“歌麿の問題作”県内初公開 馬頭広重美術館で特別展 栃木
那珂川町馬頭広重美術館(同町馬頭)で、秋季特別展
「城と武将−天下をめぐる男たちの戦い」が開かれている。
24日まで。戦国時代の武将の姿や戦い、城郭などを描いた浮世絵を展示。
中には、喜多川歌麿が「手鎖(てぐさり)五十日の刑」という
処罰を受けたいわく付きの作品が県内初公開されている。
戦国武将の勇壮な戦いは太平の世に生きた江戸時代の人々にとって憧れでもあり、
数多く浮世絵に描かれている。武田信玄、上杉謙信、織田信長らの武将や
川中島の戦いなどが題材として取り上げられ、人気を集めた。
同展では歌麿や歌川広重、葛飾北斎ら約20人の浮世絵師の作品65点が展示されている。
主な作品は、歌麿が幕府にとがめられた
「太閤五妻洛東遊観之図(たいこうごさいらくとうゆうかんのず)」(太田記念美術館所蔵)や
真田幸村を描いた月岡芳年の「一魁(いっかい)随筆真田左エ門尉(さえもんのじょう)幸村」(同)など。
このうち、歌麿の作品は豊臣秀吉が諸大名らを従えて盛大に催した「醍醐の花見」を
題材に描かれた。徳川家が天下を治めた江戸時代、秀吉に触れることはタブー。
幕府は秀吉を出版物に記述することを固く禁じていたため、歌麿は幕府に厳しく処断される。
弾圧や制約にも屈せず果敢に浮世絵を描き続けた歌麿だったが、この刑の後は勢いを失い、
2年後に世を去った。
同館の長井裕子主任学芸員は「絶版になったため、ほとんど残っていない貴重な作品。
この機会に見てほしい」と話す。
2013.11.13 02:04
http://sankei.jp.msn.com/region/news/131113/tcg13111302040002-n1.htm