走り続けて、もう日がかげり始めていた。
なぜかまた、彼女の家まで戻ってきていた。
先生の言っていたことだと、もうそろそろ痛みが出ているだろう。
心配になって、電話をしてみた。
「・・香緒里?」
声をかけると
「・・ゴメン、ホントにゴメン」
香緒里の声が返ってきた。ちょっと涙声だ。
「・・俺も、出てってゴメン」
「・・寂しかった・・戻ってきてよ・・」
「今戻るよ」
そういうと、俺は香緒里の部屋のドアを開けた。
「ただいま」
俺がそういうと、香緒里は涙で濡れた目をこっちに向けた。
「・・歯、痛くなってない?」
俺が聞くと香緒里は力なく「・・痛い」と答えた。
「・・薬だけ、取りに行こうよ」
俺が言うと、彼女は力なく頷いた。