの長さの範囲内であり、
常に生命維持用ケーブルを引きずっての行動を杏奈は余儀なくされたのであった。
杏奈は、サイボーグ調整機の拘束から解き放たれても、囚人としての生活をしなければならない立場に
変わりなかったのであった。 
10manplus:2006/04/13(木) 01:13:36 ID:CnbOPvQV0
それでも、杏奈は、谷本の指示通りに自分の身体の機能を完全にマスターしていったのであった。
「水沢さん。あなたは私たちが想定したサイボーグ体の機能の全てを使いこなすことが出来るようになったわね。
水沢さん、合格よ。慣熟訓練を行わなかった水沢さんの身体の数箇所は、片桐社長の伴侶水沢杏奈として、
片桐社長に開発してもらってください。
それと、あなたには、まだ筋肉が生体部分として残っているから、長期着用型宇宙服の中に閉じこめられても、
トレーニングは怠らないでね。」
「ありがとうございます。やっと、片桐社長のパートナーとして、終生お側に居れる資格を持てたと思っています。」
杏奈の機械的になってしまった音声が、谷本の耳に帰ってきた。
彼女は、片桐にとってもっとも理想とするセックスドールになってしまい、もう人間であって人間でない
存在にしてしまったのだという罪悪感が谷本の心の片隅に芽生えた。それをつみ取るかのように、
「それでは、明日、長期着用型宇宙服の着用処置と使用方法の説明を行います。
今日は、サイボーグ調整機で最後の夜を過ごしてください。」
谷本は、そう言って、杏奈をサイボーグ調整機に戻るように指示し、杏奈がサイボーグ調整機に横たわると、
コントロールパネルをいじり、杏奈の身体を拘束した。
杏奈の身体は、その時点で、レストモードに入り、杏奈は、生体部分の休養と機械部分のアイドリング状態に
入っていった。
杏奈は、標準人体でいうところの睡眠状態に入っていった。長期着用型宇宙服を装着してからは、
特に事前のプログラムの変更を本人か杏奈のコントロール権を持つ人間、つまり、当分の間、
片桐と谷本の二人になるのだが、彼らがしない限り、杏奈は、地球時間の7時から25時までの18時間は、
生体部分の覚しゅう状態と機械部分の稼働状態を維持するアクティブモードの状態に置かれ、
1時から7時までの6時間は、生体部分の休息状態と機械部分のアイドリング状態の置かれるレストモードに
自動的に切り替わるようになっている。サイボーグとして、機械的に生活パターンが繰り返されるようになっていた。
人間としてのファジーさを喪失してしまったのであった。
11manplus:2006/04/13(木) 01:21:38 ID:CnbOPvQV0
こんばんは。

久しぶりの投稿です。
新スレを待っていたかの投稿で申し訳ありません。

次回は、杏奈が長期装着型宇宙服に閉じこめられることになります。
今度はなるべく早い時期に投稿します。

ところで、
メタルセクレタリー様。
萌です。
個人的には、A3コースがいいのではと思っていました。
続きが早く読みたいです。
期待しております。
12名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 08:04:56 ID:Dw3CtFd90
manplus様
機械音声はカタカナ喋りの方それらしくてが萌えますよ
13名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 08:36:20 ID:Jbd4wI7i0
>>12
人それぞれだと思う。
俺は普通に馬鹿丁寧口調の方が良い。
14名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 19:14:21 ID:vKbkMANB0
>>pinksaturn様
マサは女装趣味の男性から改造されたらしいですけど台詞によればサイボーグ兵士の半分は元男性なんですね。
改造される男性はどういう風に選んでいるのでしょうか。また、改造された後の精神はどのようになるのでしょうか
15メタルセクレタリー:2006/04/13(木) 21:37:34 ID:0yEk8yAa0
「改造前に行きたい所があるんですが、よろしいですか?」
「はい、改造手術は1ヵ月後ですから、指定の休日にお出かけください」
「わかりました」

 [柏木雪] 名札が掲げられた部屋に入ると、様々な機械に囲まれ、いくつもの管が身体に刺さった少女が目に入る。
「雪、もう少しの我慢だよ。手術と義体を買うお金は出来たから」
 自分のミスで交通事故に巻き込んでしまった妹が半植物状態のまま眠り続けて半年、奇跡的にかすり傷で済んだ晴香は自責の念に囚われていた。
 回復の可能性は十分あるが、手術費用とボロボロになった身体の代用となる義体の購入代金。両親を事故で失い保険金で暮らしていた姉妹には払う事はとてもできない額だった。
 晴香がどうしても必要だったのはこのための金だった。だからこそ自分の身体を売るようなことをしたのだ。
 手術のコーディネーターに前金を払い、義体の手配を終えた今、この身体で会う最後のチャンスだった。
「次に合う時は2人とも機械の体かな? でも、ちゃんと雪の事は分かるよ」
 髪をなでる。この手触りも最後だ。
 晴香は面会時間が終わるまで雪と共にいた。
16メタルセクレタリー:2006/04/13(木) 21:40:14 ID:0yEk8yAa0
 ついにその日が来た。
 患者用の服を着て待機室で待っていた晴香の下に、KAORIさんがやって来た。
「最終確認です。完全機械化体への改造手術を受けますね?」
「はい。お願いします」
「わかりました。こちらへどうぞ」
 促すように開かれた扉から手術室が見える部屋に入る。
 ドラマなどで見たことがある手術台が2つ並んでいた。そのうち一つには銀色の身体が厳重にパッケージングされて置かれていた。
「あれが晴香さんの新しい身体ですよ」
 銀色に輝く身体は明らかな女性のフォルムをとっており、無表情なマスクは毎日見慣れているものだった。
「脳と脊髄を取り出した後、必要な処置をしてあの身体に接続、収納します」
 開いている義体の後頭部を指し説明する。
「そろそろ先生が来るようですね。処理が終われば世界が完全に別物になっているはずです」
 促されてベットで横になる。完全機械化体の女性が部屋に入ってくる。
「晴香さん、それでは改造手術になります。全身麻酔で目が覚めたら機械の体ですよ」
 手早く準備が行われ、麻酔用のマスクを当てられた。
 さようなら。私の身体…
 意識は闇の中に消えた。
17manplus:2006/04/14(金) 01:33:45 ID:W1pI35Zt0
「おはよう。水沢さん。」
谷本の声が杏奈の頭の中に響いた。杏奈がサイボーグになってから、いつものような目覚めだった。
もう、杏奈には耳がないようなものであるが、脳の聴覚神経にダイレクトに外部の人間の声がアクセスすることが
可能な機能が付け加えられたためであった。
杏奈は、自分が生まれてから慣れ親しんだ身体ではなくなっていることに気が付く一日の始まりだった。
杏奈の身体の拘束が解かれた。杏奈がサイボーグ調整機の寝台から起きあがるとそこに谷本が立っていた。
そして、その横には、透明のカプセルが運び込まれていた。
その中には、ラバーキャットスーツのような薄緑色の長期着用型宇宙服がつり下げられているのがわかった。
杏奈は、この宇宙服を人工視覚でとらえ、この中についに入れられるんだと思った。 
実は、長期着用型宇宙服の色に関して、今後、杏奈が生涯脱ぐことを許されないで、
杏奈の皮膚の一部のように一生付き合っていかなければならない服なのだから、せめて、
自分の好きな色にして欲しいと懇願したのであった。そして、その杏奈の願いを片桐と谷本は理解して、
想いに答えたのであった。だから、杏奈は、長期着用型宇宙服の出来上がりを見て、満足していたのだった。
しかし、今の杏奈には、表情を作ることは出来ない身体になってしまったので、谷本には、
杏奈が喜んでいるのかそうでないのかがわからなかった。
「希望通りの色の長期着用型宇宙服で安心しました。うれしいです。」
あんなの機械的な声が、谷本の耳に入った。
「よかったわ。気に入ってくれたようね。安心したわ。」
谷本は、そう言いながら、長期着用型宇宙服を透明のカプセルから取り出し、
「水沢さん、これから長期着用型宇宙服の着用処置を開始します。」
谷本は、杏奈の傍らに長期着用型宇宙服を持って近づくと、杏奈のへそのコネクターに
接続されているケーブルを抜いた。杏奈は久しぶりに、何もつながっていない状態の裸体で立っていた。
18manplus:2006/04/14(金) 01:35:11 ID:W1pI35Zt0
杏奈は、長期着用型宇宙服に閉じこめられてしまう悲しみより、サイボーグに改造されてから、今まで、
着衣を着ることを許されていなかったので、長期着用型宇宙服とはいえ、着衣を着用出来ることのうれしさの方が
勝っていたのだった。
谷本がアシスタントに指示を出し、杏奈の身体をラバーシャイン液のついた洗浄クロスで、
まんべんなく拭き清めていった。
杏奈の身体は見る見るうちに艶やかな輝きを増していった。杏奈は、自分の光沢のある身体にうっとりしていた。
自分が人形になったことに満足している自分の姿がそこにあった。 
谷本は、そんな杏奈の身体に、長期着用型宇宙服をスムースに着せられるように、
杏奈の全身に潤滑クリームワックスを薄くまんべんなくのばして塗っていった。
次ぎに谷本は、長期着用型宇宙服に杏奈の身体を脚から滑り込ませるように着せていった。
この長期着用型宇宙服は、杏奈の顎までをつま先から、指の先までも含めて完全に包み込んでいった。
杏奈は、まさに、ラバー製の全身キャットスーツを着せられたようになった。
身体の線が忠実に長期着用型宇宙服で再現された。
谷本は、宇宙服の背中にあるコネクタージョイントを杏奈の背中に作られた4つのコネクターと丁寧に
重ねてつなぎ合わせていった。杏奈の背中のコネクターバルブは、長期着用型宇宙服のバックパックに接続し、
循環液の供給排出、汚れた循環液の排出、杏奈の機械や電子機器部分の動力の供給、
杏奈の体内に発声した熱の排出、杏奈の体内のコンピューターと、バックパックのコンピューターの
接続といった杏奈の本体と長期着用型宇宙服のバックパックを接続し、長期着用型宇宙服のバックパックを
杏奈の身体の一部とするためのものであった。
長期着用型宇宙服の首の回りの肩の部分には、長期着用型宇宙服の付属のヘルメットを
固定するガイドレールとヘルメット内の電子機器や機械類とバックパックをつなぐためのコネクターが
首の後についていて、そこから、バックパックと接続できるようになっていた。
完全に杏奈の身体に長期着用型宇宙服が、フィットしたのを確認して、谷本は、杏奈の長期着用型宇宙服の
背中のジッパーを引き上げた。
19manplus:2006/04/14(金) 01:37:51 ID:W1pI35Zt0
完全にジッパーを引き上げるとパチンという音がして、ジッパーのロックが完了した。
これによって、杏奈の着させられた長期着用型宇宙服は、片桐か片桐の許可を受けた状態の
谷本にしか脱がせることが不可能になったのであった。
「どう?長期着用型宇宙服の着心地は?」
「何か、見た目より厚い感じですね。それに外部からの感触が全く感じられないですね。」
杏奈の抑揚のないロボットのような声が響く。
「水沢さん、その着心地、気が付いたようね。普通の長期着用型宇宙服は、着用しているアストロノーツを、
外部環境から隔絶し、宇宙服内の温度を適温に保ったり、過酷な環境から守ると共に、
着用者の外部からの感覚を維持するために、メタルラバー樹脂にセラミックチタンが編み込まれた特殊な生地で
薄く仕上げられているんだけれど、水沢さんの長期着用型宇宙服は、通常の素材の下に、ラバーウレタンと
発泡セラミックの複合素材により、刺激を完全吸収できるようになっているの。
それに、メタルラバー樹脂とセラミックチタンの素材も、通常の長期着用型宇宙服の3倍の厚さで、
外部からの刺激や衝撃を完全にシャットアウトしてあるの。
つまり、宇宙服の形をした全身貞操帯になっているの。社長は、水沢さんが他の人に触られても、
絶対にその刺激に対し、水沢さんに感じることのないようなもので、水沢さんの身体を包み込んで、
水沢さんを守ることと、社長以外が触れられないようにすることを可能にするように、
長期着用型宇宙服を改造した上で、水沢さんの身体を包むように指示を出していかれたのよ。
だから、この宇宙服を着ている間は、外からの刺激は何も感じることが出来ないようになっているの。
ものを持っても、ものを持っている感覚もないはずよ。さあ、次は、ヘルメットを付けましょうね。」
谷本はそう言って、長期着用型宇宙服専用でしかも、杏奈の頭部にピッタリ合わせて作られた宇宙ヘルメットを
保存カプセルから取り出す作業にかかっていた。
杏奈は自分の身体の首から下が、外部感覚から、完全に遮断されたのを感じていた。
20manplus:2006/04/14(金) 01:49:19 ID:W1pI35Zt0
いくら作り物の身体になったとはいえ、杏奈の身体は、生身の時と同じように風の感触や物を触った感触、
人とふれあったりする感触は、正確に再現され、感覚として、杏奈の脳に伝わっていた。
もちろん、その感覚も、片桐の持つコントローラーによる制御が可能になってはいるのだが、それでも、
感覚を失わせることはないだろうと思えた。
しかし、この宇宙服の中にいると宇宙服の内側が触れる感覚はあるのだが、それ以外の感触は全て無かった。
谷本が介助するために触ったり、服の表面を試しに押したのだが、そう言った感触や圧迫感のような感覚は一切、
杏奈に伝わることはなかった。
杏奈は視覚から入る情報と体感する情報の相違に戸惑いを感じながらも、
今の自分の状況の可笑しさを感じていた。
 そんな、杏奈の元に、谷本がヘルメットのセットを持ってきた。
まず、谷本は、杏奈の髪の毛を丁寧に束ねて、ラバー製の薄い緑色のヘアキャップを頭に被せた。
丁度、コントなどで使用するハゲヅラの様なもので、杏奈の頭部はスキンヘッドのような状態になった。
通常の長期着用型宇宙服を着用するアストロノーツは、サイボーグアストロノーツへの処置の際に、頭髪から、
全ての体毛を永久で完全に除去したままのため、未着用時に自分の気で作成したカツラやつけまつげ、
付け眉毛を着用して、通常社会に置いても違和感がないようにするのであるが、杏奈の場合は、
片桐のセックスドールなので、人工毛髪を人工皮膚の上から、人工毛根を使用して、植毛しているために、
キャップが必要になるのである。ちなみに、通常の長期着用型宇宙服を着用するアストロノーツは、
爪も手脚から除去されているのである。何故なら、長期着用型宇宙服の指先は、
爪の機能を果たすようにかたくなっているから、宇宙服を傷つけるような爪の存在は、不要なものであった。
脚の爪に関しても、宇宙服を傷つけるという意味で除去されていて、宇宙服の上に装着する特殊なブーツで、
爪が無くても平気なような工夫がされているのであった。
21manplus:2006/04/14(金) 01:50:00 ID:W1pI35Zt0
こちらに関しては、杏奈は、人形に近い存在なので、爪の除去後に、人形の手や足のように、
爪の形に人工皮膚が窪んで、色がつけられていた。
 谷本は、杏奈のキャップの上から、インナーヘルメットを取りつけていった。
杏奈に取りつけられるインナーヘルメットは、視覚保護のためのゴーグルが一体になっていて、
顔の目から上の頭部と頭の後がカバーされていた。そして、耳のコネクターと人工視覚関係と
人工聴覚関係のヘルメットの装置と接続するアダプターが取りつけられていて、インナーヘルメットを
装着されると自動的に、耳のコネクターにアダプターが接続されるようになっていた。
そして、バックパックとの接続用のコードが伸びている。
このコードをアウターヘルメットに接続するようになっていた。杏奈は、一時的に視覚と聴覚を失った。
次ぎに杏奈は、口にマウスピースを噛まされた。
マウスピースは、デリケートな口の中を保護するためのものであり、杏奈の性器と化した口にとっては
傷つかないようにするために特に必要であった。
ただし、杏奈にとって、マウスピースを挿入される時に、性的刺激を感じてしまうのであった。
しかし、性欲制御コンピューターの働きにより、性的刺激をすぐに感じることはなくなってしまった。
そして、顎から下の首の部分を固定するためのコルセットがはめられた。硬質樹脂製のコルセットによって、
首を動かすことが出来なくなるだけでなく、口を開けることも出来なくなってしまった。
このコルセットは、地球からの打ち上げの時などに受けるGからの首の保護の目的があった。
そして、最後にアウターヘルメットを谷本は杏奈の頭部に被せた。
まず、インナーヘルメットから伸びているコードをヘルメット内部のコネクターに接続し、
頭部の前と後に開閉できる仕掛けになっているアウターヘルメットの後部を後頭部に押しつけて、
長期着用型宇宙服の方に付いているアウターヘルメット固定用レールに取りつけて後半分を固定し、
その上で、前側を蓋をするように後側と合わせた。
22manplus:2006/04/14(金) 01:50:38 ID:W1pI35Zt0
そして、肩ののガイドレールと接続固定し、ヘルメットのつなぎ目をロックしていった。アウターヘルメットは、
顔やインナーヘルメット、首との隙間を緩衝素材で完全に埋めていて、インナーヘルメットのゴーグル部分には、
透明な接合素材により、総合的な視力が確保できるようになっていた。
杏奈の視界は、首を稼働しなくても、360°の視野を確保できると共に、杏奈に必要な情報が
全てディスプレイされるようになっていた。
そして、耳の外側の部分に外部集音マイクが設置されていた。
杏奈とアウターヘルメットは、インナーヘルメットの仲介を受けて視覚と聴覚が連結される形になったのであった。
しかし、現時点では、杏奈は何も見えないし、聞こえないのであった。というのは、アウターヘルメットの動力は、
バックパックから供給されるため、バックパックを取りつけて、駆動開始するまでは、
視覚聴覚も失った状態になっているのであった。
杏奈にとって、長期着用型宇宙服の着脱時で一番不安を覚える十数分間であった。
インナーヘルメットは、完全に杏奈の頭部とフィットするように出来ていて、隙間がないし、
アウターヘルメットの緩衝材は、杏奈の頭部から首にかけて隙間無く覆われているため、杏奈は完全に
長期着用型宇宙服に覆われてしまった状態になった。
谷本が、ヘルメットをたたいても、音はするが、その衝撃は、杏奈に伝わることはなかった。
アウターヘルメットも、長期着用型宇宙服と同様、特殊ロックにより、片桐か谷本以外には、開けることが
不可能になったのであった。 
 谷本は、手早く、ケースから取り出して、用意しておいた長期着用型宇宙服専用バックパックを杏奈の背中と
首にあるコネクターと接続するようにして、背中のバックパック固定レールに固定し、ロックしていった。
バックパックは、杏奈の背中にロックされると同時に、作動を開始し、杏奈の身体に電力や循環液を供給し始め、
杏奈の身体から、老廃物を除去し始めた。
そして、ヘルメットにも動力を供給し始め、杏奈の視覚と聴覚は元に戻ったのであった。
23manplus:2006/04/14(金) 01:58:00 ID:W1pI35Zt0
  長期着用型宇宙服のバックパックは、杏奈の体内で消費された循環液のリフレッシュを行い、
杏奈の身体に再供給する機能、杏奈の身体やアウターヘルメットが必要とする動力の供給が行われた。
杏奈の身体の廃棄物タンクに貯められた循環液や精液、老廃物は、バックパックで再処理されてフレッシュな
循環液に変換されるようになっていた。
杏奈の体内のコンピューターや生体脳と協調して機能する高速処理コンピューターもバックパックに装備され、
秘書用サイボーグとしての杏奈の活動を助けるため、外部のシステムとのLAN接続が出来るようになっているし、
杏奈の体内に保存された記録データーを保存する予備ハードディスクになっていると共に、
それらのデーターを外部メインコンピューターの記憶分野にデジタル回線やLAN回線で送ると共に、
外部データーを取り込むことが可能になっていた。そのコネクターは、杏奈の腹部に取り付けられた
フロントパックを開くと、コネクターがあって、そこで、杏奈が自分自身で有線LANに着いては、
接続できるようになっていた。このフロントパックには、循環液の再生使用の限界時間である3600時間に一度、
循環液の交換やバックパックの電気エネルギー供給装置の補助燃料交換のためのチューブを
接続するコネクターが設置されていた。
杏奈が僅かに自分自身で出来る生命維持や仕事のための準備のための作業用につくられた物であった。
 バックパックには、杏奈の会話手段であるコミュニケーションシステムのメインシステムや杏奈の体内の熱を
処理するシステム、宇宙空間での自由な作業を行うためのイオン推進システムが内蔵されていた。
このバックパックは、流線型をしていて、これらの機能を全て内蔵しているにしては、コンパクトに
設計されてはいたが、かなりの重量があったため、杏奈は、バックパックとフロントパックを取り付けられたときに
よろけそうになった。
しかし、身体の関節の動作補助モーターの働きにより、倒れることもなかったし、
すぐにその重量にも慣れてしまった。フロントパックとバックパックの間をベルトとチューブが結ばれていて、
これらの付属品を固定するための物になっていた。
24pinksaturn:2006/04/14(金) 02:05:08 ID:wkjmul320
>>14
 まず前提条件ですが、
1.サイボーグのメンタルヘルス問題を克服するには女性器への刺激が必要。
(他の方の作品でも時折使われていますように、まあ本スレのお約束でしょう。)
2.自然出産を行うシビリアンをランダムに使ったのでは、性能が悪いサイボーグが多くなる。
改造コストに見合う成果を上げるため、義務教育中の継続評価により素体候補を選別する。
3.小国で、サイボーグを量産すれば、素体適性のある女子が枯渇し、シビリアンの男女比が崩れる。
という制約があります。
 そこで、解決策ですが、
1.義務教育中の行動評価(休み時間にままごと、読書の傾向など)で性転換リスクの低い男児を加点し、徴兵数を確保。
2.徴兵直後に性転換手術を行い、最短で5年程度の素体養成訓練中に完全に女性化させる。
3.女性化が不十分な元男児は、落第させて使えるようになるまで再訓練してから改造。
という方法を採っています。
 訓練の詳細もいずれ描きたいのですが、女性化と軍隊らしいしごきの両立に悩んでいるところです。
元からの女性だけだと、ひたすら苛めればよいのでやりやすいのですが。
 なお、皇族や貴族はすべて両親がサイボーグで、出生は摘出された生殖組織を用い、バンクで人工管理されます。
さらに着床前の染色体検査による選別が行われ、素体になれない個体は発生しないことになっています。
出生後も皇室・公家という大家族制の中で落ちこぼれが出ないよう慎重に育成されます。
シビリアンの出生を人工管理に移行しない理由は遺伝子の多様性を残すためです。
25manplus:2006/04/14(金) 02:05:15 ID:W1pI35Zt0
 次に、谷本が、杏奈に取り付けたのは、硬質樹脂とセラミックの複合体で形成された膝丈の
長期着用型宇宙服専用ブーツであった。このブーツは、着用者である杏奈の足元の保護を目的にしていると共に、
どんな足下の状況にも対応して、最適な力を地面に加えられる装置が付いている靴底によって、
杏奈の作業をサポートするようになっていた。無重量の宇宙空間や宇宙船内の作業のために特殊な吸盤も
靴底に取り付けられていたのである。 
また、杏奈の両手には、柔軟性を持つ樹脂とセラミックの複合素材で出来た肘まであるグローブがはめられた。
このグローブは、爪のない長期着用型宇宙服の装着者にとって、標準人体の手先と同じように爪と
同様の役割をする機能やどの様な物質も落とすことなく持つことが出来るような吸着盤が付いているのであった。
このブーツとグローブも、杏奈に取り付けられた物は、ロックが付いていて、片桐か、
片桐の許可を受けた状態の谷本以外脱がせないようなロックがかかっていた。
ブーツとグローブはきれいな白色をしていて、長期着用型宇宙服の薄いグリーンと調和の取れたデザインになっていた。
 杏奈は、この時、全身を包み込む宇宙服という密閉性の高い全身貞操帯の中に閉じこめられたのであった。
今後は、ほぼ全ての時間をこの全身貞操帯としての長期着用型宇宙服の中で過ごし、片桐が望む時のみ、
宇宙服を脱がされて、セックスドールとしての裸体を片桐のためにだけさらすという人生が始まったのであった。
26manplus:2006/04/14(金) 02:05:52 ID:W1pI35Zt0
 もう、片桐に捨てられたとしても、生涯、この長期着用型宇宙服を着用し続けないと行けない運命なのであった。
片桐に捨てられた時は、長期着用型宇宙服を脱ぐことは完全になくなるはずであった。
 杏奈は、谷本に、
「ありがとうございます。素晴らしい宇宙服にはいることが出来て幸せです。」
そう言った。
そして、その声は、長期着用型宇宙服の音声発声用スピーカーからの発声であり、その声は、
杏奈の生まれながらの声に合成されたもので、人間としての杏奈の声らしいものになっていた。
宇宙服を着ている時の声は、秘書として、広告塔としての活動のために、人形としての声ではなく、
人間としての杏奈の声に戻されることになっているのであった。
コミュニケーションシステムを使用しての無線から聞こえる声も、杏奈の本来の人間らしい声で
話せるようになっていた。
 谷本は、何故か杏奈の本来の声と抑揚を聴けて、ホッとした気分であった。
しかし、片桐の所有物としての宇宙服を脱いだ杏奈は、人形らしい合成音と抑揚のない声になっているのは、
何とも言えないことだと思った。
 杏奈は、この後、10日間、宇宙服を着せられた身体になれるための訓練を施されることになったのであった。
27manplus:2006/04/14(金) 02:16:21 ID:W1pI35Zt0
今日はここまでです。
次回は、杏奈がサイボーグとして初出社することになります。

>>12
カタカナで表現しろということその通りと思います。
しかし、あえて、普通の表記にしたのは、カタカナにすることによる、
画一的なイメージより、読み手がいろいろなイメージを抱いてもらえるように、
普通の表記にしました。
それに、書いている私が、これから、杏奈の話し言葉がいろいろな形で
たくさん出てくるので、書き手が混乱してしまうので、あえてこのような
表記にしています。
悪しからず。


pinksaturn様
メタルセクレタリー様

これからどの様な展開になるのか楽しみにしております。


3の444様

ヤギーと宇宙開発サイボーグや軍事サイボーグとの対面の
物語早く書いてください。八木橋ワールドでのそのような物語、
早く読めると好いなと、毎回心待ちにしております。
我が儘なリクエストです。気に障ったら平にご容赦です。
でも、愛読者としてのリクエストです。
28pinksaturn:2006/04/15(土) 01:22:26 ID:dJRuc2rg0
(オプションパーツの続き、投下開始します。)

−−(6)メンテナンスセンタ−−

***マサの換装***

第一換装室担当技術兵:「えっとマサ一等兵だったわね、
念のため回ってきた予約オプションリストの内容再確認して、良かったら電子サインしてね。
定期の分は、こちらで一方的に決裁できるからいいわよ。」

マサ:「ううっ、航行中暇で次々思いつくからまた買いすぎた。
マンドクセ。えーいもう合計ポイントだけ見とけばいいか。とと、ん、100ポイント少ないんじゃ。
ねえ、微妙に違うんだけど、品数は一致してるのに。」

担当:「ちょっと待ってね。発注伝票確認...ああ、そうか、新型の足で軽微なリコールが来てたんだ。
それでね、腰部の外装が若干仕様変更になったの。必要ポイントはチョイダウンですから、これで承認して。」

マサ:「そ、まあいいか。ホイ承認っと。」
29pinksaturn:2006/04/15(土) 01:24:48 ID:dJRuc2rg0
担当:「ども。じゃ最初は足の取り外しからなんで作業台に乗って。」

マサ:「へいへい、はりつけ獄門申しつけられるっと」

担当:「股の外装接合部切り開くわよ。刃先がずれるといけないから一応痛覚止めて...さくっとな。はい、OK。」

マサ:「ギィィヤァアアア、いてえよお、なんちゃって」

担当:「(軽い香具師だな、いちいち相手してたら残業だわ)..
ええ、モニター取るから膣ポート起動して、ズコっと、入った。リンクよし。」

マサ:「あひっ、とはいかんなあ、アストロ外装は。この鈍さからもしばらく解放されるって訳だが。」

担当:「中間バッテリー残量は約3時間、うんほぼ満タンね。じゃ、プルトニウム電池閉めて。
落ちたな。股関節磁気ロック解除して。推進剤タンクの上向コックも閉めてね。配管抜きますよ。」

マサ:「いよいよ、足無しだあ。ひゅーどろどろ。幽霊だぞ−−。」

担当:「スポっとな、バレエ足の回収はよしっと。貸与危険部品返納証明書発行するから確認して。
次、腕は現状特装無しの定期交換ね。じゃ、一旦回収するからね。痛覚止めてる?..
さく−−っと、はい、右肩関節磁気ロック解除お願いね、スポッと、次、左..よし。はい、腕の返納証明。」

マサ:「だるまさんが転んだ...だるまじゃー皆のもの拝め拝め−−」
30pinksaturn:2006/04/15(土) 01:26:57 ID:dJRuc2rg0
担当:「頭部と胴の外装除去にかかりますよ。作業台起こして理容に移動するわね。」

マサ:「毎度ながらこの先がいやなのよね−。新兵改造のときのトラウマが...なんで鏡なんか置くかな。」

担当:「バリカン入りまーす。ジョリ−ッとな。マルコメマルコメるんるんるん...よし片づけて台戻して..ん?」

マサ:「いやああぁぁぁっ。ひいいいい。あああ、私の髪があああ−−−。ひくひくひく。」

担当:「何を大げさな!。小一時間で注文通りの髪になるでしょ。」

マサ:「ううう。だってえ、ダルマ状態で坊主にされると新兵改造の時のときのショックが蘇るの。髪は女の命でしょ。」

担当:「はいはい。せいぜい急いで仕上げますから。あんまり騒ぐとダルマ坊主状態が長引くだけよ。
そもそも、そんなに嫌なら植毛替えパスしときゃいいのに、たいして痛んでなかったんだから。」

マサ:「耐放射の髪って、太いし色もいかにも人工なんだもん。ルーズソックスと似合わないったらありゃしない。」

担当:「へええ。そういう趣味ね。それでご注文がハイスクールブラウンロングねえ。うん、良い、性格に合ってるわ。
さてと、股間スリットから順に外皮切るわよ。痛覚落ちてる?。ジャキジャキ、よーし切れた、ベリっとはぎ取って。
腰から胸までご開帳!。はい、後ろ剥がすからちょっと持ち上げます。よいしょ、ベリっと。」

マサ:「ふう。まだ機構姿の方がましだわ。」
31pinksaturn:2006/04/15(土) 01:33:04 ID:dJRuc2rg0
担当:「顔と頭やるから、表情ロックお願い、しゃべっちゃダメよ。言いたいことがあったら、ワイヤレスでね。」

マサ:「...」

担当:「二次生命維持の原廃液はっと、ん半分切ってるわね。梱包前から二次にしてたのね。
大気圏突入手順は真面目に守ってるんだ。(性格に似合わず体扱いは優秀だな、評価報告良くなりそう...)、
消化器組む間は一次停めるから補給しないと。廃液抜くから左乳首バルブ開けて。
はーい、搾乳でーす。次、原液注すから左閉じて右開けて。注乳でーす。OK、乳首閉じて。」

マサ:「...(やってるよ。はあはあ、痛覚だけ止めてもこっちは感じるのよねー。気持ちいい。)」

担当:「推進剤・酸素分離器降ろすから維持装置二次に切り替えて、一次は止めて。いい?。OK。
配管上二本、左右足方向各二本、よし引き抜き完了っと。よいしょ、よーし本体抜けた。
次、ジャイロスタビライザー止めて。割りピン抜いて、トルクレンチっと、よいしょ回った。
ええ、次は。ん、一次本体は換気系更新・養分系更新、で造血系が自己組織で満6年だから一巡目の三番、
素体番号が2700001だから現用の表示が2700001−02で次期が同03か。
ん納品書よし、DNAチェックサムも一致と。よし血流ソケットロック、ナットは、うん素直に回ったな。
レリーズレバ−、はい取れた。で03をセットと。締め込み良好でソケットオープン。下部酸素吸気口は閉塞。
気泡無しと。はい、一次再起動して。立ち上がったら空気呼吸だけ開始して頂戴。出来た?。
居眠りしちゃダメよ?。深呼吸よ、深呼吸!。」

マサ:「...(あ、つい気持ちよくて、一次入れるよ。)ス−、ハ−」
32pinksaturn:2006/04/15(土) 01:35:43 ID:dJRuc2rg0
担当:「通電来たな。心臓ロータリ−のモニタは、うんOK。じゃ、消化つなぐからもう一度一次止めてね。
で、消化ユニットは、まず納品書のユニット番号が2700001−03、ん、二度目の帰還だから順当ね。
DNAチェックサムは、これも一致と。一次の中間液キャップ外して、よいしょ、がちゃんこっと。
中間液注入、でエア抜き、とんとん、よし。で残滓管さして、アルコールメーカー設置。各部増し締めチェックもよしね。
一応腹のほう組みあがったんで一次再起動して。立ち上がったら二次は止めて良いわ。
じゃ、消化チェックのため口使うから、先に顔張るわね。
あ、待って、地上じゃあんまり使わないけど、一応一次のタブレットチェンジャー動作も見なくちゃね。
腹張ってないと、臍からのチュ−ブ無いから、ディスペンサーいれ辛いなあ。ん、チャリーンと。OK。
じゃ、顔。えと、まずは構成確認ね。顔面運動は標準現状のまま、ほお、この性格にしては凝らないな。」

マサ「...(けっ、爆笑強化型良いんだけど、ちょい色黒になるのがいまいちなの。もっと選択肢増やせよ。)」

担当:「何か?気のせいか。で、鼻が現状高感度の麻薬対応で耐用切れ同型交換、私費で更新ねえ、何する気だ。」

マサ:「...(特区で売人狩りよ。援交で吸い上げといて、飽きたらチクって賞金に化けて死んでもらうの。
これで、一石二鳥のぼろ儲け。けけけけ。あいつら、バカだよね。特区は裁判早いから捕まって3日で処刑なのに。
”禁忌無き先進技術と健全なる風俗産業の自由都市”万々歳だわ。)」

担当:「歯は標準の虫歯不要で変わらず。舌が、ん、フェラチオ強化じゃなくて蛇で標準から置き換えか、意外だわ。」

マサ:「...(風俗営業税もったいないじゃん。援交は売春じゃないから非課税だもんね、ひひひ。)」
33pinksaturn:2006/04/15(土) 01:39:14 ID:dJRuc2rg0
担当:「外装はぷるぷるかあ。ま、コギャル系には定番ね。ガングロはちょっとどぎついから最近出なくなったなぁ。
じゃ、鼻抜くわね。レリーズよろしく。ひょいっと。ではい新品。ロックどうぞー。デバイス認識出来た?。良いようね。
次、舌抜きます。ひょいぱくっと。蛇一丁上がり。テストは外装張るまで待ってね。
んで、外装っと。接着スポット位置決めよし。加熱器降ろすわよ、1,2,3はい終わり。表情回復して良いわよ。
あ、まだ周囲がつながってないから大きく笑っちゃダメよ。」

マサ:「れろれろ、あっかんべー、おお、動いた動いた。」

担当:「先走るなって。蛇だから握力チェックよ。舌思い切りのばして、これ掴んで。はい、力一杯握る。」

マサ:「ベー、レロんんんんレロ」

担当:「ん、20.5Kgよし。次、鼻。4枚の試験紙を順に出すから臭い当てて。」

マサ:「マリファナ。コカイン。阿片。覚醒剤。」

担当:「良いようね。じゃ消化試験するんで上体起こすね。はい、腕無いから乾杯は代わりにします。地上帰還おめ!。
有名品じゃないけどアルマニャックよ。そーっとそーっと、ほい、一気ー。」

マサ:「ごっくん。うおー。3年ぶりの酒は利くぜー、んな訳無いか。」

担当:「1,2,3,4,5,んアルコールセパレータ出力OK。肝機能モニター感度ゼロ。異常なしね。」

マサ:「ウマー。おかわり−。」

担当:「アルコールのテストは済んだんで、糖分ね。コーラで良いわね。」

マサ:「...(ケチったな、まあこんな姿で欲張ってモナ−。)ああ。」
34pinksaturn:2006/04/15(土) 01:42:46 ID:dJRuc2rg0
担当:「コーラ行きます。はいごっくん。ん、どれ血糖は安定。で、廃液は来てるな。残滓粉砕は回るようね。
腹の機構はOKね。じゃ、外装上から順に張りまーす。えー、頭皮内装は標準で外装がブルー01か。
茶髪だと地肌がブルーの方が若く見えるかな。スポッと。はい、顔の境界溶着、ついーっと。よし。
次、耳ね。通常でピアスは両側1穴と。右から付けます。溶着剤よし、ぺたっ。30秒ほど動かないでよ。
次、左耳。よし。胸は、タンクが標準で、外装もFね。当てといて胴一気に溶着するから動かないでね。
前からくるっと。で、腹も標準。回して仮止め。腰行くので寝かします。台少し上げるよ。はいパンパースっと。」

マサ:「...(ださいっ。ブルマと言えよブルマ)」

担当:「穴の位置合わせるよ。胴の感覚全部通常にして。良い?、ホイ浣腸!。後ろ咬合した?。」

マサ:「ふぎゃっ。あ、入ったよ。」

担当:「よし、じゃ膣いくよ。ズコっと。どう?。」

マサ:「ふみっ。良い−!。アストロとはじぇんじぇんちがうぅぅ。は、入った。」

担当:「よし、なら、尿道。ちょんちょん、つつーーっと、ん、手応えありだな。OK?。」

マサ:「ひゃっ。う、う、う、キターー。い、良いです。」

担当:「3穴咬合と感覚シートの当たりは問題なしっと。じゃ臍と乳首ね。細穴冶具でそーっと、どう?。」

マサ:「くっ、くすぐったいな。あ、合ってる。」

担当:「じゃ、固定して継ぎ目溶着するね。じゅるじゅるじゅる−−−じゅるじゅるーー−最後首ー−っと。
はい30秒動かない!。で、判ってるだろうけど一応、地上仕様になったときの注意ね。
尿路は廃油に加えてアルコールメーカーの廃液が出るから、廃液の警告が来たら早めにトイレに行くこと。
放出はアストロ同様クリトリスを深くクリックね。間隔は廃油と違い飲食次第で不定期になります。
膣と肛門からの補給は無くなるので間違って、真空潤滑剤や推進剤は入れないでね。」
35pinksaturn:2006/04/15(土) 01:46:15 ID:dJRuc2rg0
マサ:「精液は入っても洗えば良いんだよね。」

担当:「あんまりこびりつかないうちにね。じゃ、次、腕と足のドッキングやるよ。えと、腕外装は標準の長爪形ね。
最近、非サイボーグで手足に異型外装を使うのが一般化したので、外国にも全面的に隠す必要が無くなってます。
それで、手足に限っては異型外装の特区持ち込み規制が緩和されたけど、このままやっていい?。」

マサ:「ああ、メタロリね。かわいいと思うけど、援交で退かれることあるからパス。腕無しとかジャイロ残してないときついし。」

担当:「あ、そう。まず右腕入れるよ。はい磁気ロックかけて。次、左。磁気ロックお願い。デバイス認識は良い?。
じゃ、継ぎ目溶着します。30秒したらゆっくり腕を動かしてみてね。
では、右足入れます。合ってると思うけど、磁気ロックしてみて。で、燃料管接続、よし。
では、左も、はいOK。腕は動くわね?。じゃ、そのコップのアルコール飲んで。3分後に燃料電池起動してみて。」

マサ:「ブランデーくれない?。」

担当:「起動遅くなるから、最初はそれ飲んでおいて(...高いんだよ。自分でバー逝けよ...)。」

マサ:「あそ。ごくごくごく。マズー(ケチめっ!どうせ官費じゃん)。...ん、ん、キタキタ。起動良いみたい。」

担当:「じゃ、継ぎ目溶着するわ。よしよし、これで継ぎ目終了。1分したら歩けるから植毛機に移動してね。」

マサ:「ん、よいしょ。あ、ジャイロ無いと、やっぱ微妙に揺れるな。」

担当:「いきなりピンヒールとかはこける鴨ね。降下時に着てきたゴスロリ持ち帰るなら厚底ブロックが良いんじゃない?」

マサ:「そうしとくわ。早く植毛初めてよ。」

担当:「首固定するわね。ロックよし、装填確認、ハイスクールブラウンロング人工。ミシンスタート。...順調順調...
ほい出来た。終わったわよ。あっちで鏡見て仕上がり確認してくれる?。」

マサ:「ああ、やっぱこうじゃないと。坊主はいやじゃー。ん、ちょっとぉ、下は?。陰毛陰毛!。」
36pinksaturn:2006/04/15(土) 01:50:14 ID:dJRuc2rg0
担当:「あ、それ?、最初に承認して貰ったとおり100ポイント減ってなってたでしょ。理由言い忘れたかな?。
足の燃料電池の件。あのね、今度のやつ換気プレートが足の付け根めいっぱいまで拡大されたでしょ。
それで高出力H型だと、全セル起動時に湿って陰毛が黴びる問題が起きています。
このため、マイナーリコール状が来ていて、当面の対策として腰部外装はパイパン型に制限されます。
ところが、標準型セクサボーグ外装はパイパン用下地のが在庫が切れていました。
よって今回は、もともとパイパン専用の上位互換機種であるハイパーセクサボーグ外装を使いました。
上位機種でもこちらの都合なので、差額ポイントはいりません。
また、風俗営業税の免除手続きも済んでいます。こちらが、風俗営業税納付証明書です。
原本は体内CPUに送付した電子版ですが、特区で外国人にも確認できるよう紙の証明書も憑きます。
それから、パンティが足の付け根にかかると、換気不良による出力低下のおそれがあります。
したがって、パンティははかないか、はくなら指定された適合品を使用して下さい。」

マサ:「パニエはダメかなあ。ふむふむ。なになに風俗営業税納付済み証明書、税額P0、なるほど。
まあいいわ、得したようだし。せっかく納税済みになったから、堂々と売春でもしようかな。」

担当:「それでね、パンティなんだけどリコール状と一緒に適合品の見本が3枚憑いていました。
ご迷惑をかけますが、今日のところは、この見本を持ち帰ってお使い下さいとのことです。
カタログ(http://pinksaturn.fc2web.com/buhinhyou.htm)の用品に追加されたので、補充は自費調達して下さい。
この他に、制限事項はありません。現在、特区持ち込み禁止のパーツは憑いていません。
休暇中は繁華街を存分にお楽しみ下さい。以上、毎度お疲れさまでしたー。
服を着てお帰り下さい。ゴスロリのパニエは処分しておくので早速それ使ってね。」

マサ:「これって、伝説のいわゆる... pinksaturn ...」

(一人換装するだけでも、大変な工数になりました。次はリエの番だけど、どうなることやら。)
37pinksaturn:2006/04/15(土) 02:10:32 ID:dJRuc2rg0
***リエの換装***

換装担当技術兵:「貴女1等兵だから教官転任じゃないわよね。頭蓋の損傷?。まいっか、指示書はこれね。
えええっ、私用で全身スケルトン!これ高いのよ。色々と不便だし。まあ、何にポイント使おうと自由だけど。
非常に特殊な構成なので、わざわざ予約したのだから、知ってるかも知れないけど、一応、
スケルトンタイプのボディについては特別な制約があるので説明のうえ重要事項説明受領書を貰っています。
では、重要事項説明に入ります。いいですね?。」

リエ:「ドゾ−。」

技術兵:「はじめに。スケルトン系パーツは、素体養成所における実地教育の効率化を目的とし、
同所教官がユーザーとなることを前提に設計されており、一般生活には多くの制約があります。
 移動の規制。脳見せ構造など自明に全身サイボーグ技術を認識させる外観を有するため、
勅令の特定技術開示規制令によって厳重に規制され、違反者は人権削除刑に処されます。
海外は無論、外国人と接する経済特区、その他指定地域への持ち込みは禁じられます。
但し、腕及び足のみのスケルトンパーツは、今年度から経済特区に持ち込むことができます。
頭と胴のスケルトンパーツは、コスメチックジャケットを着けても経済特区に持ち込めません。
本パーツ装着者は、緊急時に備えコスメチックジャケット所持が義務づけられます。
特区境界から4Km以内の緩衝地帯では、かつらとコスメチックジャケット着用が義務づけられます。
宇宙へ移動は、耐放射型人工ダイヤモンド膜被覆頭皮、胸部耐放射表皮装着となります。
このとき、胸部についてはメタリック外観となり、透明性が失われます。
 頭髪の制限:頭部は硬質外皮となり、植毛が一切不可能となります。
表面が平滑なため、かつら着用も不安定で、習熟を要します。
 強度:耐弾型ですが、擦り傷がつきやすく部分補修が出来ない点で、一般外装に劣ります。
 防水性:接合箇所が溶着出来ないため、水中使用は極力忌避すべきです。
やむを得ず海中に入ったときは、専用洗浄剤を満たした水槽にて洗浄を要します。
 下取り:高価格品ですが、傷が付きやすいため、私費購入品の下取りは不可能です。
以上です。不明な点はありますか?。無ければ電子サインをお願いします。」
38pinksaturn:2006/04/15(土) 02:20:14 ID:dJRuc2rg0
リエ:「ありません。サインしますね。」

技術兵「次に、頭蓋骨の交換が伴うので脳外科医がインフォームドコンセントを行います。」

頭蓋骨交換担当外科医:「まず質問ですが、
私用で、外装だけでなく頭蓋・脊髄までのスケルトンは珍しいのですが、何故?
ああ、規則では聞かなくても良いのですが、一応、心理面も気になったもので。」

リエ:「今度の休暇中に同窓会があるので、旧友にサイボーグになった利点を見せびらかしたいのです。」

外科医:「それだけのためにですか?。女性として髪がないとつらいですし、特区にも入れないのに。」

リエ:「サイボーグの植毛はかつらと大差ないと思うし、風俗とか休暇中の副業にも興味ないですから。」

外科医:「まあ、そういう主義の方なら支障無いようですね。
じゃあ、本題のリスク説明をします。
頭蓋骨及び脊柱の交換手術は、手順の確立したものです。
部材損傷や長期的保守の際にも行われます。
したがって、リスクは大きくないのですが、100%安全とは言い切れません。
2次生命維持装置、頚部血管保護管および血流切り替えバルブは頭蓋骨や脊柱と一体のユニットです。
よって、手術中は2次装置を停止し、外部維持装置に切り替えます。
万一、その間に地震があると接続チューブ抜けなどの危険があります。
また、脳脊髄硬膜と部材の固着があると、剥離する際に神経を損傷する可能性もあります。
脳に痛覚はありませんが、神経端子取り出し部が刺激される可能性があるので全身麻酔を使用します。
総合的なリスクは、素体からの新規製造時に同等と想定されます。
最近の500例において1例の事故があります。幸いそのときは軽症でした。
しかし、運悪く後遺障害が残る可能性は、常に存在します。直接の死亡例はありません。
なお、私用手術中であっても、万一の場合、以後の処置には健康保険が適用されます。
無論、不幸にして障害が残った場合は、帝国の福祉施策の対象となります。」
39pinksaturn:2006/04/15(土) 02:24:10 ID:dJRuc2rg0
リエ:「支障が見つかって途中で中止されることはありますか?。」

外科医:「解体中に脳腫瘍等が見つかった場合は、まずそちらの治療を行います。
そして、その治療が完了してから、再組み立てを継続します。
所要時間が週レベルで大幅に伸びることはありえますが、原則として最後まで仕上げます。
治療が発生した場合の追加費用は、内容により公務傷害補償か健康保険が適用されます。
説明は以上ですが、手術を行いますか?。規定により無料でキャンセル可能ですが。」

リエ:「やって下さい。」

外科医:「では電子承諾書に署名を、はいこれで結構です。」


(ボディ解体はマサと同様だし、その先は全麻でリエは眠ってしまいます。
覚醒待ちの間に組み立ても済ませてしまうので、つまらないから手抜きします。)


外科医:「脳波、覚醒していますね。99%成功とは思いますが、動作確認してみて下さい。」

技術兵:「聞こえますかー。おーい。」

リエ:「...へっへっへえ、キョウ、どうよ、綺麗でしょこの体。今夜どう...ん、ん」

技術兵:「あのぉ。寝ぼけてないで、テストですよテスト!。」
40pinksaturn:2006/04/15(土) 02:26:15 ID:dJRuc2rg0
リエ:「はっ...。なんだ、まだ同窓会じゃなかったか。あ、失礼、ご苦労さん。」

外科医:「聴覚と発声、顔面は良いようですね。手、ゆっくり握ったり開いたりして下さい。
今度は速く!。じゃ、体内CPUの視力チェックパターン開いて、確認して下さい。」

リエ:「端から端まで、いつも通りですよ。」

外科医:「BCIと視神経も良いようですね。ゆっくり起きあがって下さい。」

技術兵:「消化チェックと燃料電池起動のため、これ飲んで下さい。」

リエ:「あら、シャンパン、え、1本丸ごと良いの?気が利くわね。」

技術兵:「高いパーツ使って頂いたので、ホンの気持ちです(官費ですが...)。」

リエ:「折角だから姿見置いて下さい。あ、そこでいいです。
うんうん、注文通り食道も透明仕様ね。OK、OK。よーし、飲むぞ−。ごっくん。
おお、泡立てて入っていくう、イクイクぅ。やっぱ消化ユニット内部は見えん罠。ザンネン。」

技術兵:「自己組織の保護は最優先ですから。腸の入った系はシールドになってます。
あ、アルコール降りてますね。廃液は、うまくいってますね。チェック楽だなあ。これは。」

リエ:「でしょ。これもサイボーグの良いところよ。ま、溜まったおしっこまで見えるのは微妙だが。」
41pinksaturn:2006/04/15(土) 02:29:40 ID:dJRuc2rg0
技術兵:「アルコール来たので、燃料電池起動して下さい。おお、光った。このLED、良い色だわ。」

リエ:「他のイルミネーション点けみて良いかな?。」

外科医:「電圧が十分上がったらにしませんか?。先に歩行を確認したいのですが。」

リエ:「あ、ごめんなさい。」

技術兵:「ジャイロ無くなってるから初めは慎重にね。新品に傷付けたくないでしょ。」

リエ:「そおーっと。うん、そんなにふらつかないわ。そこの合わせ鏡まで歩いてみて良い?。」

外科医:「いろいろ、歩幅変えながらにして下さい。ああ、良いようですね。
これで、私の責任範囲は済みましたので、完了確認書にサイン下さい。
私用医療費の確認サインの方もお願いします。はい、それで結構です。じゃ、私はこれで。」

リエ:「おーーお、後はばっちり背中までつながって脳見えてる。へえ、脈打ってないなあ。」

技術兵:「そりゃ、ロータリ−ポンプですから。」

リエ:「ああそうだったよね。そのおかげで卒中少ないし、重力変化にも強いんだったな。
やっぱ、頭皮に人工ダイヤ奮発して良かったわ。輝きが違うじゃん。多少、中が見えにくいが。
こりゃ、宇宙行きになっても外せないな。うんうん、いいぞ、それで良いのだハカイダ−!。」
42pinksaturn:2006/04/15(土) 02:33:42 ID:dJRuc2rg0
技術兵:「そろそろ電圧も良いでしょう。特設のイルミネーション確認願えますか。」

りえ:「おーし、オン。うん、思ってた人間クリスマスツリーのイメージぴったり。
次、頭のお星様点灯。よしキター。プラネタリウム頭できたー。
うん、大成功。EL使ったの正解だったな。換装完了確認OKよ。」

技術兵:「サインどうも。ところで、足の換気に関してマイナーリコールが入っているんです。
で実は、現在陰毛が付けられないのと、パンティがこのサンプルの型しか履けないんです。
貴女の場合はもともと無毛で仕様変更なしですが、パンティは差しあたりこれ使って下さい。
それから、所持が義務ですので、このコスメチックジャケット一式もお持ち下さい。」

リエ:「えっ、まあ型制限はいいけど、このピンクは勘弁だな。せめて、黒か銀ないの?。」

技術兵:「急なリコールで、間に合わなくて済みません。
ご要望は、http://pinksaturn.fc2web.com/buhinhyou.htmの、フォームに入れて下さい。
品種の追加はやると思いますが、今日の帰りは我慢して下さい。」

リエ:「いいわ。別に。何も履かなきゃ良いのよね?。スケルトンにピンク合わないもん。」

技術兵:「裸で帰るんですか?。透明でも形は普通の人と同じですから外ではまずいですよ。」

リエ:「判ってます。私物庫に、合うと思うとっておきの下着があるの。基地内は裸で良いでしょ。」

技術兵:「このパンティって、どこにも売ってないと思いますよ。お手持ちの大丈夫ですか?。」

リエ:「パンティとは言っていないないわ。ふんどしよ。足にかからなきゃ良いんでしょ。
へっへっへえぇ、ふんどしリエちゃん。」

(リエのマニアックな換装も事故無く、無事済みました。
真理亜侯のは、ワケありで簡素に済む予定です。)
43pinksaturn:2006/04/15(土) 02:40:06 ID:dJRuc2rg0
***真理亜の換装***

第5換装室担当者:「こんな殺風景な場所で申し訳ございません。」

真理亜:「そお。ウチの施設も大差ないわ。」

担当者:「急なお越しでなければ、せめて主任技師が対応いたしましたのですが。
貴族方が出荷便で降りられるのは想定外でしたし、大概専用線でお屋敷に直行されるので。」

真理亜:「主任にさせるような換装じゃないでしょ。」

担当者:「そういえば、随分簡素ですね。まさかご予算にお困りの筈もないですし。」

真理亜:「特区で急ぎの用件があるの。取りあえず最低限特区に出られる構成にしたのよ。」

担当者:「簡単ですが一応復唱確認いたします。
機構が、下肢−新高出力、腰部−脱水・廃液調整装置を食道直結、
外装が、膝下−標準型、大腿−標準型、腰部−ノーブルセクサボーグ
その他は現状のまま。以上です。ジャイロは残して宜しいのですね?。
それから、消化器や1次の定期交換品等の私邸移送手配はどういたしましょう?。」

真理亜:「特区の用件に半月以上かかりそうなので、移送依頼は別にします。
ジャイロも当面使うことにするわ。じゃ、すぐやって頂戴。」
44pinksaturn:2006/04/15(土) 02:44:56 ID:dJRuc2rg0
担当者:「では、お召し物をお取りになって作業台の方に。」

真理亜:「急ぐのよ、腰から下だけだから捲っておけばいいわね。
維持装置いじらないから、感染症防止措置要らないでしょ?。」

担当者:「仰せの通りで。それで結構です。痛覚停止宜しゅうございますか?。」

真理亜:「よろしい。」

担当者:「では、股関節部の外皮からさくーっと参りますので。」

真理亜:「あら、もうこんな時間。とにかく無駄口たたいてないで急ぐの!。」

担当者:「はいです。しからば...(とんてんかん、とんてんかん、
だだだだだだだペタペタ...)、済みました。こちらにてテストを。」

真理亜:「贅沢品はいいから、そっちのエタノール寄越して。起動早いでしょ。」
45pinksaturn:2006/04/15(土) 02:50:19 ID:dJRuc2rg0
担当者:「はい、どうぞ。」

真理亜:「えい、手順飛ばして、よしキター。良いようね。立つよ!。」

担当者:「ジャイロ残したので歩行は楽ですが、消費電力は増えます。
多めにお酒をお召し上がり下さい。消化器がないのでタブレットもお忘れなく。」

真理亜:「OK。じゃ、急ぐからこれで。請求書は公家の執事に回しといて。
電池全セル、ジャイロ起動。バックバンド強化バックルOK。
ピンヒール・ダーッシュ!。ん−−、ジャイロ残して正解だぁぁぁ。」

担当者:「あ、パンティの件言い忘れた。メールしとかなきゃ。」


(リホ、エリ、冬子、タラは無難な選択しか、しそうもないです。
あんまり萌えそうにないので、換装室覗くのは、やめました。
下着の件で実家で怒られるとかいって多少もめていたようですが...
真理亜侯は大変お急ぎのようでしたね。気になるので次、逝きましょう。
次回予告:(7)経済特区)
46pinksaturn:2006/04/15(土) 03:49:57 ID:dJRuc2rg0
 はぁはぁ...。
今夜は、18連投で連投規制エラーわずか1回と好調でした。

会話の盗み聞きだとわかりにくい点もあると思いますので、少しだけ補足します。
2次生命維持装置:
現在の腎透析装置に似た構造で、酸素と栄養を含む原液を消費し炭酸ガスと老廃物を吸収した廃液を生ずる。
利点は、真空中で運用可能、構造が簡単で高信頼、欠点は栄養失調をおこすため連続使用期間に制限あり。
1次生命維持装置:
肺呼吸でガス交換し、善玉菌を含むタブレットから栄養分を析出させ逆に老廃物を吸着させる。
造血装置も併設されている。
タブレットの代わりに消化ユニットから供給される中間液を使用することも可能。
利点は恒久的生命維持。欠点は、呼吸が必要、素体から摘出した骨髄を使うため予備機の数に制限、やや大型・複雑で整備頻度が高い。

風俗営業税:
経済特区では風俗営業は許可制でなく、原則自由。本税の納付が唯一の負担となっている。
サイボーグは、指定品目のパーツを装備したとき風俗営業を行うと見なされ、課税される。
シビリアンは、特区立ち入り許可申請の際に申告納付する。
以上補足でした。

manplus様
>>24の割り込み失礼しました。遅ればせながらお詫びいたします。
サイボーグ杏奈の初出社、楽しみですが、社員の身になったら谷本社長のアポ取るのはちょっと。
あの秘書怖いよお...。

メタルセクレタリー様
いよいよ次は派遣先で仕事でしょうか。
機械化率の高い秘書は何千人何万人分の仕事をこなすそうで、働きぶりを見てみたいですね。
47そして、10年後@:2006/04/15(土) 12:27:54 ID:IkorE8SU0
「柏木っさんの機械化秘書派遣プログラムですが、来月で10年の契約が切れることになります。
つきましては、今後の柏木さんとの契約について説明させてもらいます。
まず契約延長ですが、景気動向の変化で人間型サイボーグがだぶついており、弊社としてと
いいますか業界全体として契約延長は行っておりません。実際、弊社が人格権を所有している機体は
人格権を抹消し廃棄処理を行ってるのが現状です。柏木さんの契約担当機でしたMS-2KAORIも
2年前に廃棄処理されております。つまり、コース変更か契約打ち切りかの選択になります。
コース変更ですが先ほど申しましたように人間型のサイボーグはだぶついているため、
人格権を無償譲渡していただき非人間型への改造ということが条件となります。
人格権を無償譲渡していただくかわりに天然脳部分の性能が弊社規格を下回るまでとなりますが
メンテナンスを弊社負担で行います。」

「非人間型というとどのような形状でどのような勤務になるのでしょうか。」

「工場でのオペレータ作業になります。非人間型の形状ですが制御装置への組み込みになりますので
多種多様な形状がございます。」

48名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 12:28:51 ID:IkorE8SU0
「非人間型になる覚悟がまだ出来ません。すいませんが、契約打ち切りでお願いします。」

「それでは、契約打ち切り後の柏木さんと弊社の関係の説明に移らせていただきます。
契約終了後は、現在の被雇用者と雇用者の関係がなくなります。
そのため現在は福利厚生として弊社が負担しておりますサイボーグの燃料費およびメンテナンス費用が
自己負担に移行します。燃料費ですが活動内容にもよりますが通常の場合、1日1万円ぐらいかかるでしょうか。
ちなみに弊社供給の純正品以外はICタグで管理し利用が出来ない設定になっております。
メンテナンス費用ですが10年に一度の解体修理に2000万と月1回の点検に10万といったところでしょうか。
それに弊社の集中管理システムは部外者は利用できませんので、弊社関係会社のサイーボーク管理システムを
利用していただくことになろうか。と思います。年間保守契約3000万というコースが通常でしょうか。
また、柏木さんの場合、当初10年コースをお申し込みでしたので設計耐用年数10年の機種ですから、
新機体への換装も必要です。
設計耐用年数を超えた機体には純正品燃料の供給も保守契約も保証の関係ですることが出来ません。
新機種への換装を希望される場合、正規見積もりはおってとなりますが基本料金は5億となります。」

・・・
49名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 14:21:19 ID:OvA4ksY20
なにこれ
50名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 16:02:27 ID:QDAM11mT0
従姉一気に来たな。
あれで完結らしいが高校進学後の展開も書いて欲しい。
51名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 00:30:34 ID:S5d8bgtW0
なんか、結局ボッタくられないもっとマシなとこに再改造してもらってウマーってオチがつきそうな。
つーか廃棄されちゃったKAORIタンもこっそり廃棄業者が脳を取り出して保存してたりとか。
捨てるのもったいないし(ぉ
523の444:2006/04/16(日) 07:08:11 ID:0DWJDzvT0
こちらのスレが即死することもなくなったと思うので、資源有効活用
ということで前スレに投下しておきました。

manplusさん
見事なmanplus節、炸裂していますね。片桐さん、キてるな。
出社した杏奈さんが、どのように扱われるのか、ちょっと展開が読めません。
リクエストありがとうございます。
では、リクエストにお答えして、次回作はリハビリ編「適正検査」ということで
宇宙開発サイボーグや軍事サイボーグとの対面を中心にすえた物語にしましょう。
八木橋裕子VS如月はるか(名前はかえますけど)
お楽しみに。

pinksaturn様
テーマ的に重い話が多くなってしまう中で、スレのテンプレにあるような
絵に描いたような能天気な機械化娘の話、なごみますね。
緻密な設定にもとづいて、極めてまじめにギャグをやっているところが
いいです。


>>47
いきなりの急展開にびっくり。
晴香さんは助かるのか、それとも・・・。
妹はどうなったんだ!
53名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 09:49:58 ID:8zktv9lF0
つか 47って本人じゃないと思うぞ
54メタルセクレタリー:2006/04/16(日) 10:58:23 ID:D2wNPnxr0
>human-machinery interface接続・・・完了
>記憶用HDD接続・・・完了
>無線ネットワーク接続・・・失敗
>起動開始・・・完了
 闇の中に文字が並び、完了の文字と共に視界が開ける。
 まぶしいと思った瞬間、カメラが絞られ適切な明るさになる。
「起きましたか?」
 MS-2KAORIがのぞきこんでいる。
「MS-16HARUKA起動完了しました」
 あれ? 私何を言っているんだ? 私の平坦な口調にKAORIさんが驚いている。
「晴香さん?」
「え、はい。大丈夫です」
 慌てている。機械の癖に…
 違う機械じゃない。私は人間。こんな身体でも人間なの。
「気分はどうですか? かなり興奮している様ですが」
 興奮している。確かに。文字通り生まれ変わったような気分だ。
「はい。最高の気分です」
「よかった。改造直後は以前との感覚の不一致に体調を崩す人が多いそうですので」
55メタルセクレタリー:2006/04/16(日) 10:59:21 ID:D2wNPnxr0
「じゃあ、身体を起こしてみましょう。はい」
 KAORIさんの合図に従って、身体を起こす。
 体内の機械が立てる音が聞こえる。
「運動プログラムに異常は無いようですね」
「はい、問題なく動きます」
 身体を起こした事で全身が良く見えるようになった。銀色の輝きが綺麗だ。滑らかな表面に周囲の光景が映りこむ。
「新しい身体はどうですか?」
「綺麗ですね」
「はは、多くの人が同じ事を言われますよ」
 本当に綺麗。とても人間には見えない。
「次は、立ち上がってみましょう」
 銀色の足が持ち上がり、床に降ろされる。あ、ヒールも付いてるんだ。金属製の床と金属製の足がぶつかって特有の甲高い音がする。不思議な感覚だった。ヒールの先まで感触があるんだから。
「バランサーの調子も問題ないようですね」
 立ち上がった私がしっかり直立しているのを見て、KAORIさんが確認する。
「じゃあ、こちらに来てください」
 カン、カン、カンと響き渡る音と足の感覚に意識が向いてしまう。
「はい、歩行プログラムにも問題は見当たらないようですね」
 指定の位置までたどり着いた私に笑いかける。
56メタルセクレタリー:2006/04/16(日) 11:01:02 ID:D2wNPnxr0
「じゃあ、こちらを見てください」
 促された先には大きな姿見に私が映っていた。
 丸みを帯びた女性型のフォルムと銀色に輝く外装。理想的な女性型機械だった。
 機械… そうだ、理想の機械だ。人間じゃない。私は機械になったんだ。
 違う。機械じゃない。身体は機械でも中身は人間だ。
 嘘。中身も機械が詰まっているじゃない。
 嘘じゃない。心は人間よ。
 私は心まで機械になりたいんじゃないの?
「そんな事無い」
「どうしたんですか?」
 思わず口に出た言葉にKAORIさんが驚いたようだ。
「随分興奮していたようですが?」
「すいません。新しい身体に興奮してしまったようです」
 とっさに誤魔化した。
「そうですか、今日は色々あったから疲れたのかもしてませんね。もう休みましょう」
「はい」
 確かに色々ありすぎた。あんな事を考えるなんて疲れているからに違いに。
「それではレストルームへ案内しますね」
「はい」
 促され手術室から新たな一歩を踏み出した。
57メタルセクレタリー:2006/04/16(日) 11:06:55 ID:D2wNPnxr0
 幸か不幸かレストルームまでの道のりで人に合う事は無かった。
「こちらが晴香さんのレストルームです」
 柏木晴香・MS-16HARUKAと書かれた大きめなカプセル状のスペースに、人1人が十分入る大きさのカプセルが据え付けられていた。
「以前に説明しましたが私達の身体はバッテリー動いています。これは接触型充電装置で、一日分なら約20分ほどで充電が可能です」
 充電なんてますます人間離れしているな。
「フル充電されていれば、無充電で最低でも480時間稼動できます。ただし、これは生命維持機能の動力も含みますので、決して使い切るような事はしないでください。
 また、非常時用に生命維持モードに入れば全く動けませんが残り稼働時間の3倍まで生命維持装置を稼動させ続ける事ができます。
 必ず毎日最大まで充電を行ってください。余裕があっても過信せず必ずです。これは命に関わりますので必ず守ってください。
 派遣先の各社にもこれに順ずる設備の設置が義務付けられていますから、そちらでも気をつけてくださいね。
 それでは入ってください」
 カプセルを開け身体を中に潜り込ませる。

>バッテリー充電開始します
>現在98%

 不思議とリラックスする。意識が遠くなる。
「それでは、また明日会いましょう」
 KAORIさんの声を最後に意識は闇に消えた。
58pinksaturn:2006/04/16(日) 13:49:12 ID:F2dJKl4H0
3の444様に激励されると、俄然やる気が沸きますね。
まあ、我が帝国の娘たちは休暇に入ったので、過激にのんびりって感じです。
では、(7)投下開始します。


−−(7)経済特区−−

マサ:「さてと、ここらで網を張るかな。
南洋貿易センタービルに入ってる怪しげな外資なら、いつも必ずカモが混じってるからな。
あーあ、感覚はないが腹減った希ガス。とりあえず、酒と飯たかれる香具師でも良いが」

商社マン兼売人・田悟作:「意外とチョロいもんだな。
ここは法律だけヤケに厳しいが取締官らしい奴なんか居ないじゃないか。」

商社マン兼人身売買商人・権兵衛:「自由貿易はここの国是だからな。
税関がないんじゃザルだ罠。ただよお、チクリだけは気を付けろよ。
正当な金融取引を主張できる人身と違って、薬は即死刑だからよお。」

田悟作:「俺は用心深いのさ。売りさばきにはガキしか使わねえんだ。
まあ、頭の軽そうな女子高生とかなら、たいがい安全だ。
それでも暫くは援交しながら様子見るのよ。」

マサ:「くんくん、むむ覚醒剤の臭い。あいつらか。行き先は港の見える飲屋街だな。
よーし、先回りして階段で仕掛けるぞ。痛覚感度Hiにして。リアリティ、リアリティ。」
59pinksaturn:2006/04/16(日) 13:51:53 ID:F2dJKl4H0
マサ:「あっ、とと。いったーい(感度上げすぎたか、マジ痛い)。」

田悟作:「きみ、怪我は無いか。」

マサ:「平気平気。ところで見えちゃった?。見たよね、お兄さん。」

田悟作:「あ、まあその、事故だし。目に焼きついちまったが。」

マサ:「あーっ、やらしー。ぶう。」

田悟作:「その、なんだな、最近滅多にお目にかかれないデザインだしな。
機嫌直しっちゅうか、良いもの見たお礼に飯でもどうだ?。」

マサ:「ご飯だけ?。なんか悪いこと考えてない?。」

田悟作:「まあそりゃ、誰だってね。気が合いそうな娘なら。ほら、この街は法律緩いし。」

マサ:「ま、いっか。お兄さんイケメンだし(食いつけ、食いつけっ!)。」

田悟作:「ありがと。どおよ。懐石とかさ(座敷じゃこいつなら、フロント丸出しで胡座かきそう)。」
60pinksaturn:2006/04/16(日) 13:54:13 ID:F2dJKl4H0
(3日後、)

