虫歯&銀歯の女の子   

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270名無しさん@ピンキー
「どう。痛みは軽くなった?」
診療椅子に座るなり、萩原先生が尋ねる。今日は、眼鏡をかけていて、少し厳しい感じがした。
「はい。」
「よかった。じゃあ、治療に入れるわね。」
「はい・・・よろしくおねがいしま、す」
「今日は、まず、この間痛かった、左上7番、一番奥の歯を削って、神経を抜いて様子を見るわね。」
「はい。」
「なるべくまとめて治療するように、院長先生に言われたんだけど、」
カルテを手にして、先生は難しい顔をした。
「んー、よりどりみどり、ってとこね。どこから行くか・・・
それにしても、ひどいわね。こんなの見たことないわ」
ちら、と香緒里を見る。
香緒里はうつむいてしまった。
271名無しさん@ピンキー:04/09/06 02:40 ID:MVaOPK2R
「えーと、左上の4番は、珍しく軽いから、さっさと終わらせちゃいましょう。
次に左下5番、を削って、神経抜かないといけないかどうか見て・・・」
「え。神経・・抜くかもしれないんですか」
「C2だと、場合によるわね。冷たいものがしみるくらいなら、大丈夫なことが多いけど、
熱いものとか、甘いものがしみるようになってると、けっこう進んでるの」
香緒里の顔が硬直する。左下の歯は、熱いお茶がしみたのだ。
「甘いものとか、しみるの?」
萩原先生は、香緒里の変化を見逃さなかったようだ。
「あ、いえ・・・」
「ま、いいわ。」軽くため息をつくと、レントゲンをかざして見た。「あとは・・」
「えっ、まだ」
香緒里が小さく声を出す。