▼♂▼男の子ブルマ Part.2.1▼♂▼

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838名無しさん@ピンキー
見物人はみんな、教育委員会が手配した小さな手旗を振っている。
走っているうちに僕は、見物人が持っている手旗に何が描かれているかに気がついた。男子生徒と女子生徒の2人が横並びで走っているイラストだった。2人ともブルマをはいている。
「どうして男子生徒までブルマをはいてるんだ! いい加減な絵を描くな!」と、普通であればそうなるところだが、ここは俣岡市だ。俣岡市ではこれが常識なのだ…と、こんな時に改めて思い知らされる。

現実に生きている僕らのほうが、非常識なイラストに従わされている…そんな不条理を痛感する。
しかし僕の場合は事情が複雑だ。僕の上半身は、手旗のイラストでは左側を走っている男の子なんだけど、女子用ブルマをはいている僕の下半身は、イラストの中で右側を走っている「女の子」なのだ。
今の僕は、手旗に描かれたイラスト以上に非常識な格好をしているんだ。股間がブルマで圧迫されているように感じた。まだ走り始めたばかりだというのに、なんでこんなに息苦しいんだろう…

走りながらそんなことを考えているうち、集団がばらけてきた。
スタート直後にもみくちゃになって走っている間は感じることのなかった見物人の視線が、じわじわと気になり始めた。自分の順位がどの辺りなのかはよく分からないけど、僕の前後30メートルで、僕と競り合っている生徒は1人もいなかった。
道路の両側から、たくさんの見物人が僕の方を見て「ガンバレー」とか叫びながら手旗を振っている。不意に「幸崎くん、ガンバッテー」と聞き慣れない女の人の声がした。たぶん、ブルマに縫い付けられているタグに書かれた僕の名前が見えたんだろう。

タグが見られたということは、ブルマも見られてるんだ。見物人の視線は、僕の女子用ブルマ姿の1点に集中していた。
見物人が僕に向けてカメラを構えている。わっ、ビデオカメラまで僕の走りに合わせて向きを変えている。あ、みんな、そんなにジロジロ見ないでよぉ。こんな格好なんか撮らないで、こんなのイヤだ・・・
不意に、太腿のつけ根をすり抜けて行く寒風を感じた。走っているうちに、脚の動きでブルマの裾がかなりずり上がってきていたのだ。