虫歯&銀歯の女の子   

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226名無しさん@ピンキー
その日は、まだ少し痛む、と香緒里が言うので、食事はコンビニで買って、
香緒里の家で済ませることにした。
「さっきの聞いてたら、けっこう、しみる、っていうC2ばっかりだったけど」
「ん?」
「食事のときとか、どうしてたのさ。痛くなかったの?」
「ううん、そんなに。」
「今さら隠したってしょうがないぞ。今年、カキ氷ほとんど食べに行かなかったじゃないか」
「…」
香緒里は先にコンビニに入って行ってしまった。
コンビニで、香緒里はレトルトのおかゆ、俺はおにぎりと弁当とペットボトルの茶を買って帰った。
飲み物はいらないかと聞くと、
「…冷たいものは、ホント、駄目なの。飛び上がりそうになっちゃうから」
と、白状した。
227名無しさん@ピンキー:04/09/05 03:48 ID:IMoUGeA+
家に帰り、軽く食事をすませた。
食べ終わって、寝そうになったが、
「おっと、歯磨き。」
香緒里の歯磨きをしてやらないといけないんだった。
香緒里が歯ブラシを持ってくる。
向かい合わせに座る、など、いろいろ考えたが、結局、ひざの上に香緒里の頭を乗せることにした。
「なんか、変な感じだね」
香緒里が下から見上げる。
俺も妙な気分だ。
「はい、じゃ、あーん。」
人の歯なんて磨いたことがないから、よくわからない。
「とりあえず、下から行くよ。」
一番磨きやすそうだったので、下の左から、磨き始めた。
しゃこしゃこしゃこ。
よく見えないので、ほっぺたを引っ張りながら、歯の外側を磨いていく。
次に歯の裏側、かみ合わせ、と、磨いていく。
「前の歯は、虫歯になってないんだから、しっかり磨かないとな。」
そう言って、唇を押し下げて、丁寧に磨いていく。裏側も。
228名無しさん@ピンキー:04/09/05 03:49 ID:IMoUGeA+
調子がつかめてきた。
「あのー」
香緒里がなにか言いたそうなので、歯ブラシを抜く。
「つわがたまってきひゃった」
ああ、唾か。
「飲んでやろうか」
と言ってみたが、香緒里は、立って、吐き出してきたようだ。
戻ってきて、素直にまた、膝枕する。
右の奥歯も、丁寧に磨く。
慣れてきたので、そのまま右上の歯にうつる。
少々見にくいものの、なんとかできそうだ。
前歯も、唇をめくって、磨く。
「いたっ」
香緒里が顔をしかめる。そうだった。穴があいているところは、少し痛いかもしれない。
注意して磨き、奥歯に入った。
「一番ひどいんだけど、難しいな、痛かったら言えよ」
そう言って、恐る恐る磨いた。
229名無しさん@ピンキー:04/09/05 03:50 ID:IMoUGeA+
「あんまりそーっとだと、磨いたことにならないんじゃない」
また唾を出しに行った香緒里が、戻ってきて行った。
「もっかい磨いてよ。ちょっと舌でさわるとざらざらしてるの。特に一番奥の歯。」
「じゃ、思い切って磨くぞ」
歯ブラシを入れ、ほっぺたを引っ張って、外側も磨き、内側も磨いた。
「一番痛かったところは、削ってもらったから、平気だよ、がしがし磨いても」
香緒里がそう言うので、気合を入れてかみ合わせの面に入ったときだった。
「ああっ」
香緒里が叫んだ。
「痛かった?」
「あ、あ、あ」
香緒里は涙目になっている。
「どら」
覗き込んでみると、小さい穴が開いているだけだった、一番奥の歯の前面に、
大きな穴が広がっていた。
230名無しさん@ピンキー:04/09/05 03:51 ID:IMoUGeA+
「あっ」
中で虫歯が広がり、薄くなっていたところが欠けてしまったのだろう。
「ごめん、ホントごめん!」
「ん、いいよ、元はと言えば、私が虫歯にしたのが悪いんだから」
と香緒里は言ってくれたが、少し元気がない。
「痛む?」
「あ、だいじょうぶ」
そう言って、口をゆすぎに行った。

心配なので、香緒里の家に泊まることにした。
俺も忘れずに歯磨きをして、
手をつないで眠った。
どれくらい眠っただろうか。
しくしく、という香緒里の泣き声で目が覚めた。
「香緒里?」
「歯が、痛いの。」
「どこ?さっき、欠けたとこ?」
「うん。ヒック、ズキズキする・・我慢できないよぉ」
時計を見ると、3時半だ。
とりあえず、薬を飲んだり、アイスノンを当てたりはしてみたようだ。
俺が欠けさせてしまっただけに、気がとがめる。
たしか・・夜やってる救急歯科センターがあったはず・・
231名無しさん@ピンキー:04/09/05 03:53 ID:IMoUGeA+
どうしよ。
救急センターは行かなくてもいい気がしてきた・・
とりあえず、寝ます。
後頼む!