☆女の子は足回りが命よ!!!☆

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13Somatsu ◆yNCUidFM
前スレ942さんのリクエストで番外編Vです。

 今日から二学期。みゆは生徒玄関で、親友のあゆと顔を合わせた。
「あゆお久。日焼けしたね」「みゆお久。彼氏と思い出作った?」
「う、うん・・・」みゆは言葉を濁した。彼とは別れたのだ。
みゆの態度から出来事を察したのか、あゆはそれ以上聞かなかった。
みゆは鞄から袋を取り出した。中には上履きが入っていた。

 「みゆ、上履きを持ち帰ったの?」あゆに聞かれ、みゆは返答に困った。
上履きを持ち帰っても洗ってはいない。他人は不思議に思うだろう。
「あ、うん、ちょっと上履きが必要だったの」適当に答えるみゆ。
「専門学校の見学会に行こうかと思ったけど、都合で行けなくて」
間違っても「ネットで上履きのレポートを〜」などと言えないみゆだった。

 二人は教室に入った。懐かしい顔が揃っている。
みゆは校内用ソックスに履き替えた。「真面目だね〜」感心するあゆ。
対するあゆはルーズのまま。上履きも踵を潰していた。
「普段から真面目にしていないと内申書に響くからね」冗談ぽく笑うみゆ。
まさか「上履きをキチンと履かないと匂いが付かないから」とは言えまい。

 始業式が終わると直ちに実力テスト、そして通常授業に移った。
完全土日週休化後も授業時間を確保するための苦肉の策だった。
不満を漏らしながらも授業を受ける生徒たち。残暑が厳しい教室。
あちこちで上履きを脱ぎ散らかす光景が見られた。足が蒸れるのだろう。
みゆはといえば、踵も潰さず真面目に上履きを履き続けていた。

 足元の暑さに耐えながら、みゆは斜め前のあゆを観察していた。
あゆも上履きを脱いで、ルーズの足を前に投げ出していた。
机の横にはみ出して置かれた上履きが、みゆにもよく見えた。
みゆのと変わらないくらいに汚れた外観。見事に潰された踵。
「あゆの上履きも臭いのかな・・・」ふと考えたみゆだった。(つづく)