虫歯&銀歯の女の子   

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262名無しさん@ピンキー
「んあああ」
ぎゅっと閉じた香緒里の目から、涙がこぼれる。
「はい、今度外から入れるね」
そういうと、左手で、香緒里の唇をぐいっ、と上方向に押し広げた。
香緒里はされるがままだ。
「もう一度ちくっとするよー」
さらに唇が広げられ、注射器が入っていく。
「あぅぅ」
喉の奥からかすれた声がもれる。
薬が押し込まれるのに合わせる様に、涙がはらはらと出る。
「はい、これでおしまい」
椅子を戻し、注射器にキャップをはめて、歯医者が言った。
香緒里は、かすかな声で、「ありがとうございました」
と言い、頭を下げた。
263名無しさん@ピンキー:04/09/05 23:26 ID:5BF5cM/n
受付で、薬の説明を受けていると、ドアが開いて、
昨日のカルテを書いていた助手と、もう一人、女の人が入ってきた。
「ああ、萩原先生。」
歯医者は、いいところに来た、とばかりに、女の人に話しかけた。
これが、さっき言っていた女医さんか。
たしかに美人だった。
「こちらの大野さん、明後日、治療に来られるから、お願いしますね。」
歯医者が言うと、
「お願いひまふ」
俺と香緒里も頭を下げた。香緒里は麻酔のせいで、口が回らない。
264名無しさん@ピンキー:04/09/05 23:27 ID:5BF5cM/n
「昨日の患者さんですよ」
助手が、萩原先生に告げた。
「ん?ああ、はい、お大事に。明後日ね。」
萩原先生は、微笑んでドアを開け、送り出してくれた。

帰り道。
「痛むか?」
まだ涙が止まらない香緒里に、尋ねる。
「やっふぁり、麻酔、効かないみたい・・ひっく、ひっく」
「早くおさまって、治療してもらえるといいな。あの先生、腕は確からしいし」
「でも、あの先生、怖そうだよぅ、ひっく」
気弱になっているんだろう。そんな香緒里の肩を抱きながら、ゆっくり歩いて帰った。

たしかに、少しのつもりが、書き出すと長くなるねー
後よろ〜