あちこちの街路で今を盛りと咲き誇るヒラドツツジ。色彩豊かで大輪の花弁が美しいこのツツジは、平戸市の武家屋敷に
ルーツがある。これらの屋敷を巡ってツツジの原木を愛でる「お庭めぐり」が20、21の両日、平戸島北部一帯で開かれる。
古来、海外交易で栄えた平戸は、港を取り囲むように商家が立ち並び、後背地に武家屋敷が点在する形で城下町が形成
された。平戸城大手門に続く通り沿いにある内野家もそうした屋敷の一つ。玄関周りの石垣や石畳、しっくい壁が江戸時代の
名残を感じさせる。
14代目当主の内野茂樹さん(62)によると、2代目が朝鮮出兵で手柄を立てて加増されたが、その後はずっと100石取りで
「普通のサラリーマンでした」という。
裏山の斜面を生かした庭造りが平戸の武家屋敷の特徴。貿易船がもたらした外来ツツジがこうした庭園に根付き、自然交雑
を繰り返した結果、ヒラドツツジが生まれた。
これに着目し、平戸出身の農林技官熊沢三郎(1904〜79)が53年に平戸で優れた品種を選抜して命名会を開催。「夕陽
(せきよう)」「藤娘(ふじむすめ)」などその数は300余りに及ぶ。
命名当時、120軒ほどあった武家屋敷は、今は30軒足らず。内野さんら所有者は2000年に「庭を守る会」を結成。毎春、
お庭めぐりを催し自宅を公開してきた。12回目の今回は9軒が参加する。
一方、平戸つつじ振興会長の前田健治さん(71)は命名会から60年になるのを機に28日、平戸文化センターで新品種を
集めた命名会を開く。前田さんは「武家屋敷が次々と姿を消し原木の多くも失われた。ヒラドツツジにいま一度光を当て、
大切にする機運を高めたい」と話している。
ソース(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/358928 写真=自然の地形を生かした庭にヒラドツツジが咲く平戸の武家屋敷
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/nagasaki/20130418/201304180002_000.jpg