虫歯&銀歯の女の子   

このエントリーをはてなブックマークに追加
298名無しさん@ピンキー
ショックだった。
香緒里のためを思っていったつもりだったのに、そういわれるとは。
「・・理屈では行かなきゃいけないって分かるけど、でも、でも痛いんだもんっ」
「それは、つらいのは分かるけど・・」
「分かってないよっ!」
また、クッションが飛んでくる。もう、どうでも良くなった。

「・・ならいいよ。キャンセルの電話入れるよ」
受話器を取る。香緒里は、起きあがったがうつむいたままだ。
「・・いいんだな?」
念を押すと、香緒里は力なくうなずいた。
電話をかけると出たのはあのときの助手だった。
「あの、大野ですが、今日は具合が悪いんでキャンセルしたいんですが・・」
「・・少々お待ちください・・大野さん、はい・・あ、先生がお話したいそうですのでかわります」
その言葉のあと、荻原先生のゆっくりとした声が続いた。
「大野さん。痛み止めと炎症止め今日の朝の分までしか出してなかったわよね。あれ切れたら痛みが出ちゃうわ」
「・・先生」
先生の声は全て分かったような声だった。
299名無しさん@ピンキー:04/09/06 17:57 ID:/hARO1Ts
「あ、彼の方だったのね・・無理に治療はしないから、薬だけでも取りに来てって伝えて。
薬持って帰るだけでいいわ。本人にしか処方できない決まりだから・・ね」
「・・はい、伝えます・・すみません、ご迷惑かけて・・」
「いいわよ、そんなの。仕方ないわよ・・じゃ、待ってるわ」
先生はそういうと、電話を切った。

「・・香緒里。無理に治療はしないから、薬だけ取りにきてって。そのままじゃ痛くなるよ」
「・・ヤダ」
香緒里はうつむいたまま首を振った。
「薬取りに行くだけだって。治療しないって先生もいってくれたし」
「・・でもヤダ」
先生がせっかく言ってくれてるのに、香緒里はそれすらいやがった。
「痛くなっても知らないからな」
そう言って、俺は気晴らしのドライブをしに外へ出た。