虫歯&銀歯の女の子   

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310番外編・萩原先生
あ、萩原先生の過去だ。
俺が作ったのとちと違う・・・
ここはちょっと目をつぶってもらって、勝手に萩原編をうp。

萩原佳奈子、29歳。
都内の歯科医院で働く、歯科医である。
卒業後、臨床一筋でやってきたので、キャリアは5年目ながら、
生来の手先の器用さもあって、今では院長にもその腕を認められていた。
ただ、佳奈子は、少々厳しいことでも有名だった。
「どうしてもっと早く来ないの。こんなになるまで放っておいて!」
「ちゃんと歯は磨いてるの。もっと大事にしないとダメ。」
患者に、つい、小言を言ってしまうのだった。
しかし、これには理由があった・・・
311番外編・萩原先生:04/09/06 19:07 ID:7moe7J+I
元々、佳奈子はあまり歯が丈夫なほうではない。
子供のころは、よく歯が痛くて泣いていたものだ。
小学校に上がり、引っ越した近所の歯科医院は、当時には珍しく、
予防歯科に熱心な医師で、乳歯が虫歯だらけの佳奈子を
根気強く指導し、おかげで、永久歯になった佳奈子の口の中は、
見違えるように綺麗になった。
惜しいのは、幼稚園のときに、生えてすぐに虫歯にしてしまった6歳臼歯だが、
この歯も、上の2本は、アマルガム充填から2次齲蝕を起こし、
銀のインレーが入れられているものの、
下2本は上手にレジンが詰められており、
歯科検診でも、ほぼ、健全歯と判定されるほどであった。
312番外編・萩原先生:04/09/06 19:11 ID:7moe7J+I
永久歯は、生えて数年は、虫歯にかかる危険が高いが、
それを乗り切れば、虫歯の危険はぐっと低くなる。
3ヶ月に1度通っていた予防歯科も、中学を卒業するころには、半年で1度の検診だけになった。
周囲の友人たちには、佳奈子は歯が綺麗、と褒められるようになっていた。
いつしか、佳奈子は、自分の歯が丈夫でないと言うことを忘れていた。
身についた丁寧な歯磨きだけは続いていたが、
部活や勉強が忙しく、つい、歯科からの検診のおしらせハガキを見逃してしまった。

高3の夏休みも終わろうとする頃。
朝、歯を磨いていた佳奈子は、左上の前歯の間が、少し白濁していることに気が付いた。
「やだ・・・虫歯?」
そういえば、奥歯は虫歯にならないように、と丁寧に磨いていたが、
前歯は虫歯になりにくいような気がして、少し手を抜いていたかもしれない・・・
ミラーで見ようかと思ったが、急がないと夏期講習に間に合わない。
佳奈子は医学部を目指していた。夏休みは重要なのだ。
そうして、前歯のことは、忙しい日々にまぎれていった。