マサ:「エロメフの財布に、デ・ピアスの2ct.ピアス、フェラ雁のピンヒール。
こいつらの貢ぎ主も、哀れあと3日の命か。
今日は収穫だったな。賞金だけで鼻代回収だわ。
ほお、あれが一昨日竣工したばかりの新名所クピドタワーか。
なんと豪勢な。一体オーナーってどんな香具師なのかな。
まあ、どうせ裏であくどいコトして資本溜めたエロオヤジだろうけど。
援交で骨の髄まで吸い取れるんなら知り合いになりたいものだわ。」

クピドタワー外壁の女神像:「...」

マサ:「あれ?。あの女神像には見覚えが。でもまさかいくらなんでも。
ん、何だかこっち見てるような希ガス。目玉動いてるんじゃ?。
そうだわ、ワイヤレスで確かめちゃおうっと。ええ、アドレス
ss_to:maria@unit29_resource-catcher.fleet.astro-force.official.empire
つながったな、ん、あのー、もしーー。」

女神像:「こらっ。こんなところで公用回線使うな!。(着信拒否)」

マサ:「やっぱり。降下時のままだわ。でも信じらんない。
何でぇ??。よーし、今日は稼ぎ十分だから覗いてっちゃお。」
61pinksaturn:2006/04/16(日) 13:58:21 ID:F2dJKl4H0
バニーちゃんA:「ようこそ高級コールガールの宝物庫クピドタワーへ」
バニーちゃんB:「ただいま、開業記念特別サービス中でございます。」

マサ:「あ、お客じゃないの。チョット知り合いがここで...。」

バニーちゃんA:「事務所は横の扉から非常階段上がって下さい。」


マサ:「ごめんください。どなたかいませんかー。」

壁面スピーカー:「暇そうで良いわね。邪魔しないでくれる?。」

マサ:「真理亜様、ですよね?。」

壁面:「判ってるんでしょ。」

マサ:「一体どういう事ですか?。看板娘とは貴族様らしからぬ副業ですが。」

真理亜:「オマケよ。副業のメインはあくまでもオーナーとしてここの経営よ。
使うのは殆ど体内CPUだから体が遊んでるでしょ。」
62pinksaturn:2006/04/16(日) 14:01:32 ID:F2dJKl4H0
マサ:「はあ成る程、しかしあんな高い所に立ちっぱなしでは疲れそうな。」

真理亜:「我々が疲れるわけ無いでしょ。ましてジャイロ使っているし。
このごろのさばり始めた北米連資本のゲンナッリ−虐待チキンとやらだって、
店頭に創業者が立って成功してるでしょ。」

マサ:「あれは、人形では?。」

真理亜:「だからよ。サイボーグが人形に負ける筈がないでしょ。
今日開店した所だから、初めが肝心なのよ。
特区だからって、北米資本をのさばらせているとろくな事にならないわ。」

マサ:「でも、ここの基幹産業である医療や風俗は外資禁止なのでは。」

真理亜:「それを守るために、参入圧力をかける意欲が涌かない位に頑張るの。
特区が奴らを受け入れる表向きの理由は軌道工場製品のバイヤーか、観光客や入院者向けの商売だけど、
本当の理由はいざというときの人質だからね。
割の良い商売なんかさせるつもりは無いのよ。
国内産業保護も貴族の重要なつとめなの。
宇宙開発や戦闘以外でサイボーグの優位性を示す良い機会でしょ。
特区住民の娘と違って、売春安全法の始業検査免除の上に、
リエみたいな変人を除けば、容姿や機能でも有利だからね。
まあ、それに我々のメンヘルにも有益なことが判っているし。」

マサ:「そんなものですかねえ。」
63pinksaturn:2006/04/16(日) 14:05:26 ID:F2dJKl4H0
真理亜:「そういえば、入店募集中なんだけど、リホたちは何してるかな?。」

マサ:「とりあえず実家じゃないですか。私なら暇なんですが?。」

真理亜:「あんたは援交専門だから風俗営業税払ってないでしょ。
ここは、正規の廓なので風俗営業税納付済みの娘しか使えないからね。」

マサ:「えへへ。実は今回の換装でリコールあったから、タダで納付証貰っちゃって。」

真理亜:「ふーん(ちっ、私は頭髪の電気鞭で課税されてるのに。まあいい。
せいぜい奴隷いじめてモト取らにゃ)。しかし高級店のイメージってもんがねえ...。
まあいいか。本業の部下のよしみで使ってやっても良いわ。
あんまり期待してないけど、気が向いたら出勤して。同伴は全額戻しよ。」
64pinksaturn:2006/04/16(日) 14:07:20 ID:F2dJKl4H0
マサ:「ところで、つかぬことをお伺いしますが、真理亜様も現在パイパンですか?。」

真理亜:「そういうことになるわ。H型電池の件は藻前も同じ事だったわね。
まあ、こっちは急ぐので頭やってなくて、元々仕様外で省略だったの。
後でメール見たときはまあ新製品だし仕方ないかと思ったけど、
小間使いが取って来た適合パンティにはあきれたわ。」

マサ:「結構気に入って使ってますよ。」

真理亜:「藻前なら良いだろうけど、こっちはあの色じゃ衣装から透けてダメね。
シルクで仕立てを手配したけど、小間使いが戻るまではノーパン。
アレは藻前にやるから、そこのウォークインクローゼットから持ってお逝き。
それから、そのセーラーじゃウチの客が萎えるから、衣装も使って。
あと、下のバニーはじめ特区の娘も働いてるから機密厳守のこと。」

マサ:「真理亜様が一度お履きになったのが頂けるとは。お宝にしますわ。」

真理亜:「あっ、(しまった、が貴族に二言はない。)ちゃんと洗って使うこと。」

マサ:「承知しました(そんな勿体ない)。では、明日から参りますので。」


(副業としてではありますが、この娘たちはちゃっかり
戦闘員以外でサイボーグの利点を生かした職に就いていますね。
次回予告:(8)リエの同窓会)
65pinksaturn:2006/04/16(日) 14:22:08 ID:F2dJKl4H0
−−(8)リエの同窓会−−

幹事:「乾杯!」

同級生A:「あーっ。誰かと思ったらリエじゃん。名札見なきゃ判んないよなあ。」

同級生B:「リエ!。よく生きてたわね。」

リエ:「あのねえ、昔どこかの国であった学徒出陣とかじゃあるまいし。」

B:「だって、卒業証書と一緒に召集令状渡されてそれっきりじゃないの。」

リエ:「同期で素体になった娘たちはみーんな生きてるわよ。」

同級生C:「でも、人間やめちゃったんだよね。」

リエ:「まあ、どちらとも言えないけど、宴会出られる程度に人間も続けてますが。」

C:「そういえば、乾杯普通にしてたね。」

A:「錠剤と電気だけで生きてるんじゃないのか。」

リエ:「宇宙に出てるときは、それに近い鴨ね。」
66pinksaturn:2006/04/16(日) 14:24:47 ID:F2dJKl4H0
A:「宇宙と地上で違うの?。」

リエ:「消化ユニットとかに元の体から取った器官を組み込んでるのね。
特に小腸なんかは放射線に弱いから、任務中は地上に預けるのよ。」

B:「器官の組み替えなんて簡単に出来るの?。」

リエ:「内容次第ね。標準で1時間、ただしオプションに凝ると割り増し。」

C:「体の構造どうなってんの?。一見普通の人のようだけど。
その手袋やマントの下はアンドロイドみたいになってんの?。」

リエ:「そんなちゃちな物じゃないんだな。
まあ、サイボーグも大抵の娘は見た目が人間と大差ないけど。
このリエ様は、凝ったオプション使ってるんでかなり違うよ。」

C:「うーん、想像がつかないなあ。見せてよ。」
67pinksaturn:2006/04/16(日) 14:27:06 ID:F2dJKl4H0
リエ:「興味あるでしょ。便利なのよ、これが。へっへっっへ。」

A:「見たい見たい!。」

リエ:「でわ、ご開帳ぉ、ぬぎぬぎ...あ、かつらが吸着しすぎ、お、取れた。」

C:「うわー、何これ、すごーい体内の機器が丸見え。」

リエ:「イルミネーション点けるね。」

A:「すごーい。クリスマスツリーだあ。頭に星空まで写ってる。」

リエ:「ダイヤ皮膜にELで球面ディスプレイが形成してあるの。
プラネタリウム以外にも例えば、...これなんか前の任務で飛んだコースよ。」

B:「きらきらして綺麗ねえ。脳まで見えてるのはキモイけど。」

リエ:「キモイは余計よ。まあ、趣味な香具師だけに褒められりゃいいんだけど。」

C:「趣味な香具師って、ああキョウの奴か。向こうにいたな。呼んでくるよ。」
68pinksaturn:2006/04/16(日) 14:29:55 ID:F2dJKl4H0
A:「これって、国家機密なんじゃないの?。あとで我々消されたりしないかな。」

リエ:「あのねえ、帝国本体のシビリアンて、そもそも機密の共有者でしょ。
みんなだって、特区には就労どころか入るだけで厳しい審査があるでしょ。
全身サイボーグに関することをあっちで口外しないようにきつく言われるし。
思想的にあやふやとか口の軽い人が外国人に接しないようになってるの。
ましてや、この体だと特区近くの緩衝地帯へ行くだけで、手間かかるのよ。
さっき太ももから外したみたいな機密保護用のコスメチックジャケットや
かつらをしっかり吸着させて被ることが厳重に義務づけられているの。」

A:「そういえば、特区に逝くのも、特定技術開示規制令があって審査厳しいな。」

リエ:「サイボーグは体内CPUログで管理されるから外装規制守れば、自由に逝けるよ。
まあ、私は風俗の副業とか興味ないんで、外装の自由を選んだ訳だが。」

B:「向こうからの移住資格を取るのって、もっと遙かに厳しいのよね。
自然保護地区立ち入り規制法と言う名目で、外国人は全面禁止で、
特区住民も最低5年の厳重な合宿で思想調査と特別教育を受けるんだっけ。
違反者は、事実認定だけで情状酌量なしの100%死刑でしょ。」
69pinksaturn:2006/04/16(日) 14:32:48 ID:F2dJKl4H0
A:「こっちで捕まったときは死刑の代わりに人権削除だね。似たようなもんだが。」

リエ:「要するに、シビリアンとは素体供給のために必要な人口なのよ。
そこから安定的に素体を供給するためには、サイボーグや遺伝子管理を否定する
近視眼的な人権思想やお馬鹿な宗教が流行しないように隔離が必要でしょ。
外国人との接触が厳しく管理される事もやむを得ないというわけ。
その代わり、税金も安いし、科学教育や医療・福祉で優遇されているのね。
せいぜい、良い素体になれる子供を作って、しっかり教育してね。
私のように選ばれた幸運な人たちが、宇宙から富を持ってきて頑張るから。」

B:「教育かあ。」

A:「実は、教育委員会の上司からリエに頼めないかと言われてることがあって。」

リエ:「はあ?。何でまた。私、学問なんて偏った分野しかできないよ。」

A:「中身は会って話したいらしいんだけど。」

リエ:「そう、まあ今日以外何も予定決まってないからいいけど。」

A:「じゃ、明日でもメールするね。」

リエ:「そうして。どこにいても手ぶらで受信できるから。」
70pinksaturn:2006/04/16(日) 14:34:19 ID:F2dJKl4H0
C:「キョウこっちこっち、リエなんだよ。すごいでしょ。」

キョウ:「萌え...綺麗だ...」

リエ:「それだけ?。」

キョウ:「今夜付き合って。ねえ、いいだろ?。頼むよ。」

リエ:「そういう反応を期待してたの。キョウなら絶対と思ってた。
そのために手持ちポイント殆どつぎ込んで、この体にしてきたのよ。」

キョウ:「じゃ、良いんだね。嬉しー。リエちゃんありがとう。」

リエ:「とりあえず、2次会おごってね。体に奮発したから遊ぶ金無いんで。」


(リエの目論見は成功した模様です。次回予告:(9)冬子の家庭生活)
71pinksaturn:2006/04/16(日) 15:01:54 ID:F2dJKl4H0
−−(9)冬子の家庭生活−−

冬子:「ただいまー、って言って良いんだったよね。」

夏夫:「当たり前じゃないか。別れたつもりは無いぜ。」

冬子:「ごめん。信じちゃいたけど、3年も宇宙に出てるとつい確かめちゃって。」

夏夫:「おーい春男、みどり。お母さん帰ってきたぞ。」

春男:「今度はどんなになったの?。あれ、前と変わってなーい。」

冬子:「あなたたちがあんまり驚かないようにしてきたんだけど。」

みどり:「なあんだ、チョット期待してたのに」

冬子:「そお。いいの?。じゃ、次はイメチェン考えるかな。
ところで、見た目は同じでも中身は進化したのよ。」

春男:「目からビーム砲とか撃てるようになったの?。」

冬子:「そういう武装は貴族の特権よ。そうじゃなくて、食事が出来るの。」
72pinksaturn:2006/04/16(日) 15:04:06 ID:F2dJKl4H0
みどり:「なあんだ、普通の人と変わらないじゃない。」

夏夫:「おい、あの事故以来じゃないか。普通の人と同じ事が出来なかったのは。」

春男:「そういえば、お母さんと食事した記憶って微かにしか憶えてないや。」

みどり:「私は記憶にない。そうよ、確かに大変なことだわ。おねでとう。」

冬子:「というわけで、今日の夕食は任せてね。」

夏夫:「いきなり大丈夫か?。味なんて忘れてるんじゃ。」

冬子:「体内CPUに、”世界料理の哲人”というファイル落としてきたから神業可能よ。」

春男:「流石サイボーグだ。お母さんカコイイ!。」
73pinksaturn:2006/04/16(日) 15:05:34 ID:F2dJKl4H0
春男:「いただきまーす。ホントに哲人料理だ!。」

みどり:「これ、こないだ真似してしくじってゲロまずったやつだ。」

冬子:「やっぱり、私がいないせいで...」

春男:「3年ごとに半年だけでもこんなにうまいものが食えるなら損得なしだよ。」

みどり:「ほんとに便利ねえ。家庭科なんて馬鹿馬鹿しくてやってらんない。」

冬子:「さぼって素体に選ばれなかったら、料理下手娘で一生終えることになるよ。」

春男:「お母さんが優秀なサイボーグなんだから、二人ともきっと選ばれるよ。」

冬子:「私は障害者自立支援令って言う制度で、つまりオマケで素体にしてもらったの。
だから、私に似た素質じゃ、うんと努力して届くかどうかってとこよ。」

夏夫:「しかしなあ、寝たきりの間に悲田院から下賜された援助額を考えたら、
お上だって、長い目で見て、オマケして損したとは言えないだろ。
新規の消化ユニット代が稼げる程がんばれたんだから、優秀だよ。」
74pinksaturn:2006/04/16(日) 15:20:02 ID:F2dJKl4H0
みどり:「授業参観、来てくれるよね。同級生に自慢できるわ。」

春男:「お願い。お前の母親が素体になれる訳無いっていじめた奴を見返すんだ。」

冬子:「ケンカしちゃダメよ。協調性がないと宇宙で仕事なんか出来ないから。」

みどり:「宇宙の仕事仲間ってどんな人たちなの?。」

冬子:「まあ色々。割と脳天気な人が多い鴨。」

みどり:「会ってみたいなあ。」

春男:「うんうん、どうすれば素体に選ばれるか聞きたいな。」

冬子:「それじゃね、明後日とか仲間を呼んでみんなでパーティしない?」

夏夫:「いいねえ。今までなかなか賑やかなイベントがなかったし。」

冬子:「よし即メール!。やったよ。」

夏夫:「便利で良いなあ。」
75pinksaturn:2006/04/16(日) 15:24:26 ID:F2dJKl4H0
(...翌々日)


冬子:「いらっしゃい。」

マサ:「お邪魔むしいーー。」

リホ:「こんにちわ。」

リエ:「ども。人間クリスマスツリーです。」

春男:「わぁー。ダカラの変人サイボーグ1号だあ。本物だあ。」

冬子:「こら。ダカラのおもちゃだなんて失礼なこと言って。ちゃんと挨拶なさい。」

リエ:「いいって。私もファンなんでちっとは意識してたのよ。」

エリ:「かえって、怪しげな香具師が一緒で済みませんね。」

冬子:「いいえ、こちらこそわざわざ集まって貰っちゃって。」

夏夫:「皆さんようこそ。じゃ、かんぱーい。」
76pinksaturn:2006/04/16(日) 15:26:01 ID:F2dJKl4H0
春男:「みなさんって、微小惑星を集めて金とか取ってるんでしょ。いいなあ。」

リホ:「まあ、金もほんの少しは取れるけど、一番沢山必要なのは氷かな。次がチタン。」

みどり:「わざわざ氷を集めるんですか?。」

エリ:「主な用途は溶かして推進剤ね。電気分解すれば姿勢制御燃料、酸素にもなるの。
あと、衛星軌道の工場では太陽熱を使った蒸気機関で発電もするから水は沢山要るわ。
凍ったままで大気圏突入のシールドにもなるし。小規模だけど農業施設にも使うしね。
移動に時間はかかるけど、地上から上げるより小惑星帯から運ぶ方がエネルギー食わないの。」

春男:「宇宙で農業までやるんですか?。」

マサ:「豚の餌が要るのよ。」

リホ:「それじゃ、誤解するよ。豚といってもね、遺伝子組み換えで特殊な乳を出す豚なの。
その乳や血が宇宙でサイボーグの食事代わりになる原液とかタブレットの原料になるの。
他に無重力を利用した製薬工場の原料にする植物なんかも作ってるわ。
社会の時間、帝国の主な産業には宇宙製薬もあるって教わったでしょ?。」

春男:「サイボーグが豚の世話までするんですか?。」

マサ:「まさかあ。豚といっても手足もなく金属タンクにはまってるから機械みたいなもんよ。
大体、管理は殆ど自動だし、義肢工場あたりの人が片手間にログ点検するだけね。」
77pinksaturn:2006/04/16(日) 16:16:01 ID:F2dJKl4H0
春男:「ああ良かった。折角選ばれても格好悪い仕事じゃやだな。」

冬子:「工場の仕事も大事なの。無重力でしか鋳造できないサイボーグ部品とかね。」

リエ:「君、素体になりたいの?。良い心がけね。」

春男:「リエさんみたいに格好良くなりたいです。ビーム砲で敵をやっつけるんだ。」

リエ:「はは、良い子ねえ。でも今のところ敵はロクにいないけどね。」

エリ:「素体になるって事は、まず女の子になるって事だけど良いの?。」

春男:「うーん、立ちション出来なくなるのはチョット厳しそう。」

みどり:「おにいちゃん、きたなーい。食事中よ!。」

リエ:「宇宙に出るときは殆ど排泄の要らない体に換装できるよ。
まあ、素体訓練期間の5年間は、みっちり女の子として仕込まれるけど。」

春男:「なあんだ。5年だけなら我慢してもいいや。」

冬子:「出来が悪くて、落第したら5年で済まないのよ。今できることをちゃんとなさい。」

マサ:「大丈夫!それくらい楽勝だから。」
78pinksaturn:2006/04/16(日) 16:18:25 ID:F2dJKl4H0
夏夫:「そんなに大変じゃないなら、素体になって冬子と再婚したいな。」

冬子:「あなたが?。うーん、気持ちは嬉しいけど、無理よねえ。」

リホ:「成人健常者だと、招聘科学者として一代貴族に列せられるしか無いですよね?。
あ、これも帝国の苦手分野を補完するため特別に海外からスカウトされた人対象か。」

リエ:「でも、特に優れた業績があれば、シビリアンにもチャンスあるでしょ。
夏夫さんも科学者なんだから、一縷の望みはあるのでは?。」

夏夫:「万年助手にはきついかな。すぐ業績になる良いネタ無いかなあ。」

冬子:「あんまり年取ってから、ワシはピチピチギャルになりたいのお、なんて無しよ。」

エリ:「あら、随分長居しちゃったわ。ごちそうさまでした。」

マサ:「じゃ、最後に素体を目指す夏夫さん一家のご成功を祈って、かんぱーい。」


(明るい一家ですね。こんなシビリアンが素体供給を支えているのです。
次回予告:(10)講師リエ)
79manplus:2006/04/16(日) 17:56:26 ID:Ey15CVo50
 サイバーヒューマン社の最上階の特別会議室では、定例の取締役会が開催されていた。
議題が、新型宇宙服の完成の報告と、販売方法に移った。
 私は、席に備え付けられたインターホンに指示を出した。
「水沢主任、特別会議室に来てくれ。私が呼ぶまで、特別会議室の控え室で待機していてくれ。
いよいよ、君の出番だ。」
 宇宙製品開発担当役員から、新製品である長期着用型宇宙服の技術的な説明が行われた。
役員たちに何とも言えない溜息が聞こえてきた。
 私には、理由がわかっていた。役員たちは、こんな身体の代償を払ってまで、長期着用型宇宙服に
身を包むアストロノーツを選抜する国があるのだろうかという疑問と、もしあったとしても、そのような境遇に
置かれたアストロノーツに自分がなった時の恐怖感であった。
 その奇妙な沈黙を破って、宇宙製品の営業担当役員が、
「各国のアストロノーツたちの間には、今の宇宙服よりもっと制約が無く宇宙空間や惑星での作業が
出来る宇宙服が開発されるのを期待しています。
また、各国の宇宙開発当局は、人間の限界を超えて宇宙空間で活動できるような宇宙服とアストロノーツを
開発することに躍起になっています。
ロボットや無人衛星など機械任せでの宇宙開発には、現場の人間は、限界をとうに感じているのです。
人間が宇宙開発の最前線にいないといけないことを痛感しています。
今回の我が社の製品は、コスト的にもこなれていて、各国のニーズを充分に満たすため、かなりの反響と
需要があると考えています。
各国の開発チームが考えたものよりも斬新なものなのです。自信があります。」
宇宙製品営業担当役員は、自信をみなぎらせて言った。
80manplus:2006/04/16(日) 17:57:59 ID:Ey15CVo50
 私は、そのタイミングを見計らって、インターホンに向かって、
「水沢主任、入ってきてくれ。」
といった。
 間をおかないで、杏奈が、特別会議室の新商品準備室につながる扉を開いて入ってきた。
役員たちの目には、薄緑色の人影が、突然、会議室の中に入ってきたように見えた。
その人影が杏奈なのである。
 私は、杏奈を私の横に立つように指示を出した。
杏奈は、役員が座る大きな円卓を約半周して、私の横に立った。
「これが、我が社の開発した最新型の長期着用型宇宙服の実物です。
装着実験者として、秘書課の水沢杏奈主任が志願してくれて、このように実際の装着モデルになってくれました。
彼女が、我が社の長期着用型宇宙服の装着第一号ということになります。
もちろん、秘書としての機能も存分に発揮できるように、サイボーグ手術は、
長期着用型宇宙服着用適合手術だけでなく、秘書機能強化のための手術も同時に施されているのです。
彼女に私の秘書として、私と一緒に各国の首脳や関係者と会ってもらい、
実際の着用者としての広告代わりになってもらうことになっているのです。」
私の説明に、役員から、うめき声が上がった。
「こんにちは、役員の皆様、秘書室の社長専属主任秘書の水沢杏奈です。志願して、
長期着用型宇宙服の永久装着実験者として装着試験及び、サンプルとしての生活を開始しています。
よろしくお願いします。」
そう言って、杏奈は挨拶をした。
といっても、杏奈にとって、身体を曲げるような行動があまり得意ではない身体になっていたため、
軽い会釈をしただけであった。
役員たちがヒソヒソ話をし始めたのを見て、私は、
「水沢主任の長期着用型宇宙服を装着した時の集音能力は非常に高いと先程説明したばかりなのですよ。
みんながしているヒソヒソ話は、全て、水沢主任に聞こえていると思わないといけません。注意するように。」
役員全員が沈黙し、会議室内は水を打ったように静かなった。
81manplus:2006/04/16(日) 17:59:40 ID:Ey15CVo50
「大丈夫ですよ。役員の皆さんの小さな会話に気をつかわせないように、集音ボリュームを下げています。
今は、標準人体並みの聴力しかありませんのでご安心ください。」
役員の顔に安堵の表情が広がった。
「水沢君、気遣い感謝するよ。」
私は、杏奈にごく事務的に感謝の言葉を言った。
「社長、ありがとうございます。」
杏奈も事務的に答えた。
TPOによる会話の使い分けは、二人とも心得ていたし、杏奈は、秘書サイボーグとして、コンピューターの
アシストにより、より、ビジネス上のモラルが完璧になっているようだった。
杏奈のインナーヘルメットから見えるアウターヘルメットのフェイスプレートには、このような時の
担当役員との会話の仕方が表示されるようになっているのである。
ただし、杏奈の業務の習熟度合いを脳との協調によりコンピューターが判断し、杏奈が判断に困る可能性が
ある場合か、杏奈が必要だと感じた時にのみ表示されるようになっていた。
役員から、
「水沢主任に質問しても好いでしょうか?」
という声が上がった。
私は、その為に杏奈を呼んでいたため、断る理由がなかった。
逆に杏奈の長期着用型宇宙服を装着された一般的に異様な姿が社内で受け入れられるには、
役員が納得するまで質問をしてくれた方がいいのだと判断していたのであった。
 いつも、杏奈を見慣れていた副社長が口を開いた。
「水沢君は、長期休暇を取っていることになっていたのが、まさかこういうことになっているなんて
思いもよらなかったです。長期着用型宇宙服を触っても好いだろうか?」
私は、他人に杏奈が触られるのを見るのもいやだった。
たとえ、ボディーケースの上からでもなのであったが、少し、理性で抑えることが出来た。何故なら、杏奈にとって、
長期着用型宇宙服の外側に作用した感覚が杏奈に伝わることは全くなかったからであった。
82manplus:2006/04/16(日) 18:12:15 ID:Ey15CVo50
 副社長は、杏奈が装着している長期着用型宇宙服を上から下まで叩いてみていた。しかし、
杏奈にとっては何も感じることはなかったのであった。
「すごい、まるで肌のような弾力だ。」
副社長が感心した。他の役員が、
「水沢主任は、サイボーグになって、経口での食事が出来なくなったと聞いているのだが、
食事をしたいと思ったことはないのかね?」
という質問が飛ぶ、
「最初のうちは、そう言う願望というか欲望があったのは事実です。
でも、今は、食事を口から摂りたいという欲望もなくなってしまいました。
そう言う欲望を消す訓練や精神処理も受けていますから。
それに、もう今となっては、口を使用して固形物を摂取するという習慣もなくなっていますし、
訓練も受けていないですから、口から食物を摂取するという動作を行うことは無理になってしまっていると思います。」
 役員たちの中から、また、ため息が漏れた。
彼らは、自分がそのような身体になったらどう思うのだろう、自分はサイボーグには、
たとえ命令をされたとしてもなりたくないと思っているに違いがなかった。
杏奈も、そういう空気を読み取ったに違いなかった。
「でも、このサイボーグという身体は、慣れてしまえば、どんな環境下でも平気ですし、まして、
長期着用型宇宙服をという鎧を装着されていますから安心なんです。前からの懸案だった、
我が社の宇宙ステーションへの出張も簡単に出来るようになりました。
私は、宇宙ステーションや各国の月面基地への出張も希望していましたので、
その志願がしやすくなったので嬉しく思っています。
地球外環境での生命の安全性が飛躍的に上がったということに感謝しています。
各国のアストロノーツの皆さんからのアンケートでも、宇宙生活が長いアストロノーツの皆さんは、
生身の身体よりも、はるかに生命維持機能の高い身体になることや装備に包まれることに強い希望を持っています。
生身の身体より、宇宙空間での作業性の向上を優先したいと思う方が多いという事実もあります。
私の姿を見たら、きっと、この新商品を採用することに強い欲求を覚えることと思われます。」
83manplus:2006/04/16(日) 18:15:58 ID:Ey15CVo50
杏奈は、自分の身体の優位性やアストロノーツたちの願望をよどみなく説明してくれた。それでも、
役員たちにとって自分の身に起こりたくない事だという意識は消えるはずもなかった。その気持ちは、
無理のない事であった。
何故なら、人間としての身体を意志があるという点では人間と変わりないとはいえ、身体のほとんどを機械に
置き換えられたロボットと変わらないものに変えられてしまうのであるからだった。
しかも、アストロノーツたちは、そういう身体になってもいいと思っている事にも驚きを感じているようだった。
「ところで、水沢さん。長期着用型宇宙服の着心地はどんなものなのですか?」
別の役員が質問をした。
「はい、この長期着用型宇宙服の着心地は、私の身体が全て包み込まれているように感じると共に、
従来の分厚くて運動性のない宇宙服に比べると素肌に近い感じで、外の気配を感じる事が出来るという点で、
普通の洋服を着ているよりも、素肌に近い感じです。」
杏奈は台本通りの答えをした。普通の長期着用型宇宙服なら、杏奈の解答そのものなのだが、
杏奈のために作られた長期着用型宇宙服は、外部からの刺激感覚を全て排除されていて、素肌に密着していて、
ボディーラインがハッキリ出ている程の密着度にかかわらず、分厚い従来の宇宙服以上に外部感覚を
感じさせてくれないようになっていた。
杏奈の身体が包まれているのは、私の希望により、宇宙服ではなく、全身貞操帯なのだから、
当然なのではあった。杏奈は、言葉を続けた。
84名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 18:16:43 ID:zC4CzCJw0
M.I.B.さん、続きを愉しみに待っています。
85manplus:2006/04/16(日) 18:18:30 ID:Ey15CVo50
「もう、長期着用型宇宙服を装着されて一ヶ月間の訓練を受けましたので、今は、この状態が普通になりました。
たぶん、長期着用型宇宙服を脱いでのサイボーグ単体の姿の方が、違和感と不安感を感じると思います。
今の状態が私にとって快適な状態です。長期着用型宇宙服の中は、どんな環境下でも人間にとって一番快適な
状態に保たれていますから。
自分の体温の放出を利用して、バックパックのコントロールによって、長期着用型宇宙服内が最適環境に
常時なっているようなシステムになっています。
それに、サイボーグ手術で生体皮膚と同化処置を受けた人工皮膚によっても最適体温が保証されていますから、
二重で、最適環境に置かれるように管理されています。逆に言えば、刺激がない生活というのかもしれません。」
杏奈の実際の身体に起こっているサイボーグとしての宿命と、長期着用型宇宙服の着用者としての宿命が淡々と
語られる事により、役員の反応は、人間が別の生命体になった事による自分たちとのギャップに
驚きの声にならない声が上がった。
違う役員から、
「水沢君は、空気を呼吸していないんだよね。その感覚ってどんなものなんだろうか?」
杏奈のガス交換システムへの質問がとんだ。
86manplus:2006/04/16(日) 18:27:25 ID:Ey15CVo50
「私の呼吸は、循環液という特殊な液体で行われている事は、最初の技術担当役員の
三瀬取締役が説明されたとおりです。私は、空気を呼吸していません。
バックパックから私の体内、そして、体内のタンクに満たされた循環液によって、ガス交換、栄養交換などの
全ての代謝機能が賄われています。
それに、心臓も人工心臓として取りつけられているロータリーポンプによる循環機能が代替されているのです。
もう、心拍音もしない身体になっています。
もう慣れましたが、心臓の鼓動がしないというのも、なにか変な感覚がありました。
しかし、液体呼吸をしている事により、宇宙空間に作業に出る時には、減圧処理の必要が無く、
宇宙作業効率の向上が図られる事になりました。それに、この循環液のリサイクルによって、
3600時間ノーメンテナンスでの生命維持が可能なのです。
私のこのシステムは、現在開発中の完全環境独立型スーパーサイボーグの開発の前段階に当たるシステムなのです。
将来は、完全リサイクル循環代謝システムが開発され、そのシステムを搭載した、完全環境独立型サイボーグが、
外惑星での長期滞在探査や海洋作業、宇宙空間や海中での軍事作業に活躍する事になるのです。
呼吸を必要としないサイボーグ体にも、今は完全に慣れています。外界と隔離された生活も快適ですよ。」
役員たちにとって、ついこの間まで、同じように生活をしていた人間だと、杏奈を思う事が出来なくなっていたのだった。
役員にとって、杏奈は、まさに宇宙人だった。それに、今見ている長期着用型宇宙服の着用者である杏奈以上に
人間離れしたサイボーグが開発段階であり、スーパーサイボーグの出現がもうそんな先の話ではないという事も、
わかっている事なのだが、現実味を実感する事が出来ないでいる役員が大半を占めていたのだった。 
一通り、杏奈への質問が終わったところで、私は、役員に対して、長期着用型宇宙服の商品名を
何にするかを決めたいと提案した。
役員たちの推薦の多かったものが、『スペースフィットスーツ』であった。
私は、杏奈が装着している長期着用型宇宙服を『スペースフィットスーツ』にすることを決めた。
87manplus:2006/04/16(日) 18:28:00 ID:Ey15CVo50
杏奈の装着されている商品の名称が正式に取締役会で決議され、取締役会は終了をした。終了時点で、
私は、役員全員に
「水沢君の身体について、補足しておくが、彼女は、純粋なサイボーグアストロノーツではなく、
秘書サイボーグとしての能力も付け加えられている。
対外的には、あくまでも、サイボーグアストロノーツが、秘書をしているという事にしておいて欲しい。
彼女の秘書サイボーグという側面に関しては、我が社の商品ではなく、我が社の優位性を保つ秘密兵器であります。
だから、そこの部分は、役員以外には秘密である事を肝に銘じて欲しい。
もし、この秘守義務を怠ったものは、技術的に完成しつつある、スーパーサイボーグの実験体となってもらい、
外惑星開発、海底開発の仕事についてもらう事になるから、覚悟しておいてくれ。」
と言明したのであった。
役員全員が、凍り付いたようになって、絞り出すような声で、
「わかりました。」
そう言って、席を立って会議室を出て行った。
 会議室には、私と杏奈だけが残った。
「水沢君、お疲れ様。」
私は、杏奈に業務的に言った。杏奈が疲れる事は全くないし、精神的にも、サイボーグであり、
スペースフィットスーツの装着者である誇りを持っていたので、疲れてはいなかったのであった。
杏奈は、人間である前に、機械人形でしかないのであった。
しかし、私は、その機械人形だけを愛する特殊な人間なのであった。
「お気遣いありがとうございます。」
88manplus:2006/04/16(日) 18:37:00 ID:Ey15CVo50
そう、気丈に事務的な会話をする杏奈を私は、愛おしく思わずにはいられず。
「今日の夜は、私の杏奈になってくれ、水沢君。」
そう答えた。杏奈は、
「わかりました。社長のスケジュールは、今日は、役員会の後は社内での書類の整理となっていますので、
18時以降がプライベートとなっています。私は、18時以降は、一人の女性に戻らせていただきます。
一人の女性ではなく、一人の片桐伸二に愛される身体をもらった水沢杏奈に戻ります。」
といった。プライベートとの線引きが、キッチリと頭の中にある、秘書としても最高の人間をサイボーグとして、
私好みにしたのは正解だったのである。
杏奈の公私のけじめは最高の秘書としての最高の条件であった。
私は、この地球上でも、スペースフィットスーツを私が脱がす以外には、閉じこめられて抜け出す事の出来ない、
囚人生活を送っている杏奈がたのもしく思えた瞬間であった。
 私と杏奈にとって、新たに迎える初夜になることであろう。
「それでは、私の部屋に19時に来てくれ。」
「ハイ。了解しました。」
私の言葉に杏奈は嬉しそうに答えた。
「今日は、私から君への贈り物がある。楽しみにしていてくれ。」
私の言葉に杏奈は、心を弾ませて、
「楽しみにしています。後で伺います。」
89manplus:2006/04/16(日) 18:47:37 ID:Ey15CVo50
こんばんは。
皆さんの意欲的な投稿で集中しての投稿を
戸惑ったのですが、投稿してみました。
今回は、杏奈の装着しているスペースフィットスーツを
商品として、販売開始するための役員会議を
杏奈の初出社の場としました。
役員が目の当たりにするスペースフィットスーツ装着者を
どう受け止めるかを書いてみました。

次回は・・・。どの様な展開にするかはお楽しみにしてください。
片桐が杏奈をどんなに大事にしているかを表現したいなと思っています。
片桐独自の愛情表現です。

3の444様
リクエストに応えてくれてありがとうございます。
楽しみにしております。

pinksaturn様
意欲的な投稿ご苦労様です。
地球上でもそれぞれの生活のエンジョイの仕方。
楽しく読ませてもらいました。講師リエ編も楽しみにしています。

メタルセクレタリー様
晴香さんの秘書サイボーグとしての生活どの様になるのか
楽しみです。続きを期待しております。
90pinksaturn:2006/04/16(日) 21:19:30 ID:F2dJKl4H0
manplus様
好調のようですね。
そういえば、先週の毎日新聞で現実の話としてラバーフィットスーツorスペースフィットスーツに似た構想が出てました。
やはり、イラスト見た感じだと男は着れなそうな形状ですね。

たまには、このスレだって、祭りがあっても良い気がしてきました。
ということで、リエにはもう一働きして貰います。

−−(10)講師リエ−−

教育委員:「わざわざ済みません。リエ一等兵様。」

リエ:「そんな、堅くならなくても。ほら、ぴっかー、人間プラネタリウムですよー。」

教育委員:「噂通り明るい方で。あの、お茶で大丈夫でしょうか?」

リエ:「できれば、アルコールが。ところで一体どういうご用件ですの?。」

教育委員:「実は、私どもの地区の素体供出率が振るわなくて悩んでいるのです。」

リエ:「素体適性って殆ど生まれつきで、あんまり努力の余地がないですよね。
こちらで悩むより、厚生省にでも遺伝子管理を強化して貰った方が良いのでは?。」
91pinksaturn:2006/04/16(日) 21:21:45 ID:F2dJKl4H0
教育委員:「遺伝子の統計調査はやって貰ったのですが、他地区と変わらんのです。
それで、やはり深層心理面の問題ではないか、とゆうことになりまして。
つまり建前では、帝国本体に於いて、宗教行為等の禁止徹底が奏功している。
よって、素体供出に関する抵抗感の問題は解決済みである、となっています。
しかし、まだ地区によっては児童心理に改造への恐怖感が潜んでいるのではないかと。
それが、本能的に算術応用力や反射神経の発育に悪影響を与えるということで。」

リエ:「私は心理学とか全く判りませんが。なんの役に立つというので?。」

教育委員:「臨時講師をお願いしたいのです。
講義内容は、宇宙でのお仕事でも、日常生活でもサイボーグのことなら何でも良いです。
ありのままにお話し頂ければ、まあ子供向けですから性的なことは除いてですが。
ぶっちゃけ、リエさんでしたら、外見もサイボーグらしさ満点ですし、明るいですし。
他の宇宙兵の方も、明るい方は多いのですが、特区で副業される方が殆どですので、
まあ申し訳ないですが、ちょっと外見に非教育的な傾向が強いですから。」

リエ:「ふーん。この体の趣味を活用したいというのは嬉しいですね。
ただ、この外観過激なんで、子によっては逆効果にならないか、責任もてませんよ。」
92pinksaturn:2006/04/16(日) 21:25:26 ID:F2dJKl4H0
教育委員:「その点は私どもの責任ですからご心配なく。
その供出率の不振といいますのが、特に男児の方が問題でして。
やはり、どうしても女児より素体化への心理的負担が重いですから。
それで、海外の文献なども色々調べてみたのです。
例えば、南亜ユニオンなどでは、貧しい農村家庭の次男三男が、
売春婦になるために性転換することが当たり前に行われているそうです。
社会全体がそういう風潮なら、身体改造への恐怖心も自然に抑えられるんですけどね。」

リエ:「たかが売春のためだけにですか。よくやるよなあ。
まあ、私らも副業に熱中するものが多いので似た面はありますが、
あくまでも、サイボーグ化の副作用でメタルヘルス上やむを得ず、ですから。」

教育委員:「リエさんは、大丈夫なのですか?。」

リエ:「特定の愛人が居ますし、この体を人に見られるだけで快感が得られるので。」
93pinksaturn:2006/04/16(日) 21:29:05 ID:F2dJKl4H0
教育委員:「そうですか。参考になります。
で、本題に戻りますが、我が帝国には貧困なんぞありません。
よって南亜の真似なんてしようもありません。
やはり、正攻法で子供たちにサイボーグの果たす社会的役割を真面目に教えようと。
それには現役サイボーグに直接ふれあって、親しんで貰うのが一番ですから。
で、リエさんなら男児に人気のある、ダカラのアレに似ておられるので。
ああ、どうかお気を悪くなさらないで下さいまし。
それで、宙軍の給与に比べ些少で心苦しいのですが、報酬の方も、
通常の教員単価でお出ししますので、何とかお願いしたいのですが。」

リエ:「気を悪くなんて全然。私もファンなので。」

教育委員:「お引き受け願えますか。そうですか。ああよかった。
では、こちらの日程で宜しいでしょうか。」

リエ:「ずっと家でごろごろしてる気だったので、全部OKですよ。
忘れるとまずいので、メールで日程表下さい。体内CPUにセットしますから。」

教育委員:「この後すぐ送信しますので。ではよろしくお願いします。」
94pinksaturn:2006/04/16(日) 21:35:01 ID:F2dJKl4H0
校長:「今日の修身の時間は、外部から講師の先生が見えています。
宙軍一等兵のリエ様です。それでは、よろしくお願いします。」

級長:「起立、礼、着席。」

生徒:「おはようございます。」

リエ:「みなさん初めまして。宙軍艦隊第29採鉱小隊のリエ一等兵といいます。
今日は、みなさんにサイボーグや宙軍の現実を正しく知って貰うために来ました。
みなさんは、宙軍の主な任務を知っていますか?。そこの君、どうかな?。」

生徒:「宇宙の資源や惑星の土地を敵に取られないように戦うことです。」

リエ:「他には?。はい、そこの君?。」

生徒:「敵国が私たちの真上にある静止衛星軌道を使って攻撃しないように見張ることです。」

リエ:「2人とも、一応間違ってはいませんね。しかし、それが宙軍の全てではありません。
今のところ、宇宙でライバルになりそうな国はありますが、直接攻撃を仕掛けた相手は居ません。
では、ライバルになりそうな国を知っていますか?。はい、君。」

生徒:「北米連合と満漢人民共和国、スレイブ共和国連邦です。」
95pinksaturn:2006/04/16(日) 21:38:18 ID:F2dJKl4H0
リエ:「良くできました。特に危険なライバルは北米連合です。
北米連は民主主義という多数決を原則とする政治形態をとっています。
多数意見に従って物事を決めるのは、一応合理的ですが、危険も伴います。
人間は元来わがままなので、身勝手な意見がそのまま政策になってしまうからです。
みなさんは北米連の歴史をどう思いますか?。」

生徒:「小国の政治に言いがかりをつけて、一方的な条件で資源を収奪してきました。」

生徒:「地球温暖化防止条約に反対し、小さな島国の人の生存権を省みませんでした。」

リエ:「その通りですね。そして、現在彼らは月のヘリウム資源独占を狙っているのです。
したがって、他国が独自に大規模な有人宇宙開発を行うことを嫌っています。
もしも、我が帝国が大規模な有人宇宙開発を行っている事が知られたら何をするか判りません。
彼らは、民主的決定というお墨付きさえあれば核攻撃も全く躊躇しないでしょう。
もし、ここが核攻撃されたらどうなると思いますか?。」

生徒:「狭い島国なので、逃げるところがありません。」

リエ:「その通りです。
このため、帝国は有人宇宙飛行について一切外国に知らせないようにしています。
宇宙資源の採集、静止軌道工場衛星は、現場で柔軟な判断を出来ない自働機械による事になっています。
この秘密を守るために、宇宙事業を宙軍が独占的に行っているのです。
この宇宙資源開発・利用の活動が、はじめに言った”戦いが全てでない”宙軍の要素です。
このような制約下で、宇宙開発をするには大きな問題があります。何でしょう?。」
96pinksaturn:2006/04/16(日) 21:43:15 ID:F2dJKl4H0
生徒:「有人ロケットの打ち上げを隠すのが難しそうです。」

リエ:「なるほど。では、どうすれば隠せると思いますか?。」

生徒:「貨物ロケットに見せかけた有人ロケットを打ち上げます。」

リエ:「そうです。但し、小型貨物ロケットの性能で人を運ぶのは難しいです。
そこで安全に貨物ロケットに乗れる人間である全身サイボーグが必要になります。
このため、宙軍は幹部だけでなく一般兵士までサイボーグで編成されています。
みなさんはサイボーグについてどう思いますか?。」

生徒:「年を取っても外見が女子高生みたいで変わらないのは、気持ち悪いです。」

生徒:「リエ先生のようならかっこいいと思います。」

リエ:「休暇中の外見は、本人の自由な選択が大幅に認められています。
また、任務中も宇宙での活動に支障無い範囲で選択が可能です。
ただ、選択の自由を使いこなすことは意外と難しいことや、体力の衰えがなく老化を自覚しにくいため、
初期改造当時の外見のままで居ることを選ぶ人が多いのです。
私のような外見は、個人的には好きなのですが、秘密を守る上の制約が伴うためか少数派です。」
97pinksaturn:2006/04/16(日) 21:49:51 ID:F2dJKl4H0
生徒:「強制的に改造されるのはかわいそうだと思います。」

リエ:「改造対象者を強制的に決めることに、抵抗感があるのは無理からぬ事です。
ただ、宇宙活動やサイボーグ化に適した人が少なく、それを15歳頃に自覚するのも難しいです。
自覚が出るまで待ったのでは、老化が進んで改造後に活躍できる期間が短くなってしまいます。
改造には多額のお金がかかるので、最適な人を選んで失敗を避け、少しでも長く活躍してもらう必要があるのです。」

生徒:「サイボーグが宇宙での活動に有利だと思ったことは?」

リエ:「良い質問です。最大の利点は、不自由な宇宙服が要らず、宇宙空間の物を直接触れることです。
私の部隊は、資源調査のために小惑星を見に行くことが多いです。
いちいちサンプルを持ち帰らずに、役に立つ星かおおよその判断をその場で行うには、直接手を触れられると大変有利です。
また、酸欠や放射線障害という宇宙で会いやすい危険に強いため、死ぬことが滅多ない安心感も大切です。」

生徒:「宇宙で死んだ人はどれくらい居るのですか。」

リエ:「航行中の艦に物体が衝突し穴があく事故は幾度かありましたが、死者は出ていません。
サイボーグは装備次第で最大76時間真空中に居られるという利点が効いているのです。
外国人と接するためサイボーグが殆ど居ない地軍や特区海軍では、海難等で毎年死者を出しています。
これに比べ、宙軍兵の任務中死亡例は脳の病気のみで、平均寿命は100歳を超えています。」
98名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 21:54:03 ID:LK/7Vr3u0
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99pinksaturn:2006/04/16(日) 21:57:56 ID:F2dJKl4H0
生徒:「そんなに長く生きるのは大変ですね。」

リエ:「宙軍では、勤務期間当たりの休暇が、民間の2倍以上あります。
延びた寿命も合わせると一生分の自由時間が一般人の寿命を越えてしまいます。
しかも、脳以外の病気に罹らないので自由時間を自分のためだけに使えます。
素体選定では、自由時間を有意義に過ごせる性格かどうかも考慮されます。」

生徒:「たまには、病気で休みたくなりませんか?。」

リエ:「いいえ。私は、薄着が好きなので風邪をひかない体が気に入っています。
宇宙に出るときも、規則で決められた安全装備以外殆ど身に着けないですね。」

生徒:「その、股のところに着けている帯みたいなのって、宙軍の安全装備ですか?。」

リエ:「いいえ、これは個人的趣味で身に着けています。
私は、透明素材で出来た体なら、服は邪魔なだけで要らないと思います。
でも、形が普通の人と同じだからそれじゃお行儀が悪いという人もいます。
それで、あまり邪魔にならず、お行儀の問題もないような服装を選んでいます。
この帯のようなのはふんどしという、外国の衣類でとても気に入っています。
君たち知らないかな?。昔、海外スポーツ中継でスモレスってやってたじゃない。
スモレス界では、試合用コスチューム、また礼儀正しい正装として使われています。
これは、そのスモレスの正装を真似て、馴染みのブティックで製作させたものです。
私ね。そのころ、活躍したスモレス終身チャンピオンの大ファンだったの。
本気でお嫁さんになりたい、なんちゃってね。
まあ、それは儚い夢だったけど、コスチュームの真似だけは今も続けています。」
100pinksaturn:2006/04/16(日) 21:59:26 ID:F2dJKl4H0
生徒:「まるで、普通の女の子みたいですね。」

リエ:「その通りです。サイボーグ化のときに、脳はそのまま組み込まれるのです。
だから、普通の女の子らしい感情を持ち続けるのは当然です。
外国では、”胸に手を当てて”などと、まるで体に心があるような言葉使いが残っています。
こんなのは、脳の役割が判らなかった原始時代の名残で、今も影響されるのは野蛮だと思います。
これが、今日一番知って欲しかったことです。」

校長:「そろそろ時間です。今日はありがとうございました。これで、修身の時間を終わります。」

級長:「起立、礼、着席。」

(学校の道徳(旧・修身)の時間って、無駄かせいぜい受験勉強の合間の息抜きだった気がします。
せめて、こんな授業だったら少しは真剣に聞いたかも。
一般兵士の休暇は気楽ですが、皇族となるとそうも行きません。
次回予告:(11)次期皇太子選挙)
101名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 07:56:00 ID:BiyLJudY0
保守。
(手足を外してメンテナンス)
102名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 11:58:12 ID:plP3kkuz0
いきなり両手両足を外してしまい、元に戻すに戻せず
半ベソかいて途方にくれるサイボーグっ娘萌え。
103無名:2006/04/23(日) 11:58:37 ID:gemEq23k0
【お見合いは嵐の予感】

 「神無月、お前に紹介したい人がいるんだが」
 午後の診察が終わり、休憩室で一息入れていた所に内科の高橋さんにそんな事を言われた。
 「え、どんな人なんですか」
 「え、じゃないよ。お前はもう30になったんだから、そろそろ彼女の一人くらい作らないと駄目だろう。だから俺がお前にピッタリの相手を見つけてあげたんだよ。どうだ、一回だけでいいからお見合いでもしたらどうだ」
 いきなりお見合いと言われても、どうすればいいのか分からなくなってしまう。だいたい私はお見合いなんかする気にはならないのだから。
 「相手はどんな人ですか?写真、見せてください」
 高橋さんはお見合い用のアルバムを見せた。写真に写っている女性はけっこうきれいで、フレームのないメガネをかけていた。
 「名前は丘野真澄って言うんだ。どうだ、お前にピッタリだろう。とりあえず今度の非番のときに会いに行ったらどうかな。彼女もきっと喜んでくれるだろう」
 今度の休日か…まあ、とりあえず顔見せだけでもしてこようか…。
 「では今度の休日に会ってみます。それでどこで待ち合わせした方がいいですか?」
 「そうだな…、彼女に言わなくちゃいけないから、明日か明後日にでも言っておくよ。それまで待っててくれよ」
 そういって高橋さんは休憩室を後にした。とはいってもお見合いなんて初めてだし、会ったとしてもすぐに仲良くなるわけでもない。休みまであと4日後か…それまでなんとか覚悟を決めないと…。
私は書類の片付ける用事があるのを思い出して、診察室へ戻った。
104無名:2006/04/23(日) 11:59:12 ID:gemEq23k0
「それでお兄ちゃん、誰がお見合いするの?」
 夕方、夕食を食べてるときにお見合いの話を二人にしてみたら、かながそのことを疑問に思ったのか、私にお見合いの事を聞いてきた。
 「それがね、実はお兄ちゃんがお見合いをすることになったんだよ」
 「ええ――――っ!!」
 それを聞いたかなは、驚いた顔になった。
 「な、なんでそんな事になったの?お見合いって、気に入ったら結婚するってことなの!?」
 「いや、そうじゃない。一度会って話をするだけだよ」
 まさかかながそんな事を言うとは思わなかった。いつもはそんな話を聞こうともしないかなが、こんなときだけは興味を示している。まったく呆れたものだ。
 「それで、お見合いっていつするの?」
 「予定は5日後だけど、まだいつするのかはっきりと決まってないんだ。向こうの都合もあるし」
 「もし行くことになったら、かなも一緒に行っていい?」
 「なんでお前が一緒に行かなくちゃいけないんだ」
 「お兄ちゃんがいやといっても、かなはついて行くからね。もしお見合いの相手がお兄ちゃんを悲しませる事をしたら、かなが黙っちゃいないよ」
 それは嬉しいんだけど、かなが絡むとろくな事にならないからな…。
 「でもかなちゃん、慶介お兄ちゃんの邪魔だけはしないでね」
 母さんがかなに注意をした。どうやら母さんはかなが行くのを止めないみたいだ。
 「わかったよ。連れてってやるから、おとなしくするんだぞ」
 「ヤッター!」
 喜ぶかな。しかしこれでいいのだろうか。もしかなが余計なことをしたら、私のお見合いも台無しになってしまう。私はかなが変な事をしないかどうか心配だった。
105無名:2006/04/23(日) 11:59:43 ID:gemEq23k0
 次の日、午後の診察が終わった後、私は高橋さんにお見合いの事で休憩所に呼ばれた。
 「丘野さんはいつでも良いそうだ。場所は和食処『残月』。午前11時に来てほしいそうだ」
 「そうですか、どうもありがとうございます」
 本当は、付き合うかどうか分からない相手とお見合いするのはあまり好きではないのだが、せっかく高橋さんが勧めてくれたお見合いだ、断るわけにはいかないだろう。
 「ところで神無月、お前ってお見合いは初めてだったよな」
 「はい、それがどうしたんですか?」
 「1度でも経験すればお前のためになるだろうと思っただけさ。まあ、がんばって来いや」
 高橋さんは私の背中を叩き、休憩所を出ていった。がんばって来いったって…。お見合いをする前から、私の脳裏に不安が過ぎった。

 そしてついにお見合いの日がやってきた。
 「行ってくるよ」
 私はネクタイを直しながら車庫に向かった。車の前にはかなが文句を言いながら待っていた。
 「遅いよお兄ちゃん、早くしないと逃げられちゃうよ」
 逃げるわけないだろう…と、かなに言おうとしたが、話がややこしくなるのでやめた。
 「ねえねえ、その女の人って美人?それともかわいい方?カリカリしてたら嫌だなぁ」
 おいおい、そんな妄想するなよ。お前がお見合いするわけじゃないんだからな。
 そんなわけで私とかなを載せた車は、待ち合わせの場所へ出発した。
 ここから待ち合わせの場所からは、車で四十分くらいの距離のところにあった。余裕を持って出発した私だが、途中で渋滞に巻き込まれてしまい、予定の時間に着けるかどうか微妙な時間になってしまった。
106無名:2006/04/23(日) 12:07:41 ID:gemEq23k0
 「ありゃりゃ、けっこう道が混んでるね。これじゃあ遅れちゃうね」
 助手席のかなは楽観的に渋滞を見ている。このままじゃ時間に遅れてしまうな。電話しようとしても、運転している状態じゃかけることもできやしない。しょうがないので、
私は近くの道の駅に車を止めて丘野さんに電話を入れることにした。
 「あ、すいません。神無月ですが、渋滞に巻き込まれてしまったので、少し遅くなるかもしれません。ご迷惑をおかけしますが、もう少し待っていてもらえませんか」
 「ええ、大丈夫ですよ。神無月さんもお気をつけて」
 丘野さんは心配しているみたいだった。
 電話を切った私はかなの待つ休憩所へ向かった。でも会う前からこうなってしまうと幸先が不安になる。何とかして無事にお見合いを終わらせたい、そう思わずにいられなかった。

 渋滞の道を抜けて30分後、やっと目的地の『残月』に到着した。
 「どこだ、予約した場所は」
 あった、一番奥の部屋だ。私達は急いで奥の部屋に入った。
 「すいません、遅くなってしまって」
 「いえ、大丈夫ですわ」
 丘野さんはにっこり笑いながら迎えてくれた。私とかなは靴を脱いで座敷に上がった。
 「始めまして、丘野真澄です。あなたの事は高橋さんからよく聞かされていました」
 「神無月慶介です。こちらこそよろしくお願いします」
 やっとお見合いが始まった。私は丘野さんに何を話そうか考えていた。そうしている内に、かなが私の腰をどんどん叩いてきて、小声で話しかけてきた。
 『お兄ちゃん、もう少しリラックスしなくちゃ駄目だよ』
 『分かってるよ、だからお前はもう少し静かにしてろ』
 私がかなに小声で話していると、丘野さんが心配そうにこっちを見ていた。
107無名:2006/04/23(日) 12:08:25 ID:gemEq23k0
「あの、どうかしましたか?」
 「いいえ、何でもありません。ところで、丘野さんのご趣味は?」
 丘野さんは照れくさそうに答えた。
 「卓球を少々…」
 卓球か…丘野さんにしては意外な趣味だな。
 「神無月さんのご趣味は何でしょうか?」
 「ドライブです」
 『うそ。車で遠出なんてあまりしてないくせに』
 いい加減にしろよ、かな。私はかなのおしりをぎゅ〜っとつねった。
 『いたたたっ、痛いよお兄ちゃん。も〜、本気にするんだから』
 『だったら大人しくしてろよ』
 私は小声でかなに注意してからさっきの話の続きをした。
 「丘野さんはいつの頃から卓球をやり始めたんですか?」
 丘野さんは照れくさそうに答えてくれた。
 「小学生のころからやってました。でも今はやる暇が無くて…」
 「けっこう上手なんでしょうね」
 「いいえ、それほどではないですよ。卓球クラブではあまり目立たなかった方ですから」
 なるほど、趣味でやっていても上手と言うわけではないようだ。
 「神無月さんはドライブが趣味と言っていましたが、どこかお勧めの場所は無いですか?」
 困った、お勧めの場所と言われてもどこを言えばいいのか分からない。悩んでいる私に、かながちょっかいを出してきた。
 『だからかなは言わない方がいいって言ったのに』
 『お前はそんな事一言も言ってなかっただろう』
 「神無月さん、何かありましたか?」
 ほら見ろ、丘野さんに変な感じで見られたじゃないか。いい加減ちょっかい出すのやめてくれ。
 「い、いえ、何でもありません。お勧めの場所ですか…」
 う〜ん、どこかあったかな…。そうだ、前行った場所があったな。
 「温泉なんかどうですか。○○温泉っていうところなんですが、一度行って見たらどうですか」
 「わたし、ちょうど温泉に行きたかったんですよ。あとで一度行ってみますね」
 よかった、何とか話を繋げる事が出来た。私は次の話題に進んだ。
108無名:2006/04/23(日) 12:08:58 ID:gemEq23k0
「お仕事は何をなされてるのですか?」
 よりによって仕事の話をしてしまった。こんな所で仕事のことを言ってどうする。私は話した事を後悔していた。
 「わたしは老人ホームでヘルスケアをしてるんです。毎日おじいさんやおばあさんとお話できるのでけっこう楽しくやっています」
 丘野さんはにこやかに応えた。一時はどうなるかと思ったが、彼女はいい反応を示してくれたので結果的には好かったかもしれない。怪我の功名ってことか。
 「それはよかった。私も似たような仕事をしています。医師をやっていまして、そこで色々な人を診ているんです」
 「そうなんですか。わたし達って似たもの同士なんですね」
 それがきっかけで、私と丘野さんはまるで気が合ったかのように話が進んでいった。しかしそれとは裏腹にかなの機嫌は悪くなっていった。
 『お兄ちゃん、いい加減にしようよ。さっさとお話終わらせようよ』
 『お前な、静かにしろと言ったはずだぞ。ここに居るのが嫌なら車に戻ってるんだな』
 『はいはい、分かったよ。静かにするよ』
 その時はまだかながどんな事をするのか予測できなかった。ただ不機嫌なだけだと思っていたからだ。
 
 「そういえば神無月さん、わたし達ってお見合いしてたんですよね。すっかり忘れてしまいました」
 「それもそうでしたね。そうだ、今度私の家へ遊びに来ませんか。うちの母も喜ぶと思います」
 「ええ、いいですよ。時々遊びに来てもかまいませんか?」
 それを聞いたかなはますます不機嫌になって、私をにらみ付けた。
 「それはかまいませんが…」
 「お兄ちゃん!もう帰ろうよ」
 いきなりかなが立ち上がってこんな事を言い出した。それをみて私は、おもわず怒ってしまった。
 「かな!じっとしていられないなら外で待ってろ!!」
 それを聞いたかなは、目から大粒の涙を流して叫んだ。
 「お兄ちゃんなんか、大嫌いだ―――――――!!」
 そしてかなは座敷から出て行ってしまった。しまった、こんな事になるなら怒らなければよかった…。だが、もう後の祭りだ。
109無名:2006/04/23(日) 12:16:19 ID:gemEq23k0
「すいません、こんな事になってしまって…」
 「神無月さん、妹さんの事も大事にしないと駄目ですよ」
 丘野さんはさっきのにこやかな表情とは違い、真面目な顔になってこちらを見つめていた。
 「わたし、神無月さんがうらやましいんです。こんなに仲のいい妹さんと一緒にいるんですもの、幸せだと思います」
 「丘野さん、どういうことですか…?」
 「かなちゃんはきっと、神無月さんの事でやきもちを焼いていたんだと思います。そうじゃないとそんな事にならないと思うんです」
 そうか…。だからかなはあんな事言ってお茶を濁す真似をしたのか…。分かってあげればよかった。
 「神無月さん、このお話しばらくの間考えさせていただけませんか。わたしもかなちゃんを見て、もう少し自分を見つめなおしたくなりましたから。
今日のところはこれで失礼させていただきます」
 丘野さんは静かに席を立った。
 「そうですか…。またお会いできますか」
 「わたし達がお互い考えがまとまりましたら、またお会いしましょう。それまでかなちゃんの事、大事にしてあげてくださいね」
 そう言って丘野さんは座敷から去っていった。丘野さんはお互い考えなければいけない事があると言っていた。もしかすると私は大事な事を忘れていたのかもしれない。
だから今回のお見合いは見合わせると言ったのだろう。今度逢えるのはお互いの心の整理がついたときになると思う。
それまでは逢う事はないだろう。
110無名:2006/04/23(日) 12:17:08 ID:gemEq23k0
「おい、いつまで泣いてるんだ」
 駐車場に戻った私は、車の後ろでうずくまって泣いているかなを見つけて、声をかけた。
 「…だって、お兄ちゃんあの人と結婚することになったら、家から出て行っちゃうんでしょ。そうしたらかな、お兄ちゃんと遊べなくなっちゃうよ…。だからかなは、
お見合いをだめにしようとあんなことしたんだ…」
 そうか、だから一緒に行くって言ったのか。馬鹿だなあ。結婚したってお前と離れるわけないのに…。
 「お見合いの事はもういいんだ。だからお前は心配しなくてもいいんだよ。さあ、泣いてないで一緒に帰ろう」
 「いいの?お兄ちゃんそれでよかったの?」
 「ああ。そうだ、帰りにお前の好きなそばでも食べに行こうか」
 そう言って私はかなの肩を叩いた。するとかなは急に立ち上がり、車の助手席があるドアの方に走っていった。 
 「それじゃあ、今日はお兄ちゃんのおごりという事で!」
 相変わらず立ち直りの早い奴だ。でも私はかなのそんな所が好きなんだけどな。
 「ははは、こいつめ」
 私も運転席のドアへ走っていった。今日は色々考えさせてくれた一日だった。丘野さんの事、家族の事、そしてかなの事…。これからも色々な出会いが待っているだろう。
でも私はたとえ結婚しても、かなが大人になるまで見守っていようと改めて心に誓うのだった。
111無名:2006/04/23(日) 12:24:05 ID:gemEq23k0
みなさんお久しぶりです、無名です。
「お見合いは嵐の予感」をお送りしました。
しばらくの間ここへ来ていなかったのですが、けっこう小説の掲載が増えてきてますね。
掲載している私もこれは嬉しいと感じてしまいます。小説の数が多いので、感想は次の機会にでも書こうと思いますので
もうしばらくお待ちください。
さて次回はカオリさんと庄野君のお話を書く予定です。ご期待ください。
112pinksaturn:2006/04/23(日) 14:31:36 ID:ByLrR7eV0
(オプションパーツの続きです。)

−−(11)次期皇太子選挙−−
(宮殿にて)

朝子10世:「ただいま戻りました。陛下。東宮様。」

皇帝知子1世:「3年間の任務ご苦労様でした。
本来なら、ペリリューの離宮あたりで、しばらく休養して下さいと言いたいところです。
しかし、残念ながら2点程やっかい事を抱えて貰わなければなりません。」

朝子10世:「厄介事と仰せられますと?。」

知子1世:「一つは、次期皇太子選挙のことです。
皇室典範の通り、次期皇太子は毎年選挙を行い、過去10年の累積結果に基づいて毎年再選定されます。
被選挙人は、累積功労ポイント条件を満たした女系女子の皇族でしたね。
今回成功裏に終了したの任務の結果、貴女の累積功労ポイントが被選挙資格に届きました。
私は、皇帝推薦票を貴女に投じるつもりでおります。」

朝子10世:「いきなり皇帝票ですか、正直気が重いです。またどうして?」

知子1世:「世界情勢が貴女を必要としているのです。詳しいことは東宮に言って貰いましょう。」

皇太子・朝子8世:「この先30年の内には北米との衝突は避けがたいであろう。
戦時にあっては、そなたの特異性が宙軍大臣を兼ねる東宮のつとめに必要じゃ、我が子よ。」
113pinksaturn:2006/04/23(日) 14:33:48 ID:ByLrR7eV0
朝子10世:「サイボーグ化の副作用である、あの性癖が薄いのは姉上や華子も同じですよ。
功労なら、華子の方が上です。それに女系女子の本旨からも相応しいです。
ましてや、私は直系後継者が殆ど得られないXXYではないですか。」

皇太子:「それを知るものは、ここの3人だけじゃ。
他の皇族や公家らの支持に差し障る訳ではあるまいて。
そもそも、それこそが姉9世や華子を凌ぐそなたの特異性の源であろう。
みな素体となったときに女子となっているのだから典範には抵触せぬ。
本旨など気にする者は少数派じゃ。次の代は、そのときあらためて最適な者を選べばよい。
それに華子は技術者タイプじゃ、工場の功績は確かだが情勢に合わぬ。」

朝子10世:「私としては、冥王星を探検したかったのですが。」

皇太子:「それはやっても構わぬ。
むしろ功績について公家らを納得させるにはよい任務じゃ。
なにせ、北米連が強くこだわる”惑星”だしのぉ。
万一、探検中にそのときが来たら華子に代行を命ずるがいい。
決戦のときまでにそなたが戻っていれば困るまい。」

皇帝:「そういうことで、よろしく。で、もう一つの件を。」
114pinksaturn:2006/04/23(日) 14:37:39 ID:ByLrR7eV0
皇太子:「いよいよ北米連が火星の有人探査を実行するようじゃ。
既に地上での資材製造が進んでいて、近々モジュールの打ち上げが始まる。
軌道上で組み立てるとして、出発はおよそ3年後だろう。」

朝子10世:「無事に火星まで行かせる訳にはいかないですね。」

皇太子:「火星の秘密地下施設やアイスインパクト計画の現場を見られてはならぬ。
ロボットによる作業でないことはすぐに判ってしまうからな。
かといって、まだ北米連と戦争をする訳にもいかん。
宇宙だけでならサイボーグの力で優位に立てるだろう。
しかし、本国や衛星軌道を核から守りきるのはまだ無理じゃ。
やるなら、衛星軌道に十分な迎撃戦隊を配備できるよう宙軍を増員せねばな。
それには時間がかかる。」

朝子10世:「私に秘密の妨害工作を命じられるのですね。」

皇太子:「そういうことだが、今すぐではない。」

朝子10世:「いつ?。」

皇太子:「そちの次回探査案はトロヤだったな。
あの案通りなら、帰りの軌道を調整すれば、火星到着の1,2ヶ月前に向こうの船とすれ違うだろう。」
115pinksaturn:2006/04/23(日) 14:43:33 ID:ByLrR7eV0
朝子10世:「では、その時に事故を?。」

皇太子:「そういうことじゃ。方法は任せる。
向こうの宇宙船の詳細な情報は外務大臣から直接な。」

朝子10世:「方法は腹案があります。
おそらく採鉱員を2名ほど増員する必要があると思いますが。」

皇太子:「増員となると、艦は竣工予定の”みくら”を使うのじゃな。
人の方は、他から引き抜くとなるときついな。新兵で構わぬか?。」

朝子10世:「トロヤは遠いですから、元々”みくら”を使いたいと思っていたのです。
増員による積載も問題ですが、軌道調整が大きくなると、尚更ですね。
決行が帰り道ですから、兵の方は途中で鍛えます。それで手配願えますか。」

