お母さんは正義のヒロイン

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802退魔戦士 有子
>>799つづき

「ちぇっ、貴裕おまえいつもどれくらいで戦ってんの?」
「15から20%」
「なんだ、結構出してるんだ。じゃ、僕もそれくらいでいくよ」
少年の髪が逆立ったかと思うと、強烈なパワーが彼の全身から溢れ出してくる。切断され
た両手足は意志を持っているかのように、少年のもとへとやってきてあるべき場所へとく
っついていく。

「そ、そんな……このパワー……貴裕と変わらないじゃないの!!」
しかも、それは15%から20%のパワーだというのだ。
「これほどのパワーがたったの20%だって言うの?」
皐月は全身が凍りついた。このふたりは魔物ではない。そんなレベルをはるかに超えてい
る。そう強いて言うなら……

「あなたたち、まさか……きゃぁぁぁぁ!!」
先ほどまでのスピードとは比べ物にならないほどの速さの攻撃が皐月を襲う。くやしいが
何をされたのかすらわからないでいた。
わかったのは壁か床に叩きつけられたということ、そして全身に激痛が走っているという
ことくらいだった。
803退魔戦士 有子:2005/06/20(月) 23:21:19 ID:eR+NPwoy

「くっ……う、動けない……」
痛みのために動けないというのではなかった。何か見えない力で押さえ込まれている、そ
んな感じなのだ。
少年は皐月の顔を覗き込むとその表情を淫猥に歪ませる。
「フフフ……おやすみ、おばさん」そう言った少年の目が怪しく光る。「いい夢見てね…」

皐月は意識が遠のいていくのを感じた……

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「そ、そうですか、ありがとうございます」
学校に連絡した有子だったが、やはり簡単には教えてくれなかった。児童の個人情報にな
るわけだから、それも当然である。
頼みこんで『一也』という字の生徒がいるのかどうかだけはなんとか聞き出した。
結果は否。その字の生徒はいないということであった。
これ以上のことを知ろうと思えば、直接学校へ行き担任の先生に事情を話してみるしかな
いだろう。

有子は身支度を整え、小学校に向かおうとした。
「そうだ。やっぱり隆二おじさんにはお母さんのこと言っておいたほうがいいかも」
母が行方不明だなどと言えばあの人のことだ、慌ててこちらに出てくると言い出すのは目
に見えている。だが、そうかと言ってこの状況は内緒にしておくような甘い状況ではない。

有子は三島家へと電話を掛けた。