エピソード1.5 『皐月・その後……』
皐月は目を覚ました。
薄暗い闇の中で、わずかに蝋燭の炎の明かりだけが灯っている。
頭がボウッとして霞がかかったようだ。ジンジンと頭痛までしている。
ふと目を落とすと全裸であることに気づく、さらに両手は拘束され上から吊り下げられた
形で立たされている。
ここへ来てようやく皐月は自分の今置かれている状況を把握した。
「そ、そうだったわ……一条家を貴ちゃんたちが襲ったんだ……」
霞のかかったような状態だった頭の中が、少しはっきりしてきた気がする。
そうだ、魔物を倒したまでは良かったのだが、貴裕と戦ってわたしは……
皐月はすべてを思い出した。邪淫の魔法に侵されたとはいえ、実の娘の前であんな痴態を
見せるなんて……
膣穴に射精されてしまった以上、邪淫の魔法から逃れる術は自分の知る限りではもうない。
今はなんとか平静を保っているようだが、なにかのきっかけでまたあのような状態になる
ことは間違いなかった。
できることといえば、なんとか欲望に負けない強靭な精神を保ちつづけること、それだけ
だった。
「おや、目を覚ましたね、皐月」
貴裕がそう言って目の前に現れた。赤ん坊を抱きかかえている。涼ではないか!
「た、貴ちゃん!あなた涼を…涼をどうしたの!?」
射精されイッてしまったあと失神した皐月は、その後貴裕が涼を連れ去ったことなど知ら
なかったのだ。
「そうかぁ、皐月は僕の胸でおねんねしてたから知らなかったんだよな。あの後、おまえ
と一緒に連れて帰って来たんだよ」
なんてこと……まさか、貴裕の狙いが涼だったなんて……
「貴ちゃん、涼をどうするつもりなの?」
皐月の問いに貴裕は答えず、抱いている涼をなにやら水槽のようなものの中に入れる。
「ふふ、安心しなよ、死にはしないから」
「な、なにを、なにをしようとしているの!?」
貴裕はくくく、と笑うと皐月の方を向きこう言った。
「教えてやらないよん」
そして、アカンベーをするのだ。
「それより、皐月。また、僕のことを貴ちゃんなんて呼んでるね。あの時は『貴裕さま、
入れてくださいぃぃぃ』なんて泣き叫んでたくせにさ」
「くっ……」
確かに自分でもそれは覚えている。欲望に負け淫らな言葉を連発していた。そして、たと
え魔物に支配されているとはいえ、目の前にいる実の孫と繋がってしまったのだ。
「気持ちよかっただろ?もう一度あんな気持ちよさ味わいたいよね」
貴裕はそう言って皐月の顔を下からねめつける。それだけで身体の奥底から淫猥な感覚が
沸き起こってくるのを皐月は感じていた。
(だめよ……だめ…欲望に支配されちゃあ……)
必死になって耐えている皐月の背後からニュッと手が伸びてきて彼女の豊満な胸を揉みし
だきはじめる。
「はうン……」
だれ?と皐月は思った。貴裕は目の前にいる。手を使っている様子などない。
魔物でもない。その手はどう見ても子供の手なのだ。おそらく貴裕と同い年くらいの……
「貴裕。いい揉みごこちだね、この女。気に入ったよ」
間違いない、子供だ。
その少年は一心不乱に皐月の胸をこねくりまわしつづける。
「あうあン……だ、だれ……貴ちゃん……この子はいったい…はああん」
「ふふ、胸揉まれただけでそんなに感じちゃうなんて。いやらしい女だな、おまえは……
その子はね、皐月の知らない子だよ。僕の友だちさ」