皇帝:「トロヤ探査とこの件を合わせて成功させれば、10年間貴女に皇帝票を投じ続けても異論を唱える者は無いでしょう。
せっかくの休暇に申し訳ないが、計画作り、宜しく頼みますよ。
外務大臣との打ち合わせはぐらいは、離宮をお使いなさい。」
116pinksaturn:2006/04/23(日) 14:46:46 ID:ByLrR7eV0
(離宮にて)

外務大臣・弥生(黒の公家当主):「殿下、お久しゅうございますね。」

朝子10世;「弥生公、忙しい中、こんなところまで済みませんね。
陛下のおはからいで、打ち合わせくらいは此処でのんびりやれということですので。」

弥生:「いいえ、この件が最優先ですから。
半月ほどかかっても良いようスタッフ同伴で来てます。
本音を言うと、私もたまにはのんびりしたくて。
たぶん、次官は泣いてるでしょうけど。」

朝子10世:「では、今夜は大臣とスタッフの歓迎晩餐会といたしましょう。
タロキチ、ブッチャーをここへ。」

執事・タロキチ「奴をでございますか。
まあ、直にお好みを聞かせるなら仕方ないですね。では。」
117pinksaturn:2006/04/23(日) 14:53:00 ID:ByLrR7eV0
弥生:「ブッチャー?。まさか、あの...」

朝子10世「ええ、あの人肉事件で人権削除刑になった本人ですよ。」

弥生:「懐かしいわね。研究熱心が高じてあんな事になって、惜しいと思っていたので。
とっくに、実験材料になってしまったと思ったら、まだ料理人をやってるなんて。」

朝子10世:「体はそのままですが、人間をやめてるので、料理人でなく料理マシンですけど。」

弥生:「大使時代に公邸料理人として使っていたことがあって。
現地の料理を覚える能力は超人的でしたよ。」

朝子10世:「コントローラーを埋め込むため大脳をかなり切っているので感情はないです。
たぶん貴女を思い出すことは出来ないでしょうが、料理の勘だけは残っていますよ。」

ブッチャー:「オヨビデゴザイマスカ、ヒメサマ。」

朝子10世:「こちらのお好みを伺いなさい。」

ブッチャー:「オキャクサマ、ナンナリト、オモウシツケクダサイ。」

弥生:「出来るなら、松茸の土瓶蒸しを。後はお任せするわ。」

ブッチャー:「カシコマリマシタ、デワ、バンサンノシタクニカカリマス。」
118pinksaturn:2006/04/23(日) 14:56:52 ID:ByLrR7eV0
弥生:「あの感情のなさは、確かに殆どロボットですね。」

朝子10世:「まあその通りですね。
脳改造実験としては成功の部類だけど、行動の殆どを建物に設置した主制御装置に頼っているし。
体だけなら私たちの方がよほど機械に近いのに。やっぱり脳って難しいのね。」

弥生:「電波が届かなくなったら刃向かいませんか?。」

朝子10世:「鬱みたいになって、動けなくなるだけですよ。
さてと、まず今日のところは情報ソースの確認をしましょう。
それ次第で、予定外の事態を考慮すべき程度が違いますから。
あちらの船の造りなどは明日からということで。」

弥生:「ご存じの通り、在北米連大使館は特区自治政府の管轄です。
大使館の活動に、外務省は関与していません。
我々の工作は、専ら特区の環境NGOを利用しています。
主なルートは、提携関係にある北米連内の環境NGOです。
そこを通じて、北米連のサイボーグ開発を妨害させるために、あちらの人権団体や宗教強硬派を継続的に支援しています。
特に、宗教強硬派は自称愛国者が多く、兵器メーカーの社員も多数居ます。
今回の情報は、メーカーで働くそういった団体の構成員から得たものです。」
119pinksaturn:2006/04/23(日) 15:00:07 ID:ByLrR7eV0
朝子10世:「すると、モジュールの製造に直接加わった者からも?」

弥生:「複数の作業員から情報を得ています。
設計者は含まれないので数値は断片的ですが、材質や厚みから船体規模が推定できます。」

朝子10世:「乗員数やエンジン配置は判りませんか?。」

弥生:「モジュールの総数を把握できないので、下限しか。乗員数は5名以上でしょう。」

朝子10世:「向こうの船がある程度大きくないと、惑星間で捕捉は難しくなるのです。
それから、乗員がサイボーグでないとすると、余裕が無いので武装はあっても僅かでしょう。
但し、隕石排除用の武器があると厄介なのでなんとか情報が欲しいですね。」

弥生:「断片的な部品の情報から割り出せると良いのですが。」

朝子10世:「宙軍研究所から何人か呼び寄せます。
明日以降、そちらのスタッフと合同で検証を進めましょう。」

弥生:「とりあえずソースの状況はよろしいでしょうか。
ところで、次期皇太子選挙のことですが、私としては貴女になっていただきたいと思っています。
そのためにも、今回の件、首尾よく行くと良いですね。」

朝子10世:「はは、貴女まで...。
陛下からもそんなこと言われてますが、正直気が重くて。
まあ、そういった話は酒の席の方がよろしいでしょう。
とりあえず、今日はそろそろ晩餐会にしませんか。」

弥生:「では、一度宿舎に戻りますので、後ほど。」

(情報の検証を追うのは大変なので、手抜きします。
それなりの成果はあったらしく、殿下は次の作戦計画を決めたようです。
次回予告:(12)出動準備)
120Dark Mater(架琉魔):2006/04/24(月) 04:29:09 ID:wl1U3R3t0
(恵委華のレポート続きとです。)

「ふろーふし?」
「そっ♪
サイボーグ技術はそれの応用なんだよ。」

……あれは、機械共が暴走を始める直前の事さ。
「被険体に…アタシがですか!?
そんな…アタシはそんな志願書なんか書いた覚えはありません!!」
ばしっ
「うっ…!!」
「…すまんな、もしこれで失敗したら資金の援助が打ち切られる。
時間がないんだ。」
父は超薬学医で、母は機械工学者…
アタシはそんな二人の間に産まれたせいか、生まれつきの天才科学者として名をはせていた。
ただ父がマッドサイエンティストでさ、薬で眠らされて…気がついたら密閉空間だったよ。
「これは…っ!
嫌あっ!誰か…誰か開けてよお!!」
伊達に天才を名乗ってないよ。父の研究にも目を通していたアタシにはこれが何の装置かすぐわかったよ。
被険体に遺伝子変換薬及びナノマシンを空気感染させる為の密閉空間さ。
「うっ…げほっ、かはっ!
やめ…てぇ…ああぐっ!?
かはぁっ…」
ガスでむせるわナノマシンは体を蝕むわ…
あれは母神と同じくらいの苦痛だったわ…
121架琉魔:2006/04/24(月) 04:29:55 ID:wl1U3R3t0
架琉魔です。
とりあえず一レスしか送れないとです。
122名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 07:34:57 ID:0uaxyjOj0
スレスト?中につき保守
123名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 11:13:32 ID:Z1oN9Gv10
改造シーンが萌え萌えのmanplusさま、続きマッテマス
124無名:2006/04/29(土) 18:11:41 ID:QMIJDlgf0
快楽の中に潜むもの

 雨は激しく降り注いでいた。男は家に帰る途中で、偶然見つけた少女を自分のベッドに寝かせてつけていた。彼女は何も身につけているものはなく、
裸の状態だった。瀕死の状態だった彼女は男の家まで運ばれて、汚れた身体を拭かされていたのである。
 少女の身体を拭いていた男は、彼女の身体が普通の人間の物とは違う事に気付いた。そう、この少女は全身が機械でできているのだ。その証拠に、傷ついた
彼女の身体から人工筋肉や金属の骨格といった、明らかに機械で構成されたものが傷口から露出している。彼女はアンドロイドか…?しかし男は少女がアンドロイド
ではない証拠をつかんでいた。男が少女をベッドに運んだときに、偶然にも頭のパーツが外れてツーテールの髪が落ち、少女の頭の皮膚が一部剥がれ落ちた。
恐る恐る剥がれた所を除いてみると、半透明な頭蓋骨の中に人間の脳が入っていたのだ。そう、この少女はサイボーグなのだ。それにしてもなぜこの子が路地裏に
倒れていたのだろうか…?そんなことはどうでもいい。俺は彼女を見捨てる事ができなかった、ただそれだけのことだ。男は彼女の身体を拭きながらほくそえんだ。
125無名:2006/04/29(土) 18:13:04 ID:QMIJDlgf0
 少女の身体をすべて拭き終わった男は、汚れたタオルを洗濯するために洗濯機がある部屋に向かった。男は洗濯機のスイッチを押すと、
また少女のいる自分の部屋へと戻っていった。だが、男が部屋に戻っても少女はピクリとも動かなかった。どういうことなんだろうか…。
男は少女の身体をじいっと見つめた。全身が機械でできた、血の通っていない身体…。やわらかそうな手も、引き締まった脚も、ほんのり
ピンクに染まったアソコも、すべて人工のもの。彼女の残された生身は脳だけしかないのだ。男はそうっと少女の顔を手で撫でて、人工毛髪の
髪を手でとかしてあげた。顔を見ていると少しだけ口から息をする音が聞こえてきた。おそらく寝息なのだろう。続いて男は胸の方を見た。
乳首はうっすらとピンク色に染まっている。時々ピクッと乳首が動いた。息をしているからだろうか。それとも何かを感じているのか…。
 そして男はさらにその下の股の部分を見た。こうして見るといかに本物と変わらないかが分かってしまう。それだけ人工の性器がよくできている
という証拠なのだろう。男はしゃがんで彼女の性器をそっと触ってみた。本物そっくりの感触…。生身のそれと何ら変わらない触り心地だった。
男がアソコを触ると同時に、彼女の身体がビクン、ビクンと動いた。感じているのだろうか。もしかしたら夢の中で快楽を楽しんでいるのかもしれない。
男はそっと少女のアソコに指を突っ込んでみた。指は何の抵抗もなく入っていった。しばらく指で中をいじった後、ぬめっとした指を彼女のアソコから引き抜いた。
と、同時に少女の身体がビクっと動いた。アソコからは半透明の液体が流れ落ちてくる。この液も人工のものなのだろう…。少女の身体はビクビク動きながらアソコ
から人工の愛液を垂れ流していた。
126無名:2006/04/29(土) 18:14:18 ID:QMIJDlgf0
 人工愛液のせいでシーツが汚れてしまったので、男はシーツを取り替えるために少女の身体をベッドから下ろそうとした。そのとき、少女の目が少しずつ開いて、
まどろんだ感じで男を見つめた。
 「だめ……もっと私を楽しませてよ」
 男は驚いていた。彼女から快楽を求めてきたのだ。こんな幼い少女がHをしたがるなんて…。男は彼女の望み通り、指でアソコをしごいてあげた。ビクッ、ビクン。
しごくたびに彼女は喘ぎ声を出しながらアソコから人口の愛液を撒き散らした。
 「ああ…なんて気持ちいいの…。こんなに快感なのはしばらくぶりだわ…」
少女はプルプル震えながらエクスタシーを感じていた。機械の身体だというのに、シリコンで出来た人工の性器だというのに…。指が疲れてきた男は、指をアソコからすっと抜いた。
 「だめよ、まだ終わってないじゃない」
 少女は擦り切れて汚れが染み込んだ足の裏で男の顔をそっと撫でると、男の頭を両脚で挟みこんで強引に自分のアソコを男の顔に近づけた。男は少女の意外な行動に驚きながらも、
彼女のアソコを目の前で見たせいで興奮状態になっていった。
そして舌で少女のアソコをペロペロ舐めてあげた。
 「んっ…そう…それでいいの…。もっと私のアソコをきれいにして…」
 男は少女のアソコがきれいになるまで舐め続けた。しかしきれいに舐め終わった直後に、新たな人工愛液がアソコから出てきた。おいおい、お前のアソコは底なしか?男はそう思ったが、
泉のように湧き出てくる愛液を見て、また舐めたいという感情に包まれていった。
127無名:2006/04/29(土) 18:22:30 ID:QMIJDlgf0
 男はしばらくの間少女のお尻を疲れるまで突きまくった。そして彼女が最高のエクスタシーを感じたとき、ゆっくりとモノを抜いた。抜いたと同時に少女はシーツの上へ倒れていった。
 「はあ…はあ…とってもよかったわ…。私今までにない快感を体験しちゃった」
 仰向けになった少女は、ボロボロの足の指を動かしながら快感の余韻に浸っていた。男はというと、何回もヤったために相当な疲れを感じていた。
 「…お前ってそんなにタフなのか?」
 男が少女に質問すると、彼女からこんな答えが返ってきた。
 「あなた、私の身体を見たでしょう。こんな身体だからいくらヤっても疲れることが無いの。ただ快楽が残るだけ」
 そうだった、少女の身体は疲れを知らない機械の身体。快楽と性感だけが彼女を人間だと証明できるのだ。
 「フッ、そうだったな。だがこっちは疲れる身体だ、少しは気を使ってほしいものだな」
 それを聞いた少女はクスクスと笑った。
 「それもそうね。すっかり忘れてたわ。これからは手加減するから」
 少女はベッドから降りて、男の方へと歩いていった。
 「さっきはどうもありがとう。こんな私に付き合ってくれたのはあなたが始めてよ」
 そして彼女は男の口に深いキスをした。
 「…これは…」
 「お礼のキス。私、あなたに逢えてよかったわ」
 そう言って少女は玄関の方へと歩いていった。
 「…また逢えるだろうか?」
 「ふふふ…、運がよかったらね」
 少女のアソコはまだ濡れていて、歩くたびに彼女の人工愛液と男の精液が混ざり合ったものがポタポタと床に落ちていった。彼女はそれを気にせずに玄関まで歩き、近くにあった
レインコートをかぶると、裸足のまま玄関の下へ降りた。
 「いつかまた、一緒にヤれるといいね」
 その言葉を残して少女は雨が激しく降る外へと飛び出していった。
 「…ああ、いつかヤろう」
 男は少女の後姿を見送った。
 …あれからしばらくの時が過ぎたが、男が少女の姿を見る事はなかった。ただ、あの一夜の事だけが彼の記憶の中に残っている。そしてその記憶は忘れる事は無いだろう、永遠に。 
128無名:2006/04/29(土) 18:45:19 ID:QMIJDlgf0
こんにちは、無名です・・・。
今回は予定を変更して読みきりを掲載しました。自分で言うのもなんですが、
ちょっと恥ずかしいと思ってしまいました。皆さんはどう思われますか?
ご意見、ご感想をお待ちしています。
次回は前回に予告どおり、カオリさんと庄野くんが出会うお話です。
>>pinksaturnさん
けっこう内容がハードみたいですね。戦争ものってハードな展開が多いので、
見ているこちらもハラハラしてしまいました。今度のお話はいよいよ作戦開始
のお話みたいですね。楽しみにしています。
>>架琉魔 さん
ついにナノマシンまで出ましたか。このナノマシンが物語の鍵になるかどうか
はわかりませんが、不老不死の素がこのナノマシンと関係あるかもしれないので
期待しようと思います。
>>manplusさん
なぜ杏奈さんが自らスペースフィットスーツを着たのかが、これでわかりましたね。
スペースフィットスーツのアピールのために着たんですね。それにしてもこの格好で
秘書もしなくてはいけないので、大変ですね・・・。もっとも本当の目的は別にあるん
でしょうけども・・・。これからの展開が楽しみです。
129pinksaturn:2006/04/29(土) 21:57:19 ID:yj4MGdWZ0
(”オプションパーツ”の続きです)

(宙軍地上基地内、搭乗員待機室)

マサ:「ああ、やれやれ。また3年間飯抜きで仕事かあ。」

タラ:「せいぜい飯の代わりに知識でも詰め込む事ね。」

マサ:「へいへい、軍曹さま。ところで真理亜様は?。」

タラ:「5日前に軌道工場に上がっておられるわよ。
今度の任務は新造艦”みくら”で行くから、将校方は全員先に行って工場側の最終艤装に立ち会ってるの。」

マサ:「なあんだ。急にクピドタワーから消えてしまわれたかと思えば。
あっちの商売しっかり貢献したから最後におごって貰おうと、探したのに捕まらない訳だ。」

タラ:「まだそんな事ばかり考えてるのか。進歩が無いねえ。
新兵が来てるから、あんたも指導手伝うのよ。シャキッとしなさい。」

マサ:「増員ですか?。どこも人足りないってのに意外な。」

タラ:「今度は未探検空域だから手間かかるってんで殿下が動いたのよ。
軌道に上がったら、出航準備中にあんたが宇宙作業の訓練やるんだよ。
機材チェックの方は、私とリエ、リホ、エリでやっておくから。」
130pinksaturn:2006/04/29(土) 21:59:36 ID:yj4MGdWZ0
新兵・ミキ:「ミキ2等兵です。宜しくお願いします。」

新兵・マオ:「マオ2等兵です。宜しくお願いします。」

マサ:「とりあえず、その足でちゃんと立てるようね。優秀じゃない。」

ミキ:「2人とも3歳からバレエをやってますので、元々ポワントはいくらでも続けられます。」

マサ:「へえ、2人とも元から女の子?。そお、いいわね。
まあ、いくら地上で楽勝でも、重力無いとまた勝手が違うから覚悟しとくのよ。」

タラ:「私は冬子の準備を手伝ってから行く。分析の小物があるからな。
マサは、60分後にそいつらを連れて発射台に集合だ。
楽勝のようだが、念のため地上歩行訓練をやっておけ。いいな?。じゃ、行くよ。」
131pinksaturn:2006/04/29(土) 22:02:46 ID:yj4MGdWZ0
(発射台前)

マオ:「ずいぶん小さいですね。これに乗っていくのですかあ。」

マサ:「外国だとこんな固体ロケットじゃ、せいぜい科学衛星かICBMだね。
まあ、運ぶ荷物といえば、我々サイボーグと小物類が殆どだし。
おまけに、今は、上げる物資より降ろす物資が遙かに多いからね。
こいつは、行き専用なんで向こうに着いたら、工場で解体してリサイクルよ。」

ミキ:「シートもないようですがどうやって乗るんですか?。」

マサ:「柱が8本立ってるでしょ。あの金具で体を固定して立ったまま乗るのよ。
小物は外壁に沿って固定するの。
貧乏国の人口過剰都市では、生身のままこんな体勢で毎日2時間とか電車通勤するそうよ。
それに比べりゃ打ち上げなんて楽なものよ。
万一のときは、カプセルが分解して柱のてっぺんのパラシュートで降ろしてくれるからこれで結構安全らしいし。」

マオ:「なるほど。しかし、これで毎日通勤は嫌ですね。」
132pinksaturn:2006/04/29(土) 22:06:54 ID:yj4MGdWZ0
タラ:「お、ちゃんと来てたな。」

リエ:「マサ、久しぶりぃ。」

マサ:「リエ、まだそんな格好なの?。呆れたぁ。」

リエ:「これでちゃんと耐放射仕様なのよ。胸だけメタリックになってるでしょ。」

冬子:「まあ良いんじゃないの。うちの子なんかすっかりファンになっちゃったし。」

リホ:「搭乗時間になったわね。」

エリ:「また満員立ちんぼか。まあ、燃料注入とか無くて無駄に待機させられない代償だしねえ。」

タラ:「よし、入れ!」

管制員:「M55ロケット 950901貨物便 カプセル閉鎖。 秒読み開始 300。
上空飛行禁止区域進入機無し。海上警戒エリア監視長波レーダー反応無し。
機体各部モニター異常なし。...3,2,1,ファイア!」

マオ:「きゃー。やっぱり怖いよぅ!。」
133pinksaturn:2006/04/29(土) 22:12:50 ID:yj4MGdWZ0
(軌道工場ベイ内、新型資源収集艦”みくら”艦首部品倉庫)

朝子10世:「奈々侯、ここで、予備機器類の確認は最後ね。」

奈々:「そうです。あれ?。まだ消耗品や重機は搬入前なのに、未開梱の機材がありますね。」

軌道工場・艤装作業主任:「副長さま、あれは、勅命により一昨日の貨物便で上がってきた特殊部品です。
指示は、殿下しか読みとれないICタグに記録されているそうですので、確認願います。」

朝子10世:「どれどれ。ん?。後日圧縮パケットにて指示あるまで開梱しないこと。
これだけか。わけわからんけど、確かに陛下の指示だから従うだけね。」

奈々:「そうですか。
作業主任、いつまでこのまま積んで置くか判らないから、最大加速度条件で固定しておいてね。」

作業主任:「かしこまりました。艦体および固定装備・予備部品の確認項目はこれで終了です。」
134pinksaturn:2006/04/29(土) 22:16:11 ID:yj4MGdWZ0
(上昇中の貨物ロケット・カプセル内)

マオ:「うう、怖いですう。暗いし狭いし。」

マサ:「大丈夫だってば。ほら、もうここまで加速ついたら落ちないよ。
ここでならロケット故障しても、自分の足で軌道工場に行ける高度だから。」

タラ:「おいおい、暗いって?。視覚は外部監視に切り替えてないのか!。」

マオ:「済みません。手順忘れてました。」

ミキ:「実は、私もです。ちびっちゃいました。」

リエ:「ははは、正直で良いね。みんな最初はそんなもんだって。
ちびったなんて気のせいよ。そもそも、その体は排泄要らないんだから。」

エリ:「じきに対地で東経129.9度あたりですね。」

マサ:「お、工場のフラッシュ見えたじゃん。」

タラ:「みんな気を抜くなよ。ここからの速度合わせが長いんだから。」
135pinksaturn:2006/04/29(土) 22:19:41 ID:yj4MGdWZ0
(軌道工場ベイ)

監視員:「貨物便、引き込み完了。退避命令解除。」

真理亜:「あいつらも無事上がってきたな。使える新米だと良いんだけど。」

タラ:「この係留位置だと重力半端よ。ぶつかったり、流されないように、一人ずつ出るのよ。
マサ、最初に行って新米に手本ね!。」

マサ:「ああ−っ。真理亜様が出迎えに来てくれてますう。それっ...
しまった、急ぎすぎて角速度合わない。...危ない!、ごめんそこの人どいてー。」

ミキ:「あのぉ。真似して宜しいのでしょうか?。」

タラ:「止めときなさい。
指示訂正、素体養成所の座学通り、ゆっくりコリオリの力を計算しながら降りること。
宇宙兵は、短気も、暢気も、常にほどほどを心がけるようにね。」

真理亜:「やれやれ。折角素体データの優れた新兵を貰ったのになあ。
作業指導するのがあいつじゃあねぇ。バカが感染らなきゃ良いけど。」
136pinksaturn:2006/04/29(土) 22:25:00 ID:yj4MGdWZ0
(エアロック)

マサ:「さっきは、真理亜様のことしか頭になくてしくじっちゃったけど、いつもはあんなもんじゃないのよ。」

マオ:「判っております。先輩。」

マサ:「よしよし。じゃ、維持装置二次に切り替えた?。次は、このランドセル1個ずつ背負ってね。」

ミキ:「何ですか?。」

マサ:「ピクニック弁当だと思えばいいわ。
工場と鉱山を結ぶゴンドラ沿いなら、危なくないし、遊泳訓練といっても散歩みたいなものよ。」

マオ:「宇宙用の体じゃ弁当といいましても?。まして外でなんて。」

マサ:「例えよ。自分の足で歩いたら補給が必要になるでしょ。」

マオ:「そりゃそうですね。」

マサ:「さて、気圧は落ちたな。二人とも、足のジェットにエラー無い?。よし、じゃ、行こうか。」

ミキ:「そーれ、しゅーっ、くるくるくる。」

マオ:「負けないわよ!えーい。」
137pinksaturn:2006/04/29(土) 22:28:08 ID:yj4MGdWZ0
マサ:「ほお、いきなり。3歳からバレエやってるって言ってたけど。初めてにしちゃ随分...。
あ、地上と違って自然には止まらないのよ。初めから、あんまり遊ぶと危ないって。」

ミキ:「あ、はい。でも回転運動なら手足延ばして角速度落とせば、あとはジャイロで止めて良いですよね。」

マサ:「基本はそれで良いよ。但し、あんまり高速からだとジャイロ痛めるから、ジェットも使うのよ。
それにしても上手いじゃないの、バレエでいくら鍛えたって宇宙でいきなりは難しいのに。」

マオ:「二人ともアイススケートもやってたんで、瞬間的ですけど無重力の経験があるんです。」

マサ:「アイススケートぉ?。熱帯の本国で?。ああ、たしかに地底アイスワールドにリンク有ったね。
でも地底アイスワールドったら馬鹿高いので有名なテーマパークだよ。
そんなしょっちゅう行けないでしょ、フツー。あんたたちの実家って金持ち?。」

ミキ:「うちは、まあまあ。それより、マオの父上はアイスワールドのオーナーですから。」

マサ:「えええっ。アイスワールドのオーナー!。大金持ちじゃん。
でも、そんなお嬢様育ちじゃ、素体訓練辛かったろう?。」
138pinksaturn:2006/04/29(土) 22:32:02 ID:yj4MGdWZ0
マオ:「いいえ。元から覚悟決めてましたので。
父が、いずれ戦争になったら地上にいるより宙軍に入った方が生き残る可能性高いと考えて。
それで、少しでも素体適性を上げるためにバレエとスケートをやらせたのです。
訓練中はプライバシー無いのが嫌だったけど、内容自体はそんなに辛くなかったです。
バレエの先生やスケートのコーチがモロ体育会系だったんで、素体教官より怖かったですよ。
手術は流石にショックでしたけど。牛みたいに解体されるとは思っていませんでしたから。」

マサ:「はは、牛とは良い例えだ。使うところと捨てるところが逆だけど。
牛なら殺してからだが、生きたままだから尚更惨い鴨。2度は絶対勘弁だね。」

ミキ:「ウチの親も似たような考えでしたわ。
アイスワールドに冷凍装置納入してたので、マオの父上から情報貰ったのかな。
そんな調子だから、召集令状来たら喜んでいましたね。
自分としても、足首かなり壊してたんで、落ちてたら今頃びっこでもっと辛かったかも。」

マサ:「へえ。金持ちってのはみんな凄い事考えるのねえ。
私だったら遊んで暮らすが、って徴兵されたらそうもいかんか。
お、ゴンドラ出てきたよ。荷物だけじゃなく人も乗ってるね。交代の時間か。
あっち側が鉱山だよ。」
139pinksaturn:2006/04/29(土) 22:37:32 ID:yj4MGdWZ0
マオ:「大きいですね。あんなのに重機でエンジン建てて、運んで来ちゃうんですか。」

マサ:「まあね。私はそんな地味な仕事より撃ち合いが良いけど、偉い人は戦争嫌いだからなあ。」

ミキ:「マサさんは、重機の天才って言う噂ですよね。」

マサ:「ああ、まあね。いずれ教えてあげるよ。
アレを使うには、まず宇宙遊泳が楽勝じゃないと。そのために今日の訓練なのよ。」

マオ:「あれっ。ジェット止まっちゃった。」

マサ:「身体制御の推進剤データ見て!。さっきの勢いで使ったら、もうカラっぽかもよ。」

ミキ:「ああっ、こっちも残り僅かだわどうしよう。」

マサ:「だからぁ。ちゃんとお弁当持ってきたでしょ。口じゃなくお尻の穴からだけどね。」

マオ:「ああ、これ予備推進剤タンクだったですね。」
140pinksaturn:2006/04/29(土) 22:39:49 ID:yj4MGdWZ0
マサ:「無重力下で一人で補充はまだ無理ね。やってあげるからパンティおろして!」

マオ:「えーっ。ここでですか、恥ずかしいですう。」

マサ:「動けないんだからやるしかないでしょ。早く降ろしなさい。」

マオ:「しょぼーん。」

マサ:「それ、ほい浣腸ーーーーーっ。満タン入りましたあ。」

マオ:「ひっ。うううううう、はあー。ああ恥ずかしかった。もうお嫁に行けないよお。」

マサ:「次、ミキもよ。ほらほら、サイボーグがこれくらいで恥ずかしがらないの!。」

ミキ:「えーん。ゴンドラの人がこっち見てますよぉ。」

マサ:「いい気になってジェット使ったんだから、しょうがないでしょ。
宇宙じゃ、運動神経だけでは通用しないよ。計算高くないとね。これが今日の教訓!。」


(舐めさせる靴がないので定番通りには出来ませんでしたが、、軍隊の常識=二等兵いじめでした。
この隙に、出航準備も整ったようです。次回予告:(13)トロヤ群へ)
141pinksaturn:2006/04/29(土) 23:11:17 ID:yj4MGdWZ0
>>124-128
無名さんって、非18禁路線なのかなと思っていたのですが...
意外な一面を見せていただきました。良いじゃないですか。
でも、かなちゃんにはさせないで下さいね。

 ウチの娘たちの予定ですが、
当分の間は戦争物と言うより冷戦物の世界で、緊張下に地味な任務をこなしながら成長していく、
でもおバカなキャラは元のまま、という難しい役をやって貰います。
 もし私が役者で、そんなオファー来たら断りますけど。
まあ、フェチ板に登場する娘は苛められた方が萌えますので。
でわでわ。
142Dark Mater(架琉魔):2006/05/01(月) 02:59:24 ID:EHsSun0P0
「あぁ…ぁ…」
意識が途絶える直前、密室の外に鈍い音が響いた。
「ぐ…ふくっ…な……に…?」
しかし、それを気にする余裕は無かった。
身体には薬品が隅々にまで染み渡り…
最終調整として第二波の…<新しい身体>を形作るナノマシンが自動的に流れ込んできた。
「ひっ…ああぁっ!!
ひぎゃっ…くあああっ!!」
密室の中をのたうちまわるアタシは気付くことはなかった。
外では、更なる地獄が繰り広げられていた事には…。
「はぁっ…はあっぁ…」
息を荒くしたアタシは、苦痛が引いていくのが解った。
「う…」
自動的に開いた密室の出口に、アタシは這っていった。
その先の光景が、アタシを更に狂わせるとも知らずに…。
143Dog:2006/05/02(火) 20:30:35 ID:Dj7Jbax80
 大型犬用の檻の中で綺麗なマットの上に銀色の身体を横たえる。
 最初のうちは辛かった環境も思いのほか早く順応してしまった。
 今ではこの体勢が一番リラックスできる。
 嫌だった首輪も今ではなんの違和感も無い。
 鏡に映る私の姿は金属で出来た外観以外は、完璧に犬そのものといっても過言ではないだろう。
 檻に張られた私の写真だけが私が人間だったことを表していた。

 犬型の義体を与えられ、犬として躾けれ、犬として扱われている。
 そのことは私を急速に犬へと変貌させていった。
 今では専用のトイレで人前で用を足しても何の羞恥心も無い。
 果たして、1年後に自分が人間だったということ覚えていられるだろうか?
 大事に飼ってくれるなら、人間でなくても構わないかもしれない。
 そんな思いが過ぎる。
 だめだ。私は人間だ。
 鏡の中の銀色の犬が見つめている。
「貴女は犬じゃない。どう見ても犬そのもの。檻の中を快適だと思っている。犬以外の何だと言うの?」
 そんな言葉が聞こえてくる。
 私は人間。でも人間でいられるのはそう長くはなさそうだ…
144pinksaturn:2006/05/03(水) 14:13:53 ID:ujQzLEhd0
(オプションパーツの続きです)

−−(13)トロヤ群へ−−

(航行中の新型資源収集艦”みくら”艦橋)

操舵士:「メインエンジン巡航加速状態に入りました。」

朝子10世:「自動調整に切り替え、加速状態固定せよ。運用、重力区画の床面調整やって。
金星スウィングバイまでの1ヶ月はこのままでいきます。」

運用科員:「居住ブロック重力安定しました。」

朝子10世:「艦内放送を。」

運用科員:「つなぎました。」

艦内放送:「艦長です。出航作業ご苦労様でした。
既に通達したとおり、今回の目的地はトロヤ群、つまり木星ラグランジュポイントの小惑星群です。
未探検空域のため、通常の資源収集とは任務の性格が違うので、少し考え方を述べます。
当該空域は、小惑星帯や外惑星衛星とは重力状態が著しく異なるため、太陽系形成過程における物質分布が特異であった可能性も考えられます。
したがって、今回の任務では特定品目の収集目標はなく、薄く広くサンプルを取る事が目標です。
このため、採鉱員の増員を要請し8名体勢で臨むことになりました。
またこれに伴い、定員と積載量の多い新造艦を使うことになりました。
新型艦なので加速が改善し、艦体強度向上によりスウィングバイでも厳しい軌道が採れます。
作戦期間は従来の標準である3年より、やや短くなる予定です。
ただし、探査結果によっては火星への輸送任務が加わる場合もあるので、寄り道も覚悟しておいて下さい。
以上です。
 当直員を除き、別命あるまで自由休憩とします。」
145pinksaturn:2006/05/03(水) 14:19:05 ID:ujQzLEhd0
(兵員室)

マサ:「結局また地味な任務かあぁ。」

リエ:「未探検地域だから、ちっとはスリルもあるんじゃないの?。」

冬子:「収集ノルマ無しってことは、無事帰りさえすればボーナスでしょ。
子供に金がかかる身にはありがたいなあ。」

ミキ:「自由休憩って何時までなんでしょう?。」

リホ:「そういえば、初めてだったわね。この場合、たぶんスウィングバイまでの約1ヶ月の大半ね。」

マオ:「そんなに暇なんですかぁ。暇つぶしのものなんて何にも持ってないのにぃ。」

リホ:「部署によっては定期的な作業があるけど、採鉱は現地で忙しい分航行中は暇なの。
当直といっても簡単な雑用しか仕事ないし、8人で回すから。どうせ体なまらないから沢山寝ておくのもいいわよ。」

ミキ:「あの引き出しみたいな安全セルで寝るのは人間やめたみたいで好きになれませんね。睡眠不足が美容に影響しなくなっちゃったし。」

リエ:「美容に関係なくても生体脳を休ませないと寿命には影響するのよ。体が辛い訳じゃないんだから慣れる事ね。」
146pinksaturn:2006/05/03(水) 14:20:13 ID:ujQzLEhd0
マサ:「起きててもゲームが出来るから退屈なんかしないよ。」

エリ:「あれはゲームじゃなくてVRマシンを使った公式訓練プログラムだって、あんたいつも言い訳してるくせに。」

マサ:「まあ建前はそうだけど、新人にはそう言った方が判りやすいかなぁと。」

リエ:「要するに、宇宙作業の技術や軍事作戦の演習がゲーム仕立てになっているのよ。
スコア記録がVRマシンから人事サーバーに送られて能力評価になるの。
例えば、下士官昇格なんかでは所定の種目で基準ポイントを超えていないといけないとかね。
その他、大学の単位に認められる種目もあるの。」

マサ:「とりあえず、あんたたちには目的地到着までに重機操作の基本を済ませて貰わないとね。
ま、実態はゲームなんで楽しいよ。
基準点の125%を超えたポイントは給与に直接反映されるから、小遣い稼ぎになるし。」

タラ:「マサは、小遣いよりも真理亜侯の宿題が有るんじゃないの?。」

マサ:「え、まあそれはこの娘たちの指導の後、ぼちぼちと、ハイ。」
147pinksaturn:2006/05/03(水) 14:26:14 ID:ujQzLEhd0
(VRマシン室)

マサ:「眼球を引き抜いて、拘束台に備え付けの有線アダプタに代えるのよ。」

マオ:「眼球って、自分で取れるんですか?。」

マサ:「そうか、初めてか。アダプタの脇にぶら下がってる吸盤で引っ張れば簡単に抜けるよ。
コードレスだから。あ、外す前に視覚を監視カメラに繋いどかないと何も見えないからね。
入れ替えたら、アダプタのレセプタクルにファイバーコードのMUプラグ刺すの。
リンク確立すると、自動的に他の感覚も接続されてVR世界のスタート部屋に行くから。
あとは、スタート部屋のカウンターに立ってるバニーちゃんに聞いてね。」

ミキ:「目玉引き抜くのって怖いなぁ。えいっ。あ、ホントに取れちゃった。」

マオ:「あ、繋がった...(プログラム終了まで硬直)。」

マサ:「さてと、真理亜様の宿題かあ。やっぱ、生きた人間の解体は牛よりきもいだろうなぁ...」
148pinksaturn:2006/05/03(水) 14:29:36 ID:ujQzLEhd0
(1ヶ月後、兵員室)

艦内放送:「金星スウィングバイ6時間前、重力区画停止。総員不測の重力変化に備えよ。」

真理亜:「29採鉱小隊は、これより重機格納庫の監視に当たる。全員移動。」

ミキ:「スウィングバイの時って、かなりGかかるんですか?。」

マサ:「今までの経験だとエンジン全開でも1G以上はかかりようがないわ、事故が起きた事なんて無いんだけどね。
軌道修正のときは変な方向に力が加わることもあるから、一応格納庫で警戒態勢をとる決まりなの。
せっかく目的地に着いても重機が壊れてたら仕事にならないからね。」

タラ:「この艦はエンジンパワーが25%位でかいんで今までより無理が利くから、無人探査機並みに惑星のそばを通るよ。
それだけ軌道精度も要るから、急な加速をやると思った方が良いわ。用心なさい。」
149pinksaturn:2006/05/03(水) 14:33:21 ID:ujQzLEhd0
(重機格納庫)

マサ:「何も起きないまま待っていると結構暇ですね。」

真理亜:「金星だと地球みたいに突発的なデブリ回避なんてことは滅多に無いからね。
最接近の1時間前までは何も無ければ雑談ぐらい構わないわよ。」

マサ:「ところで、お言いつけなので、宿題やってるんですけど、きもいなんてもんじゃないですよ。
改造手術のシミュレーション、スプラッタのオンパレードで鬱になりそうです。」

真理亜:「藻前が鬱になるようなタマですか。で、ポイント取れてるの?。」

マサ:「手はついていけるのでポイントはまあまあです。
神経接続の10ミクロン間隔ったら半導体なんかに比べりゃ粗いんで立体的な動きさえ慣れればいいですから。
ただ、指示通りやれば出来るけど、手順が納得できてないっちゅう感じで。
特に、視覚レシーバのつなぎ込みが何であんな手間かけて脳の後ろ寄りでやるんだかさっぱり解らなくて。
胴や手足のトランスポンダだと背骨の横で規則的に繋いでくじゃないですか。
視覚も目玉のそばでぶった切って繋ぐ方が楽そうなのに。」

真理亜:「藻前らしいねえ。
要するに座学はダウンロードしただけで読んで無くて、いきなりゲーム感覚でシミュレーションかあ。
まあ、単位さえそろえば納得して無くても助手にこき使えるのは一緒だから私は構わぬが。
その程度のことは、http://pinksaturn.fc2web.com/tech-links.htm の1のリンク追えば理由がわかるのに。」

マサ:「はあ。どこかに理由書いてあるならいいです。」
150pinksaturn:2006/05/03(水) 14:47:49 ID:ujQzLEhd0
真理亜:「ところで、新米の重機の方はどうなの?」

マサ:「二人とも元々宇宙遊泳の勘は良いので、楽にポイント取れてますね。
重機の作業アームとエンジンなら手足に近い感覚ですから。
この調子なら、トロヤに着く頃には単独飛行許可の直前ってところでしょう。」

真理亜:「そお。期待できそうね。そういえば、藻前は操舵員資格取る気は無いの?。」

マサ:「以前やってみたんですが、ヘッドフィギュアの視点に比べて艦体ってでかくて。
無い手足動かすってのも感覚掴みにくくて、難しいですね。今すぐ係留をやれって言われたら事故りますよ。」

真理亜:「そう。あんまり色々させると藻前じゃ生体脳がパンクするからそっちは後回しで良いわ。」

艦内放送:「3分後より5分間、軌道修正を行う。メインエンジン全開のまま旋回する。最大加速圧は1.5Gを予定。」

タラ:「やっぱり、来ましたね。結構早めで精度稼ぐのかな。」

真理亜:「そうねえ。遠いことは確かだけど、今回の航路、随分急いでるのよね。」

タラ:「急ぐ理由は何も?。」

真理亜:「言われてないなあ。まあ、早く帰れるのは誰でも嬉しいが。」
151pinksaturn:2006/05/03(水) 14:51:30 ID:ujQzLEhd0
(12ヶ月後、トロヤ到着1日前、またしても重機格納庫)

艦内放送:「20分後に減速を終了し慣性航行に入る。採鉱小隊は予備探査作業にかかれ。」

真理亜:「今日は6機で出る。マオはマサの、ミキはリエの補助に憑いて。冬子は私の機で簡易分析ね。
マサ、リエ、障害物が少ないところなら操縦交代判断は任せるからしっかり教育頼むわよ。
なるべく早く8機体勢に持っていきたいんだから宜しくね。」

マサ:「お任せあれ。」

リエ:「まあ、焦らず一歩一歩いきますんで。」

マオ:「先輩、金が取れると良いですね。」

マサ:「そおねえ。貴金属は10%が給与やボーナスと別枠で直接採集者の個人ポイントに回るから1`取ればピアス4組ゲットってとこかな。」

冬子:「氷も頼むわよ。推進剤増やせると帰りが早くなるんだから。」

リエ:「任せて。私の体はアクセサリー要らないんで、金より時間が稼げる方が良いから。」

ミキ:「リエ先輩なら、皮下に水銀充填したら似合うんじゃないですか?。」

リエ:「なるほど、液体アクセサリーか。面白そうね。耐放射性も良くなるし。漏れないように出来るかな。」

リホ:「まったく。リエはどこまで人間離れする気かしら。」

エリ:「ミキも発想飛んでるなあ。金持ちってあんな教育されてる娘が多いのかしら。」

タラ:「今回はノルマ無いんだから、欲張ってないで安全第一よ。」
152pinksaturn:2006/05/03(水) 14:59:10 ID:ujQzLEhd0
艦内放送:「採鉱小隊発進せよ。」

真理亜:「間隔10Kmで六角形に展開して。前方監視は遠距離レーダー、隊内通信はレーザーリンクね。
トロヤの想定中心点に向かって直進、小隕石に備え前面に作業ブレードを立てておくこと。
目標点および母艦に対し相対速度は秒速300mを越えないこと。いいわね。」

リホ:「反射波ありますね。2時間くらい行ったとこかな。」

エリ:「パルス割れてるわね。大きいの以外にありそうじゃない。」

リエ:「暫くは安全ね。ミキ、90分間は操縦任せるわ。」

マサ:「こっちも代わるかな。ここならVRより易しい鴨。」
153pinksaturn:2006/05/03(水) 15:13:44 ID:ujQzLEhd0
(1個目の微小惑星)

真理亜:「私は簡易灯台設置してるから、マサとリエはここのサンプル集めて。タラとリホ、エリは周囲空間の隕石・塵集めね。
とりあえず半径100Km以内で持ち帰れそうな大きさなら何でも良いわよ。収集中の視覚は全部重機のレコーダーに転送よ。」

マサ:「変わった小石とか降りて拾っても良いですか?。」

真理亜:「塵が酷いと後で足の手入れが大変だから今日ははやめておいて。明日からは分析次第にするけど。
重機のマニピュレーターで掴めるものは自由に取っていいわよ。5個ぐらいずつ取れたら持ってきて冬子に見て貰うのよ。」

リエ:「初日から金拾おうなんて焦るな焦るな。」

マサ:「重機で掴めば良いんですね。ひひ、腕の見せ所だ。マオ、制御は私がするから感覚だけ繋いで手足の感触を覚えるのよ。」

マオ:「はい。繋がりました。あっ、手足勝手に動いてる、不思議ーっ!。」

タラ:「手っ取り早くトロールで良いですか?。じゃ、吸着網出すからリホとエリ3隅支持頼むよ。
拡がったら運動シンクロかけて。300Km行ったら網元交代ね。」
154pinksaturn:2006/05/03(水) 15:15:50 ID:ujQzLEhd0
(12時間後)

冬子:「この空域の特徴は氷の比率が多い事ね。但し、氷の成分はメタンが多くていまいちだなあ。
ウランや貴金属はまあまあね、木星の重力で集まった重い原子の一部が流れ着いたのかな。」

タラ:「あんまりメタンが多くて水が取りづらいと基地を建設しても維持が難かしそうね。」

真理亜:「岩石の珪酸塩から酸素を分離するシステムも開発中だからね。メタンと酸素からでも水は作れるでしょ。
ウランがあればエネルギーは使い放題だから不可能ではないわね。採算性は貴金属次第だけどね。」

マサ:「ねえねえ、金は?。」

冬子:「まあまあだけど、水銀の方が豊富ね。太古から宇宙の中性子にさらされて金が転換されたのかしら。」

マオ:「ザンネン。」

リホ:「あんたは実家が大金持ちだから帰ったら金なんかいくらでも買って貰えるんでしょ?。」

マオ:「サイボーグになれたお祝いにお父様が純金製の地上用外装を作ってくれるんです。
それで、お礼に宇宙産の金で何か創って差し上げたくて、10%に期待してたんですよぉ。
せめて100グラムくらい無いとかっこ悪いなぁ。」

ミキ:「あら。ウチもよ。」

マオ:「たぶん、ウチのお父様が誘ったんですよ。設計費や鋳型代を割り勘にしたくて。」

エリ:「へえ。あきれた富豪二等兵コンビねえ。何考えてるんだか、ワケワカラン。」

ミキ、マオ:「「やっぱり取るなら金よねぇ。。」」

リエ:「ハモるなっ!。私は水銀で十分よ。」
155pinksaturn:2006/05/03(水) 15:19:22 ID:ujQzLEhd0
(6ヶ月後、艦内重機格納庫)

リエ:「水がイマイチだったけど、結構集まったね。そろそろ終わりかな。」

マサ:「集まったわね。でも一つ不思議なことがあるわね。いつもなら、分析後につまらない成分だったくず隕石を固めて投棄するじゃない。
まだ一度も投棄命令が来ないのよねえ。ボール投げみたいで楽しいのに。」

マオ:「ストレス解消になりそうですね。やってみたかったなあ。」

ミキ:「うんうん。やりたいやりたい。」

リエ:「おまいらもいつの間にかいっぱしの重機使いみたいなこと言うようになったねえ。」

リホ:「この艦たしかに積載余力は大きそうだけど、まさか持って帰るのかしら。」

エリ:「そんな無駄な重量があると帰りが遅くなる鴨。」

タラ:「未探検空域だと色々検討することが多いから幹部方も細かいこと忘れるんじゃないの。
通信にいる同期の話じゃ、遠くて大変なのに本国との圧縮パケットずいぶん多いそうよ。」

ミキ:「そういえば私用通信許可って全く出てないですね。お父様にお手紙出したいのに。」

マオ:「そうよね。純金ボディの製作進捗聞きたかったしい。」

艦内放送:「採鉱小隊は、5分後、会議室に集合せよ。」

マサ:「お、投棄手順の話でもするんかな。くず隕石いっぱい貯めちゃったし。」

タラ:「急ぎましょ。」

(知らぬが仏でお気楽なこと言ってますが、採鉱小隊はいよいよ重大命令を受けることになります。
次回予告:(14)妨害作戦)
156pinksaturn:2006/05/03(水) 15:41:34 ID:ujQzLEhd0
>>142
不老化って、書く方も、描かれる方も苦しみますね。

>>143
非人間型キターーーー!。
艦船、ミサイル、自販機、工作機械あたりは多いですが、ペットでつか。
次は何かな?
文具とか流石に無理ですかね。
157Dog:2006/05/03(水) 18:13:06 ID:cgW1GP8I0
「犬になってもらえませんか?」
 会議室で言われた第一声はこんな物だった。
「動物型義体の研究とそれを使用するに当っての人間の心理学的影響について調べたいのです。
 つきましては貴女には犬型の義体への改造手術を受けていただきたいのです」
「冗談じゃありません。嫌です」
「1億円の報酬と保管しておいた元の身体への再移植、および学位課程の卒業資格と修士・博士課程の授業料免除です。条件としては悪いお話では無いはずです。
 それに今期の受講料の支払いが滞っているようですね。失礼ながらご実家の財務状況を調べたのですが、あまり芳しくないご様子ですね」
 返事に詰まる。
「大学側としては規則どおり月末には退学処分という結論を下さなくてはなりません」
 両親は投資に失敗して学費の振込みは無理だと連絡があった。このままでは大学を辞めるどころか住む家すらなくなりかねない。
「では、資料だけでも読んでおいて下さい」
 HDプロジェクトと書かれた紙束を渡された。紙束には極秘・持ち出し禁止と赤く大きな字で書かれていた。
 中には期間や目的、予定されているテスト内容などが一部黒く塗られてびっしり書かれていた。
 その中でも目を引いたのは、被験者との重点契約事項だった。

- 私はHDプロジェクトへ被験者として参加を希望し、D型義体への改造処理を受けることを同意します。
- 私は、すべての私の権利と、人としての基本的人権を1年間停止することに同意し表明します。
- 私の契約は、担当教授及び助手によって、すべての状況において実験用備品として扱かわれる事を許可し、これは解除不可能とします。
- 私は、実験に関係する全ての規則、及び、規律を守り、実験用備品としての状態を保つことを同意します。
- 私への医学テスト、機能テスト、及び、他の処置を許可します。
- 私は、私に対し厳しい犬の調教プログラムが実行されことに同意し、その為には無条件に身体改造や潜在意識プログラミングが含まれている事を承認します。
- 私は、この実験に関して私の情報がどのように使われるかを、担当教授および助手に一任します。
158Dog:2006/05/03(水) 18:13:35 ID:cgW1GP8I0
 信じられないような文面だが、本当に私を犬に仕立て上げるつもりらしい。
 一般には流通していないD型義体すなわち犬型の義体のサンプル画像まである。
「一応、極秘事項になっていますので口外はしないで下さい。今すぐに決められるのは難しいと思いますので3日間猶予を設けましょう。3日後の同じ時間にこの場所へ来ていただけますか?」
「はい、それでは3日後に」

 金銭的な余裕はまったく無いことは確かだった。それにこの時期に退学処分になったら就職することも困難だ。
 それに対して、1億円という報酬と博士課程までの授業料免除。魅力的過ぎる提案だ。
 そして、それが1年間ではどうやっても得られないであろうと言うこと。
 いつの間にか結論は出ていた…


「決まりましたか?」
 再び顔を会わせた教授の第一声は回答を促すものだった。
「はい。被験者として参加します」
 顔を上げることが出来ず、俯いたまま消え入るような声で答える。
「それはよかった。いや、君ならやってくれると思ったんです」
「そうなんですか」
「はい。ではこの書類にサインを」
 前回見せられた書類とは違う束を渡され、幾つもの箇所にサインと拇印をする。
「これで契約は完了。明日から1年間頑張ってもらうよ」
「お願いします」
 こうして私の犬としての生活が始まった。
159名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 00:07:07 ID:7d25b7dI0
出ましたな四つ足義体!
個人的には、完全に人格を維持したまま、社会的にも完全に人間として扱われる
四つ足義体のサイボーグ娘が見てみたいです。
こんなのとか↓

首から上はほぼ生身だが、それ以外は全部機械のサイボーグ娘。
猫型というコンセプトで、完全に四つ足でないと歩けない設計になっている。
表面は金属光沢(色のついた塗装は無し)の硬質系。
ただし猫型とは言っても胸の位置などは猫ではなく人間に準ずる。
耳は(生身では無く)機械化されていて、猫耳型をしている。
猫耳はヘアバンドやカチューシャのように着脱が可能で、元もと(生身の)耳が
あった場所についているコネクタ(どいうよりハードポイント)で接続されている。
目も猫目のような義眼になっている。
普段服を着ているが、人間の体型と異なる部分があるため、猫型サイボーグ専用に
作られた服を着ている。

で、職業は、バイクなどの乗り物を一切使わないバイク便みたいなのとか。
背中にリュックを背負って、その中に荷物を入れて自分で走って届ける。
って、よく考えたらこれ飛脚そのものですなw
まあとにかく、猫型サイボーグ飛脚みたいな商売ということで。

それとは別に、サイボーグ開発研究所で、自分も義体設計できるような頭のいい娘が
研究所内で泊まり込みで試作猫型義体の姿で研究開発してるってのも萌える。
160名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 00:24:27 ID:7d25b7dI0
書き忘れたけど
二足歩行ができなくなり、歩行中は手が使えないのと引き換えに、四つ足型に
なる事で高速走行が可能になっている。
それを活かした飛脚の商売という事です。
161名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 07:20:23 ID:7d25b7dI0
前スレがついに容量一杯になったのでこちらに。

現実問題として、やっぱりサイボーグ化するとかなり大変なリハビリが必要に
なると思います。
脳を別の体に移植したりするのは、たとえ移植先が生身の体だとしても大変な
ことで、突然別人の体に脳を移植されたりなんかしたら、いきなりまともに
体を動かせるとは到底思えませんね。
多分手足を全部切って、他人の手足を移植したり義手義足に換えたりするだけでも
リハビリなしでいきなり歩くなんてとんでもない事だと思います。
162manplus:2006/05/04(木) 22:28:01 ID:FF7aW/Dm0
「社長。本当にいいんですか?水沢さん以外の女性を愛せないようになるということなんですよ。」
谷本の忠告にも、私の心は揺るがなかった。
「私の心は変わらない。予定通りの処置をしてくれ。谷本ドクター。どっちにしても、
杏奈のように心をときめかせた生身の女性は、他にはいないし、杏奈は私の人形になってくれた。
もう、杏奈以外の女性は、生身も、人形も含めて必要ないんだ。
私には、サイボーグの杏奈という理想の恋愛対象だけで充分なんだ。彼女を私は一生裏切れないようにして、
彼女の愛情に答えるつもりだよ。」
私の性癖からいって、普通の女性の裸体を見ても、私は、性欲がわかないどころか、勃起すらしないのだった。
子どもの頃から、女の子には何も感じなくて、女の人形を見るときだけ勃起し、射精することが出来るのだった。
高校の時に、精神医にカウンセリングを親に内緒で受けた結果、
私が、作り物の人形にしか性的反応をしない性癖を持っていることが解ったのだった。
いわゆる人形フェチであったのだった。しかも、重度の偏愛症であることがわかった。
しかし、杏奈だけは違っていた。私の専属秘書として、人形のように忠実に私の身の回りの世話をしてくれたため、
生身の人形という感覚を私は覚え、彼女にだけ、性的衝動を覚えるようになったのだった。
今まで、私と付き合ってくれた女性がいたが、私は性的衝動を覚えることはなかったのだ。
どんなに女性が挑発しようとも、ベットで一緒に寝ようとも、私の一物がそそり立つことはなかったのであった。
性処理人形が私の恋人だったのだった。それが杏奈だけは違うことが解った。
でも、完全に性的衝動が、私を支配することがなかった。
しかし、杏奈と私は、生涯のパートナーとして将来を語る事になった。私の性癖を杏奈に全て語った。
今までは私の性癖を知ると付き合った女性は全て遠ざかっていった。でも、杏奈は違っていた。
杏奈は、たとえ人形にしか完全な性衝動を私が覚えることが無くても、
私と生涯のパートナーになりたいといってくれた。たとえ、半分の性衝動でもいいといってくれた。
自分が生きた人形として、私に尽くしてくれるとまでいってくれたのだった。私は、彼女を生涯のパートナーとして、
公私において常にそばに置くことを決断したのだった。
163manplus:2006/05/04(木) 22:29:31 ID:FF7aW/Dm0
 私の思いを受け入れる形を杏奈は考えてくれた。
そして、私の特殊な性欲と共にある独占欲に答える形で、長期着用型宇宙服「スペースフィットスーツ」着用を
決意してくれた。
広告塔として、生涯を全身貞操ケースの中で過ごし、私に対しての操を貫くことを決断してくれたのであった。
私は、杏奈をスペースフィットスーツに閉じこめる処置の時に、杏奈を人形化すれば、
杏奈を完全に愛せるようになると気が付き、谷本に今回のサイボーグ処置を命令したのだった。
 今度は、私が、杏奈の愛に応える番だと決意した。杏奈以外の女性や人形と性交渉がないようにすると共に、
杏奈が長期着用型宇宙服を脱いで、生きた人形になったときに私が出来る限り愛せるような身体に
私がなる番だったのだ。
そして、谷本に依頼をして、今回の処置をする決断をしたのだった。
ちょうど、杏奈が、長期着用型宇宙服「スペースフィットスーツ」姿で三ヶ月ぶりに出社し全身貞操ケース姿を
役員会で役員全員にさらすことになる1ヶ月前に私自身の処置を開始することにしたのだった。
杏奈に施されたことからすると私に行われる処置は、一週間程度の休暇で終わる物ではあった。
杏奈の受けた苦しみに比べれば、軽微な物であったが、私も、杏奈の想いに答えるべく苦痛を受ける必要が
あると感じたのだった。
 私は、一週間の休暇を取って、極秘に、谷本のもとに処置を受けるために来たのであった。
「社長、本当に水沢さんを愛しているんですね。何だか、そんなに思われる水沢さんが、羨ましくて、
嫉妬しちゃいます。今も、水沢さんは、サイボーグになってしまった身体とそれを包み込んで、
出る事を許さない長期着用型宇宙服に慣れるための訓練を続けています。水沢さんにお会いになりますか?」
「いや、今はいい。早く私の処置を始めてくれ。」
「わかりました。それでは、処置を開始します。看護士の指示に従ってください。」
164manplus:2006/05/04(木) 22:33:24 ID:FF7aW/Dm0
私は、谷本の言葉を受けて、看護士の指示に従い、シャワールームで身体を浄めた。
そして、私は、看護士に身体に残った水滴を完全に拭いてもらい、処置台に仰向けになった。
看護士が私の四肢を固定ベルトで固定し、私の身体は完全に拘束されてしまった。
「それでは、下半身の脱毛処置と毛根除去を行います。」
看護士はそう言って、私の臍の下から、足の先までに特殊な脱毛・毛根除去剤を丁寧に何回も何回も
ウエスで塗り込んでいった。ウエスで拭かれるたびに、私の下半身の毛が、抜け落ちていった。
完全に毛が無くなっても何度か拭かれ続けていた。
薬が毛根の奥に入り込む事によって、毛根が潰れて機能しなくなるのだそうであった。
私の下半身は、生まれてきた時のようにツルツルになってしまった。上半身の毛髪は完全に残されているので、
そのアンバランスさが面白かった。杏奈は、頭の先から全ての毛髪が無くなってしまったのだから、
どんなに辛かったのかを今になって感じてしまった。
人間は自分の身に起こらないと他人に対して親身になれないものだと思った。
「社長は、看護士がこんなに一生懸命局部をさすっても性的衝動が起こらないんですね。
本当に生身の人間に対して、性的衝動を覚えるのは、水沢さんだけなんですね。この看護士も、
性的魅力があると思うんですが・・・、それに、生身の女性の手に反応しない男性器を初めて見ました。」
谷本が私にぼやきともとれる言葉を浴びせた。
「そうだよ。私は、正真正銘の人形偏愛者だからね。
これで、人形の手で触ってくれると私の性器のびんびんの状態になるんだ。自分でも、呆れる時があるよ。」
「社長の特殊な性癖の原因は、たぶん深層心理の中に潜んでいるんだと思います。乳幼児期になにか原因に
なる強烈な事件があったのでしょうね。」
「私には、もうこの性癖が当たり前になっているから、突き詰めて原因を究明する必要はないと思っているがね。」
「社長のような女性の誰もが付き合いたいと思える男性なのに残念です。」
谷本は、そう言って、悪戯っぽくウインクをした。
165manplus:2006/05/04(木) 22:46:24 ID:FF7aW/Dm0
「社長、そろそろ、塗布した薬剤が安定してきましたので、本格的な処置に入ります。」
「谷本ドクターよろしく頼む。」
私がそう言うと、谷本は、麻酔医に指示を出し、麻酔医の処置により、私の視覚と聴覚以外の全ての五感を
無感覚にしてしまった。
「それでは、社長の本格的な処置に入ります。」
私は、自分に起こっている事を把握するために、今回処置する場所を、つまり、私の股間が映っているモニターを見た。
「このシステムの取りつけ場所を作らなきゃいけないから腎臓を除去して、高性能人工腎臓に
置き換える処置から始めましょうか。」
谷本はそう呟くと、私の下腹部を見事なメスさばきで切開した。私の下腹部の内臓が、丸見えの状態になった。
まるで解剖人形のようだと思った瞬間、私のペニスが突然勃起してしまった。谷本が笑いながら、
「社長、自分を解剖人形だと思っちゃいましたね。駄目です我慢してください。
社長の性癖が普通の人間と違う事を頭に入れているはずなのに、油断しました。
人体解剖モデルも守備範囲だとは思わなかったわ。性器感覚の遮断も行ってください。
それから、自己血の輸血を開始して。」
谷本が麻酔医とアシスタントドクターに指示した。二人の医師がテキパキと行動した。
麻酔医のおかげで、私の一物は、おとなしくなった。私は心の中で、
「谷本ドクター、申し訳ない。」
と謝罪した。私にしたって、自分を人形のようだと思って勃起するとは思わなかったのである。
「社長。大丈夫ですよ。私にとってはある程度の想定範囲内ですから。」
谷本は、私に気を使いフォローしてくれた。本当に申し訳ない。

166manplus:2006/05/04(木) 22:47:01 ID:FF7aW/Dm0
谷本は、何事もなかったかのように、私に対する処置を続けた。
私の腎臓を二つとも谷本は取り外し、高性能の人工腎臓を一つ取りつけた。
この人工腎臓は、人体が発する熱をエネルギーにして半永久的に作動し、人間の腎臓の3倍の処理能力がある。
我が社の次期主力商品になるものであった。小さくて高性能のため、
1つで二つの腎臓以上の性能を発揮するのであった。谷本は、素早く私の身体への接続を行い、
私の体内に人工腎臓を納めた。
「まだスペースが足りないわ。社長、少しオシッコが近くなりますが勘弁してください。」
谷本はそう言って、私の膀胱を半分切断し、生体接着剤で、切り口の部分を接合した。
手術跡が残らずに、瞬時に接合されてしまうのが「生体接着剤スーパー」の特徴であった。
私の膀胱の大きさは、今までの半分になってしまった。
確かに我慢できる尿の量が半分になってしまうという事であった。
でも、これから私の体内に納めるシステムの関係でしょうがない事なのだ。
私は、おしっこの我慢の時間が半分になっても仕方ないと思った。
杏奈を愛するために仕方のない処置だと割り切る事にしたのだった。
谷本は、私の下半身の空いたスペースに、精液生産コントロールシステムが納められ、
私の男性器の睾丸とカテーテルやコードで繋がれた。
 この精液生産コントロールシステムは、男性の標準人体を男性器を温存してサイボーグに改造するに
開発されたものである。
通常の標準人体のサイボーグ手術の際、軍事用サイボーグや宇宙開発サイボーグは、外部性器を
除去するのだが、医学治療用サイボーグや性作業用サイボーグのように、性器の温存が前提となるサイボーグに
取り付けられるはずであった。
そのシステムのテストを私は自ら行うことを決断したのであった。
167manplus:2006/05/04(木) 22:48:24 ID:FF7aW/Dm0
 ただし、私に取り付けられた精液生産コントロールシステムは、ただ、精液の生産を自動的に
コントロールするだけではなく、私が持つコントローラーにより、精液を全く作らないようにコントロールすることも
可能だし、射精してすぐに精液をチャージすることも連続20回までコントロールすることも可能であった。
私は、杏奈の長期着用型宇宙服を脱がしている間以外は、セックスをすることはないのであるから、
精液が作られる必要はないからであったし、杏奈の長期着用型宇宙服からの戒めを解かれたときは、
何度でも愛してやりたいという、二人の私を忠実に再現したかったからこそ、技術陣に私が
強く要望したものであった。その要望に技術陣は誠心誠意答えてくれ、私の要望を叶えてくれたのであった。
谷本は、私のもう一つの要望事項に取りかかった。彼女は、私の肛門にハイドロアナルコントロールバルブを
取り付けた。
私の肛門を拡張治具で丹念に拡張し、その拡張径にあった開閉式バルブを生体融合接着剤で取り付けたのだ。
私の肛門は、このバルブにより、生涯塞がれるのである。
排便に関しては、このバルブに洗腸用ハイドロシステムを接続することにより、一日一回、もしくは二回程度、
直腸と大腸内の排泄物を完全に排除することにより解決されるのである。
私には、もしもの時の急な便意というのは仕事柄、絶対にあってはならないことだし、いわゆる、
おかまを掘られることにも完全に興味がないので、排便を自分で完全にコントロールできるように要望したものであった。
これで、私の下半身への手術は完了し、私の下腹部を谷本は生体融合接着剤を使い、
手術跡が完全に見えないように接合した。
168manplus:2006/05/04(木) 23:02:03 ID:FF7aW/Dm0
「社長。手術は終わりました。ある意味で、社長もサイボーグの仲間入りをしたということを認識してくださいね。
あとは、仕上げにあれの装着を傷が完全に落ち着いた後行います。
社長室の専用トイレや自宅のトイレ、社長専用機に洗腸用ハイドロシステムを設置してあります。
それに、出張中のことも考えて、ポータブルタイプの洗腸用ハイドロシステムも三台用意してあります。
水沢さんが復帰後は、水沢さんが社長の排便をお手伝いします。麻酔が、切れるまで少しお休みください。」
谷本はそう言って処置室から離れていった。私は、手術の疲れから、眠りに落ちた。

 翌日から、私は、下半身の傷が癒えるまで、処置室の隣にある回復室に移されて、
完全看護の状態で過ごす事になった。私は、脚を少し曲げた状態で股を開いての姿勢で介抱用ベッドに
固定された。
ちょうど、出産する女性のような格好であった。
数時間に一度、床ずれを防ぐためにベッド自体が回転する。
まるで自分がローストされる七面鳥になった気分を味わった。
 私は、動けないので、看護士に全ての世話をしてもらった。食事は最初は、重湯をストローで吸うものだった。
それから、お粥になり、ベッドに固定されている間は、お粥もストローで吸う程度の液状のものだった。
おかずも、スープやゼリー中心であり、消化によいものであった。
排泄は、取りつけられたバルブに洗腸用ハイドロシステムを一日一度接続してくれるのだった。
ハイドロアナルコントロールバルブは、排便に使用するインナーバルブと前立腺を愛撫される時やアナルに
ディルドーを差し込むことがあるときなどのために、アナルを全開させるためのアウターバルブの
二重の構造になっていた。
インナーバルブは、カプラーバルブになっていて、洗腸用ハイドロシステムの接続チューブのバルブの
カプラー接続する構造になっていた。
今は看護士が行ってくれるが、この先は、自分でしなければならない作業になるのだが、
自分ではしづらい作業になるだろうと思った。アウターバルブは、私の持つコントローラーにより、
カメラの絞りのような構造になっていて、全開になるようになっていた。
169manplus:2006/05/04(木) 23:02:42 ID:FF7aW/Dm0
ただし、コントローラーを使用してアウターバルブを操作するのには、肛門のバルブに、
特別な鍵を差し込む必要があった。その鍵は、杏奈のアウターヘルメットの緩衝材と
ヘルメットの間にあるキーケースに収納されていて、杏奈の長期着用型宇宙服を脱がせない限り、
操作できなくしてもらったのだった。
 洗腸用ハイドロシステムによる排泄は、最初は苦しいものだと思ったが、慣れると一日が爽快な気分になる事に
気が付いた。
 このシステムは、もともと、兵士やアストロノーツが、排便を自己管理する必要がある時に
取りつけられるものであった。もちろん、恒久的に取りつけられるものであった。
 私は、こちらでも、自社製品の試験者になった格好であった。
 私は、谷本に頼んで、精液の生産を完全に行わない状態に精液生産コントロールシステムを
調節してもらっていた。
もしも、この間に人形とのセックスの事を考えたりでもした時に自慰できない状態なので、
そのような事を考えても吐精しなくてすむようになっていたかったのである。
 私にとって、人間の女性による吐精など、不可能なのであるから、自分が苦しいだけだった。
看護士に、尿を採尿機でとってもらう時でさえ、私は、人間の女性が触っただけで、私のペニスは
萎えてしまうのであった。
これは、ある意味で、看護士に申し訳のない事をしていると私は思ったのであった。
若い魅力的な女性がペニスを触れば、普通の男なら、勃起してしまうのであろうが、私の場合は、
萎えたままで何も起こりもしないのだ。
人形偏愛者なので仕方ないと言えばそれまでなのだが、看護士にとっては侮辱でもあると思える
出来事なのであった。
「社長の性癖は筋金入りですね。普通は、自分が裸の状態で、ベッドに拘束されて、
女性看護士の介護を受けているのだから、勃起したままの時用体になっても可笑しくないのに、
社長のシンボルは萎えたままなんですから。さすがに筋金入りの人形フェチですね。」
谷本に、フォローにならないようなフォローをいれられる始末であった。
170manplus:2006/05/04(木) 23:09:11 ID:FF7aW/Dm0
こんばんは。ご無沙汰していました。
久しぶりの投稿です。

