虫歯&銀歯の女の子   

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244名無しさん@ピンキー
細かい描写に激萌えです!
乙!
お礼に230の続きを少し…

「救急の歯医者、やってると思うけど行く?」
香緒里は首を振る。
肩を震わせしゃくり上げる香緒里の枕に、涙の大きな染みができている。
「…そこまで迷惑、かけられないよ。ヒック。私はいいから寝てて。」
そうは言っても、歯を欠けさせたのは俺だ。
心配で眠れるわけがない。
「薬はいつ飲んだの?」
「30分ぐらい前かな、でもわかんない。時間が経つのが遅くて…」
じゃあそろそろ効いてきても良い頃だ。
頭に血が昇ると痛いから、といって香緒里は上体を起こした。
抱きかかえて支えてやる。
245名無しさん@ピンキー:04/09/05 20:47 ID:lIahtgwm
歯も一応診ておいた方がいいだろう。
「あーんしてみて、無理ならいいよ。」
俺がそういうと、香緒里は涙に濡れた顔をしかめながら口を大きく開けた。
慌ててスタンドライトを付ける。
左上の一番奥の歯、歯磨きするまでは小さかった虫歯の穴が、大きく開いている。
香緒里に申し訳なくて、動悸がした。
「ん?」
よく見ると、穴の中に白い欠片が見える。
「香緒里、多分、歯の欠片が詰まったままだと思うんだけど、
 取れば楽になるんじゃないかな?」
どうやって取れば良いだろう。爪楊枝でほじくり出すか、でもかなり痛そうだ。
「…うがい、してみる」
しゃくり上げながら香緒里が言った。
「米粒とか、うがいで結構取れるから」
246名無しさん@ピンキー:04/09/05 20:59 ID:lIahtgwm
コップに水を汲み、思いついて洗面器も持ってきた。
「はい。ここにはき出せばいいからね」
洗面器を香緒里の太ももの上に置いた。
「……んっ!」
水を口に含むと、香緒里は目をぎゅっと瞑った。目尻から、涙がぽろぽろと落ちる。
しまった、少し冷た過ぎたか。香緒里の歯の半分はC2の虫歯に犯されている。
きっと頭に響くほどしみたのだろう。心の中で香緒里に手を合わせる。
「…どう?」
水をはき出し、香緒里はまた口を開ける。
「んー、だめだ。残ってる。」
やはり爪楊枝しかないようだ。戸棚から一本取ってくる。