783 :
773より続き:
ほど無く、保健所から「検疫に来たと称する」数人の男たちの手で粒津武小学校6年3組・総勢36名は
伊奈子の部屋から回収され、その日の晩には元のサイズに拡大された生徒たちは無事帰路に着いた。
一方、伊奈子の胃袋に取り残された倫佳と明日香は再び胃壁の動きが活発になって来たことに危機感を
募らせていた。
「……どうしよう、また胃液が分泌されたらあたし達も溶けちゃうかも」
しかし、今度は胃液の分泌は思ったほど活発ではなくさっきまでと異なる点と言えば――自分たちが
浸かっている、お茶と胃液がブレンドされた湖の水が心なしか人肌で温められているように思われたことで
あった。
「どうやら、清田さんはお風呂に入っているみたいだね」
「紫由くん、どうしてそんなことがわかるの?」
「体温が上がってるから胃の動きが活発になってるんじゃないかな、多分」
やがて、胃壁が収縮を始め2人がプカプカと浮かんでいる湖面に変化が現れ始めた。
「きっと胃が内容物を十二指腸にしごき出しているんだよ。もうすぐここから出られる」
胃の中を一杯に満たしていたお茶と胃液のブレンドはみるみるうちに目減りし、倫佳と明日香も最後の
ひとしごきで幽門を通り抜け、ついに悪夢のような胃袋から脱出したのであった。
「だけど、清田さんはもうすぐ晩ご飯を食べるだろうから出来るだけ早く腸を通り抜けないとね」
「あたし、もう疲れちゃったよう」
「十二指腸を抜ければ小腸の運動に乗って割と早く抜けられると思うから、もう少し頑張って」
保守
785 :
萌える名無し画像:02/12/08 22:36 ID:6mjMnYJ+
そっそしてっ??
786 :
783より続き:02/12/09 04:11 ID:sMV5nCKF
倫佳は疲れ切った表情の明日香を気遣い、手を引きながら先導することにした。
十二指腸は胃のように激しく振動することは無いものの、腸壁の襞が深いうえに湿って滑りやすいので
歩きづらい。
途中、腸壁に開いた穴からコポゴポと音を立てて黄土色の見た目にも汚らしい液体が垂れ流されて
いるのを2人は目にした。
「……紫由くん、これ何? なんか、とっても臭い……」
「……これは膵臓で作られている膵液と胆嚢で作られている胆汁だよ」
この黄土色は大便の色に他ならないのだが、倫佳はまだ伊奈子に対する気持ちの整理が付いて
いないのと説明している相手が女の子であるのとの両方の理由で、喉まで出かかっていたその事実を
口にすることをためらった。
そうこうしている内に、2人は十二指腸を抜けて空腸に入り込んだ。
「ここから狭くなってるから気を付けて。長いけど、腸運動に乗って行けば割と楽に通り抜けられるはず
だから」
「うん」
2人は這いつくばって全身をよじらせながら、空腸の中を進み始めた。
小腸の襞はびっしりと繊毛に覆われ、その襞が2人を奥へ奥へと押しやって行く。そして、小腸の中は
人間の体内でも最も美しい部分の一つだと言われている通り、血液が放つ薄灯りに照らされた腸壁の
造型とコントラストはさっきまで絶望的な気分に追いやられていた倫佳を癒すのに十分なものであった。
「……やだっ、何これ、なんか気持ちいい」
小腸の襞にびっしりと生えた繊毛はまるで愛撫するかのように明日香の全身を包み込み、そして優しく
舐め回す。
一本一本の繊毛が顔、腕、太股、背中、胸、お尻、そしてもっと恥ずかしい部分まで絡み付き、今まで
味わったことの無いような快感へ導いてくれる。
「あ、あぁんっ」
明日香は倫佳がいることなどお構い無しに喘ぎ声を漏らした。
「……西さん」
「何よぅっ。ハァハァ」
「……パンツ見えてる」
「!!」
倫佳のその一言で明日香はハッと我に返った。しかし、腸内は狭く順番を替わってもらう訳にも行かない。
明日香はこのまま、小腸を通り抜けるまで常に倫佳の目に恥ずかしい部分をさらされ続ける運命にある
のだ。
「い、いやぁーっ!」
明日香は恥ずかしさの余り絶叫し、その瞬間に彼女の股間から「じゅわっ」と生暖かい液体が溢れ出した。