最近、投稿が多いもので、読むのに集中してしまって、
書くのを忘れてしまいました・・・。
言い訳はこの位にして、
今回は、桐島がストイックに杏奈を愛するが故の
行動を書いてみました。
杏奈を大切に思うが故の片桐の行動です。
この小説のタイトルは、「ボディーケース」
つまり、貞操帯ですから、このような行動を取る男もいいかなと思いました。
次回は片桐の行動の後半のお話です。

Dog様
犬型サイボーグ。
乙です。異形のサイボーグへの改造。
なかなかですね。今後の展開が楽しみです。
171pinksaturn:2006/05/05(金) 21:29:01 ID:1lCUC18a0
(オプションパーツの続きです。)

−−(14)妨害作戦−−

(会議室)

マサ:「真理亜さまー、みんな集まりましたよぉ...げっ、で、殿下、副長様まで。叱られるような事したっけ?。」

朝子10世:「違うわよ。あなた達の腕を見込んで特別な任務をお願いしたいの。奈々侯、説明してあげて。」

奈々:「北米連が有人火星探査に踏み切ることは知っているわね?。」

真理亜:「私は承知していますが、この者達はなんとも。」

マサ:「ついに来るんですか、じゃ、帰り道に重機でミサイル持っていってドカーンと?。やったあ、ついにやるんですね!。」

奈々:「そんな事して良いのなら、8人も要らないわ。秘密保持のため私一人でやりますよ。」

リエ:「バカねえ。戦争起こすわけにいかないでしょ。」

奈々:「くず隕石捨てずにとってあるでしょ。あれをぶつけて事故に見せかけるのよ。
出来る限り、生存者を残して事故状況を報告させるように言われていてね。
そのためには、衝突コースに乗せてから推進機を撤去して持ち帰る必要があるの。」

真理亜:「重機が発見されない距離で推進機を外すと必中という訳にはいかないですね。」

奈々:「それで、確率を上げるために8個の隕石を使うのよ。
もちろんステルス盾を使ってなるべく近くで放すようにするけど、生存者が出るかどうかは運任せね。
標的の全長が1000m近いようなので、外したり乗員が全滅する確率は5%程度だわ。」
172pinksaturn:2006/05/05(金) 21:32:12 ID:1lCUC18a0
真理亜:「外したときはどうしますか?。」

奈々:「宇宙遊泳で6人が侵入して乗員の口を封じて貰うしかないわね。
一応、そのためにアイビーム眼球の貸与許可が出ています。」

真理亜:「あれは大して威力がないでしょう?。」

奈々:「一つは扉をプラスチック爆弾で壊して侵入するときの点火用ね。
あと侵入するとき船内が真空になるから、宇宙服をピンホールさせるのに使えば良いと思うの。」

真理亜:「向こうにサイボーグが居たらまずいですね。」

奈々:「乗員は全部男性と発表されているから、まず居ないでしょうけど。
もし、奴らが男性のサイボーグ化に成功していたら厳しいことになるわね。
その時は、あなた達のサイボーグ歴の長さだけが頼りね。」

真理亜:「後の2人の役目は?。」

奈々:「一人は重機の半数をシンクロ操縦して隕石のエンジンを持ち帰って。
もう一人は接近に使う重機4機をランデブーさせて待機するのよ。」

真理亜:「それは新米2人にさせるしかないですね。とにかく隕石を当てるしかないか。」

マサ:「私がきっと当てますよ。真理亜様を危ない目に遭わせられません。」

朝子10世:「しっかりね。それからこの件は他の乗組員たちにはまだ秘密です。
10日後にトロヤを離れるので、それまで収集名目で出て訓練しておくのよ。以上。」
173pinksaturn:2006/05/05(金) 21:33:59 ID:1lCUC18a0
(艦内武器保管庫)

マサ:「アイビーム眼球って実物初めてだなあ。VRではお馴染みだけど。
やっぱ、目からビーム砲撃てるとちゃんとサイボーグになった気がする罠。」

マオ:「そおですねぇ。折角サイボーグになったんだから一度は装備したいですよ。」

ミキ:「早く撃ってみたいですわぁ。」

真理亜:「はしゃいだって所詮貸与なんだからね。作戦済んだら返すのよ。
大体、1ワットで1/100秒ったら殆ど破壊力なんて無いんだから。
拡散のない真空中でも同じところに3サイクル当てて宇宙服にピンホールがせいぜいなのよ。
一応命令だから試射はさせるけど、本番で使おうなんて思っちゃダメよ。」

リエ:「マサだって判ってますって。現場に出ると一番現実主義者になるんだから。」

タラ:「まあ、興奮するのも無理ないわね。私だって初めてなんだから。でも慎重にね。」

真理亜:「マオとミキはVRでやったことあるの?。」

マオ:「まさかこんなに早く使えると思っていなくて。」

真理亜:「そお。目玉入れ替えるとBCIのコンパネが開いて安全ロック解除キーワードと発射キーワードの設定が促されるからね。
うっかり言いそうもなくてすぐ言えるキーワードを入れるのよ。
戻り光防止機構があるから目が焼けることはないけど、まぶたに穴開けた例もあるからあんまり安易なキーはダメよ。」

ミキ:「まぶたと連動しないんですか?。」

真理亜:「捕虜になったときなどに、寝たふりでだまし討ち出来るようわざと非連動にしてあるの。
照準は当然視線そのもので、発射中は視野中心が見えないから左右0.1秒の時間差がつくようになってるわ。
一斉射の3サイクルが撃ち終わると充電に30秒かかるから連射は不可能というのも忘れちゃダメよ。」
174pinksaturn:2006/05/05(金) 21:53:19 ID:1lCUC18a0
(隕石採集空域)

真理亜:「隕石移動エンジンの設置や操作はみんな慣れてるでしょ。
ただ、艦に搬入だといつも最後は減速して引っ張って貰ってるから、まずはぶつける練習ね。
タラ、標的用の大きな隕石選んで30m幅で白線引いて。それを敵の船体幅に見立てるから。
あとの娘は例のくず隕石を固めたやつと似た大きさの隕石拾ってスタート地点に移動して。」

マサ:「アイビームの試射はやらないんですか。」

真理亜:「ぶつけ終わったときに散らばった破片を標的にするから後でね。」

(30分後、200Km離れたスタート地点)

真理亜:「本番では横並びで一斉に放すけど、今日は各自で自分の癖を把握するため5分間隔で行くわよ。
タラ、標的から離れてる?。ん、5`ほど手前で着弾観測頼むね。
じゃ、みんなは最初の100Kmで加速しながら狙い付けて、すばやくエンジン持ち去るのよ。
よし、マオからスタート!。」

マオ:「はい、エンジン起動します。...軸合ったと思います。...微調整...
エンジン止めました。引き抜きます。離脱しました。あ、少し蹴っちゃったかな。」

タラ:「どれ、お、すごい勢いで飛んできた。ん、標的隕石には突っ込んだけど線からは外れたな。」

ミキ:「...離れました。」

タラ:「ん、ん、...惜しい。線から50mかな。」

マサ:「真理亜様に侵入作戦なんて絶対させるか...よし、そこだ。そーっと抜いて忍び足...」

タラ:「直撃!。本番も頼むよ。」
175pinksaturn:2006/05/05(金) 21:57:23 ID:1lCUC18a0
(標的隕石付近)

真理亜:「7個中2個直撃か、まあまあかな。恐らく射軸は全員当たりね。
距離があるから離脱時のわずかな衝撃で狂うのよ。落ち着いてそっと離れるのがポイントね。
じゃ、お待ちかねのアイビーム試射行きましょうか。
どおせ、遊び半分なんだから標的にする破片は勝手に選んで。安全ロック解除して、せーの。」

タラ:「タラ・フラッシュ!」

リエ:「原子力ビーム!」

マサ:「ラブラブ光線!」

リホ:「マジカル・パワー!」

エリ:「ビーム・ボンバー!」

マオ:「氏ね氏ねビーム!」

ミキ:「逝け逝けビーム!」

真理亜:「デルタ・ゼロビーム!...どいつもこいつも。ま、いっか、不発は無いようね。」
176pinksaturn:2006/05/05(金) 22:03:44 ID:1lCUC18a0
(10日目、艦内)

朝子10世:「倉庫や格納庫の加速圧対策は済んだわね?。よし、発進よ。」

操舵員:「旋回始めます。...方位よし。メインエンジン始動。」

朝子10世:「放送用意して。」

運用科員:「どうぞ。」

朝子10世:「艦長です。未探検空域の探査ご苦労様でした。これで家路に、と言いたいところですが、本国からの特殊任務命令により火星付近に寄り道します。
追加任務の内容はまだ言えませんが、非常に重要なものです。首尾良く済ませれば、相応の報酬があるはずですので、がんばって下さい。以上です。」

リエ:「いよいよ向かうわねえ。」

リホ:「成功すれば人殺しか...。」

エリ:「これでも軍隊だからねえ。滅多にないだけに何で私らがって気はするが。」

マオ:「事故ですよ事故。なるべく生存者出せって言うんだし。」

リホ:「生存者ってその後漂流して苦しんで死ぬんでしょ。結局殺すことになるのよ。」

マサ:「エンジンか燃料タンクに当てて全員生存させりゃいいんじゃない。それなら、空気が無くなる前に奴ら同士で殺し合うから恨みは他に向くって。」

ミキ:「必ず殺し合うのでしょうか?。」

マサ:「200年くらい昔の沈没潜水艦を引き上げた調査で、欧米人は必ず争った跡があったって」

ミキ:「なるほど。それならすぱっと片づけて早く帰りましょう。純金ボディーが待ってるし。」

タラ:「まだ秘密よ。他の人が居るところでうっかり言わないこと!。」
177pinksaturn:2006/05/05(金) 22:13:48 ID:1lCUC18a0
(6ヶ月後、艦橋)

朝子10世:「通信士、北米連らしい通信拾ってる?。」

通信士:「地球からの方ははっきり。宇宙船らしいのは微弱で内容不明ですね。方位は発表コースと一致してます。レーダー使っちゃダメですから、精度はイマイチですが。」

朝子10世:「奈々侯、艦体上部に出て大型望遠鏡設置して。念のため目視で確認したいから。」

奈々:「手が要りますけど。もう、おおっぴらにやって良いですか?。」

朝子10世:「そろそろ、全員に知らせた方が良いかな。放送用意して。」

艦内放送:「艦長です。特別任務について周知します。
この任務の目的は、北米連の有人火星探査を妨害することです。
火星には、地下秘密基地や隕石落下による水源確保実験であるアイスインパクトという有人宇宙活動の痕跡があるのでこれを発見させる訳にはいきません。
飛行中の北米連船を破壊する必要がありますが、我々の仕業であることが知られてはなりません。そこで、トロヤ探査中に集めたクズ隕石を持って忍び寄り、これを衝突させる方法を採ります。
作戦実行には採鉱小隊が当たりますが、大型望遠鏡による標的確認など艦上支援作業があります。全員協力して進めて下さい。なお、本件は地球帰還後に一切口外してはなりません。」


(格納庫)

真理亜:「隊内無線は一切使わないのよ。移動中は進路をシンクロさせてレーザーでね。今すぐ切り替えて...。よし。
母艦との連絡はミキがレーザーリンクを維持して全員に回すこと。切れたときのバックアップはマオね。じゃ、出るよ。」

マサ:「隕石移動エンジン始動!。そーっと角に掴まってと。ひひ、なんか今日は好調だぞ。」

リホ:「あーあ、出来れば致命傷は他の人の石であって欲しいな。なんだか当てちゃいそうな希ガス。」

ミキ:「レーザーリンク自動追尾異常なし。みなさんにデーター回ってますか?。」

マオ:「リング網トポロジ繋がってるよ、ミキ。こっちの予備リンクも繋がってます。」
178pinksaturn:2006/05/05(金) 22:21:18 ID:1lCUC18a0
(飛行中)

真理亜:「望遠鏡の映像、回されてきたようね。
うーん、比べるものが無いが倍率と距離からすると全長950m、幅は広いところで50mかな。
エンジンは止めてるようね。加速中だと狙いにくいからしばらくこのままだと良いな。」

マサ:「画面で左上端がエンジンですよね。燃料タンクはどの辺りまでだと思いますか?。」

真理亜:「少なくとも全長の半分まではタンクじゃないかな。幅に当てられるんならねらえる罠。」

リエ:「あんまり余計なこと考えず幅に入れるよう集中した方が確実では?」

真理亜:「なるべく生存させろっちゅうから一応ね。その辺の加減は各自の考えでやって。」

タラ:「接触まで2時間位ですね。」

真理亜:「監視は母艦でやってくれるから、あんまり張りつめないで行きましょ。」
179pinksaturn:2006/05/05(金) 22:31:23 ID:1lCUC18a0
(2時間後)

タラ:「あと210Kmですね。相変わらず加速はしていません。」

真理亜:「予定通り、100Kmで放すわよ。ここからは軸合わせしっかり維持して。」

マサ:「当たれ当たれ。燃料タンクにぐっさりとな。よし合ってる合ってる。」

ミキ:「なんだかびびってきました。」

リエ:「大丈夫よ。とにかく離れるときに蹴らないようにね。」

真理亜:「みんな、コース良い?。よし、隕石エンジン止めて。そっと引き抜いて。
蹴らないようにマニピュレターを少しだけ動かして離れるのよ。
離れたらステルス盾構え直して左下に旋回ね。じゃ、離れて。10m空いたら加速!」

マサ:「当たれ当たれ。」

タラ:「どこら辺で様子見ますか?。」

真理亜:「外した時を考えて標的の後方100Kmに回り込んでおくのよ。」

タラ:「そうですね。こっちのエンジンは殆ど光らないから全開で行きますか。」
180pinksaturn:2006/05/05(金) 22:33:10 ID:1lCUC18a0
エリ:「そろそろ衝突予定時刻ですね。」

ミキ:「母艦の大望遠鏡から映像来てます。あっ、直撃です。」

真理亜:「隕石の破片が漂ってて見づらいわね。白いのは燃料漏れかな。」

タラ:「無線聞こえますね。パニックに陥ってるけど生きてる奴は居るようですね。
あんまり壊れ方が酷くなくて火星まで行かれても困りますが、どうですかね。」

リエ:「燃料漏れが止められますか?。我々のように自由自在な船外作業は出来ないのでしょ?。」

真理亜:「その分タンクの漏洩対策が強化されてる鴨。それにくず隕石って泥玉みたいなものだからタンク全部は壊れてないでしょ。
奴らは外に出るとしても時間かかるから、これで成功かどうか判るのは24時間以上先ね。」

ミキ:「母艦からです。あちらで観察を続けるから取りあえず帰れといってます。」

真理亜:「了解。みんな引き上げるわよ。一応見つからないようにステルス盾しっかり構えて下がるのよ。」
181pinksaturn:2006/05/05(金) 22:41:36 ID:1lCUC18a0
(”みくら”艦橋)

朝子10世:「取りあえず燃料タンクを破ったようね。通信の方はどうかしら?。」

通信士:「地上から計器類のチェックを指示しています。乗員に負傷者が居るようですが生死はまだ。
外側の被害状況も判ってないようです。原因の話は出てませんね。」

朝子10世:「望遠鏡で衝突による向こうの進路変化は判るかな?。」

奈々:「まだ正確にはつかめませんが、元の軌道と大差ないようです。
減速が全く出来なければ火星からかなり遠いところしか通らないのですが、まだエンジン使えるとまずいですね。」

朝子10世:「状況が確認できるまで、距離を保ったまま光学監視と通信傍受を続けます。」

通信士:「北米連の地上からの指示が解読できました。
燃料は半分以上が流出したらしく、正確な残量を調べろとか言ってます。
帰還の心配をしているようなので火星周回とか接近は諦めてくれそうですね。」

朝子10世:「逆に火星に降りて救援を待とうとされたらまずいわね。酸素や食料は十分だろうし。」
182pinksaturn:2006/05/05(金) 22:44:31 ID:1lCUC18a0
(24時間後)

通信士:「本国から情報です。北米連は、スレイブ共和国連邦に救援機材の打ち上げ協力を要請したそうです。
本国は、スレイブが上げられる機材を使うなら惑星間空間での救援だと判断しています。
あ、また入りました。配管が壊れてエンジンが使えないので火星接近は諦めると決まったそうです。
死者は出ておらず、船外作業で配管修復をやるようですが、準備に時間がかかり予定していた軌道修正に間に合わないとのことです。」

朝子10世:「どうやら荒事にならないで済みそうね。事故原因についてあちらの通信は何か言ってない?。」

通信士:「原因の話はまだ。それよりも陛下から圧縮パケットが2個来てます、受領願います。」

朝子10世:「ん、”任務成功と認む。帰還せよ。2個目は明朝10時に解凍せよ”か。
ややこしい指示だけど、帰っていいようね。操舵士!軌道変更よ。全員、加速圧注意!。」

操舵士:「帰還進路取ります。」

(妨害作戦はとりあえず成功しました。次回予告:(15)凱旋)
183名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 08:55:47 ID:Bp4mDSEv0
なんかえらく物騒な話になったなガクガクブルブル
これでもし死者が出てて民間人も混じってたなんて話になってたら、こっち側の人間も口封じに全員消されてたりとかしそうだよ

まあ軍隊なんてのは存在するだけで戦争を起こさずには居られない存在な訳だが
1843の444:2006/05/07(日) 11:42:19 ID:WTf6ByAN0
  月明かりに照らされた私達のながーい影が、 寝室の壁に影絵みたいにくっきり映し出されるくらい明るい
満月の夜。でも、 空気がとても澄んでいるせいだろうか、 夜空に満天の星々が月に負けじと煌々と輝いて
いるのがはっきり見える。星が輝いているのは、 夜空だけじゃない。 沖合いにも、 人の作り出した美しい
星々、停泊しているたくさんの船から漏れる白や黄色の船明かりが、 夜の太平洋を星空みたいに彩ってい
る。
  私達は、 寝室の、 まるで映画館のスクリーンみたいな大きな窓の前に立って目の前に広がる天然のプ
ラネタリウムに見とれていた。
  藤原が後ろから私の細い腰に手を回して私を抱きしめる。 私は夜空を見つめたまま腰に回された藤原
の手をそっと握り締めた。高台に建てられているのと家のつくりがしっかりしているせいで、 波の音もここま
ではとどかない。黙っていれば星がまたたく音まで聞こえてきそうなくらい、 声を出しただけでこの世界が全
て壊れてしまうんじゃないかって思うくらい、とても静かな夜。 私は、 藤原に包まれる幸せに酔いしいれなが
ら、 黙って美しい夜空を見上げていた。
  やがて、 藤原の右手が遠慮がちに、 ゆっくりと私のおなかを這い上がって、 私の着ているエプロンと肌
の隙間に潜り込んだ。 そして、 手のひらで包み込むように私の乳房を愛撫する。
「ううん」
  控えめな乳房からもたらされるゆるやかな快感に、 私は思わず甘い溜息をつく。私の反応に応えるよう
に、 藤原の右手は私の乳首を摘んで器用にこね回す。 さっきよりも強い快感に私は身体一瞬身体をぴくん
と振るわせて、それから腰にあてがわれたままの藤原の左手をぎゅっとにぎりしめた。
  なんだか、 今日の私、 とても感じやすくなっているみたい。 いつものワイ横のラブホでの、 ただ身体を
繋ぐだけの単調で性急なセックスとは身体の感じ方がゼンゼン違う。
1853の444:2006/05/07(日) 11:42:54 ID:WTf6ByAN0
 私の身体は機械なんだ。 だから、 いくら場所やシチュエーションを変えようが、同じところを同じようにさ
わられれば、 脳に伝わる刺激は理屈の上ではいつも一定のはず。それでも、 今の私がこんなに感じやす
いのは、 刺激を受け取る私の心が、 普段とは違うムード満点の素敵な別荘にいることで興奮しているから
なんだ。私が生きているからなんだ。
  これからはじまる行為への期待感に胸を膨らませながら、 私は藤原の次の行動を待った。

  私の期待に応えるように、 藤原は右手で私の乳房を愛撫し続けながら、 左手をじりじりじらすような動き
で私の足の付け根の茂みに近づけていく。
  私はやがて全身を襲うに違いない強烈な刺激に耐えるために自分の身体をぎゅっと抱きしめた。藤原の
指を待ちきれずに、 私のあそこから恥ずかしい液体がどっと溢れ出す。
  藤原の指が私のあそこに辿りつき、 じらされて、 すっかり固くなってしまった敏感な部分に軽く触れた。
その瞬間、 待ってましたと言わんばかりに、 電気信号に姿を変えた淫魔が私を快楽のとりこにすべく、全身
に張り巡らされた電線を走りぬけた。
「んっ、 んんっ!」
  私は身体を折り曲げて、 口を押さえて、 出口を求めて身体中を暴れまわる快楽の津波を無理やり身体
の内側に押し込めようとする。でも、 それは、 決して感じまいとするためじゃない。 ただ、 次に身体に襲い
かかる波をよりいっそう高くするための準備運動みたいなものなんだ。ひとりエッチでも、 あっけなくすぐイっ
ちゃうよりは、 イクのを我慢して我慢して、最後に思いっきり果てるほうがずーっとキモチがいい。 二人です
るエッチだってそれとおんなじ。
「い、 嫌っ。 こんな大きな窓の前でそんなことしたら、 誰かに見られちゃうよう」
  身体を暴れまわっている波が引いて、 ちょっと落ち着きを取り戻した私は、今度は藤原のほうを振り返っ
て膨れっ面で睨みつける。
1863の444:2006/05/07(日) 11:43:30 ID:WTf6ByAN0
  でも、 それは私の本心じゃない。 いくら大きな窓の目の前でこんなことしてるからって、 こんな高台に建
っている家なら、 船の上から望遠鏡を使って覗き見するような物好きでもない限り、 私達の姿を見ることな
んかできない。 でも、 そう口にすることで、 誰かに見られるかもって思うことで、 私は余計に興奮しようとし
てるんだ。 そう、 私はいやらしいよ。 きっと、 藤原が思っているよりずーっとエッチだよ。
  はやく、 したい。 はやく藤原のものが欲しい。
「ふ、 じ、 わ、 ら。 早く、 ベットに行こうよう。 エプロン脱がしてよう」
  私は、 すがりつくように藤原に体を預けると、 とっておきの甘い声色を使って藤原を誘惑した。
「私、 いつまでこんなカッコしてればいいの? まさか、 藤原、 私にコレ着たまましようって言うつもり。ホラホ
ラ、 早く早く」
  今度はエプロンの裾を胸の高さまでつまみ上げて、 暴れ牛を挑発する闘牛士みたいに身体にまとわり
つく薄い布切れをひらひらさせる。
  でも、 いつもの藤原なら私が言うより早くブラのホックに手をかけているくせに、 今日に限って私の着て
いるエプロンに手をかけてくれない。
「えーっ? 裕子さん、 それ、 脱いじゃうの?」
  藤原は、 私の裸エプロン姿を上から下まで舐めるように眺め回したあと、肩を落として心底がっかりした
ようにつぶやいた。
  私からすれば、 する前には着ているモノを脱ぐのはトーゼン。 お互いに全てをさらけ出して、肌と肌をぴ
たっと触れ合わせれば、 それだけで私は幸せな気分になれるんだ。たとえ私の身体では藤原の暖かい体
温を感じることができなくてもね。
  でも藤原は違うらしい。 腕組みをしてながら私の身体をしばらくみつめたあとで
「俺、 やっぱり、 そのままがいいな」
  そう言って、 私を抱き寄せた。
(藤原は、ここまでヘンタイだったか・・・)
  藤原に抱かれながら、 私は藤原の胸の中であきれたようにため息。 藤原の目は私の機械の目と違って
生身のごく普通の「めんたま」なんだ。月明かりくらいじゃ、 どうせ私の姿なんかはっきり見えないだろうに、
それでも裸なんかよりエプロン姿のほうが良いって言うんだね。
1873の444:2006/05/07(日) 11:44:42 ID:fBePZmQ80
「ま、 いいや。 今日は藤原の誕生日だしね。 藤原の言うとおりにするよ。 そのかわり・・・ふふふ」
  私は、 顔を上げると、 藤原に向けていたずらっぽい笑顔を見せる。
「そのかわり?」
  鸚鵡返しに私に聞き返す藤原を無視して、 ベッドの横まで引っ張る。 そして、
「えいっ!」
  ベッドに向かって、 藤原を思いっきり突き飛ばす。 ふかふかのベッドがスプリングを軋ませながら藤原の
身体をすっぽり受け止めた。何が起こったのか分からず、 クッションのきいたふかふかのベッドに半分身体
を沈めながらきょとんとする藤原。
  私はベッドに飛び移ると、 まるで子供がけんかでもするみたいに藤原の上に馬乗りになった。二人分の
重みを受けて、 ベッドはいっそう深く沈みこむ。 そして、 そのままの姿勢で、私は藤原の上着に手をかけ
て、剥ぎ取った。
「裕子さん、 重いよっ!」
  身体の上で動き回る私の重みに耐えかねて、 たまらず悲鳴を上げる藤原。
「ごめん」
  私は、 身体を起こして藤原に体重をかけないように気をつけながら四つんばいになると、 藤原の顔をつ
かんだ。
「そのかわり、 今日は私が上になるよ。 私が藤原を犯してあげるんだ。 ふふふ、私、 そう決めた」
  私は勢いよく、 勝ち誇ったようにそう宣言すると、 そのまま藤原の唇を吸った。

  私の体重はきゃしゃな外見からは想像できないかもしれないけど、 実は120kgもある。ちょっとしたお相
撲さん並みだね。 いくら義体の軽量化が進んで昔よりは多少軽くなっているっていっても、所詮は金属の固
まりだから、 まだまだ生身の身体よりずーっと重い。
  だから、 今まで、 騎上位っていうんだっけか、 私が上になって藤原を攻めた経験はない。 もちろん、 た
まにはそういうことをしたいって気分の時もあったけど、 私が上になるってことは、 どうしても藤原の身体に
体を預けちゃうってことで、 そうすることで、 私の身体が生身の身体とは異質の重さだってことを藤原に意
識させちゃうからね。 そうでなくても、 こんな体重で上にのしかかられたら誰だって苦しいだろうし・・・。 だか
ら、 たまにちょっと刺激が欲しくて、 上になりたいって思った時でも、 私、 いっつも我慢してたんだ。
1883の444:2006/05/07(日) 11:45:17 ID:fBePZmQ80
  でも、 私、 決めた。 藤原が、 そうやって、 調子に乗って私の魅力的なヌードよりも、こんな下らないカッ
コをしているほうがかわいいなんて我儘を言うなら、 私だって我慢しないで自分のやりたいようにする。だっ
て、 二人の間に遠慮なんかないんでしょ。
「ごめんね。 重いかもしれないけど、 我慢してっ! 今日は、 私が藤原を襲いたい気分なんだよね。だか
ら、藤原このまま寝ていてね。 ふふふっ」
  私は顔をあげて、 そう意地悪っぽく笑ったあとで、 もう一度キス。 そして、そのまま手探りに藤原のジー
パンのボタンを探り当てて、 なんとか右手一本でボタンを外すことに成功する。
  すっかり興奮してしまった私は、 身体を藤原に密着させたまま、 ずるずる藤原の足の付け根まで移動し
て、 身体を起こした。 そして、 藤原を襲うヨロコビに酔いしいれながら、 私はズボンとトランクスを膝のとこ
ろまで引き摺り下ろした。 ぴょこんと外に飛び出す藤原のシンボル。
「あーっ。 もうこんなに大きくしてるっ!」
  私が大げさに騒ぐと、 藤原が恥ずかしがってあわてて隠そうとする。 その手を無理やり払いのけて、 大
きく怒張した愛しい藤原のそれに顔を近づけて、 まじまじと観察。 よーく見ると、 藤原の先端から、 ちょこっ
とせーえきとは違う透明な液体滲み出ているのが分かった。
「可哀想に、 こんなに我慢しちゃって。 今、 お姉さんが、 中に入れてあげるから待っててね」
  私は、 ペットの小動物でも可愛がるみたいに、 藤原の分身をそっと撫でる。藤原のそれは、 私の手の
平の中で身もだえするようにぴくぴく震えた。
「裕子さん! 俺、 もう我慢できないよ!」
  突然、 藤原はそう叫びながら、 弾けたように上半身を起こすと、 脱げ掛かっているズボンを投げ捨て
た。 私は、 あわてて、 もう一度藤原に抱きつき、 押し倒して、 藤原が起き上がれないように両手に力を込
めた。
「このまま寝ててって言ったでしょ。 今日は私が藤原を襲うんだからっ!」
  叱りつけるようにぴしゃりとそういったあと、 私は下のほうに手を伸ばして、 藤原のモノをつかんだ。
1893の444:2006/05/07(日) 11:45:56 ID:fBePZmQ80
「入れるよ」
  興奮のあまり上ずった声で私は藤原に聞いた。
  藤原は、 ごくりと唾を飲み込んで、 無言でうなずく。
  私は藤原をまたぐようにしゃがみこむと、 藤原のものを私の中に導きながらゆっくりと腰を落としていく。
藤原を犯すんだって思ったら興奮して、 もう、 私の中は、 とっくに溢れたものでぐしょぐしょだったから、 何
の痛みも抵抗感もなくすんなり大きくなった藤原を受け入れることができた。 眼線を下に落とすと、 じゅぶじ
ゅぶいやらしい音を立てながら、 私のあそこが藤原を飲み込んでいくのが見えた。
  藤原が入ったところで、 私は身体をきもち持ち上げて背筋をぴんと伸ばす。 その拍子にさらに深く藤原
が私の中に入り、 鋭い快感が身体を突き抜ける。
「くふっ!」
  私は、 たまらず、 藤原の上で背中をのけぞらせて喘いだ。
「ふ、 藤原っ! 動くよ」
  私は身体を動かしやすいように両手を藤原のおなかの上に置いた。 藤原は答える代わりに、 私の腰を
掴む。
  一瞬、 藤原の顔に苦痛の色が浮かんだ。 私の重たい機械仕掛けの身体を上に乗せて、藤原が苦しくな
いはずない。 やっぱり、 私にはこの姿勢は無理なんだろうか?そう思った私はこの期に及んで藤原の上で
身体を動かすことを躊躇して、 唇をかみしめてがっくり肩を落とした。
「どうしたの? 裕子さん、 動いていいんだよ。 俺なら大丈夫だから気にしないで」
  藤原は、 私のお尻や腰をゆっくり撫でながら、 そんな私に優しい声をかけてくれる。
「ありがとう・・・藤原・・・」
  私は藤原の言葉に勇気付けられて、 ゆっくりと、 身体を動かし始める。 身体の刻むゆったりとしたリズ
ムにあわせて、 ベッドのクッションが揺れ、 そのたびに白いシーツに新しい皺が刻まれた。
1903の444:2006/05/07(日) 11:47:52 ID:/hBKHOlI0
  今、 藤原は私の120kgの体重を全身で受け止めてくれている。 きっと、 ものすごく重たいだろう。苦しい
だろう。やっぱり、 私の身体が生身じゃないんだって心のどこかで実感していることだろう。ものを食べるこ
とは我慢してほしくなくても、 こういうふうに私が上にのっかるのは我慢してほしいって思うなんて、私はハタ
から見れば自己中のレッテルを貼られること請け合いの我儘女なんだ。きっと、 藤原も内心あきれているに
違いない。
  でも、 ありがとう。 藤原、 本当にありがとうね。 私、 こんな身体で、 心以外に人間らしいところなんてこ
れっぽっちもなくって、 しかもいつも失った身体のことでぐちぐち悩んでばかりいる情けない女です。 いくら23
歳ですって言っても外見は高校生のままだから、 藤原のことロリコンなんて、 他の人に変な誤解もさせてし
まっています。 そんな私にあきれても、 決して見放さないで、 いつも優しく見つめてくれてありがとう。 普通
の女の子として接してくれてありがとう。 私、 相手が藤原だから、 自分のことなんでもさらけ出せるんだよ。
こんなふうに上になることだって、 できるんだよ。 いつも先輩面して生意気言ったりしてるけど、 アンタには
ホント、 感謝してるんだ。
「あっ、 あっ、 あっ、 あっ」
  身体を持ち上げて、 沈める。 ただそれだけの繰り返しなのに、 なんでこんなに気持ちがいいんだろう。
藤原を身体の中に深く受け入れるたびに、 例えようもない気持ちよさが身体中にわあっと広がる。 藤原の
ことを気遣う余裕なんてすぐになくなって、 私は、 より深い快楽を貪るために身体を藤原に強く打ちつける。
「いいよう! いいよう!」
  私は我を忘れて髪を振り乱して叫んだ。
  私が、 藤原を犯しているはずなのに、 ホントは私が襲うはずだったのに、 結局ハシタなく乱れるのはい
っつも私だ。 これじゃ上になってるか下になってるかが違うだけで、 普段と何も変わりはしないじゃないか!
  ずるいずるいずるい。
  同じことしてるのに、 私ばっかりこんなふうに身体を滅茶苦茶にされて、藤原は、 私が、 普段の私だっ
たら絶対しないような、 快楽に歪んだしまりのない情けない顔をしているところを冷静に見てる。そんなのっ
てずるいっ!
1913の444:2006/05/07(日) 11:48:29 ID:/hBKHOlI0
  でも、 いい。 ものすごく気持ちがいい。
  いいんだ。 私がこうやって、 淫らに乱れまくっているところ、 藤原にだけは見せてあげる。藤原には私の
全てをさらけ出してあげる。 藤原の望むことをしてあげる。 だって、私は藤原のことが愛してるから。 大好
きだからっ!
  次第に藤原を貪る私の腰の動きが速くなる。 ぎしぎしベッドがきしむ音、 ぴちゃぴちゃ私が藤原を受け
入れる音、 ぱつんぱつん私の身体が藤原にぶつかる音、 しゅっしゅっエプロンと私の肌がこすれ合う音、
それから私のよがり声。 藤原のタクトの指揮で奏でられる卑猥な音のオーケストラが静かな寝室に響く。 私
の身体が刻むリズムは、やがて来るクライマックスに向けてどんどん速くなっていく。
  もう、 背中を伸ばしてなんていられない。 私は藤原に身体を預けて、 両手で快楽に耐えるようにシーツ
をぎゅっと握り締める。でも腰から下は私の意志とは関係なく別の生き物みたいに蠢いて、 より強い快楽を
求めて敏感な固い芽を藤原の身体にこすりつけ、あそこは受け入れている藤原自身を咀嚼するように時折
きゅっと強く締め付けるような動きをする。
  藤原。 もっと、 藤原のこと、 私の中に感じさせてよ。 もっと、 もっと、もっと。
「藤原、 ぼーっとしてないで。 お願い! 私のこと触って!」
  もう 私は自分が感じることしか考えていないただの一匹のいやらしいメス。 その本能の命ずるままに、
私は藤原に強く懇願した。
  藤原の両手が、 私を支えるようにエプロン越しに身体の動きにあわせて激しく揺れる私の乳房にを掴
み、乳首を中心に円を描くように優しく愛撫する。
  でも、 そんなんじゃ駄目。 そんなんじゃ私は満足しない。
「もっと強く! 痛いくらいでいいからっ!」
  私は、 激しく身体を動かし続けながら、 右手で藤原の手の平のごと、 自分自身の乳房をちぎりとってし
まうくらい強く鷲掴みする。 そして、 身体をのけぞらせながら呻きとも喘ぎともつかない悦びの声を上げた。
「ふじわら。 私、 もう駄目だっ! もう、 いっちゃうよう、 いっちゃうよう」
1923の444:2006/05/07(日) 11:49:04 ID:/hBKHOlI0
「裕子さん、 俺も、 もういくよ」
  藤原が初めて上げる切なそうな声。 藤原も感じてくれている。 そう思ったら、もう、 ダメ。
「あーっ、 あーっ、 あーっ」
  無我夢中で二度、 三度、 藤原自身をより深く、 強く身体に受け入れる。
  その瞬間、 今まで身体の中を渦を巻いて暴れまわっていた快感が一つにまとまって、怒涛のように私の
頭に押し寄せた。
  びくん、 びくん、 びくん、 びくん。
  私のあそこが、 藤原自身を強く締め付け、 震える。 そのたびに、 気が狂いそうになるくらいの快感信号
があそこから生み出され、私の脳みそを溶かしていく。
「裕子さん。 俺、 もうダメだー」
  私の身体の奥深くに藤原が欲望を吐き出すのを感じながら、 私はどうっと藤原の身体の上に崩れ落ち
た。

  ピンポーン、 ピンポーン、 ピンポーン。
  何度も繰り返し鳴らされる、 ちょっとしつこめの呼び鈴で私は目を覚ました。
(なんだよ、 もう。 朝っぱらから)
  ふかふかのベッドでの快適な睡眠を妨げられたことにちょっとイラつきながら、 ばらばらに乱れた髪をか
き上げると、 枕元に置いた腕時計を手に取る。
  もうとっくに、 お昼を過ぎていた。 窓の外に広がる太平洋の大海原は、 昼間の強い日差しを反射してギ
ラついている。
(やっばーい。 昨日はさすがに頑張りすぎたか・・・)
  昨日の自分の痴態を思い出して、 思わず苦笑い。 私はいったい何度藤原にいかされたんだろう。 藤原
は何度私の中で果てただろう。 私達、 東の空がうっすら白みはじめるまで、 飽きもせず繰り返し身体を求
め合っていたんだ。 こんな時間まで眠り続けても、 なんの不思議もないよね。
「裕子さーん、 おはよー」
1933の444:2006/05/07(日) 11:50:28 ID:+tx2UwqE0
  傍らに寝ていた藤原が目をこすりながら起き上がる。 寝癖だらけの藤原の頭を見てくすりと笑いながら、
「おはよう」って挨拶を返す私。
  ピンポーン、 ピンポーン。
  また、 呼び鈴が鳴った。
(こんな町外れの別荘に来る人って、 いったい誰だろう。 ひょっとして何か宗教の勧誘じゃないだろうね)
  私断るの苦手なんだけどなあ、 と、 苦々しく思いつつ、 昨日から身につけたエプロン姿のままのろのろ
立ち上がると寝室のインターホンをとった。
『お届け物でーす。 藤原修治さん宛てになっていますが、 こちらでよろしいですか?』
  インターホン越しに、 さわやかそうな青年の声が響く。
「ふじわら? はい。 います・・・けど・・・」
  私は、 言葉を詰まらせる。 なんで藤原宛の届け物がジャスミンの別荘に届くんだろう。不思議に思った
私は、
「なんか、藤原あてに届け物だってさ」
  受話器をふさいで藤原にそのことを伝える。
「え、 ホント?」
  それを聞いた藤原の寝ぼけ顔が、 ぱあっと嬉しそうに輝く。 そして、 消防士も顔負けのスピードですば
やく服を身につけると
「ちょっと行ってくるね」
  そう言い残してスタートダッシュが命の100mランナーみたいなものすごい勢いで玄関に向かって走ってい
った。

  リビングのテーブルで頬杖をつきながら藤原の帰りを待つ。 と、 藤原は、ニヤニヤ笑いを浮かべながら
お土産用のお菓子箱くらいの大きさの箱を抱えて戻ってきて、その小箱をテーブルの上に置いた。
「何? それ」
  藤原は、 私の問いかけなんか耳に入っていないみたい。 誕生日プレゼントをもらった小さな子供みたい
に、箱の包装紙を無造作にビリビリ引き剥がすことに没頭中。
1943の444:2006/05/07(日) 11:51:06 ID:+tx2UwqE0
「裕子さん、 ハイ」
  やがて、 藤原は箱の中から丁寧に折りたたまれた黒い衣装のようなものを取り出すと、私に手渡した。
「何? これ」
  私は両手で、渡された衣装をつまんで、 広げた。
  はじめはワンピースタイプの水着かなあって思ったんだけど、 ちょっと違うみたい。生地は水着よりちょっ
と厚手だし、 黒一色の地味なデザインの割にはずいぶん大胆なハイレグカットだし、何より胸より上の部分
がない。 こんなの着たら胸の谷間が丸見えになっちゃうじゃないか。
「ちょ、 ちょっと、 藤原。 何なの? これ」
  私は、 レオタードらしきヘンな衣装をテーブルに放り投げると、 指先でテーブルをつんつんつつきながら
詰問。
「えーっと、 これが網タイツ。 それから、 これが蝶ネクタイか。 それからこれが尻尾」
  藤原は、 わざと聞こえないふりをして、 箱の中のビニール袋を破いては中身を私の手に押し付けてい
く。 あっけにとられて固まったままの私の両手に何かの衣装一式が積み重ねられていく。
「それから、 最後にこれ」
  うさぎの耳をかたどったヘアバンドを手渡されて私は絶句。
「藤原・・・ひょっとして、 これってまさか・・・」
「裕子さん。 俺、 今までいろいろ遠慮しちゃってさ。 そのせいで、 裕子さんを傷つけちゃって、本当に申し訳
ないと思ってるんだ。 だから、 裕子さんが俺に遠慮しないように、俺も、 もう裕子さんに遠慮しないことにし
たよ。 そのバニーガールの衣装、昨日の夜、 裕子さんに内緒でこっそり通販に頼んだんだ。 裕子さん、 お
願い、それ着てください。そ れでいらっしゃいませー、 とか言ってください。 お願いします」
  藤原は、 椅子から降りると、 床にぺたんと跪いて、 時代劇でお代官さまに訴え出る農民みたいに私に
向かって土下座。
「・・・」
  もうあきれ果てて、 私、 何も言えません。
1953の444:2006/05/07(日) 11:52:14 ID:+tx2UwqE0
  裸エプロンじゃあきたらず、 私にこんなカッコまでしろってか? 確かに私は遠慮しないでって言ったけ
ど、 藤原の着せ替え人形になるなんて言ったつもりはないんだけどな。
「裕子さん、 いいでしょ?」
  藤原は、 困惑する私を見上げてパチリとウインク。
(調子にのりやがってーーーーーっっっ!)
「バカバカっ! 藤原のバカっ! このスケベっ! ド変態! 死んでしまえっ!」



  で・・・でも、 まあ、 そのう・・・結局着てあげたんだけどね・・・。とほほほ。

http://comic-ekk.homeftp.org/user/hailaer/tentestuki/tentetsuki/yagee060507a3.jpg



   おしまい
1963の444:2006/05/07(日) 11:56:43 ID:+tx2UwqE0
以上で「遠慮は無用」おしまいです。
今回は3の580さんにすてきな絵をつけていただきましたので
物語と絵の両方でお楽しみください。
3の580さん、ご協力ありがとうございました!
197名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 13:02:16 ID:R+qeEGON0
ムハ━━━━━━(*゚∀゚)=3━━━━━━━!!!

198名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 20:48:22 ID:seNhmspZ0
ヤギーエロいよヤギー━━━━━━(*゚∀゚)=3

幸せ一杯でお互い遠慮なく求め合うってのは、彼女最高の生きる喜びなんだろうなあ。
ヲレニモ ソンナ ココロカヨワス オニャノコホスイ・・・・・orz
199manplus:2006/05/07(日) 21:56:04 ID:kLS9i3m40
 私のベッドでの生活も6日目に入った日に、谷本が、
「いよいよ、社長がお待ちかねの物を装着する日が来ました。手術箇所も完全に回復していますし、
注文品も今日出来上がってまいります。ベッドから起きる準備を始めます。」
そう言って、私の拘束を解いてくれ、ゆっくりと起きあがるように指示してくれた。
 私は、約一週間ぶりにベッドから起きあがることになるため、立ち上がるまでかなり時間を
かけたつもりだったが多少のめまいを覚えた。
長い拘束ベッド生活で、立ち上がれなかったり、筋肉がこわばって、歩けないということはなかった。
看護師によるマッサージや電波筋肉刺激マッサージを常におこなってもらっていたおかげである。
私は、谷本と共に、処置室に移動した。
「社長がご注文の物です。」 
谷本がそう言って、傍らのカプセルを指さした。そこにあったのは、透明のカプセルに封入されたトランクスで
あった。
そのトランクスは、私のへその上あたりから、脚の太ももの半分を覆うような少し長めの丈に
なっているはずであった。
私の下半身は、今日からこのトランクスに包まれることになるのだった。それも二十四時間常にである。
 谷本が、透明な梱包カプセルから、そのトランクスを取り出してきた。
「社長。本当にいいんですか。これを付けると、水沢さんの長期着用型宇宙服を脱がせない限り、
この貞操トランクスを脱ぐことが出来ないんですよ。
場合によっては、何ヶ月も、このトランクスを脱げなくてもいいんですね。」
「その覚悟は出来ているつもりだ。杏奈の今回の私から受けた仕打ちに対して、私が報いるためにも、
杏奈に対する愛情を揺るぎない物にするためにも、私の杏奈以外の人形や女性に対して間違いがある事は
許されないと思っている。杏奈との関係を大事にしたいんだ。そのためにこれを着けるんだ。」
200manplus:2006/05/07(日) 21:57:56 ID:kLS9i3m40
「水沢さんは、幸せです。羨ましくて妬けちゃいます。でも、長期になると精神的に辛くなることもありますから、
その時はカウンセリングを引き受けます。」
「ありがとう。でも、私は、この貞操トランクスで、性器を包み込まなくても、普通の女性に性的衝動を
覚えることはないのだから、生活は変わらないと思う。
だから大丈夫さ。」「社長。社長の性癖としては、そうかもしれませんが、排泄について、
不便なところがありますから、そのことで不安がないような体制を敷きますが、
それでも戸惑ったときは相談して下さい。それでは、装着します。」
 この私がこれから履くことになる貞操トランクスは、足の付け根や、腰などの動かす部分は、
柔軟な軟質樹脂と軟質セラミックの複合体、性器を覆う貞操カバーの部分は、
超硬質樹脂と超剛性セラミックの複合体、それ以外の部分は、弾性樹脂と弾性セラミックの複合体で出来ていて、
それらの性質の違う物質を複合的に一体化した特殊素材であった。
そして、股の部分にちょうつがいが付いていて、前と後ろでぱっくりと開くようになっていた。
そして、男性器を納める性器ハウスに性器全体を入れて固定できるようになっていた。
ここに男性器を入れると勃起する空間的余裕がなく、勃起し始めるとものすごい痛みを感じるようになる。
そして、電気的刺激と性器ハウスを冷却する機能により、ぺニスを収縮させてしまう機能が付いている。
その機能を動かす動力は、貞操トランクスの性器ハウスの横に内蔵された身体の熱を
電気エネルギに変換するシステムにより作動するようになっていた。
私の場合は、精液を制御するシステムにより、事実上は、この貞操トランクスを着用中に
射精することも出来ないが、普通の男性にとっては、射精する機会を完全に奪われた地獄を
味わうことになるのであった。
201manplus:2006/05/07(日) 22:00:36 ID:kLS9i3m40
このトランクスは、肛門部分が、ちょうど、ちょうどハイドロコントロールバルブの大きさの穴が空いていて、
ハイドロコントロールバルブをその穴に固定するようになっていた。
通常男性の装着者は、キーホルダーにより、ハイドロコントロールバルブのアウターバルブを開けられて、
特殊な治具により、前立腺刺激によるミルキングを定期的に受けることになるのであった。
つまり、完全貞操のための完全貞操帯となるのであった。
この貞操トランクスも、我が社の製品なのであった。
この貞操トランクスは、主に、性的犯罪者の貞操管理や、浮気防止のためにパートナーに貞操管理をされる
一般男性を対象に開発された物であり、その手のマニアや刑務関係者には、発売前から、話題になっていて、
早期に市場化を要望されている商品なのであった。
その市販品の栄えある着用第一号が私ということになるのであった。
 谷本の指示に従い、看護士が私の太ももから、へその上までの間に万遍なく潤滑剤を塗布していった。
 貞操トランクスの中の構造は、性器ハウスと呼ばれる私の性器の形にフィットしているスペースがあり、
そこに、ペニスからさし込み、睾丸までがすっぽりと納めていった。
私のペニスは、股に向けて下向きに納められる事になった。私の男性器がピッタリと納められる
構造になっているハウスは、男性器にとってたぶん最悪の居場所になると思われる。
次ぎに貞操トランクスの後半分の肛門の穴の部分に、ハイドロコントロールバルブの周囲が合わされて、
前半分とも合わされるとハイドロコントロールバルブの周囲のロックと前後の貞操トランクスの接合部の
電子ロックが、「ガシャリ」という音を数カ所でたてながらロックされた。
これで私の下半身は、貞操トランクスの中に閉じこめられてしまったのであった。
この貞操帯である貞操トランクスを開ける事が出来るのは、杏奈のアウターヘルメットの緩衝材と
ヘルメットの間にあるキーケースに収納されている電子キーのみであった。
202manplus:2006/05/07(日) 22:01:13 ID:kLS9i3m40
つまり、私が杏奈を人形として、長期着用型宇宙服から出して、杏奈との性行為を行う時に、
杏奈のアウターヘルメットから電子キーを取り出した時のみである。
しかし、本来の使用状況ならば、キーホルダーに管理されて自分では開ける事が出来ないのであった。
その点においては、私は、自分で開ける事の出来る選択肢を持っているのであり、
真の意味での貞操帯とは違うのかもしれなかった。
けれども、杏奈の貞操に私も貞操で答えるという目的は充分に果たしているはずであった。
私は、少し身体を動かしてみたが、貞操トランクスは、身体にピッタリとフィットししかも、
私の関節の動きを妨げる事がなかった。まさに、皮膚の一部のような感覚であった。
しかし、男性器の圧迫感は消えなかった。その圧迫感になれるまでにいま少しの時間が必要であった。
「社長の性器は、これで囚われの身となったのです。」
谷本はそう言って、看護士にスタイルのいいリアルドールのマネキンを持ってこさせた。
私の股間に、激痛が走り、続いて、冷たさを感じ、床に転げ回った。私は何が起こったのか解らなかった。
「社長の性器が勃起したのです。そして、それを戒めるためと萎えさせるためのシステムが働いたのです。
そんなに教科書通りに人形に反応されると困ってしまいます。」
谷本は、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「このように、性的衝動を完全にシャットアウトして、貞操管理を行うのが、社長の穿いた貞操トランクスです。
そして、一度穿いてしまうと、専用の電子キー以外では開ける事が出来ないことはおろか、
切り裂く事も壊す事も出来ないのです。装着者の性器は、一生を通して、管理者のものとなるのです。」
この貞操トランクスの女性版も開発が完了していたのであった。
谷本は、今度は、装着中の注意事項を話してくれた。
203manplus:2006/05/07(日) 22:02:21 ID:kLS9i3m40
「次ぎに、装着時の排泄ですが、股の下にバルブのついた小さな穴があります。社長さわってみてください。」
谷本にそう言われ貞操トランクスの股の下をまさぐってみた。貞操トランクスは、叩けば、
「コツコツ」と音が出る程硬いもので、中の性器には外からの刺激が完全に伝わらないようになっていた。
その貞操トランクスの股のあたりを触ってみると小さな穴を指先が感じた。
「そこが、排尿用のカプラーアタッチメントバルブです。ここに小用を足す時は、
この専用排尿処理機のカプラープラグをカプラーアタッチメントに接続してください。
カチッと音がするまで押し込んでください。カチッと音がしたら、排尿を開始して構いません。
実際に取りつけてみます。実際に排尿してみて下さい。」
そう言って、谷本が私の股間に、処理機から伸びるホースを接続した。私は、実際に排尿を開始した。
そして、排尿が終わると、ホースから、穴の中に、お湯のような液体が流れ込んできて、
ペニス全体が液体に包まれた。
「いま、社長が排尿を終えたのをセンサーが感知して、体温と同じ温度に暖められた洗浄液が
流れているはずです。その洗浄液は、殺菌消毒剤で、性器を常に清潔に保つために、
排尿が終わるの度に流れて、洗浄が終わると再び、カプラーアタッチメントバルブを通じて貞操トランクスの外に
吸い出されて、専用の排尿処理機に戻るようになっています。」 
確かに、温かい液体はいつの間にか外に出てしまい、その後は爽快感だけが残った。
本当に気持ちよかったのであった。そして、谷本の指示に従って、専用排尿処理機のホースを外した。
この専用排尿処理機も、据え置き型は、洗浄液のリサイクル処理も可能だし、
排泄された尿の処理も可能であった。
洗腸用ハイドロシステム同様に社長室の専用トイレや自宅のトイレ、社長専用機に設置された。
204manplus:2006/05/07(日) 22:15:00 ID:kLS9i3m40
そして、持ち歩き用のポータブル専用排尿処理機も私のために5台用意された。
これは、分厚い雑誌ぐらいの大きさで、接続用のホースが内蔵されていて、コードリールのような形で
出し入れが可能になっていた。
外出時に使用し、トイレに尿や洗浄液をその都度捨てるようになっていて、
洗浄液は常に新しいものを一回分づつの量になった容器で補充するようになっていた。
そして、この専用排尿処理機を取りつけなければ、貞操トランクス着用者は、排尿する事が出来ないように、
ペニスの先端にカプラーアタッチメントバルブから、固定管がペニスの先端に差し込まれ、
排尿を止める仕掛けになっていて、カプラーアタッチメントバルブで排尿がコントロールされる
仕組みになっていたのだった。本来は、排尿の自由も無い徹底的な管理を強要される貞操器具なのである。
「排便に関しては、今まで通りの方法で、洗腸用ハイドロシステムのホースを肛門のバルブとカプラー接続を
することによっておこなって下さい。
そして、一日二回、朝晩の入浴前に、さっき排尿後に流れ込んだ洗浄液を貞操トランクス内洗浄機と
へその部分にあるバルブをホースで接続してもらいます。
洗浄液がホースから、トランクス内の隅々まで流れ込んで、約5分間の洗浄を行い、ホースから抜き取られます。
洗浄機も、社長の自宅と社長室、社長専用機のそれぞれのバスルームに設置されます。
それから、ポータブル型が、五台用意されていますので、それを出張時にお持ちください。
205manplus:2006/05/07(日) 22:15:38 ID:kLS9i3m40
このトランクス内の洗浄作業を一日二回行い、トランクス内を清潔に保たないと、病気の原因になり、
やっかいなことになりますから、絶対に実行して下さい。それから、トランクスの密閉性は高いですから、
洗浄液が脚や腹をつたって漏れ出すことは絶対ありませんのでご安心ください。この貞操トランクスは、
通気性にも優れた特殊素材で出来ていますから、内部が群れたりすることもなく常に内部は快適な状態に
保たれ、履いていることの自覚を忘れることが出来るほどなのです。
しかし、拘束感は、常に残ると思って下さい。以上が、この貞操トランクスについてのご説明です。
快適な貞操生活をお送りください。」
そう言って谷本は悪戯っぽい笑みを浮かべて説明を終えた。
本来の貞操トランクス着用者が、完全にキーホルダーに管理をされることによる、
隷属感を味わうのに充分な道具なのであることを痛感し、私として、素晴らしい商品であることを身をもって
認識することになった。
きっと、貞操管理を望む男性にとっては、至福を味わう事の出来る器具なのであろう。
 私は、改めてまじまじと自分の下半身を見つめた。
そこには、光沢のある硬い樹脂になってしまった股間があるだけだった。
「これじゃ、ゴルフに行く時は、風呂に入れないな。」
「社長、普通の貞操帯着用者はそんな事考えませんよ。」
谷本は、私の切実だけれど見当はずれの感想を聞いてケラケラと笑った。
「水沢さんとお幸せに。もう少しで、水沢さんの訓練が終了して、社長の下にお返しします。」
谷本の言葉に送り出される形になった。
206manplus:2006/05/07(日) 22:19:34 ID:kLS9i3m40
こんばんは。
今日は、片桐の決断の後編です。
次回は、いよいよ、杏奈と片桐の夜の生活を書いてみます。
207pinksaturn:2006/05/07(日) 22:48:30 ID:kOqJRmh50
>195
ヤギーのバニーちゃんGJ!。
>199-205
役員たちが恐怖に耐えかねて謀反を起こし社長解任動議が通ってしまったら、杏奈と片桐は悲惨なことになりますね。
村上ファンドみたいなのも怖いからこの会社は上場しない方が良いでしょう。
208pinksaturn:2006/05/07(日) 22:53:54 ID:kOqJRmh50
(オプションパーツの続きです。)

−−(15)凱旋−−

(妨害作戦の翌日、”みくら”艦長室)

体内目覚まし:「起`、起`、起`...」

朝子10世:「うう、あら、もうこんな時間なの、よく寝たな。昨日は疲れたから。
2個目の圧縮パケットすぐ開けなきゃ、なになに、...これは大変だ、すぐ全員を集めないと。」


(兵員室)

艦内放送:「当直を除く全乗組員は会議室に集合せよ。」

ミキ:「何でしょうね?。昨日の件、壊し方が足りなかったのかな。」

マサ:「まさか、奴らのエンジン治っちゃったとか。1晩全速で離れたからいまさら戻るなんて大変じゃない。
やっぱり、侵入してアイビームぶち込んどきゃ良かったかなあ。」

リホ:「命令通り当てたんだから、それは無いわよねえ。直接殺さずに済んでほっとしたところなのに。」

タラ:「そもそも緊急なことなら、わざわざ集めずに放送で伝達してくるでしょう。」
209pinksaturn:2006/05/07(日) 22:56:33 ID:kOqJRmh50
(会議室)

奈々:「全員揃いました。」

朝子10世:「勅命を伝えます。
昨日の北米連火星探査船に対する妨害作戦が最善の結果となったことに感謝する。
このたびの作戦成功の功績に対し”みくら”の全乗組員を1階級臨時昇進させる。
また、実行部隊の採鉱小隊はさらに1階級の特別昇進を加え併せて2階級特進とする。
なお、本件は国家機密であり、公式記録における昇進理由は未探検空域の探査成功とする。」

真理亜:「殿下、質問があります。
昇進はありがたいのですが、昇進後の階級に必要な訓練プログラムを修了していないものの扱いはどうなりますか?。」

朝子10世:「3年間の猶予が与えられます。その間に修了しないときは資格を満たす階級まで自動的に降等されます。」

真理亜:「なるほど。とゆうことで、マサ、マオ、ミキは頑張りなさい。」

マサ:「はひ。うーー給料増えるのは良いが、宿題多いなあ。」

マオ:「休暇中は家庭教師頼むかな。ダウンロードしても理解は別だし。」

ミキ:「そおねえ。一緒にやらない?。」
210pinksaturn:2006/05/07(日) 22:59:02 ID:kOqJRmh50
朝子10世:「それから、ヘッドフィギュアに将冠を取り付けよとの勅令が出ています。
半分私事で帰還が遅れて申し訳ないのだけど、加速を中止して作業を行います。」

奈々:「将冠ですか。確かに少将座乗艦になったのだから規則通りなら付けることになりますね。
しかしモノが有りませんけど、作るのですか?。トロヤでは金の収集量がいまいちでしたし、分離に4日ぐらいかかりますよ。」

朝子10世:「艦首部品倉庫に中身の判らない未開梱の特殊部品があったでしょ。あれよ。」

奈々:「ああ、アレでしたか。陛下もこだわる方ですね。じゃ、やりますか。作業の人選と指揮は任せて頂けますか。」

朝子10世:「初めてなんで自分でやりたいの、手伝いは採鉱小隊に頼むから、奈々侯は艦橋お願いね。貴女も今日から大佐だから次の任務ではたぶん艦長でしょ。そのつもりでやってみてね。」

真理亜:「私たちにやらせて貰えるんですか。じゃ、早速かかりましょう。」
211pinksaturn:2006/05/07(日) 23:02:12 ID:kOqJRmh50
(ヘッドフィギュア口腔エアロック)

マオ:「わあ、綺麗ですね。純金製かしら。」

ミキ:「流石にこの巨大さでそれはないでしょ。確か金銅製じゃなかたっけ。」

真理亜:「みんな生命維持二次に切り替えた?。足のエラー無い?。浮かれて事故起こしちゃダメよ。」

朝子10世:「私が先頭のロープ引っ張ってくから、みんなは方向合わせて引いてね。操舵員、口開けて舌出して!。」

タラ:「舌止まりましたね。」

朝子10世:「じゃ、真上に15m引くからね。せーの。」
212pinksaturn:2006/05/07(日) 23:11:04 ID:kOqJRmh50
(ヘッドフィギュアの上)

リホ:「ここに登るのって初めてだわね。」

リエ:「そりゃ、命令無しにこんなとこ乗ったら不敬罪でしょ。初代皇帝像なんだから。」

朝子10世:「シニオンを囲うように置くのよ。ゆっくり降ろして、当たったらロックピン挿入穴をシニオンの穴に合わせるの。」

マサ:「こうですか。しかし不思議だなあ。」

朝子10世:「位置決めはいいわよ。ところで何が不思議なの?。」

マサ:「宙軍では、こういうシニオンみたいな纏め髪のスタイルって禁止されてますよね。
実際、皇族方でもやってる方って居ないじゃないですか。
でも、初代皇帝像ってみんなこのスタイルですよね。なんでかなあって?。」

リエ:「初代様を敬って遠慮しなさいってんで禁止してるんじゃないの?。」

朝子10世:「はは、そんな事じゃないのよ。正確には禁止じゃないわ。」

マオ:「え?。やっていいんですか。てっきりダメなものと諦めてたんですが。」

朝子10世:「但し、条件付きなのよ。」
213pinksaturn:2006/05/07(日) 23:14:29 ID:kOqJRmh50
ミキ:「条件ですか。身分とか、職種とかですか?。」

朝子10世:「そんな形式的な問題じゃなくて、技術的制限なのよ。
シニオンだけじゃなくて、ショートカットも規制されてるでしょ?。
要するに、髪が背にかからないのは、リエみたいな無植毛の娘と同じ事になるの。
通常だと宇宙に出るときは必ず耐放射仕様の髪をセミロング以上の長さで装備するでしょ。
これが造血装置背面の放射線防護になっているので、纏めちゃいけないって訳なの。
だから、胸部外装を耐放射強化にすれば制限されないわ。」

マサ:「へええ、知らなかったわ。」

朝子10世:「オプションパーツ一覧表でも、無毛髪の場合以外は明確に書いてないからね。
実は、この規制が出来たのは初代様の崩御が原因だったのよ。
初代様は、大変なバレエマニアで、宇宙に出るときも衣装や髪型をそういうスタイルにされていたのね。
ところが、3回目に探検隊を直卒して小惑星帯に赴かれたときに急性白血病でお隠れになったの。
その後、原因調査の結果一次生命維持装置の耐放射性が原液タンクの陰になる前面に比べ、背面では不足していることが判って。」

マオ:「そうだったんですか。だったら、次に宇宙に出るときはバレリーナらしくやってみようかな。」

朝子10世:「そうねえ、みんなが正しく規制の由来を知って行動してくれたほうが初代様も喜ばれる鴨ね。
さあ、ロックピン入れるわよ。マオとミキこっちの両脇やって。真理亜、そっち側指示して。」

真理亜:「入りました。」

朝子10世:「さあ、帰りましょうか。将冠憑きで工場衛星に入港できるなんて夢みたいね。」
214pinksaturn:2006/05/07(日) 23:23:49 ID:kOqJRmh50
(4ヶ月後、静止軌道工場衛星、ベイ)

管制員:「”みくら”係留作業終了。気圧0.2で安定。退避命令解除。」

華子大佐(皇族・工場司令) 「出迎え班は乗降橋に整列して!。」

朝子10世:「驚いたわ。司令自らお出迎えなんて、工場の仕事は大丈夫なの?。」

華子:「15年ぶりの提督座乗艦入港ですから。今日は知り合いが乗っている者は全員臨時休業よ。”未探検空域探査作戦成功”おめでとう。」

朝子10世:「ありがと。そういえば東宮様が宇宙に出なくなってからもうそんなに経ったのね。」

華子:「貴女はどうするの?。ここ3年連続皇帝票でしょ。」

朝子10世:「私はまだ行きたいところがいっぱいあるし、陛下や東宮様は冥王星の件やって良いと仰せなので、毎回こんな出迎えじゃ大変よ。」

華子:「冥王星かあ。貴女の狙いもわかるけど”みくら”の性能で片道5年でしょ。北米連の事や乗組員の限界から言うと難しいのでは?。」

朝子10世:「貴女には苦労かけることになるけど、方法は考えてあるの。造って欲しい物があるので宜しくね。」

華子:「貴女のためなら、もちろん出来る限りの事はするわ。とりあえず、今日は乗組員達を早く休養させてあげたら。」

朝子10世:「あらいけない、つい立ち話が長くなっちゃって、おほん、ええ、みなさんご苦労様でした、スケジュールに従って地球に降りて。じゃ、解散。」
215pinksaturn:2006/05/07(日) 23:29:37 ID:kOqJRmh50
(降下待機中)

マサ:「ねえ、真理亜様。東宮様って殿下の母上ですよね。ずいぶん他人行儀な呼び方されるんですね。」

真理亜:「皇族や貴族は、各公家がそれぞれ一つの大家族という感覚なのよ。みんな生殖バンクで生まれてるということもあって、シビリアンとは親子観がかなり違う鴨ね。」

マサ:「生殖バンクってどんなところなんですか?。自分の組織が保存されてると言っても、シビリアン兵の立ち入りは禁止だから想像つかなくて。」

真理亜:「子宮を使うために、改造手術で用済みになった女性の胴体が維持装置に繋がれて並んでいるそうよ。
幸い、私も入ったことはないけど気味のいいものじゃないわね。首が無くても黒子とかの特徴から自分の元の体が判ってしまうかもしれないでしょ。
それが誰かの胎児を妊娠しているところなんて見たくは無いわ。貴族の子宮は公家毎に使われるそうだから赤の他人の子では無いとしても、現時点で自分の子じゃないのは確かだし。」

マサ:「ガクガクブルブル。きもいですね。」

真理亜:「藻前なら胴体が使われてないからまだ気楽なのに。まあ、そんなところだから貴族の中でも専門家しか関わっていないのよ。
ところで、前回の任務中、藻前には一代貴族の道は遠いと言ったけど、今度の特進で軍曹だからかなり縮まったね。本気で目指してみる?。」

マサ:「真理亜様の愛が獲得できるなら是非。」

真理亜:「ウチの小隊は、これでヒラの兵士が居なくなったから次は大幅任務替えなのよ。藻前がその気なら良い案があるのだけど。」

マサ:「どんな任務です?」

真理亜:「決まったわけでもないし、今言うと休暇中ずっと気が重くなりそうだから、明けにしておくわ。」

マサ:「はあ。ま、チャンスなら少々の苦労はいいです。」
216pinksaturn:2006/05/07(日) 23:34:41 ID:kOqJRmh50
(地上基地、着陸場)

エリ:「今回は2人多かったのに誰もダッチに当たらなくて良かったわね。」

リホ:「”未探検空域探査”の凱旋で特別扱いだったんでしょ。次回は判らないわよ。」

マオ:「あーっ。パパだー。フェンスの向こう!。」

ミキ:「きっと、純金外装を持ってきてくれたのよ。」

エリ:「えっ?。素体でもないシビリアンが基地に立ち入って良いの?。」

真理亜:「アイスワールドが皇族と貴族の素体訓練に協力しているから特別に許可取れたのね。」

マサ:「え?。じゃ真理亜様もアイススケートやるんですか?。いいなあ。」

真理亜:「ちょっとだけよ。イナバウアーなんてとても無理だったわね。でも、サイボーグなら楽勝よ。藻前もやってみれば?。」

マオ:「パパー。ただいまー。私ねえ、いきなり伍長になっちゃったの。」

マオパパ:「マオか!、見違えたな。そっちはミキちゃんか?。」

マオ:「そりゃ見違えるわよ。体を全取っかえしたんだから。ところで純金外装は?。」

マオパパ:「持ってきてメンテナンスセンターに預けてあるよ。ミキちゃんの分もな。」

案内の警備兵:「社長、それ以上近づいちゃダメですよ。宇宙から降りたばかりのサイボーグは足から放射線出てますから。」

マオパパ:「あ、つい。済みません。じゃ、マオ、出口で待ってるからな。」

(最後まで富豪新兵に振り回されつつも、みんな無事に帰ってきました。次回予告:(16)アイスショー)
217Dark Mater(架琉魔):2006/05/08(月) 00:15:34 ID:2v6rzToW0
辺りは血塗れ、息のある者はひたすら悲鳴をあげて死んでいった。
「なに…これ…
なにこれ、何これ何これ…
い…いやああぁぁぁぁっ!」
奥で研究員をひたすら殴っていたのは、当時普及していたごく普通のアンドロイドだった。
それは、金属のきしむ音をたてながら、ゆっくりこちらを向いた。
片足を無くした父が、必死でアタシに這い寄った。
「く…来るなぁ!」
父は…アタシを盾にした。
手術直後で、動くことのできなかったアタシを…
でも、それも無意味だった。
アンドロイドの腕は、アタシの胸をを突き抜けて父の首を鷲掴みにした。
「ぐが…あ…ぁ…」
父の苦しむ声が聞こえた。
けどたまらなかったのはアタシの方だ。
アタシは、気管を潰されて尚生きていた…いや、死ねなかった。
ゴキャッ…
…と、父の首が折れる音が聞こえた。
218Dark Mater(架琉魔):2006/05/08(月) 00:17:26 ID:2v6rzToW0
荒々しく腕を引き抜かれ、思わず全身を強ばらせる。
「…っ!!」
アンドロイドは、全員の死を確認して去って行った。
「…生き…てる?」
アタシが吐いた血は、ザァッと砂のように散った。

