虫歯&銀歯の女の子   

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291名無しさん@ピンキー
歯を抜く、という言葉を聞いて、蒼白になる香緒里。
それを見た荻原先生は
「19才で歯を抜かなきゃいけないってのはつらいと思うけど、残せないものは仕方ないのよ」
と小さくため息をついた。
重い沈黙が、診察室を包んだ。

「んーと、後どうする?まだ頑張れる?」
荻原先生は、優しい声で香緒里に聞いた。
「・・・」
だが、香緒里は答えない。
「・・どうなんだよ、香緒里」
俺が香緒里に聞くと、香緒里は首を小さく横に振った。
先生は「そう、分かったわ」と優しく言って、助手に予約表を持ってこさせた。
「そうね、土曜日の・・朝でいいかしら?」
先生が言うと、香緒里はこくりと頷いた。
「分かったわ。ただ、仮詰めがとれたら予約の前でも来てね・・もっとも、痛いから言われないでも来てくれるだろうけど」
先生は冗談めかして言ったが、香緒里は小さく頷くだけだった。