お母さんは正義のヒロイン

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オリジナル

千鶴には秘密があった。普段は主婦であり、優しい母親の千鶴。
だが、その正体はかつて侵略者から地球を救った正義のヒロイン・
キューティエンジェルなのだ。
千鶴が地球を救ってから、20年もの月日が流れた。当時高校生だった千鶴も
今では結婚し、主婦として家庭を支えている。夫と中学生の一人娘。家族の
幸せこそ最大の生きがい。そう感じていた。
そんな平和な世界に、最近奇妙な事件が相次いで起きている。若い女性ばか
り狙われた連続誘拐事件である。連日テレビでも報道されているが、まだ
犯人は捕まっていない。それどころか何の痕跡も残さず、まるで神隠しの
ように消えているのだ。警察も全くお手上げの事件。この事件が、今後の
千鶴の運命を大きく変えていくことになるのだ。

440439:2005/04/27(水) 22:13:37 ID:cRU6P0aN
オリジナル

今年35歳になる千鶴は、近所でも評判の美人妻である。しかし近寄りがたい
雰囲気はなく、柔らかさのある美しさ。そして、まだ20代前半と言っても
通用するであろう若々しさを備え持っていた。
ある日のこと。
一人娘・早紀の帰りが遅い。部活の練習は終わり、いつもならとっくに家に
帰ってきてもいい時間だ。友達と寄り道して遅くなるときもあるが、その
時には必ず連絡を入れてくる。しかし今日に限っては連絡がない。
千鶴はいやな感じを覚えた。
まさか、あの子の身に何かあったんじゃ…
千鶴はいてもたってもいられず、家を飛び出した。家を出てから、益々嫌な
感じが大きくなってきた。まるで20年前の侵略者と戦っていた時のような。
その忌まわしく、でも懐かしい感覚に千鶴はハッとした。
まさか…まさか…。奴らの仕業なんじゃ…。
奴ら。かつて千鶴がキューティエンジェルとして戦った悪の侵略者たち。
『デスダーク』
当時キューティエンジェルは、苦しい戦いを戦い抜き、そしてデスダークを
壊滅させたはずだった。しかし、今回の神隠し的な「連続誘拐事件」も奴ら
が起こしたものだとすれば納得がいく。
もしデスダーク滅んでいなければ、きっと私に報復しようとしてくるはず。
もしそうなら…。早紀が危ない!
千鶴は不安が大きくなるのを感じながらも、早紀を探し回った。
その手に変身用のリングを握り締めて。