アカウミガメの産卵巣
http://www.tonichi.net/data/img/news/news/2013/05/news0_5199f21c64bff.jpg 見つかった上陸跡
http://www.tonichi.net/data/img/news/news/2013/05/news1_5199f21c65c14.jpg 豊橋市小松原町の表浜海岸で20日朝、今年のアカウミガメの上陸と産卵が初めて確認された。時期は例年並みだが、
昨年は上陸回数・産卵巣数とも過去最高を記録したことから、関係者の間では今年も多くの産卵が見られるのでは、
との期待が高まっている。
豊橋・田原両市の太平洋岸にある表浜海岸は、静岡県御前崎市まで延びる遠州灘沿いの海岸とともに、アカウミガメの
全国有数の産卵地として知られる。
表浜海岸の豊橋市区域(13・5キロ)では1992年から毎年、市の委嘱を受けた調査員が5月中旬〜8月下旬にかけて
アカウミガメの保護・調査を実施。そのうちの1人、兵田千秋さん(66)が20日午前5時20分ごろ、今年初めての上陸跡と
産卵巣を発見した。慎重に掘り返し、67個の卵を確認した。
ここ20年間の平均をみると初上陸が5月22日、初産卵は5月24日で、今年の時期もほぼ例年並みといえる。
産卵場所が波消しブロックより海側にあり、水没のおそれがあったため、卵は小島町にある保護柵を備えたふ化場に
移された。順調にいけば、7月中旬にも子ガメが生まれる見通しだという。
前日からの雨が続くなかで産卵巣を見つけた兵田さんは「雨降りにウミガメが上陸するのは珍しい」と話す。この日、
3〜4キロ離れた細谷町の海岸でも上陸跡が見つかったが、産卵はなかった。近隣では5月13日に浜松市、同15日に
御前崎市で初産卵が確認されている。
近年は海岸環境の変化がアカウミガメの産卵に影響を及ぼしてきた。92年の調査で200回もあった上陸回数は、
5年後には21回にまで激減。これに伴い、産卵巣数は約20分の1の7巣にまで落ち込んだ。
その後、少し盛り返したものの低迷が続いたため、産卵しやすい環境を守ろうと2006年に法律で海岸への自動車の
乗り入れが規制された。10年には県の条例でアカウミガメが希少野生動植物種に指定され、許可なく触ることができなくなった。
保護柵によるふ化場の設置や波消しブロックの撤去などの対策も行われた結果、実績は少しずつ回復。昨年は
過去最高の上陸回数327回、産卵巣数145巣を記録した。
兵田さんは「産卵数が急に少なくなることはない」と指摘し、今年も昨年に近い数字を上げることに期待を寄せる。
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