「それが…アタシが体験した戦争の始まりだった。」
神奈女医は話し終えた途端俯いて黙り込んだ。
「神奈はん…。」
「…うりゃあー!」
神奈女医はいきなり、ウチを押し倒した。
「きゃあ!
ちょ、ちょっと神奈はん!?」
「そう暗くなんない!
アタシが言いたいのはだねぇ、こんな今のご時世、機械共を憎む奴はごまんと居るし、
それ以上に、自分のことに精一杯なバカはもっと居るんだよん。
だからぁ、そんなことで悩んでたらやってけないよん♪」「か、神奈はん、言ってることは解るんやけども!
…ひゃあっ!
何すんのぉ!?」
「だってぇー、かわいぃんだもぉーん♪」
神奈女医は、いきなりウチを愛撫しだした。
「ふうぅっ!
や、あああぁあぁあぁぁ…」
219架琉魔:2006/05/08(月) 00:18:17 ID:2v6rzToW0
回想シーン終わりましたー!
あ、まだオチじゃありませぬです。

3の444様<ヤギー嬢ゑろいですな。
バニー姿も萌えス!
女医と出くわしたら触診はまず間違いないでしょう。(ォィ

Dog様<犬型キター!!
女医と出くわしたら触診は(ry
220名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 09:24:09 ID:fdMyHTKy0
神奈女医・・・見境なさ杉w
221Dark Mater(架琉魔):2006/05/10(水) 00:00:52 ID:de7xy3oz0
ウチは、ベッドの上で目を覚ました。
横で神奈女医が素っ裸で寝ていた。
寝る前…いや、果てる前の事を思い出す。
うぁー…ウチは顔を真っ赤にした。
き…気持ち良かったかも…。
ウチらの体は殆どが白い肌のような軟性合金と
疑似性感帯のみ布のないレオタードの様な外骨格で覆われている。
赤銅色の外骨格の隙間に入り込んだ愛液がこそばい。
「何をしている。」
「ひゃあああああっ!
た…隊長はん、いいい何時からそこにぃ!」
鬼塚隊長は呆れたように言う。
「ふぅ、つくづくお前は不幸な奴だ。
そいつは味を覚えたら暫くは意地でもがっついてくるぞ。」
「…はぁ。」
鬼塚隊長はウチ(と女医)の寝ているベッドに座る。
「…すまなかったな。」
222名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 01:51:32 ID:equl+fXb0
そろそろ保守しないと落ちるのでは?
223名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 20:39:13 ID:6cBQPGub0
保守
224名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 22:20:59 ID:3Zuvegn/0
>>223
いや、ageる必要はないのだが。
225名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 07:38:46 ID:/v3tL4Ft0
252.82KBで落ちるのか? フェチスレは
226名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 15:18:58 ID:Xu/oDhCS0
>>224
板によってはageないと落ちるんだけど、ここは大丈夫なの?
227名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 22:08:59 ID:GLKQHCl50
>>223-226
2ch・BBSPINKともに、スレが落ちるかどうかの判定は「最後に書かれてからどれだけ
時間が経過したか」だけのはずで、ageないと落ちるという板はなかったはず

スレが下がってるとIEとかで見てる人が見つけにくいので、通りすがりが書きに来ない
→書き込みがなくて落ちる、というのはあるだろうけど
228manplus:2006/05/15(月) 22:13:36 ID:U7AIAdB00
 杏奈は、色々な事のあった「スペースフィットスーツ」装着後の初出社の退社時間がやってきた。
杏奈は、秘書用サイボーグ専用シートの肘掛けにある、着席者リリースボタンを押した。
彼女を拘束するシートベルトと、社内ラン接続システムとの切り離しが行われ、
杏奈という人間に戻った状態になる。
今日は、取締役会に招集されたので、2回目のシステムとの切り離し作業になる。
杏奈の意識が、社内コンピューターの一部から、水沢杏奈という人間に戻る瞬間だった。
 杏奈は、朝に出社後、サイボーグ秘書専用シートに身体を預け、肘掛けにある、システム接続ボタンを
押す事により、シートから動けないようにベルトで固定され、バックパックの体外コンピューター接続システムに
ケーブルが自動的に接続され、杏奈は、社内のコンピューターシステムの一部になって、情報処理や情報交換、
秘書として必要な情報の全てを社内ホストコンピューターから直接交換できるようになって、
秘書サイボーグとしての業務をこなす事を開始したのであった。
 今までの秘書業務と違って、コンピューターネットワークの一員と肉体がなった今の杏奈の
サイボーグ秘書としての業務の効率は信じられない程向上していた。かつて無い程の業務の効率の向上に
杏奈は自分がサイボーグになった事への後悔の念が全て吹き飛んだようだった。
今までの効率の悪い秘書業務が嘘のようだった。杏奈は仕事のに対するかつて無い程の満足感と
喜びを感じていた。杏奈は仕事か夢のように捗るのを感じながら、片桐のために貴重な戦力になったことへの
喜びも感じて仕事を続け、あっという間に就業時間が来た感じだった。
229manplus:2006/05/15(月) 22:15:02 ID:U7AIAdB00
 それでも、サイボーグ秘書専用シートに拘束されたり、解放されたりをこの日は、繰り返したので、
少し疲れを感じていた。
しかし、これから、一人の女性として、片桐の愛を受ける事になる時間を迎えられるという期待感が
杏奈の疲労感を吹き飛ばすのであった。
「水沢さん。これからお楽しみのところ水を差すようだけど、スペースフィットスーツとサイボーグ体の
メンテナンスチェックは必ずおこなうようにね。
あなたは、実験動物でもあるのだから、あなたの毎日のデーターが我が社としては必要なの。
最低一時間でもいいから、スペースフィットスーツ装着者専用メンテナンスシートに今日中に乗ってちょうだい。
社長にも言ってありますから、怠りないと思うんだけれど。久しぶりの大事な人との一時を満喫してね。お疲れ様。」
谷本の指示が、私の頭の中に響く。スペースフィットスーツのコミュニケーションシステムによる交信なのだった。
この日は、杏奈がどの様な状態にいるのか秘書課のメンバーが、把握する意味と杏奈がこの日常生活で、
一人だけスペースフィットスーツという囚人服の中に閉じこめられている事になれる意味との二つの意味合いで、
杏奈との会話は、コミュニケーションシステムによる交信か、コンピューターネットワークによるラン回線からの
交信という二つの方法に限定され、取締役会のみスペースフィットスーツに付けられた外部スピーカーと
マイクによる交信を使う事になったのだった。
その為、杏奈と秘書課のメンバーやその他の社員が、杏奈と交信できるのは、コミュニケーションシステムの
端末のヘッドセットを持つ人間に限定された。
しかも、ヘッドセットの数を限定したため、片桐と谷本は優先的に、ヘッドセットを持つ事になったため、
他のメンバーに割り当てられたヘッドセットは、僅かに3つということになった。
230manplus:2006/05/15(月) 22:15:37 ID:U7AIAdB00
その為、杏奈と話をしたい秘書課のメンバーでヘッドセットは取り合いとなっていたし、
ヘッドセットを誰も付けていない状態の時もあったため、杏奈は会話の不自由さを感じざるを得なかった。
だから、たとえ指示でも、常時話せる片桐と谷本の声が杏奈にとってのよりどころになったのであった。
「わかっています。必ず、身体データの取得作業は実施します。それが私の仕事の一つなのですから。
それでは失礼します。」
杏奈はそう答えながらも、人間扱いされない自分の存在にまだ戸惑っていた。
実験動物でさえない、今の自分の立場があった。自分はサンプル品であり、機械なのであった。
その立場は不動のものであった。
秘書課の同僚や後輩の目も、杏奈は自分を水沢杏奈として見ていない事がわかった。
スペースフィットスーツの恒久的装着実験者であるという好奇の目の中に一日を過ごした。

231manplus:2006/05/15(月) 22:29:25 ID:U7AIAdB00
「水沢君。帰るよ。」
私は、杏奈にそう声をかけた。もちろんヘッドセットからの交信であった。
杏奈を従えて帰る事は、秘書としての業務上、私が必要としているために当然の事であったし、
私が杏奈を私生活でもパートナーにする事は周知の事実であった。
杏奈は、私と一緒に帰れるという事に喜びを感じている事は、スペースフィットスーツを装着させられて杏奈の
表情を確認出来はしなかったが、身体全体に喜びが表れているのがわかった。
 私の後を杏奈がついてくる姿は、他から見れば奇異に映るだろう。
何故なら、私は、普通の人間であるが、その後に宇宙服に身を包んだ人影が付いてくるのだからである。
ぬんなの姿は目立つ存在なのである。しかし、今の杏奈は、地球上に降り立った宇宙人という表現が正しかった。
何故なら、杏奈は、スペースフィットスーツを脱いで地球上で生活できるのはたった24時間しか
認められていないのである。
それ以上の生命維持は、生命維持システムと接続されるか、スペースフィットスーツの中に
逃げ込むしかないのである。
杏奈にとっては、スペースフィットスーツは、自分の身体の一部であり、このスペースフィットスーツ無くしては、
生命維持が出来ないのであった。
スペースフィットスーツを着ていればこそ、連続3600時間の単独での生命維持が、約束されるのである。
それに、杏奈は、地球の大気を呼吸できない身体になったのである。
人間であっても、地球上の空気の恩恵にあずかる事の出来ない悲哀は、私の性的衝動をそそるに充分であった。
しかし、私は、貞操トランクスを履いているので、そのような妄想に浸るのは危険であるため
我慢する事にしたのであった。
232manplus:2006/05/15(月) 22:30:03 ID:U7AIAdB00
 エレベーターで、一階におり、私の専用車を差し回している玄関に二人で歩いていった。
その間も、杏奈は、社員の好奇心の目に晒されるのであった。玄関を出ると、
「社長。専用車を替えたのですか?」
杏奈が私に質問した。
「このような大型のワンボックスリムジンじゃないと水沢君の新しい身体を納めるスペースが取れないからね。
普通の乗り物に乗るには、君の身体はかなりのスペースをとってしまうからね。」
私は、杏奈に、現状の自分の身体が、かなりがさばる物であることの自覚とその身体で
生きなくてはいけないことの自覚を促したのである。
「社長の仰るとおりです。今の私は、地球に来た地球外生物というか、免疫不全症候群のために、
外気に触れられない人間という境遇なのですね。
この長期着用型宇宙服「スペースフィットスーツ」は、かなりのスペースを独占しますからね。
私が、このようになってしまい、社長にはご迷惑をおかけします。そして、配慮に感謝いたします。」
杏奈はけなげに答えてくれた。
「社内も、水沢君の事を考えた仕様にしてある。さあ、乗ることにしよう。」
杏奈は私に促され私の専用車に乗った。私は、杏奈のために作られたシートに座らせた。
「水沢君がこの車の秘書サイボーグ専用シートに固定されることにより、この車と水沢君が一体になり、
この車の頭脳になると共に秘書機能を行う、マルチタスク状態になるのだ。」
杏奈は、自分が車のコンピューターの一部として機能することになる訓練を受けていたので、
秘書サイボーグ専用シートに座るように指示を受けると当たり前のように座り、シートのボタンを操作して、
自分の身体をベルトで完全拘束した。
杏奈のサイボーグ体がシートに固定されると、スペースフィットスーツのバックパックの
外部接続コネクターに車側から、シートに着いているケーブルが自動接続された。
これにより、杏奈は、車の一部として、カーナビや車内のコントロール等の車の機能を秘書として
調整することになる。
233manplus:2006/05/15(月) 22:30:39 ID:U7AIAdB00
運転手がいない場合には、杏奈は、ハンドル操作なしに、私の車を動かすことが出来るようになるのである。
杏奈は、カーナビとして、まず、機能を開始した。
「片桐社長の自宅まで所要時間は25分を予定します。
小林運転手、本日の使用ルートは、B街区の混雑が発生しているため、A街区経由になります。
まず我が社玄関を出発し、右折後、35キロの巡航速度で直進願います。」
杏奈は、運転手に指示を出した。この指示が機械的な音声に戻り、サイボーグとしての機械との協調システムが
うまく機能していることがわかった。
私の車が、巡航速度で順調に運転し始めると、カーナビとしての指示と同時に、秘書としての杏奈の声での
私とのミーティングをこなした。
明日のスケジュールの確認や必要書類の確認を行いながら、車の意志の一部として、
私の好きな音楽を車内に流したり、空調の調節も杏奈が人間的に判断したものを杏奈の体内の
補助コンピューターが私の車に指示を出していくのであった。
杏奈は、会社で秘書サイボーグ専用シートに納まっている時以上に機能してくれているのであった。
しかし、それは、人間らしい機能の仕方と言うよりもマシンとしての機能の仕方という方が正解であった。
杏奈は、自分の今現在の存在がサイボーグであるという認識をまた新に強くしていたのであった。

234manplus:2006/05/15(月) 22:38:23 ID:U7AIAdB00
「お待たせいたしました。目的地に到着いたしました。」
ナビゲーションを終了し、我が家の前に私たちが到着すると杏奈の言葉が響いた。
私たちを乗せた車がエンジンを停止すると、杏奈は、秘書サイボーグ専用シートの傍らのボタンを押した。
そうすると魔法を見ているように杏奈に捲かれていたシートベルトがみるみるうちに解かれていき、
杏奈は、シートから解放された。運転手が座席のドアを開けて私に続いて、杏奈が降りていった。
杏奈は、運転手に、
「明日は、本社に定時に出社して、書類の決裁を行いますから、8時半に車を回して下さい。」
と指示を出した。運転手は、
「判りました。」
と短く答えて帰っていった。
 やっと、私と杏奈のプライベートの時間がやって来たのであった。
235manplus:2006/05/15(月) 22:39:42 ID:U7AIAdB00
こんばんは。
今日はここまでです。
次回は、片桐と杏奈の夜の生活を書いてみようと思います。
フェチスレらしい描写が出来ますことやら・・・。
頑張ってみます。
236名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:14:17 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(1)】

 ヒアリングは一番の苦手で、試験時間が終わったときは、緊張で口の中がカラカラに渇いていた。
 けれども、僕が志望する輝海(きかい)高校でも開造(かいぞう)高校でも、ヒアリングは必ず出題される。
 結局、場数を踏むしかない。本番までに、あと何回模試を受けられるだろうか……
 考えながら、僕は廊下に出た。
 最後の国語の試験の前に、水を飲んでおこうと思ったのだ。
 廊下の端のトイレの前にウォータークーラーがあるのを、今朝、この会場に着いたときに見つけていた。
 ところが、そこまで行ってみると、何人かの受験生が集まって、
「ヌルくてマジィ」「うそぉ、最悪ぅ」
 などと、口々に言っていた。
 どうやら、ウォータークーラーが壊れているらしい。
 これなら水道の水のほうがマシだと言って、そのグループは立ち去ったが、
(せっかく飲むなら、水道じゃなくて冷たい水のほうがいいや)
 贅沢なことを、僕は考えてしまった。
 よその階に行けば、他にもウォータークーラーがあるはずだ。
 次の試験まで、まだ十五分あるし、国語は僕の得意科目。
 いまさら参考書を見直す必要はないから、ギリギリに教室に戻ってもいいだろう。
 ここは校舎の二階なので、僕は三階へ行ってみることにした。

 今回の模試の会場は、ケトル学院高校だった。
 スポーツの強豪校として有名だが、とある宗教団体の系列の学校ということでも知られている。
 今年、初出場した甲子園では、生徒や父兄が奇妙なダンスを踊りながら応援している姿で話題になった。
【続く】
237名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:15:09 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(2)】

 それはともかく、模試の機会でもなければ、僕がこの学校を訪ねることはなかっただろう。
 僕が目指していたのは、もう少し上のランクの高校なのだ。

 三階のウォータークーラーも使えなかった。『故障』と貼り紙がしてあったのだ。
 甲子園まで出たくせに、ウォータークーラーくらい直しておいてほしい(甲子園は関係ないか?)。
(水道の水で、我慢するか……)
 あきらめかけた僕は、ふと窓の外を見て、中庭を挟んだ向こうに、もう一つ校舎があるのが目についた。
 こちらの校舎とは建物の中ほどで、渡り廊下で結ばれている(空から見れば「H」型になるだろう)。
 向こうにも、ウォータークーラーはあるんじゃないか?
 まさか、学校中で壊れていることもないだろう。
 さっそく僕は、そちらの校舎へ行ってみることにした。
 試験の前に余裕というか、あきらめが悪いというべきか。

 ところが、渡り廊下の途中の立て札を見て、僕は足を止めることになった。
『東校舎三階  特別進学クラス教室  一般生徒の立入を禁ず』
 ケトル学院に「特別進学クラス」があるなんて、初めて知った。
 少なくとも去年までは、それほど高い進学実績はないから、できたばかりかもしれない。
 引き返すか? 引き返すべきだよな。
 でも、元の校舎に戻って二階に下りて、それからまた東校舎へ行くのも、面倒だ。
 僕はただ、水を飲みたいだけなのだ。
 誰かに見つかったら、立入禁止だとは気づかなかったと、とぼけよう。
【続く】
238名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:15:55 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(3)】

 僕は模試に参加しただけの受験生で、それほど怒られることもないだろう。
 それに――ケトル学院に「特別進学クラス」があるなら、志望校の一つに加えてもいい。
 その下見ということで、教室を覗かせてもらったって、いいだろう。
 身勝手な理屈をあれこれ考えて、要するにあきらめの悪すぎる僕は、東校舎の三階に足を踏み入れた。

 人がいる様子はなかった。
 しんと静まり返った廊下にも教室にも、明かりはついていない。
 もちろん、きょうは日曜だから、当然といえば当然だ。
 肝心のウォータークーラーは、あるだろうか……
 僕が考えたそのとき、タイミングよく、
 ――ブーーン……
 廊下の先から、何か機械がうなりだす音が聞こえてきた。
 ウォータークーラーだった。ついに見つけた。
 暗がりで、よくは見えないけど、四角い箱型のシルエットは間違いない。
 音がしているということは、ちゃんと使えるということだろう。
 ほっとしながら僕は、そちらに向かい歩きだした。
 ここまで来て、よく冷えたウォータークーラーの水が飲めないのは、がっかりだ。
 途中、廊下に並ぶ教室を覗いてみる。
 しかし、どの教室も何の変哲もなく、この一角が立入禁止になっている理由はわからない。
 休み時間とかに、一般の生徒が出入すると、騒がしくなるからかな。
「特別進学クラス」の生徒は、休み時間でも勉強したいガリ勉たちなのかも……
【続く】
239名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:26:39 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(4)】

 ぎょっとして、僕は足を止めた。
 近くまで来てみると、ウォータークーラーの上に、人間の生首が載っているように見えたからだ。
 いや。実際、そこには首があった。
 ポニーテールの髪に白いリボンを結んだ、女の子の首。眠っているように目は閉じている。
 ひどいイタズラだと思った。マネキンか何かの首だろう。
「特別進学クラス」を妬んだ一般の生徒が、嫌がらせに置いたのか……

 女の子の首が、ぱちりと目を開けて、僕は「ひっ……!」と息を呑んだ。
 びっくりしたときに、僕は悲鳴を上げるのではなく「硬直」すると、友達によく言われる。
 自分がそういう習性でよかったと、思わずにいられなかった。
 そうじゃなければ、僕の悲鳴は学校じゅうに響いて、大騒ぎになっていたことだろう。

 女の子は、にっこりと僕に微笑みかけてきた。
「おはようございます」
「あ……、おはようございます……」
 僕も挨拶を返したけど、顔がひきつっているのが、自分でもわかる。
 彼女は、いったい何なのだ?
 首だけで生きている。あるいは、首だけの亡霊……
 そんなわけは、ない。普通に考えれば、体はウォータークーラーの中に隠しているのだろう。
 つまり、このウォータークーラーは、よくできたニセ物だ。
 でも、何のため? 文化祭か何かの仮装の準備?
【続く】
240名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:28:15 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(5)】

 いや……
 ウォータークーラーの前面に、女性のオッパイが付いていることに気づき、僕は、あわてて目をそらした。
 まさか女の子は、裸でウォータークーラー(のニセ物)の中に入っているのか??
 そんなはずなかった。オッパイもニセ物に決まっている。
 でも、こんなエッチな仮装で文化祭に参加することを、学校が許可するとは思えない。
 それとも「特別進学クラス」に限っては、許されてしまうのか……

「――『特進クラス』の方じゃ、ないですよね?」
 女の子にきかれて、僕は我に返った。
 彼女の顔を見て、再びあわてて目をそらす。
 ところが、目を伏せるとオッパイが目について、作り物だと思っても直視はできなくて。
 結局、女の子の顔だけ見るようにしようと、僕は顔を上げた。
 彼女が在校生ならば僕よりは先輩で、「女の子」と呼ぶのは失礼だろうけど。
「すいません、模試で来たんですけど、水が飲みたくて、迷っちゃって……」
 言いわけにならない言いわけを僕がすると、彼女は、くすっと笑い、
「私の『お水』でよろしければ、どうぞ」
 彼女の顔の前から、本物のウォータークーラーのように水がほとばしり、僕は目を丸くした。
「すごい……」
「ウォータークーラーですから、私」
 にっこりとして答える彼女に、僕は少し興奮して、
「いや、すごい仮装です。文化祭で発表するんですか?」
【続く】
241名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:34:56 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(6)】

「仮装? いえ、私は本物のウォータークーラーです」
「え? でも……」
 納得できずにいた僕は、彼女の顔の前にほとばしる水が、どこから吹き出しているか気づいて、
「え……!?」
 もう一度、硬直することになった。
 その部分は、どう見ても、女性の「ある部分」にそっくりだった。
 まだ本物を見たことはない。でも、ネットや友だちに借りたビデオで目にする機会はあった。
 女性の性器だった。
 毛は生えていないけど、そうとしか見えなかった。
 本来、縦長のO字型であるはずのその器官は、無理やり押し広げたように、ぱっくりと丸く口を開けている。
 肌色の外縁部は、ぷっくら盛り上がり、その内側は濡れ光る紅色の体組織。
 水は、その紅色の組織に穿たれた小さな穴から、弧を描くように吹き出している。
 そして、女性器であるならば膣に相当するはずの、やや大きめの穴に流れ込んでいる。
 ということは、水の吹き出し口は、尿道口に当たるのだろうか。
 彼女が言った。
「お水、飲まないんですか?」
「あ、え、いや……」
 どうしたものか、僕が答えられずにいると、水は止まった。
「もったいないから、止めておきますね」
 彼女は言って、にっこりとする。
「また飲みたくなったときは、私のオッパイにタッチしてください。スイッチになっていますから」
【続く】
242名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:42:07 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(7)】

 僕は、恐る恐るたずねた。
「あの……、あなたは……、この学校の生徒では、ないんですか……?」
「この学校の、備品です。ウォータークーラーですから」
「つまり……、ロボットってこと……?」
 ようやく僕は、その可能性に思い至った。
 彼女は生身の人間ではなく、よく出来たロボットなのだ。
 それならば、全て納得がいく。
 女性器(そっくりの部分)を人目に晒して平気でいるのも。
 休日の誰もいない学校の廊下に一人で佇んでいたのも。
 彼女がロボットだったからだ。
 ――それにしては、本物そっくりのオッパイや性器を取り付けるなんて、悪趣味だけど……

 しかし、彼女の返事に、僕はますます驚かされることになった。
「そうですね、ロボットということになるのでしょうか。いまは『人間』じゃないですから」
「いまは……って、元は人間なんですか??」
「ええ。でも、いまはウォータークーラーです」
「じゃあ、この姿は、本当に体を『改造』して……」
「はい。ウォータークーラーになるために手術を受けました」
 彼女は笑顔のまま答える。
 僕は、まったく信じられなくて、首を振り、
「人間の体を、こんな『改造』だなんて、そんな……」
【続く】
243名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 15:53:45 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(8)】

 ウォータークーラーの女の子が言った。
「『無私の奉仕』って、わかりますか?」
「この学校の基本理念……だよね。試験会場の教室にも掲げてあった……」
 僕が答えると、彼女は微笑み、
「『私(わたくし)』を捨てて、人類共同体に『奉仕』する。それが、人間の最も清らかな姿なんです」

 彼女は説明してくれた。
 黙々と粉を挽く風車のように。
 あるいは、夜道を照らすガス灯のように。
 ただ静かに、人類共同体のために奉仕することで、天国への扉は開かれるのだと――

「もちろん神様も、全ての人間が百パーセント、自分を捨てることまで求めてはいません」
 彼女は言う。
「文化を発展させたり、次の世代を担う子供たちを生み育てたり。人間には、それぞれ役割があります」

 世の中には、様々な人間がいる。
 生まれつきの才能がある人。才能を努力で補っている人。
 だから神様は、人間が出来る以上のことを求めたりしない。
 それぞれが、それぞれの立場で、人類共同体の発展に尽くせばいい。
 けれども。そうした共同体に、ただ無私無欲に「奉仕」する人間がいるとすれば。
 彼らこそが、最も天国に近い人々なのだ――
【続く】
244名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 16:11:07 ID:ybvs8xfb0
【ウォーター・クーラー(9)】

「私、学校のテストとか全然ダメだったんです」
 彼女は言って、悪戯っぽく笑った。
「この高校に合格したのも奇跡なくらい。ううん、きっと本当に神様の奇跡」
 ロボットなんかじゃない。
 悟りきった聖者のものでもない。それは「生身」の女の子の、自然な笑みに見えた。
「だから、私が人類共同体の発展に貢献できても、学問の分野じゃないだろうと思ってたんです」
「…………」
 僕は黙って彼女の話をきいている。そろそろ試験が始まる頃だけど、構うもんか。
 彼女は言葉を続けた。
「そうしたら、この高校に入って、備品がいろいろ壊れているのを見て。『これだ!』って思ったんです」
「何で貢献できるか、見つけたんだ……?」
「ええ」
 ようやく理解し始めた僕に、彼女は嬉しそうにうなずく。
「私がこの高校に入ったのは、壊れている備品の代わりに、学校で勉強するみんなに『奉仕』するため」
 チャイムが鳴りだした。その音に負けないくらい、彼女は、力強く言いきった。
「だから私、ウォータークーラーになったんです」

 ――彼女の言う「無私の奉仕」を、きっと僕は、本当には理解していない。
 僕が「人類共同体」への貢献に努力するとすれば、それは「奉仕」の心からではない。
 彼女のような女の子たちに「奉仕」される立場になりたいという願望なのだ。
 僕は、ケトル学院高校を第一志望にしようと心に決めた――
【終わり】
245名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 18:40:45 ID:YPtU2wYR0
おわっちゃうの〜!
246名無しさん@ピンキー:2006/05/19(金) 18:58:35 ID:tNXCV4Um0
終わってほしくないな。
247名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 18:40:06 ID:/qf4+8010
まったくおいしい思いができないまま主人公も強制改造&洗脳って展開一択のような…
248pinksaturn:2006/05/21(日) 09:07:42 ID:1QV+THKz0
(お久しぶりです。”オプションパーツ”の続きです。)

−−(16)アイスショー−−

(メンテナンスセンター出口ロビー)

マオパパ:「真理亜侯様、先輩方、いつも娘がお世話になっとります。」

真理亜:「どういたしまして。マオもミキも宇宙遊泳の勘が初めから身に付いていて即戦力でしたわ。優れた素体を供出していただいた社長には感謝しないと。」

マオパパ:「そうですか。お役に立ててなによりです。」

真理亜:「社長の愛国心は皇族方も認めるところですわ。私は公家に報告がありますので、お先に失礼。でわまた。」

エリ:「マオって一人娘なんですってね。会えなくて寂しかったでしょう?。」

マオパパ:「そのつもりで育ててきましたから、15歳までに私に出来ることは全てやったつもりでした。
その甲斐あって、素体訓練中はよく科目早期終了休暇を頂けたのですが、改造からそのまま任務に入って3年半はやっぱり長いですね。」

マサ:「そういえば、マオとミキの換装は手間取ってるねえ。」

リエ:「外装を持ち込み品で全取っかえでしょ。整備兵も大変だわ。ま、私の前回の比ではないだろうけど。」

リホ:「出てきたようね。うわー、ホントに全身金ぴか。すごいわねえ。だけど、あれって全裸なんじゃないの?。」

マオパパ:「股間と乳首は同素材のカバーを付けたので道徳的な問題はないと思いますよ。」

リエ:「同意、同意!。社長さん気が合いそうね。」

マオパパ:「リエ軍曹様にそう言っていただけるとは光栄です。是非、今度うちに遊びに来て下さいませ。」
249pinksaturn:2006/05/21(日) 09:09:48 ID:1QV+THKz0
マサ:「リエいいなあ。」

マオパパ:「いえ、小隊のみなさまも是非。スケートリンクもどうぞ。マオたちのために思い切り硬く氷を張るので、せっかくですから。」

マサ:「それはどうも。いっぺんやってみたかったので。やっぱりサイボーグが使うには氷も硬くしないといけないんですね。」

マオパパ:「みなさんなら普通の氷でも大丈夫かも知れません。純金外装だと体重が90`越えますから、8回転ジャンプをやったら割れてしまいます。」

マサ:「なるほど。ところで、マオたちの足、スケート履けるんですか?。」

マオパパ:「ええ。重量に耐えられる靴はいいのが無いんで足自体をピンヒール型にしたのですが、滑り止めのゴムを引き抜くとブレードが付けられます。」

マオ:「それ、さっきから気になってたの。さすがパパだわ。それで、みなさんのご都合はいつが良いのでしょうか。」

リエ:「私はあさってからヒマよ。」

マサ:「今回は本業の実入りが良かったから、私は遊び優先!。」

マオパパ:「あさってなら氷も仕上がってるので良いですよ。他の方も良いですか?。じゃ、お待ちしてます。」
250pinksaturn:2006/05/21(日) 09:12:13 ID:1QV+THKz0
(2日後、地底アイスワールド内スケート場メインリンク)

マオ:「だいぶ調子出てきたわ。いよいよ行ってみるか、えーい8回転ジャーーーンプ!。」

ミキ:「やったね。着地も決まったがや。よし、私も、そーれ、8回転ジャーーンプ!。うっ、ちょい着地姿勢いがんだか。惜しい。」

マサ:「やるわね。よーし、先輩の意地よ。ジャーーンプ、決まっ...あ−っ。痛った−−い。うう、股裂きじゃ。」

リエ:「いくらサイボーグでも、スケート初めてで、そりゃ無茶よ。」

マサ:「おっかしーな。昨日、プロのアイスショーのビデオをダウンロードして動体解析したデータを身体制御CPUに仕込んだのだが。バグったかしら。」

リホ:「なるほど。今のジャンプはともかく、いきなりプロみたいな滑りかたしてたのは、そういうことか。」

エリ:「だけど、ジャンプの高さだけはマオたちのように出来ないようね。やっぱり、子供の時からの経験ってサイボーグになっても大事なのね。」

マサ:「他の技は完璧なんだが、踏み切りの時力がどこかに逃げちゃう感じなんだよねー。経験の問題とも思えないわ。」
251pinksaturn:2006/05/21(日) 09:24:51 ID:1QV+THKz0
マオ:「先輩たちの足って、下腿骨に衝撃吸収サスが入ってるじゃないですか。ジャンプの時の力だとアブソーバーが縮みますよ。」

マサ:「えっ?。マオのだって機構は同じでしょ?」

ミキ:「私たちは、下腿の外皮が剛体なのでアブソーバ殺してノーサス状態にしてるんです。その差ではないですか?。」

リエ:「その体重でノーサスにしたら、着地の衝撃で膝や足首の機構が壊れるんじゃ?。」

ミキ:「8時間ぐらいは持ちますよ。寒さが気にならない体になったので、うっかりやり過ぎると2日でガタが来ますけど。」

リホ:「2日って、後どうするの?。しょっちゅう修理じゃ大変じゃないの。」

マオ:「お父様が家とリンクを結ぶ通路の脇に整備工場を造ってくれてますから。予備の足も買ってありますし。」

エリ:「そこまでするかねえ。呆れたわ。」
252pinksaturn:2006/05/21(日) 09:28:52 ID:1QV+THKz0
(子供用リンク)

冬子:「はい、右、左、揃えて、軽く傾けて。あーああ、転んじゃった。傾け過ぎよ。」

みどり:「痛ったあい。お母さんはいいなあ。初めてなのに楽勝で滑れて。」

冬子:「サイボーグとしては決して楽勝な方じゃないのよ。身体制御CPUに余裕ないから普通の初心者の滑り方しか入らなくてね。」

春男:「やっぱり、小隊の他の人と比べるとかっこ悪いよなあ。」

冬子:「おまけサイボーグなんだからしょうがないわよ。お前たちとこんな事が出来るだけで夢みたいだわ。」

マオパパ:「そう言っていただけると光栄ですね、冬子伍長様。」

冬子:「あ、社長さん。お言葉に甘えて子供まで連れてきてしまって。ありがとうございます。」

マオパパ:「いやあ、お子さん連れの宇宙兵様にお会いしたのは初めてでして。いいですね。こうしているとマオがスケートを始めた頃を思い出します。」
253pinksaturn:2006/05/21(日) 09:30:34 ID:1QV+THKz0
みどり:「社長さん、私もマオさんみたいに成れるのかな?。」

春男:「マオさんとミキさんかっこいいです。僕もああいう風になりたいなあ。」

マオパパ:「がんばればチャンスは十分あるよ。マオたちの実績からスケートが素体適性に良い効果をもたらすと証明できたし。
ところで、いま思いついたんですが、子供向けの初心者スケート教室を開いて、冬子様にコーチをお願いしたいのですが、どうでしょう。」

冬子:「え、私がですか?。マオさんが居るのに。」

マオパパ:「あいつにはアイスショーをやらせたいし、子供向けとなるとスケートが巧ければいいという訳じゃないですから。」

みどり:「お母さんやってみようよ。そうすれば私たちも関係者パス貰えそうだし。」

春男:「そうだよ。僕はもう半年しか無いけど卒業寸前まで適性評価されるらしいから目一杯やれば間に合うかも知れないし。」

マオパパ:「うんうん。君たちも素体適性上げたかったら、お母さんその気にさせてよ。」
254pinksaturn:2006/05/21(日) 09:42:12 ID:1QV+THKz0
(マオの実家)

マオパパ:「それではトロヤ帰還宇宙兵のみなさんの成果を祝して、乾杯。」

マサ:「この大理石の床きれいで良いですね。」

マオ:「前に帰った時はフローリングだったのだけど、私が気にせず歩けるようにって。」

マオパパ:「私は宇宙で働けないのだから、出来る事と言えばこの程度ですから。」

マオ:「せめて休暇中はアイスショーでがんばって元を取らせるからね。」

ミキ:「社長さん、そのアイスショーのことですけど、あの固い氷だと私たちは滑りやすいけど脇役の娘が足痛めますよね。」

マオパパ:「そうなんだ。実はそのことで下心があって皆さんをお誘いしたのですよ。つまり、その役をお願いできないかと。」

リエ:「なるほど、私らならマサがやったみたいに身体制御CPUにプロの動きを入れてしまえば脇役ならすぐ出来ますね。」

マサ:「私は賛成。ひらひらの衣装付けて出たい!。ねえ、リホとエリもやろうよ。」

マオパパ:「ご理解いただけて幸いです。実は、ありがたいことに真理亜侯様が出て下さるのです。他にも工場でアルバイトしている宙軍整備兵様も3人出ていただけるのです。」

マサ:「真理亜様が!。だったら尚更だわ。じゃあ、決まったね。」

リエ:「楽しそうだけど、私は常にこの体を人目にさらすのがポリシーなんで、構いませんか?。」

マオパパ:「リエ様のダイヤ頭皮はきらきらして氷に映えますし、元々そのままでお願いしたかったのです。」

マオ:「とゆうことで、先輩方宜しくお願いします。公演が当たったら分け前の方はきちんとしますので。」
255pinksaturn:2006/05/21(日) 09:44:32 ID:1QV+THKz0
(ショウ当日、地底アイスワールド内メインリンク)

ナレーター:「いよいよクライマックスです。正義のアイスボーグ、ゴールデンシスターズは果たしてハカイダー2世一派の手からマリア姫を救出できるのでしょうか?。」

マサ:「それっ、取り囲め!(こういうのって悪役の方が楽しいのよね)。」

リホ:「ヒーッ(何で私が雑魚戦闘員なんか...ま、いっか、所詮副業だし)。」

エリ:「ヒーッ(マサめ、悪のりし過ぎるなよ。勝っちゃたらショーがめちゃくちゃになるんだから)。」

マオ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!。」

リホ:「ヒーッ(雪玉とはいえ結構痛いな。さっさと逃げちゃおう)。」

ミキ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!。」

エリ:「ヒーッ(リホ逃げるの速すぎだよ、もうちょっと見せなきゃ...)。」

マサ:「うぬぬぬ、よくも。ハカイダー2世様お助けを(リエがボスキャラってのがちと悔しいが、社長とすっかりお友達だしなあ)。」
256pinksaturn:2006/05/21(日) 09:46:03 ID:1QV+THKz0
リエ:「ぐえっへっへっへ。マリア姫は渡さんぞ。」

マオ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!。」

リエ:「儂のダイヤモンド外皮にそんな攻撃は通じないぞ。さあ、我が催眠LEDで眠ってしまえ、チカチカチカ、チカチカチカ。」

ミキ:「うっ。ね、眠い(本物の催眠ランプじゃ?。ちょっとぉ!。リエ先輩..。)」

マオ:「うとうと(気持ちよくなって来ちゃった)。」

運悪くリエを見つめた観客:「眠い、(えええーっ、本物の催眠ランプ、マジですか)ばたっ。」

真理亜:「ゴールデンシスターズ、眠っちゃダメよ!。仕方ない、アイビーム発射!(大気中だから大丈夫よね)。」

ミキ、マオ「熱ちっ(げっ本物、純金外装に傷つかないかな、反射率は良いけど)、うっ目が覚めたわ。よーし、合体8回転ジャーンプ、ダブル雪玉アターック。」

リエ:「ぎょえー。退散、イナバウアー(反り返ったままバック、うーん決まったね)。」

マサ:「あ、ハカイダー2世様お待ちを、...逃げなきゃ。退散、イナバウアー。」
257pinksaturn:2006/05/21(日) 09:52:49 ID:1QV+THKz0
(貴賓席)

文部大臣:「あの催眠ランプやアイビームって本物じゃないですか?。まずくないですか。」

皇太子:「真理亜の能力なら危険なところには飛びませんよ。兼務する宙軍大臣としては、将来の素体供出を担う子供たちにサイボーグの威力を見せたいのでね。」

文部大臣:「左様ですか。東宮様の方針はごもっともですが、観客も何人か眠ってしまったようで...。」

皇太子:「真理亜は貴族ですからアイビームの平時装着は合法です。リエの内蔵イルミネーションはそもそも武器じゃないから規制外ですよ。」

皇帝:「少々の騒動は構いません。外国のテレビなら数人倒れたくらいですぐ点滅規制とかしますけど、つまらないタブーを設けないのは我が帝国の根幹方針ですよ。」

文部大臣:「陛下がそう仰せなら。」

皇太子:「北米の火星探査は”隕石事故”で一時中止になったようですけど、仮にこのたびの救援が失敗して漂流中の乗員が死んでも、いずれ再開されてしまうでしょう。
また、火星がしばらく静かになっても、月資源をめぐる北米と満漢の妨害合戦は続いていますから、とばっちりで我々に火の粉が降りかかることだって。
衛星軌道の警備を強化するには、シビリアンの素体供出率を改善してサイボーグ兵を増やすしかないのですよ。
文部省の方でも多少のリスクは覚悟して、サイボーグになりたがる子を増やす方策を一層推進していただきませんとね。」

文部大臣:「厳しい世界情勢ですからね。肝に銘じておきます。」
258pinksaturn:2006/05/21(日) 09:55:57 ID:1QV+THKz0
(控え室)

マオパパ:「どうも皆さんお疲れさまでした。迫力満点で評判も上々です。」

リエ:「この体が注目集めるのはヒジョーに気持ちいいわね。」

ミキ:「本物の催眠ランプには参りましたわ。」

マオ:「そうそう、それにまさか本物のアイビーム使うとは。驚きましたよお。」

真理亜:「NDフィルターかけるか迷ったんだけど、東宮様の仰せでね。なるべく子供たちに本物のサイボーグの力を見せてやれと。」

ミキ:「幸い、傷は付きませんでしたが結構熱かったなあ。」

真理亜:「反射率と入射角で計算ずくよ。もっとも、あなた達の金ぴか外装でなきゃ穴が空いたわね。」

マオパパ:「それでは、次回以降も怪我の無いように宜しくお願いいたします。」

真理亜:「任せておきなさい。私はショービジネスも詳しいんだから。」


(宙軍兵によるアイスショーでした。ホントはもうちょっとファンタジーなショーに出来ると良いのですが、戦隊ものみたいになってしまいました。
とりあえず、風俗以外の副業もたまには宜しいかと。 次回予告:(17)素体教官)
259pinksaturn:2006/05/21(日) 10:28:08 ID:1QV+THKz0
>>228-235
manplus様 夜の生活がんばって下さい。私は経験不足で全く書けないので出来る方にはがんばって欲しいですね。
私の方は次からそろそろ素体をしごいてみようと思っております。

>>236-244
先日の犬、今度のウォータークーラーと非人間型の開発もずいぶん盛んになってきてますね。
うちの方は人権憑き設定なのでなかなか出来ませんが、いずれ人権削除囚を使って試作したくなりました。
260名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 03:51:54 ID:nhJh1APe0
人権も人格もあるまんま非人間型になるからこそ面白いのに。

…スマソ、これは単なる漏れの好みだ。
261manplus:2006/05/22(月) 21:55:46 ID:9f+MVVt50
 私は、杏奈との暮らしを楽しむために、湾岸の50階建ての最上階の2フロアーに新居を購入していたのであった。
私の占有するフロアーは、他のフロアーの住民と別の専用エンタランスが使用できるようになっていて、
地下の車寄せからと一階から専用エレベーターで出入りが出来るようになっていた。
もちろん、通常のエンタランスも使用できるようにはなっているのだが、通常のエンタランスを使用することは
安全上全くなかった。通常エンタランスは緊急時の避難用の意味合いが強かった。
専用エンタランスに通じる通路にある専用の窓口で管理人から、杏奈に郵便物や新聞を取らせてから、
専用セキュリティーチェックを通り、専用エレベーターで、49階にある専用玄関を開けて、私たちは、
自室に入っていった。
 玄関を通り、リビングにはいると、私は、杏奈に声をかけた。
「杏奈、お帰り。」
「伸二さんとお呼びしてもいいのですね。伸二さんだけの水沢杏奈になっていいのですね。」
「杏奈、そうだよ。これから明日の9時半までは、片桐伸二の所有物の水沢杏奈でいいんだよ。
そのために購入した部屋さ。杏奈が、スペースフィットスーツ姿で休息するためのメンテナンスルームも備えてある。
杏奈がサイボーグとして、暮らしていけるような設備も整えてあるんだ。
それに、私のセックスドールであり、僕のものであるセックスドール杏奈が生命維持できるようなシステムも
備え付けてあるんだ。
ここにいれば、杏奈は、生命維持に何の不安もないようにしてあるんだよ。
さあ、こっちへおいで、これが杏奈のスペースフィットスーツ姿で暮らすための専用室だよ。」
 私は、杏奈を杏奈専用のスペースフィットスーツ装着者専用調整室に案内した。
その部屋の中央には、スペースフィットスーツ装着者専用調整ベッドを置いてあり、
杏奈はここの専用ベッドに寝ることによって、スペースフィットスーツの調整や循環液の交換を自動的に
行うようになっていた。
262manplus:2006/05/22(月) 21:57:07 ID:9f+MVVt50
そして、杏奈のデーターが自動的に、我が社のスペースフィットスーツの開発室のメインコンピューターに
送信されるようになっていた。
その為、杏奈は、研究室か、私の部屋のどちらかに一日一度、立ち寄れば、スペースフィットスーツの調整や
我が社としてのスペースフィットスーツのデーター取得が可能になるようになっていたのである。
スペースフィットスーツと一体になって初めて生命維持が可能なサイボーグである杏奈にとっては、
まさに命を繋ぐ部屋なのであった。
「伸二さん、ありがとうございます。」
杏奈にとっては、私の部屋の中では、マスターであるという教育訓練がなされており、
私のしもべとしての言葉遣いになるのであった。
「気に入ってもらえて嬉しいよ。」
「私にとってのお気遣いありがとうございます。伸二さん、それでは食事になさいますか?
シャワーになさいますか?」
杏奈が尋ねてきた。
「それでは食事にしよう。」
私の答えに、杏奈は、
「伸二さんわかりました。それではお着替えのお手伝いをいたします。その後リビングでしばらく
くつろいでお待ちください。
私は、固形物を口から摂取するという行為を必要としない身体になってからもうしばらく経ちますので、
伸二さんの味覚に合うかどうかわかりませんが、マニュアルを参考にして忠実に料理しますので、もし、
お口に合いませんでしたらおっしゃってください。甘んじてその罰は受けるつもりですから、どうぞお許しください。」
そう言えば、杏奈は、この数ヶ月間、人間の楽しみの一つである食事という行為をしていなかったし、
その行為が永久に必要ない身体になってしまったのであった。
263manplus:2006/05/22(月) 21:58:05 ID:9f+MVVt50
確かに、少し不安は残るのだが、私は、杏奈の愛情の行為を一身に受けていたかったので、
今日は杏奈の作るものを食べてみようと思ったのだった。私は、杏奈を連れて私のクローゼットに行き、
着替えをすることにした。
クローゼットで私の服を杏奈は丁寧に、脱がせてくれた。そして、私は、下着だけの姿になった。
杏奈は私の下半身を覆う貞操トランクスに気がついたようだった。
「伸二さん、その下半身はどうされたのですか?」
「気がついたようだね。これは、貞操トランクスといって、鍵がないと脱ぐことが出来ない貞操帯の一種なんだ。
肛門部分は、私の肛門の貞操を守るためにバルブで蓋をしたのだ。杏奈との愛を純粋に保つために私が決断した。
私の杏奈への貞操が私の君へのもう一つのプレゼントだ。
私の貞操トランクスと、肛門バルブの開放のための鍵は、私が杏奈が封じ込められている
スペースフィットスーツから杏奈を取り出さない限り、鍵を取り出せないようになっている。
従って、私の下半身は、杏奈のものであり、杏奈の身体は私のものであるのだ。もちろん、杏奈には、
私の排泄や性器洗浄の世話もしてもらうからね。そのつもりでいてほしい。
どうだね。私のプレゼントを気に入ってくれただろうか?」
私の言葉に杏奈は、感情をあまり自由に表すことが出来ない杏奈の発声システムを精一杯使用して、
杏奈が答えた。
「伸二さん、本当に嬉しい心遣い感謝いたします。
私は、管理されるだけのセックスドールの立場なのに、管理者の伸二さんにこのような配慮を頂いて、
本当に果報者でございます。伸二さんを生涯のご主人様として、ついて参ります。本当にありがとうございます。」
そう言って、精一杯の感謝を示してくれた。
私の着替えを手伝ってくれると杏奈は、キッチンへ行って、料理を作り始めた。
 リビングでしばらく待っていると杏奈の手作りの夕食が出来上がった。
264manplus:2006/05/22(月) 22:07:06 ID:9f+MVVt50
食卓には、私一人分の夕食が並んでいた。
杏奈は、人間のように経口食を摂る必要のない身体になっていたし、スペースフィットスーツを
着せられているかぎりは、口にものを入れることは絶対に不可能であり、スペースフィットスーツを脱いだとしても、
杏奈の口は、私の性器を世話する以外の使用は出来ないのだった。
つまり、彼女が、経口できるものは、私の精液のみなのであった。
「伸二さん、味に自信がありません。私は、食事という習慣がもう許されていないものですから、
味覚を確認することができないのです。調理資料を外部ランから取り寄せて、その通りに作ってみました。
どうぞご試食くださいませ。」
杏奈にそのように進められ、私は、杏奈の手作り料理を口に入れた。マニュアルが良かったのだと思うが、
杏奈の作った料理は合格点だった。
「杏奈、美味しいよ。合格点だ。」
「伸二さん。私、嬉しいです。料理だけは、このような身体を頂いた私にとって、
苦手以外の何ものでもなかったものですから。」
「大丈夫だ。これなら合格だ。杏奈も人間だった頃のように食べたいと思っているのかな?
しかし、残念ながら、もう、おまえにとって食事という生身の人間の欲望は剥奪されているんだよ。
それは理解しておくように。」
私のいじわるな言葉に、
「判っています。私は、伸二さんと同じ空間に存在できて、伸二さんに喜んでいただければ幸せです。
食事を摂りたいとかという欲望はもうありません。私は、そのような境遇を受け入れることで、
伸二さんといつもご一緒して、伸二さんの全てのお世話をさせていただけることが最大の喜びです。
それ以外の欲望はありません。だって、伸二さんの愛情の全てを完全に受け入れるための専用の身体に
作りかえられたのですもの。これ以上の幸せはありません。」
265manplus:2006/05/22(月) 22:07:42 ID:9f+MVVt50
杏奈は、私に対する完全な忠誠を教育されているし、そのようなラブドールへの改造が行われているのだから、
当然のことなのだが、私は、自分への恭順の姿勢をとる杏奈というサイボーグがとても愛おしく感じてしまった。
しかし、まだその意識を前面に出すことは我慢しなくてはいけない自分に気付き、理性をかろうじて保たせる状態を
維持したのだった。
ここで、理性を無くしたら、貞操トランクスに収納された私の性器が、私に苦痛を与えることになってしまうのだからで
あった。
杏奈が食器を片づけ終わったのを見計らい、私は、杏奈に声をかけた。 
「さあ、シャワーを浴びよう。こっちへおいで。」
私は、そう言って、杏奈を私の元に呼び寄せた。杏奈を連れて、最上階に作った私と杏奈のための
プレイ専用階へ上がっていった。
49階が私と杏奈が普段生活する場所であるなら、50階は、杏奈とのっくすをどの様にも楽しめる専用の
階にしてあるのだ。
私は、杏奈をスペースフィットスーツ専用の着脱スペースに連れて行き、杏奈を閉じこめている
スペースフィットスーツの両肩の部分を天井からでているスペースフィットスーツ用釣り具と接続した。
杏奈は、ちょうど両肩の部分で天井から吊られているような格好になった。
私は、杏奈の頭が入れられているアウターヘルメットの接合部分の生体認証キーアタッチメントに
私の生体認証キーである左右の親指を触れた。すると杏奈のアウターヘルメットから、ピピッという音がして、
杏奈のアウターヘルメットが前後に割れた。
私は、アウターヘルメットからでているコードやチューブ類を丁寧に外し、アウターヘルメットを専用台に置いた。
アウターヘルメットを専用台に置く前に、私は、アウターヘルメットの中にあるキー収納スペースから、
私の貞操トランクスや肛門のバルブの鍵を取り出し、首からかけた。
266manplus:2006/05/22(月) 22:08:18 ID:9f+MVVt50
そして、私は、杏奈のインナーヘルメットやマウスピース、キャップを脱がしてやり、それらも専用台に置いていった。
次ぎに、杏奈の背中に取りつけられているバックパックを丁寧に外した。
すると、バックパックから、警告音と共に、人工合成音で、「スペースフィットスーツのバックパックが外されました。
裸体での着用者の生命維持限界時間は、今から24時間以内です。」
という渓谷が流れた。こちらも、専用のケースに収納した。
杏奈は、
「伸二さん。怖いです。私は、スペースフィットスーツに容れられていなければ、24時間で死んでしまう
身体なんですね。」
といった。
「杏奈、大丈夫だよ。俺がそんなことにならないようにするから。君を私より先に死なすようなことは
絶対にしないから安心してくれ。」
私がそう言うと杏奈は安心してくれた。
次は、杏奈の手に取りつけられたグローブや脚に履かされているブーツを脱がしていった。
ついに、杏奈は、スペースフィットスーツ本体だけの姿になった。
私は、背中のファスナーの生体認証キーのロックを外して、杏奈のスペースフィットスーツのファスナーを
おろしていった。
そして、杏奈にスペースフィットスーツから抜け出すように指示を出して、杏奈は完全な裸体の状態になった。
私の目の前に、実物大の動く人形である水沢杏奈が出現したのであった。
私は、着ている服を脱ぎ捨て、貞操トランクスだけの姿になった。
杏奈は、私の首から、貞操トランクスの着脱キーをとり、私の性器を貞操トランクスから丁寧に解放してくれた。
私は、杏奈と私の性衝動レベルをコントローラーを操作して最大にした。
267manplus:2006/05/22(月) 22:19:56 ID:9f+MVVt50
私のペニスは、私の理想の人形の杏奈に興奮し硬く、強く勃起した。
 私は、杏奈と共に、スペースフィットスーツ専用の保管スペースからでて、保管スペースのドアを閉めた。
スペースフィットスーツの専用保管スペースは、密閉ドアで完全密室になり、埃が全て入らないような
クリーンスペースになっていたのである。
 私たちは、裸のまま、この階にあるシャワールームに向かった。
 私は、杏奈の運動パターンをロボットパターンにセットした。これにより、杏奈はロボットのような少し人間とは
違うぎこちなさのある動きしかできなくなったのである。
私の横には、私の意志をくみ取って動くことの出来る人形がいた。
私の性衝動はシャワールームに付く頃には、頂点に達したため、精液生産システムがフル稼働状況になってしまい、
睾丸にかなりの張りを感じるようになっていた。
精液がものすごい勢いで生産されているということであった。
私はここまでの性欲を人間の女性に感じるのは、杏奈が始めてである。杏奈を私の好みの女性に
造りかえさせたこと、私の下半身を少しいじらせたことの満足感を感じていた。

268manplus:2006/05/22(月) 22:20:33 ID:9f+MVVt50
シャワールームに着くと、杏奈が私の下半身の変化に気が付いたようで、合成音声の抑揚のなくなってしまった
無機質な声で訊ねてきた。
「伸二さんのシンボルがかなり興奮しているようですが、張りすぎて痛くありませんか?」
「少し、張りすぎで痛いのだ。」
私がそう答えると、杏奈は突然当たり前のように、もう第三の性器としてか、舌で全身を愛撫させるだけの
使用方法しかなくなってしまった杏奈の口に、儂の性器をくわえて、フェラチオを始めてくれた。
私の性器は、射精時間を性交渉を始めてから、45分にコントローラーをセットしていたため、杏奈は、
口での性交渉を45分間休みなく続けなくてはいけなかった。
しかし、杏奈は、手を抜くことを知らないように口で奉仕してくれた。
もっとも、杏奈の性衝動も最高のレベルになるように私が、セットしているし、私に対する全ての従属をするように、
脳に教育を施されていて、私に対する忠誠は彼女の脳から消えることがないから、
当然といえば当然なのではあったのである。
杏奈のフェラチオは、性器にインサートしているようなフィット感をともなって、最高の感触であった。
そして、私はいつ果ててもいいのであるが、私の性器をコントロールしているシステムがそれを許さないおかげで、
45分間にも及ぶ、至福の時をおくった後、射精してこの夜一回目のフィニッシュを迎えたのであった。
杏奈の口は私の精液を残らず吸い取り、舌で私の性器をくまなく拭いてくれたのであった。
素晴らしい性器に仕上がった杏奈の口を、私は、杏奈の口からペニスを抜いた後、マジマジと見つめて、
我が社のサイボーグ改造手術の技術の高さを改めて思い知った。
それと同時に、谷本ドクターが杏奈の性器や口を私好みにしてくれたことに感謝した。
しかし、彼女は杏奈の性器に少し特殊な加工を加えていたらしく、私の気持ちが杏奈にフェラチオされる前に
比べて杏奈を、そして、杏奈の口や性器だけを求めるような気持ちにさせられていることに気が付いた。
269manplus:2006/05/22(月) 22:21:08 ID:9f+MVVt50
 私は、そのような媚薬を入れられても好かったし、その方がむしろ、有り難いと思った。 プレイエリアの
シャワールームは、全面をアクリル樹脂で造られていて、プレイルームからももちろん視られる造りになっているし、
二面は、外部に面していて、街の夜景が、シャワールームから見れるようになっていた。
そして、シャワールーム内のバスタブや洗面ボールも透明アクリル樹脂製であるし、トイレのスペースも、
透明で外から丸見えになっており、便器まで、透明なアクリル樹脂製で、全ての調度品が透明な部屋になっていた。
ただし、トイレスペースは、偏光性アクリル樹脂を使用して壁面を造ってあるので、必要に応じて、
外から見えないようにすることは出来る設計になっていた。
 そんなシャワールームで、自分たちだけの夜景に包まれながら、仁王立ちで、杏奈に跪かれてのフェラチオは、
格別のものであった。
最上階で地上からもかなり高いので、人が見ることは不可能なのだが、人に見せたい衝動にかられた。
 杏奈は私の身体を隈無く洗ってくれ、私の肛門に排便システムを繋いで、腸内の夜の洗浄を行ってくれた。
そして、杏奈はその間にバスタブにお湯を溜めてくれていた。私の洗腸が終了すると排便システムのホースを
私の肛門から抜いて、私の肛門を再び丁寧に洗ってくれた。
私は、杏奈の身体に彼女のために開発した専用人工皮膚洗浄剤と保護材を使い、
彼女のラバードールとなった身体の人工皮膚のメンテナンスを行ったあと、バスタブに肩まで入って暖まった。
バスタブから上がると、杏奈は、私の身体を隅々まで丁寧に拭いてくれ、自分の身体の水滴も拭き取り、
シャワールームを二人で後にしたのであった。

270manplus:2006/05/22(月) 22:30:21 ID:9f+MVVt50
 私が杏奈のために作ったプレイルームは、50階の高層階の特性を活かして、強化ガラスで全面を
作られている。都市の夜景と満天の星のもとで、セックスドールの杏奈とのひとときを過ごしたいという願望から
作った部屋なのである。
 私は、彼女とプレイするためのベッドも強化アクリル樹脂の特注品にしている。シャワールームと併せて、
近未来的なクリスタルルームになっている。

 私は、杏奈を抱き上げて、クリスタルなベッドのうえに横たえた。
そして、私は、杏奈のコントローラーをセックスドールモードにして、音声を杏奈の声の合成音を出せるような
設定にした。
 杏奈がベッドのうえで、
「伸二さん。私、動けません。」
そう言った。私は、
「安心していいんだよ。おまえは、セックスドールとして本来の動かない人形の状態になっただけだ。
故障したわけではないんだよ。」
 私の理想型である、人形が人間の女性の声を出し、その人形で、性処理を行うパターンが、実現するのであった。
私は、杏奈の両脚を立て膝で開脚した状態にした。
「伸二さん。私の身体は、伸二さんだけが動かせる状態になったのですね。私は、今は完全な人形なのですね。」
「杏奈、そうだよ。私の理想の人形である杏奈になったのだよ。」
私の言葉に、
「伸二さん。嬉しいです。私の身体は、それを言葉でしか表現できませんが、私にとっても至福の時を
迎えられるのが嬉しいです。」
杏奈はそう言ってくれた。
271manplus:2006/05/22(月) 22:30:58 ID:9f+MVVt50
 私は、自分の清祥道コントローラーの射精時間を1時間に設定し、そして、射精可能回数を5階に設定した。
そして、性衝動コントローラーを私のものも、杏奈のものも、5回の性交で性衝動がOFFになるように設定した。
 そして、私は、杏奈の口にペニスを持って行き、フェラチオでもう一度射精した。
今度は、杏奈の口は私の性器が入るサイズにすぼめられた状態で人形化されているため、私は、
杏奈の口にペニスを入れてのピストン運動を行った。
動かない人形の口で行う射精は征服感を充分に感じて、ものすごい興奮した射精のフィニッシュを
迎えることができた。次ぎに、ダッチワイフのような状態になっている杏奈のヴァギナとアナルで、
一度づつのフィニッシュを迎えた。私のために作られているヴァギナとアナルの感触は格別のものである。
そして、動くことのない人形となった杏奈が人間の杏奈の声であえぐ声を聴きながらのセックスは、
人形フェチの私にとっては、最高の性衝動を感じるセックスであった。
 次の2回のセックスは、杏奈をロボットモードに戻し、杏奈の音声も抑揚がないロボットモードにして、
私がベッドに横になって、杏奈の舌による全身の奉仕とアナルとヴァギナを使用したセックス奉仕をさせての
射精であった。
 私は、もう体力の限界と思う程の疲労と充実感を感じたが、セックスのための人形となった杏奈は、
まだ何度でもセックスができる状態であった。
やっぱり、セックスドールであり、人間では、無くなっているのだと実感し、杏奈を愛おしく感じたのであった。
 私は、杏奈と一緒に再び、シャワールームに入り、杏奈に身体を洗わせた後、私も杏奈の身体を洗ってやり
シャワールームを出た。
 スペースフィットスーツの専用保管スペースに二人で戻ると、杏奈は、私の股間に貞操トランクスを装着してくれ、
用意してあった私の寝間着を私に着せてくれた。
272manplus:2006/05/22(月) 22:32:11 ID:9f+MVVt50
 私は、杏奈の身体のモードを通常人体モードに戻し、人間らしい動きができる秘書サイボーグにした。
その上で、杏奈にスペースフィットスーツを装着した。最後のアウターヘルメットを取りつける前に、
私たちの貞操の証になる鍵を杏奈のアウターヘルメットのキーケーススペースに戻したうえで、
杏奈の頭部をアウターヘルメットの中に封入した。
「人形から、サイボーグに戻ってスペースフィットスーツの中に戻るのがこれほど名残惜しいものだと
今日程強く思ったことはありません。伸二さん、素敵な夜をありがとうございました。」
「杏奈、私も一緒だが、私だけの杏奈でいさせるためには必要な処置だから、我慢するんだよ。
それに、杏奈にとって、スペースフィットスーツを脱いでの生活の時間は限られているから、生きるために
必要なことなんだ。我慢しなさい。」
「伸二さん。ごめんなさい。分かっていることでわがままを言いました。お許しください。」
杏奈はそう言うと、自分のために作られたスペースフィットスーツ装着者専用調整室に向かっていった。
 私は、杏奈をスペースフィットスーツ装着者専用調整ベッドに寝かせたうえで、生命維持に必要な
循環液交換チューブや動力供給ケーブル、身体情報送受信ケーブル等のチューブやケーブル類を杏奈の
バックパックに自動接続されたのを確認し、自動調整のためのスイッチを操作盤を操作してONにした。
杏奈は、すぐさまアイドリング状態になったのを確認して。私は、自分の寝室に戻っていった。
杏奈が、アイドリング状態になる前に、
「伸二さん。お休みなさい。」
と言ってくれたのが嬉しかった。
 私の寝室は、杏奈のスペースフィットスーツ装着者専用調整室の隣にあり、マジックミラーを通じて、
杏奈が見えるようになっていた。
 私は、杏奈を見ながら幸せな気持ちで眠りについた。今日は、大サービスだったので、
もうすぐ夜が白みかける時間であった。
 私のもとに杏奈と言うサイボーグが来て初めての一日がこうして終わったのであった。
273manplus:2006/05/22(月) 22:40:28 ID:9f+MVVt50
今日はこの辺で終わります。
やっぱり、性的表現はこれ以上の文章力は、私にはないです。
ごめんなさい。
もっと、表現力を勉強します。
次回は、出社2日目のエピソードをお送りします。
274名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 20:43:48 ID:1CBJMhtx0
別に叩く気はないんだけれど、manplus氏の小説って面白い?
主人公は自己中心的でナルシスト。出てくる女性は人形のように
意のままに動く。もし、こんな状況を夢想しているなら少々怖い。

エンタィナーとして書いていると言い張るならまだ救いもあるが、
明らかに校正や推敲をしていない文章を見る限り、第三者のための
文章とは思えない。どちらかといえば欲望のままに書きなぐってる
ように見受けられる。

気に入らなければ読まなければ良い。それはそれで間違いではない。
しかしながら私は問いたい。この不安感・違和感を感じるのは私だけ?
筆者自身の成長をうながすためにも忌憚のない意見を聞きたいところ。
275名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 22:13:57 ID:2uETseiY0
面白いか否かで答えるなら、「面白い」に一票。
アイディアが濃いと思う。
それを文章にするためには、強引に展開せざるを得ないんじゃない?
確かに改善の余地がないとは言わないけど。
録音が悪くて演奏も雑だけど、個性的で尖った音を聴かせるインディーズバンドみたいな感じか。
いずれ現れるかも知れんフォロワーのためにも(?)、どんどん投下して欲しい。
文系出身でも文学少年でもなかった俺も、このスレからインスピレーションを受けていくつか書いてみた。
公開する予定もないのに、推敲でウジウジ悩みながら。
見返せばmanplus氏の影響と思しきアイディアが多い・・・。

文体が整ってても淡白な小説よりは、多少粗くてもいいから濃いのが読みたい。
2763の444:2006/05/24(水) 22:53:16 ID:cG8qrSs50
このスレにあまたいる作者さんの中でも突き抜けた個性を感じる。
商業作品なら決して受け入れられないアクの強さだけど、このスレ的には
アリなんじゃないの。
うわ、なんて読みづらい文章、と思いながらもついつい狂気のmanplusワールドに
引きずり込まれて読みふけっている俺がいる・・・orz

リアルで夢想?ないってないって。
現実には起こりえないことをあれこれ妄想して楽しんでいるのが俺たちだろうが。
空想と現実の区別はきっちりつけてる大人が集まっているスレだと俺は信じたい。
2773の444:2006/05/24(水) 22:54:36 ID:cG8qrSs50
どわー!
名無しにするつもりが間違って書き込んでしまった!
ごめんね。かんべんね。
278名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 23:50:54 ID:wKr5aObO0
274<十分すぎる程面白い

気に入らなければ読まなければ良い。それはそれで間違いではない。
しかしながら私は問いたい。この不安感・違和感を感じるのは私だけ?
筆者自身の成長をうながすためにも忌憚のない意見を聞きたいところ。

manplus様、このような戯言に惑わされず今後も頑張って下さい。
279名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 23:54:04 ID:bUJcQ+kz0
ここは妄想を晒すところなんだから妄想書いて何が悪いと。
自分の妄想と他人の妄想が完全に全く一致してる方が恐ろしいと思うぞ。
それでも一致点を探して萌えたり、逆に違いを楽しんだりするのがこのスレだろ。
他人にも受けるモノを書いちゃ行けない、推敲しちゃいけないなんてことはもちろん無いけど。

などと、世の萌えブームを見るにつけ完全にシンクロして萌えられる人が羨ましい漏れが書いてみる。
280名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 00:14:54 ID:q4Ists8Z0
> しかしながら私は問いたい。この不安感・違和感を感じるのは私だけ?
これってよく考えたら相当な褒め言葉じゃないか。
たかがSSでここまでの思いを274に抱かせるというのは文章の巧拙とはまた別の
リアルな迫力や緊迫感がmanplus氏の文章から感じられるからだと思う。
281名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 00:39:55 ID:qcnNdG2n0
> どちらかといえば欲望のままに書きなぐってるように見受けられる。

これはずいぶん前に「そのように書かないとモチベーションが持続しないので勘弁してほしい」
という趣旨の弁解があったように記憶してる
さすがに投下前にざっと誤字脱字のチェックをするくらいはしてほしいと思うがw、ストーリー自体は
悪くないし、金を払わないと読めないというものでもないから、特に目くじら立てるほどのことでも
ないと思う

