エピソード0 「貴裕の日記」
七月二十一日(木)
今日から小学校生活最後の夏休み。
とにかく、遊びに勉強にがんばろう。
一也のやつがやって来て、例の「幽霊屋敷」に探検に行こうと言ってきた。
ちょっと怖かったけど、行く約束をした。
ママに相談しないとって言ったら、一也のやつ「マザコン」なんて言うんだ。
だから、ママには内緒。一応、あさっての予定。
ママはその日はなにか遅くなるとかで、10時くらいまで帰ってこないみたいだから
その日にした。
七月二十二日(金)
いよいよ、明日。
一也と昼間にちょっと行ってみた。
今まで、遠くからしか見てなかったから気づかなかったけど、けっこう大きい。
でも、かなり古そうだった。洋館って言うんだそうだ。
入り口は表門の方が完全に閉められてるので入れそうになかったけど、塀に穴が
開いてたからそこから入れそう。
中の玄関のドアは確認してないから、開けれないかもしれない。
そのときはあきらめて帰ろうということになった。
ちょっとホッとした感じ。
七月二十三日(土)
行ってきた。
玄関のドアは鍵かかってなかったから、すんなり入れた。
たぶん、僕たち以外にも中に入った人たちがいて、壊されてたんだろうと
思う。
別にどうということはなかった。
これならおばあちゃんちの蔵のほうが怖いくらい。
強がってた一也のほうがビビって僕の後ろからついて来る。
二階に上がる階段の真ん中へんに、ちょっと怖そうな像が置いてあった。
じっと見てたら目が光ったような気がしたけど、たぶん気のせい。
二階の部屋をぐるぐる見てまわったけど、別になにもなかった。
まあ、こんなもんだと思う。
七月二十四日(日)
今日はママがお休みだったので、一緒にプールに行ってきた。
僕が泳いでるあいだにママは男の人からナンパされてたみたい。
なんか、ちょっとうれしそうに話すママを見てたら少し腹がたってきた。
だから、帰るまであんまりママと話をしてやらなかった。
ママは“どうしたの?”って訊いたけど“別に”としか答えてやらなかった。
でも、ママはほんとにきれいだと思う。
スタイルもいいし……胸も大きいし……お尻も……
あれ?なに書いてんだろ?
七月二十五日(月)
今日夕方に祐美姉ェが涼ちゃん連れて、やってきた。
今日もママは遅くなるみたいなので、晩御飯の支度とかしにきてくれた。
祐美姉ェはママの妹で、僕の叔母さんになる。
ママに似てすごくきれいだ。でもママのほうがもっときれいだと思う。
涼ちゃんは、二ヶ月ほど前に生まれたばかりの赤ちゃん。
祐美姉ェの旦那さんは、涼ちゃんが生まれる少し前に死んじゃった。
だから、祐美姉ェもママと同じみぼうじんというのになったそうだ。
祐美姉ェが涼ちゃんに自分のおっぱいをあげているのを見てなんか
うらやましくなった。
七月二十六日(火)
なんか、身体がだるい。なにもする気がおきない。
今日はもう寝る。
七月二十七日(水)
今、ママがお風呂に入ってる。いっしょに入りたい。
でも、もう六年生だしはずかしい気がする。
いっしょに入りたいっていったらママは、なんていうだろう?
