201 :
名無しさん@ピンキー:
続きを。
右の犬歯は意外にも無事だった。
告げると、香緒里は少し喜んだ。
「他の歯ほとんど悪いんだから、こんなとこで喜んだってダメだよ」
釘をさし、次の歯に移る。
かみ合わせは綺麗だった。
だがよく見ると、奥の歯との間、内側が黒くなっている。
奥の歯も接しているところが黒い。
あまり大きくはなさそうだがこの2本も虫歯だろう。
「ほら、残念。2本続けて虫歯になってる。」
香緒里は短くため息をついた。
202 :
名無しさん@ピンキー:04/09/04 14:31 ID:Az/3d0Fg
「次の歯は…いつ治したの?」
「小学4年のとき」
「それから歯医者には?」
「…行ってない」
じゃあ全部10年越しの虫歯か。
銀を詰めてあるが、縁がグレーになって、今にも取れてしまいそうだ。
「これもきっと中で広がってるよ。」
「たまにしみるの…」
「じゃあ間違いないね。はい、次最後だよ、あーん」
最後の歯も、やっぱり虫歯だった。
かみ合わせの溝が、色は変わらないが太く、深くなっていた。
「まだそんなに大きくないけど、放っておくと中が広がるよ。早く治そうね」
そう香緒里に言ったとき、ふと気づくことがあった。
「香緒里、親知らずは?」
「わからない」
203 :
名無しさん@ピンキー:04/09/04 14:42 ID:Az/3d0Fg
じゃあまだ生えていないんだろう。
香緒里はあごが細いから、きっと抜くことになるだろう。
「じゃあ、まとめ。虫歯は17本。親知らずも合わせて、21本治さないとね。」
香緒里はしゃくり上げるようにして、また泣き出した。
「怖い?」
「違うの、磨いてるけどダメなの…信じて、汚い子だと思わないで、嫌いにならないで…」
「わかったよ」
正直、ちゃんと磨けてるとは思わなかったが、
普段気っ風のいい香緒里の弱点を見た気がして、可愛くて堪らなかった。
歯小説じゃなくなってしまったよ…orz