あとはシチュエーションの好みの問題ではないかと
ネット上を探すと「嫌がってるおにゃのこを人形のように扱うために無理矢理サイボーグ化」
みたいなのはいくつか見つかるから、その対極としてmanplus氏の作品みたいな「おにゃのこが
人形のように扱ってもらうために自ら進んでサイボーグ化」みたいなのがあってもおかしくは
ないと思う
282pinksaturn:2006/05/25(木) 01:13:37 ID:4uUmNJj30
>>274-280
規制のきつくなった現在の基準だと、
レインボーマンや石森作品群だって同レベルの妄想ということになってしまうでしょう。
よくこんなストーリーを商業作品どころか地上波で、しかも19時台にやっていたものだと。
技術の進歩によって妄想の一部が現実になったから抑制も仕方ないのでしょうか。
でも過剰な規制によって、現代人が危な目の作品に接する機会が減ったためにかえって免疫力を失ったような気もします。
商業作品が失った成分のほんの一部でもこのスレが肩代わりできればいいと思います。
283名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 01:50:07 ID:h11nDyar0
manplusさんの作品がダントツで好き(ぉ
これからもガシガシ改造しちゃって〜
284名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 02:37:38 ID:TxFmqD0z0
>「嫌がってるおにゃのこを人形のように扱うために無理矢理サイボーグ化」
>みたいなのはいくつか見つかるから、その対極としてmanplus氏の作品みたいな「おにゃのこが
>人形のように扱ってもらうために自ら進んでサイボーグ化」
自分もおにゃのこが自ら進んでサイボーグ化(動機を問わず)が好きなので同意します
マッドさや盲目的愛情、あるいは自己犠牲などいろいろな理由がありますが
manplusさんの作品なら福澤首相なんかが良かったです
285名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 02:56:40 ID:vY9EAH420
あげてしまいました
サイボーグになる事に肯定的で、それをイデオロギー的な所まで高め、自分の体も捧げるというのは萌え&燃えです
彼女の絶対的な指導者ぶりと改造シーンのモノとして扱われるギャップも良かったです
サイボーグなる事に肯定的なネタは自分が書いてみようと思ったテーマなんですが自分の表現力がいまいちで…
286名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 09:02:35 ID:F0wa3aux0
>>282

規制内容kwsk
メカバレとか内部描写とかバラバラとか、そんなんですか?
287名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:10:13 ID:viYU0NCc0
 manplus氏の作品は独特の作風で読んでいくうちに、manplusワールドにハマってしまう魅力があるよね。
 誤字・脱字は商業作品と違うから、あまり気にしていません、内容は、「面白い」に一票を投じます。
 manplus様、これからもこのスレで作品の発表をお願いします。 
288pinksaturn:2006/05/26(金) 00:20:50 ID:wz0H6UMO0
>>286
映像描写のことではなく、ストーリーの基調に関して厳しい規制強化を感じます。
特に悪の秘密結社の目的が。
レインボーマン:死ね死ね団=白人優越主義に基づき黄色い豚の奴隷化をはかる
009:ブラックゴースト=兵器産業売り上げ維持のため世界の戦争をプロデュース
仮面ライダー:ショッカー=世界征服、全世界奴隷化
紅い牙・ブルーソネット:タロン=ブラックゴーストとほぼ同じ
こういうえぐいストーリーが許されなくなってきた気がします。
どこからかアメリカ批判に繋がるものは作らせない圧力が?というのは考えすぎでしょうか。
289名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 01:26:14 ID:rIIOdHOd0
ふむむ・・・言われてみれば。
善と悪とがはっきりしないものが増えてきた気もしますなあ。
290名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 00:03:38 ID:2ng7m/V50
現実世界でも善vs悪の一騎撃ち的な構図が無くなっちゃったからねぇ・・・
ナチとかソ連とか。普通じゃ考えないような事を実行する国家が無くなった。

そのうえ、アニメ・特撮系が発達しているからこそ、
いわゆる「非人道的な悪の秘密結社に正義のヒーローが立ち向かう」ストーリーがベタの極地になってしまった。
その典型的パターンから抜け出す為に考えられたのが「善悪が決めつけられない」展開だったのではないかと。
(個人的にはガンダムの影響が濃いと思われるが。)
その証拠に、ギャグ漫画では悪の秘密結社(でも目的がショボイ)と正義のヒーロー(でも弱かったり自分勝手だったり)が出るエピソードは山のように有る訳で。
291名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 00:12:56 ID:BaWuqv2d0
世界情勢なんてそんな大袈裟な事は関係無いよ。

特にライダー系は改造人間やサイボーグなんかが、自称人権派の槍玉に上がって使えなくなったのと、
ドーパミン出しすぎのドリームな脚本家と監督ばかりになったせい。

戦隊物の敵は相変わらず世界征服やら宇宙征服やらのために非人道行為に精を出してる。
292名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 01:00:55 ID:2ng7m/V50
話をぶった切って申し訳ないのですが、保管庫の方、見ていらっしゃるのなら現スレを8スレ目から9スレ目に変えていただけないでしょうか?
293名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 01:06:49 ID:AUWK6euD0
> 現実世界でも善vs悪の一騎撃ち的な構図が無くなっちゃったからねぇ・・・
> ナチとかソ連とか。
とりあえず、これって本気で思ってる?で、善ってどこの国?
その時代を生きる当事者以外が戦争を善悪という概念で語ることほど
愚かなことはないね。
2943の444:2006/05/27(土) 03:24:41 ID:JaB94f+W0
>>292
すみません。修正しておきました。
最近なかなか筆が進まず、何かヒントにでもなればと過去スレの作品を
読み返しています。そのついでに保管庫の更新もしましたのでよろしければ
どうぞ。
295名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 11:46:12 ID:+Ftp9ybl0
>>290,>>293
よくテレビで特集されてたりする北朝鮮のプロパガンダ映画をみて「凄え内容だな」とか思うけど
よく考えてみれば立場が逆な以外何一つ変わらない内容のハリウッド映画を我々日本人は好き好んで喜んで観ているわけで
北朝鮮の偏向したニュースをみて「凄え内容だな」とか思うけど
よく考えてみたら湾岸戦争の時に何万人もの民間人犠牲者が出てたのに
「民間人犠牲者はただの一人も出してません」という報道を信じ込んでいたし
未だにその事に対する批判がほとんど全くといって良いほど無かったり
それどころか近頃では第二次世界大戦の時の大本営発表さえも批判されなくなりつつある

プロパガンダって、内輪の人間にはそれと分からないもんなんだなとつくづく思い知らされた。
我が身をもって。
296名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 11:54:35 ID:+Ftp9ybl0
「プロパガンダ」ってのは「政治的宣伝(ときに嘘を多分に含む)」という意味

念のため
297sage:2006/05/27(土) 19:46:36 ID:7mJGmxlz0
乗客に日本人は、いませんでした。いませんでした、いませんでした。
298名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 22:07:00 ID:wtQiuQ+i0
僕は何を思えばいいんだろう
299無名:2006/05/28(日) 12:41:21 ID:FX/Re6MI0
【めぐり合い】

【1】
 不思議な夢を見ていた…。楽しくて、悲しい夢を…。
 その夢は私が幼かった頃、まだ人間だった頃の思い出だった。あの頃はまだお母さんが生きていて、お父さんも今とは違う優しかった頃のお父さんだった。その二人と手を繋いで私は歩いていた。
 「カオリ、今日はお前の大好きな遊園地に連れてってやるぞ。うれしいか」
 「うん、とっても嬉しい」
 この頃のお父さんは、私をとても可愛がっていた。そして色々なところへ連れて行ってくれた。遊園地もその一つだった。
 「カオリはとってもいい子ね…。可愛いくらいいい子ね」
 お母さんも私の事をとても可愛がってくれた。しかるときもあったけど、本当はとても優しいお母さんだった。
 でもあの事件ですべてが変わってしまった。それはある夜のことだった。私たちが旅館で泊まっていたとき、調理場から火が出てたちまち旅館を包んでしまった。私とお母さんは逃げ場を失って、
火に包まれた部屋に取り残されてしまった。お母さんは私をかばって命を落とした。私はお母さんのおかげで一命をとりとめたが、全身に火傷を負って重傷を負った。外に出ていて無事だったお父さんは、火傷を負った私を見て涙を流しながら叫んでいた。
 「たのむ、私に娘を手術させてくれ。カオリを救えるのは私しかいないんだ!」
 お父さんは必死になって頼んだ。それからの事は私には分からない。ただ、お父さんが私に新しい身体を与えてくれて、命を救ったのは事実だ。最初はこの身体になった事を拒否していた私だけど、お父さんが私を死なせたくない心に打たれて、この身体で生きることを決意した。
だから私はこの身体になったのを後悔していない。それにこの身体で他の患者を救えるなら、どんなに辛い実験でも受ける覚悟は出来ている。それが機械の身体になった私の使命なのだから…。
300無名:2006/05/28(日) 12:42:05 ID:FX/Re6MI0
【2】
 日差しがまぶしいある夏の日。今日も僕は身体のリハビリをしている。あの時の事故で僕の前の身体は使い物にならなくなり、この病院で新しい身体に移植された。最初は手も動かせなかったけど、少しずつ動かせるようになってきた。でも脚だけがまったく動いてくれない。
だから今日も脚のリハビリをしているのだ。
 「庄野君、身体の具合の方はどうかな?」
 病室に宮木先生が入ってきた。宮木先生は僕のリハビリの担当医で、毎回ここへ来て診察をしてくれる。少し間抜けなところもあるけど、頼りになる先生だ。
 「はい、だいぶよくなりました。でも…」
 「まだ歩けないんだね」
 宮木先生は僕の足を診て、困った顔をしていた。でも何度練習しても僕の足は歩く事さえ出来ない。僕は自分の足で歩くのを半分あきらめていた。
 「…僕の足はもうこのままなんでしょうか。もう二度と歩く事は出来ないんでしょうか」
 「そんな事ないさ」
 宮木先生は僕の頭を撫でてくれた。
 「大丈夫さ、リハビリさえやってればいつか歩けるさ。僕は今まで何人もの患者を診てきた。途中諦めそうになった子もいたけど、その度に僕は励ましたり、リハビリに付き合ったりした。そのおかげでみんなよくなっていったんだ。だから庄野君もがんばるんだ。
ここで諦めたら、自分から逃げる事になってしまうよ」
 宮木先生の励ましで、僕はリハビリをやる自信がついてきた。さっそくリハビリをやる事にしたんだけど、これが上手くいかない。立ち上がろうとするたびに何度転んだことか。バーを?んで歩こうとしても脚に力が入らないので腕が疲れてしまった。
 「どうしたんだ庄野君、こんな事じゃ歩く事なんてできっこないぞ」
 「そういわれても、脚に力が入らないんです。これじゃあ歩く事なんてムリですよ」
 「そうだな、今日のところはここまでにしよう。病室に戻ってゆっくり休んでおけよ」
 そう言って宮木先生は僕を車椅子に乗せて病室まで押してくれた。宮木先生にはいつも迷惑をかけっぱなしだ。そうならないためにも早く歩けるようにならなくちゃいけないのに…。
301無名:2006/05/28(日) 12:43:15 ID:FX/Re6MI0
その日の夕方、僕は家から持ってきたノートパソコンでいつものブログへアクセスしていた。
 『こんにちは、今日も遊びに来ました』
 こんな始まりかたで、僕はブログに書き込んでいった。ここのブログはネットを通して気軽に付き合える交流の場だ。僕は同じ境遇の子と偶然出会い、その日から毎日このブログに来て彼女へ返事のメールを書き込んでいる。
僕と彼女はお互い励ましあったり悩み事を聞いたりしながらメールしてるのだ。
 『カオリさん、今日は身体の調子はよろしいですか?僕はあまりよくなさそうです』
 メールの相手はカオリさんといって、僕より年上の女性だ。彼女はそんなに硬くならなくてもいい、って書き込んでくるけど、年上だと自然に敬語を使ってしまう。それだから相手にとって僕は固いイメージを持ってしまったのだろう。
一応注意はしてるんだけど、結局は敬語を使ってしまう。癖になってるからだろうか。
 ある程度書き込みが終わって送信すると、彼女から返答が来た。
 『まさる君こんにちは。今日は身体の調子がすごくいいです。近くの公園で散歩もしました。まさる君も早く身体を直さないと駄目ですよ』
 カオリさんはそう言ってるけど、最近の僕はあまり調子が出ない。ここ一週間リハビリをしてもほとんど変わらないからだ。
 『それはうらやましいですね。僕も早く歩けるようになりたいです』
 『絶対歩けますよ。まさる君のメールを見てると、どんなにがんばってるのかが伝わってきます。だから諦めたりしないで』
 カオリさんから励ましのメールが返ってきた。カオリさん、こんなに僕の事を励ましてくれるんだ…。でもいまの僕には…。
302無名:2006/05/28(日) 12:49:00 ID:FX/Re6MI0
 『カオリさん、ありがとうございます。でも正直いって僕は歩ける自信が無いんです。どんなにリハビリしても歩く事が出来ないんです。歩けるようにはなりたいですけど、
本当に歩けるのか分からないんです』
 僕はカオリさんに悩みを打ち明けてみた。するとカオリさんはこんなメールを送ってきた。
 『まさる君、今が駄目でもいつか歩ける日が来るわ。だから諦めないで。私も応援するから』
 カオリさんはこんな僕でも励ましてくれる…。そう思うと僕は、心の底から勇気が湧いてきた。
 『ありがとうございます!僕、一生懸命リハビリがんばります。もし歩けるようになったらお会い出来ませんか?』
 しまった、調子ついてこんな事まで送ってしまった。どうしよう。そのメールを送ってからしばらくして、カオリさんからメールの返答が来た。
 『分かりました、歩けるようになったら会いましょう。その代わり、証拠として歩いて私の家まで来てほしいの。もしできるならこちらから地図を送ります。それではがんばってね、まさる君』
 困ったな…。こうなったら意地でも歩けるようにならなくちゃいけないな。僕はさっきのメールの事を少し後悔していた。
303無名:2006/05/28(日) 12:50:02 ID:FX/Re6MI0
【3】
 それからというもの、僕はいつもの二倍リハビリをする事にした。始めは立つことも出来なかったけど、時間が経つにつれて歩けるようになった。そしてついに少しだけどバーを持たないで歩けるようになったのだ。
 「庄野君、やっと歩けるようになったな」
 宮木先生も僕が歩けるようになったのを喜んでくれた。
 「ありがとうございます、これでカオリさんとの約束が果たせます」
 僕はカオリさんの名前をおもわず言ってしまった。
 「カオリさんって君のガールフレンドかい?」
 「え…ま、まあ、そんなところです」
 「そうかそうか、庄野くんも隅には置けないなぁ。いつの間にかこんな友達を作ってたなんて」
 宮木先生はちょっと、いや、すごく羨ましがっていた。
 「庄野君、もう少しがんばって早くカオリさんに会いに行くんだ。だから明日は別の練習をしよう」
 「は、はい」
 宮木先生は僕を車椅子へ運んでくれた。
 「さあ、早く部屋へ戻ろうか」
 宮木先生は僕を乗せた車椅子を押した。カオリさんの事もあるけど、僕が歩けるように努力できたのも宮木先生のおかげだ。僕はそんな宮木先生を見直した。
304無名:2006/05/28(日) 12:51:53 ID:FX/Re6MI0
部屋に戻り、ノートパソコンでブログにアクセスした僕は、カオリさんに歩けるようになったという報告をした。しかし、返ってきた返事は意外なことが書かれてあった。
 『まさる君、歩けるようになったのね、おめでとう。私もまさる君が歩けるようになって嬉しいです。でもこちらに来るにはもう少し待ってほしいんです。今の私は手術をしなければいけない状態なのです。いつになるかは分かりませんが、
私が元気になったらこちらからメールを送ります。それまで待っててください。
 最後になりましたが、私の家がある地図のデータを送ります。約束だもんね。それではまさる君の回復を祈ります。それではお元気で』
 それからその後にカオリさんの家までの地図のデータが送られてきた。この地図は、静岡県のある町の地図だった。
 「ここにカオリさんの家があるのか…。本当だったらすぐにでも飛んで行きたいけど、カオリさんにも事情があるだろうし…」
 僕はカオリさんの事が心配だった。おそらくカオリさんは大きな手術をするんだろう。だったらなおさら逢って元気付けてあげたい。でも…。
 「だめだ、こんなことしたらカオリさんに迷惑がかかってしまう。メールが来るまで待たなくっちゃ」
 僕はノートパソコンの電源を切って静かに閉めた。でもやっぱりあの事が気になってしょうがない。僕を励ましてくれたカオリさんが手術を受けるんだ。一目あって励ましてあげれば、きっとカオリさんも元気になるに違いないんだ。
カオリさんの手術のことを思いながら、僕はベッドに横になった。
305無名:2006/05/28(日) 13:25:20 ID:FX/Re6MI0
皆さんお久しぶりです、無名です。
「めぐり合い」の前編をお送りしました。後編はもう少し後になります。それまで待っていてください。
>>274
私的にはなかなか面白いと思いますよ。確かに主人公は自己中心に見えますし、そのために秘書がサイボーグ化されてますけど(というより自ら進んでその道を選んだ、
と言ったほうが正しいかな)、なかなか意表をついてると思います。manplusさんのアイディアは結構細かいところがあるので、私は感心するところが多いです。
>>欲望のままに書きなぐってる
欲望というよりは自分が考えたことを書いてるといったほうが正しいと思います。妄想は小説を書くのに1番大切なことですし。
>>282
確かに世の中が変わってきてますから、こう成らざるおえないのでしょうね。過剰な規制によって現代人が危な目の作品に接する機会が減った、というのは社会の仕組みが
変わっていったからなのではないかと思います(過去の作品にあった目的内容がなくなったのもこのためかも)。これからはさらに厳しくなってしまうでしょうが、
そういう危険なものがあるんだよ、という考えも頭の中に入れてほしいと思います。
3061体目:2006/05/29(月) 00:15:16 ID:CjwaSdcp0
174号は、G氏が知人から入手した性奴である。出自などの過去については、
性奴にもある程度の守秘が法的に認められているため不明である。

彼女には、永久貞操帯が装着されていた。内部に留置されていた電動ローターも、
動かなくなって久しい。尿道口からはカテーテルが伸びており、バルブの開閉で
排尿する仕組みとなっていた。このような改造を施された性奴は、
オークションに出品しても大した値段が付かない。G氏はタダ同然で引き取った。
施設で心身共に徹底的に調教されていた174号は、そのことについては特に欲求不満を
漏らすことはなかった。オーナーのG氏も特に気にして言及することもなかったという。

しかし、男の微かな欲望を察知し、それを満たすために全身全霊で応えることを
叩き込まれていた彼女は、オーナーの本音をそれとなく感じ取っていたのだった。
彼女には豊富な経験と技術があったが、口だけでの務めにはどうしても限界がある。

G氏にはそれなりの収入があり、もう1体の性奴を手に入れるのは容易なはずだ。
にも関わらず、自分だけを可愛がってくれていることに174号は感謝し、誇りに思っていた。
だから、彼女自身も自分の本来の能力を生かすため、貞操帯の破棄を真剣に考えた。
オーナーにこのことを提案してみたところ、案の定あっさりと賛成を得た。

だが、立ちはだかる障壁は想像以上に分厚かった。いろんなところに相談してみたものの、
期待した返事は得られなかった。貞操帯は非常に強固かつ凝った造りとなっていたたのだ。
相当大きな工具で力づくで千切る他なく、体と密着している限り無理、と口を揃えて断られた。
体を傷つける程度では済まないことは明らかだった。

諦めかけていたときに、かろうじて一つだけ方法が提示された。
それは・・・、体の臓器をコンパクトに統合された人工品に取り替え、
工具を使うクリアランスを確保するという、まともな神経では受け入れることのできないものだった。
3071体目:2006/05/29(月) 00:16:02 ID:CjwaSdcp0
174号は、この処置を受けさせるようにオーナーに願い出た。
彼女の精神的な強さはG氏も十分理解していた。
しかし、やはり後悔することになってしまうと・・・、という心配は拭えなかった。

G氏は考えた末に条件を出した。
ーーーーどうせ改造するなら、本格的な玩具になること。
    何をどうすればいいかは174号自身で決めること。
    所有者に特別な感情を持つことは許されない。
酷い要求だが、むしろ後悔する力をも奪ってしまった方が彼女のためだろう、と考えてのことであった。

しかし、ハードルが高ければ高いほど彼女のモチベーションは向上する。
174号は、自らのプロポーションには自信があった。姿見の前で、彼女の倒錯した精神がその決意を強固にした。
 ーーーー このカラダを、性玩具に・・・。

オーナーは費用を用意した。それを使い切るまで、未完成のカラダは一切使わないと告げた。
納得いくよう好きなように試行錯誤してもらうつもりだったからだ。
それでもなるべくチグハグにはならぬよう、慎重な計画で順序立てて改造されることになった。
いずれの処置も、174号自らの意思によるものである。

まずは不特定多数の愛好家に試用してもらいながら、改善すべき点を探していった。
性奴として働かされるのではなく、玩具として使用される方が、
自分の性に合っていることを相手に伝えた上でテストされた。

手始めに、歯が柔らかい素材に交換された。もちろん、男性器に不快な刺激を与えない為である。
口技に長けた174号はもともと歯を突き立てるようなミスはしなかったが、
余計な足枷を取り除くことで動きの自由度が高まった。
3081体目:2006/05/29(月) 00:16:43 ID:CjwaSdcp0
顎や舌にも手が加わり、長時間の使用でも疲労が残りにくいように強化された。
ほとんど疲れないため訓練に没頭させることができた。多少は勝手が違うものの、
今では以前以上にまで使いこなせていると彼女自身は言っていたそうである。
ちなみに口に関しては電子的、デジタル的な改造はあまり施されていない。
脳と口は基本的にアナログ接続のまま残されているため、男性器の状態を過不足なく察知し、
適切なレスポンスを返すことができる。174号が本来備える才能を生かすことが尊重された。

さらに彼女は、自分を性奴174号として育て上げた組織の、ある調教センターに身を寄せた。
そこで主にメンタル面での再調教を受けた。

念のため、眼球は暗所にも対応したカメラに交換された。
しかし本来ラブドールには必要ないものであり、普段は視覚は遮断しているそうである。
運用形態もモノらしく見直され、洗浄や排泄といった体のメンテナンスも人の手に委ねられた。
手間を軽減する為、頭髪は頭の表皮ごと人工品とされた。

そしてようやく臓器の刷新が実現した。これにより、窒息や嘔吐を起こすことなく男性器を
喉奥深くまで挿入できるようになった。同時に大量の液体を嚥下し続けることもできるようになった。
人形化への道において、174号に最も必要とされる能力を手に入れた。
さすがにこの改造費用は高額であったが、内容を考えれば安くついたとオーナーは語っている。
174号という適切な素材があってこその改造である。

同時に貞操帯は撤去された。自分が自分でなくなってゆくことを、彼女はこのとき最も強く意識した。
同時に、新たな生き甲斐を持つきっかけを与えてくれたことに感謝した。
3091体目:2006/05/29(月) 00:22:36 ID:CjwaSdcp0
給餌は不要となった代わりに、交換式カートリッジによる栄養補給や充電が必要になった。
口には消化器が一応繋がってはいるが、使用者の性器から分泌されるもの程度しか処理できない。
他の物を嚥下することは構造的、衛生的に想定されておらず、故障の原因となるため禁止である。
貞操帯を外してしまった現在、もう少しまともな、人間に近い能力のある臓器にとり替えることも
できるが、維持性や機能性を重視するためにこの形態とされた。
老廃物は交換式カートリッジに溜まるようになっており、アヌスには通じていない。

その一方、排尿のような行為はきちんと再現できるようにされた。精製された余剰水のタンクは
もちろん尿道に繋がっていて、圧力まで細かくリアルにコントロール出来ると言う凝り様である。
皮肉にも、サイボーグ化によって数年ぶりに排尿感を味わうことができた彼女であった。

上述のように、直腸はその本来の機能から解放された。奥には任意の液体を入れられる
リザーブタンクが接続されている。いつでも気軽に挿入出来るようにとの配慮で、
彼女は好んで薬用ローションを貯蔵している。とことんリアルに再現された排尿に対し、
アヌスからは透明の粘液が卑猥に流れ出る。この不気味なギャップが、新しいカラダで
彼女自身が気に入っている点の一つらしい。

また、外出時の可搬性を考え、手足は取り外し可能とされた。

ヴァギナはもともとテストの評価も良かったので、ある程度の訓練を課すだけに留められた。
既に子宮は性奴になるときに除去されている。

機能を果たすことに貢献しているものも、細部に至るまで妥協せず改良した。
機能を果たすことに貢献していないものは、徹底して排除した。
3101体目:2006/05/29(月) 00:24:36 ID:CjwaSdcp0
最後に残された予算を使って注文した、格納用の箱が調教センターに届いた。
製品はそこへ梱包され、オーナーの元に送られた。その晩、オーナーは久しぶりに
174号に対面できることになった。

待ち望んだモノが届き、期待に胸を膨らませながら蓋を開いた。

全身の100%が、玩具そのものとなっていた。
使用者の性的欲望を煽るもの、及びそれを癒すものだけで構成されていた。
造形美と機能美を高次元で融合した、新しい芸術作品の誕生・・・、
などと高尚な表現をしたくもなるが、その本質は彼女自身が述べているように
飽くまでも卑猥な目的のために造られた工業製品なのだ。
分かり易く言い換えれば、勃起から射精までの推移を手軽かつ確実にこなせるよう
サポートすることだけが、その存在意義なのである。

オーナーは玩具を箱から取り出して手足を本体に装着し、
「洗浄済」と書かれたシールを口と股間から剥がした。
目を開けて立ち上がるように命じた。生まれ変わった174号に、初めて与えた命令だ。
玩具は、スポンサーの目の前で仁王立ちになった。その成果を包み隠さず無言で報告した。
思わず息を呑むような美しい製品に、ただただ圧倒された。
久しぶりという言葉を掛けることができないほど、完全に別モノへと生まれ変わっていた。
オーナーも無言で、茂みを失った女性の秘部「だった」亀裂に、指を滑り込ませていった。
ゆっくりとした愛撫の末、少しずつ湿り気を帯びて来ると、ようやく彼女は微笑んだ。
「早速、そこをご利用ですか?」
「う〜ん・・・。いや、後にしよう。まずは口がどう変わったか試したい。」

オーナーはズボンから取り出したものを、玩具が備える1つ目のシリンダーにあてがった。
そのまま誘われるように、奥深くへと、ゆっくり、ゆっくり沈めていった・・・。

end
311たったこれだけで日曜日を捧げた作者:2006/05/29(月) 00:32:34 ID:CjwaSdcp0
マッドな改造は設定が難しい!
アイデアができてもストーリーに組み込むのにひと苦労。
完結したときの達成感はあるけど。
312名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 01:39:04 ID:F1E7zGyg0
GJです。かなりいいです。
良い作品を書くにはそれだけの時間がかかるのですね。
313名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 01:47:40 ID:gLuvpm+1O
>G氏
星新一を思い出した
314名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 14:05:44 ID:Ru7pXg450
174号すごくツボに入りました良かった
私は毎日が日曜日ですがとても書けない
315日曜日を捧げた作者:2006/05/31(水) 00:28:47 ID:SBDFEeoR0
反響があると報われた気がします。
2体目、3体目も共に5〜6行の筋書きは立ててますけど、当分は日月火水木金金なもんで。orz
晒せる形にまで膨らませるのは難しそう。ちゅうか途中で自分が倒れる。w

というわけで続編は>>314に託した。
316314:2006/05/31(水) 13:03:04 ID:hiL4z1ND0
>>315
174号が性奴になる申請をしに役場の登録所に出向いた時のこと。
役場の窓口には174号の友人の妹がいて、最初はお互い気が付かないが
申請書類をチェックしてる間にお互い気が付き哀れみと侮蔑の視線を浴びる174号。

数年後、ラブドールになった174号の事を姉に話す妹。
174号ってお姉ちゃん覚えてる?そうそう、性奴になったあれね
今日ね、持ち主と性奴登録抹消しに来てびっくりしちゃった。
ラブドール・・・性具になっちゃったの。
そうそう、お義兄さんが独身時代に持ってて、お姉ちゃんが見るのも
嫌だって捨てさせたあれよ。

ちょっと2シーンを妄想しましたが、きちんとした文を書ける位なら
毎日が日曜じゃありませんから諦めてください。
身体を大切にしながら日曜日を潰してくださいw
317名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 05:00:26 ID:IPsYH4Kt0
保管庫消えた?
318名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 15:45:01 ID:ikIwD8b+0
こっちに投下すれば本スレが人大杉などになっても閲覧できる
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/1469/
3193の444:2006/06/02(金) 03:24:31 ID:3gfckYAS0
転送に失敗してから保管庫のトップページが見れないようですね。
なぜかファイルの削除もできないようなので問題が解決するまでの非常口を
作りました。
ttp://comic-ekk.homeftp.org/user/hailaer/tentestuki/tentetsuki/hokanko-index1.htm
320名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 03:32:21 ID:JGo/uRMq0
>>318
そういう誘導はヤメレ
ここと方向性が違うし。
321名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 10:58:22 ID:0YKAkh/10
>>320
そこは方向性的にjは問題なしだが?

違うのは人形姫の所だと
322名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 20:56:57 ID:xSUoQSAI0
tp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139460391/
323名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 22:40:20 ID:JGo/uRMq0
>>321
そういう意味じゃない。
フェチとしての守備範囲とかの問題ではない。
(それ自体あそことこことは多少違うし、ここで人形姫的な内容が全面的に禁止されているわけでもない)
いいかえれば、「そのサイトは2ちゃん(含PINKちゃんねる)では無い」

つーか、「ここの住民は無条件にこの個人サイトに移れ」なんて言われて、スレの住人が良い気分するか?ということ。
普通そんな事を言われたら、カキコが無くて寂しいサイト主のひとりよがりのワガママか、それを装った荒らしかと思うはず。
要するにこのスレとそのサイト双方にとって有害無益ということ。
324名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 22:58:10 ID:Bjo2XS2l0
つか、人大杉が嫌なら専ブラ使えよ。
325名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 22:00:20 ID:vNAWGruv0
フェチ板なのにエロパロ&文章創作板みたいなスレになってることも
特異である
3263体目:2006/06/06(火) 22:40:14 ID:z0a9YpBo0
5年ほど前、当時のオーナーは私を手放すことを決意されました。
オークションの際、私を改造用の素材として出品していただくようにオーナーにお願いしました。
結果めでたく高額で落札され、やがて私は念願通り全身のサイボーグ化処置を受けました。
むしろ肉体の一部と、366号という名前を、ロボットに移植したと言うべきでしょうか。
具体的に列挙すると、生体脳、皮膚、口腔、膣、直腸です。しかもそのまま流用された
のは生体脳ぐらいで、そのほかはいろんな加工が施されました。特に皮膚は事実上、新素材で
出来ていると言った方が適切かもしれません。新たに開発された有機素材を皮膚に含まれ
る水分に溶かし込むことで、腐敗を防ぎながら新陳代謝(つまり細胞の活動)を停止しました。
色つや・見栄えは若干チープになるものの、若いヒト女性の脂肪ならではの弾性感が、
半永久的に維持されるそうです。

今のオーナーは、造り変えられたカラダを初めてご購入頂いた方になります。このようなカ
ラダを抱きたいと以前から思っておられたようで、毎晩深夜までご賞味くださっています。
でもがむしゃらに快楽をお求めになるだけではなく、私のこともきちんと気遣ってくれます。
当然私も期待に応えるよう全力を尽くします。性奴という呼び名に相応しい、本来の使命を
果たすことににひたすら没頭する毎日です。何処に挿入されても未練無く想いを遂げていただけるよう、
最後の一滴まで妥協なく吸い尽くします。

務めを果たすと洗浄です。
太腿の中が収納となっており、蓋を開けてカテーテルを取り出します。一方を口に含み、
もう一方で膣や直腸内に残された精液を吸い取ります。今のオーナーは精力が半端じゃないんで、
放っておくと面倒なことになるんです。一通り吸い終わったら、口で銜えていた一端を尿道に挿し替え、
今度はリザーブタンク内の精製水で洗い流します。ついでに口もそれで漱いじゃいます。
3273体目:2006/06/06(火) 22:40:53 ID:z0a9YpBo0
これが結構、お気に入りのひとときだったりします。人間とはかけ離れた、惨めな物体と化した自分に
酔えるんです。人間の頃から引きずっている人格が、366号と刻印されたこのカラダを肴に、
マゾヒスティックな世界に浸っているんです。我ながらバカだとは思ってますけどね。
オーナーも興奮なさるみたいで、キレイにしてる最中なのにまた突っ込まれちゃうことも多いです(笑)。

誤解を招きそうなので断っておきますが、いつも自分を惨めな存在と思ってるわけではありません。
これはこれでカッコいいと思えるときもありますし、好奇の視線を浴びるのは嫌ではないです。

何だかこれからは「玩具化」が流行しそうな気配ですね。これまでの性奴とは異なった位置づけにする
よう、法整備も検討されているとか。本当にあらゆる面倒から一切解放されたい、何も考えることのない、
ただ挿入されるだけの物体でいたい。そんな子が増えているようです。
自分が思い描く姿に向かって、自らの人間性を削ぎ落としていくストイックな姿勢って、
とっても美しいと思います。

もちろんそういう使われ方もされたいです。実際そんな姿の自分を夢見て、この世界に身を投じました。
ハードウェアは、精密機械と生体脳で構成。
ソフトウェアは、男の欲望に応えること以外に何の能力もない、調教によってゼロから創り出された自我。
もしこの366号を利用して仕立ててもらえるなら、古い自我は二度と還って来なくてもいいと思ってます。
なんだか遠い将来、そういう運命が待っているような気がします。

でもそれまでは、ある程度人情味も感じられる飼われ方をされていたいです。愛がどうのこうのとかいった、
ややこしいのは勘弁ですが。当分は今のような主従関係を楽しんでいきたいですね。適度にドライで、
マゾっ気に染まった私の自我を残しながら・・・。

end
328日曜日をさs(ry:2006/06/06(火) 22:43:03 ID:z0a9YpBo0
流れが止まっていたので投下。
別の視点からの文体に挑戦。1体目に比べたら短くて薄味かな?
329ウェポンガールズトライアル:2006/06/07(水) 00:38:58 ID:FX84uGNb0
 第三次世界大戦。それは今までの戦争と同じように大きく技術を発展させる事となる。 様々な技術が生まれたが、その中でも最大の変化をもたらしたのは強力な通信妨害システムの開発である。
 誘導兵器や遠隔操縦の無人兵器は無力化され、核兵器も弾道ミサイルの無力化によりガラクタ同然へと成り下がった。
 これにより大戦を生き残った世界中の国家は軍備の再編を急ぐ事になる。

 しかし、これは自国内の保有資源が少ない国家にとって多くの困難をもたらした。
 各国は資源の囲い込みを行い、鉄や石油などの軍事物資は高騰した。
 資源の有効活用のため、兵器の小型化が求められた。
 極限まで小型化された試作兵器プランがいくつも上がったが、有効なレベルの削減までは至らなかった。
 最大の原因はパイロットの存在である。
 パイロットがいる限り、それを収めるスペースが必要になる。そして機体のバランスなどから、そこからさらに大型化していくのだ。
 これを解消するためには、人間が乗込むことなく動かす事ができる兵器だった。
 しかし遠隔操縦兵器はECMの前に無力化している。兵器を動かすには人間かそれ並みの制御装置が必要だった。
 人間並みの思考能力を持つコンピューターは現存していたが、その大きさはパイロット1人を乗せた方が遥かに省スペースだった。

 ここで悪魔じみた発想の転換が行われた。
 人間が大きすぎるなら、小さくすればいい。
 人間並みの制御装置がないなら、人間を制御装置にすればいい。
 最後に行き着いたのは人間そのものを兵器システムに組み込むという、悪魔の発想である。
 幸いながら、人口は世界でも10指に入るわが国は、人間と言う資源のみは有り余っていると言えた。
 こうして、狂気の計画は動き始めたのだった。

 サイバネティック技術も、前大戦中に大幅に発達していた。
 戦傷者が失った四肢を機械仕掛けのものに取り替えて、社会復帰することは珍しくも無かった。
 医療技術として人を助けるための技術は、狂気の前に戦争の手段へと変わっていくのだった。

 最重要防衛機密として、いくつものプランが提案され、最終的に2つの企業のプランの間でトライアルが行われる事になった。
330ウェポンガールズトライアル:2006/06/07(水) 00:39:54 ID:FX84uGNb0
 四葉重工中央研究所
 最重要機密研究室で5体のコアユニットが最終チェックを受けていた。

「あ、くすぐったいです」
 10代半ばの少女といった外見のユニット、アイゼンだ。
 外見はコネクタが気になる以外、完全に普通の少女と変わらない。
 しかし、脳以外完全に機械化され人間とは比較にならないパワーを持ち、様々な実戦格闘術を習得しており、防弾防刃仕様の彼女は、無手でも一般兵相手なら一個中隊規模を壊滅できる。
 さらに、専用ユニットを装着する事で主力戦車を相手に対抗する事も可能だ。

「大丈夫です。問題ありません」
 20代前半の女性といった風貌のユニット、ネイ。
 手足にアタッチメントがついており、取り外しが出来る。
 彼女は車両に接続する事で自身が戦闘用車両になることが出来る。
 そのため、アイゼンに比べより頑健なフレームで作られている。代償として身体の柔軟性は失われている。

「頑張ってくるね」
 10代前半程度の幼さが残るユニットはユーリ。
 背面に大きなコネクタがあり、大型の兵器と接続する事を主眼においている事が見て取れる。
 実際、彼女用のユニットはロケット砲、高射砲など大型火器である。
 他のユニットに比べれば、近接戦闘能力こそないが大型ユニットを背負い移動する脚力は相当なものである。

「わたしに任せなさい」
 アイゼンと同い年くらいだが彼女と異なり強気そうな印象のユニットはソウカ。
 他のユニットたちに比べ軽量な彼女は飛行ユニットと接続する事により、航空兵器として活躍する事ができる。
331ウェポンガールズトライアル:2006/06/07(水) 00:40:37 ID:FX84uGNb0
「コンディションは最高です。いつでも戦えます」
 10代後半程度の外見だが大人びたイメージを受けるユニットは、ヒソカ。
 コネクタは少ないが、水中活動も可能な彼女は艦艇ユニットに接続する事ができる。
 さらに潜水艦にも対応可能である。

 彼女達は、もちろん「元」人間である。
 開発素体としてここに届けられてきた時点で、人間としての権利を全て奪われ、新兵器の試作機として生まれ変わる運命にあったのだ。
 彼女達は事前に何も知らされること無く強制的に「人」から「物」へと貶められた。
 当然のことながら、彼女達は激しく抵抗した。しかし半ば洗脳じみた教育と、改造による変質が彼女達に自らを人ではなく、兵器と言う「物」であることを認めさせた。

 明日のトライアル、どちらが勝っても彼女達のような兵器が増産される事になる。
 願わくば、私の娘がその贄にならないであって欲しい。
 そして、この哀れな少女達に勝利をもたらして欲しい。
332ウェポンガールズトライアル:2006/06/07(水) 00:44:49 ID:FX84uGNb0
ttp://www.kogado.com/html/kuma/gt/
これを見ながら考えた戯言です。
人工生命体のヒロイン達が、実は人間だったら…
というネタ。

>325
近頃、SSは多いけどネタ系の話が少なくなってますね。
もうちょっとネタが多いとSSに拾ったり出来るんですが…
333名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 00:56:38 ID:HpyJ06fM0
○イフォー○?
3343の444:2006/06/07(水) 01:12:26 ID:y4nWs2Ev0
  目の大きな姿見の中で、 裸の女の子が不安そうな面持ちで私をみつめ返している。
  シャワーを浴びたばかりでずぶ濡れの彼女の髪の毛から、 水滴がポタポタ、 ふっくら丸みを帯びた身体
の線を忠実になぞりながら伝い落ちていく。 水に濡れた彼女の血色のよい皮膚は、 もぎたての果物みたい
な瑞々しい潤いに満ちている。
  私は、 そっと自分の胸を下から支えるように押さえてみる。 人より小さいのがちょっと不満だけど、 で
も、 ふんわりやわらかい私の女の子の象徴。 洗い立てほやほやのすべすべした肌の感触が指先に心地い
い。
  鏡に映っているのは、 どこをどうみたってれっきとした17歳の女の子。 昔のままの八木橋裕子。 この身
体が作り物の義体だなんて、 ただ機械の塊だなんて、 私が自分からばらさなきゃ友達は誰も気がつくはず
ないんだ。
(大丈夫だ。 ばれっこない。 もっと自分に自信をもたなきゃ)
  目の前の女の子は私に向かって強くうなずいた。

  私の身体は機械仕掛け。 一見フツーの人と同じに見えるこの身体は、 生身の姿を真似ただけの精巧な
作り物。 皮膚は特殊なシリコン素材で、 髪の毛は合成繊維で、 義眼は強化ガラス製。 私の声はスピーカ
ーからでる電気合成音。 だから、 私は汗をかくこともないし、 爪や髪の毛が伸びたり、 身体から垢が出た
りすることもない。 トイレにいく必要もない。 外に出て雨に濡れでもしない限り身体が汚れることなんかない。
そもそも義体の皮膚感覚は生身の身体よりずーっと鈍感だから、 熱いお湯を頭から浴びて気持ちいいーっ
ていう感覚すらない。 ただ、 ノズルから噴き出た水が身体にあたって流れ落ちていることがわかるだけ。 シ
ャワーを浴びた後の更衣室で、 こんなふうにずぶ濡れのままつっ立ってたって、 別に寒くなることなんかな
いし風邪をひくこともない。
  だから、 ホントは、 毎日リハビリ訓練が終わった後で、 こんなふうにシャワーを浴びる必要なんかゼン
ゼンない。 ケアサポーターのタマちゃんも、 なんで毎日シャワーを浴びる必要があるんだって、 あきれて
る。
3353の444:2006/06/07(水) 01:13:09 ID:y4nWs2Ev0
  でもさ、 私、 このあと退院したらみんなと一緒に学校に通わなきゃいけないんだ。 その時義体だってバ
レないようにするために今のうちからみんなと行動をあわせるように訓練しておかなきゃいけない。 そのた
めには、 こんなふうに無駄だって分かっていても普段の行動からみんなの真似をしていくように心がけること
だって必要だよね。
  タマちゃんは誤解しているみたいだけど、 私、 別に生身のカラダが恋しくて、 昔の身体に未練タラタラだ
から、 こんなことしてるんじゃないんだからね。 これはただの訓練。 そう、 ただの訓練。 こんなふうにみん
なの真似をしたからって私に暖かい身体が戻ってくるわけない。 分かってる。 そんなことくらい私にだって、
分かってる・・・。

  突然の交通事故で瀕死の重傷を負った私は、 脳以外の肉体の全てを機械に置き換える義体化手術を
受けることで生き延びることができた。 でも、 私に与えられた新しい機械の身体は、 見た目は美しい女性
の形をしているけど、 元の私とは似ても似つかない姿だった。 そりゃあ、 そうだ。 私はすぐにでも手術をし
なきゃ死んじゃうところだったんだもの。 そんな一刻を争うようなときに、 わざわざ私の姿にそっくり似せた
義体を一から作り上げる、 なんて悠長なことできるわけない。 だから、 義体化手術を受けてからしばらくの
間、 私は自分の元の姿とはかけ離れた、 病院にあらかじめ在庫としてストックされている標準義体で我慢
するしかなかった。
3363の444:2006/06/07(水) 01:13:49 ID:y4nWs2Ev0
  そんな姿で、 友達に会えるだろうか? 会えるわけないよね。
  もし会ったところで私が八木橋裕子ってことを信じてもらえないか、 気味悪がられるか、 どっちかしかな
いよ。 だいいちそんな姿で会ったとしたら、 私が機械の身体になってしまったことがばれちゃうじゃないか。
  私は怖い。 私の身体が機械だってばれて、 そのせいでみんなからサベツされるのが怖いんだ。 本当は
みんなを信じたいよ。 私がこんな身体になっても、 変わらずに私と接してくれるって思いたいよ。
  でもさ、 手術のあと毎月私のところに送られてくるサイボーグ協会の会報誌は、 事実はそんな生易しい
ものじゃないってことを私に懇切丁寧に教えてくれる。 そこに掲載されているのは、 全身義体になってしまっ
た人が一般社会ではいかに差別を受けているか、 その差別の実態に鋭く迫るルポ記事だ。 そんなのを毎
月読まされていたら、 みんなを信じたいっていう私の心はぐらぐら揺らいじゃう。 義体がいかに生身の身体
に比べて強靭で優れているか、 全身義体の人たちで構成される特殊公務員っていう集団が、 いかに日本
や人類社会に貢献しているか、 そんなことを繰り返し記事の中で主張されれば、 私だってみんなに機械人
形って後ろ指をさされながら日陰者の人生を歩むより、 特殊公務員として華々しく宇宙や海底みたいな人類
世界のフロンティアで華々しく活躍したほうがいいかもって気持ちになってきちゃう。
  でも、 やっぱり私みたいな臆病者は宇宙になんか行く勇気はないし、 それに友達だって大事なんだ。 私
の身体が機械ってばれさえしなければ、 友達と一緒にフツーに高校に行って、 フツーの人生を歩みたいと
思ってる。 もしそれがかなうならね。
  だから、 生身の頃の自分そっくりの専用義体への換装手術を受けたあと、 私がイの一番にしたかったこ
と。 それは友達と会うことだったんだ。
  イソジマ電工の技術はすごい。 この身体なら、 中身はともかく外見だけは昔の私と同じ。 きっと、 友達
と会っても、 誰一人私の身体が機械だなんて気がつくはずがない。 毎日シャワーを浴びたあと、 自分の身
体を眺めるたびに、 私は思う。 そして、 大丈夫、 ばれやしない、 ばれやしないって自分に言い聞かせる。
そう、 今日も・・・。
3373の444:2006/06/07(水) 01:14:56 ID:nlMsdLPA0
  シャワールームから自分の病室に戻る道すがら、 廊下の途中にいまどき珍しい公衆電話がある。 私は
いつもそこで立ち止まり、 公衆電話の受話器を取り上げる。 そして、 電話をかけようとして、 何度も何度も
繰り返し手帳を見つめていたためにすっかり暗記してしまった友達の携帯番号を押そうと、 指でプッシュホ
ンのボタンをなぞる。 そのたびにいつも、 めまいがして胸がどきどき苦しくなるんだ。 もう心臓なんか残って
いないくせにね。
  今日も結局どこにも電話をかけることができず、 むなしく受話器を元の位置に戻すだけ。 毎日こんなこと
の繰り返し。
  この姿になったところで私には友達に会う勇気なんかないんだ。 どんなに更衣室で自分自身に暗示をか
けても、 やっぱりダメ。 結局、 義体だってばれたらどうしよう、 どうしよう、 そればっかり考えて、 何もでき
なくなってしまう。 私は臆病者の意気地なしだ。 いくら身体が機械になったからって、 こればっかりは昔とち
っとも変わっていないんだ。

  公衆電話の前でがっくり肩を落とした私の背中を、 誰かがつんつんつついた。
  あわてて後ろを振った私の目の前に立っていたのは、 くるくる巻き毛がかわいらしい白衣姿の小柄な女
の人。
「八木橋さん。 病室の内線が通じないから、 どこにいるのかと思ったら、 こんなところにいたのね。 お友達
から電話が入ってまーす」
  私の担当ケアサポーターのタマちゃんは、 いつもの間延びした口調で、 事も無げにさらりとそんなことを
言うと、 私の手を引っ張って廊下を歩き始めた。
3383の444:2006/06/07(水) 01:18:45 ID:nlMsdLPA0
本編久々の再開です。
今回はリハビリ編の義体換装の続きにあたる話になります。
タイトルは「再会」
予告どおり宇宙開発事業団へのスカウトを受ける話を書こうと思ったの
ですが、うまくまとまらないので、その前段にあたる話を作ることに
しました。
339名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 19:14:52 ID:pxnZ3VTe0
こ、これはもしや「暗黒の高校時代」の入口なんだろうか・・・
340日曜日をさs(ry:2006/06/07(水) 19:25:19 ID:KonhZfmF0
デカい秘密を隠し通せるほどの器用さはなさそうだなぁ。
胸が締め付けられるような展開と予想・・・。(´・ω・`)
341名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 03:07:38 ID:HziXoVUb0
>>325
最初の頃は絵&雑談板だったのにね。
今じゃすっかり小説&雑談板に…。
いまでも絵は歓迎、のハズなんですが絵師が来てくれないようで。
(ヤギー関連だけは間接的に絵師がupしてくれてますが)
もっと継ぎ目だらけの人工肌とか金属光沢とかの色した女の子を見たいな。
342名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 12:16:17 ID:F8ZDvDKD0
鬱展開まっしぐらですか。
343pinksaturn:2006/06/10(土) 10:10:13 ID:TG82nZbt0
(久しぶりにオプションパーツの続きです。素体訓練って課題が多すぎて、手間取りました。
>>325 >>341 絵師様の降臨を誘発するような妄想が提供できると良いのですが、なかなか難しいですね。)

−−(17)素体教官(その1)−−

(宙軍基地 会議室)

真理亜:「みんな揃ったわね。」

リエ:「任務前に地上で打ち合わせなんて珍しいですね。こんどはよほどややこしい任務ですか。」

真理亜:「他の者にとってはややこしいかも知れないけど、リエには楽勝かな。」

マサ:「ところで、みんなといってもタラ特務中尉と冬子が居ませんね。」

真理亜:「あの二人は、準備が大変なので既に任地に行っているわ。」

マサ:「はあ。いったい我々は何処に行くので?。厄介な場所と言ったら火星とかですか?。」

真理亜:「今度の任地は地上よ。前回の任務で身にしみたと思うけど北米とは一触即発の状態でしょ。衛星軌道警備の強化を急がないといけないの。」

マサ:「すると、地上発射型の迎撃部隊でも編成するんですか?。」

真理亜:「地上は天候に左右されるから迎撃なら上からよ。それが、すぐ増強できたら良いのだけれど、宙軍の人数が絶対的に足りないのよ。
それで特に最近3年間は文部省にはシビリアンの素体供出率向上の施策を採って貰ってきたのね。リエも前に教育委員会の仕事手伝ったでしょ。
その甲斐もあって、今年の素体召集は昨年の20%増しで120名になったの。だから、今年度から素体養成所の教官も増やすことになったわけね。
で、丁度ウチは全員が教官を出来る下士官以上となったところだから、小隊ごと養成所に回ることになったって訳ね。
特例の増員もあったので、タラと冬子は特例志願者の教官として福祉公団内の臨時素体養成所に出向してもらったのよ。」
344pinksaturn:2006/06/10(土) 10:13:14 ID:TG82nZbt0
マサ:「えーっ、素体教官ですか。ということは体をスケルトンにしなきゃいけないんですよね。いやだなー。」

真理亜:「藻前ねえ、前回の降下前にチャンスなら少々の苦労はいいって言ったでしょ。3年間で担当訓練生の落第率が10%以下だったら教官は2階級特進よ。」

マサ:「確かに言いましたです。とほほ。リエみたいの、かわいくない。」

マオ:「まあ良いじゃないですか先輩。宇宙行きだってどうせ純金外装外すんだし。大差ないですよ。」

ミキ:「鬼教官のしごきっていっぺんやってみたかったですよ。ポワント1時間!。出来なかったら足切断だぞ!って」

真理亜:「そういうことで、リエ以外はすぐ換装室に行きなさい。リエは私と手分けして各地区の中学校卒業式へ素体を迎えに行くのよ。」

マサ:「あれ、真理亜様は換装しなくて良いんですか?。」

真理亜:「もう済んでるわよ。ほら、(ぬぎぬぎ)全面ダイヤ膜よ。第一教程部長の体面でね。リエより豪華にしたんだから。」

リホ、エリ:「えーっ!。うっそー!。綺麗!。」

マサ:「真理亜様の髪が無くなってしまった...しくしく。」
345pinksaturn:2006/06/10(土) 10:17:24 ID:TG82nZbt0
(素体養成所教官室)

真理亜:「来たわね。かつらとコスメチックジャケットを取って、仕上がりを見せてみなさい。」

マオ:「(ぬぎぬぎ)これはこれで面白いですよ。どうです。」

ミキ:「(ぬぎぬぎ)似合いますか?」

マサ、リホ、、エリ:「(しぶしぶ)はああ...」

真理亜:「早くしなさい。規則で素体たちに会う前に、私が点検しなきゃいけないのよ。」

マサ:「(ぬぎぬぎ)とほほ。どうですかねえ。」

真理亜:「良いじゃない。似合うわよ。じゃ、着けて良いわ。初対面でスケルトンはショック受ける子もいるからね。」

マサ:「素体はどんな様子ですか?。」

真理亜:「たいていの子は不安で小さくなってるわね。みんなそうだったでしょ?。
それで、担当なんだけど120名を4班に分けるから30人ずつね。これをマサ、リエ、リホ、エリが担当するのよ。
マオは1,2班の、ミキは3,4班の助教官として主に実技系の訓練をサポートして貰うわ。
最初に言ったように、任期中の3年間で10%つまり落第が3人以下ならその班の担当教官は2階級特進ね。
逆に20%超えたら昇進なして落第生が3年次の科目を終えるまで任期延長だからしっかりしごくのよ。
但し、体罰は支給する電気鞭以外絶対に使わないこと。どんなにむかついても素手はダメよ。死んじゃうから。」
346pinksaturn:2006/06/10(土) 10:27:52 ID:TG82nZbt0
リエ:「死人が出たら責任問題ですよね。」

真理亜:「無理な訓練や規定外の体罰で死んだら、担当教官は2等兵に降格の上、20年間の火星勤務よ。」

マオ:「電気鞭は自由にやって良いんですか?。」

真理亜:「科目ごとに毎回の成績について処罰基準があるからそれに従って公平にやるのよ。反抗は即やって構わないけど。」

マサ:「ところで、突然だったので学科の準備は全然出来てないんですが。」

真理亜:「まず、宇宙のことは6年も出ていたんだから実践で身に付いてるでしょ。
天文学者を育てるんじゃないから、太陽系外の事は省いていいわけで、ブラックホールとか難解なのはいらないのよ。
有人飛行ならニュートン物理プラス勘で飛べるっていう感触が理解できれば良いんだからね。
サイボーグ体の仕組みも十分理解してるでしょ。細かいこと抜きに通常の整備に必要な基本だけ理解させるのよ。
知識はいずれ体内CPUが保持してくれるんだから覚えさせる必要はないでしょ、その場で一旦理解させておくのだけが目的よ。
それに、4月中は最初の手術とその回復のため、最低限の軍規とか楽な科目だけだし、講義も殆ど私が担当するからその間に準備しなさい。
じゃ、担当クラスに行って手術の日程割り当てをやって。午後から第一陣にかかれるように飯抜かせてあるから。
あ、そうそう、リエの班に春男が入ってるけど、顔見知りだからって甘やかしちゃダメよ。」

リエ:「そりゃ、私も自分の将来に響くんで、手抜きなんかしません。でもよかったわ。あの子受かったんだ。」
347pinksaturn:2006/06/10(土) 10:30:26 ID:TG82nZbt0
(マサの班)

マサ:「宙軍にようこそ。この班の担当教官を務めるマサ軍曹です。夜露死苦。」

素体たち:「...(小声で)よろしくお願いします。」

マサ:「そんなに怖がらなくて良いわよ!。外国のバカ軍隊みたいに意味もなく連帯責任とかいって苛めないから。
但し、その分個人個人の目標が達成できないときはきちんとしたルールに従ってきつーいお仕置きがあるけどね。」

素体・ミツ:「あのぉ、教官は宇宙でどんな仕事をされてきたのでしょう?。」

マサ:「ここに来た以上、宇宙に興味を持つのは良い事ね。私は主に採鉱をやってきました。
現地で役に立ちそうな隕石を選ぶのが任務です。小惑星への資源収集飛行は2回で6年間行っていました。」

素体・マツ「戦闘のご経験はないのですか?。」

マサ:「相手が居ないのでありません。今のところ宙軍の全員が同様です(嘘つくの疲れるー、妨害作戦の自慢したいよぉ)。」

素体・ササ:「北米や満漢の宇宙船との争いって本当にないのですか?。」

マサ:「北米連が月資源の独占を狙っているせいで険悪な雰囲気だけど、こちらは小惑星重視だからね(うう、ホントの事言いたい)。
さて、自己紹介はこれくらいにして、早速だけど今日の午後から半日に6人ずつ交代で手術を受けて貰うので順序を割り当てます。」

ミツ:「えっ、それって男子だけじゃないんですか?。」

マサ:「そういえば、この班は女子ばかりか。元から女子の方が内容は簡単なんだけどあります。
まず、改めて宣告しますが、勅令によってあなた達の体は徴兵された瞬間から脳と脊髄以外すべて国の所有物です。
よって国は脳と脊髄の存続に必要な措置を執る限り、必要な部位を任意に切除し使用することが出来ます。
逆にあなた達は髪や爪といえども許可無く勝手に切ってはなりません。以上、いいですね(ふう、マニュアル通り言えたわ)。」
348pinksaturn:2006/06/10(土) 10:33:22 ID:TG82nZbt0
素体たち:「...(判っちゃいたけど、初っぱなからきつー)。」

マサ:「国は素体適性のある遺伝子を持った生殖組織の維持管理を非常に重視しています。
この目的のため、サイボーグの生殖組織は、すべて生殖バンクに預けられることになっています。
女子も、生理による訓練スケジュールの狂いや訓練の負担による卵巣へのダメージ防止と、元男子との日程統一のため最初に卵巣摘出を行うのです。
それから脱走防止のための素体番号ICタグ埋め込みも行います。じゃ席番号1から6番の娘は直ちに全裸になって向かいの手術準備室に行きなさい。
10秒以内に行動しなさい。反抗は鞭打ちです。
7から12番は明日午前9時からなので、安静室に行って待機。以下、半日遅れで同様ね。」

素体たち:「はい...(いきなり初日からか、ガグガクブルブル)」

マサ:「では13番以降は待ち時間を利用して訓練端末の支給と簡単な説明をします。マオ来てる?」

マオ:「持って来てますよー。確かに18台プラス予備で。」

マサ:「配布する端末は我々サイボーグの体内CPUとほぼ同じものを使用し、画面は将来各自の視覚にオーバレイ表示されるのを模したものです。
本来BCIで操作するものですが、これは両脇のレバーと音声認識で代用しています。これからの訓練では身体訓練時を除き常時使用するので早く慣れるように。
非常に頑丈に出来ていますが戦闘訓練中などには壊れることもあるので、壊れたら遠慮なく助教官のマオ伍長に交換を申し出ること。
養成所内に居る限りデーターは常時サーバーにバックアップされるので、取り替えで困ることは無いはずです。
養成所終了時のデーターは改造手術後に体内CPUへ移行されるので、知識の丸暗記に無駄なエネルギーを使わないこと。
その場その場での理解に集中すること。学校とは根本的にやり方が違うということを受け入れるように。
端末操作は殆ど画面を見れば判るようになっているけど困ったら私かマオに聞くように。
今週は手術中を除き常時携帯し、とにかく慣れること。教科書やノートは一切使えないのでこれだけが頼りです。
それでは、全員居住セルに移動して待機よ。手術の12時間前に安静室に入ること。」
349pinksaturn:2006/06/10(土) 10:41:26 ID:TG82nZbt0
(リエの班)

リエ:「押忍。この班を担当するリエ軍曹である。まず、宣告する。
おまいらの体は脳と脊髄以外すべて国のものになった。よって国はこれを自由に改造できる。
以上宣告おわり!。」

素体たち:「...」

リエ:「さて、おまいらはサイボーグになるために集められたのだが、サイボーグになれるのは女だけなのね。
ところが、この班は今のところ全員男だわ。したがって、今日から半日交代で6人ずつ性転換手術を受けて貰うわ。
この先5年間の訓練機関は、おまいらの場合、改造手術に備えて女になりきるための順応期間でもあるってことね。
みっちり仕込んであげるからそのつもりで(やっぱし何人かびびってるのが居るなぁ)。
それで、手術の順番だけど、股間を押さえてふるえている香具師からにしようかな。
3番、8番、11番、15番、25番、27番、以上が今日の午後!。」

3番:「そんなぁ。あみだとかにしましょうよぉ。」

リエ:「駄目。そもそもここに来て今更びびってるようじゃ逃げかねないと判断したのよ。
脱走者なんか出たら私の責任問題になるんだから真っ先にやっちゃわないとね。
すぐ全裸になって手術準備室に行きなさい。他の者はこれから様子見て順番決めます。
まず、忠告しておくけど、みんな改名は考えている?。
手術後1ヶ月以内に届けなかった者はコンピューターがランダムに命名することになってるの。
なるべく使われてない名前が優先されるから、トメとかヨネとかださい名になりやすいわよ。
一度決まってしまうと、大きな功績があって皇帝が許可したときくらいしか変えられないからね。」
350pinksaturn:2006/06/10(土) 10:43:34 ID:TG82nZbt0
30番:「何語でも良いんですか?」

リエ:「構わないけど女性名と判定できないものや、皇帝陛下と同名とか特に畏れ多いものは却下されるわよ。
まあ、却下されたらそこからまた1ヶ月くれるので、迷っているならわざと却下されそうなのにするのも手だけど。
さて、明日の午前だけど5番、7番、16番、18番、20番、29番、以上の者はすぐ安静室へ行くこと。
他は、助教官が端末持ってきたら配って説明するからここで待機ね。」

2番:「ところで、リエ軍曹って3年ほど前に小学校で臨時講師されてましたか?。」

リエ:「そうよ、憶えててくれたのね。」

2番:「あのお話を聞いて宇宙を目指したくなったんです。」

リエ:「そお、嬉しいけどお礼に甘やかすわけにはいかないからね。」

1番・春男:「なあんだ。同じリエさんでも別の人かと思っちゃった。スケルトンやめちゃったんですか?。」

リエ:「あ、これかつらとコスメチックジャケットよ。私は着けたくないけど、初日は素体の子が怖がるからって命令でね。」

6番:「私も授業聞きました。スケルトンかっこいいですよ。」

リエ:「どうやらこの班では取ったほうが好かれそうね。ま、命令なので今日はやめとくけど、来週からは私本来の姿でやりたいわね。
とにかく、これからの訓練は嫌々やってると地獄だけど、前向きな子には楽勝だからそのつもりで。」
351pinksaturn:2006/06/10(土) 10:55:20 ID:TG82nZbt0
(3日後、教官室)

真理亜:「全員無事に出来たようね。」

マサ:「逃げそうなのやひどく反抗的なのは居ませんね。」

リエ:「何人か嫌がってるのが居たので逃げられないように手術の順番を先にしました。」

リホ:「3班は問題ないです。」

エリ:「4班は2,3人ぐずったので、鞭使いました。すぐ観念したようです。」

真理亜:「偶数班で何人か嫌がるのはやはり仕方ないわね。例年より増えた分リスクの高い子が混じりやすいし。
苛めっぱなしにしないで、回復期間中はまめに見舞ってやるのよ。特に自力排泄が出来ない間は精神不安になりやすいから。」

リエ:「その辺のフォローは経験者のマサの方が得意なんじゃ?。」

真理亜:「迷ったけど、マサは不安がってなかった方でしょ。リエやエリの方が断固とした態度でやれるからね。」

マサ:「おっしゃるとおりで。初日から鞭はいやですよ。」
352pinksaturn:2006/06/10(土) 10:56:38 ID:TG82nZbt0
リエ:「それもそうね。ところで、うちの班は私のスケルトン姿を知ってる子が多くて結構人気なんで、偽装いらなそうなんですが。」

真理亜:「そう、だったら外しても良いわよ。リエの精神安定も大事だしね。マオ、ミキ、訓練施設の点検・調整のほうはどうかな?。」

マオ:「サーバーや空ボディなどディジタル系は何も問題ないです。野戦で使った銃器類は1割くらい痛んでるのがありますね。」

ミキ:「身体訓練用の器具類は未経験者用にストッパー調整し直してるんですが、アナログだし数が多いので手間取ってます。」

真理亜:「銃器は業者呼んで整備に出して、程度の悪いのは新品補充しなさい。手入れなんて人手不足の宙軍兵がやることじゃないでしょ。
素体にも軍隊ごっこで時間の無駄させる気はないから、手入れは教えなくていいわ。陸戦実技は2丁持ちでジャムったら捨てろと教えるのよ。
身体訓練の器具は、未経験者が3月の設定で使うと怪我するからマオも手伝って慎重に整備しておいてね。
私は、2日間タラたちのところに出張してくるからよろしく。」

リエ:「あっちも真理亜侯が監督するのですか?。」

真理亜:「福祉公団の責任でやる協定になってるんだけど、一人採用審査の難しい娘が居てね。直接見て欲しいと言うことなの。」
353pinksaturn:2006/06/10(土) 11:01:02 ID:TG82nZbt0
(回復室)

リエ:「最初の6人は特にやばそうな子を選んだのだけどメンタルどうかしら?。」

医師:「普段やっている一般のシビリアンだと精神科でGID診断済みですが、こちらは違いますから私にはなんとも。」

リエ:「そうでしたね。あなた方シビリアン医師は協力員として手術請け負っただけだし、メンタルは軍の責任でしたね。」

医師:「ええ。ホントは宙軍さんで全部出来ると良いのですが、殆どの方が脳外科限定なんで私らが下請けしてる訳ですから。」

リエ:「どう?。落ち着いたかな?。」

2班3番:「諦めはつきましたよ。ただ、痛くて死にそうです。」

リエ:「顔色はそんなでもないわね。痛みで死ぬ事なんて無いんじゃないの。」

医師:「出血は少なかったからその点は大丈夫でしょう。明日カテーテル抜くのでそこで問題なければ万全ですな。」
354pinksaturn:2006/06/10(土) 11:14:04 ID:TG82nZbt0
リエ:「ということで、死にはしないようよ。明日も来るからね。愚痴はいくらでも聞いてあげるから安心なさい。
あんたはどうかな?。」

2班8番:「痛いですぅ。吐き気するし。」

リエ:「言うことは同じか。ドクター、催眠ランプで眠らせちゃっても良いかな?。」

医師:「薬と違って影響はないです。眠らせられるかどうかだけが問題ですね。」

リエ:「そう。ドクターは目つぶってて!。(ぬぎぬぎ)そーら、みんなこっち見ろー、眠れチカチカチカ...。」

素体たち:「ばた、ばた、ばた...」

リエ:「成功ね。ドクターもう見ても良いわよ。」

医師:「おお、お見事。痛みが退くまで、毎日回診時にやって貰えると助かりますね。」

リエ:「お安いご用ですわ。じゃ、今日の見舞いはこれでお終いっと!。」
355pinksaturn:2006/06/10(土) 11:16:00 ID:TG82nZbt0
(福祉公団内・臨時素体養成所、観察室)

真理亜:「うーん、墜落機の生き残り、外国人で推定10歳か、厄介ねぇ。両親は?。」

公団職員:「母親はDNA鑑定で死亡が確認されています。父親は同乗していたかどうかすら未確認です。記憶が飛んでて身元も不明で。」

真理亜:「身元不明でどうして外国人だと判るの?。」

公団職員:「乗客名簿の帝国臣民と特区住民が全てDNA鑑定できたので、消去法で外国人なのは確かです。」

真理亜:「なるほど。悲田院令によれば外国人に恩賜援助はしないはずよね、何故ここに居るの?。」

公団職員:「重体で一刻を争う状態だったので身元不明のまま帝国大学に搬送されてしまって、容態安定後に福祉公団に来たのです。
DNA鑑定から外国人と確定したのは最近でして。それで援助打ち切りになってしまうので扱いに困っているのです。
あんな体ではここでしか生きられませんし、それも人工臓器が成長についていけないのでこのままでは1年しか保ちません。
次は遺伝子組み替え豚も必要になるので航空会社の補償金で賄えるような代物じゃないですから。」

真理亜:「両手足の義肢と腰下アダプタ、義眼は見た目で判ったけど他は?。」

公団職員:「心臓と肺が人工です。当初運動もおかしかったのでBCIも付けたのですが今は自己脊髄で手足を動かせる状態です。」

真理亜:「うーん、こりゃ素体と言うより未完成サイボーグね。先に改造して訓練全部後からか、時間かかりそうだな。
見捨てるのも後味悪いから採用しても良いけど、特例の場合は自発的志願の原則守らなきゃいけないのよ。
とにかく、私が直接話してみて志願したらってことでいいわね。名前はあるの?。それから言葉は普通に通じるの?。」

公団職員:「ひとつ宜しくお願いします。仮の名前は理美となっています。言葉はずっと失語症だったのですが、最近は何故か我々の言葉を話します。」
356pinksaturn:2006/06/10(土) 11:20:48 ID:TG82nZbt0
(福祉公団内・臨時素体養成所、面会室)