明日、いってみよう。
七月二十八日(木)
ママとお風呂に入った。
入りたいっていったら、ママはいいわよっていっていっしょに入ってくれた。
ママの胸はきれいだ。すごくきれいだ。
乳首の色も、肌の色との境目がわからないくらいに淡いピンク色だ。
僕が赤ちゃんのときは、ママのおっぱいの出が悪くて飲んでいないそうだ。
なんか、くやしい。
僕も涼ちゃんみたいに、ママのおっぱいを吸いたい。
だって、赤ちゃんのとき飲んでないんだから……
今飲んでもいいはずだよね。
夏休みの間だけ、これから毎日ママとお風呂に入る約束をした。
明日、おっぱいを吸わせてっていってみよう。
七月二十九日(金)
ママのおっぱいを吸わせてもらった。
最初はママもはずかしがってたけど、僕が泣きそうな顔をしたら
吸わせてくれた。
もちろん、お乳は出ないけど乳首を吸ってたら、すごく幸せな気分になった。
吸うだけじゃなくて、ちょっとだけさわった。
すごく柔らかくて、気持ちよかった。明日もさわりたい。
でも、今日だけっていわれた。ショックだった。
七月三十日(土)
ママとお風呂に入ってたら、ママが後ろ向きにかがんだときお尻の穴が見えた。
当然だけどママにもあるんだ。
指を入れたい。ママのお尻の穴に僕の指を突っ込みたい。
僕の指がお尻の穴に突っ込まれたら、ママはどんな顔をするんだろう?
きれいなママが、お尻に指を入れられて苦しんでる顔が見たい。
見たい……見たい……
七月三十一日(日)
ママのクラスの人たちがきた。
ママは高校で先生をしてる。
男が二人と女が三人だ。
せっかく、ママと二人きりだと思ったのにこいつらのせいで……
僕はずっと部屋でゲームしてた。
あいつらはママとあっちの部屋で、ゲラゲラ笑いながらしゃべってた。
早く帰れと思ったけど、なかなか帰らなかった。
コロシテヤル……
八月一日(月)
とりあえず、男二人を殺してきた。
明日は女たちだ。
八月二日(火)
女三人犯して殺した。
泣き叫んでたけど、許さなかった。
一人目は処女だった。
二人目は処女じゃなかった。
三人目も処女じゃなかった。
三人とも腹を引き裂いてやった。
八月三日(水)
今日、ママはやつらの葬式があるといってでかけていいった。
あいつら、死んでからも僕とママがいっしょにいるのをジャマするんだ。
でも、それも今日まで……もうママは僕といっしょだから……
誰にもジャマさせない……
八月四日(木)
この日記はなに!!?
だれが書いたの?僕じゃないよ!これは僕じゃない!
殺してなんかいないよ!!
八月五日(金)
おかしい……なんかおかしい……
僕は気が狂いだしたんだろうか?
だれかに見られてる気がする。ずっと、見られてる気がするんだ。
八月六日(土)
あの女がガキを連れてまたきやがった。
ガキに自分の乳を飲ませるところを俺に見せつけるようにしやがって。
誘ってるのか?
旦那が死んで欲求不満なんだろうな……
熟れた身体を持て余してるんだろうよ……
いつでも犯してやるぜ。
八月七日(日)
今日は有子と買い物にデパートまでいった。
洋服を買うらしく試着室に入った。
俺も一緒に入っていったよ。
でけえ胸と尻だ。風呂場で中身をさんざん見てるが、下着姿も悪くない。
有子……おまえは俺のもんだよ……わかってるよな……
八月八日(月)
なんなんだろう……この日記…?
僕は覚えがない……だれが書いたんだろう……だれが
俺さ……俺はおまえだよ……おまえは俺なんだよ
わかるよな……全部おまえなのさ……
これを書いたのも……あいつら殺したのもな……
八月九日(火)
どうやら僕は気が狂ってしまったみたいです。
それとも、テレビで見た二重人格とかなのか?
だれか、僕の中にいるみたいだ……
そんな気がする……
八月十日(水)
ママ……ママとやりたい……
ママに僕のオチンチンを舐めてもらいたい。
ママ、やらせてくれよ……
八月十一日(木)
やつはやっぱり僕の中にいるんだ。
二重人格じゃない。あいつがいるんだ。
くわしいことはやつが書かせてくれない。
ママにも話させてくれない。
もうすぐ僕は僕じゃなくなる……
八月十二日(金)
たすけて
八月三十一日(水)
明日から二学期がはじまる。
楽しみ……