黄色くてアンモニア臭のする液体と透明で粘り気のある液体が混ぜ合わさって放出され、明日香の真後ろに
いる倫佳の顔に浴びせられる。
「やだぁ〜っ。もう帰りたい……あとどのぐらいで出られるの?」
「……6時間ぐらいかな」
倫佳は憮然とした表情で答えた。彼の視界に飛び込むものと言えば、いくら美しくてもこれだけ長時間
続くと飽きてしまう腸壁と明日香のパンツ――その股間はびっしょりと濡れ、肌にぴったりと張り付いて
しまっているので遠目からも一本の綺麗なすじが透けて見えていた――だけだった。
788 :
787より続き:02/12/09 18:17 ID:sMV5nCKF
空腸の中間あたりに差しかかると、いよいよ腸幅は狭くなり2人の身体をキュッと締め付け、そして先へ
先へと送り出す動きは活発になった。さらに、腸壁の繊毛が絡み付くだけでなく所々にポツポツと生じている
突起――リンパ管に接触した時の、静電気のようなピリピリした感触も2人を悩ませたが、どうやら腸は
一刻も早く異物を体の外へ排出したいようで2人の身体はあれよあれよと言う間に回腸を通過し、小腸の
終着点である回盲弁へと送られた。
「ここは、行き止まりなの?」
「しばらくは通れないね。大腸の中身が小腸に戻って来ないように普段は塞がっているんだ」
「どうやったら開くの?」
「うーん、ここは食道の筋肉と連動してるから、清田さんが何か食べてくれれば開くはずなんだけど……」
「……それじゃ、もし出られても明日は学校へ行けないね」
「明日は休日だよ」
倫佳たちが伊奈子の回盲弁で立ち往生している頃、時刻は夜の11時を回っていた。
「……えーと、プリンがあったはずなんだけどなぁ」
伊奈子は就寝した両親を起こさないように息を殺しながら台所へ忍び込み、冷蔵庫を物色していた。
育ち盛りとあって、いけないとわかっていてもついつい夜食をほおばってしまうのだ。
「あったあった。お部屋で食べよっと」
数分後。
パクパク――ゴゴゴゴゴゴ……グワッ
「ねぇ、見てみて。回盲弁が開いたよ……きゃっ!」
明日香がみなまで言い終わらないうちに、小腸は回盲弁が開いたのに合わせて2人を外側――大腸へ
押しやった。
「……くっさぁ〜い。何なの、ここは?」
「大腸だよ。もうすぐ、明日の朝ぐらいには外に出られるはずだよ」
「って、今まで出ることだけに夢中で全然どこから外に出るか考えてなかったけど、もしかして……」
顔面蒼白になった明日香が何を考えているかは、ここで改めて説明するまでも無いことだった。
「うん」
倫佳は明日香が何も言っていないにも関わらず、実に素っ気ない返事で彼女がひどく恐れていた
結果の到来を告げた。
明日香は弱音を吐く元気すら失ってヘナヘナとその場にへたり込んだ。
「だけどさ、正直な話、君だって……するんだろ?」
「そ、そりゃもちろんするわよ」
「実を言うとさ、僕はつい半日前まで清田さんがウン……いや、大をするなんて信じてなかった」
「可愛いから?」
倫佳は首を縦に振った。
「だけどさ、訳もわからずこんなミクロサイズにされて彼女に食べられて、それで彼女の獰猛な胃が
深出たちをドロドロに溶かしちゃったのを見て――最初は信じられなかったけど、今は『あぁ、やっぱり
彼女も普通の人間なんだ』と思えるようになった」
「あたしも、きっと清田さんと同じ立場だったら紫由くんたちを食べちゃってたと思う」
「でさ、もし僕が一人で清田さんに食べられてたら僕は迷わず胃液の海に飛び込んで溶かされてたと
思うんだ――そうすれば、小腸で吸収されて彼女とひとつになれるんだから。でも、僕はそれを直前で
思い留まった。何故だと思う?」
「――あたしが胃液溜まりに落っこちたから?」
「うん。僕ひとりで死ぬのならともかく、他のみんなは口々に『早くこんな所から出たい』って言ってたから、
せめてみんなを無事に体の外へ出してからでも遅くないんじゃないかと思ったから」
「――紫由くんって、案外優しいんだね」
「そんなんじゃないよ」
倫佳は照れ臭そうに笑みを浮かべた。