真理亜:「はじめまして。お姉さんね、貴女のこれからの事についてご相談したいの。怪我の具合はどうかしら?。」

理美:「肩と腰の切り口の痛みはやっと消えました。時々頭が痛いです。頭のてっぺんにある人工の目のソケット辺りが。」

真理亜:「確かに痛そうね。髪はどうしたの?。」

理美:「このソケットが濡らせなくて洗えないため丸坊主にしているのです。体にも人工臓器のソケットがあって風呂にも入れないのです。」

真理亜:「かわいそうに不便ねえ。もっと自由になりたいでしょ?。」

理美:「可能なら。でも、ママは死んじゃったらしいし、自分の名前も判らないし、施設の職員もこれ以上してあげられることは無いって。」

真理亜:「施設にも決まりがあるの。恨まないでね。それで貴女を引き取ってもっと自由な体に直せないかってお姉さんの組織に相談が来たのよ。」

理美:「そんなことできるんですか?。出来るならお願いします。」

真理亜:「方法はあるわ。但し、その方法を使うと貴女の記憶が戻ってお家が何処か判っても帰ることが出来なくなるの。」

理美:「施設の職員の話だと、こんな体で生きていられるのはこの国だからで、余所では無理だろうって。だから、同じ事だわ。」

真理亜:「そこまで理解してるならお勧めできそうね。方法というのは体の脳と脊髄以外の部分をすべて機械に置き換えて作り直すことなの。」

理美:「サイボーグなら知ってます。でも、マンガの話だと思ってました。」

真理亜:「ここではそれが現実の話なの。貴女の今の体も技術的にはサイボーグなのよ。この国ではより完全なものしかそう呼ばないけどね。」

理美:「確かにこの体もマンガみたいですね。でも、体全部を機械で作り直して自由に動けるようになるなんて不思議だわ。」

真理亜:「外国で育った子には信じられないかな。証拠を見せてあげるわ。(ぬぎぬぎ)ほら!。」
357名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 11:23:01 ID:rcO264X10
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358pinksaturn:2006/06/10(土) 11:23:35 ID:TG82nZbt0
理美:「えっ!。そんな、貴女がサイボーグだったなんて。でも確かに透明な体に機械が...」

真理亜:「私はいま新しくサイボーグになる子の世話をする仕事をしているので、説明しやすいよう特別に透明な体にしているの。
この国のサイボーグの大半は殆ど普通の人間と変わらない外見なのよ。たとえ、会っていても気づかない鴨ね。
この体でもさっきみたいにコスメチックジャケットというカバーを付けたら見分けにくいくらいだから。」

理美:「すごいですね。こんな事が出来るなら私も自由に動けるようにして貰えそうですね。」

真理亜:「但し、条件があるの。この国でサイボーグになれるのは、軍隊それも宙軍という宇宙で活動するための軍隊の人だけなの。
つまり、貴女がサイボーグになるには私たちの軍隊に志願しなければならないと言うことなの。
そして、私たちの軍隊は一度入ったら一生辞めることが出来ないし、特別な任務でもない限り外国に行くことも許されないの。
宇宙には任務でしょっちゅう行かなくちゃならないんだけどね。
そんな重大なことを貴女みたいな小さい子に決めさせるのは本来出来ないのだけど、貴女は特別な状態だから会ってみることにしたの。」

理美:「こんな不自由な状態で一生暮らすなら、軍隊に入って人を殺す方がましです。志願させて下さい。」

真理亜:「私たちは宇宙で色々な仕事をするのが主だから、すぐに人を殺す覚悟は要らないわ。将来どうなるかは判らないけど。
ただ、貴女の場合は怪我の後遺症があるのでサイボーグとしても完全な体になれる保障はないわ。
それに、本来なら改造手術の前にすべき訓練も出来ないから、自由に動けるようになるまでにとても時間がかかるの。
私は明日また来るから、一晩よく考えてもう一度返事を聞かせて頂戴。」

理美:「はい、よく考えます。えーと...」

真理亜:「名前言ってなかったわね。私は真理亜よ。」

理美:「え、真理亜様ですか。きっと神様がかわいそうな私のために遣わして下さったのだわ。」

真理亜:「違うわ。地球にも宇宙にも神様なんて居ないのよ。生きるのに必要なのは自分の意志だけなのよ。それも含めてよく考えてね。」
359pinksaturn:2006/06/10(土) 11:36:03 ID:TG82nZbt0
(翌日、面会室)

真理亜:「今日は、貴女の意志をきちんと確認するので、ここの施設内で新しくサイボーグになる人の世話をしている冬子さんと、ここや貴女の居た施設を運営している福祉公団の理事さんにも一緒に聞いていて貰います。」

冬子:「はじめまして。大変な目に遭っちゃったわね。」

真理亜:「理美さん、よく考えてくたたかしら?。」

理美:「はい。やはり、真理亜さんの軍隊に入ってサイボーグになりたいと思います。」

真理亜:「体をまっぷたつに切り開いて脳と脊髄を取り出す手術を受けなくちゃいけないのよ。怖くない?。」

理美:「もう、頭だけで3回も手術したので、痛いのや怖いのは慣れちゃいました。」

真理亜:「そお。じゃ、後悔しないわね?。理事さん、何か言いたいことは?。」

理事:「済まないね。もうこの人たちにお願いするしか君の体を良くする方法はなくてね。」

理美:「いいえ、真理亜さんたちに会わせて貰えてよかったです。これから宜しくお願いします。」
360pinksaturn:2006/06/10(土) 11:37:06 ID:TG82nZbt0
真理亜:「判りました。それでは貴女の志願を受け付けます。これから当分の間、冬子が貴女の上官になるから指示に従うのよ。」

理美:「はい。」

真理亜:「冬子、この子は改造後しか訓練始められない状態だから、すぐ基地の手術準備室に連れていって検査始めて貰って。
訓練計画は改造手術やってる間に立てられるわね?。人事への手続きは、理事さんからやって貰える?。」

冬子:「承知しました。理美さん、歩けるのよね、一緒にいらっしゃい。」

理事:「いつもの通りで大丈夫でしょうか?。今回は特殊事情なので、真理亜侯の意見書を頂いた方が通りやすいと思うのですが。」

真理亜:「いいわよ。意見書は私から人事に直接送って受領番号をお知らせするから、備考欄に書いておいてね。
あ、ところで通常の成人と違って無能力者だから半額自己負担契約は無理よね。そちら困らないかしら?。」

理事:「恩賜援助打ち切りの代償措置と言うことで悲田院の負担承認を取り付けております。」
361pinksaturn:2006/06/10(土) 11:41:02 ID:TG82nZbt0
(2週目初日、回復室)

リエ:「全員、カテーテル取れたね。おしっこちゃんと出たかな?。」

2班3番:「出るには出たけど、向きが定まらなくて足にかかるんですが。」

リエ:「糸は取れてるでしょ。7日経てば腫れもかなり退いてるから後はしつけの問題ね。
例年こんな調子なんで7日目から集団排泄訓練をやることになってるから初日組はついてきなさい。」

2班27番:「服がないんですが。」

リエ:「排泄訓練に合格したら制服を支給することになってるの。それまでは全裸でやるのよ。」

2班8番:「そんなあ...」

リエ:「つべこべ言わずに来るのよ。それとも電気鞭がいい?。」
362pinksaturn:2006/06/10(土) 11:42:45 ID:TG82nZbt0
(排泄訓練場)

リエ:「配った利尿剤入りの水を飲んでもよおしてきたら手を挙げなさい。私が見てる前でするのよ。こぼさなかったら合格よ。」

2班8番:「(いやだなー、でも漏れそう)ううっ、はい!」

リエ:「よしよしどーれ、あ、小陰唇ちゃんとめくって開かなきゃ駄目よ。あーあ横にこぼしちゃった。不合格。やり直し。次!。」

2班11番:「(厳しいなあ)はい。」

リエ:「ちゃんと腰落としなさい。あー、足に伝っちゃって垂れてる。汚いなあ。不合格。シャワー浴びてきてやり直し。次!」

2班15番:「(無理だよお)はい。」

リエ:「もうちょっとかかと上げて体を前に傾けるのよ。膝がくがくしたらダメ。ほらー、前にこぼしちゃってぇ。不合格。次!」

2班25番:「(もうだめぽ)はい。」

リエ:「お、角度良いじゃない。そのまま、ふらつかないのよ。ん、よしこぼさなかったな。よし合格。」

2班27番:「(よしあの角度か)はい。ん、角度調整、(手がスカッ)あっしまった無いんだった。」

リエ:「手で何を掴んで調整するって?。バカ。あーあ、何処飛ばしてんの。不合格。やり直し。
1巡目は一人か。25番、配給切符を端末に転送したから装備室へ制服貰いに行って良いわよ。
あとの娘は、水飲んでやり直し。今日は5回まで我慢してあげるけどそれでダメなら明日も全裸よ。」
363pinksaturn:2006/06/10(土) 11:49:27 ID:TG82nZbt0
(4日後、教官室)

真理亜:「標準スケジュールなら今日までで全員回復室から出てるはずだけど、問題のある娘はいないかな?。」

マサ:「うちはみんな回復してます。暇なのと、宇宙の予備知識はあっても計算がいまいちのが何人か居たので、端末で軌道出す練習とかさせてます。」

リエ:「こっちは何とか全員が制服手に入れたとこです。」

リホ:「私のところも1班と似たような事してます。」

エリ:「こちらも、やっと全員が服着れるようになりました。」

真理亜:「偶数班で精神的にやばいの居ないわね?。」

リエ:「制服が下着一体型レオタードなのでトイレが一層不便だとぼやいてる香具師が多い程度で、おかしいのは出てないですね。」

エリ:「一人口数の少ないのがいますが、排泄が早くできた香具師なのでまあ大丈夫でしょう。」

真理亜:「偶数班はトイレの不便さ自体が訓練だからね。ぼやきは基本的にほっといて良いわ。
あんまりぼやいてばかりで意欲が落ちてる香具師には、鞭使っても良いけどね。
予定通り、来週頭から2週間でここの訓練目標と軍規の基本をやって、5週目からは実地と身体始めるからね。」
364pinksaturn:2006/06/10(土) 11:54:25 ID:TG82nZbt0
(3週目初日、講堂 訓練目標概要)

真理亜:「おはよう。全員が無事に最初の手術を乗り越えたこと、喜ばしく思います。
これで、貴女たちはサイボーグの素材に相応しい体、素体となったわけですが、まだ中身は伴っていません。
これから5年間の訓練によってその中身を整えていくことになるのです。
5年のうち最初の3年間は、第一教程と呼ばれる基礎訓練であり、ここでその中身を整えることが主となります。
我々第一教程部の教官が担当するのはこの3年間です。
あとの2年間のうち1年半強は、改造手術の準備としての特殊訓練となり、その後予備手術、最終訓練、本手術となり、順調に行けば5年で完成サイボーグとなります。
その後の半年から1年の調整検査期間をあわせて第二教程と言い、改造手術に関する専門分野にたけた教官と技術スタッフが共同で担当します。
 宙軍兵に必要な中身は、三つです。
第一がサイボーグとして生きるのに必要なもの、第二が宇宙で活動するために必要なもの、第三が軍として行動する上で必要なものです。
 サイボーグとして生きることは、これが成り立たないと宙軍の活動に耐えられないのだから最優先です。
生きる上で絶対に欠かせないのが、サイボーグ体の整備能力です。
サイボーグ体は生体より丈夫ですが、自然に備わった自己修復能力がありません。
したがって、自己修復に代わる働きを日常作業として意図的にしなければなりません。
地上基地や衛星工場には専従の整備兵も配置されていますが、宇宙空間に出たら大型宇宙艦ですら30人程度で全てをこなすため整備兵は居ません。
したがって、サイボーグ体の仕組みを理解し、実際に手を動かして整備する経験をあらかじめ積んで置くのです。
365pinksaturn:2006/06/10(土) 11:55:25 ID:TG82nZbt0
また、サイボーグ体の感覚や運動は生体と差があり、特に宇宙に出るときにとる構成ではその差が大きくなります。
これを、違和感無く自らのものとするには生体から見れば偏った運動神経の鍛錬が必要で、今からこなしていく必要があるのです。
なお、元男子の娘については、女性しかサイボーグ化できないという技術的制約に適合するために、性自認の適応も生きる上で必要なことと心得て下さい。
 宇宙で活動することは宙軍兵の本業であり、これが苦手だと基地要員のような補助的任務にしか就けないので次に重要なことです。
宇宙空間では艦や自分自身が、それぞれいわば1個の天体となって運動することになります。
したがって、その運動を計算し制御する方法を身につける必要があります。
また、宇宙艦をはじめとする使用機材の仕組みを理解し、さらに日常使う物は取り扱いを実習する必要があります。
限られた艦内空間で生活するため、狭い生活空間に慣れる必要もあります。
ここの居住セルは、未改造素体の許容範囲内で最も艦内に近い状態を再現しており暮らすこと自体が訓練です。
 軍として行動することは、サイボーグになれば体内CPUのネットで柔軟に指揮系統が組めるようになり、体力も全員が同じになるので、難しくありません。
したがって、必要最低限の規律や射撃術を教えるだけで、外国でやっているような犬の調教まがいの軍事教練はやりません。
むしろ広い宇宙空間で孤立した状態で行動しなければならない我々は、犬のような指示待ち型の姿勢を身につけてはいけないのです。
以上の訓練においては、実習で勘を身につけるべきもの以外は、一旦理解しておくことが目標であり、学校でやったような丸暗記は不要です。
サイボーグになれば、知識は体内CPUが保持してくれ、いつでも取り出せるようになるからです。
その違いを常に念頭に置いて行動して下さい。
 全ての訓練は時間割ごとに考課を行い、選ばれてここに来た者なら容易に達成できる標準レベルを下回ったときは、もれなく公平に処罰されます。
処罰を受けるものは、その99%が意欲不足か、学校教育や一般の軍事教練とここの訓練との目的の違いを誤解している者達です。
訓練目標の概要は以上です。」
366pinksaturn:2006/06/10(土) 17:27:34 ID:TG82nZbt0
−−−−−(17)素体教官(その2)−−−−−

 (3週目の2日目 サイボーグ体構造概要)

マサ:「帝国においてサイボーグとは、知っての通り脳と脊髄以外の体全体を人工機器で置換した者をさします。
学術上の定義では能動義肢や人工臓器の適用者もそう呼びますが、我々の習慣では裸で宇宙空間に出られない者は除きます。
 我々のサイボーグ体の特徴は、まず、脳と脊髄を包む一体型の容器と血管でこれに繋がった生命維持装置が圧力容器となっていることです。
外部の機器と神経を繋ぐために各脳神経及び各脊髄神経の出入り口に設けられた神経トランスポンダは、すべて圧力容器の内側に設けられています。
信号、電源とも超短距離コードレス接続で圧力容器の内膜越しに外部と接続し、圧力容器に開口部がありません。
圧力容器の開口部は、生命維持装置に繋がる頚部血管と脊髄底部の脊髄液排出口に局限されています。
このため、耐圧シール不良により真空中で減圧が起きるリスクが小さくなっています。
さらに内膜と脳脊髄硬膜の隙間は生理食塩水と同じ浸透圧を保った粘性の高い液体で埋められ、硬膜と神経索を乾燥や重力変化から保護しています。
内膜は柔軟性のある素材で出来ており、首を回したり背を曲げる動作が生体同様に可能です。
頭蓋骨と脊柱骨は内膜に対してタガのように填っており、外からの打撃や真空中での内圧に対して内膜の変形を許容範囲に収めます。
この構造のため、宇宙空間で負傷しても圧力容器のどこかに穴が空かない限り直ちに生命の危険に至らないと言う利点があります。
また、体全体が宇宙服のように膨張し動きが不自由になるということが起きません。
 サイボーグ体の第2の特徴は、生命維持装置が二重化されていることです。
一次生命維持装置と二次生命維持装置という二つの装置は、前者が恒久的な生命維持を、後者が真空中での無呼吸生命維持を受け持ちます。
このような役割の差による制限はありますが、基本的にずれか一方が機能すれば生存が可能なので故障による死亡のリスクが極めて小さくなっています。
詳しいことは今後の講義でやるので、http://pinksaturn.fc2web.com/gijutu-seimeiiji.htm の資料で予習しておくように。
 サイボーグ体の第3の特徴は、手足や腹から下の機器がユニット化され、容易に組み替え可能となっていることです。」
367pinksaturn:2006/06/10(土) 17:34:19 ID:TG82nZbt0
2班20番:「あのぉー。済みませんトイレに行きたくなったのですが。」

マサ:「あ、そうか。特に偶数班の娘は当分近いものね。自由に行って構わないけど、行くときは端末を中継モードにして聞きながら行くように。
こちらは、いちいち中断するヒマ無いからね。なお、聞き漏らしは自己責任なので、考課の結果処罰になっても救済はありません。
じゃ、続けます。
 サイボーグの手足は、肩関節と股関節が磁気連結器になっており、非常に組み替えが易しくなっています。
この磁気連結器は、外装とリニア牽引帯に繋がれた吸着リングで引っ張り方向、中心骨格の反発球体で押し出し方向の力を生じ、その釣り合いで胴と四肢の相対位置を保ちます。
この機構は関節の自由度が高いうえに、輸出用能動義肢と共通化されているため、手足の製造コスト引き下げにも寄与しています。
特に、腕と地上生活用の足は能動義肢と互換性があり、例えばサイボーグが輸出用能動義肢を装着することも可能です。
但し、標準構成は大腿部の燃料電池と各部のリニア牽引帯をパワーアップしたサイボーグ専用品をつけるようになっています。
この高出力義肢は外装を胴の外装と融着して連結強度を高めることが出来、外観も自然の手足のように継ぎ目がなくせます。
宇宙に出るときは、足を航宙型という専用のものに換装する規則になっています。
航宙型の足は大腿部に推進剤タンク、下腿部にプルトニウム電池と電離装置、足部にイオン加速器が組み込まれています。
これにより、サイボーグは空気無しで生命維持に十分な電力と、自由に宇宙遊泳を出来る推進力を得ます。
また、腹部にジャイロスタビライザー、腰部に電気分解装置が組み込まれ、姿勢制御や緊急時に推進剤を分解して酸素を作り一次生命維持装置を起動することが出来るようになります。
即ち、宇宙空間で独立した小さな宇宙船となることができるのです。
368pinksaturn:2006/06/10(土) 17:36:51 ID:TG82nZbt0
このように宇宙空間で便利な航宙足ですが、地上や工場衛星内など重力下では歩きにくいという欠点を持ちます。
イオンエンジンの配管のため足首の関節が中立位置で下腿と同軸となり、その前後30度しか曲げられないためです。
しかし、工場衛星内や地上基地内の行動、ときには着陸失敗による基地外の歩行が避けられないのです。
また、1gもの重力があるとジャイロスタビライザーの助けも完全にはあてに出来ないのです。
この欠点を克服するためにはプロのバレリーナ並みに、重力下、長時間つま先だけで立ちまた自由に跳び歩ける必要があります。
この条件に適合した運動神経を作るため、実際にここでの身体訓練の大半がバレエのレッスンになっています。
同時に、これは自由度の大きい関節を十分制御できる運動神経の養成にもなります。
また、特に元男子の素体については女性としての性自認を徹底する機会となるので衣装や髪型についても本格的に仕込まれるのです。
この科目はかなり重視されており、課題をこなせないときの処罰や落第の条件も厳しくなっているので覚悟して下さい。
サイボーグ体の構造概要は以上です。
 質問を受け付けたあと、考課を行います。考課が70点未満だと電気鞭の罰を受けるので今のうちに判らないことを無くすように。」

3班18番:「ジャイロスタビライザーが強力になればバレエでしごかれなくて済むのですか?。」

マサ:「重力下での歩行のみを問題にするならその通りよ。
ところが残念ながら、ジャイロスタビライザーを強化すると消費電力が増えすぎてプルトニウム電池の容量が足りなくなるのね。
プルトニウム電池は温度差で発電するので、真空中で出来る放熱手段、つまり赤外線を逃がせる表面積で容量が制限されるの。
今より容量を増やすと足が太くなって、もっと歩きにくくなってしまうから、かえってきつくしごかれることになるわね。
他には?。」

4班7番:「脳や脊髄と身体の通信がコードレスだと混信やハッキングの心配はないのですか?。」
369pinksaturn:2006/06/10(土) 17:38:07 ID:TG82nZbt0
マサ:「絶対にないとは言えません。しかし、ハッキングは非常に困難です。
体内CPUのうち一般の無線LANに似たプロトコルを使うのは私用CPUだけで、身体制御や公用のCPUは互換性がありません。
また、脳脊髄ユニットや肩・股関節の接続点は外皮シールド層の下にあるので電波自体の漏洩は非常に微弱ですから混信も起きにくいです。
外部と通じるリモートボディ接続は身体制御CPUに厳重なファイアウォールが設けられ、設定素体番号が一致しない信号は排除されます。
その代わり、リモートボディ制御は直結より遅延があり自由に動かすのに慣れが必要です。
まあ、現在の貴女たちが端末で整備実習用ボディを操作するよりは遙かに速いけどね。
他にはないかな?。無いようね。じゃ、考課にかかります。端末に問題が出るのでそれぞれ10秒以内に回答すること。
問題はランダムに出るので隣を覗くのは無駄な抵抗ということになります。でわ、開始!」

素体たち:「あわわわ」「ひぃーー鞭やだー」「何?バレエの衣装や髪型を身につけるのは宇宙遊泳に必要だからである。○か×か?。えと、○かな。」
「地上生活用の足は歩きにくいので特別な訓練が必要である。○か×か...○でしょ。」「サイボーグの首は胴体から容易に取り外せる。...○だよね。」
「...もうだめぽ。」

マサ:「よし終わりね。懲罰対象者は、1班5番、1班15番、1班22番、1班30番、2班8番、..4班20番と。
以上の者は、拷問室に逝きなさい。今日の懲罰当番は真理亜部長です。真理亜部長は副業で女王様をやっている方ですのでせいぜい楽しんできなさい。
それから、我々教官は体内CPUで連絡を取り合っているので、ごまかして懲罰を逃れようとしないこと。鞭打ち回数には1日遅れる毎に1割の利息が付きます。」
370pinksaturn:2006/06/10(土) 17:48:01 ID:TG82nZbt0
(3週目の3日目 宇宙活動概要)

リホ:「宙軍の宇宙活動の特徴は資源の収集と加工による生産活動の比重が大きいことです。
一般的な軍隊は外敵の排除を主任務とし国民の生産から得られる税金によって活動資源を取得するのに比べ非常に異質です。
この違いの第一原因は、地上から宇宙に資源を持ち出すコストの大きさにあります。
例えば我々の主力打ち上げロケットであるM55を例に取ると、発射時の重量450トン弱に対し、静止衛星軌道に上げられる純粋ペイロードはわずか2.5トンです。
つまり、少々乱暴ですが単純に目方をコストとすれば、かけた費用の99..4%が打ち上げに費やされてしまうのです。
この比率は工場衛星でリサイクルされるロケットの2段目筐体25dを有効質量としても94%にしかなりません。
この一方で、殆ど重力のない小惑星から隕石を地球軌道まで移動することは時間をかければ推力の小さいロケットで出来ます。
我々は、氷成分の多い隕石から抽出した水を推進剤として隕石を移動する技術を保有し、採集した隕石の90%以上の重量を地球軌道に到達させられます。
隕石を構成する物質の主要部分は水、鉄、珪酸塩です。工場衛星や宇宙艦は自重の大半が鉄です。また、重量比では宇宙艦の消費物資の殆どが推進剤となる水です。
水は推進剤となるほか電気分解により呼吸用酸素となり、工場衛星の太陽熱蒸気発電ではエネルギーの媒介となり、農産区画の用水となって食料をも産みます。
珪酸塩も半導体やガラス、セラミックの原料となり、最近では酸素の抽出も可能となってきています。
つまり宇宙で必要とする物資重量の殆どを隕石から賄うことができ、そうすることで宙軍の活動コストを航宙士一人当たりで外国の1/10に低減できています。
現在では工場衛星の生産力が宙軍の活動に必要な量を上回っています。
この余力分は地上に物資を降ろし輸出に回すことで国の財政に寄与し、宙軍兵の待遇改善や臣民の福祉にも使われています。
現在、降下させる物資の質量は打ち上げの10倍以上となっています。
371pinksaturn:2006/06/10(土) 17:50:23 ID:TG82nZbt0
本来このような経済活動は民間に開放したい分野ですが、現在の情勢がそれを許していません。
往復3年の長期任務となる資源収集や真空中で長時間働かねばならない隕石鉱山の採掘がサイボーグに依存しており、サイボーグ技術の民間解放が難しいからです。
サイボーグ技術を民間に開放するとその存在を外国に対して隠すのが難しくなるわけですが、世界には宗教などのためサイボーグに強い嫌悪を抱く国があるのです。
そのような国には北米連など大国も含まれ、自分たちの考えを押しつけるための武力による干渉もあり得ます。
そこでサイボーグの秘密を守るため帝国では宇宙における経済活動自体を宙軍が独占することになっています。
これが宙軍の異質性の第2原因なのです。
 それでは本来の軍事活動はどうなっているか、といいますと、現在まで実戦はありません。
とはいえ、いずれ外国が我々の宇宙活動を知ったときに、どのような反応をするか予断を許しません。
また、外国どうしの宇宙覇権争いのとばっちりで我々の施設が危険にさらされたり、地上との行き来に通る軌道にデブリがまき散らされることもあり得ます。
このため、軌道警備とミサイル迎撃を任務とする部隊があります。
今のところ小規模ですが、増強が計画されており、ここにいる者の何人かは配属されるようになるでしょう。
 現在の主要任務である経済活動の詳細はおいおいやりますが、基本は収集、採掘、製造の3分野です。
372pinksaturn:2006/06/10(土) 17:52:17 ID:TG82nZbt0
収集の主な舞台は小惑星帯です。
月は水資源が乏しいこと、地球から近いため北米連や満漢人民共和国との競合があり無用の摩擦を避けたいことから収集活動をやっていません。
火星には将来技術が進んだ時点で植民地化する可能性を考え小規模な拠点を設けていますが、現状では資源収集の対象となっていません。
自重1000dの資源収集艦4隻を使い、年1便の定期便のように地球軌道と小惑星帯を往復し有用で移動に適した隕石の探索を行っています。
1隻の乗員数が標準30、1回の任務が約3年間なので常時約90名が任務に就いています。
収集艦のうち1隻は交代で整備のためドックに入っており、乗員は配置されません。
定期便とする理由はサイボーグの宇宙滞在期間が最大4年間に制限され、例えば3年の任務後は半年以上の地上休養が義務づけられるためです。
現在のサイボーグ技術は宇宙に永住することが出来ない、まだまだ不完全なものなのです。
特殊任務に使われる5隻目の艦もあり、資源収集艦の乗員総数は休養中の者を合わせると170名以上になります。
今後も資源収集艦の建造が見込まれるので、新兵の配属も増えることになります。
各艦には6から8機の重機という、宇宙空間での土木作業を主任務とする搭載機が配備され、現地での調査や移動する隕石への施設設置にあたります。
重機は人型に近い形態のマシンですので、火器を携行すれば戦闘も可能ですが、長時間活動優先のため運動特性は戦闘向きでありません。
重機部隊以外の乗員の半数は艦の運航や指揮の要員、あと半数は隕石サンプルの分析、機材整備や艦内の生活資材製造設備運用にあたる技術員です。
373pinksaturn:2006/06/10(土) 17:59:45 ID:TG82nZbt0
採掘と製造の舞台は地球軌道、主に本国直上の静止軌道に建設された工場衛星と隕石鉱山です。
隕石鉱山は、小惑星帯から移動してきた隕石を適度な大きさに固め、居住施設のある工場衛星の近傍に軌道維持したものです。
現在3サイトありそれぞれ常時100名程度、3交代なので計900名が採掘にあたっています。
地上と異なり無重力なので落盤の心配が無く、使えるものは完全に掘り尽くせるところが隕石鉱山の利点です。
隕石鉱山で掘り出された素材は工場衛星に運ばれて、宇宙での消費に必要なものや地上に降ろすのに適した形態に加工されます。
工場衛星では製鉄や無重力を利用した結晶製造といった素材加工から宇宙艦建造、サイボーグ部品製作という製品化までが一貫して行われます。
サイボーグ部品製造ラインの余力を使って、民生用の能動義肢や人工臓器など輸出可能な製品も作っています。
また、24時間得られる日照をエネルギー源として水や農産物とその加工品などサイボーグの生命維持に必要な補給物資の製造も行います。
水は生命維持の他に推進剤および大気圏突入用アイスシールドとして消費するために隕石の氷から大量に生産されています。
農産区画の生産余力を使用し、宇宙環境を用いた薬草の栽培や加工を行い民生用の薬品も製造しています。
工場衛星は鉱山より自動化されているため部署が細分化される割に勤務者は少なく600名ほどです。
374pinksaturn:2006/06/10(土) 18:01:39 ID:TG82nZbt0
採掘と製造は、艦上勤務より地味ですが宇宙遊泳が下手でも務まるし、居住空間の余裕もやや大きいなど恵まれた面もあります。
宇宙滞在期間の制限は艦上と同様なので休養者を加えた総人数は2000名ほどいます。
宙軍兵には、地上基地要員や研究所員もいますが、地上員の主力は一般シビリアンの用務員や地軍から出向した警備兵でサイボーグの配置は少数です。
そのほか特殊任務で政府機関や地軍に出向するものもいますが、士官やベテラン下士官が中心で新兵がいきなり回されることは殆どありません。
つまり、総勢約4000名の過半数は現役の宇宙活動要員で、特に新兵は殆どがこれに属することになります。
今日はまだこみ入った技術の話もなかったし、いきなり考課で良いかしらね。じゃ、行くよ。」

素体たち:「うう、いきなりですか...」「これじゃ、また鞭かも、とほほ。」「癖になりそう。」

リホ:「はいそこまで。端末にドクロマークの出た人は拷問室に逝って下さい。昨日好評だったので今日も真理亜部長がいじめてくれるそうです。」
375pinksaturn:2006/06/10(土) 18:04:11 ID:TG82nZbt0
(第5週初日 第1身体訓練室)

マオ:「みんなレオタード似合ってるわよ。」

素体たち:「...(もじもじ)」

マオ:「さて、もう傷口が割れる心配は無いはずなので、今日から関節の自由度を増加させるための基礎訓練に入ります。
ここの訓練マシンは、股関節と足首と背骨の自由度を増加させるためのものです。
既に初心者用に調整済みなので痛いけど怪我をすることはないようになっています。
一応安全のため、ギブアップボタンが付いています。どうしても痛くて我慢できなければ止めても良いです。
但し、この設定で3回連続ギブアップせずに完了できないようだと、到底バレエの訓練は始められません。
来週中にこれをクリアできないと処罰されるのでそのつもりで。では全員台に乗って固定バンドを締めなさい。
締めたね?。では起動ボタンを押しなさい。10分間ひたすら耐えるのです。」

4班の素体たち:「ぎいぃぃやぁぁぁ。痛ぁい...」「もうだめぽ。」「ひぃぃぃぃ。」

マオ:「こら!。1秒で止めるな。すぐ起動よ。」

素体たち:「あぅぅぅぅ。」「鬼、悪魔...」

マオ:「もうちょっとニコニコ楽しそうになさい!。そんな辛そうな表情じゃ、バレエにならないでしょ。」

素体たち:「そんなぁ。痛いんだもん。」

マオ:「すぐ慣れて快感になってくるわよ。明日から一番辛そうな顔の娘をくすぐることにします。」
376pinksaturn:2006/06/10(土) 18:06:48 ID:TG82nZbt0
(第5週5日目 第1身体訓練室)

マオ:「どうやら全員ギブアップしなくなったわね。でわ、床に降りて自力でどこまで行けるか試してみましょうか。まず股割りね。」

素体たち:「痛たたた...あれ、こんなに開くんだ。」

マオ:「どおよ。マシンの効果てきめんでしょ。まだみんな足首の伸び方が綺麗じゃないわね。
足首に注意してもう一回!。お、藻前いいよ、その調子。」

素体たち:「うう。痛い。」「股間にアレがあったら潰れるところだ。」

マオ:「大体良いようね。次回からは第2訓練室を使って、レッスンにはいるわよ。これ http://pinksaturn.fc2web.com/sintaikunren.htm を見て予習しておくこと。」


(第10週初日 第2身体訓練室)

ミキ:「さて、ここまではいわゆる初心者のために入門編だった訳です。
ところで、貴女たちはあと約4年で上級に達しないと改造に間に合わないんだからからね。
特に、ポワントで自由に歩き回れないとたちまち困るので、一寸早いけど今日からとにかく立つ練習に入ります。
とりあえず、足首が伸びなくて、初めからどうにもならない娘は居ないようだけど、結構辛いわよ。
段階毎に歩行可能距離と立っていられる時間のノルマがあってね、達成できないと重い罰則があるから。」
377pinksaturn:2006/06/10(土) 18:09:41 ID:TG82nZbt0
4班8番:「予習資料見たんですが、出来ないと足切断されちゃうんですか?。」

ミキ:「アレはね、ごく稀にいる足首が固くて全く立てないような娘を最終的に合格させるための救済措置なのよ。
能動義足なら足首垂直に伸びるし、そのままいくら歩いても痛くならないから確実に合格するでしょ。
ただ、足切断後のリハビリで落第確実になるので、落第につきあわされる教官としては非常に迷惑なの。
マシントレーニングの様子だと、この班にどうにもならない娘は一人もいないわ。
落ちるとしたら明らかに努力不足だから、毎回ノルマを決めてびしびし行くわよ。
落第の心配なんかしてないで、早期終了休暇を貰うくらいの気持ちで前向きにやりなさい。
それじゃ、全員トゥシューズ履いたかな。ほら、そこの2人、リボンゆるんでるじゃない。引き上げるとき脱げちゃうわよ。」

4班22番:「えい、マンドクセ、こうやって縛っとけば...」

ミキ:「ダメダメ。それかわいくない。もっと女の子らしく綺麗に結びなさい!。出来た?。
よーし。じゃ、一斉に立つのよ。踵じゃなくしっかり足の指で持ち上げて、上がったら甲を前に突き出すのよ。
まず目標5秒ね。はい立って!。甲を出してひたすら我慢!。ドゥ、トロワ、キャトル、サンク。
ふう。全然ダメって訳じゃないけど、みんなレッサーパンダに笑われそうなよろけ方だね。
もっと優雅に、苦しそうな顔しないで...。もう一度よ。あーあ、なんちゅう形相してるの...。」
378pinksaturn:2006/06/10(土) 18:18:00 ID:TG82nZbt0
(第12週2日目 整備実習工場)
エリ:「今日から始まる整備実習の目的はもう判っていますね。
具体的にはやってもらうことは、各自に1体ずつ与えられた空ボディについて周毎に決められた整備課題を実行することです。
それぞれの空ボディは、各自に埋め込まれた素体番号IDタグを認識し他の者が操作できないようになっています。
自分の体だと思って大事に扱うこと。但し、不具合部品の交換は気前よくやること。誤りでない限り交換の制限はしません。
整備中は身体制御CPUへのコマンドが頻繁に必要なので、さぼってうまい人に代わって貰うなんてことはできません。
まあ、怠けて技術が身に付かなかったら将来生活に困る訳ですから真剣にやるしかないけどね。
教え合うことは構いませんが、生半可な人に聞くよりも端末で確認した方が大抵うまく行くものです。
各週の課題を週2回の実習時間にこなせない者は、週末や夜もここを使って良いので追いつくように。
課題が次週に持ち越されたときは鞭打ちの上で、出来るまで継続することになります。
遅れが8週間に達すると半年の落第となります。
また、遅れが累積する間に取りかかれない次の課題分も処罰され、落第前にはすごい量の鞭打ちになるので気を付けるように。
逆に早く課題を達成したときは、次の課題にかかってよく、進みが4週間を超えたら早期達成休暇の資格が得られます。
但し、ここで資格を得ても、座学で処罰回数が基準以上あったり、身体訓練が同様に進んでいないと取得できません。
余裕があるときは得意科目ばかり先走るより、苦手があればその穴埋めをしたほうが得ですね。
379pinksaturn:2006/06/10(土) 18:20:22 ID:TG82nZbt0
今週の課題は、四肢の取り外しと再組立、外装の仕上げです。取り外しが出来たところで、一旦点検を申請して下さい。
点検に合格したら組立にかかり仕上がったら最終点検を申請すること。それでは開始!。」

素体たち:「えと、右肩磁気ロック解放コマンドがこれで...あれ?。びくともしない。」
「バカめ。あいつ外皮切らずにコマンド入れてら。まずさくっと、あーっ、首が破けちゃった。貼り直すの大変だ。とほほ。」
「ぎゃー。滑って手を切っちゃった。痛いよぉ。」

エリ:「怪我したときは医務室に行くこと。外皮に血が付着しているのは汚損だから、完全にクリーニングしない限り不合格よ。」

4班7番:「取り外しできました。点検お願いします。」

エリ:「早いわね。うん、取り外し自体は合格ね。但し、外皮がびりびりだから両側全部貼り替えね。あとが大変よ。
次からは、片側だけ張り替えれば済むようにうまく切ることを憶えなさい。」
380pinksaturn:2006/06/10(土) 18:21:55 ID:TG82nZbt0
(第12週4日目 整備実習工場)

4班7番:「完成しました。点検願います。」

エリ:「この継ぎ目はなんなのよ!。貴女、自分がこんな汚い体になっても平気なの?。これは不合格。
それとも、自分の体にこの継ぎ目と同じ入れ墨でもする?。それでいいなら、合格にするけど。
直す?、あ、そう。じゃ修正材を付けて、継ぎ目が目立たなくなるまで丹念に磨くのよ。」

4班30番:「できました。」

エリ:「見た目は良いわね。ん?ん?。左足がなんか引っかかる感じね。どれ、X線で調べてみようか。
あーあ、やっぱりねえ。ネジかなんか落として気づかなかったでしょ。せっかく綺麗に仕上げてもこりゃダメね。
え、どうして判ったかって?。訓練用の空ボディは教官からリモート出来るように設定されてるのよ。
動かせばすぐ判るんだってば。とにかく不合格。それとも貴女は股関節にネジが咬んだままで平気なのかな?。
サイボーグは痛みに強いけど、だからこそ故障を舐めないように神経研ぎ澄まさないといけないの。
これが生命維持装置ならすぐに命に関わるのよ。足だってこのネジが電源線をショートしたら危ないわ。」

4班18番:「どうでしょう。あまり自信ないんですが?」

エリ:「うーん、継ぎ目は判るけど目立ってはいないね。動きは...良いようね。合格よ。次も慎重にね。
次の課題は端末に送っとくね。あーあ、やっと一人か。先は長いなあ。」
381pinksaturn:2006/06/10(土) 22:06:11 ID:TG82nZbt0
(第17週5日目 射撃場)

マオ:「さあお待ちかねの軍事教練よ。もう聞き飽きたと思うけど、我が軍には実戦経験がありません。
したがって生きた戦陣訓もありません。また、人生の過半を宇宙で過ごす貴女達が地上で撃ち合う機会など殆ど無いでしょう。
人手不足の宙軍で貴重なサイボーグ兵が銃器の手入れをする暇などあるわけないので、手入れの訓練もしません。
ただ、軍隊にいて射撃経験がないのもおかしいから射撃ぐらいはやらせようということです。
訓練中に異常を感じたらすぐに銃を交換すること。予備は十分あります。
正直なところ、これは訓練ではなく日頃のストレスを解消するレクリエーションです。
但し、一応ノルマはあります。1000発撃って3%を標的の致命部、頭か胸に当てることです。
これは、素人がカッとなって殺す気で撃ったら容易に出せる命中率で、これ以下は遊びすぎと言うことです。
まあ、落第には結びつかないので、真理亜部長の鞭が好きな人は遊んでも構いません。」

2班9番:「あのぉー。この靴じゃよろよろして撃ち辛いんですが。軍靴の支給はないんですか?。」

マオ:「仮に貴女達が地上で戦火に巻き込まれるとしたら、休暇中に突然外国が侵攻したときぐらいしかないでしょ。
したがって、遊びに行ってる最中にいきなり撃ち合いに巻き込まれたという想定は、当然です。
以後も軍事教練はすべてミニスカートにピンヒールブーツでやります。これはノルマの一部と思って下さい。
こけて暴発しないよう、反動の小さい銃を用意していますが、しっかり後ろの足を踏ん張って撃つように。
でわ、初め。」

素体たち:「氏ね氏ね氏ね氏ね...」「いてまえ、こんちくしょう」「リエの鬼ーーー。」
「うーーう快感。」「やっぱり怖いよう。」「よろけて当たらないよお。」「頃せー...」
「足痛いなあ。早く終わらないかな。」「頭に連射、ミーンチ!」

マオ:「みんな溜まってるねぇ。弾のおかわりもしていいわよお。」
382pinksaturn:2006/06/10(土) 22:09:45 ID:TG82nZbt0
(第20週初日 第2身体訓練室)

ミキ:「今日から、前期の合格基準である。ポワント自立5分、歩行10mに挑戦して貰います。
3回以内に成功した者は、直ちに前期合格となり本科目について早期修了休暇の資格を得ます。
つまり、今後3週間は他の科目も早期修了なら一時帰省が許されます。
そうでなくても、ビデオを見て自由演技の練習をするもよし、整備実習が遅れているならそれにあててもよしということです。
逆に、あと3週間以内に出来なければ、遅延となり処罰、その後の特訓を経てもなお改善困難な者は足の改造となります。
今までの状態から見て遅延になるような娘はいないと思いますが、いざ本番となると無駄な緊張が邪魔することもあります。
前期の課題は、最終目標から見ればスタート直後の通過点に過ぎません。
そもそも、これはバレエのレッスンなのです。あくまでも優雅に余裕を持ってやることに意義があるのです。
したがって、単に時間と距離を満たしても、あきらかにふらついていたり、表情が苦しすぎるのはノーカウントとします。
では、各自準備運動をして、よしと思ったら手を挙げなさい。申し出順に審査を行います。」

2班1番・ハル:「準備で疲れると不利なんで、いきなりで良いですか?。」

ミキ:「体の固い子なら危ないからやめさせるけど、貴女は大丈夫そうね。じゃ、やってみなさい。」
383pinksaturn:2006/06/10(土) 22:10:57 ID:TG82nZbt0
ハル:「へっへっへ。立ちますよ。ほい。ふふふんふーん....(ちと辛くなってきたがばれないように、もうちょい。行ったか?)」

ミキ:「お、ちと顔が引きつってきた気もするがうまくごまかしてるな、おお5分超えた、やるねえ。うん合格。」

ハル:「ぶっ続けはまだ辛いんで、歩行は一休みしてからで良いですか?。」

ミキ:「今後のことを考えたらダメと言いたいところだけど、基準に決まりがないからね。いいわ。じゃ、その間に他の娘はどうかな?。」

素体たち:「(なるほど先に片方済ませたら有利か。)はい、はい、はい...」

(...4時間後)

ミキ:「3回目の挑戦がまだの娘はいなくなったわね。初日で10人合格か。なかなかやるわね。他の子もその調子で早く私を楽にさせてね。
今日は、なんだかハルの作戦に乗せられて、ちと悔しい気もするが、宇宙では要領のよさも大事だからね。じゃ解散。」
384pinksaturn:2006/06/10(土) 22:20:40 ID:TG82nZbt0
(第22週 教官室)

真理亜:「前期も残り3週になったわね。各班の成績は勿論知ってるけど雰囲気どうかな?。」

マサ:「この先どうしくじっても、怪我か病気しない限り26週を超過しそうなのはいませんよ。私の指導が良いのかな。
早期修了休暇になったのも3人いたんですが、今週までは次に備えて自主トレしてるくらいで、前向きになってますね。」

真理亜:「調子に乗って怪我させないでよ。休めるときにきっちり休ませるのも他の娘の目標になるから効果的よ。」

マオ:「正直1班は当たりですよ。早期になった3人って、射撃の勘も良くて結構いい加減にやって15%近く当ててますから。」

真理亜:「ふーん。まあ、この段階で戦闘は重視しない基本方針だけど、ホントのところ軌道警備に回せそうな娘が多いと先々心強いのよ。
調子良いのなら、後期は重火器とか市街戦やらせてみても良いわね。軽機関銃以外のセンスも見ておきたいからね。機材手配しておいて。」

リエ:「こっちは座学や整備の進捗は良いんですが、身体が5人ほど苦戦してますね。足切るとこまでは行かないでしょうけど。」

真理亜:「偶数班の1年目は仕方ないわよ。やばそうなら早めに矯正靴使っても良いわ。奇数班も下手な奴は同様にね。」

エリ:「こっちも、そうしたいのが何人かいるのでやらせてもらいます。」

マサ:「じゃ、2人やっちゃいます。」

ミキ:「じゃあ、後で私のところによこして下さい。サイズチェックして手配しますので。」
385pinksaturn:2006/06/10(土) 22:21:47 ID:TG82nZbt0
リホ:「うちは、3人ほど整備が苦戦してます。立体的な構造に対する勘が悪くて。」

真理亜:「勘というより要領じゃないの?。我々がスケルトンボディ晒してあげてるのはカンニングさせるためなんだけど見てないんじゃ?。
その3人てちょっと無駄にきまじめな香具師だったでしょ。ショック療法が必要ね。今週末の居残りマサ、リエ、エリにつきあって貰いなさい。
一人ずつやってる前に立ってとことんカンニングさせるのよ。」

マサ:「はあ。週末もこの体晒さなきゃいけないんですか...。」

真理亜:「落第出されると担当以外にもしわ寄せが来るから、今のうちにけりつけた方が得なのよ。
藻前の班の居残り特訓者は、矯正靴にカギかけて放置するだけだから週末暇でしょ。」

マサ:「私、特進のときの猶予科目っていう自分の学習ノルマがあるんですけど。」

真理亜:「藻前の積み残しは座学ばかりだから、立ったままダウンロードで出来るでしょ。ながら族でやりなさい。
私が鞭持ってうろついても良いのだけど、週末にタラたちの様子見に行かなきゃいけないのでできないのよ。頼んだわよ。」
386pinksaturn:2006/06/10(土) 22:31:04 ID:TG82nZbt0
(22週末 障害者福祉公団内・臨時素体養成所)

真理亜:「どう?。ここは一人ずつ条件が違うからみんな大変だろうけど特に困った娘は居るかしら?。」

タラ:「元から女子のBCI既設者が多いですから、逆に短縮で済みそうなのもいて平均的には楽ですよ。
まあ、どうせ工場要員にしかなれないだろうということで、ノルマ自体少ないってのもありますが。
リハビリ的な訓練は公団職員がやってくれるので、私らは整備と宇宙の事だけやればいいですし。」

真理亜:「理美はどうかしら?。」

冬子:「新しい体は良く動くようになりましたね。もう健常者と変わらないです。ただ、視力は今ひとつですね。
事故のとき眼球が焼けてしまっていたので、軸索誘導が不完全でインタフェースの位置決めが悪いんですよ。
人工眼球の方をズームにするとかコストかければカバーできるらしいのですが、将来パイロットになれるかは五分五分だそうです。
子供なので脳の方が順応して自然に良くなる期待もあるようですが。実際、体の順応は早かったですし。
困るのは義務教育が4年生レベルしか済んでないので、整備や宇宙科学の教育に入れないことですね。
実はそのことで朝子10世殿下が、まもなく見えることになっていまして。」

真理亜:「殿下が?。たかが特例素体のためにわざわざお出ましとは想定外だわ。」

朝子10世:「お久しぶりね。一般素体の方は順調かしら。」

真理亜:「人数増えた割にはまあ順調です。しかし、わざわざ特例志願兵のご視察とは意外でした。」
387pinksaturn:2006/06/10(土) 22:32:39 ID:TG82nZbt0
朝子10世:「私が冥王星探検計画の準備をやってるのは知ってるでしょ。往復時間を制限内にするには加速をきつくするしかないの。
そのために、耐g能力の良いサイボーグが欲しいのよ。データ見てたら既に改造済みで推定10歳の子が居るっていうから。」

真理亜:「確かに子供なら動脈硬化が無いから加速圧で卒中起こすリスクは小さいですね。」

朝子10世:「それもだけど、子供のうちにサイボーグ化すると脳と脊髄が小さめになるから保護ジェルの厚みが有利なの。
打ち上げと違って何日も連続するgでじわじわと来るダメージには特にね。じゃ、タラ中尉、その理美って子連れてきて。」

タラ:「はい。」

真理亜:「なるほど。しかし、そういう特殊な者だけで部隊を編成するのは無理なのでは?。特例上がりの士官など滅多にいないし。」

朝子10世:「成人でも個人差があるから、なるべく脳が小ぶりな者を集めるのよ。幸い、私自身が小さめだし、幹部は何とか揃うわ。
ま、念のため出発半年前に頭蓋をばらし徹底的に検査して血管に問題がない者だけ連れていくのだけど。
そこで自分が落ちないかが一番の心配事なんだけどね。そうそう、ついでに言っておくけど冬子伍長も候補者だからね。」

冬子:「私のような障害者がそんな大任にですか?。」

朝子10世:「貴女は脊髄がないから耐gは有利なの。それに初めての場所だから、分析のベテランは必要だしね。」

理美:「失礼します。あ、真理亜様、先日は。おかげさまでこの通り綺麗な体にしていただけました。」

真理亜:「元気そうね。安心したわ。今日は前の任務で私たちの艦長だった皇族の朝子10世殿下が見えていてね。
貴女に興味があると言うことなの。」
388pinksaturn:2006/06/10(土) 22:33:46 ID:TG82nZbt0
理美:「こ、皇族様がですか...は、初めまして理美ともうします。お目にかかれて光栄です。」

朝子10世:「見た目はちゃんとしたサイボーグになっているわね。体の動きも良いようね。」

理美:「おかげさまで。早くお役に立ちたいのですが、中身は小学生ですから宇宙のこととか難しくて...」

朝子10世:「そのことなんだけど、貴女、冥王星に行ってみたくない?。」

理美:「夢のようですね。でも私なんかじゃ...」

朝子10世:「貴女がその気なら、勉強の方は帝国大学付属学習院に行かせるけど、どうする?。」

タラ:「特例の子を学習院にですか?。」

朝子10世:「シビリアンでも皇族推薦があれば入れるわ。公家の執事の子とかで優秀なのが何人かいるでしょ。
あそこなら、病気や怪我で早期改造になった貴族の子もいるからノウハウあるし。
サイボーグの機能を生かせは、基礎教育だって早くできるはずなのよ。
帝大の敷地内だから、勉強の合間にこの子の眼の再改造についても研究して貰えるし。」

理美:「お、お願いします。早く中身の伴ったサイボーグになってお役に立ちたいです。」

朝子10世:「素直ないい子ね。気に入ったわ。じゃ、手続きするから、がんばって私の冥王星探検を手伝えるようになってね。」
389pinksaturn:2006/06/10(土) 23:09:46 ID:TG82nZbt0
(25週初日 冬子の家)

冬子:「貴女が早期修了休暇貰えるなんて、徴兵の方の素体訓練って甘いのね。」

ハル:「甘くは無いけど、優秀なサイボーグの子には楽勝だったね。」

みどり:「おにい、あ、お姉ちゃん何かズルしたんじゃないの。」

ハル:「教官はみんな体内通信で連絡取り合ってるからごまかしなんか効かないよ。
知り合いだから手抜きするなんて事無いし、懲罰の鞭打ち逃げたら1日1割の利息だよ。
そういえば、こっちの教官は遅れている娘の補習とかで休み無しみたいだけどお母さんよく帰れたね。」

冬子:「私ら特例志願の教官は障害者福祉公団っていう軍隊じゃないところに出向中だからね。
任期中の連続勤務規定がぬるいのよ。公団職員の宿直者も居るし、意外と楽だわ。
素体の個人差が大きいから、一人一人の訓練計画作成には手が掛かるけどね。
それは、自分もかつて世話になってる事だから恩返しと思えばしんどくは無いわね。」

ハル:「みどりはうまくいって再来年だね。でも力学が苦手だと落ちる鴨。」

みどり:「大丈夫よ。運動神経はお姉ちゃんに勝ってるし。」

冬子:「力学苦手なの?。私は、おまけだから採用に関係なかったけど、やっぱり軌道計算とか苦手ね。
素体訓練時はどうせ工場勤務になるからって軽減されてたので高校程度だったから助かったわ。
艦に移ってから学んだ部分は無意識に体内CPUを頼るから何処までが自分本来の実力か判らないしね。」

ハル:「無意識にCPU頼れるってのも才能のうちなんじゃないの。私はまだとても無理。」

冬子:「才能ってより、寝たきり時代にBCI頼りの生活があったからよ。
あなたは、まだ4年半あるからそんなに焦らず、今は自前の実力を付ければいいのよ。」

みどり:「お母さん、まるで先生みたいね、ってやってるのか実際。休み中ちょっと指導してね。」
390pinksaturn:2006/06/10(土) 23:11:42 ID:TG82nZbt0
(46週5日目 市街戦訓練場)

マオ:「じゃ、次ササ対ミツね。始め!。」

ササ:「私には勝てないよ。ひひひ、あんたの隠れ方の癖は判ってるって。」

ミツ:「今までわざと同じ隠れ方したのばれてないよね。
さて、この顔憑き棒きれの出番ね。そーっと、ひょいっ...」

ササ:「そこよ。氏ねー!」

ミツ:「かかったね。ザンネンでした。お返しぃーー!。」

ササ:「ぎゃぁぁぁぁ...。何でペイント弾で手が無くなるわけ?...」

マオ:「一体どうしたの、ん、6番カメラで見えるか。何これ、どういう事?。
ミツ、ササ、事故よ。中止、中止!。」

ミツ:「え?。私の勝ちじゃ。ササったら、初めて食らったからって何を大げさな?。」

マオ:「大変だわ、弾帯に実弾が混じってたのよ。みんな、すぐ安全装置かけて。
(体内通信)真理亜部長、事故です、至急救護を...」

ミツ:「えええっ。じ、実弾。私が撃っちゃったの?。あわわわ。ササーっ、死んじゃ嫌−−っ。」
391pinksaturn:2006/06/10(土) 23:14:20 ID:TG82nZbt0
(手術室)

ドクター:「右手首、跡形もないですね。どうしますか?。」

真理亜:「どうって、手首なしじゃこの先の実習は出来ないから選択肢は無いわね。
肩関節で離断して、標準能動義手にするしかないでしょ。あなた、トランスミッタ取り付けの経験は?。」

ドクター:「特区でバイトしてましたので20例ほど。」

真理亜:「じゃ、すぐやって頂戴。マサ、この娘の進捗どうだったっけ?。」

マサ:「今期分は整備実習、身体訓練とも先々週に合格済みです。」

真理亜:「早い娘で良かったわ。断端の安定に3週間として調整急げば次期は大丈夫ね。
ドクター、腕は後で造血ユニットの材料に要るからチルドで部品センターに送っておいて。
マサ、改造手術の参考になるからトランスミッタ付けを見学しておきなさい。」

マサ:「ゲロゲロ。こんなところでスプラッタ見るとは。はあぁ。」

真理亜:「サイボーグがゲロ吐くわけ無いでしょ!。」
392pinksaturn:2006/06/10(土) 23:23:00 ID:TG82nZbt0
(50週3日目 第2身体訓練室)

リエ:「4分30秒、あと少しよ。」

2班17番:「うう、(よろよろ)もうだめぽ。」

リエ:「あーーん、あと少しだったのに。藻前このままじゃやばいよ。今から48時間矯正靴ね。」

(51週最終日 身体訓練準備室)

リエ:「さて、今日は何歩歩いたかな。ん、どれどれ1200歩か。
この靴じゃ一歩が40センチくらいだから1.8`ねえ、だいぶ慣れたな。
足首痛い?。そうでもないか。取りあえずカギ外してあげるわよ。
来週、筋痛で落ちたんじゃ元も子もないしね。ほい、ガチャッと。」

2班17番:「はあぁ。開放感。」

リエ:「足首のばしてごらん。うん、だいぶ真っ直ぐになったな。来週は何とかしてよ。
あと2回落ちたら足チョンパなのよ。そうなったら落第確実でこっちも困るんだから。」
393pinksaturn:2006/06/10(土) 23:24:53 ID:TG82nZbt0
(52週初日 第2身体訓練室)

ミツ:「ササ!。もう大丈夫なの?。」

ササ:「ええ。今日から実技系も再開して良いって。」

ミツ:「そお、でも貴女今期の課題終わってるんでしょ?。」

ササ:「なまってるんで、次期が辛くならないように自主トレ。ミツこそ、課題終わってたじゃないの。」

ミツ:「ササが復帰してないとなんだか休む気しなくて。あのときはゴメンね。」

ササ:「メーカーのミスで弾帯に実弾が混じってたんでしょ。仕方ないわ。幸い落第しなかったし。」

ミツ:「そう言ってくれるときが楽になるわね。次はまともに勝たせて貰うわよ。」

ササ:「そりゃどうかな。永遠に私が勝つ鴨ね。頑丈な腕になったことだし。」
394pinksaturn:2006/06/10(土) 23:36:52 ID:TG82nZbt0
(素体訓練はなおもしつこく続くのですが、長くなりすぎたので大きくタイムワープします。)

(着任から、まる2年経過後の教官室)

真理亜:「我々の任期も後1年になったわね。
人数増えた分やばいのが出るかと思ったけど、どうにかここまで落第でなくてラッキーだったわ。
折角だから、最後に落ちないようにしっかりやるのよ。」

マサ:「初年度でいきなりササが右手首飛ばしたしたときはダメかと思いましたがね。」

マオ:「あのときは済みませんでした。私の監督中に。」

真理亜:「まあ、あれはメーカーのミスだから、我々の責任ではないし。
整備実習の消化が進んだ娘なのが、不幸中の幸いだったわね。
腕はいずれ切るものなんだから1本や2本どうでも良いけど片腕じゃ整備実習できないからねえ。
義手用の断端トランスミッタ手術で休む分遅れて困るところだったけど、余裕があって助かったね。」

ミキ:「頭じゃなくて良かったです。しかし、ペイント弾の帯に実弾が混入なんて前代未聞でしたね。
機銃弾なんてたくさん使う物をいちいちこっちで検査するわけにいかないですからね。
あの後、対戦訓練では頭を狙うなってことにしましたけど、熱中すると守れるはずもないのでちょっと心配でした。」

マサ:「メーカーの責任者はいまごろ刑務所ですかね。」

真理亜:「ササには悪いんだけど、会社側が能動義手代その他全額弁償して和解したので罰金で済んだのよ。」

マサ:「へええ、甘いんですね。」
395pinksaturn:2006/06/10(土) 23:39:31 ID:TG82nZbt0
真理亜:「素体は体の所有権がないから、メーカーの和解相手は国家なのよ。
物騒な時代だから、地軍の装備生産も忙しいし、仕方ないと言うことになってね。」

マサ:「ササも、撃ったミツもケロッとしてますし、そんなに目くじら立てる事じゃない訳ですか。
ササなんか、生身のうちにいっぺん撃たれる経験もしてみるもんだなんて言ってましたし。
ミツも、意気盛んですよ。この調子なら、今年度も軍事教練の内容を遠慮しなくて済みそうですよ。」

真理亜:「あの娘たちは戦闘員向きね。たぶん無事サイボーグになれれば配属先は軌道警備だろうなあ。」

リエ:「軌道警備ですか。増強の噂は聞いてますけど、どうなってるんですか?。」

真理亜:「100式迎撃艇が10機出来ていて、急げば月産2機はいけるけど使える搭乗員が少ないのよ。
実働は2,3機らしいわ。重機と違って、両足が人魚みたいにくっついてる感覚なのが難しいのね。
それに、化学エンジン併用なんでgのきつさとか、燃料残りの計算が複雑だとか色々あって。
性能的には、静止軌道と上層大気すれすれの低軌道を楽に行き来できる筈なのよ。
ただ、燃料残りをミスると最悪は大気圏に落ちて蒸発だから、センスの悪い娘じゃ中軌道以上しか飛べなくて。
ミサイル防衛には低軌道に降りられる娘が2,30人育たないと戦力化できないのにね。」

マサ:「両足ジョイントで繋いで宇宙遊泳とかやってみりゃ良いのに。」

真理亜:「バカ、と言いたいけど、この際それも手かもね。
貴女達もここを終えたら回されるかも知れないから、空き時間にシミュレーションやるのよ。
それじゃ、私は王宮に呼ばれてるから、今日は貴女達で処罰当番もしっかりやるのよ。」

(素体訓練の途中ですが、イベントが割り込むことになりました。
次回予告(18)バレエパレード)
396名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 10:57:32 ID:Z//qVT+p0
激しく乙!
3973の444:2006/06/12(月) 02:52:38 ID:uEKSaPyY0
  タマちゃんは何の説明もなしに、 私の手を引いて廊下をずんずん先に進む。 あわてた私は早足でタマち
ゃんを追い抜いて、 前に回り込んで両手を広げてタマちゃんを押しとめた。
「ちょ、 ちょっと、 ストップ。 タマちゃん。 友達っていったい誰なのさ?」
  いきなり友達から電話、 なんて言われても、 心の準備もないのに出れるわけがない。 いったい誰が電
話をかけてきたのか? 私がこの病院に入院していることはみんなには内緒のはずなのに、 なんで私の電
話番号を知っているのか? 聞きたいことは山ほどある。
「ごめんなさい。 早く電話をつながなきゃって思って、 私あわててた」
  廊下の真ん中で私に通せんぼされたタマちゃんは、 ばつが悪そうにペロっと舌を出した。
「上田まりこさんだって。 八木橋さんの友達って言ってるけど、 もちろん八木橋さんも知ってる子だよね?」
「うえだ・・・まりこ・・・」
  私は小さな声で電話の主の名前を繰り返す。 そして、 タマちゃんを押しとめるために上げた手を下ろす
のも忘れてその場に立ち尽くした。
  上田丸子。 うえだまりこ。 まりこ。 まりちゃん!
  私も知ってる子だって? そう、 知らないはずがない。 それどころか、 まりちゃんこそ、 私がいちばん話
をしたかった、 私が無事に生きているってことを伝えたかった友達だ。 私は、 いったい何度まりちゃんに電
話をかけようとしただろう。 そのたびに怖くなって、 電話をかけるのをあきらめてしまって・・・まさか、 そのま
りちゃんのほうから電話がかかってくるなんて思いもしなかった。
  彼女の名前は上田丸子。 丸子って書いて読み方はまりこ。 だから、 私はいっつもまりちゃんって読んで
いた。 彼女とは一年のときからクラスも一緒、 おまけに部活も一緒で実力も同じくらい。 私たちは、 お互い
認めるよき友であり、 よきライバル。 私が補欠とはいえ選手に選ばれて、 彼女が落選したとき、 そういえ
ばまりちゃん悔しがってわんわん泣いたっけ。 次は絶対負けないからって、 私を睨みつけてたっけ。 そのく
せ、 帰り道はそのことをすっかり忘れたみたいな笑顔で、 一緒にたこ焼きを食べたんだよね。
3983の444:2006/06/12(月) 02:53:19 ID:uEKSaPyY0
(あれからもう三ヶ月か――)
  私は、 彼女の名前どおりのまんまるの顔と、 まるでカブについている葉っぱみたいな彼女のヘアスタイ
ルと、 いかにも負けん気の強そうなへの字口を思い浮かべた。
  きっと、 彼女は今でも私の知ってる三ヶ月前のまりちゃんのままだろう。 でも、 私は、 もうまりちゃんの
知ってる私じゃない。 部活の練習が終わったあとも、 しつこくまりちゃんと一緒にトラックを走っていた私も、
くたくたになって運動場のへりの土手に寝転んで、 草の匂いを嗅ぎながら並んで星空を見上げていた私も、
もうこの世にはいない。 今の私は、 まりちゃんの知ってる私とは別の、 私によく似た機械仕掛けの人形に
すぎない。
  私の部活は陸上部。 たいした才能があるわけじゃないけど、 私は昔から走るのが好きだった。 練習は
もちろんつらいけど、 練習することで、 自己ベストが更新されていくのが嬉しくてたまらなかった。 だからか
なあ、 私は脳みそだけが自分自身だなんて思っちゃいない。 私の身体だって、 大切な私の一部分なんだ
よ。 そして、 そう思っているのはまりちゃんだってきっと同じ。 まりちゃんにとっての私は、 私の身体もひっく
るめての私なんだ。 私たち、 互いに勝つことを目標に、 お互いを意識しまくりながらここまでやってきたんだ
もんね。
  だから、 私が義体だってことがまりちゃんにばれて、 「次は私に勝つ」っていうまりちゃんの望みはもう永
遠にかなわないってことを知ってしまったら、 まりちゃんはどう思うだろう。 もちろん、 悲しみはするだろう。
でも、 それよりもっと恐ろしいこと。 まりちゃんにとっての私って、 肉体あっての私じゃないだろうか? だとし
たら、 もし、 私にそれが欠けてしまったってまりちゃんが知ってしまったとしたら、 まりちゃんは私のことを人
間として見れなくなるんじゃないだろうか? それが怖くて、 私は、 まりちゃんと話がしたくても、 話すことがで
きなかったんだ。
「あ、 あの・・・タマちゃん」
「なーに?」
「私の声、 変じゃないよね。 電話で話しても、 電気合成の声だってばれないよね」
3993の444:2006/06/12(月) 02:54:28 ID:uEKSaPyY0
  私にとって何より怖いのは、 まりちゃんと電話で話して、 私の声が自分の肉声ではないって気づかれて
しまうこと。 私自身の聴く、 自分の声は、 一応昔のまま。 でも、 声帯を震わせて発生する肉声と違ってスピ
ーカーから発声される電気合成音にはどうしても違和感を覚えてしまう。 口も、 発声に連動して無意識に動
く仕組みになっているけれど、 やろうと思えば全く口を動かさなくても発声することができるなんて、 そんなの
ヘンだよ。 私の声が、 他の人にはどう聞こえているか分からないから、 なおのこと気になってしかたがな
い。
「八木橋さんの声は、 寸分の狂いなく昔と同じトーンになるように調整されています。 イソジマ電工の義体は
顧客の皆様にご満足していただける水準に達しているかと思いますので、 どうかご安心ください」
  タマちゃんは 馬鹿丁寧にそう言うと、 うやうやしく芝居がかった調子で私に頭を下げる。 そして、 すぐに
いつもの優秀ケアサポーターの顔つきに戻って言葉を続けた。
「こう言ったら義体を開発している人に悪いかもしれないけど、 外見をそっくり真似た義体を作ることは簡単
なことなんです。 でもね、 どんなに外見や声が昔の姿そっくりだったとしても、 中身のあなたが変わってしま
ったら何の意味もないの。 さて、 あなたの心は昔の八木橋のままの八木橋裕子さんかしら? それとも別の
人になっちゃった? 他の人がどう見るか、 どう判断するかじゃない。 あなた自身はどう思ってる?」
「わ、 私は、 私です。 八木橋裕子です」
「よろしい」
  タマちゃんは、 正解を言い当てた生徒を見る先生みたいに満足そうにうなずいた。
「だから、 変に緊張しないで、 いつものように話せばいいと思いまーす。 声の調子はいくらでも電気合成で
再現できるけど、 あなたの口癖までは、 どんな機械だって再現できないんだからね。 あなたのケアサポー
ターとして私があなたに言いたいのはそれだけでーす」
  そう。 タマちゃんの言うことはいつも正しいよ。 義体なんてしょせんただの道具。 この義体を動かしてい
るのは、 他でもない私自身なんだ。 イソジマ電工の技術を信じて、 私自身を信じれば、 まるちゃんと話すこ
となんてカンタンにできるはずだよね。 
4003の444:2006/06/12(月) 02:56:15 ID:+UClKKZ70
「勇気を出して、 頑張れ女の子!」
  タマちゃんは、 私の背中をバシっと力強くたたいて私を後押し。
  うー、 何か、 うまくタマちゃんにまるめこまれているような気がする。 でも、 頑張らなくっちゃ。 頑張らなく
っちゃ。
  私はタマちゃんの後ろをのろのろ歩きながら、 ずーっと自分にそう言い聞かせ続けた。
4013の444:2006/06/12(月) 02:59:46 ID:+UClKKZ70
今回はいまいちお話が進みませんでした。申し訳ないです。

リハビリ編後半から高校編は、展開上かなり鬱で悲惨な話になりそうですが、
たまにはお気楽なエピソードも交えていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
402名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 18:49:15 ID:0pLEeHfv0
毎度乙です。

ヤギーが悲しい想いをする話になりそうですね…悲しい一方で、読んでみたくてたまりません。
覚悟して読ませていただきます。
403名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 22:33:17 ID:UsYTeL1x0
まりちゃん…東急グループでつね
404無名:2006/06/17(土) 19:23:16 ID:9pIRwGzC0
めぐり合い 後編

