豊橋市青陵中学校(市川英輝校長)の校外、青陵街道「夏みかん並木」で21日午後、中学生の若い歓声がこだました。毎年の
恒例行事―「夏みかんの収穫」。青陵中生徒会の環境委員会と福祉委員会の1、2年生と陣頭指揮の荻山匡仁教頭、生徒会担当
の亀埼太先生はじめ教職員など総勢50人が寒さに負けず取り組んだ。
青陵街道の約1キロの両側に植えられている夏みかんの木は現在80本。今年も大きな夏みかんが実り、収穫は約60個入る籠
に20個ほどが収穫された。
地域の人たちも交通量の多い県道の車の整理をしたりして温かく見守った。学校に運び込まれた夏みかんは生徒の手によって、
ていねいにほこりや油の汚れが拭き取られた。
■りんごにはみかんだ
60(昭和35)年、時の太田昭宏生徒会長らは「大火災で沈む飯田市民に元気になってもらおうと、飯田東中学生徒会が
りんご並木を造った」ニュースに感動し、「りんごにはみかんだ」と「夏みかん並木」を企てた。それも中学校の校庭でなく、
校外に、それも交通量の多い県道に…。
翌61年、卒業式前の3月、各学級1つずつ38の穴を掘った。太田生徒会長らは穴だけ掘って卒業した。
4月になり、第一次植樹計画。各学級1本で38本を植えたのが、この青陵街道「夏みかん並木」の始まりである。
以来、53年の歳月が流れ、今日まで青陵中学生徒会と地域の人たちが一体となって流した尊い汗に緑と人のまち―豊橋づくり
に走った先人の気概が込められている。
■街づくりに不可欠なソフトパワー
街づくりには、市長ならびに行政のリーダーシップは当然のこととして、市民の側の内発的エネルギーと目覚めたる市民の
スクラムが不可欠であることを「夏みかん並木」は教えている。
「地域に開いた学校教育」、「市民協働のまちづくり」という「教育と地域の再生に何が必要なのか」を「夏みかん並木」は示唆
している。
環境委員会委員長の福澤悠亮君(青陵中2年)は「初めて夏みかんの収穫作業に参加しました。夏みかんは思っていたより
多く、よく実っていました。青陵中学の伝統の行事を無事故で終えることができました」と語る。
■この企ては街を愛する心から
収穫された夏みかんは福祉施設や小学校、そして長野県飯田東中学に贈られる。穴だけ掘って卒業した夏みかん並木の
先駆者―太田生徒会長、太田昭宏国土交通大臣にも、「大臣就任祝い」として段ボールに詰められ送られた。
東田小学校の青陵街道側の法(のり)面には、夏みかん並木の歴史とともに、68(同43)年5月に詩人サトウハチロー氏から
送られた詩が掲示してある。
「この企ては愛から出発している街を愛する心みどりを愛するきもちすがすがしさを愛するものが一つになっての並木道づくり
になれるのだ」
青陵街道の夏みかんの収穫が終わり、2月10日、11日の両日、赤鬼、青鬼がまちを走り回ると、豊橋の春が始まる。
ソース(東日新聞)
http://www.tonichi.net/news/index.php?id=26970 写真=夏みかん並木で収穫する青陵中の生徒たち
http://www.tonichi.net/data/img/news/news/2013/01/news0_50fe90ef7455f.jpg