【3】
 それからというもの、僕はいつもの二倍リハビリをする事にした。始めは立つことも出来なかったけど、時間が経つにつれて歩けるようになった。そしてついに少しだけどバーを持たないで歩けるようになったのだ。
 「庄野君、やっと歩けるようになったな」
 宮木先生も僕が歩けるようになったのを喜んでくれた。
 「ありがとうございます、これでカオリさんとの約束が果たせます」
 僕はカオリさんの名前をおもわず言ってしまった。
 「カオリさんって君のガールフレンドかい?」
 「え…ま、まあ、そんなところです」
 「そうかそうか、庄野くんも隅には置けないなぁ。いつの間にかこんな友達を作ってたなんて」
 宮木先生はちょっと、いや、すごく羨ましがっていた。
 「庄野君、もう少しがんばって早くカオリさんに会いに行くんだ。だから明日は別の練習をしよう」
 「は、はい」
 宮木先生は僕を車椅子へ運んでくれた。
 「さあ、早く部屋へ戻ろうか」
 宮木先生は僕を乗せた車椅子を押した。カオリさんの事もあるけど、僕が歩けるように努力できたのも宮木先生のおかげだ。僕はそんな宮木先生を見直した。
405無名:2006/06/17(土) 19:24:34 ID:9pIRwGzC0
部屋に戻り、ノートパソコンでブログにアクセスした僕は、カオリさんに歩けるようになったという報告をした。しかし、返ってきた返事は意外なことが書かれてあった。
 『まさる君、歩けるようになったのね、おめでとう。私もまさる君が歩けるようになって嬉しいです。でもこちらに来るにはもう少し待ってほしいんです。今の私は手術をしなければいけない状態なのです。
いつになるかは分かりませんが、私が元気になったらこちらからメールを送ります。それまで待っててください。最後になりましたが、私の家がある地図のデータを送ります。約束だもんね。それではまさる君の回復を祈ります。
それではお元気で』
 それからその後にカオリさんの家までの地図のデータが送られてきた。この地図は、静岡県のある町の地図だった。
 「ここにカオリさんの家があるのか…。本当だったらすぐにでも飛んで行きたいけど、カオリさんにも事情があるだろうし…」
 僕はカオリさんの事が心配だった。おそらくカオリさんは大きな手術をするんだろう。だったらなおさら逢って元気付けてあげたい。でも…。
 「だめだ、こんなことしたらカオリさんに迷惑がかかってしまう。メールが来るまで待たなくっちゃ」
 僕はノートパソコンの電源を切って静かに閉めた。でもやっぱりあの事が気になってしょうがない。僕を励ましてくれたカオリさんが手術を受けるんだ。一目あって励ましてあげれば、きっとカオリさんも元気になるに違いないんだ。
カオリさんの手術のことを思いながら、僕はベッドに横になった。
406無名:2006/06/17(土) 19:25:35 ID:9pIRwGzC0
【4】
 それからは毎日のように歩く練習を繰り返した。早く歩けるようになってカオリさんを元気付けるために、僕は必死になってリハビリに挑んだ。
 そして1週間後、何とか早歩きくらいに歩けるまでに回復した僕は、宮木先生にあるお願いをした。
 「宮木先生、僕をカオリさんのいる静岡まで連れて行ってください」
 「何だ庄野君、そんなに頭を下げちゃって」
 「僕はどうしても彼女の側へ行かなくちゃいけないんです!だから先生、カオリさんの家まで連れてってください、お願いします!」
 宮木先生は困った顔をして僕を見ていた。それもそうだ、急にそんなこと言われたら誰だって困るはずだから。
 「とはいっても…」
 「どうしたんだ、そんなに困った顔して」
 どこかで見た医師が僕の病室へ入ってきた。
 「あ、神無月先輩。どうしたんですか、こんな所に来て」
 「一応私も庄野君を担当しているんでね、様子を見に来たんだ」
 神無月先生は僕の友達と一緒に住んでいる先生で、義体科の担当医をしている。僕を新しい身体に移植手術をしたのも神無月先生だ。
 「どうしたんだ、身体の様子はどうだい」
 「はい、身体の様子はすごくいいです。それより神無月先生、僕をカオリさんの家まで連れて行ってくれませんか?」
 カオリさんの名前を聞いたとたん、神無月先生に顔色が変わった。
407無名:2006/06/17(土) 19:36:35 ID:9pIRwGzC0
「…そのカオリさんと会ってどうするつもりだい?」
 「カオリさんは僕にとって大切な友達なんです。この前メールをしたら、彼女は近いうちに手術をするらしいんです。だから僕はカオリさんに逢って元気付けてあげたいんです。
そうすればきっと彼女も元気になってくれるはずなんです」
 神無月先生はしばらく考えて結論を出した。
 「分かった、カオリさんの家まで連れていってあげよう。ただし、何があっても驚かないこと。それと彼女を見ても悪い事は言わないこと。それを守ってほしいんだ」
 そんな事、あるはずが無い。僕は神無月先生の顔を見て決心した。
 「分かりました、カオリさんにどんな事があっても僕は驚きません」
 「よし、では明日の朝に出発しよう。明日は早いから今日は早く寝るんだぞ」
 そう言うと神無月先生は病室から出て行った。
 「よかったなあまさる君、これでカオリちゃんのお見舞いにいけるぞ」
ほっと胸をなで下ろす宮木先生。これでカオリさんの所へいける。僕は興奮しながら布団の中へ滑り込んだ。
408無名:2006/06/17(土) 19:38:37 ID:9pIRwGzC0
【5】
 「カオリ、決心はついたかね」
 病院の医務ベッドに寝かされた私を見て、お父さんがつぶやいた。
 「はい、私、手術をする決心がつきました。これで他のみんなが救えるのなら…」
 今回の手術は生体部品のテストを兼ねたもので、成功する確率は五分と五分。つまり成功するか失敗するかの二つに一つしかない、きわめてシビアな手術なのだ。
 「お前にもずいぶんと迷惑をかけてきたな…。お前の苦しい顔を見るたびに私は断腸の思いをしてきた。今回の手術をお前が受けると決めたとき、私はとても心配で不安だった。
もし失敗でもしたらお前はどうなるか分からない。それが怖くて昨日も眠れなかったよ」
 「お父さん、心配しないで。きっと手術は成功するわ。だって手術するのはお父さんだもの」
 お父さんは不安そうな顔で私の顔を見つめた。
 「何でそんな顔するの?ちゃんと自信を持たなくちゃ、手術なんてできないわよ」
 「そうか…、お前は手術が怖いのを隠してまで、私の事を励ましてくれるんだな」
 お父さんのいう通りだ…本当は私だって手術が怖い。でも期待に応えたいから、お父さんを信じてるから私は手術を決意したの。だからお願い、そんな自信のない顔を見せないで。
いつものお父さんでいて。
 「怖いわけないじゃない。私はお父さんを信頼してるの。お父さんは世界一の義体医師だもの、手術は成功するって私は信じてるよ」
 「そうだったな、お前が信じてるのなら、必ず手術を成功させるよ」
 お父さんは私の手を握りしめた。あったかく力強い手…。それだけでお父さんから勇気をもらった気がする、ううん、もらったの。
409無名:2006/06/17(土) 19:39:55 ID:9pIRwGzC0
「じゃ、お父さんは明日の手術の打ち合わせがあるから、もう行くよ」
 お父さんは手術の準備のため、病室を出て行った。ほっとした私は、なぜかまさる君の事を思い出していた。ブログで偶然知り合ったメール友達のまさる君。
この前あんな事書いてしまったけど、心配してないだろうか…。
 「…こんな姿、まさる君が見たらどう思うんだろう。怖いと言うんだろうか。それとも…」
 私がまさる君をここに来てほしくないと書いたのには理由があった。一つは手術の内容を知られたくないこと。そしてもう一つは私の身体を見られたくないこと。
こんな冷たい身体をまさる君の見られてしまったら、きっと嫌いになるだろうな。それが怖くて仕方なかった。
 「この手術が終わったらまさる君に謝らないと。あんな事書き込んじゃったものね」
 手術まで後一日。私は静かに横になり、目を閉じた。
410無名:2006/06/17(土) 19:40:36 ID:9pIRwGzC0
6】
 次の日。ついに手術の日がやってきた。
 …私はどきどきしていた。もしこの手術で義体研究の新しい一歩をふみだすと思うと、興奮と不安でいっぱいになってくる。それだけこの手術は画期的なものなのだ。
その実験台に私がなるのだから、そんな気持ちになるのは仕方ない事だと思う。
 …どうしたんだろう、急に身体が震えてしまった。やっぱり手術が怖いのだろうか。それとも…。
 「手術が怖いのなら、やめてもいいんだよ」
 お父さんが私の病室へ入ってきた。心配するのもムリはない、一番辛いのはお父さんなんだから。
 「ううん、私は大丈夫。それよりお父さんは手術の準備をしなくていいの?」
  「実は手術用の臓器が届くのが少し遅くなるらしいんだ。だから手術は午後になったんだよ」
 私は胸を撫で下ろした。でも何でこんなにホッとしてるんだろう?
 「すまんがカオリ、もう少し休んでいてくれないか?私は手術の細かい設定をしなくてはいけないから」
 お父さんはそう言うと、病室から去っていった。
 …本当はまだ手術するのが怖いと思ってるのかもしれない。でも決めたんだからそんなことで手術を先延ばしなんてしたくない。勇気を持たなくちゃ。
まさる君だってリハビリがんばってるもの。私が弱音を吐いてどうするの?とにかくがんばらないと…。
411無名:2006/06/17(土) 19:47:35 ID:9pIRwGzC0
それから数時間後。お父さんから臓器が到着したという連絡がはいった。いよいよ臓器を移植する手術が始まるのだ。私は勇気を持って手術に挑む事を決意した。
 私が手術室に運ぶ時間が30分後に近づいたそのとき、私に会いたいという人が面接に来たという連絡がはいった。
 「カオリさんに逢いたいという方が面接に来ています」
 一体誰だろう…。こんな手術の直前に面接なんて…。私はどきどきしながら入り口のドアを見ていた。
 「すいません、和知カオリさんの病室はここですか?」
 中にはいってきたのは神無月さんともう一人…10歳くらいの男の子だった。
 「神無月のおじ様…、この子は?」
 「この子は君のメール友達の庄野まさる君だ」
 この子を見て私はビックリした。まさかこんなに小さいなんて思っていなかったのだから。
 「…どうしてここに来たの?」
 「僕はカオリさんが心配でここまで来たんだ。でもビックリしたよ、カオリさんがサイボーグだったなんて」
 まさる君は私の身体を見て答えた。
 「そうなの…私は機械の身体なのよ」
 まさる君は黙って私を見つめている。それもそうだよね、今まで自分がサイボーグだなんて書いた事なかったんだから。
 「黙っててごめんね…。私はこの通り機械の身体なの。まさる君は私の身体を見てどう思うのかしら?
もし自分がこんな身体だったらきっと嫌がるでしょうね」
 「そんな事無いさ!かおりさんの言ってることは僕にはよくわかる。だって僕はカオリさんと同じサイボーグだから」
 まさる君がサイボーグ…?そんなまさか!
412無名:2006/06/17(土) 19:48:23 ID:9pIRwGzC0
「おじ様、まさる君がサイボーグというのは本当なの?」
 「ああ、私は彼の担当医だからね、彼の言っている事はすべて本当だ」
 神無月のおじ様は頷きながら答えた。…まさる君がメールで書いてあったリハビリというのは、義体のリハビリだったのだ。私はまさる君がどんなに辛い立場なのかを解らずにメールを送っていた。それなのに私は…。
 「ごめんねまさる君、私はまさる君にはこんな身体を見せたくなかったからあんなメールを書いてしまったの。それにこの手術は成功するかどうか分からないから、このまま黙っていようと思ったの」
 私の話を聞いたまさる君は、怒りながら私に対して言い放った。
 「成功するかどうかなんて、やってみなくちゃ分かんないだろ!僕だってカオリさんが励ましてくれたからここまで歩けるようになったんだ!それなのにカオリさんはずるいよ!これじゃ逃げてるのと同じだよ…」
 その通りだ。私はこの手術に対してどこかに恐怖心があった。失敗したら死ぬという恐怖心が…。でもまさる君だって辛いのにリハビリをして歩けるようになったんだから、私だけ逃げるわけにはいかない。
…私は恐怖という蟠りを捨てた。
 「…分かったわまさる君。私、手術する。だから応援して、私がまさる君を応援したように」
 「…うん、分かった。カオリさんも早くよくなってね」
 こうして私は手術を受ける決意をした。たとえ失敗しても悔いは無い。ううん、絶対成功する。だってまさる君が応援しているもの。私もがんばらないと。
 手術室に運ばれていく私をまさる君は入り口まで見送ってくれた。そして一大プロジェクトである大手術が始まった…。
413無名:2006/06/17(土) 19:49:18 ID:9pIRwGzC0
【7】
 僕は心配だった。もう数時間経ってるのに、まだ手術中のライトが消えないのでとても心配なのだ。もしかしたら手術が上手くいってないのかもしれない…。そう思うと僕はつい祈ってしまうのだった。
 『お願いします…どうかカオリさんの手術を成功させてください…。僕だって最初は歩けなかったのに歩く事が出来るようになったんです。だからお願いします、カオリさんの手術を成功させてください…』
 僕は手術中カオリさんの手術の成功を祈った。それから数時間後。手術中のライトが消えた。…手術は成功したんだろうか…。僕はどきどきしながら手術室のドアが開くのを待った。
 重々しくドアが開いていく。そこからカオリさんのお父さんが出てきて、僕達に手術の結果を教えた。
 「手術は成功だよ。だが今は動かせない状態だから逢うことは出来ないけどね」
 手術は成功したのだ。よかった、本当によかった。
 「これも君が励ましてくれたおかげだよ。君の祈りがカオリに届いたのかも知れないね」
 「カオリさんが頑張ったからですよ、僕はただカオリさんに元気になって欲しいから逢いにきたんですから」
 本当は心から嬉しくてしょうがないんだけど、僕はそれをこらえた。恥ずかしいからね。
 「いつごろお見舞いできるようになるんですか?」
 「まだ様子を見ないと分からない状態だからね、お見舞いができるようになったら連絡するよ。それまでは待っててくれないかな」
 すぐには逢えないって事くらいは分かってたことだ。僕は逢いたい気持ちをこらえて返事した。
 「分かりました。お見舞いが出来るようになったら連絡してください。すぐにでも駆けつけますから」
 うわあ、こんな事言っちゃったよ。顔から火が吹き出そうだよ。まいったね。 
 というわけで僕と神無月先生はカオリさんのお父さんにお礼を言って病院を後にした。カオリさんの手術後の状態が心配だけど、
長い間ここに居るわけにはいかなかったから僕達は帰る事にしたのだ。
 帰り道、神無月先生が僕に話しかけた。
 「まさる君、カオリさんに逢えて嬉しかったかい?」
 もちろん僕はこう答えた。
 「はい、嬉しかったです」
414無名:2006/06/17(土) 20:00:08 ID:9pIRwGzC0
 【8】
 それから1週間が過ぎた。昨日退院した僕は自分の家に戻ってカオリさんのお父さんからの連絡を待っていた。もう1週間も経ってるのに連絡が来ないのだ。
僕はそのことで痺れを切らし始めていた。
 「まさるくーん、退院祝いに遊びに来たよー」
 ドアの向こうから声が聞こえた。友達のかなの声だ。
 「どうぞ、入って」
 僕はドアを開けるとかなと和真、そして祐喜ちゃんが入ってきた。
 「まさる君、退院おめでとー!」
 「これで二学期からは一緒に学校行けるな」
 みんなしばらく僕に逢えなかったから、いつもより大騒ぎしている。でも僕の気持ちはここじゃなくて、もっと別の場所にあった。
 「どうしたのまさる君、気分でも悪いの?」
 祐喜ちゃんが僕の顔を覗き込んだ。
 「いや、なんでもないよ…大丈夫さ」
 だめだ、こんなに盛り上がってるのに僕だけ暗くなっては。僕は気分を入れ替えようとしてゲームをやろうと言い出した。
 「それじゃ何やろうか?」
 「かなはバクバクアニマルキッズやりたーい」
 「ここにあるわけねーだろう」
 そのときだった、机にあった僕の携帯から着信メロディが流れてきた。
 「ちょっとごめんね」
 僕は机の携帯をとって電波が入りやすいベランダに出た。
 『おお、まさる君かい。私だ、和知だよ』
 受信元はカオリさんのお父さんだった。
 「カオリさんのお父さんですか、どうしたんです?」
 『カオリからまさる君に話したいことがあるそうだ。まだ動けない状態だけど、ぜひ話したいと』
 そう言ってカオリさんのお父さんは、カオリさんに電話を代わってあげた。
 『こんにちはまさる君、カオリです』
 カオリさんの声だ。僕はカオリさんの声を聞いたのが懐かしく感じた。
415無名:2006/06/17(土) 20:01:16 ID:9pIRwGzC0
「カオリさん、術後は大丈夫ですか?」
 『うん、大丈夫。少しずつだけど何とかしゃべるくらいに回復したわ。これもまさる君のお陰ね』
 よかった、順調に回復してるようだ。続けてカオリさんはこんな事を言ってくれた。
 『ありがとう、まさる君。あの時お見舞いに来てくれて。正直言うとね、私まさる君が来てくれるのを期待してなかった。
あんな事言っちゃったからこないだろうな、って思ってた。でもまさる君が私に所へ来てくれて元気付けてくれた。そのお陰で私は手術に耐えることが出来たの。だからまさる君には感謝してるの』
 そうか、本当はカオリさん、来てほしかったんだ。だから地図を送ってきたんだね。
 「いつ来られるかは分からないけど、絶対カオリさんのお見舞いに行きますから。それまでお体、大事にしてください」
 『まさる君』
 「なんです?」
 『私の身体が回復したら、遊園地にでも遊びに行きましょう』
 ゆ、遊園地―――――?!どういうことだよ、カオリさん。
 「は、はい。い、いきましょう」
 『じゃ、約束ね。今度お見舞いに来るときはどこに行くか考えましょう。それじゃ、またね』
 なんと、カオリさんから遊園地に行く約束をしてしまった。どうしよう。
416無名:2006/06/17(土) 20:01:52 ID:9pIRwGzC0
「おい、誰からの電話だ?」
 「ひょっとして、知り合い…?」
 ベランダの入り口で和真とかながニヤニヤしながら覗いていた。
 「い、いや、前の学校の先生だよ。僕の事心配してくれるんだ」
 「いや〜、それはどうかな〜?お見舞いに行くとか言ってたみたいだからな〜」
 「ど、どうでもいいじゃんか。お前らには関係ないって」
 僕は話をそらすため、別の話題に目を向けさせようとした。
 「ほら、ゲームやりたいんだろ。最新のゲームソフト買ってくれたからそれやろう」 
 僕はゲームを取りに行こうとした。しかしその途中で祐喜ちゃんがウルウル視線で僕の目をじっと見ていることに気がついた。
 「まさる君…デートとかじゃないのね?」
 うわあ、祐喜ちゃんまで僕の事を疑ってるよ…。
 「ほ、ほんとだよ。別にそんなんじゃないから」
 「本当ね?もしそんなことしたら駄目なんだから」
 困ったな…。こんな事になるんだったら約束なんかしなければよかったな…。僕はものすごく後悔をしていた…。 
  おわり
417無名:2006/06/17(土) 20:19:36 ID:9pIRwGzC0
皆さんこんにちは、無名です。「めぐり合い」の後編をお送りしました。
前編からかなり時間がたってしまいましたが、何とか後編を書ききることができました。
これからも不定期ではありますが「かなちゃんシリーズ」をこの板に載せていきますので
よろしくお願いします。
さて次回からは「2学期編」がスタートします。夏休みが終わって久しぶりに登校してきた
かなちゃんたちは、ある担当を任せられますが・・・。それは次回のお楽しみです。
>>3の444さん
ついに今まで空白だった高校生編が始まりましたね。でもこれを見る限りでは、悲劇になる予感が・・・。
それでもヤギーさんにはがんばってほしいです。
>>pinksaturnさん
軍事訓練の話はこの物語ではありそうな気がしたんですが、少し毛色が変わってるような気がしますね。
素体教官になるにはスケルトンにしないとだめだとか、性的転換をしないとサイボーグになれないとかという
説明に興味を惹かれてしまいます。あと、素体の説明とかがけっこう詳しいので、私も驚いています。
418名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 14:25:34 ID:ZWtWdMsA0
無名さん、お久しぶりです。
今回の「めぐり合い」はまさる君とかおりさん、両方の目線でかかれていますね。
まさる君のリハビリをかおりさんが励まし、かおりさんが手術を受けるときに不安になったときも
まさる君が大丈夫だって言ってあげたり。持ちつ持たれつの関係をうまく描いています。
最後にかおりさんがまさる君に「元気になったら遊園地に誘う」というのも、かおりさんがまさる君にお礼がしたい
からなんでしょうね。でもそれを祐喜ちゃんが勘違いしてしまったので、これからの展開が少し見えなくなったかも・・・。
次回も楽しみに待っています。がんばってください。
419manplus:2006/06/18(日) 18:24:31 ID:z317jPxx0
 杏奈はその日、夢を見た。大好きな片桐の書斎に飾られるセックスドールとして、一生を送る自分がそこにいた。
動くことが出来ない代わりに、片桐の愛情を一身に受けることの出来る存在になっていた。
そして、片桐のセックスシンボルを受け止めようとした時に、アクティブパートの知らせが身体中を駆けめぐり、
夢から醒めたのであった。
 杏奈は昨日のことを思い出して、久しぶりに感じた性的快感、そして、
何度も訪れたオーガニズムの絶頂に気を失う程の快感を覚えた瞬間を思い出して、充実感にひたっていた。
 杏奈は、自分が、片桐にだけ愛されるような仕打ちを受けたことを後悔していない自分がいることに気が付いた。
しかし、絶頂で気を失いかけると意識を戻すように体内のコンピューターに制御されたのには、困ったことであった。
その瞬間、自分が、スペースフィットスーツを脱いだ姿での状態は、性処理のための人形でしかない現実を
噛みしめないといけなかったのである。
一方、そのような制御装置が搭載されているからこそ、いつ果てるともしれない性的絶頂を可能な限り持続できる
自分を幸せに思えたのであった。
 杏奈はスペースフィットスーツ装着者専用調整ベッドの脇にある拘束ベルトリリースボタンを押して、
杏奈の身体の拘束を解き、スペースフィットスーツ装着者専用調整ベッドから起きあがった。
そして、キッチンへ行って、片桐の朝食の準備をした。準備だけをして、調理は片桐の朝のお世話を
終えてからでも間に合う状態にすることから、片桐の生活パートナーとして、秘書としての一日が始まるのであった。
 杏奈は、片桐の寝室に移動して、ベットで寝ている片桐を起こした。
「伸二さん。時間です。そろそろ起きませんと、会社に間に合いません。」
杏奈がそう声をかけると、片桐は、嬉しそうな表情で起きあがった。

420manplus:2006/06/18(日) 18:25:41 ID:z317jPxx0
「杏奈、ありがとう。杏奈が声をかけてくれる朝は最高だ。」
私がそう言うと、杏奈は、
「嬉しいです。伸二さん。それではサニタリースペースに移動してください。」
杏奈はそう言うと、起きあがった私の手を引いて、サニタリースペースに私を誘導していった。
 まず。私の肛門のアタッチメントバルブに洗腸機を取りつけた。
私の腸内に残る汚物を全て排泄する作業が終わると、尿道のバルブに排尿チューブを接続し、
私の膀胱内の残留液を全て空にしてくれた。そして、バスルームに私を連れて行って、
私の身体の隅々まで洗ってくれて、少し熱めのお湯をはってあるバスタブに私を導き入れてくれた。
私の身体を温めながら、シェーバーで、私の顔を丁寧に剃ってくれた。そこまでが終わると、杏奈は、
歯ブラシに歯磨き粉をつけたものと水の入ったコップを持ってきてくれて、バスタブ内の私に手渡した。
私は、歯をその場で磨いて、口を濯ぎ、杏奈に空のコップと使用済みの歯ブラシを渡して、再び顔をお湯で洗った。
湯船から私が出るのを見計らって、杏奈は、バスタオルを持ってきてくれて、私の身体をくま無く丁寧に拭いてくれ、
傍らにあるバスローブを私に着せてくれた。
「伸二さん。リビングの室温は適温になっています。朝食までおくつろぎください。」
杏奈に言われるままに、私は、リビングに移動し、用意されている朝刊に目を通していると、杏奈から、
「伸二さん、朝食の準備が出来ましたのでこちらにおいでください。」
という声が聞こえた。私は、その声に誘われてダイニングテーブルに座った。テーブルのうえには、
私の好きな堅焼きになっている目玉焼きとベーコン、トースト、サラダ、紅茶が並んでいた。
そして、向かいの杏奈が座れるような特注の専用椅子に、杏奈が座っていて、
「どうぞお召し上がりください。朝のお料理は、味加減がビジュアルで分かりますから、
私が作っても大丈夫なものになっているはずです。ご安心ください。
せめて、味が分かるようなセンサーが付いていればいいのにと思うのですが、私にとってそれは適わないことなので、
味が分からなくて申し訳ありません。」
421manplus:2006/06/18(日) 18:27:13 ID:z317jPxx0
杏奈は、そのように謝罪するが、スペースフィットスーツを着るためそして、私のセックスドールとして
作りかえられた身体の杏奈にそのような機能をつける必要はないので、杏奈があやまる必要は何もないのだが、
私というご主人への忠誠心から出ている言葉なので、私は、杏奈に対して愛おしさの感情が芽生えてしまうのであった。
「杏奈、気にするな。」
私は、そう言う言葉しか杏奈にかける言葉が見つからなかった。
「伸二さん、ありがとうございます。でも、私は、伸二さんのお側に使えるものとして、伸二さんが喜べないものが
あるということが情けないのです。お許しください。」
杏奈は、私にさらに謝罪の言葉を言ってきた。私は、その杏奈の言葉を制するように、
「誰だって不得意があるんだ。それが人間なんだ。それに杏奈は料理をするために創られたサイボーグじゃないんだ。
私の完璧な秘書業務と私の性癖を受け入れられるような処置を施したパートナーと
スペースフィットスーツという最高で最新の商品の着用サンプルとしての使命を完璧にこなすためのサイボーグなんだ。
だから、料理のことを悩まないでくれ。私は、今の状態の杏奈がいればそれが一番幸せだ。」
「伸二さん。本当にありがとうございます。そのお言葉に甘えさせていただきます。
あっ、そうだ。そろそろ、お召し上がりにならないと迎えの車が来てしまいます。
新聞の方は、私が要点整理したものを今朝のニュース映像と共に処理して、
社長車のディスプレイでご覧に入れます。」
私は、杏奈が作ってくれた朝食を頬張りながら、杏奈の言葉を聞いていた。
杏奈は、秘書としての完璧主義のため、非人間的なところもあるが、任務に忠実で、手を抜かないし、
仕えた重役に対して忠誠を誓う、秘書としての限りなく完璧に近いアビリティーを持っているという評価が
人間であった時にされていたが、サイボーグになっても、その性格は変わらないものだと、
私は、変な感心を心の中でしていた。もっとも、それは当たり前のことなのだ。
422manplus:2006/06/18(日) 18:37:52 ID:z317jPxx0
何故なら、彼女は、サイボーグであり、ロボットにされたわけではないのだから、生体脳は完璧に残っていて、
いくら、体内のサブコンピューターと協調関係にあっても、生体脳が身体全体を支配し、
感情を司っている存在なのだから、当たり前のことなのだ。私は、一人で、思い出し笑いをしてしまった。
「伸二さん。なにか楽しそうですね。」
「杏奈のことを思っていたら、幸せになってしまった。」
「そうですか。ありがとうございます。光栄です。あっ。早く着替えをしていただかないと迎えの車が来てしまいます。」
杏奈は、そう言うと、食べ終わった食器を食洗機の中に入れて、私をクローゼットに誘導し、
私の着替えを手伝ってくれた。
着替えが終わり、私たちが再びリビングに戻ってくると、玄関のチャイムが鳴り、迎えの車の到着を知らせた。
私の杏奈から、私専用秘書杏奈に切り替わる時を迎えたのであった。

423manplus:2006/06/18(日) 18:38:33 ID:z317jPxx0
 杏奈にとって、スペースフィットスーツを装着すると外からの刺激は直接触れられたという感触を
感じない世界に閉じこめられるということであり、秘書としては、このような外部刺激を感じないということは、
たとえば、なにかを持っていても、持っているという事実を視覚で確認しているだけで、触覚としての情報が
杏奈の脳に届かないという奇妙でアンバランスな世界にいるのであった。
しかし、それが、片桐の杏奈に対して狙って望んだものであり、杏奈を片桐だけのものにするための処置なのだから、
杏奈はそのことを甘んじて受け入れなければならなかった。
杏奈は、そのアンバランスに最初は苦しんだが、今は楽しんでさえいたのであった。

 私と杏奈は、専用エレベーターで、専用玄関の車寄せに降り立つと、杏奈は、私を車に誘導し、私を乗せた後、
自分も乗り込み、秘書サイボーグ専用シートに座り、自らを車の一部にするために、シートに固定して、
バックパックにある接続コネクターと車の接続システムを接続した。
「片桐社長。おはようございます。本社到着まで、今朝のニュースと朝刊のダイジェスト番を
ディスプレイに流しますのでお楽しみください。本社までの予定所要時間は、約20分です。」
そして、私の専用車のナビシステムに、自分の身体のラン回線を通じて得た渋滞情報を入力し、
最適ルートを決定して、運転手への指示を開始した。
私は、その光景を見て、杏奈が機械として、秘書サイボーグとして機能する瞬間を感じ、
性衝動コントロール装置がなかったら、性的興奮から、ペニスが勃起して大変なことになっているのだろうと考えて、
クスリと一人笑いをした。
424manplus:2006/06/18(日) 18:46:23 ID:z317jPxx0
こんばんは。manplusです。
皆さん、色々なご意見ありがとうございます。
私のSS支持していただいた方、ありがとうございます。
皆様の期待に応えられる投稿をしていきます。
指摘をして下さった方の指摘は大事にして参ります。
今後ともよろしくお願いします。

色々なご意見がでるのは、このテーマが少しダラダラと
長くなったことも原因かと思います。
このテーマのエンディングを考えつきましたので、
もう少し、杏奈の物語に付き合って下さい。
お願いします。

いろいろと自分が飽きないように他のテーマのSSの
書きかけもあるものですから、それらを載せるための
ホームページを作り始めました。
その関係もあって、続きの投稿が久しぶりになりました。
425名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 23:36:30 ID:3Ya+6Efb0
GJ!!
426名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 10:46:08 ID:2m4SmgEL0
流れが止まってる・・・

保守
427名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 14:49:50 ID:vvHEqjGG0
よその板でこんなの貼られてたので転載してみる
http://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi41234.jpg.html
428名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 17:37:30 ID:C/owwnQW0
>>427
どこの板に貼られていたんですか?
429名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:26:39 ID:Z53g1ECK0
>>428
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1146559522/l50
だな。
板の方向性は違うんだが。

お隣はローテクさんかな?
430名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:44:49 ID:TlinVHUb0
>>427=>>429
現れたなこのドロボー鮮人めが!!!!!!!!!!
サイボーグ厨共が執拗にアンドロイドスレに粘着して荒らしまりやがって、たまりかねてローテクの中の人が書いた絵だぞ。
しかもあの後お前らサイボーグ厨共はますます騒いで荒らし回ってたな。
結局ローテクの中の人もサイボーグ厨共に追い出されたしな。
それを>>429スレに貼られてたんで転載だあ???ふざけんじゃねえバカヤロウが!!!!!
お 前 が かってに貼ったんだろ?泥棒チョンめが!!!!!!
それを白々しくもよそからの転載だと!!
これだからチョンは共産的民族=劣等民族なんだよ。
おまえら全員北チョンに帰れやゴルァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
431名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:14:52 ID:KuXui8yL0
やれやれ・・・ネタがなくてスレが落ちるから、永久追放されたスレから絵を泥棒してまで保守ですか・・・。
ホントにこのスレの連中は人間のクズばかりですね。
432名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:15:02 ID:HodUROrF0
とても21歳以上の人間の発言には見えません。 問題の真偽、正当不当以前の問題です。
理由は、頭に血が上っているか、空気を悪くするための挑発のいずれかと思われます。
後者の可能性がある以上、一切意見も反論もしないのが、賢明であり、本掲示板の
ルールにも沿うものであると思われます。
433名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:18:47 ID:KuXui8yL0
>>432
泥棒のあなたが言っても全く説得力ありませんが?
434名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 01:12:25 ID:S2MhPPVa0
リンク貼っただけで泥棒呼ばわりか。
435名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 01:12:36 ID:xJENwwq/0
荒らしは放置していきましょう。
436名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 03:58:49 ID:U3QbqHtc0
まことに申し訳ありませんが、小学生・・・じゃなくて小生にもわかるように
状況説明していただけませんか?



え? 大人の事情? ならば小学生・・・じゃなくて小生の預かり知らぬところですな。
437名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 08:23:46 ID:X5HL0Gs90
一応解説しておくが>>427の初出は虹のアンドロイドスレで
あほが暴れてた時にローテク絵師の人がアンドロイドとサイボーグの
共存を願って描いてくれた物である。
438名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:21:56 ID:4LRrkow90
>結局ローテクの中の人もサイボーグ厨共に追い出されたしな。
今現在でもたまにエロ絵を投下してくれてますが何かw

とまぁこのように>>430自らアンドロイドスレすらもロクに見てない事を自白してるわけで。
基本的にはアンドロイドスレ住人を装った荒し「ぼうえいシステム」なので、
単なる寝言ととして聞き流すがよろし。
ちなみに「ローテクの中の人もサイボーグ厨共に追い出された」ってのはコイツの常套句(当然捏造)。
コレと「サイボーグ厨は屑」しか攻撃手段を持ってないので、大した脅威はないかと。
439名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 14:04:09 ID:4LRrkow90
いけね忘れてた「ローテクの中の人はアンドロイド住人を装ったサイボーグ厨」ってのもあったっけな。
なんにせよ苦しい言い分だな。

そして毎回こんな奴の攻撃材料に使われるローテクの中の人カワイソス。
本人はアンドロイド&サイボーグで仲良くやりたくてあの絵描いただけなのに・・・。
440名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 15:33:01 ID:G4QZJJ840
まったくだよな。
なんでアンドロイドとサイボーグが反目しあわなきゃいかんのだ・・・
441名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 17:33:17 ID:rHX+N+o00
荒らしているやつはスレがつぶれるのを楽しんでいるのかもしれないな・・・
442名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 17:46:33 ID:jGdTKiYwO
>>441
何を今更
443pinksaturn:2006/06/24(土) 18:04:06 ID:GZdOe/Sc0
(ちと荒れ気味のようですが、構わずにオプションパーツの続き投下しまつ)

−−(18)バレエパレード−−

(宮殿・東宮御所)

真理亜:「お召しにより参上しました。お久しぶりでございます、東宮様。」

皇太子・朝子8世:「建国100年祭を盛り上げるため、やって欲しいことがあります。」

真理亜:「私どもが100年祭でですか、はて?。」

皇太子:「100年祭の目的は、帝国の歩みを振り返り、これまでの政策の妥当性を臣民に浸透させることです。
即ち、宇宙資源の利用によって地上におけるエネルギー消費を回避し、島嶼諸国住民の生存権を守るという建国の理念を訴える場となります。
そのために、この理念を提唱し小惑星資源開発を陣頭指揮された初代陛下の業績を再認識させる展示やイベントを色々企画しているところです。
ただ、人間の持つ興味は様々ですから、わが臣民といえども宇宙開発やその経済効果に関心の薄い者だっています。
有史以来多くの独裁体制が陥ってきた誤りの一つが熱狂的な支持者ばかり重んじ、関心の薄い多数者の取り込みを軽んじたことです。
内政に関して衆議院を通じた民意反映の仕組みがあるとはいえ、最重要事項を勅令に頼る我らも独裁制のリスクを無視できないのです。
無関心層の興味を引くため、純粋に祭りとしての行事もやらなければなりません。
そこで、初代様のご趣味であったバレエに関して巨大なイベントを企画したいのです。」

真理亜:「それに素体を使うおつもりですか?。」

皇太子:「宮殿外周壁上を1周する動く歩道全体を舞台にして白鳥の湖のパレードをやりたいのです。群舞の王道ですからね。
それをやるだけのまとまった人数でバレリーナを確保するとしたら素体を動員するしかないでしょ。
2年次から4年次までかき集めれば320人ですからね。さすがに新入生や改造直前の5年次を出せとは言いませんが。」

真理亜:「早期修了休暇の者を除き素体を養成所の外に出してはならぬとの勅令は、この際宜しいのですね?。」
444pinksaturn:2006/06/24(土) 18:04:54 ID:GZdOe/Sc0
皇太子:「100年祭の主催者は陛下ですから問題ありません。」

真理亜:「どの程度踊れれば宜しいのですか?。準備期間は3ヶ月ですしこればかりやらせるわけにも行きませんが。」

皇太子:「群舞だけでもいいです。パ・ド・キャトルに使える者がいたら十分ですが。
オデットやオディールは学習院の貴族素体クラスで上級者を用意させますので。」

真理亜:「ジークフリート王子はどうするのですか?。」

皇太子:「こればかりは素体で賄えないので、シビリアンのプロを手配しています。」

真理亜:「曲はスピーカーを設置して流すのですね。」

皇太子:「それでは芸術祭にならないので、東西南北の門前公園に野外音楽堂を建てて4組のオーケストラを配置します。
2組は地軍の軍楽隊、あとは学習院と民間のクラブで。指揮者には貴族の有志があたるので体内通信でシンクロ可能です。」

真理亜:「なるほど。様子は判りました。本格的な舞台なので多少不安はありますが善処します。」

皇太子:「宜しく。軍事や経済が嫌いな者には、我が国を芸術大国として納得させないといけませんから。」
445pinksaturn:2006/06/24(土) 18:06:36 ID:GZdOe/Sc0
(素体養成所 教官室)

真理亜:「...ということで、向こう3ヶ月間は身体訓練の内容を100年祭の準備に切り替える。」

マオ:「半日群舞が保つようならポワントの数値目標は自然達成ですね。単調な訓練より張り合いがあって良いですよ。」

マサ:「私たちは出られないんですか?。私もやりたいなあ。」

真理亜:「スケルトンじゃ無理ね。監督に徹しなさい。」

マサ:「100年祭じゃないですか!。この際換装しちゃっても...。」

真理亜:「しょうがないわね。じゃあ、藻前の班全員が整備を早期修了見込み、そうね4週間の進みになっていたら許可するわ。」

マサ:「4週ですね。よーしやったるぞぉ。」

真理亜:「無理して体罰で死人を出さないようにしなさい。」
446pinksaturn:2006/06/24(土) 18:18:45 ID:GZdOe/Sc0
(3年目の第2週初日 整備実習室脇の倉庫)

マサ:「こっそりおまいらを呼んだのは、腕前を見込んで頼みたいことがあるからなのよ。」

ミツ:「えーっ!。」

マツ:「うっそー!。」

ササ:「ホントー!。」

マサ:「実はさ、3ヶ月以内に、この班の整備実習消化率を全員4週の進みにしたいのよ。」

ミツ:「つまり13週分の課題を9週でこなせと、私は自信ありますがぁ。」

マツ:「そりゃ私らなら。でも、遅延しないだけで精一杯の下手な娘もいるしぃ。」

ササ:「何か作戦はあるんすかぁ?。」

マサ:「おまいらの実力なら規定時間だけでやっても4週進みは楽勝だよね。
さらに、夜もやりゃ、あと2週稼げるでしょ。それで、後ろの2週間は遅い娘を助けて欲しいのよ。」

ミツ:「助けてもらうのって禁止じゃ?。」

マサ:「機構操作は素体番号タグで識別するから助けられないけど、外皮の仕上げは記録残らないのよ。」

マツ:「なるほど、遅い娘の多くは不器用で継ぎ目のやり直しで手間取ってるから効果ありますね。」

ササ:「でも、しごく側の立場の教官がそんなこといっていいんですかぁ。」

マサ:「安全に関わる機構のことで手抜きなんかしないわよ。外皮は改造後に練習したって良いじゃない。」
447pinksaturn:2006/06/24(土) 18:19:57 ID:GZdOe/Sc0
ミツ:「なるほど。しかしそうまでして急ぐって、何のためです?。」

マツ:「そうそう、なに企んでるんですかぁ?。」

マサ:「こんどの100年祭のバレエパレードにみんな動員されてるでしょ。私も出たいのよ。」

ササ:「それと整備実習の進みとは一体どういう関係なんですか?。」

マサ:「それは、真理亜様がね、整備実習が全員4週進みなら私の外装換装を許してくれるからなの。
実習楽勝ならスケルトンの教官は要らないだろってことで。この体じゃ、舞台に立てないからねえ。」

ミツ:「なるほど。しかし、えらい拘りようですね。」

マツ:「まあ、コギャルの一員としてお気持ちは判りますが成功するかどうかは判りませんよ。」

ササ:「うまくいったときのご褒美がおいしいと、気合いが違ってきますが。」

マサ:「宮殿南門前のロイヤル飯店が期間限定でやる、100年祭記念・満漢全席でどうよ。
おまいらなら早期修了休暇取れるのは間違いないだろ。
改造後はすぐ宇宙に出されちゃうから、こういう楽しみは今のうちだよ。」

ミツ、マツ、ササ:「いただきます!。」
448pinksaturn:2006/06/24(土) 18:27:24 ID:GZdOe/Sc0
(3年目の第5週初日 第2身体訓練室)

マオ:「ここまで白鳥の湖のの独特な部分、手を繋いだままの群舞を集中的に練習してきたけど、そろそろ全般の振り付けにかかるよ。
ところで、みんな白鳥の湖の筋は、 知ってるよね。」

2班1番・ハル:「魔女の仕業で白鳥にされたオデットが月の光に照らされたときだけ人間に戻るんでしたっけ。
そのとき王子に見初められて舞踏会に呼ばれるんだけど、魔女の娘オディールが化けてやってきてとかですか。
そういう主役級の話は、百年祭ガイドブック http://pinksaturn.fc2web.com/hyakunensai.htm のリンクで見たんですけど、肝心な群舞の意味は出てないですね。」

マオ:「そういえば、あんまり群舞の解説って無いわね。私もアイスショーでは主役しかやってないからなぁ。情景ってことで良いのかな。
とにかくいっぺん通しでやってみながら考えようよ。」

2班5番:「今までパ・ド・キャトルしかやってないんですがソロの部分どうしますか?。」

マオ:「オデットは私がと言いたいところだけどこの姿じゃねえ...。
手本見せるからハルやって。本番でやる訳じゃないからいい加減で良いわよ。ジークフリートを私がやるわ。」

ハル:「はあぁ。みどりには見られたく無いなあ。この衣装って股間デザインが思いっ切り恥ずかしいし。」

マオ:「そういえば1年次に入ってきてたのね。じゃ、いずれ週末に練習見せようよ。
それまでにしっかり練習してうまくなって、恥ずかしくなくするのよ。」

ハル:「うまい下手の問題では...」
449pinksaturn:2006/06/24(土) 18:28:37 ID:GZdOe/Sc0
(翌々日)

ミキ:「ほらもっとしっかり!。4人繋がってるからって頼りあったら一気に倒れるわ。
本番は動く歩道上なんだから。ここで一寸でもふらつくようじゃ必ずこけるわよ。
足だけに頼らず体全体で引き上げるの。この姿勢が将来ジャイロ付いてからも重要なのよ。」

2班の素体たち:「足痛ぁい。死にそぉ。」「地獄じゃ。」「3ヶ月これが続くのぉ。もうだめぽ。」

ミキ:「うーん。こりゃ、いっぺん本物の動く歩道で試さないと危ないな。乗り降りもあるし。
そうだわ。(体内通信)真理亜様、練習用に動く歩道を買って良いですかぁ?。」

真理亜:「(体内通信)東宮様から道具代沢山もらってるからいいわよ。設置場所は考えた?。」

ミキ:「(体内通信)今思いついたので。うーん、ここと整備実習室をつなぐ渡り廊下なら十分長そうですが。」

真理亜:「(体内通信)それでいいわ。将来の重力区画移乗に備えた訓練にもなるし。すぐ手配なさい。
あと、予算は十分あるから、今後は衣装も本番と同じのでやるのよ。チュチュの幅に慣れさせないとね。」

ミキ:「(体内通信)了解。よし業者にメール...。」
450pinksaturn:2006/06/24(土) 18:30:43 ID:GZdOe/Sc0
(2週間後、廊下の動く歩道)

ミキ:「さあ、今日からはパ・ド・キャトルのままこれに乗って端まで踊り続けそのまま降りる練習よ。
乗り降りの時は、上手く歩幅を調整するのよ。手本見せるからよく見てなさい。さささ..っと、ね。」

2班の素体たち:「将棋倒しになりそうな希ガス。」「手が塞がってて手すり掴めないし。」「転んだら痛そう。」

ミキ:「じゃ、1番から4人ずついくのよ。」

2班1から4番:「せーの、立って、ヨコヨコ..とと、わわわ、乗れたか...。」

ミキ:「ほらほら、乗り降りに気を取られてリズム乱すな!。体で立って、足はリズムのまま!。」

(週末、廊下の動く歩道)

ミキ:「だいぶ慣れたね。今日は自主トレだから楽しくやりましょ。観客も呼んであるし。」

ハル:「観客って...、やっぱり、新入りのことですか。」

マオ:「観客連れてきたよー。」

みどり:「あ−、お姉ちゃんだ。チュチュかわいい!。私もやりたかったなあ。」

ハル:「あのなあ。これってめちゃくちゃ辛いんだよ。乗り降り難しいし。」

ミキ:「ぶつぶつ言ってないで始めっ!。はい、タンタンタンタンタッタララッタ...」

みどり:「おお、お見事!。お姉ちゃん頑張ってー!。」

マオ:「どお?。なかなか大したものでしょ。貴女達もあれくらい出来るようになれないと素体失格よ。」

1年次素体たち:「うーん、見るのは良いけど、難しそう。」「でもチュチュかわいいからやってみたいな。」
451pinksaturn:2006/06/24(土) 18:38:05 ID:GZdOe/Sc0
(あっという間に、100年祭・巨大バレエパレード本番@宮殿外周壁上回廊の動く歩道、夕暮れ)

素体たち:「手すりは内側だけかぁ、こけたら落ちるかも。」「4時間も保つかなぁ。」「衣装の股間デザインが恥ずかしいよぉ。」

マサ:「間に合った、間に合った。うれしー。」

ミツ:「満漢全席よろぴく。しかし、教官は足痛くならないから良いですね。」

マツ:「あれっ?。よく見たら教官だけ素足じゃないですか。」

マサ:「太股から燃料電池の換気してるからタイツ履けないのよ。そのために特注で思い切り色白の外皮にしてるの。」

ササ:「そういえば、そうでしたね。するとレオタードの股間デザインもそのため?。」

マサ:「そういうこと。群舞なんで一人だけって訳にいかないから、マオに頼んで全員分をこれに合わせたのよ。」

ハル:「えええーーーっ!。マサさん一人のためにみんながこんな恥ずかしい衣装になっちゃったのぉ。ひどぉい。」

ミツ:「良いじゃないの。私はこのデザイン好きだわ。」

マツ、ササ:「うんうん。いいよ、これ。」

マサ:「おまいらも改造後はパンティやレオタードってこういう股間デザインのしか着れなくなるんだから、慣れときなさい。」

ハル:「とほほ。ああ、お母さんたちまで見に来てる。ますます恥ずかしいよぉ。」

マサ:「前奏始まったね。月も昇ってきたし、さあやるぞー!。」
452pinksaturn:2006/06/24(土) 18:40:33 ID:GZdOe/Sc0
(外周壁の前)

民衆:「100年祭ガイドブック http://pinksaturn.fc2web.com/hyakunensai.htm によると大胆な衣装がみれるとなってまつ。早く見たいな。」
「お、ぞろぞろでてきた。これは!。あの衣装、萌えー。」「ひゅーひゅー。」
「ちょっと舞台暗いなぁ。ちゅちゅの影でよく見えないよ。」「スポットライト点いたな。お、お、おおお。」
「背中舐めたい。」「バカ、あの主役の娘は皇族様だぞ。不敬罪で捕まるぜ。」

冬子:「あ、見て見て、あそこハルだよ。」

夏夫:「かわいい。やっぱり子供は娘に限るな。」

リエ:「どうよ。見事なものでしょ。私らの教育が良いからね。」

キョウ:「リエが出てないと萌えないなあ。」

リエ:「この姿で白鳥はちょっと無理ね。今夜は教え子の応援よろしくね。」


(南門前 貴賓席)

皇太子:「よくやってくれました。この調子なら民衆の受けもいいようね。」

真理亜:「御意。」

皇帝:「動く歩道上ですからね。ジャイロ無しでこれだけ出来れば将来心強いわね。」

真理亜:「ご予算を十分頂きましたので、実物を設置して練習させました。」

外務大臣:「これならボリショイに勝てますわ。発表できないのが惜しいですね。」

皇太子:「機密に触れない範囲にビデオを編集して、友好国の市場に出してみましょうか。」
453pinksaturn:2006/06/24(土) 18:42:20 ID:GZdOe/Sc0
(翌日、ロイヤル飯店)

マサ:「おまいら、良くやってくれたね。今日はとことん喰ってね。生身で豪勢な飯はこれが最後かもよ。」

ミツ:「満漢全席かぁ。満漢人民共和国の奴らはいつもこんな良いもの喰ってるのか。」

マサ:「まさか。権力者の宴会だけでしょ。人口過剰で民衆は飢えてるっていう噂よ。」

マツ:「へええ。宇宙の覇権争いなんてやってるくせにしょぼいですね。」

マサ:「今のところ宇宙で利益出せてるのはうちらだけよ。」

ササ:「月の開発って儲からないのかな。」

マサ:「水が少ないでしょ。核融合炉の燃料だけ採っても推進剤が地上から持ち出しじゃ儲かるわけ無いわ。
そもそも実用的な融合炉だって持っているのか怪しいものよ。北米連への対抗心から無理してるだけだったりして。」

ミツ:「なんで小惑星帯に来ないのかな。」

マサ:「乗組員がサイボーグじゃないからよ。よほど巨大な宇宙船で大量の酸素と食料を運ばないと乗員が保たないわ。
艦載原子炉だって乗員が生身だとうちみたいに放射能じゃじゃ漏れってわけにいかないから重くなるし。
たぶん1万d級の艦じゃないとダメね。いくら大国でもそこまでやるのは難しいわよ。」

マツ:「満漢なら中央集権だしサイボーグぐらい出来そうですが。」

マサ:「サイボーグは一人当たりのコストが大きいから人海戦術の文化に合わないのかな。
でも、あそこは宗教の束縛が無いからいずれやるかもね。そうなったら厄介なライバルになるわよ。素体が無尽蔵なんだから。」

ササ:「あ、前菜5品目来ましたね。」
454pinksaturn:2006/06/24(土) 18:50:06 ID:GZdOe/Sc0
(3年目の終わり 素体養成所 教官室)

真理亜:「とうとう落第出さずに任期が終わったわね。次の任期入り前には2階級特進の発令があるわよ。」

マオ:「特務士官かあ。実感無いですね。終わってみれば楽な素体に当たってラッキーって感じで。」

ミキ:「私らの得意分野が訓練で重視されてたから楽に感じたのかも知れませんね。」

真理亜:「宙軍は人少ないせいで元から上等兵とか準尉が飛ばされてるしね。これから増えてくると昇進も渋くなる鴨よ。」

マサ:「甘くもなかったですよ。スケルトンで、はらわた晒してなきゃいけなかったし。」

真理亜:「藻前は100年祭に便乗してちゃっかり半年以上早く換装したでしょ!。」

マサ:「そりゃまあ努力の成果ってことで。ところで真理亜様はこれで将官ですか。」

真理亜:「佐官級の人事はそこまで甘くないわ。これくらいじゃ特別な功績とはいえないのよ。
それに、艦長か同等の部隊司令を経験することも条件だしね。ところで、マサは前の特進の猶予分とか宿題済んだのかな。」

マサ:「猶予分も真理亜様の宿題もばっちり。おかげさまで宇宙にいるよりは時間とれましたね。」
455pinksaturn:2006/06/24(土) 18:51:32 ID:GZdOe/Sc0
真理亜:「そう。じゃ、この休養期間は副業として改造手術の助手出来るわね。」

マサ:「あれ、やっぱりやらなきゃダメですか。」

真理亜:「一代貴族目指すのやめる?。」

マサ:「やります。」

リエ:「シビリアンの方が気楽で良いのに。マサも拘るねえ。」

真理亜:「じゃ、マサ以外は換装室逝って良いわよ。あ、リエはパスかな。」

リエ:「そりゃ、私はこれが基本スタイルですから。」

真理亜:「マサは明日から早速私の手伝いね。場所はここの地続きよ。今から教えるからついて来なさい。」

(大イベントが割り込みましたが無事に素体訓練第一教程終了です。
次回予告(19)ドクター・マサ)
456pinksaturn:2006/06/24(土) 21:28:11 ID:GZdOe/Sc0
 荒れ気味でしたが、かいくぐって連投しちゃいました。
>>417 無名様
サイボーグの導入によって軍隊のありかたも変わるという前提で考えております。
所詮、軍隊なんて変わらないというものの見かたもありますけど、
歴史的には、弓矢の時代=プロの武士中心、鉄砲の伝来=雑兵の活躍など、
新技術でがらっと変わった例もあるのでこういう想定にしてみました。
>>424 manplus様
遠慮なく特定テーマを執拗に追求するのも良いと思いますよ。
4573の444:2006/06/24(土) 22:40:21 ID:yW4iVfXM0
  タマちゃんに連れてこられたのは、 義体科の一角にあるイソジマ電工ケアサポータールーム。
  タマちゃんは私専属のケアサポーターってわけじゃなくて、 私の他にも多くの担当患者を抱えている。 で
も、 身体がたくさんあるわけじゃなし、 一度に何人もの義体患者と会えるわけじゃない。 だから、 常に何人
かいる義体科の入院患者とか、 月ごとに定期検査に来る患者の人たちの義体状態を同時に把握するに
は、 直接会うよりケアサポータールームの義体モニター画面を見ていたほうが都合がいいことも多いんだっ
て。 そんなわけで、 タマちゃんは病院に来ているときには、 このケアサポータールームにいることのほうが
多い。
  私たち義体患者にかかってくる電話を取り次ぐのも彼女の仕事の一つ。 特に義体手術をしたばかりの
患者は身体感覚が生身のころとすっかり変わっちゃって、 精神的不安定な場合も多いから、 患者宛に掛か
ってきた電話を患者につなぐかつながないかは、 患者の状態をよーく把握しているケアサポーターの判断に
委ねられるんだそうだ。
  そういう意味じゃ、 私は、 もう友達からの電話をとっても精神的には問題ないってタマちゃんは判断して
いるのかもしれないけど・・・。
「八木橋さん。 私もそばについていたほうがいい? それとも、 一人で話せる?」
  タマちゃんは、 この期に及んでケアサポータールームの入り口でもじもじしている私を勇気づけるように、
そっと私の背中を押して部屋に導き入れながら、 そんなことを言った。
「うー、 大丈夫です。 一人で話せます」
「電話の取り方は知ってるね?」
  私は黙ってうなずいた。 おじいちゃんからの電話なら何度かとったことがある。
「じゃあ私は外してるから、 久しぶりのお友達との会話、 楽しんでね」
  タマちゃんは、 私に向かって軽く手を振った後、 静かにドアを閉めた。
4583の444:2006/06/24(土) 22:41:03 ID:yW4iVfXM0
  まるでテレビ局の中継室みたいにデスクの上に置かれたコンピューターのモニター画面がいくつも並んだ
小部屋。 それぞれのモニターには、 ご丁寧に患者の顔写真入りの札が下がってるから、 あんまり意識しな
くてもどのモニター画面が私の義体を指してるか嫌でも分かっちゃう。
  ケアサポータールームに入ってすぐのデスクの上に置いてある「八木橋裕子」の義体専用モニターの中
で、 ぐるぐる目まぐるしく数値が動いてる。 それから、 いろんな表やグラフが現れては消えている。
  私はため息交じりに頭のてっぺんに取り付けられた髪の毛に似せて作られた針金みたいな感触のアン
テナをいじくった。
  モニター画面の映し出される数字やグラフの意味はよく分からないけど、 このアンテナから発信される情
報が、 この画面に反映されてるってことくらいは知ってる。 私が、 見たり聞いたりしたことや、 嬉しいとか悲
しいっていう感情さえも、 ただの数値になって、 このモニターに伝わってるんだよね。
  で、 そのときのデータをもとにお医者さんと相談しながら、 脳内物質の分泌量が最適になるよう調整した
りするっていう。 だから、 私に唯一残された人間としての心だって、 結局は機械にコントロールされている
だけなのかもしれない。 自分で決めたと思っていることも、 結局はただ機械にそう決めるよう誘導されてい
るだけなのかもしれない。 そう、 今まるちゃんからの電話を取るように決心した、 そのことさえも・・・。
(駄目駄目。 余計なことを考えちゃ、 駄目だ)
  私はあわてて義体のモニター画面から目をそらして、 部屋の奥にある一際大きなタマちゃんのデスクに
向かった。 タマちゃんの性格を現すように、 きちっと患者毎に整理されたファイルが立てかけられているそ
の机の上で、 電話機が保留中を示す赤いランプがピカピカ点滅してる。
(私は八木橋裕子だ。 私の心は何も変わっていない。 変わっていない)
  私は何度も自分にそう言い聞かせながら受話器を取り上げて、 通話ボタンを押した。
4593の444:2006/06/24(土) 22:41:49 ID:yW4iVfXM0
「もしもし」
「おー! ヤギー、 お久しぶりぃ!」
  電話の受話器から聞こえたのは、 受話器からセリフが飛び出てくるんじゃないかと思うくらい元気いっぱ
いのまりちゃんの声。
  久しぶりに聞く友達の声が引き金になって、 私の脳裏に学校での様々な想い出が鮮やかに蘇った。
  私のいなかったこの三ヶ月、 まりちゃんは、 武田は、 クラスの友達は、 先生は、 みんなどんなふうに過
ごしてきたんだろう。 どんな出来事があったんだろう。 聞きたいことがありすぎて、 うまく言葉が出てこない。
「ねえ、 ちょっと、 あんた、 ヤギーなんでしょ。 ちゃんと返事くらいしてよ」
  電話越しに聞こえる、 彼女のちょっと苛立ったような口ぶり。
  そういえば、 あんたクラス委員だったっよね。 クラス会でも、 そんなふうに自分のペースでどんどん話を
進めたがって、 みんなの顰蹙をかってたっけか。
  久々に聞く友達の口調が昔のままなのは、 何もかも変わってしまった私にとっては何とも心強いことだっ
た。 まりちゃんの声を聞いていたら、 なんだか私も事故で身体を失う前の、 二人で夜遅くまで練習していた
頃のヤギーに戻ったような気がしてくるよ。
「うん。 まりちゃん。 私だよ。 久しぶりだね。 ふふふっ」
  そう。 私だよ。 ごく普通の、 どこにでもいる16歳の女子高校生のヤギーだよ。
  まりちゃんの声を聞いた私は、 久しぶりに昔のままの笑顔を取り戻せたような気がした。

「もう、 身体の具合はいいの? 怪我は治ったの?」
  交わす挨拶もそこそこに、 せっかちなまりちゃんは心配そうに声を潜めながらも、 早速本題に入ってく
る。
「あ・・・うん」
  まりちゃんの問いかけに、 私の右手が受話器を握り締めたまま強張った。 自分に戻ったみたい、 なん
ていう生易しい幻想は一瞬で消え失せた。
  私が義体化手術を受けたってことは知らないにしても、 事故に遭って入院しているってことくらい、 まりち
ゃんの耳にだって届いているはずなんだ。 だから、 こんな質問をされることだって予想済み。 でも、 やっぱ
り身体のことを聞かれるとぎくりとしてしまう。
4603の444:2006/06/24(土) 22:43:42 ID:QTcjoKLQ0
「もう、 すっかり治ったよ。 もう少しで退院できるんじゃないかなあ」
  私は、 ふぅっと軽く一呼吸して自分の気持ちを落ち着かせたあと、 内心の動揺を悟られないよう、つとめ
て明るい声色を使って言った。
  すっかり治ったなんて大嘘。 治るどころか、 今の私は脳みそ以外何もかも失った義体化一級の障害
者じゃないか。 でも、 そんなこと、 たとえ親友のまりちゃんにだって言えるわけがない。
「事故でひどい大怪我をしたって聞かされていたから 、私、 心配してたんだよ。 無事でいてくれてよかっ
た・・・」
  電話の向こう側で、 まりちゃんがグスンと鼻をすするのが聞こえた。 気の強いまりちゃんが泣くなんて滅
多にないことだ。 まりちゃんは本気で私のこと心配してくれていた。 そして、 私が無事だって思い込んでくれ
ている。 そんなまりちゃんに、 私はこれからずーっと嘘をつき続けなければならないんだと思うと良心がちく
りと痛んだ。
「ところで、 どうして、 私がここにいるってことが分かったのさ?」
  このまま怪我のことを深く突っ込まれて、 嘘をつき続ける羽目に陥るのが嫌だった私は、 話題を変える
ことにした。 私がこの病院に入院してるってことは、 少なくとも私の友達は誰も知らないはずなんだ。 だか
ら、 まるちゃんが一体誰から私の入院先を聞いたのかは、 私にとってはとても気になることだった。
「青ガエルから聞いたの? それともペコちゃんから?」
  私は恐る恐る担任や陸上部の顧問の先生のあだ名を挙げてみた。 学校の先生だったら、 私がここに
いるのを知っていてもおかしくない。 おかしくないけど、 もしそうだとしたら、 少なくとも先生達は私の身体の
ことを知っているってことになる。
「ううん。 違うよ。 みんなでヤギーのお見舞いに行こうって話してたのに、 どの先生に聞いてもヤギーの入
院先、 知らなかったんだ。 そんなんだから、 ヤギーが無事なのかどうか、 余計心配しちゃうじゃん」
  時折鼻をすすりながら訥々と語るまりちゃんの話を私は安堵のため息混じりに聞いていた。
  どうやら、 この様子だと先生にも私の身体のこと、 ばれてないみたいだ。 でも、 じゃあ、 いったい誰か
ら私の入院先を聞いたんだろう?
4613の444:2006/06/24(土) 22:47:30 ID:QTcjoKLQ0
「だからね」
  私の疑問に答えるようにまりちゃんは続けた。
「心配でたまらないから、 私、 ヤギーのおじいさんの電話番号調べて直接電話して、 ヤギーの連絡先、 聞
いちゃった」
  ――おじいさんから聞いちゃった――おじいさんから聞いちゃった――おじいさんから聞いちゃった
  まりちゃんの声が、頭の中で何度も繰り返される。
  確かに私、 友達に会いたい、 話がしたい、 一人ぼっちで寂しいってお見舞いに来てくれたおじいちゃん
に愚痴をこぼしたこともあるよ。 でも、 だからって、 私の許可もなく、 まりちゃんに私の連絡先を教えるなん
て、 おじいちゃん、 ひどいじゃないかっ!
「ヤギー、 どうかしたの?」
  私の心の動揺を敏感に察知したのか、まりちゃんが、 心配そうに私に聞いた。
「うー、 なんでもない、 です」
  うろたえた私は、 そう答えるのがやっと。
「ヤギー、 府南病院ってとこに入院してるんでしょ」
「う・・・うん」
  今更嘘をついたってしょうがない。 観念したようにうなずく私。
「じゃ、 さ、 私、 クラスを代表して早速今からお見舞いに行くから」
「ちょ、 ちょっと今から来って、 何なのさ!」
「あと一時間くらいでそっちにつくから。 積もる話はそれからってことで、 バイバイ」
「ちょ・・・ま・・・」
  ガチャン。 ツー、ツー、ツー。
  私に返事を与える隙を与えずに切れる電話。
  私は受話器を切るのも忘れて頭を抱えて机に突っ伏した。
  ほら、 こう、 なったじゃないか。 おじいちゃんのバカっ、 バカっ! なんで電話番号なんて教えるのさ。
  こっちの都合もおかまいなしに、 いきなりお見舞いに来るだなんてまるちゃんも相変わらずせっかちだ。
今、 私が入院してるのは、 義体科の病室なんだ。 こんなところに来られたら、 どんな間抜けだって、 私の
身に何が起こったか分かっちゃうよ。 よりによって、 一番知られたくないまりちゃんに、 私の身体のこと、
知られちゃうじゃないかっ!
  どうしよう、 どうしよう、 どうしよう。
4623の444:2006/06/24(土) 22:50:19 ID:QTcjoKLQ0

「八木橋さん?」
  後ろから急に声をかけられて、 びっくりした私は背中をひくつかせる。
  ゆっくり後ろを振り向いた私の目の前に、 いたずらっぽい笑みを浮かべるタマちゃんの姿があった。
「ごめんね。 ちょっと心配だったから、 ついつい、 途中から八木橋さんの話聞いちゃいましたー」
  タマちゃんはバツ悪そうに指で頬っぺたをかいた。
「ど、 どうしよう、 タマちゃん。 今から友達がこっちに来るんだって。 私、 どうしたらいいんだよう」
  私はすがるような目で、 タマちゃんを見つめた。 内緒で私の話を聞いていたタマちゃんを咎める気なん
かない。 このピンチを切り抜けるこは、 頭脳明晰なタマちゃんのアイディアが必要なんだ。
  でも、 タマちゃん、 私の気も知らず
「八木橋さんに、 おじいさんから贈り物が届いてまーす。 題して、 裕子に勇気を与える魔法のプレゼント、
だって」
  のんきな調子でそんなことを言って、 手に持っていたお土産用のお菓子箱くらいの大きさの小包を机の
上に置いた。
「タマちゃん、 昨日ポリー・ハッターでのビデオでも見すぎたの? そんな冗談、 ちっとも面白くないよう」
  私は、 小包をチラりと見ただけで、 不満げに口を尖らせる。
  タマちゃんもタマちゃんなら、 おじいちゃんもおじいちゃんだよ。 私の居場所をばらしといて、 物でつって
許してもらおうたって、 そうはいかないんだからね。
「あら、 私、 冗談なんて言ってないよ。ほら」
  タマちゃんが、 指で指し示したのは、 宛名書きのラベル。 そこには、 病院の住所と私の名前のほか
に、 『裕子に勇気を与える魔法のプレゼント』っていう文字が、 ちゃーんと赤いボールペンで書いてあった。
「あなたのおじいさんも、 案外茶目っ気があるのね」
  タマちゃん、 宛名書きを見ながら、 可笑しそうにくすくす笑う。
(それにしても・・・)
  私は腕組みをしながら考え込んだ。
「勇気を与える魔法のプレゼント」っていったいなんだろう。
4633の444:2006/06/24(土) 23:00:43 ID:QTcjoKLQ0
今日はここまでです。
いつの間にか、スレ容量がやばい状態に。今回は消化が早かったですね。
どなたか、次スレ立てお願いします。
そのときは、保管庫のアドレスも忘れないでくださいね。

manplusさん。
ホームページ出来上がりましたら、ぜひリンクさせてください。
よろしくお願いします。
464名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:51:03 ID:GZdOe/Sc0
次スレ
【機械化】サイボーグ娘!十人目【義体化】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1151160523/
465pinksaturn:2006/06/28(水) 00:49:29 ID:3zDyiZMl0
 お詫びと訂正
スレ更新を機会に9人目スレの自作品を読み返してみたところ誤りを見つけました。
保守を兼ねて正誤表を投下します。
まだまだ見落としはあるでしょうけど、とりあえず気付いた範囲で前スレの恥は前スレでかき捨てておきます。

正誤表

>>129  2行目に入るべきタイトルが欠落。

(オプションパーツの続きです。)
(宙軍地上基地内、搭乗員待機室)

マサ:「ああ、やれやれ。また3年間飯抜きで仕事かあ。」
...

(オプションパーツの続きです。)
−−(12)出動準備−−
(宙軍地上基地内、搭乗員待機室)

マサ:「ああ、やれやれ。また3年間飯抜きで仕事かあ。」
...

>>368 G(加速度の単位=9.78 m/s/s)、g(重力加速度=星毎の定数、地球の赤道上では1G)の用法誤り。

また、1gもの重力があるとジャイロスタビライザーの助けも完全にはあてに出来ないのです。

また、1Gもの重力があるとジャイロスタビライザーの助けも完全にはあてに出来ないのです。
466pinksaturn:2006/06/28(水) 00:51:49 ID:3zDyiZMl0
正誤表続き
>>387 368と同様。

そのために、耐g能力の良いサイボーグが欲しいのよ。
...
打ち上げと違って何日も連続するgでじわじわと来るダメージには特にね。
...
貴女は脊髄がないから耐gは有利なの。

そのために、耐G能力の良いサイボーグが欲しいのよ。
...
打ち上げと違って何日も連続するGでじわじわと来るダメージには特にね。
...
貴女は脊髄がないから耐Gは有利なの。

>>395 368と同様。

それに、化学エンジン併用なんでgのきつさとか、燃料残りの計算が複雑だとか色々あって。

それに、化学エンジン併用なんでGのきつさとか、燃料残りの計算が複雑だとか色々あって。

>>452 変換漏れ

「ちょっと舞台暗いなぁ。ちゅちゅの影でよく見えないよ。」

「ちょっと舞台暗いなぁ。チュチュの影でよく見えないよ。」

とりあえず、以上正誤表でした。
467名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:38:25 ID:+iUd9juv0
ほっしゅ
4683の444
>>465-466
保管庫も訂正しておきました。